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2020年4月25日土曜日

主張 金正恩死亡に世界はどこまで備えているか

金正恩が死亡した、あるいは植物人間状態との報道が世界を驚かせています。韓国政府のみちがう反応を示しているのが妙ですが。


朝鮮の緊急事態に「外部世界」の準備態勢は整っているだろうか。

金正恩の死去あるいは重篤な健康状態により国家指導者の機能を果たせなくなった場合、北朝鮮政策はどうなるか。▶状況が一変した場合には、めぼしい成果を上げていない北朝鮮対策のどこに手を加えるべきか。▶朝鮮半島で再度危機的状況が発生した場合にどう対応すべきだろうか。▶北朝鮮体制に変化が発生すれば、同国を注視してきた専門家は今でも困難な状況がさらに悪化する。▶北朝鮮はあいまいさ、隠蔽、錯覚を日常茶飯事に使い存続してきた国だ。▶北朝鮮で緊急事態が発生しても「鏡に映る姿は現実より大きかったり、小さかったり、楽観あるいは悲観的に写り、現実より小さかったり、実際より混乱して見える」ことがありうる。▶すべてを疑ってかかり、客観視し、誇張せずにとらえるべきだ。■

この記事は以下を再構成したものです。

Why We Really Don't Know What Happens If Kim Jong-un Dies

There are more questions than answers.
by Soo Kim 
April 23, 2020  Topic: Politics  Region: Asia  Blog Brand: Korea Watch  Tags: North KoreaKim Jong-unSuccessionKim Yo-jongDPRK

Soo Kim is a Policy Analyst at the RAND Corporation.

2018年3月23日金曜日

頂上会談が実現してもトランプが北朝鮮開戦に踏み切るとしたらこうなったとき

4月から5月にかけて朝鮮半島が再び世界の注目を集めそうです。すでに平和は確実(北朝鮮の勝利)を信じる向きが多いと思いますが安全保障の世界はそんなに簡単に考えておらずあらゆる事態を想定していはずです。したがって米国が北朝鮮を壊滅する軍事行動に出ないとの保証はどこにもありません。

5 Ways Trump Could Stumble into a War with North Korea それでもトランプが北朝鮮と開戦する想定5例

Former U.S. Ambassador to the United Nations John Bolton speaks during CPAC 2018 Feb. 22, 2018, in National Harbor, Maryland. The American Conservative Union hosted its annual Conservative Political Action Conference to discuss conservative agenda. (Credit: Alex Wong/Getty Images)
KTLA


