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2022年5月12日木曜日

レイルガン用に開発された超高速弾に米空軍がミサイル防衛で注目。海軍はレイルガン開発を断念ずみ。局地防衛の概念が変わる可能性も。

A rendering of a notional self-propelled large-caliber gun capable of firing hypervelocity projectiles at incoming missiles.

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空軍は巡航ミサイル防衛の解決策に超高速弾を導入しようとしている。

 

 

 米空軍は2023年度予算要求で、巡航ミサイル撃墜用の自走砲で試作品製作と試験を実施する資金を要求している。同兵器は、米海軍が開発断念したレイルガン用に開発された弾薬を使用し、前線基地防衛装備となる可能性があると空軍は説明している。しかし、巡航ミサイルが米国内に脅威をもたらす懸念があることから、他の用途もあり得る。

 空軍の2023年度予算案では、「C-130で輸送/配備可能な超速地上兵器システム(HGWS)プロトタイプ」の製造を含む、さまざまな「ライフサイクルプロトタイピング」に約89.1百万ドルを要求している。このうち、どの程度がHGWSに使われるかは不明だ。

 

「ライフサイクル試作装備」として超速地上兵器システムの詳細が空軍の2023年度予算要求文書に見られる。. USAF

USAF

 

 空軍予算書によると、「既存の統合サービス戦闘管理システムにシステムを統合し、実弾射撃実験として、巡航ミサイルへの効果をテストする」作業が、HGWSプロジェクトの2023会計年度の目標だ。「HGWS試作型は、遠征作戦の有効性を理解するために遠隔地に迅速に展開する」。

 2023年度予算案は、HGWSでの空軍要求で具体的な詳細を提供していない。しかし、同兵器の基本的な説明は、空軍研究本部(AFRL)が昨年、航空宇宙軍協会の年次会議で発表した「Multi-Domain Artillery Cannon」(MDAC)基地防衛システムの構想とほぼ同じものだ。同会議でAFRLは、MDACが作戦シナリオでどう使用されるかを描いたCGビデオも公開した。

 同ビデオでは、6x6の車輪付きシャーシに搭載されたC-130で輸送可能な大口径砲であること以外に、MDACの詳細は示されていない。その他、「高発射速度」や「高銃口速度」といった極めて一般的な能力を言及している。

 ここで想定する車両は、自走式155mm榴弾砲と大筋で類似した構成だ。特にスウェーデンのアーチャーを彷彿とさせる基本形で、BAEシステムズのボフォース部門によれば、設置から4発を発射し、再び移動するまで74秒を要するという。

 このことを考えると、AFRLが2021年の航空宇宙軍協会の会議で、MDACが発射する弾丸の例として、BAE Systemsがもともと海軍の電磁レイルガンや5インチ海軍砲、155mm榴弾砲に使用するため開発した超速発射体(HVP)の模型を展示したことが興味深い。海軍は昨年、レイルガン計画と関連するHVP開発をすべてキャンセルした

 空軍が巡航ミサイル迎撃のためHVPを発射す高性能自動装填装置付き移動式155mm榴弾砲を検討していることには意味がある。空軍は米陸軍と協力し、2020年のテストで、この組み合わせの能力を実証していた。その際、陸軍の追尾式自走155mm榴弾砲XM1299のプロトタイプが、HVPで亜音速巡航ミサイルの代用となったBQM-167標的無人機を撃墜していた。

 「戦車が巡航ミサイルを撃ち落とすなんてすごい」と、自走榴弾砲がBQM-167迎撃に成功したことについて、当時空軍の獲得・技術・兵站担当次官補だったウィル・ローパーは、テスト後に、「まさにビデオゲーム、SFの世界だ」と語っている。「弾丸が十分に利口であれば可能となる。このシステムで使用する弾丸は、例外的に利口だ」(ローパー)。

 原理的には、HGWS/MDAC構想は、地対空ミサイルのような、これまでの巡航ミサイル防衛能力と比較して、大きな利点を提供する。HVPは、地対空ミサイルより交戦単価が低く、21発弾倉を使えば、HGWS/MDAC車両1台で、地上型ミサイル発射台より多くの弾を準備できる可能性がある。

