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2017年7月1日土曜日

★電子戦能力整備が今後急成長分野になる。専用電子戦機材開発も検討中



Air Force photo
空軍最後の電子戦専用機材EF-111Aレイヴンは1998年に退役している。
ステルス命だった空軍がやっと現実の厳しさに気付いてこれまでの努力の不在を一気に埋めようと必死になっているのでしょうか。電子戦の技術が相当進展し、装備の小型化も進んでいますが電力、容量を考えると737サイズは必要ではないでしょうか。空軍としては次期主力戦闘機PCAの派生型にして投資効率を高めたいでしょうね。各軍共同研究しても結局はそれぞれの仕様に落ち着くのではないでしょうか。ここでもF-35の悪夢は繰り返したくない思惑があるようです。
電子戦は「成長分野」、各軍共用EW機材開発の検討が進行中

By SYDNEY J. FREEDBERG JR.on June 23, 2017 at 3:22 PM
ARLINGTON: 二十年間も放置されたままだった電子戦での対応がゆっくりだが良い方向に向かっているとEW担当国防副長官が評している。予算増に加え、(非公表の)新戦略案が国防長官官房で準備されており、各軍トップから一様に関心が高まる中、将来のジャミング機材で共同検討が続いている。
  1. ウィリアム・コンレイは「一か月、二か月いただければ」もう少し詳しくお話しできると現在進行中の統合空中電子攻撃の代替策検討について空軍協会で語っている。
Sydney J. Freedberg Jr.
William Conley
  1. この件の背景に触れよう。電子戦とは敵の無線周波数(RF)を探知し、欺瞞し、妨害する科学技術と言える。また無線通信網からレーダーまですべてがRFを使っていることからEWは近代戦の成否を握っているといえよう。冷戦終結後のロシアがソ連時代のEW機材を確保したままだったのに対し米陸軍と空軍は装備を大幅に減らした。特に空軍は最後の高性能ジャミング機EF-111レイヴンを1998年に用途廃止した。EC-130Hが少数残っているが、EWは海軍に任せている。空軍はステルス機のF-22とF-35を重視し、探知されないので海軍のEW機材の手助けは不要だとまで四つ星将官が記者に2014年に語っていた。
  2. 敵側が電子面の実力を整備する中、空軍はPEA侵攻型電子攻撃と呼ぶ構想を検討中だ。PEAには専用の有人機を想定しており、かつてのEF-111を思わせる。今後登場するPCA侵攻型制空戦闘機を原型の専用機材にするか、無人機にするか、あるいは各種機材に機能を分散させるのかを検討する。情報の多くは非公開だ。
  1. 既存のEA-18GやEC-130Hは敵装備を相当の距離からジャミングできるがステルスF-22やF-35の電子戦能力は近距離に限られる。
  2. 空軍が明確に示しているのが「スタンドイン」ジャマー機材で敵の強固な防空網を突破する狙いがある。この代替策がスタンドオフ方式のジャマー機でミッションを比較的安全な距離から行うもので、海軍のEA-18Gグラウラーがその例だ。
  3. だがコンリーはスタンドオフとスタンドインの違いが誇張される傾向があるとみる。「個人的には『これはスタンドインだ、これはスタンドオフだ』と区別することは避けたい」とし、細かく分類するよりそれぞれの機能をよく理解するべきで、そのあとで実戦部隊が両方を柔軟に使い新しい効果を生むべきだという。
  4. そこで各軍ばらばらに対応するのではなく、ペンタゴンが共用(各軍の壁を壊して)代替策検討を電子戦機材で開始しているのだ。その結果生まれるのは単一巨大事業による各軍共通の電子戦機ではなく共通戦闘機を作ろうとしたF-35事例とは違うとコンレイは強調している。
