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2018年2月1日木曜日

速報 SM-3ブロックIIA迎撃実験に失敗 



失敗をあざ笑うような報道が出かねませんが、実験は実験です。ただ、SM-3ミサイルが日米共同開発であること、発射したのがイージスアショアであることなど背景をちゃんと報道しているのでしょうか。素人には難しすぎると判断しているとすれば嘆かわしいことです。


Breaking News

Another US Navy ballistic missile intercept reportedly fails in Hawaii

米海軍弾道ミサイル迎撃実験に再び失敗、ハワイで


 By: David B. Larter    


WASHINGTON — ハワイのイージスアショア施設から発射したSM-3ブロックIIAは弾道ミサイル迎撃に失敗したとCNNが報道した。
 事実ならレイセオン製ミサイルで二回目の失敗となる。北朝鮮が核ミサイルでの米本土攻撃能力を着々と整備する中、対応が停滞する。
 ミサイル防衛庁広報官マーク・ライトはコメントを拒んでいる。
 「ミサイル防衛庁及び米海軍がイージスアショアミサイル防衛テスト施設(AAMDTC)から実弾発射テストをスタンダード-ミサイル(SM-3ブロックIIAをハワイ・カウアイの太平洋ミサイル発射施設から31日午前に行った」とだけライトは述べた。
 実験失敗を最初に伝えたのはCNNだった。北朝鮮情勢を考慮して詳しく口外しないよう当局が決めたという。
Officials: US missile defense test failed in Hawaii early Weds. Pentagon not publicly acknowledging key ballistic missile defense test failure & officials tell @barbarastarrcnn there is a decision to not talk about it, in part because of sensitivities surrounding North Korea.
 失敗の原因についてはミサイル本体以外の要素があることに注意すべきだ。標的捕捉・管制用レーダーもあり、海軍のイージスシステムも失敗の原因だった可能性もある。
 SM-3ブロックIIAは6月にも失敗しており、この時は駆逐艦ジョン・ポール・ジョーンズ乗員が間違ってミサイルの自爆スイッチを入れてしまった。

 昨年2月の試射ではミサイルは弾道ミサイル標的捕捉に成功している。ミサイルは日米共同開発でレイセオンが製造し北朝鮮等のミサイル脅威の高まりに対応するものだ。■

2017年12月14日木曜日

MDAが目指すICBM打ち上げ初期段階でのレーザー攻撃



MDA awards contracts for a drone-based laser design

MDAが無人機搭載レーザーの設計を各社に発注

An MQ-9 Reaper sits on the flight line Nov. 16, 2016, at Creech Air Force Base, Nev. The MQ-9 provides persistent attack and reconnaissance capabilities. (Airman 1st Class James Thompson/U.S. Air Force)