 ターゲット捕捉と照準が、空軍予算書にある不特定の「戦闘管理システム」ネットワークを介してHGWS/MDAC車両がリンクするセンサーで完全に処理されれば、同兵器は、過酷地でも比較的簡単かつ迅速に展開および採用できる可能性がある。空軍の先進戦闘管理システム(ABMS)構想の一環で開発中のネットワーク機能は、2020年試験でXM1299プロトタイプ榴弾砲に照準情報を提供した。また、陸軍が航空・ミサイル防衛に特化した統合戦闘指揮システム(IBCS)ネットワークで行っている作業を活用する可能性もある。

 HGSW/MDACは、巡航ミサイル以外にも、各種無人機を含む、既存および新たな脅威からの基地防衛に役立つ可能性がある。

 

 

米海軍がHVPの説明資料を準備していた。ここでは艦船で広範囲の対空脅威に対応する以外に地上目標もHVPを既存の5インチ砲で発射するとしていた。HGWSとMDACは多任務能力で共通している。 USN

HVP 弾は3種類ある  Joseph Trevithick

 

CBSニュース記者にHVP弾を説明するマシュー・クランダー中将(当時)。 2014. Credit: USN

Credit: BAE Systems

HVP/GLGPは各種火砲による運用を想定し、電磁レイルガンも含む Credit: USN

 

 これらの能力はすべて、巡航ミサイルや弾道ミサイルによる基地への脅威のため、空軍含む米軍が特に取り組む遠征・分散戦の作戦概念の支援で極めて重要になる。同時に、分散型基地は独自では脅威を完全に排除するのに十分ではなく、遠隔地や過酷地点でも、将来の大規模紛争では多層的防御が必要となる予想がある。HGSW/MADCは防御の一要素に過ぎず、空軍は既に、相手を完全に欺く新能力など、他の各種の関連した手段に取り組んでいることが知られている。

 空軍の2023年度予算案では、「基地防衛実験-NASAMSとHGWS」の言及があるなど、将来の多層的防衛に空軍が関心を示している。NASAMSはNorwegianやNational Advanced Surface to Air Missile Systemの略で、AIM-120 Advanced Medium-Range Air-to-Air Missile(AMRAAM)を地上から発射するのを含む地対空ミサイルシステムである。

 2020年、空軍は陸軍とNASAMS試験を実施し、低空巡航ミサイルの代用としたBQM-167に対して交戦範囲の拡大を実証した。この地対空ミサイルシステムは、ワシントンD.C.首都圏の防衛にのみ運用されている。

 HGWS試作型とNASAMSを組み合わせたテストは、火砲ベースのシステムが遠征基地防衛以外の用途にも使われる可能性を示している。米国への巡航ミサイル脅威が再認識される中で、そ軍事施設や重要インフラを守るため何が必要かが議論されている。北方軍(NORTHCOM)の2023年度予算案では、国内巡航ミサイル防衛アーキテクチャの実証に50百万ドル超の追加投入を求めている。

 

AIM-120ミサイルをNASAMSで発射する想像図 Kongsberg Defense

 

 NORTHCOMと北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)の責任者であるグレン・ヴァンハーク空軍大将Gen. Glen VanHerckは、月曜日の防衛ライターグループのイベントで、テストで想定する内容について尋ねられ、「業界、ミサイル防衛庁、各軍に、任務達成似必要な能力を自由に考えてもらいたい」と答えた。彼はさらに、「非運動性」オプションにも興味があると発言した。

 また、「巡航ミサイル防衛の成功には、運動論的な最終局面での撃破以外に複数の方法がある」「電磁波やその他の非誘導的手段で、局地防衛を超えた、広域防御や限定的な地域防衛が可能になるかもしれない」と語った。

