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2017年2月13日月曜日

米海軍の艦載UAVの方向性はどうなっているのか


ペンタゴンと海軍の構想が噛み合わず、結局攻撃機になるはずだった無人機が給油機になりましたが、海軍はこれには満足せず、かつてのUCLASSの機能縮小版を期待しているということですか。一機種で全てを期待すると大変なことになるのはわかっているはずで、本当は専用機材を整備したいが懐事情からそうはいかないのでしょうね。中途半端な機体にならないよう祈るばかりです。ペイロードを期待すれば既存型機体、ステルスを重視すれば全翼機でしょうかね。期待しましょう。

Navy Moves Ahead On Carrier-based Drone

Feb 7, 2017 Lara Seligman | Aviation Week & Space Technology

X-47B Unmanned Combat Air System demonstrator
米海軍はX-47B無人戦闘航空システムを空母ジョージ・H・W・ブッシュで2013年に実証している。 Credit: U.S. Navy

高性能装備を敵対勢力が開発中のため米空母は敵海岸線からさらに遠い地点からの運用を迫られるとして、米海軍は無人給油機を空母に配備し航空隊の飛行距離を伸ばそうとしている。
  1. 海軍はUAVの空母運用を模索して構想は何度となく途中で変更されてきた。偵察攻撃用だったはずのUAVが結局給油機に落ち着いた。
  2. ペンタゴンは同機の実現にやっと動きはじめそうだ。これまで空母運用空中給油システム(CBARS)またはMQ-25の主任務を空母航空隊への空中給油と想定してきた。ここに来て海軍関係者からCBARSに同時に情報収集監視偵察(ISR)も副次ミッションとして盛り込みたいとの発言が出てきた。
  3. 「同機は将来の空母航空隊に不可欠な要素となり、空母の作戦能力を引き上げる効果を生む」とMQ-25開発を担当するボー・デュアルテ大佐が言う。
  4. その目標に向けて、海軍は4社に昨年契約を交付している。ボーイングロッキード・マーティンノースロップ・グラマンジェネラル・アトミックスに構想案取りまとめを発注しており、その先の技術製造開発段階の提案要求(RFP)への対応を期待する。RFPは今夏にも出て契約決定は2018年の想定。
  5. ドナルド・トランプ大統領からは国防費増額の構えが示されており、軍の即応体制の引き上げが期待される中、海軍は新型機開発を急ぐよう圧力を受けそうだ。ジョン・マケイン上院議員(共・アリゾナ)からはMQ-25開発を急ぐよう注文が出ており、5年以内の初期作戦能力獲得の国防構想白書を発表している。
  6. 「敵側が長距離高性能防空体制を整備する中で長距離飛行可能な新機材が空母航空隊に必要なのであり、敵防空網を突破し、攻撃・情報収集できる機体が必要だ」とマケイン議員は白書で持論を展開している。2月6日時点で海軍は白書に回答を寄せていない。
  7. だが無人空中給油・ISR兼用構想には問題がある。給油機と偵察機では設計要素が相反し、ISR機は高高度を長時間飛行する必要があるため、長い主翼と効率のよいエンジン性能が不可欠だ。ISR機が大量の燃料を機内搭載しないのは機体重量を増やさないためだ。これに対して給油機は大量の燃料を搭載し空母航空隊のニーズを満たし、エンジンも大型するはずだ。
  8. 海軍航空部門の立案部門は産業界とともに「スウィートスポット」をMQ-25で見つけて両方のミッションを実施できないかを模索しているとマイク・シューメーカー中将(海軍航空部隊司令)が昨年明らかにしている。
  9. もう一つの問題は将来の作戦環境を想定してどこまでステルス性をMQ-25に求めるかだ。ペンタゴン最上層部は生存性を中核性能にしなかったが、海軍は同機が脆弱にならないよう既存の「機体形状」を流用できないか検討中だとシューメーカー中将が明らかにしている。
  10. 中将は特定のメーカー名を口にしていないが、MQ-25の基本に活用できる設計構想はすでにあるとする。海軍は以前の無人空母運用型監視攻撃機材(UCLASS)構想で上記4社が提出していた内容を検討することになりそうだ。
  11. MQ-25を巡る各社の競合は最終的にジェネラルアトミックスやボーイングが提案した主翼胴体尾翼を備えた既存型あるいは無尾翼全翼機型のロッキードとノースロップ案のいずれかにおちつくだろう。
  12. シューメーカー中将は海軍がMQ-25のステルス形状を検討するのは確かとだけ述べており、給油機を敵領空に前方配備すれば脆弱性が露呈すると主張。
  13. 「空中給油任務の実施方法を見れば、他の機材より前方に送る必要があるのがわかる。MQ-25を単独で送り込んでも残存性は期待できない。送り込む以上簡単に撃墜されないようにしなくては」
  14. シューメーカー中将は「ステルスと給油機機能はMQ-25では両立しない」が「まず給油用UAVとして投入し、その後残存性のある攻撃機に進化させられる」と言う。
  15. 給油機の武装化は比較的容易だ。燃料の内部搭載用スペースを兵装用に転換すればよい。全翼機形状になった場合は最初からステルス性を考慮したことになり、レーダー吸収剤を施せば残存性が高まる。■

2016年2月24日水曜日

無人艦載給油機CBARSは攻撃機に進化するのか、それとも?



米海軍の次代機としてあれほど期待されたUCLASSが葬られ、代わりにタンカー構想が出てきましたが、この機体が同時に長距離攻撃任務にも使えるのでしょうか。あるいは実は別のプロジェクトがブラックの世界で進行しているのでしょうか。期待だけがふくらんでいきますが、その結果はあと数年すれば明らかになるでしょう。
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CBARS Drone Under OSD Review; Can A Tanker Become A Bomber?