米陸軍NERO事業では海軍のジャマー装備を改修し、グレイイーグル無人機に搭載している。
  1. コンレイは明確に述べていないが、もし空軍が独自仕様の侵攻型電子攻撃機を作りたければ作れることになる。海軍、海兵隊、陸軍とともに共通の全軍対応アプローチの一部になっていればよいことになる。
  2. PEAは2030年代以降の供用開始になるが、空軍が関心を示していること自体が大きな転換点だ。コンレイは各軍トップが電子戦の位置づけを重要視するようになったという。「電子戦能力のおかげで部隊が生き残れることに感謝している」
  3. いいかえると軍上層部はネットワーク、センサー、通信の防衛含む電子戦能力なしでは残存はままならないと理解している。
CSBA graphic
中国の武器の有効範囲 (CSBA graphic)
電子環境での戦闘
  1. スマート兵器は一時はアメリカが独占していた。今やロシア、中国、イラン、北朝鮮等が精密誘導ミサイル、標的へ誘導するセンサー、指令を与えるネットワークを運用している。
  2. ペンタゴンが使う新しい形の脅威の呼称は「接近組織領域拒否」A2/ADだが、一言で言えば多層構造の防衛体制で陸上配備ミサイル、高性能航空機、潜水艦、機雷他で米軍を近づけず介入させないことだ。だがA2/ADはすべてセンサーに依存し、探知、通信、調整を行って攻撃が可能となる。そこでセンサーや通信機能はすべて無線周波数を利用しており、電子戦の格好の標的になるとコンレイは強調する。
  3. 「A2/ADとは基本的に電子電磁の世界での戦闘です。A2/ADのバブルをいかに出し抜くか、いかに小さくできるでしょうか」とコンレイは続ける。ステルス機は一つの手段だ。「探知されないように特徴をなるべく多く取り除く手です。逆にノイズを上げても同じ効果が生まれて探知されにくくなります。意味のないデータを大量に送って分別分類に時間がかかるようにする手もあります」
今日の米軍の戦闘方法は無線ネットワークに依存している。各装備をネットワークで結ぶのは実は簡単ではないとコンレイは強調し、ネットワークが攻撃を受ければ一層困難になる。
  1. 未来の戦闘構想のひとつにマルチドメイン作戦があり、電子戦への依存度は一層高まる。「マルチドメイン」とはあらゆる環境で作戦中の米軍をネットワークで結ぶことを意味する。陸上、海上、空、宇宙、そしてサイバー空間だ。そして各作戦をシームレスに調整し敵をすべての方面からの攻撃で圧倒することだ。この実施には無線周波数のネットワークが不可欠だ。
  2. 「マルチドメイン戦には信頼性の高い通信が必要です」とコンレイは言う。ハッキング、ジャミングの能力がある敵のためこちら側で使えなくなる帯域が出るかもしれないが、目標は必要なデータを確実に送信し、必要とされる相手に時間通りかつ改ざんされずに届けることだ。
  3. その目標に到達するためには資金時間両方が必要だ。2017年度予算には50億ドルが国防総省全体で準備され「さらに増えますよ」とコンレイは言う。(省内の電子戦執行委員会がこの動向を指導している)
  4. さらにEW予算から大規模な影響が生まれるとコンレイは主張する。まず民生部門からの流用で高機能構成部品が安価に利用できるようになっており、軍専用仕様の高価な開発の必要がなくなってきた。次に小規模で安価なEW機能改修が航空機、艦船、地上車両で可能となり、システム全体の残存性が高まる。「数百万ドルの投資が数十億ドル数兆ドル単位の投資に大きな影響を生んでくれる」(コンレイ)
  5. 道のりは長いとコンレイは説明する。「電子戦に関しては25年間放置状態でした。これからの25年間しっかり育てていく出発点にいま立っていうるのです」■