 ヴァンヘルク大将はさらに、巡航ミサイル防衛の方程式として、敵攻撃抑止の重要性を強調した。

 空軍の2023年度予算要求では、HGWS/MDACの中核コンセプトの実証の継続に関心があることが明らかになった。このような兵器を実際にどう使用する想定なのか、どのように大規模な航空・ミサイル防衛のエコシステムに適合させるのか、詳細が今後明らかになるだろう。

 

UPDATE: 9:05 PM EST—

 

 記事掲載後に、読者から、国防総省の2023年度予算要求にHGWS関連項目が追加されているとのご指摘をいただいた。国防長官官房の戦略能力局(SCO)は、"Advanced Innovative Technologies "と呼ぶポートフォリオの一部として、HGWS開発を支援するため151百万ドルを要求している。また、SCOは2021会計年度と2022会計年度に3百万ドルと20百万ドルのHGWS研究開発資金を受け取ったと記されている。

 項目には、SCOの2022会計年度におけるHGWSプログラムの目標として、「移行作業に関連するレーダー、砲、射撃方向、発射体のエンジニアリングおよび製造開発(EMD)活動を支援する」ことを挙げているが、目標が達成されたかは書かれていない。

 2023年度の目標として「HGWSプロジェクトは、移行作業に向けた技術・製造開発(EMD)フェーズの開始を支援する」と記されている。■

 

Railgun Ammo-Firing Cannon Being Eyed By Air Force For Cruise Missile Defense (Updated).

BY

JOSEPH TREVITHICK

MAY 1, 2022 6:02 PM

THE WAR ZONE

 


 

2019年4月7日日曜日

米海軍のレイルガン開発は難航している模様、かわりにHVP砲弾が脚光を浴びそう

コメントは下にあります。


Railgun Derailed: The U.S. Navy's Ultimate Weapon Is in Trouble

Will it happen?
March 31, 2019  Topic: Security  Blog Brand: The Buzz  Tags: MilitaryTechnologyWeaponsWarNavy

海軍が電磁レイルガンに「本格的予算投入」すると宣言して一年足らず、ジョン・リチャードソン海軍作戦部長は500百万ドルを投じたスーパーガン開発がトラブル続きで複雑な気持ちだろう。
大西洋協議会でリチャードソン大将は10年にわたる同兵器の研究開発がいまだに艦船搭載実証もできず行き詰まっている状態を「事例研究としてみなさんなら『このイノベーションは実現しないかも』と言うのでは」と表現。
「電磁エネルギーの利用で爆発作用を使わない兵器にするのは技術的に難題です」と同大将が語ったとされる。「そのため今後も継続して開発、テストしていきたい」
2018年3月の議会公聴会で見せた本人の自信はどこに言ったのか。2017年12月に Task & Purpose はレイルガンは研究開発段階から先に進めない、艦艇搭載が困難なだけでなくペンタゴンの戦略能力開発室(SCO)が優先順位を変更したからだと伝えていた。
「レイルガンに本格的に予算投入する。テスト実施のためこれを続ける」とリチャードソンは議会で当時確約していた。「仕様より遅い間隔で発射を....短距離で実施した。今度は定格通りの発射で射程80から100マイルを狙う」と述べていたとMilitary.comが伝えていた。
Task & Purpose ではそれに先立ちSCOが超高速発射弾(HVP)に中心を移し、レイルガン用に想定されたこの砲弾を通常火砲から発射させようとしていると報じた。海軍はHVPをUSSデューイのMk 45 5インチ砲から2018年8月のRIMPAC演習で実際に発射した。
リチャードソンも優先順位付けの変更を認めている。「高速度発射弾は現行砲すべてで運用可能だ。レイルガンと別に各艦艇に迅速に供用可能。このためこれを最優先している。レイルガンについては作業を加速化したい」
一年前のリチャードソン大将は議会メンバーの前で「レイルガン開発が行き詰まっているというのは言い過ぎ」とまで述べていたとMilitary.comが伝えている。■
This article by Jared Keller originally appeared at Task & Purpose. Follow Task & Purpose on Twitter. This article first appeared in 2019

想定通りの進展を示していないのはハードウェア、ソフトウェアいずれでしょうか。あるいは両方が絡む問題なのでしょうか。常識を破る新兵器ですから一筋縄には進まないと覚悟もしていましたが。レイルガンが当面あらわれなくてもHVP砲弾が実用化され既存の火砲の威力が増すのであればそれはそれでいいのですが。

2019年1月9日水曜日

★レイルガンなんか目じゃない 米海軍が昨年のリムパックで超高速弾を試射していた!