By: Jen Judson 1 day ago

  • 米ミサイル防衛庁(MDA)がUAV搭載の数キロワット級レーザーと光線安定装置試作を三社に契約交付した。
  • ロッキード・マーティンジェネラルアトミックスボーイングの各社でそれぞれ9百万ドル程度だ。
  • これまでMDAは指向性エネルギー技術の段階的増加を目指し、「実験室レベルから規模拡大し精密照準を無人機から行い数キロワット級レーザーを機体搭載する可能性を模索する」としてきた。MDA局長サミュエル・グリーヴァス中将Lt. Gen. Samuel Greavesの声明をDefense Newsは入手した。
  • MDAは2015年に低出力レーザー実証事業を開始し概念設計をボーイング、ジェネラルアトミックス、ロッキード・マーティン、ノースロップグラマンレイセオンの各社に求めてきた。
  • 概念設計ではMDAの要求内容に合致し、実現可能性の評価や日程管理、費用面も検討したとグリーヴァス中将は述べている。
  • この結果をもとに飛行テストの仕様をMDAは固めた。
  • 実証機は追尾レーザー、防御レーザー、光線制御装置で構成し、高高度無人機に搭載する。
  • 選定企業は実証機開発で機材選定やレーザー、光線制御装置の初期設計を自社責任であたるとグリーヴァス中将が説明。「有人機でもいいが、レーザーや光線制御部分は地上操作としUAVへの移行リスクを低減させたい」
  • 契約企業三社は第一段階で初期設計を完成させ最終案を第二段階でまとめる。第二段階は2018年末から1年間の予定。重要設計審査で第二段階を終える。
  • 第三段階は2019年開始とし2023年までにすべて順調なら終了する。設計案から一ないし二機種を製造し飛行テストする。各種滞空中テストで「飛翔中ミサイルの捕捉、レーザーの脅威対象への照射持続を実証する」とグリーヴァス中将が述べている。「各段階で各社による競争効果を評価していく」
  • 低出力レーザー実証事業はMDAがめざす指向性エネルギー・レーザー技術の実証の一環で今後弾道ミサイル防衛システムに統合するとグリーヴァス中将が述べる。
  • 「可能性のある各コンセプトを試しており、ここから各種装備が生まれる可能性がある」
  • そのひとつがUAV搭載レーザーで大陸間弾道ミサイルを発射直後の加速中に長距離スタンドオフ攻撃で撃破するという。
  • このためにはミサイル追尾と「高度に安定しながら軽量で正確に照準を合わせられるレーザー光線が必要」とグリーヴァス中将が説明。
  • 低出力実証は段階を追って向上させる実証事業で目指す機能の実現が目的だ。
  • 「各種技術をテスト中で可能性がある分野を選定する。テスト結果に基づき、ペンタゴンや議会と協力して指向性エネルギー装備、レーザー装備や測距技術の最良の選択をミサイル防衛に取り入れていく」(グリーヴァス中将)■


  1. コメント スタンドオフで敵ICBMの発射直後に攻撃するためには現状の処理速度を数倍に引き上げたうえでもっと出力増が必要となるはずです。さらに防御のためにはおとり機も同時にうんようするのではないでしょうか。探知には衛星も使うはずで相当大掛かりなシステムになりそうですね。しかしこれが実現すれば各段階でのMD手段が実現します。核廃絶を理念だけで訴える勢力には到底理解できない体系だと思いますが。


2014年6月24日火曜日

米MDAが地上配備型ミサイルで弾道弾迎撃に成功


U.S. Missile Defense Intercept Test Succeeds

aviationweek.com Jun 22, 2014Michael Fabey | AWIN First

米ミサイル防衛庁(MDA)が地上配備型中間コースミサイル防衛Ground-based Midcourse Defense (GMD) による迎撃実験に成功した。GMDの迎撃成功は2008年以来はじめて。
  1. 6月22日の演習では 長距離地上配備迎撃ミサイルがヴァンデンバーグ空軍基地(カリフォーニア州)から発射され、マーシャル諸島共和国ノクェジェリン環礁にある米陸軍レーガンテスト施設から発射された中距離弾道ミサイルの迎撃に成功した。
  2. 今回のテストで米本土防衛に供する各種弾道ミサイル防衛手段の評価に必要なデータが入手できた。
  3. テストには米空軍第30宇宙部隊U.S. Air Force 30th Space Wing、合同部隊本部Joint Functional Component Command,、統合ミサイル防衛部隊Integrated Missile Defense、米北方方面司令部U.S. Northern Command 、米海軍も参加している。
  4. 標的になった中距離弾道ミサイルは海軍のDDG-70ホッパー(イージス艦)のAN/SPY-1レーダーで探知、追尾され、GDM発射管制室に指揮・統制・戦闘管理・通信システムCommand, Control, Battle Management and Communication (C2BMC) によりデータを送った。海上のXバンドレーダーも追尾し、GMD発射管制システムにデータを送ってきた。
  5. 標的ミサイル発射からおよそ6分後に地上配備迎撃ミサイルがヴァンデンバーグ空軍基地から発射され、三段式ブースターロケットが大気圏外迎撃体 Capability Enhancement II Exoatmospheric Kill Vehicle (EKV) を標的の予想宇宙軌道に運んだ。迎撃体は標的に位置修正され、識別ののち、目標の弾頭部分に衝突破壊した。これはEKVの第二世代機による初の迎撃となった。
  6. なお、迎撃ミサイルは米陸軍第100ミサイル防衛旅団(コロラド州シュリーヴァー空軍基地内)が遠隔制御で発射した。
  7. 弾道ミサイル防衛システムとして今回の成功で2001年以来通算81回中65回の成功となった。システムの中でGMDはこれまで4回使用されている。実戦用の地上配備型迎撃ミサイルはアラスカのフォート・グリーリィとヴァンデンバーグ空軍基地に配備されている。■