2017年5月16日火曜日

★★★米空軍軽攻撃機OA-X実証は来月実施へ、スコーピオン、AT-6、A-29が登場




Scorpion: Textron Airland

鳴かず飛ばずのスコーピオンですが、ここでひとつ当たりを付けたいところでしょう。しかし軽攻撃機の本命はターボプロップ機でしょうか。ここでも軽攻撃用途以外も想定しパイロット養成が米空軍の急務であるのがうかがわれます
Aerospace Daily & Defense Report

Scorpion, AT-6 and A-29 Chosen For Light Attack Demo

軽攻撃機実証の対象に選ばれた三機種はスコーピオン、AT-6、A-29
May 15, 2017 Lara Seligman | Aerospace Daily & Defense Report


  1. 米空軍が今夏実施する軽攻撃機OA-X実証の対象機にテキストロンからスコーピオン・ジェット機およびAT-6ウルヴァリン・ターボプロップ機、そしてシエラネヴァダエンブラエルのA-29スーパー・トゥカーノの三機種が選ばれたのは業界で当然との声が強い。
  2. 各機は低コスト軽攻撃機として対テロ任務用に採用となる可能性がある。
  3. このうちスーパー・トゥカーノは米空軍軍用機型式証明を有する世界唯一の軽量小型支援機で本命といわれてきた。近接航空支援(CAS)用のターボプロップ機で低脅威環境での対ゲリラ戦や偵察ミッションを想定し、アフガン空軍が供用中だ。高温かつ過酷環境での運用を想定し、操縦性がすぐれ高温を放射しない。またジェット機のほとんどより運航経費が低い実績は、予算が厳しい中で有利だ。米空軍はOA-Xのねらいのひとつが経済性だと述べている。
  4. 「A-29は戦闘機パイロット養成にぴったりの機体です」とエンブラエル・ディフェンス&セキュリティの社長兼CEOジャクソン・シュナイダーは語る。「つまりパイロット訓練を念入りに行い、迅速かつ安価にこれを実施すれば他機材は本来の任務に専念できます」
  5. テキストロン・エイビエーションのAT-6も低価格ターボプロップ機で原型はビーチクラフトのT-6テキサン練習機だ。米軍で広く使われており、カナダ、ギリシア、イラク、イスラエルにも採用されている。
  6. これに対してテキストロン・エアランドのスコーピオンはOA-Xの想定の先を行く存在だ。2013年に初飛行したが採用例がない。同社は最近になり空軍のT-X高等練習機競作からスコーピオンの参加を断念している。軽ジェット機のスコーピオンはコスト面で不利になりそうだ。
  7. ただしテキストロンは両機種とも軽攻撃機として「傑出した機体」になると自信たっぷりだ。同社報道担当者がAviaiton Weekに5月15日に語っている。「両機種に高性能ミッション装備技術を投入しており、価格・適応性ともに優れています。設計、調達、組み立ては米国内で完結し、AT-6なら現政権の目指す目標にぴったりの強く前向きの経済効果が実現します」
  8. ボーイングロッキード・マーティンはともにOA-Xは初期段階で参入を断念しており、ノースロップ・グラマンは論評を避けている。
  9. 空軍はOTA(その他取引権限)合意を選定業者と取り交わしてから参加条件の詳細を伝えるが、逆にOTA締結前は一切発表しないと空軍報道官が述べている。
  10. 実証はまず6月にホローマンAFB(ニューメキシコ)で実施の予定で中東の対テロ作戦用の低価格軽攻撃機の導入の第一歩となる。予想される調達規模は300機で訓練にも投入して空軍パイロットの不足を緩和させたいとする。
  11. ホローマン実証で空軍は軽攻撃機の導入の可否を決める。ただし、空軍はあくまでも試験段階であり、正式な調達事業ではないと強調している。ホローマン評価の次に戦闘場面での実証になるか即座に採用になるかもしれないと空軍調達次席責任者のアーノルド・バンチ中将が述べている。
  12. 空軍は今年初めに想定性能諸元を各社に配布し、未整備地から離陸して軽攻撃、武装偵察を行う想定になっている。採用機は年間900飛行時間を10年間続ける高テンポ運用を求められ、昼間夜間ともにミッション実施率90%の想定だ。
  13. また最大離陸長は6,000フィートで安全な通信装備、昼夜とわず静止・移動いずれの目標を攻撃できる能力が求められている。さらに燃料消費率は1,500ポンド/時間以下としミッションを2.5時間実施する。赤外線、目視両面で機体の生存性も評価対象だ。■j

2017年5月13日土曜日

★★★ついに100年飛ぶことになったKC-135


機体に窓がないKC-135は恐ろしく長い期間にわたり供用されており、さらに延長されることになりました。もちろん空軍整備陣の保守管理もあるのですが民間では考えられない事例ですね。しかし100年間の供用期間というのはすごいですね。B-52等もあり空軍の機材が高齢化していくということですね。


This Air Force plane will be over 100 when it flies to the boneyard この空軍機は100年飛び続けてから機体墓場に送られる