By SYDNEY J. FREEDBERG JR.on February 19, 2016 at 1:58 PM
WASHINGTON: 米海軍の新型無人空中給油機CBARS構想を国防長官官房が精査中であるとBreaking Defense がつきとめた。
  1. 何を精査内容しているのかはわからないが先立つUCLASS構想の偵察攻撃無人機と重なる点がある。UCLASSも同じく長官官房が一年以上検討して結局中止に追い込み、そのためCBARS構想が浮上したのだ。今度の事業も同じ運命をたどらないと誰も断言できない。
  2. 前回の論点は要求性能だった。UCLASS空母運用空中偵察攻撃無人機の主任務は偵察なのか、比較的安全な空域を低速で飛行しそこそこの兵装を搭載するのか。あるいは攻撃に特化させ、防御固い敵地を長距離侵攻する重武装機なのかで論議が続いた。
  3. 後味の悪い論争の応酬が長官官房、海軍、議会の間で続き、2017年度予算ではどちらも否決された。かわりにそこまで大胆な性能を求めず、安価な空母搭載空中給油システムとしてCBARSが生まれた。CBARSの主任務はタンカーだが海軍によれば偵察能力と「限定的攻撃」能力も備えるいう。これでは偵察を主任務と想定したUCLASSに限りなく近いように聞こえる。
  4. そこでペンタゴン関係者にCBARSが想定する内容の説明を求めたが、きわめて丁寧にコメントはだれもできないというのだ。少なくとも官房による精査が終わるまでは。このことから証明はできないが、長官官房の誰かも同じ質問をしていると思われる。CBARSはUCLASSの軽量版なのか全く新しい構想なのか。
  5. 要求性能を正しく設定するのは不可欠だ。話を聞いた海軍航空関係のベテラン二名とも無人給油機は攻撃機にゆくゆくは進化するとみている。ただし今必要とされる空中給油だけが要求性能となれば二者択一式にCBARSがその他任務をこなす可能性が犠牲になる。
  6. 「無人給油機には長距離攻撃機に発展できる余地を残しておくべきでしょう」と語るのはジェリー・ヘンドリックス退役海軍大佐、現在は新しいアメリカの安全保障を考えるセンターに所属している。「発展可能性を残せばそれでいいと思います」
  7. 爆撃機転用は可能なはず、とヘンドリックスは言う。CBARSが別ミッション実施も前提に製造されれば。つまり目標への飛行途中で給油する「ミッションタンカー」にするのであり、空母周囲を飛行して単に給油を与えるだけの「リカバリータンカー」にしなければよい。「これまで20年の給油機は皆このタイプだった。他任務もこなせるタンカーはなかった」
  8. 「ミッションタンカーとして他機と一緒に戦闘空域へ飛ぶ機体になれば、遠隔地の敵空域でも空中給油は必要ですし、とくにS-400の脅威を考慮しなければ」とヘンドリックスは言う。高性能ミサイルが接近拒否領域否定の防空体制に配備されていることからその必要が痛感されるはずだ。このため比較的高性能の機体として兵装を燃料の代わりに積み、新型エイビオニクスとステルス塗装があれば爆撃機として運用できる。
  9. 「マッハ0.8で45千フィートを飛行できれば攻撃機と一緒に行動できる」とF/A-18E/FスーパーホーネットやF-35C共用打撃戦闘機を想定し、ヘンドリックスは見る。逆にCBARSが低性能偵察機になれば、攻撃任務実施は無理だろう。
  10. CBARSが将来の爆撃機の原型になるためには機体形状をクリーンにまとめておく必要がある。とくに搭載燃料は全部機内搭載とし、主翼にタンクを下げることは避ける。これでステルスを実現できるし、エンジン回りの設計は特に慎重にし、熱放射から赤外線探知される事態を防がないといけない。
  11. これまでの空軍の給油機は格好のレーダー標的で、民間機が原型のためだった。現在、一部F-18をミッションタンカーに転用しているが、ステルス性はない。
  12. CBARSを爆撃機に転用する前提だとタンカー性能が犠牲となり単価も高くなる。このため前海軍次官ボブ・マーティネッジ(戦略予算評価センター)は楽観視できないという。
  13. 「理論上はCBARSは侵攻型偵察攻撃機に進化する機体にできるでしょう」とマーティネッジは記者に電子メールで回答。「ただし、そのためにはタンカーの形状と推進系は攻撃機とほぼ同様に設定する必要があり、タンカーミッションが犠牲になります。これでは海軍提案と逆方向になります」「タンカーミッションに特化させれば主翼は高アスペクト比にし、主翼胴体から尾翼の形状、高効率エンジンが露出されることになり、これではステルス攻撃機には進化できません」
  14. 新型艦載給油機は二重の意味で有用だ。まずスーパーホーネットが給油任務から解放され、航空隊全体の運用距離が延びる。だがマーティネッジは「CBARSで解決できない問題がある。攻撃有効距離が不足しており、新しいネットワーク型のIADS(統合防空システムズ)を前に生存性が不足する問題だ。喫緊の課題は空母の作戦戦略上の威力を維持するためにも長距離侵攻可能な偵察攻撃機の確保だ」
  15. マーティネッジの推すのは「A-X」だろう。攻撃ミッションを主とする艦載機にはかつてはA-6イントルーダーがあった。無人機を一番要求が厳しい長距離攻撃任務用に設計しておけば、給油機にも転用できるはずだ。またCBARSを給油任務中心に定義したのちにステルス攻撃機型を別個準備するより費用は安くつくはずだ。開発期間も短縮できるとマーティネッジは言う。「A-Xを先に進めれば、その設計と技術内容から空母用給油機型をCBARSより先に公試、配備できるはず」
  16. マーティネッジが言う先行作業とは極秘の長距離空母運用型ステルス攻撃機のことかもしれない。この機体については今のところ誰も内容を知らないが、マーティネッジとCSBAで同僚のブライアン・クラークが予算の出どころをつきとめている。
  17. 「機体開発計画が別にあるか不明ですが、2016年度国防予算を見ると、議会が300百万ドルの追加予算をUCLASSに認めているのがわかります。これに対して海軍は同年度にUCLASS/CBARSに135百万ドルしか使うあてがないとして予算要求していました。DoDが別の300百万ドルを2016年度からどう使うつもりなのか見えてきません」
  18. もしペンタゴンが今もステルス長距離艦載爆撃機をブラック予算であるいはCBARSを進化させる形で構想しているとすれば、議会の有力筋には吉報だろう。議会は中国、ロシア、イランに対抗するには高性能が不可欠とみている。もし単なるタンカーを作れば、議会から鋭い質問が出てくるはずだ。■