Mach 7.3 'Bullets': The U.S. Navy Tested a "Hypervelocity Cannon Round" マッハ7.3の「弾丸」を米海軍が「超高速砲弾」としてテストしていた

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海軍が新型超高速砲弾の実弾テストを2018年に実施していた事が判明した米海軍協会が伝えている。


今回始めて公表された試験発射は中国が極超音速兵器の開発を進める中で米海軍にとって大きな一歩になる。


駆逐艦USSデューイが超高速砲弾HVPをMk.45 5インチ砲から20回発射したとテストに詳しい筋が述べたと同記事は伝えている。


同記事によればテストは2018年夏のハワイ沖で展開されたリムパック演習でのことだが試射の効果は不明だ。


実験には海軍のほかペンタゴンで新兵器開発を極秘に行う戦略戦力室が立ち会ったと言われる。


「極超音速」の定義はマッハ5以上の飛翔体だ。海軍標準のMk.45艦載砲は重量70ポンドの通常弾薬をマッハ2.2ほどで13マイル先に飛ばす。今回の超高速弾はマッハ7.3で50マイル先を狙うと言われる。


「HVPは次世代には普通の存在になる誘導式の低抗力発射弾で、既存の各種砲で運用可能です。海軍の5インチ砲、海兵隊・陸軍の155ミリ砲、また将来の電磁レイルガンなどです」と超高速弾のメーカーBAEシステムズがウェブサイトで説明している。


BAEによればHVPは対地、対水上のいずれにも有効な攻撃手段となり、その他巡航ミサイルや弾道ロケットも狙えるという。


HVPがこれだけの高速を出せる秘密は抗力を抑えた空力設計にある。口径が異なる各種砲門におさまるよう、HVP本体はケースに入り、発射後すぐ円錐形の砲弾部分が分離する。


超高速発射弾は運動エネルギー兵器のため、弾頭はなく、衝撃で発生する力だけで相手を破壊する。BAEは新型砲弾では「正確な誘導電子装置」が発射する艦艇や砲兵隊に必要となると説明。


HVPの単価は9万ドル程度といわれる。
米艦デューイの試射は中国で超高速艦載砲の存在が2018年1月に周知になった数カ月後のことだ。中国海軍の揚陸艦海洋山が河川に係留され新型大型砲を艦上に搭載している写真が流布した。


同年3月に中国国営通信が問題の砲はレイルガン試作品と認めた。海洋山が外海にある新たな写真が12月にあらわれ、試射のため出動したのだろう。


米海軍は2012年以来独自にレイルガン開発に向かってきたが、2019年初頭現在海上公試はまだ実施していない。


レイルガンは発射弾を電磁力で極超音速に加速し、通常火薬を用いない。しかしデューイ実験で通常型火砲でも極超音速加速を実証できた。


2016年にオバマ政権の国防副長官ロバート・ワークは発足前のトランプ政権にレイルガンより超高速弾開発に資金投入すべきと助言していた。


「レイルガンは行く行く必要になるが火砲でも同じ超高速弾を発射可能で同じ効果が得られるとわかり、こちらのほうが早く実用化できる」とワークは述べていた。


米軍としては既存砲塔でマッハ7で砲弾を飛ばすことでレイルガンで進展を示す中国を一気に引き離したいところだ。「既存砲で革命的な効果が実現するのであり、榴弾砲、(米陸軍の)パラディン自走砲、海軍の5インチ砲のどれでもいい」とSCO室長だったウィリアム・ローパーが2016年に述べていた。「ということで重点をこちらに移す」「通常火砲なら何千門もありますが、レイルガンは皆無に等しい」

David Axe serves as the new Defense Editor of the National Interest. He is the author of the graphic novels War Fix, War Is Boring and Machete Squad.