By idcostaMay. 10, 11:32 AM
KC-135ストラトタンカーは今でも米軍装備で最古の機体に属すがさらに供用期間を40年延長され最古の機体になると航空機動軍団司令官のカールトン・エバーハート大将が述べている。
  1. 同機が退役すると100年を超える供用期間となり、米史上他に例がない事態となる。供用開始の1956年以来米国が関与した戦役すべてを支えてきたストラトタンカーは米空軍でもっとも親しみを持たれる機体といえよう。
  2. KC-135全機がボーイングKC-46ペガサスにより更新の予定だった。だが予算削減とKC-46調達削減により空軍は給油機不足に各地で直面し戦闘機材の活動にも支障がでてしまう。そこでKC-135を「スーパーストラトタンカー」とでも呼ぶべき仕様に改修し40年の供用期間延長を狙う。その時点でKC-Z後継機がストラトタンカーに交代する予定だ。
Crewmembers from the 340th Expeditionary Air Refueling Squadron prepare to take off in a KC-135 Stratotanker before performing a refueling mission over Iraq in support of Operation Inherent Resolve September 15, 2016. The KC-135 provides the core aerial refueling capability for the U.S. Air Force and has excelled in this role for more than 50 years. (U.S. Air Force photo by Staff Sgt. Douglas Ellis/Released)
Crew members from the 第340遠征給油飛行隊の乗員が飛行前準備にあたるこのKC-135はイラク上空で空中給油にあたり不朽の決意作戦を支援する。 KC-135は50年にわたり米空軍の空中給油の中心でさらに40年間の供用が決まっている (U.S. Air Force photo by Staff Sgt. Douglas Ellis/Released)
  1. 物議をかもしたKC-X事業から生まれたKC-46はKC-135より大型で飛行距離も伸びる、エンジンもKC-135の四発が2基となり給油量も大きくなることで給油対象機も増えるはずだった。しかし開発は費用超過から遅延など一貫して問題に遭遇しており、空軍は当初の179機調達を削減する。
  2. このためKC-135退役はなくなり、空軍および州軍航空隊は給油機多数により給油ミッションを世界各地で必要としている。
  3. ペガサス導入も進めながら空軍はストラトタンカー部隊の供用期間延長は避けられない。すでに910百万ドルでブロック45供用期間延長事業が始まっており、機齢60年の機体を最新機材向け給油に対応させる。改修では全機にグラスコックピットを導入し、旧式アナログ針式計器盤を廃止する。エイビオニクスを更新し、自動操縦も交換し、航法装備を高性能化するなどがある。
KC-135ストラトタンカーがマッコーネル空軍基地をタキシー中。米空軍の世界規模の活動はKC-135が支えている。(U.S. Air Force photo/Senior Airman Tara Fadenrecht)
  1. KC-135の供用をさらに40年間延長するため、次期改修でネットワーク機能、電子対抗装置が導入される予定だ。ブロック45改修が完了するのは2028年で次期改修はその後あるいは途中で実施される。米空軍の試算ではKC-135機体寿命はまだ65%残っており、定期保全やオーバーホールを実施すれば2040年までの供用は十分可能ということだ。
  2. 2014年時点でKC-135は414機が米軍に在籍し、うち160機が空軍正規部隊に180機が州軍航空隊に所属し、67機が空軍予備隊にあった。KC-46調達が終わればストラトタンカーは100機程度に減りデイヴィス・モンタンAFB(アリゾナ州)の機体墓場に送られる予定だ。
  3. またKC-135より機齢が低いKC-10エクステンダーも同様の性能改修を受けて供用期間が延長になりそうだ。両機種が最終的に用途廃止になるのはKC-YやKC-Z次世代給油機が現実のものとなる時でまだ数十年先のことだ。■

2017年5月9日火曜日

★F-35Aから操縦を開始する新世代パイロット養成を開始した米空軍



F-35でキャリアを始める新世代のパイロット養成を米空軍が開始しました。航空自衛隊ではこうはいかないでしょうね、導入機数が全く違いますからね。米空軍はF-35に相当の賭けをしているようですが、失望することのないよう祈るばかりです。

米空軍初のF-35AライトニングII基礎訓練課程学生パイロットがルーク空軍基地で2017年2月8日に初めて実機で空に飛んだ。B課程学生は経験豊かな第61戦闘飛行隊の教官パイロットが指導中で、課程を修了すれば初のF-35戦闘パイロットになる。 (Courtesy Photo via AF.mil)

What It’s Like Training Brand-New Air Force Pilots on the F-35A 米空軍のF-35Aの新規パイロット養成課程の内容は