2014年2月26日水曜日

MDA予算増額で地上配備迎撃態勢の整備をすすめるねらいは北朝鮮とイラン


MDA Budget Request To Boost GMD, Add Radar

By Amy Butler abutler@aviationweek.com
Source: AWIN First

aviationweek.com February 12, 2014

昨年のテストが失敗して日が浅い中、チャック・ヘイゲル国防長官は地上配備中間コースミサイル迎撃システム Ground-Based Midcourse Defense (GMD) の開発予算を増額しミサイル防衛庁(MDA)に2015年度から19年度にかけ45億ドルを追加する。
  1. これまでペンタゴンは1,570億ドルを各種ミサイル防衛手段に投入しており、GMDもその一部。
  2. ペンタゴンの予算要求案は来月に議会に提出予定で、ヘイゲル長官はGMDの予算確保を重視している模様だ。その狙いはテスト自体が目的化している現状を打破し技術の進歩を促進し、今春の迎撃テストで結果を出すことらしい。
  3. さらに最低でも15億ドルで新型レーダーを開発し、北朝鮮が発射したミサイルの探知をめざす。また大型浮遊式宇宙配備Xバンドシステムを東海岸に移動させ、イランからの攻撃を監視させる可能性もある。
  4. MDA予算はそもそも70億ドル台へ減額されるはずが、かつての90億ドル台近くまで回復される。その背景にはGMDが不当な扱いを受けているとのヘイゲル長官の懸念がある。
  5. 北朝鮮あるいはイランのICBM攻撃に対する唯一の国土防衛手段として、GMD開発が失敗すれば国家の一大事だ。GMDの契約企業はボーイングで 2013年7月5日のテストでは難易度が低いはずの内容が実施できなかった。しかも5年前には成功していたのと同じ内容だった。ヘイゲル長官は北朝鮮の挑発的発言を意識し昨年3月にテスト実施を命じ合衆国領土を防御する有効策を示す狙いだった。
  6. それが反対にシステム有効性に疑念を持たせることになった。GMD迎撃部隊はアラスカ州フォート・グリーリー基地とカリフォーニア州ヴァンデンバーグ空軍基地に合計30基が配置されている。
  7. 失敗に終わったテストでは実弾ミサイルを警戒態勢に置き、常時発射できるようにし、世界各国に対しその有効性を示そうとしていた。実際にはレイセオン製大気圏外攻撃飛翔体 Exoatmospheric Kill Vehicle (EKV) がオービタルサイセンシズ製ブースターから切り離しに失敗している。「こんなことは60年代にいつもやっていたことだ」と業界筋は切り離しの難易度が高いはずがないという。この結果200百万ドルが無駄になったが、その原因はクランプあるいはほかの製造精度が低いハードウェアとの仮説を立てる向きもある。原因調査はまだ完了していない。
  8. その結果ヘイゲル長官はGMD予算を増額し、モニタリングを強化するとともに改修作業を進め、システム性能を引き上げることにしたと国防筋は言う。ペンタゴンにとって同システムの失敗は耐えられない。「今回の失敗は5年間の努力が失敗したことになり、国防総省と議会の間で決まったGMDの設計変更、仕様改善の凍結が失敗に終わったことを意味する」のだという。