2016年2月14日日曜日

★米海軍>UCLASS取りやめ、空中給油無人機とF-35C追加調達せざるを得ない苦しい事情


あれだけ騒いだUCLASS仕様を巡る議論が蓋をあければ給油機にするとの決定で落ち着くのかどうか。予算が厳しいことはわかりますが、マケイン議員はじめ議会が黙っていないでしょう。ただし、下の高官(どうもワーク副長官ではないかと思います)の説明は極めてわかりやすいですね。もともとは空母運用機種を大幅に統一してきたのが悪いとは思いますが、スーパーホーネットが給油任務に投入されているのは確かにもったいないことです。


Good-Bye, UCLASS; Hello, Unmanned Tanker, More F-35Cs In 2017 Budget

By SYDNEY J. FREEDBERG JR.on February 01, 2016 at 2:48 PM
PENTAGON: 米海軍のUCLASS無人機を巡る論争は長距離ステルス爆撃機とすべきか軽武装偵察機にすべきかでまとまらなかったが、国防総省がついに決断を下した。そのいずれでもなく、2017年度予算案では無人艦載空中給油機にするとしている。

  1. 「もうUCLASS(無人艦載攻撃偵察機)ではなくなる。空中給油機として空母部隊に編入する」と国防総省高官は語る。「F/A-18のE型F型を追加購入し、現在給油任務についている同型機を解放し、F-35も増やすのが直近の課題解決に一番役立つ」のだという。「給油任務にE型F型を投入するのは、ただでさえ戦闘機が不足する中で問題になっている」
  2. 「『空母に無人爆撃機は要らないのか』と聞いてくる向きもあるだろうが、確かに必要とはいえ、現時点では分析の結果、これが最善の解決策になると答えよう。予算が潤沢に確保できない」
  3. 空中給油機には通信中継能力もあり、偵察任務も実施できるはずだが、武装はない。機体はスーパーホーネットと同等だがステルス性能はなしとする。
  4. UCLASSが想定した敵領空内への侵入はせず、給油機は攻撃戦闘機を本来の任務に戻し、飛行距離を伸ばす効果を実現する。戦闘用無人機に資金を投入するかわりに有人戦闘機を多く購入する(2017年ではなく2018年に)ことで攻撃機材不足を補おうのが予算案の骨子だ。
  5. 「これがステルス機を最速で艦上配備できる案であり、空母の戦闘能力を長距離から実現する道だ」と上記高官は述べる。ロシアや中国の脅威が高まる中で「空母にステルス機を2020年代前半までにもっと配備する必要がある」とするが、完全な新型機を開発するには時間が足りない。
  6. そこで「F-35C調達を急ぐことにした。これについて『UCLASS一本に絞るべきだ』という向きもあろうが、その場合ステルス性能の艦上運用が遅れることになる」
  7. F-35Cは現在低率初期生産段階にあり、初飛行も完了しているが、無人攻撃機はまだ設計中だ。無人機の完成を待つよりも今使えるF-35を投入することが得策だと高官は語る。
  8. 「ステルス性能や攻撃能力がなくても無人機とF-35を空母に投入することが優先順位が高いと判断した。無人攻撃機の開発を続けるかの決定はもうしばらく先だ」
  9. 実際に予算は大変厳しく、F-35の優先順位は高いので、海軍はF/A-18E/Fを今年は購入する余裕がないが、有人攻撃機材の需要は高い。
  10. 「17年度予算では機材調達の余裕がなかった」という。かわりに2016年度予算でスーパーホーネット14機を調達する。このうち12機分は議会が追加したもので、2機は事故喪失の補充用だ。2018年にも14機を導入する。
  11. ではボーイングのセントルイス工場の生産ラインを2017年も維持する発注はあるのか。「クウェイトのF/A-18商談で穴が埋まるとみている」と同上高官は述べた。
  12. 長期的にはF/A-XXまたは次世代航空制圧機の導入を海軍は期待するが、ここでも有人か無人かを巡る仕様上の議論が活発化している。(海軍長官レイ・メイバスはF-35が海軍にとって「最後の有人攻撃戦闘機」となると公言している)なおF/A-XXの代替策分析作業(AOA)は先週正式に始まった。
  13. だがUCLASS構想の放棄は中国やロシアの高性能防空網を長距離ステルス機で突破するペンタゴンが目指す構想に矛盾しないか。また「第三相殺戦略」で自律型無人機や「ヒトマシンのチーム化」を目指す動きにも矛盾しないだろうか。
  14. 空軍が正式契約したステルス長距離打撃爆撃機がA2AD問題への答えだと高官は述べた。無人機分野では「現状の無人機とはまったくちがう各種機材がある。一部は予算で計上するが、ブラックとしてまったく計上されない機種もある」■