March 17, 2018


ナルド・トランプが金正恩提案を受け入れ5月にも会談するとはいえ、朝鮮半島は依然として世界で最も危険な地だ。南北朝鮮の首脳会談は先に4月に板門店で開かれトランプ-金会談がその翌月に実現すれば短時間とはいえ緊張緩和になるのは間違いない。韓国の冬季五輪での微笑や握手をみれば南北が新しい太陽政策に向かうのがわかる。
だが現実はともすれば自ら作り出した幸せの絶頂から簡単にひきずりおとす。米国・同盟国軍が核装備した北朝鮮と武力対決する可能性は依然として残っている。北朝鮮に関する限りすべての点で単純な処理はなく、すべてが悪い方向に向かうこともありうる。
では朝鮮半島で戦火が開かれる事態として以下の五つの場合を見てみよう。
1. ジョン・ボルトンが国家安全保障担当補佐官に任命される
ワシントンポストでは3月16日付記事でトランプ大統領がH・R・マクマスター中将を安全保障担当補佐官の職から解くと決定したとある。前国務省非拡散担当大使で超タカ派のジョン・ボルトンはマクマスター後継者のリストに入っているのは明らかだ。マクマスターは北朝鮮に関しては決してハト派でなく、金正恩の知性をからかったともいわれる。だがボルトンとは違う。ボルトンなら500ポンド爆弾4発を投下させるところをせいぜい2発落とすのが相違点だ。
ボルトンが正式に就任して大統領執務室でトランプの横に立てば国家安全保障会議の毎週の会議を取り仕切り北朝鮮の核兵器開発を中止させるべく米軍に予防攻撃させそうだ。実は同じ失敗をサダム・フセインに対し今世紀初めに実行させている。大統領に攻撃を進言するのは確実だ。
ボルトンはビル・クリントン政権時代から北朝鮮問題を楽しんでおり、20年たったが考え方に変化はない。ウォールストリートジャーナルの昨年のコラムで本人は平壌を先制攻撃を主張を19世紀の砲艦外交にたとえている。もちろん砲艦には何百万人も殺傷する能力はない。
ボルトンは「完璧なまでに合理的で米国は現状の北朝鮮核兵器が生む『必要性』を先制攻撃により対応してよい」と書いていた。現時点ではTVで目立ちたい元関係者の罪のない主張だがホワイトハウス入りし同じ提言をすれば無害とはとても言えなくなる。
2. トランプが怒りに駆られ会談を蹴る
トランプ大統領は歴史に残る成果を必死に求めており、ほかの大統領がみんな失敗したところで成功したい。北朝鮮の核問題の解決だ。韓国政府特使がホワイトハウスに到着し金正恩の平和のメッセージを伝えると本人は有頂天になり、その時点以来頂上会談をさばいて北朝鮮非核化の実現にこぎつける能力に自信を持っている。報道陣から金正恩が核装備を取引対象にするつもりがあるのかを聞かれたトランプは北朝鮮の提案に「誠意」を見ると答えている。
トランプは自ら北朝鮮指導者との協議には基準を高く設定している。期待に沿えない結果となれば本来期待する外交の勝利のかわりに写真だけとって終わる意味のない会談になり、大統領は金正恩が譲歩しなかったと憤慨しワシントンに戻るだろう。トランプは金正恩が恭順の態度を示さず自説を曲げなかったと非難し、自ら設定した期待値が実現しなかった理由とするだろう。「やはりこちらが正しかった。北朝鮮指導者との話し合いは時間の無駄だった。だまされただけだった。もう誠意を見せるのはやめよう。マティス将軍、戦闘作戦案が見たい」
3. 平壌がミサイルテスト中止を破る
金正恩政権は核実験ミサイルテストを5月の頂上会議まで凍結すると約束した。これはトランプ政権も評価する譲歩と言える。たとえ凍結中に核・ミサイル開発がそのまま進められてもだ。ミサイル再突入技術やプルトニウム反応炉やウラニウム濃縮作業は続いている。
だがキム一族が甘言をちらつかせるのは今回が初めてではない。金正日が長距離ミサイル発射を凍結したのが1998年だったが2006年に六か国協議が行き詰まると再開した。金正恩も2012年に同様にミサイル発射を自粛したがわずか数週間で衛星打ち上げと称し同じミサイルを使った。北朝鮮の度重なる約束破りにトランプ大統領は寛容になれないように見受けられる。トランプが約束違反を本人への侮辱と受け止めるのは必至だろう。トランプがB-1B爆撃機隊を北朝鮮領空に侵入する命令を出すと見る向きはないが、一方でその可能性が絶対ないとも誰にも言えない。
4. 会談が決裂しキムがトランプの最後通牒をはねつける
トランプ-キム頂上会談が失敗するか北朝鮮が途中で席を蹴れば、トランプは平壌に国連安全保障理事会決議順守を求める最後のチャンスを与えるだろう。クリントン政権やジョージ・W・ブッシュ政権がサダム・フセインに無条件で国連核査察官に協力を求めることで米軍攻撃を回避したように、トランプも金正恩に最後通告を劇的に発表するかもしれない。IAEA査察官を再度受入れ実証可能な形で非核化を進めるかそれとも...というわけだ。
平壌がデッドラインを守らない場合はトランプが対応する。トランプは譲歩するかレッドラインを数週間口にしバラク・オバマとは違う面を示そうと脅威を持ち出すかのどちらかだろう。前者を選択すれば政治面で追い詰められ後者は第二次大戦以来最大の犠牲を生む武力対決につながる。
5. 交渉は成功してもキムが裏をかいたら
クリントン政権が平壌と1994年に枠組み合意に批准した際はこれで核のない朝鮮半島が生まれる、段階的に米朝関係も正常化すると大きく宣伝された。クリントンの期待は実現しなかった。秘密のうちにウラニウム濃縮をした証拠が見つかり平壌も極秘核兵器製造を認めたことで枠組み合意は死んだ。
北朝鮮は合意内容も自分の都合よく曲解することにかけて専門家だ。2002年にこれをした。2008年も同様でブッシュ政権が目指した査閲案をひきのばした。2012年に衛星を打ち上げたのは一方的にミサイル発射をしないと約束してわずか数週間のことだった。非核化交渉が失敗するとしたら、前例から北政権が裏をかくか、抜け穴を利用するためではないか。CIAがキムが実はトランプを出し抜いていたと報告すれば、大統領は力にまかせた全く無慈悲な行動にでてもおかしくない。■
Daniel R. DePetris is a world affairs columnist for Reuters, a frequent contributor to the American Conservative and the National Interest, and a foreign-policy analyst based in New York, NY.