  9. ペンタゴンは現行仕様から外れないようにしており、EKVのCE(性能向上策)Iベイスライン仕様では14回のうち8回で迎撃に成功している。2008年以降の失敗例3回のうち2回がCE-II仕様で、その内容は秘密のままだが妨害手段を回避する操縦性の改良とみられる。ペンタゴンの主任試験官からEKVの設計改良で提言が出ているが、国防総省高官は唯一の解決方法はEKVを超越した存在いわゆる共通破壊飛翔体Common Kill Vehicle (CKV)だとみているようだ。2014年度予算でその開発予算が含まれており、共通というのは GMDとSM-3イージス迎撃体で相互利用できるからだ。ただこれがどうなるかは見えてこない。ヘイゲル長官の指導でEKVに代わる手段へ進むことになる。迎撃手段の開発で全体戦略が欠如しているとの声もある。
  10. ただ迎撃手段の統一が実現するか不明で、たとえばEKVは単弾頭を目標とする設計だが、不複数弾頭を相手にできる迎撃手段が開発できるのか不明のままである。国防関係者と議会は次期迎撃手段を2020年めどで配備したいとしている。
  11. GMDの信頼性がぱっとしないのは同システムがまだ未完成だからだ。GMDは開発と配備を同時並行する構想で、ジョージ・W・ブッシュ大統領時代に「限定防衛作戦手段」との通称でいかにも作戦能力があるかのように命名されている。THAAD(最終段階高高度地域防衛システム)では10年近く設計変更で稼働できなかったのとは異なり、ホワイトハウスはGMDを「オフライン」にすることを拒否している。
  12. CKVを全面的に推進してもEKVの放棄にならず、今後も改良を続け信頼性を向上させていくだろう。
  13. 一方でペンタゴンは新型レーダーを開発し太平洋地域に配備する案を検討中だ。長距離識別レーダー Long Range Discrimination Radar (LRDR) の呼称であるが、正式には未決定だ。実現すれば飛来する弾頭とレーダーを混乱させる対抗手段を区別することができる。ビール空軍基地(カリフォーニア州)にある早期警戒レーダー、前進配備中のAN/TPY-2Xバンドレーダー、浮遊式海上配備Xバンド(SBX)レーダーならびにコブラデインLバンドレーダーの機能を強化できる。太平洋地域ではイージス艦もSPY-1レーダーを搭載している。
  14. LRDRはレーダー技術開発と生産方法の改良内容を反映して高信頼度で感受性高いシステムになっており、送受信部分、搭載する半導体、アクティブ電子スキャンアレイはSBXが生まれた1990年代から成熟化している。ただしSBXの問題点は信頼性が突如低下することがある点だ。もともとはGMDの性能を測定する技術陣の支援用に創案されたものであり、24時間の監視用途は想定外だ。ただし、GMDが実用化されるとともに北朝鮮の脅威が現実になったので、関係者は警戒用に信頼度がもっと高いシステムを希望している。
  15. このためMDAはSBXを東海岸に移送し、イランを想定した国内の対ICBM防衛体制が不十分と懸念する国会議員を安心させることとした。
  16. 一方で5年以上のブランクを経て初のGMD迎撃テストを行う検討が続いている。前回テストはFTG-06飛行追跡テストとして難易度が最も高いもので失敗に終わっているが、もう少し基本的なシナリオで実施してはどうかと考える関係者もいる。「とにかく成功例がほしい」というのが国防筋の偽らざる心境だ。
  17. FTG-06では敵目標に見立てた高性能なロッキード・マーティンLV-2にEKVのCE-Iを真正面から迎撃させている。接近速度が高いため精度と性能が問われた。
  18. MDAは同テストを再実施する必要があるが、関係者もCE-I仕様の威力を展示するのであればリスクを低くした方がいいとみており、結果的にシステムへの信頼度が回復するという。
  19. GMDテストは毎回200百万ドルほどの経費となる。MDA長官ジェイムズ・シリング海軍中将 Vice Adm. James Syring はGMD発射を再開しテストを定期的に実施することを希望している。■