2015年10月10日土曜日

★米海軍航空戦力のあるべき姿は・対中国作戦に空母の存在は不可欠だ ハドソン研究所報告書より



これまで米海軍が進めてきた艦載機の機種整理は誤りだったのでしょうか。ハドソン研究所の提言はここにポイントがあります。UCLASSはちっとも先に進まず、F-35Cは空母運用テストが始まっていますが、航続距離が足りないと海軍航空部隊の将来はなかなか多難なようです。ただ第六世代機が制空任務を専用に作られるというのが救いでしょうか。問題は予算確保でしょうね。

Carriers Crucial In War With China – But Air Wing Is All Wrong: Hudson

By SYDNEY J. FREEDBERG JR.on October 08, 2015 at 4:00 AM
The new carrier USS Ford is afloat but still unfinished.新造空母USSフォードは未完成
WASHINGTON: 予算を47億ドル超過したフォード級航空母艦への議会の風当たりが強い。今朝は下院シーパワー小委員会で委員長が保守派のハドソン研究所による報告書を発表する。内容は同級空母建造の必要性を訴えるものだが、同時に運用する航空機について棘のあるくだりもある。同報告書は現行の多用途機で航続距離を伸ばす提言に加え専用任務機を複数準備するよう求めており、UCLASS無人機でも各種の仕様を提言している。
  1. 原子力推進の超大型空母は他に代えがたいと報告書の共著者ブライアン・マグラスは記者に語り、フォードの設計は優秀と述べた。だが、「航空部隊では考えなおす必要がある。負けるわけに行かない戦争に勝つ、あるいは抑止するためには」
  2. あえて想定したくないのが中国との戦争だ。「気になるのはどう見ても当たり前で高レベルの議論が海軍から出てこないこと」トマグラスは言う。「そのためハドソン研究所の同僚とともに『われわれがかわりに言わなくては』と考えた」
  3. ランディ・フォーブス下院議員(シーパワー小委委員長)はこれまで中国の脅威に煮え切らない態度を取る行政府を批判してきた。フォーブス議員は議会による監督を真剣に考え、ブッシュ政権時には中国の諜報活動が問題だと認めるよう政府側を22分間に渡り、しつこく求めたことがある。
  4. フォーブスが自主的な検閲を懸念する際によく出てくるのが「非常に親しい個人的知己」の前作戦部長ジョナサン・グリナート提督だ。「海軍大学校で一人の若い士官が立ち上がり提督に真摯な質問をした。中国の挑戦をどう受け止めるのか、と」 フォーブス議員はヘリテージ財団で昨日この話をしている。「すると提督は中国を挑戦相手と認めること自体が許される範囲を超えていると答えている」
  5. 今日の空母の投入先はイスラム国との戦争だ。有志連合各国が陸上基地の使用を認めるまでの54日間に渡り、空母艦載機だけでイラク、シリアを空爆している。しかしこの用途にフォード級は必要ないとマグラスは断言する。
Fig 10 China-US
  1. 「第三世界の国の沖合に留まり一日12時間目標を叩くことのに129億ドルの空母は不要です」「129億ドルも支出する理由として一番合理性のあるのは中国です」(マグラス)
  2. この主張は国家安全保障の専門家には相入れにくい。社会通念では空母はアメリカの航空兵力を世界各地に投射する手段であり、あくまでも艦が沈められたり艦載機は撃墜されない前提だ。敵側に長距離精密誘導方式の対艦、対空母兵器があり、目標を捕捉するセンサーやネットワークがあれば、これは接近阻止領域拒否(A2/AD)となり、空母に別れを告げる日となる。
  3. ただし、この考え方は全くの間違いだとマグラスは言う。A2/ADの脅威で逆に空母の意義が増大するという。「空母が弱体化していうより、むしろ危ないのは第一列島線上の各航空基地でしょう」と言い、つまり中国の射程範囲内にある各地のことだ。「基地は時速40マイルで移動しませんよね」 長距離ミサイルの一斉発射があれば陸上配備の機体は空軍戦闘機のように基地で攻撃を受けやすい。そのため、「戦術航空機に必要な仕事をしてもらいたいのなら」 つまり敵の戦闘機を蹴散らし、友軍の爆撃機を援護するなどだが、「利用できる唯一の選択肢は航空母艦からの運用です」
  4. (ここまで踏み込むと空軍への批判となることはマグラスも認めており、だからこそ海軍はこの考え方を公表していないのだ)
Graphic courtesy of the office of Sen. McCain提供マケイン上院議員事務所

  1. 報告書も開戦初日に空母を東シナ海に進出させることは提言していない。逆に「直後に空母および水上艦艇はA2/ADで一番強い範囲外に後退させることになるでしょう」トマグラスは言う。「潜水艦も同行し、空軍の長距離爆撃機には長射程兵器を搭載し、敵のISR機能を排除することでリスクを減らし攻撃の機会となるポケットを作り出します」
  2. ここで「ポケット」と言っていることに注意が必要だ。A2/AD全部をダウンさせて空母を前進させ通常の警戒活動、艦載機の発進をする必要はない。代わりに報告書では「パルス」戦術を提唱している。別の部隊がA2/AD防衛体制に穴が開けば、空母数隻や護衛艦をそこに向かわせ、空爆部隊を発進させて、その場を立ち去る。報告書が言うようにこれは大規模なヒットアンドラン攻撃だ。