2017年8月20日日曜日

金正恩の一言は緊張緩和への第一歩なのか?



ゲームは高度化しています。金正恩対トランプのレトリック勝負は金正恩がリードしているようですが、米政権がこのまま劣勢を甘んじるはずはなく、いつどんなどんでん返しが起こってもおかしくないと思います。むしろメッセージを読み間違えることの危険の方が怖いのですが、日本はこの点ナイーブな受け止め方をしがちなのでリスクがあります。またいくら北朝鮮が悪の態勢だとしても存在を認めざるを得ない状況になってきたらどうするのか、いまからしっかり考えておく必要があると思いますが、読者諸賢のご意見はいかがですか。


Kim Jong-un Leaves an Opening for De-escalation. Should the United States Take It?

金正恩が示す緊張緩和の選択肢を米国は受け入れるべきだろうか
A B-1B Lancer aircraft sits in the aircraft parking area at Ellsworth Air Force Base, S.D.
August 19, 2017



  1. 「炎と怒り」の一週間で北朝鮮がグアム攻撃をちらつかせたが、平壌とワシントンが緊張緩和に向かう好機が来ているのかもしれない。
  2. 国営朝鮮中央通信(KCNA)によれば金正恩は火星-12中距離弾道ミサイル数発をグアム島周囲に射撃する案の説明を受けたが実施命令を下さず「ヤンキーがさらに愚行に走るのを静観」し将来の実施に含みを持たせることにしたという。
  3. 今回のKCNA報道の第一報はいつもの米朝二国間の言葉の応酬の延長に写ったが、米政策決定層も最高指導者が延々と続ける空虚な発言の真意を理解できれば緊張緩和の機会がきたとわかるはずだ。
  4. 最新のKCNA報道や先週発表の北朝鮮戦略軍報道官の声明を見ればグアム島周囲にミサイルを撃ち込む目的は北朝鮮へ対する米軍軍事行動に先手を打つことだとわかる。B-1B爆撃機がグアムから出撃すれば、金はグアム島周囲にミサイルを撃ち込み、その気になれば同島を制圧できる力を誇示する。ただしこの戦術の欠点は米軍が爆撃機運用を停止すれば北朝鮮はミサイルを発射できないことだ。さらに北朝鮮は米国へ韓国との大規模合同軍事演習の中止も求めている。予定では8月末に始まる。高圧外交の典型例だ。
  5. 今やボールは米側にあり、トランプ政権に選択肢はふたつある。まず、北朝鮮の脅威はこけおどしで政策変更に値しないと判断し爆撃機、演習は予定通り実施する。もうひとつは軍事行動を変更し、北朝鮮を宥和し緊張緩和の機会ととらえ利用することだ。いずれもリスクを伴うが、後者の方が損失は低く手に入る効果は前者より高い。
  6. 方向転換よりも倍掛けを好むトランプの気性から北朝鮮脅威に強硬策を取る可能性が高い。北朝鮮が挑発に出れば米軍が圧倒的な報復攻撃を実施できるので、北朝鮮もグアムに手を出して支払う代償を考えれば行動しにくくなるはずだ。さらに北朝鮮に恭順な態度を示せば同国を勇み足にしてさらに高圧的な脅迫を将来してくるだろう。
  7. 北朝鮮の高圧的態度を拒否すれば比較的低リスクのオプションとなるがあくまでも北朝鮮がグアム包囲ミサイル発射策を追求しない限りにおいての話だ。脅威の効果を信用させるには能力と意思のふたつの要素が必要だ。北朝鮮ミサイル技術がここにきて進展を示しており脅迫の実行能力があることを意味する。だが実行を貫徹する意思があるのか見極めるのは困難だ。トランプ政権はまさか米国の報復攻撃を招く事態を北朝鮮が招くはずはないと考えている様子が明白にわかる。しかし、この計算が間違っていれば米国を一層のエスカレーションに走らせ、米国の権益に逆効果になる。
  8. もし米国にとって軍事行動を変更しても失うものより得られる結果が大きいければ、北朝鮮を是認する政策選択が妥当となる。平壌が米国に中止を求めているのはB-1Bのグアム島からの運用と大規模米韓軍事演習のふたつだ。双方とも中止しても米国の負担はわずかなですむ。
  9. 北朝鮮がB-1Bを恐れる理由の中心は核兵器運用機材とみているからだ。この脅威論はいかにも現実的のようだが、実は北朝鮮の高圧外交に妨げとなる。米国は北朝鮮の恐怖を逆手に取ればよい。B-1B運用を一時的に停止すれば平壌に大きな貸しを売ることとなるが、その他の装備で北朝鮮への抑止効果が維持でき米側に損は少ない。B-1B飛行停止に同意すれば北朝鮮が本当に緊張緩和に真剣なのか低コストで確認できる。
  10. 毎年恒例の米韓軍事演習を中止することも北朝鮮の高圧外交の目標のひとつだが、実現性は少ない。演習の一部でも変更すれば平壌の勝利となり、完全中止でなくてもいいのだ。たとえば今年前半のフォールイーグル演習でF-35と米韓特殊部隊が北朝鮮核ミサイル施設強襲作戦を実施したが、この部分だけでも次回演習から中止すれば米韓両国は将来の北朝鮮核兵力破壊の実施に困難をきたす。だが現在の北朝鮮は核兵器が有事の初期段階で「使うか、破壊されるか」の悩みがあり、この措置で悩みを減る。
  11. 北朝鮮の高圧外交は米国にリスクのある選択になる。ただし一部にせよ北朝鮮の要求に応じれば逆に同国の交渉態度や真剣さが分かる貴重な情報が得られるし、米国は恭順さの代償も最小限にできる。
  12. 北朝鮮の要求への譲歩を拒絶すれば平壌は引きさがるざるはずと考えるのは間違っている。むしろ米国は今以上の緊張を生み出すエスカレーションへ進まざるを得なくなる。金正恩からトランプ政権に危機状況をこれ以上エスカレートさせない機会が提供されているのだ。それを真に受けてもリスクはあるがいまのままの道を進むことで勝利実現しそうもない。■
Eric Gomez is a policy analyst for defense and foreign-policy
studies at the Cato Institute.
Image: Department of Defense