DefensetechPOSTED BY: ORIANA PAWLYK MAY 4, 2017

  1. 米空軍は最若年パイロットを最新かつ最高水準の性能を有するF-35A共用打撃戦闘機で訓練している。
  2. 少尉から中尉六名がF-35の「B課程」つまり基礎操縦訓練をルーク空軍基地(アリゾナ州)で受講中だ。このパイロットたちはライトニングII以外の機材は経験がない。
  3. 「新規学生を他機の経験がないまま訓練すると効果が高いです。まっさらな素材でスポンジのように吸収が早いですからね。先を見越した戦術をすべて教えていきます」とイアン・オステリチャー大尉(第61戦闘飛行隊、B課程飛行教官)が言う。
  4. 「目標は生徒を訓練課程八か月に放り込み、戦闘準備をさせて実戦飛行隊を準備することです」とオステリチャー大尉はMilitary.com取材で答えている。
  5. 米空軍唯一のJSF実戦部隊はヒル空軍基地(ユタ州)にあり、同基地から8機がヨーロッパに移動し初の戦闘訓練展開中だ。
  6. 一年間の通常訓練を受けた新規パイロットは昨年12月にユタに移動し、基本システム、シミュレーション、武器取り扱い訓練で同機搭載のエイビオニクスを習熟した。2月に機体をはじめて飛行させた。
  7. 訓練課程の141日でパイロットは学科300時間、シミュレーター訓練(46時間から80時間)を経てF-35の実機操縦を35時間学ぶと大尉は説明。
  8. 教官にはオーストラリアパイロット4名もいる。オーストラリアもF-35を導入中だ
  9. 第62戦闘飛行隊は61隊の姉妹部隊で6名の訓練を今週開始したところだ。61隊は9月に次の組を迎える。
  10. 同飛行隊は年間60名のパイロットを養成すると大尉は説明してくれた。
  11. 訓練課程の最終段階数週間で戦術航空迎撃や戦闘操縦、ドッグファイトを取りあげ、「ミッションシステム各種を使いながら戦術迎撃の課題に挑戦する」のだという。
  12. オステリチャー大尉によればドッグファイトに重点を置いていないが、このシナリオにでは「各パイロット学生に一通りの技能を与えないと生き残れませんから」という。
  13. 課程の最後にはパイロットは「視程外」訓練に入る。接近阻止領域拒否A2ADの環境が今後増える中で避けられない想定だ。
  14. 「空対地支援、航空阻止、敵防空制圧に取り組みますが、最後が課程のハイライトですね」と大尉は言い、空対空戦ではF-16ファイティングファルコンが相手をする。
  15. 課程修了後のパイロットはヒルAFBで新戦闘航空隊編成を待つ。
  16. 学生パイロットに別機種の経験がないことが一つの課題で、パイロットは毎日を一歩ずつ学んでいると大尉は述べる。「F-35をそつなく飛ばせるのですが、必要なミッションの実施が一番の課題です」
  17. 養成課程で不合格になるのは安全面の理由が一番多いという。例として「安全に離着陸できないと困ります。きつい着陸が多いのです」とオステリチャー大尉は述べる。あるいはパイロットが「訓練バブル」と呼ぶ他の機体から1,000フィート内に入ることがあり、「教官に接近しすぎて訓練規則を破ることになります」
  18. 訓練学生は8月の卒業までに真価を発揮する必要に迫られる。
  19. ルーク基地には2022年までにF-35が144機そろう。米空軍は計1,763機を導入する。そこでF-35パイロットを急増することが空軍の最大の課題だ。
  20. オステリチャー大尉自身はA-10サンダーボルトの操縦からはじめた。2010年のことだ。
  21. 「ずっとA-10を操縦して退役まで数千時間を稼ぐつもりでしたが、今や教官パイロットはA-10、F-16、F-15上がりばかりでF-35の専門家となっていますよ」「最重要ミッションは戦闘部隊としての空軍に早く準備させることです」■

2017年4月13日木曜日

米空軍F-16の供用期間延長はF-15早期退役の布石なのか


F-16でF-15の役割を果たせるのか、米空軍が本当にそう考えていれば危険な状況になりませんかね。PCAがどうなるのかまだまったくわからないままで2020年代は戦闘機には厳しい時代になりそうです。