Bryan McGrathブライアン・マグラス
  1. この実施には海軍は新しい種類の訓練が必要だとマグラスは展開する。「記憶の範囲では海軍は複数の空母を同時に運用してきていません」 空母部隊は相互に運用し、目標も分けることがあるが、合同で航空部隊を同じ目標の攻撃に向かわせていない。
  2. 航空部隊こそ空母の攻撃手段であり報告書がもっとも力を入れている論点だ。最大の問題は航続距離の不足。空中給油を行えば、脆弱性の高い空軍給油機の助けを借りるが、F-18ホーネットがインド洋上の空母から発艦してアフガニスタンの目標を攻撃できる。ただし空中給油ができない可能性が高脅威度空域で想定され、「空母の有効攻撃射程は第二次大戦時と同等」とマグラスは指摘する。
  3. 空中給油がないとF-18ホーネットの実用攻撃範囲は空母から600マイルしかない。中国に対して到底足りない。中国の対艦ミサイルにはDF-21やDF-26があり射程は2,000から2,500マイルある。そのため「航空部隊が空母の弱点になる」とマグラスは言う。「航続距離が長い航空隊を編成できれば、空母はリスクが低い水域で活動できる」とし、遠距離で安全な地点からの攻撃が可能になるという。
  4. 将来の空母航空隊の中心と期待されるのがUCLASS(無人艦載航空偵察攻撃機)だ。UCLASSを長距離偵察任務に特化させ攻撃能力は二次的とする海軍案と長距離侵攻攻撃能力を重視し偵察を二次的とするフォーブス議員やジョン・マケイン上院議員の考えの間でしれつな意見対立が生まれている。マグラスは共著者とともに両方の機能が必要だと主張し、場合によってはUCLASSを二種類にすれば良いと考える。
  5. 「私は最も早くから攻撃能力を主体としたUCLASSを提唱してきました」とマグラスは言う。「偵察ならP-8ポセイドンやMQ-8Cトライトン別名BAMSがあります」 だが報告書を執筆する中でポセイドンやトライトンはステルス性がなく、機動性が欠け、脆弱な機体でA2/AD範囲で偵察活動を遠隔基地から行うのは無理だと気づいたという。そこで空母から運用可能で生存性が高い無人偵察機の重要度が高まる。
Lockheed Martin's UCLASS concept.ロッキード・マーティンのUCLASS構想図
  1. UCLASSが二型式になるだけではない。海軍は専用機材を排除してきた。S-3ヴァイキング対潜哨戒機、F-14トムキャット迎撃戦闘機は多用途戦闘爆撃機F-18に取って代わられ ゆくゆくはF-35も加わる。だがもう一度専用機を復活させるべきだと報告書は提言する。例えば次世代海軍戦闘機となるまだ概念上のF/A-XXは戦闘爆撃機ではなく生粋の制空戦闘機にする必要がある。
  2. UCLASS、F/A-XXならびに「制海」対潜哨戒機とそろうと相当の買い物リストになる。とくに予算削減の時代には目立つ。予算が潤沢だった時代でさえ、航空兵力の更新には十年単位の時間がかかった。だが空母体制の立て直しには長い時間がかかることはよく知られていることだ。■


2015年4月23日木曜日

X-47B>空中給油テスト成功、でもこれで事業終了か


空中給油もデモとして実施して予算もないのでX-47Bはすでに過去の機体となるのでしょうか。一方で肝心のUCLASSの仕様が決まらないのでX-47Bのデータがいつになったら有効活用されるのか先が見えません。海軍長官の発言にはX-47Bの成功が大きく作用しているのでしょうね。まずDefense Techの記事紹介です。

Navy Conducts First Aerial Refueling of X-47B Carrier-Launched Drone

by KRIS OSBORN on APRIL 22, 2015

Navy X-47B refuels for the first time. (Navy photo)
米海軍はX-47B艦載無人実証機を使い4月22日にパタクセントリヴァー海軍航空基地上空で無人機への初の空中給油に成功した。
X-47Bにはオメガ・エア・リフィユエル社 Omega Air Refueling の給油機が対応したと海軍とノースロップ・グラマン関係者が明らかにした。
X-47Bは5月には空母への着艦、発艦ですでに歴史に残る業績を上げており、現在は空母艦上での取り回しの改善に投入されている。
The Navy launched and landed the X-47B in rapid succession with an F/A-18 fighter jet as part of a series of joint manned and unmanned flight tests aboard the USS Theodore Roosevelt in August of last year off the coast of Norfolk, Va., service officials said.
X-47Bの着艦発艦テストはF/A-18の運用と平行して有人無人機運用テストとしてUSSセオドア・ロウズヴェルトを用い昨年8月にノーフォーク軍港(ヴァージニア州)沖合で実施している。

Navy X-47B refuels for the first time. (Navy photo)
X-47Bは8分間の飛行後、拘束フックによる着艦に成功し、主翼を折りたたみ、艦上をタキシーングし、続くF/A-18に着艦スペースを空けた。

Navy X-47B refuels for the first time. (Navy photo)
X-47Bへの空中給油はペンタゴンで海軍の次世代空母運用無人機の検討作業が続く中で実施された。議会有力議員はステルスで長距離飛行による敵地侵入攻撃性能が必要だと主張している。これに対しペンタゴンも情報収集監視偵察(ISR)を重視し、無人空母運用偵察攻撃機(UCLASS)構想を検討している。
X-47BはUCLASSに先立つ実証機の位置づけだ。

USNI Newsはもう少し掘り下げて報じています。

Navy Conducts Successful Test of Aerial Refueling with X-47B, UCAS-D Program Ending