2017年6月13日火曜日

金正恩暗殺未遂を公表した北朝鮮の狙いは何か


北朝鮮内部が相当に動揺していることがうかがわれますが、仮に暗殺されても誰も憐憫の念を示さないことは想像に難くありません。プロパガンダ戦争はすでに始まっているわけですね。

North Korea Releases Details of Alleged Assassination Attempt On Kim Jong-un 北朝鮮が金正恩暗殺の企みがあったと発表


June 12, 2017


  1. 北朝鮮国営通信社が金正恩暗殺の企ての詳細を明らかにしている。
  2. 北朝鮮政府はCIA中央情報局と韓国のNIS国家情報院が5月の軍事パレードで生物化学兵器を使った暗殺を謀ったと非難した。
  3. 公表されたビデオでは外国情報機関の命を受けたKim Song Ilが北朝鮮指導者の殺害を企てたとし、計画が数案あったとする。そのひとつが「エアコンにナノ毒性物質」を隠すことで、金正恩に放射性プルトニウムを注射する案もあった。実行案に採用されたのは「最高指導者の座る椅子に毒物を付着させる」ことだった。
  4. 「テロリスト」と非難される暗殺未遂犯は祝賀会場の詳細情報を極力多く集めるよう指示されたと語っており、とくに北朝鮮独裁者の使う椅子、机のまわりの保安体制の詳細が求められたという。KimによればDo Hui-yun(拉致被害者の人権を考える市民連合CHNK)の幹部から接触を受けたのは2014年にロシア・ハバロフスクで木材伐採に従事している際だったと米 NK News は伝えている。
  5. CHNKはNGO団体だが北朝鮮は韓国情報機関の一部あるいは実行機関と見ている。
  6. Doは「Kimに金品を渡した」うえ、北朝鮮関連の偽情報と「反国家プロパガンダ」を与えた。Kimによれば2014年8月にNIS上層部に会い金正恩暗殺案の詳細内容を教えられたという。
  7. こうした物質を準備できるのはCIAだけだと北朝鮮国営通信は伝えている。
  8. 「生化学物質を使ったテロ襲撃案を作るよう求められ、現金1万ドル、Doogeeのスマートフォン、衛星送受信機を与えられた」とKimはビデオで自白している。なおビデオはUriminzokkiri北朝鮮公式宣伝サイトが制作した。
  9. Kimは2016年にHanと名乗る男が中国・丹東に「海外連絡センター」設立を試みたと述べている。センターでは韓国情報院工作員が大量の現金や武器を準備し襲撃準備をしていたという。金正恩暗殺用の「装備物質」は韓国工作員経由で2017年3月に入手したが、国家保安省が事前摘発し実施できなかった。
  10. 公表されたビデオは驚くほど詳細で内容は「国家支援によるテロ活動」に極めて批判的だ。
  11. CIAとNISを非難する今回の動きは米議会が北朝鮮を再度テロ支援国家に指定する審議が進む中で出てきた。北朝鮮工作員が金正恩の腹違いの兄金正男の今年2月のマレーシアでの暗殺に関与しているとの報道も出ている。
  12. 北朝鮮がこのタイミングで公表したのは米韓両国の批判をかわす目的もあるのだろう。■