2018年2月20日火曜日

レイルガンより先に超高速砲弾が既存砲で利用可能になりそう

レイルガンが技術的に難航する間にレイルガンで使うはずだった新型砲弾が先に実用化されそうです。既存の砲で超高速射撃を実現する技術はよくわからないのですがこれが採用されれば瓢箪から駒みたいな話になりますね。レイルガンの大電力が不要でこれなら既存の艦船でも敷居が低いですね。ペンタゴンが技術の実用化を目的にこれまでと違うアプローチをとっていることがわかります。

Navy Revamps Destroyer 5-inch Guns - Pursues Hypervelocity Projectile 米海軍駆逐艦主砲を超高速砲弾で戦力アップ


海軍は艦載5インチ砲Mk 45の戦闘威力を向上すべく長距離射程超高速砲弾の導入を進める。
海軍研究局は次世代海軍戦力開発事業で超高速射出砲弾(HVP)技術の成熟化を急いでおり、5インチ砲の射程を延長するのが狙いと海軍海上システムズ本部のコリーン・オルークが説明してくれた。
アップグレードしたMk 45砲は海上目標以外に陸上も攻撃可能で今後の技術進展で無人機、ヘリコプターやミサイルを撃破できるようになる。
ただし現行の5インチ砲では最大射程は13から15マイル程度で無誘導砲弾に精度がないため標的撃破に連続発射する必要がある。
Mod 4へアップグレードで砲座強化とともに高性能電子機能が加わる。作業はBAEシステムズが受注した。
「砲座が強化され50%強いエネルギーに耐えられ砲弾の射出速度を早くでき射程も伸びます。完全デジタル制御でタッチスクリーン操作になります」とBAEシステムは説明している。​
海軍によれば民生電子産業の小型化技術とコンピュータ制御で共通誘導砲弾を現行5インチ砲や将来登場する高速度射出砲で同時に使えるようになるという。

もともと電磁レイルガン用の砲弾として想定されたHVP超高速発射弾に別の用途が可能。HVPの速度はレイルガンから毎秒2千メートルと通常火砲の三倍になる。
毎分10発発射が可能で時速5,600マイルになるので運動エネルギーだけで破壊でき、爆発分は不要だ。
HVPはレイルガンと別に開発が進み5インチ砲搭載も視野に入れる。
速度、射程、発射回数を正確に制御できるHVPの5インチ砲での運用はまだ開発途中だが実現すれば今までと全く違う効果が生まれそうだ。
5インチ砲の有効射程が伸びる。HVPの速度があれば指揮官に遠距離対応の迅速な攻撃手段となる。砲弾は攻撃防御両方に使え、敵の対艦ミサイル、陸上目標に加え艦船攻撃にも有効だ。
運動エネルギーを武器とする超高速弾は装備の補給面でも有利となり低価格効果も期待できる。
艦内に大量の砲弾を貯蔵できる。同様の効果はミサイルでも可能だが、HVPは一発25千ドルで調達できる。
HVPは新技術を既存兵装へ統合すし、次世代装備技術をこれまでより早く既存装備に反映させルペンタゴンのねらいのひとつで、成熟化まで何年も待つ状態を回避することだ。この考え方でアシュトン・カーター前国防長官が戦略戦力整備室Strategic Capabilities Officeを創設した。
このSCOが陸軍りゅう弾砲でHVPの発射テストを行った。■

2017年5月22日月曜日

★★米海軍レイルガン開発の最新状況



レイルガンは砲弾自体の運動エネルギーで標的を破壊する構想ですが、莫大な電力が必要となるのがネックですね。海軍艦艇で対応が可能な艦が限られます。一方で並行して開発がすすむ新型砲弾HVPは既存火砲での運用も可能で効果が期待できます。