April 22, 2015 3:37 PM


米海軍が初の自動空中給油に成功した。ノースロップ・グラマンX-47Bテスト機が4月22日に実施し、これで無人空母搭載機実証事業Unmanned Carrier Air Vehicle demonstrator (UCAS-D) も終了すると海軍航空システムズ本部 (NAVAIR) がUSNI Newsに語っている。
  1. X-47Bはチェサピーク湾上空を巡航飛行し、コールサイン ソルティドッグ502としてオメガ・エアリアル・リフュエリングサービシズ社のボーイング707給油機の後方につき4,000ポンド超の燃料を受け取りパックスリヴァーに向かい東部標準時午後1時15分に着陸したとNAVAIR報道官がUSNI Newsに語っている。.
  2. 給油はプローブ・ドローグ方式で行った。.
  3. 4月15日にソルティドッグ502はタンカーとの通信接続を確立したが、この際は燃料は移送されていない。また乱流で給油テストが中止されたこともああった。
  4. 空中給油テストはノースロップ・グラマンに交付した64百万ドル契約の一部。
  5. 「UCAS-Dの飛行テストは2012年に始まり、有人リアジェットをX-47Bに見立てて実施した。数回に渡る実証飛行でX-47Bへの空中給油の可能性が証明され、航法・指揮統制機能や赤外線レーザーの処理部品で改修を行った」とノースロップは発表。.
  6. これでソルティ・ドッグ501と502はテスト業務から外れ、航空博物館送りとなるか航空宇宙メンテナンス・再生グループ(「機体廃棄場」)があるデイヴィス・モンタン空軍基地(アリゾナ州)に移動となるだろう。
  7. 両機とも設計飛行時間の20%しか使用されていないが、海軍は機体構造は今後登場する無人空母運用偵察攻撃機(UCLASS)と共通要素は少ないと見る。
  8. 「X-47とUCLASSの相違点を考えるとUCLASSのリスク軽減対策は巨額の事業になりそうだ」とB.V. Duarte デュアルテ大佐(NAVAIR PMA-268責任者、UCAS-DおよびUCLASS事業を統括)は語る。
  9. X-47Bはステルス設計で空中給油可能かつ機内ペイロードが大きく、海軍が当初構想していた海軍用無人航空戦闘システム (N-UCAS) を具現化し、敵地侵攻型機に近い。構想は2006年のQDR(四年ごとの国防整備計画)で最初に提示された。
  10. その後、海軍は目標を修正し、無人空母運用型偵察攻撃機 (UCLASS) にした。USNI Newsが知るかぎりこの機体はRAQ-25とNAVAIR内部で呼称されている。
  11. UCLASS検討の初期段階では空母打撃群に追加偵察能力 off-cycle surveillance capabilityを提供するが攻撃能力は限定的とし、しかも制空権が確保された作戦空域内での攻撃を想定し、空中給油能力は不要とされた。
  12. ただし、無人機全体の構成を検討する戦略的事業検討(SPR,スピア) が国防長官官房内で開かれ、UCLASSの最終構想は未決とされた。
  13. 議会内にはジョン・マケイン上院議員(共、アリゾナ州)やランディ・フォーブス下院議員(共、ヴァージニア州)のようrにUCAS-Dテストの延長を求める声がある。しかし、22日に議会スタッフによるとX-47Bテストは下院軍事委員会シーパワー兵力投射小委員会でも検討の対象に上がっていないとのこと。
  14. NAVAIRはUCAS-D事業はソルティ・ドッグ502がUSSジョージ・H・W・ブッシュ(CVN-77)への着艦に成功した2013年の時点で終了にする予定だったが、海軍上層部から空中給油テストを加えるよう求められた経緯がある。■

2014年12月16日火曜日

★米海軍:X-47Bで無人空中給油実証を行う予定



UCLASSの仕様きまらないのはつまるところ中国のA2ADをどう突破するか、もっと言えば中国をどう扱う下でコンセンサスが出来ていないからでしょう。その間に空中給油の無人化技術を確立したいうのが今回の記事のメッセージでしょう。

Navy Could Test Aerial Refueling on X-47B in 2015

By: Sam LaGrone
December 9, 2014 12:13 PM

X-47B UCAS. Northrop Grumman Photo
X-47B UCAS. Northrop Grumman Photo

予算確保の条件つきで、米海軍は試験中の空母運用無人航空機X-47Bの空中給油能力を来年早々にテストすると、海軍航空システムズ本部がUSNI Newsに明らかにした。


実施が決まればノースロップ・グラマンが自律型空中給油 autonomous aerial refueling (AAR)を無人戦闘航空機実証事業Unmanned Combat Air System demonstration (UCAS-D)の一部として行なう。

NAVAIRは代理機材でAARを実施済みでX-47Bのソフトウェアを検証しており、給油機との一連のやりとりを模擬していたが、実際の給油は行っていない。

X-47Bは二機あり Salty Dog 501およびSalty Dog 502と呼称され、そのうち一機に空中給油能力が装着されている。

今も結論がでていない次期生産型UAVとなるUCLASS(無人艦載監視攻撃機)の仕様でAARは争点のひとつだ。

UCLASSが安価で監視偵察を重視した仕様になるとAARを省略することになるが、武装を強化したステルス機としてUCLASSを想定する向きはAARは必須とし、敵地奥深くへの侵攻に必要だとする。

「海軍の想定は14時間超無給油連続飛行だが、ペイロードや探知性で犠牲が出る」とロバート・マーティネージ(前海軍次官補、現在は戦略予算評価センター)だ。「空中給油が可能になれば14時間もの長距離飛行能力の根拠が減る」(搭載能力を強化できる)■