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2017年5月4日木曜日

トランプ-金トップ会談が実現する可能性



硬軟取り混ぜて対応なのか。トランプ大統領の思考が周囲より先行しすぎて大変だという例ですね。取引が好きな大統領なので意外に結果を引き出してしまうかもしれません。軍事対決を期待していた向きには肩透かしになるかもしれません。金正恩がトランプと波長があえば目的を共通理解できるかもしれません。一層事情が複雑になってきました。

Kim Jong-un

North Korean leader Kim Jong Un. Wong Maye-E/AP


Here's what a Trump-Kim Jong Un meeting could actually look like トランプ-金会談が実現すればこうなる

Associated PressTed Anthony, Associated Press
BANGKOK —一方のコーナーは予測不可能な独裁者、常軌を外れ怒りやすく三代続けて一族で70年間にわたる常に世界一の強国だと言い続けてきた国を支配している。もう一方のコーナーには毒舌の米大統領、就任後100日が過ぎたばかりの自由世界の盟主で何でも口にしかねない人物が予想もつかない場面でいきなり和解の言葉を発した。
  1. 5月1日にドナルド・トランプの口から出たのは北朝鮮指導者金正恩に和解を求める言葉であった。金正恩は長らく米国の軽蔑と警戒の対象である。トランプは「明らかに実に頭の切れる奴だ」と述べている。
  2. さらにこんな発言もあった。「本人に会いたい。絶対実現したい。光栄に思うだろう」
  3. 世界がこれに驚いた。どういうことなのか。外交史上でもこのように内緒話が急発展する事例はない。
  4. 実現しなかった例もある。ローズヴェルトは第二次大戦中にヒトラーと会談していない。ジョージ・ブッシュ(父子ともに)がサダム・フセインをホワイトハウスに招いたことはない。一方実現した例もある。ケネディはフルシチョフとウィーンで会った。中の雪解けの象徴としてニクソンは北京を訪ね、米毛沢東にそのまま向かった。
  5. 今となれば過去事例は当たり前に見えるが、当時は現在のようなインターネット社会でなく即座に拡散するソーシャルメディアの効力をトランプは熟知しているからこそ多用しているのだろう。
  6. にらみ合い中の指導者二人が顔を合わせれば大きな可能性が生まれるが、本当に実現すれば裏方には悪夢となる。
  7. 今回の観測気球の意味が正しく受け止められればどのように実現されるだろうか。現時点で考えられる想定は以下の通りだ。
会見場所はどこか
  1. 可能性があるのが軍事境界線地帯でドラマ性が高い場所となる。交渉テーブルをはさみ、片方が北、反対が南だ。
  2. ここで会談する利点は保安体制がすでにあることだ。地球上で一番厳しい保安状況と言ってよい。中国国内の可能性も低いが存在する。
  3. だがそれ以外の可能性はどうだろうか。中立で有名なスイスはどうか。今は国内を出ることのない金正恩だが以前スイスで学んでいる。ホワイトハウスの可能性もある。トランプはエジプト、トルコの大統領をすでに招いており、両名ともアメリカの価値観とかけ離れた人物だ。もちろんこれはまず起こりえないし、実施になれば物議をかもすだろうが、奇妙なことはよく起こる。
  4. あるいは予想外の場所、だれも知らない場所かもしれない。1989年のこと、ジョージ・H・W・ブッシュはソ連指導者ミハイル・ゴルバチェフとマルタ沖合の軍艦で会談している。その結果、ソ連と東ヨーロッパに変化が生まれた。マルタ島は急に関心の的となり、ヤルタと同義語になった。ローズヴェルト、チャーチル、スターリンが1945年に会談したクリミヤ半島の地名でヨーロッパの戦後像が検討された。
  5. 米本国も微妙な会談の場所になっている。キャンプデイヴィッドはカーター政権時代にイスラエルのメナヘム・ベギンとエジプトのアンワール・サダトの首脳会談会場になった。そんな例は枚挙にいとまない。1905年にはセオドア・ロウズヴェルトが日露両国の和平の仲介をしたのはニューイングランドの寒村という考えにくい場所だった。最近でもオハイオ州デイトンというあり得ない場所がボスニア戦争終結の平和条約締結地となっている。ただしいずれの場合も交戦中の他国を招いた米国自体は戦争に加担していない。
  6. 平壌はどうか。前例はある。マデリン・オルブライト国務長官や小泉純一郎首相、さらに有名バスケットボール選手デニス・ロッドマンまでが同地を訪れている。金の家系に海外旅行を嫌う傾向があるのは自分の手で状況を掌握できなくなるのを忌避しているのだろう。
  7. どの場合でもDMZ以外の場所でトランプ-金会談が高度警戒態勢の下で実現すればその開催場所は永遠とはいかないが長くその性質を変えるだろう。
何を話すのか
  1. 普通は北朝鮮の核廃棄が最初の議題と考えるはずだ。だが予測困難な指導者二人なので確実とは言えない。
  2. トランプのこれまでのスタイルを見れば、実際の交渉が始まる前に相互理解に時間が必要だろう。だが主要議題がすぐに中心になる。
  3. その例に北朝鮮援助があり、同国は何度も瀬戸際工作をしてまで窮状を訴え援助への関心を喚起してきた経緯がある。韓国との関係もある。武器テストの問題ではミサイルや核が中心で米国中国も韓国同様に不快感を表明している。