Aerospace Daily & Defense Report

With Structural Mods, F-16 Will Fly Through 2048 機体改修でF-16供用期間は2048年まで延長

Apr 12, 2017Lara Seligman | Aerospace Daily & Defense Report

F-16 SLEP: Lockheed Martin
  1. 米空軍がロッキード・マーティンF-16の耐用期間を現在の8千時間から12千時間に延長する事業を承認したことから、F-15C/Dイーグル退役への第一歩になるのかとの疑問が生まれている。
  2. 機体構造の強化はF-16Cブロック40-52の300機が対象で2048年まで十分使用できるとロッキードは広報資料で述べている。
  3. F-16が2048年まで飛ぶ反面、空軍は200機あるF-15C/Dを予定より20年早く2020年代中に退役させる検討中。予算が厳しい中、空軍にはF-15多数を第五世代機やさらに第六世代機と並行して運用する余裕がない。さらにB-21ステルス爆撃機があり、新型侵攻制空機(PCA)が将来型戦闘機として登場するはずと航空戦闘軍団司令官マイク・ホームズ大将が述べている。
  4. 空軍提案ではF-15退役で生まれる穴をF-16改修型で埋めるべく、アクティブ電子スキャンアレイ(AESA)レーダーも機体構造強化と平行し行う。AESAレーダー追加装備でF-16は現在州軍航空隊がF-15C/Dで担う防空任務が実施可能となるとマーク・ナウランド中将(作戦担当参謀次長)は述べる。
  5. ただし専門家にはF-16では高性能ロシア、中国機材に対応できないと指摘する向きがある。AESAを装備しようにもF-16のレーダーアンテナはF-15よりかなり小さい。一方でF-16は最大でも6発とミサイル搭載量が少なく、速度、操縦性でF-15を下回る。
  6. ナウランド中将はこれに対して航空優勢が確立出来ていない戦闘状況で第四世代機の残存は困難で、これはF-15、F-16でも同じだ、空軍は第五世代機、第六世代機への移行を加速化する必要があるという。
  7. 「接近阻止領域拒否をというとドームを心に描く人がいるが、ドームではなくスイスチーズだ。つまり穴が必ず存在する」とナウランドは述べている。「第五世代機はこの穴を利用して相手の領空に侵入できる。それで第四世代機も活動できるようになる」
  8. ほぼ互角の実力を有する相手が高性能レーダーや地対空ミサイルの導入で第四世代機を脅かす中、ホームズ大将は新鋭機を多数導入したいはずだ。少なくとも年間100機は必要だろう。ここにF-35の増産も勘定に入るが、第六世代航空優勢戦闘機をPCA事業として前倒しででも調達する必要がある。空軍参謀総長ディヴィッド・ゴールドファイン大将はF-15C/Dの早期退役は空軍予算検討時の選択肢の一つにすぎないと強調している。
  9. 「予算が実現しないと編成もできません。F-15では何ら決定はしていません」と記者団を前にワシントンで語っている。■

2017年3月30日木曜日

★★F-22生産再開の可能性は消えた?



F-35で懲りたので米空軍F-X、海軍F/A-XXは別々の機体になるはずですがちっとも先に進んでいきません。そこでF-15が抜ければ米空軍は航空優勢確保に苦労するでしょう。2020年代にかけて新型戦闘機が皆無という状況が生まれ、危険な時代になりそうです。F-22を生産再開するなら日本、イスラエルが本来の購入国になるのですが、日本としてもF-3開発に乗り出す中で予算に余裕があるはずもなく、やはりF-22改の生産再開は絵に書いた餅になるのでしょうか。思えば高度技術流出を恐れF-22の海外販売を禁じた議会措置が誤りだったようですね。