2014年10月10日金曜日

ISRで三機種を同時運用が必要とする米海軍の事情


空軍の新型機開発が(目に見える範囲では)パッとしないのに対し、海軍の活動が活発なのはこれまでもお伝えしている通りですが、その中身を見るとなかなか通用しにくい論理が働いているようです。とくにUCLASSの行方がはっきりしません。また、せっかくP-8が就役しても無人トライトンの遠隔操作予算がついていないなど情けない状態があるようです。

Triton, Poseidon, & UCLASS: The Navy’s ISR Balancing Act

http://www.google.com/url?q=http%3A%2F%2Fbreakingdefense.com%2F2014%2F10%2Ftriton-poseidon-uclass-the-navys-isr-balancing-act%2F&sa=D&sntz=1&usg=AFQjCNGExojjuqLdNF9dKDWvoTfPN-4igw
By SYDNEY J. FREEDBERG JR.on October 01, 2014 at 4:00 AM
The first MQ-4C Triton drone to arrive at Patuxent River Naval Air Station. MQ-4C トライトン
PATUXENT RIVER NAVAL AIR STATION---米海軍の長距離偵察の未来を担うMQ-4Cトライトン無人機が当地の格納庫にあり、ボーイング737より翼巾は13フィート長く、機体重量は8割軽い。
  1. 高度50,000フィートで24時間超連続飛行する想定のトライトンは任務を単独で完結できない。高高度戦域全体を対象とした同機とは別に戦術偵察機として有人P-8ポセイドンと無人艦載偵察攻撃機(UCLASS)があり、海軍は三機種の同時運用を求めているが予算は厳しい。
  2. P-8はトライトンと共同作戦が可能。だがP-8乗員がトライトンを遠隔操作する機能は「予算化されていない」とジム・ホウク大佐Capt. Jim Hoke(トライトン事業責任者)は本誌記者に認めた。Triton program manager Capt. James Hoke.
トライトン開発を統括するジム・ホウク大佐
  1. トライトン三機が10月末にパックスリヴァーに揃いテストに備える。だが衝突回避レーダー開発が遅れている。2017年にグアムで作戦稼働を開始するが、当初の68機購入は微妙だ。ホウク大佐は高信頼性で整備所要時間が想定より少ないことで購入機数が減るのは確実という。
  2. UCLASS最終設計案の提出がいまだに業界に要求されていない。また、海軍の想定性能が「攻撃」より「監視」を重視していることが議論を呼んでいる。
  3. 「三機種すべてが必要だ」とマシアス・ウィンター少将Rear Adm. Mathias Winterは強調する。しかし記者が情報収集監視偵察 (ISR)で二機種必要な理由を問うと、少将はトライトンは戦域司令官のニーズに対応し、UCLASSは空母打撃群司令官が利用する、と回答。
A notional map of the areas Triton could cover from its five land bases.トライトンを世界5か所の基地から運用した際に監視対象となる地域を概念的に示した図

  1. 「空母打撃群では指揮命令と実行を迅速に行うことが肝要だ」とウィンターは記者に説明。UCLASSは空母から発進し、600から1,200マイルの範囲をパトロールするが、2,000マイル超の攻撃も可能だ。これに対し、トライトンは陸上施設五か所から発進し、作戦行動半径はほぼ2,000マイル。:
  2. 仮に十分な機数のトライトンを調達し、各空母を常時カバーできたら、また空母をトライトンの飛行対応範囲外に航行させないとどうなのか、ウィンターはそれでもUCLASSは必要だ、なぜなら性能が違うからと言う。
  3. 「トライトンは戦術攻撃用ではありません。武装を想定せず、UCLASSで想定の1,000ポンド爆弾も運べません。また空母打撃群での運用も想定外」なので指揮命令系統に入れない。これに対し「UCLASSはグラウラーと共同運用を想定しており、ホーネットやF-35とも攻撃に投入できるが、トライトンはできない」
Rear Adm. Mathias Winters, head of unmanned programs at Naval Air Systems Command (NAVAIR).
マシアス・ウィンター海軍少将は海軍航空システム本部(NAVAIR)の無人機事業を統括している。
  1. 行間からはUCLASSが高性能のようだ。長距離長時間飛行のカギは燃料消費効率だ。トライトンの主翼は長く、薄く、まっすぐで、P-8の20千フィート上空を飛行できる。「高度50千フィートだと燃料は大量に使いません」とホウク大佐は言う。空気が薄いためだ。その結果、トライトンの燃料消費はP-3のおよそ1割と言う。だが飛行距離と飛行時間のため機動性と速力が犠牲になった。UCLASSでも監視偵察ミッションに最適化すれば攻撃力が犠牲になるし、その逆もまた真である。
  2. トライトンの飛行高度では機体にストレスとなる操縦は発生しない、とウィンターは説明。それに対しP-3やP-8は低空・高Gの捜索や攻撃を行う。両機種は民間旅客機が原型で戦闘機の敏捷性はない。UCLASSでは要求性能が非公開あるいは変更中だが、発艦着艦というパイロットに一番負担を強いる機動が前提だ。
  3. 戦闘能力が優れるのはUCLASSで、トライトンンを補完できる。だが戦闘に投入できる性能がUCLASSに本当にあるのか。
A CSBA diagram shows the ranges needed to defeat a modern "anti-access/area denial" defense.
CSBAが作成した接近拒否領域阻止の防空体制における必要な飛行距離を示す概念図
  1. 記者はウィンター少将の説明内容をUCLASSに批判的な専門家2名に開示した。
  2. 「ISRを優先すべきではない」というのは戦略予算評価センター(CSBA)のロバート・マーティネージRobert Martinage。トライトンで空母をカバーできるとし、「MQ-4Cは海洋占有認識 maritime domain awareness (MDA)を空母打撃群で実現することを目的としている。世界各地にMQ-4C運用の基地を確保するのはMDAを一貫して実現するのが目的だ」
  3. 「空母近辺では戦術レベルのMDAとして、E-2Dホークアイと無人回転翼機M-8Cファイヤスカウトを組み合わせればよい」
CSBA scholar Robert Martinage.CSBA研究員のロバート・マーティネージ
  1. 偵察機材整備をすすめる海軍に長距離攻撃が不足しているという。「接近阻止領域拒否(A2/AD)の防衛体制をとる中国は機雷、潜水艦、攻撃機、長距離対艦ミサイルを駆使するので、米空母は沖合に留まらざるを得ない。これでは短距離しか飛べないF-18やF-35では内陸部を攻撃できない」と言う。A2/AD対抗には長距離重武装かつステルスが必要とマーティンネージは説明するが、UCLASSはこのいずれも目指していないという。
  2. 見識の高い某議会スタッフも同意見だ。ISR専用の無人機は「空母搭載機材として優れている」が、「空母航空部隊で一番必要な機材ではない」し、 新規案件への予算制約をすると、「どう考えてもは武力投射型UCLASSの優先順位が高くなるはず」という。
  3. 「ISR特化か攻撃型UCLASSかの議論からもっと大きな問題が見えてきた。そもそも、無人機を航空隊に組み入れる検討をしっかりしているだろうか」
  4. 空母運用型無人機を二種類準備する予算は確保できる可能性は低いので、海軍のもくろみは偵察用のULCASSを出し、あとで爆撃機に転用するのだろう。その実現はペンタゴンの文民幹部と議会が決めることだ。■