Navy Railgun Ramps Up in Test Shots はずみがつく海軍のレイルガン発射実験

By SYDNEY J. FREEDBERG JR.on May 19, 2017 at 4:00 AM

PENTAGON: 重量35ポンドの金属の塊がマッハ5.8で飛翔すると想像してほしい。毎分10回発射でき、砲身が使えなくなるまで1,000回発射できる。これが米海軍が進めるレイルガンで二年間以内に実用化する構想の進捗は順調だ。
  1. 「大きな技術進歩に向かいつつあります」と海軍研究部門のトム・バウチャー部長は述べる。バウチャーのチームが記者にペンタゴンで背景説明をしてくれた。省内での科学技術の展示会の席上だ。
  2. 三年前、当時の海軍作戦部長ジョナサン・グリナート大将がレイルガン開発を発表した。火薬を使わない電磁パルス効果の発射手段で海上試射をすると述べた。それ以降海軍は開発の方向性を変え、高速輸送艦(JHSVあるいはEFPと呼ばれる)に臨時配備するより陸上の恒久施設でのテストが費用対効果が高いと判断した。昨年11月17日にポトマック川を望む海軍水上戦センター(ヴァージニア州ダールグレン)にBAEシステムズが32メガジュールのレイルガンを設置し、初の射撃に成功した。(その時の様子はhttps://youtu.be/Pi-BDIu_umo を参照されたい)さらにレイルガン二基目が陸軍のホワイトサンズミサイル試射場(ニューメキシコ州)に搬入中で射撃用の空間が十分とれることから100カイリ以上という最大射程をためす。
  3. ホワイトサンズが長距離射撃性能を試す一方でダールグレンは兵装装備の確認が目的だ。これまでのテストでは中世さながらに砲撃を一日数回行っているだけだ。ダールグレンはバグ修正で毎時数回の発射をしようとしており、今年末までに毎分10回という目標の実現をめざす。比較すれば標準的な5インチ艦砲は毎分20発発射が可能だが、一分間で弾倉が空になる。戦艦の16インチ主砲は毎分二回だった。
  4. 毎分10回発射が可能となれば、ダールグレンは次に研究課題の中心を砲身寿命に移す。10年前の研究段階のレイルガンは発射一回で摩耗していた。莫大な圧力に耐える新素材で砲身の実現を目指すが現時点の試験用兵器では発射100回で砲身交換となる。目標は1,000回発射に耐える砲身の実現だ。
  5. 次の課題は出力だ。現在のレイルガンは 16 kg 弾を秒速2千メートル(マッハ5.8)で発射すると32メガジュールを毎回消費する。10回発射すれば20メガワット電力が必要だ。これだけの電力を供給できるのは原子力空母11隻とズムワルト級駆逐艦の3隻しかない。
  6. レイルガン発射には付帯設備が必要だ。一つのモデルがダールグレンにあり、海軍は20フィートコンテナー複数にバッテリーを満載し50回発射を可能とした。元海軍の戦略思考家ブライアン・クラークはレイルガンをEFP改装の輸送艦に搭載し、電源を貨物スペースに入れミサイル迎撃手段に転用できると述べている。
  7. レイルガン技術は現行の火砲にも応用できるので陸軍も欲しいはずだ。ペンタゴン戦略戦力整備室の支援を受けて、陸海軍は超高速発射弾Hyper-Veolocity Projectilesをレイルガンで実験しており、既存の5インチ海軍砲から155ミリ榴弾砲への応用も想定している。(HVPとしては共通だが異なる送弾筒sabotで包んでいる) 電磁インパルスの代わりに火薬を使うと初速は低くなるが5インチ砲でHVPを発射すると30カイリと通常の二倍程度の射撃が可能となる。
  8. HVPは火薬で発射できるがあらゆる点でレイルガンには匹敵しない。電磁発射式兵器は長距離に加え命中時の打撃効果が大きく、高性能火薬弾頭は不要となる。ただし巡航ミサイル迎撃のような重要任務の際はHVPを発射する火砲が30カイリ程度の範囲で第二防衛ラインを形成する。100マイルまでの長射程では大型レイルガンが対応することになる。■