どんな反応が出るか

  1. 不確定要素は韓国、ロシアそしてもちろん中国だ。長年にわたり北の守護者だった中国がここにきて警戒心といら立ちを隠せなくなっている。
  2. 韓国の場合は首脳会談は存続を問われる機会となる。北の軍事能力が精度と火力双方で南を大規模破壊できることで異論は少ないが、韓国を軍事的に保護する米国が北と直接会談すれば中身がない会談であっても韓国にはきびしい安全保障上の意味が出てくる。
  3. 中国は自国影響圏内に米国の介入を嫌い、南シナ海領有権を巡ってはすでに米国と意見が対立しているが、台湾問題が絶えず背景にある。中国はここにきて韓国に甘言を示し、習近平主席が2014年にソウル訪問をしたのは北に対するメッセージであった。だが中国はTHAADが韓国国内に配備されるのを恐れ、現在は再び両国間に緊張が戻っている。
  4. こうした背景の中で開くトランプ-金会談では中国の巻き込みが必須であり、中国の北への圧力へ期待せざるを得ない。トランプ政権がこのことを一貫して主張している。だが通常の思考が必ずしも成立しない。トランプの予測破りの就任式前の台湾総統への電話が一例だ。
  5. そしてロシアの指導者ウラジミール・プーチンが会談の行方を遠巻きながら慎重かつ神経質に見守るはずだ。首脳会談が実現すればロシアの対中国、米国、そして北朝鮮との関係は変わってしまうだろう。
  6. メディアの反応も忘れてならない。明らかに会談は今年一番の目立つ出来事になるだろう。絶好の報道機会となり数百の報道機関が殺到するはずだ。サミットやオリンピックなみのインフラが必要となる。

会談の意義は

  1. 政治面の意義はともかくドナルド・トランプと金正恩の直接会談は21世紀最大のドラマの場面となる。開催場所がどこであろうと。
  2. 三つの意味が同時進行する。ドナルド・トランプが率いる米国と政権の目指す方向。金一族が北朝鮮を支配してきた気まぐれかつ他に例のない統治手法、そして東アジア内の安全保障と防衛体制だ。
  3. 大きな意義があり、騒々しい事態になる。どこか非現実的で予測不可能で重要な機会になる。金正恩とドナルド・トランプという世界を変える力を持つ指導者二名にはすべて全く違和感のないことだが。
  4. そうなると期待したくなくなるかもしれない。火曜日午後に北朝鮮国営通信社が以下を配信してている。なんといっても同国の正式名称は朝鮮民主主義人民共和国なのだ。「トランプ政権は米国で発足したばかりでDPRKを二つの点で挑発しているが競合相手のことは何も知らないのだ」■
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Ted Anthony, director of Asia-Pacific News for The Associated Press, is based in Bangkok, Thailand. He has covered Asia for nearly a decade over his career and traveled to North Korea six times since 2014. Follow him on Twitter at @anthonyted