2014年8月19日火曜日

米海軍 X-47Bとスーパーホーネットの同時艦上運用実証に成功





Navy Flies Manned, Unmanned Carrier Jets Together For First Time

Aug. 18, 2014 - 05:44PM   |  
By MEGHANN MYERS   |   The X-47B Unmanned Combat Air System Demonstration conducts flight operations aboard the aircraft carrier Theodore Roosevelt on Sunday. The aircraft completed a series of tests demonstrating its ability to operate safely and seamlessly with manned aircraft.
.X-47B無人戦闘航空機実証型が空母セオドア・ローズベルト艦上での運用を17日行ない、有人機との運用を安全かつ円滑に実施できることを証明した。(MCSA Alex Millar/Navy)
The goal for the day was to launch and land the Hornets within 90 seconds of the X-47B. After a couple tries, the team was able to land the X-47B, fold its wings and move it out of the way to make way for the manned jet within 90 seconds.
MCSA Alex Millar/Navy

NORFOLK, VIRGINIA — — 8月17日、米海軍は空母艦上で無人機X-47BとF/A-18の同時運用実験に成功した。
ヴァージニア州沿岸にてホーネット2機とX-47B1機が発艦と着艦を同じパターンで繰り返し、無人機の離発艦が安全に行えること、着艦後すみやかに移動して有人機の着艦に支障がないことを試した。
海軍の無人戦闘航空機システムの空母運用実証で初の試みとなったとマット・ウィンター少将 Rear Adm. Mat Winter (海軍航空システムズ本部の無人航空攻撃機システム責任者)が語っている。
今回のテストは海軍にとって無人機による航空攻撃、偵察技術の進歩で大きな一歩となり、今後の空母航空戦力に無人機の技術をどう応用すべきかを理解する機会となった。
「無人機のみの編成はありえない。有人機と無人機を組み合わせていく」(ウィンター)
X-47Bの機体は全幅62フィートとF/A-18Eスーパーホーネットよりも17フィートも大きい。
自律運用のため、地上から遠隔操作は不要だ。事前プログラムどおりの飛行パターンを実施するので、飛行甲板の要員は艦への接近時にコースをそれないようにボタンを押すだけでよい。
X-47Bは今回の実証でプログラム数種を実施したとUCAS-D主査ボー・デュアルテ大佐 Capt. Beau Duarteは発表。そこには発艦、追い風での飛行、旋回し空母へ戻る経路をとる、着艦、主翼折り畳み等だという。.
当日の目標はX-47Bの90秒以内にホーネットを発着艦させることで、数回の試行ののち、X-47Bを着艦、主翼格納、移動させその後に続くホーネットの着艦に備える一連の動きを90秒以内に完了させることに成功した。
ホーネットは60秒以内の間隔で運用している、とウィンターは述べる。テストは今週も続き、デュアルテ大佐は間隔を詰める試行もしてみるという。「両機種でどんな相互作用が発生するかを確かめたい。それを今後の運用に役立てたい」
次の目標は無人機への空中給油で、これには新たなソフトウェアが必要となるという。
X-47Bの予算は2015年まで確保ずみだが、その後は不透明だ。 しかし同機の技術はこの後に続く無人艦載空中偵察攻撃機(UCLASS)に役立てるとウィンターは言う。
UCLASSが空母に搭載される2020年ないし2021年までに同機の運用をだれに任せるのかなど米海軍は運用方法に加えて同機を空母航空隊にどう取り入れるかを決めなければならない。
「操作をするのがパイロットなのか、海軍航空士官なのか下士官なのか、いずれにせよ初期の段階までに決めなければならない」とデュアルテは言う。
また得られる成果からX-47Bの偵察攻撃能力は独立した飛行隊として適切な水準なのか、あるいは現行のE-2ホークアイやF/A-18攻撃隊を補助する水準なのか判定するとウィンターは言う。