The F-22 production line debate continues

まだ続くF-22生産再開案の議論だが...
By Oriana Pawlyk Military.com

  1. F-22ラプター生産が終わった2011年、空軍中佐ダニエルはペンタゴンのひどい間違いだと思っていた。
  2. 2009年に車を運転中に中佐は「ラプターが187機で終わると知り、何かの間違いだろうと思った」という。
  3. 「少ないより多いほうがいいに決まっているでしょう」と、第95戦闘機飛行隊のF-22パイロットの中佐はMilitary.comに語っている。イスラム国相手の航空作戦に従事しているため匿名を希望した。
F-22A U.S. Air Force F-22 Raptor flying on January 27 (U.S. Air Force photo by Staff Sgt. Corey Hook)
  1. Military.comはこのたびティンダル空軍基地(フロリダ)で現役パイロット・整備要員と直接話す機会を得て第五世代F-22が第四世代F/A-18ホーネットと演習を行う現場を取材した。
  2. 空軍はラプターを381機取得するはずだった。それだけの調達規模なら今日の飛行・保守管理の多忙さは緩和されていたはずだ。
  3. F-22がもっとあれば「作戦テンポを下げていたはず。たえずどこかに展開しているが、機体がもっとあり飛行隊がもっとあり、整備陣がもっといれば訓練や作戦の需要を緩和できていたはずだ」とダニエルは言う。
  4. 第325運用支援群のベン中佐も同じ意見だ。「まさしくそのとおり。だが決定ははるか上のレベルがしたことだからね」「もちろん相当の予算が必要だっただろう」と追加した。
  5. そのとおりだ。当時の国防長官ボブ・ゲイツが予定より早く同機調達を中止させたのも費用が理由だった。

200億ドルで生産再開

  1. 2010年のRAND研究所の考察ではF-22生産ラインを再開し75機製造した場合はインフレ調整後で200億ドルになるという。
  2. 新造ラプターは1990年代の機体ではない。「当時と同じ機体ではないので製造費用はもっと高くなる」とワシントンDC在住の国防アナリストはMilitary.comに語っている。
F-22 image via John Dibbs of Lockheed Martin.
  1. 同上数字は概算であり、製造する作業員の給与や新型ステルス技術採用、パイロットの追加養成訓練等は入っていない。
  2. またラプターパイロットの養成は時間がかかる。「7年から8年で機体性能をフルに発揮できるようになり、戦闘で実力を発揮できる」(ダニエル)
  3. だがF-15C/D型を2020年代のどこかで退役させる案を検討中の(議会がこの件で黙っているはずはない)空軍が航空優勢をどうやって維持するつもりなのか疑問をもつ専門家は多い。F-22が最終的にF-15イーグルの役割を引き継ぐのか。そうだとすればラプターパイロットは今以上に多忙となるではないか。

F-22の代わりがF-16?

  1. 空軍および州軍はイーグルの早期退役を検討中であり、下院軍事委員会小委員会の聴聞会でこの構想を述べており、F-15の任務はF-16ファイティング・ファルコンが引き継ぐという。
  2. マーサ・マクサリー下院議員(共、アリゾナ)はA-10サンダーボルトIIを飛ばしていた元空軍パイロットで「F-22登場まではF-15が最高性能の戦闘機だった」と述べている。F-16は固定翼単発の第四世代機で「同じ性能は期待できない」と同議員は言う。
  3. 同聴聞会で空軍関係者がF-22でなくF-16に言及したことに同上アナリストは驚いた。「なぜF-22生産再開と言わなかったのでしょうか」「F-16に引き継ぐ案をリークした理由はなんなのでしょうか。F-22生産再開の想定は言及がなかったですね」
  4. 理由の一つはドナルド・トランプ大統領が空軍長官に指名した元下院議員ヘザー・ウィルソンを上院がまだ認証していないことだと同アナリストは言う。認証まで「空軍は重大な意思決定ができない」のだという。
  5. もう一つの理由として空軍指導者にF-22生産再開へ全く関心がないことがある。F-16に言及したことから同上アナリストは「これでF-22生産再開の芽はなくなった。検討もされない」とまで言い切る。

機体改修は進む

  1. ロッキードがDefenseOneに対し同社がF-16生産ラインを現在のフォートワース(テキサス)からノースカロライナへ移転する案があると披露している。フォートワースは40年に渡り戦闘機を製造している。
  2. 昨年9月末日現在で空軍にはファイティング・ファルコンが949機在籍していた。これに対してイーグルはF-15Eストライクイーグルと合わせてもその半分未満だ。F-15は全456機で旧型が236機ありうち212機が単座F-15Cで複座D型が24機だ。
  3. 「F-15C/Dの任務はひとつだけ」と同上アナリストは言う。「空軍はA-10のときと同じセリフを述べている。『空軍予算を節約する手段を模索して単一任務しか出来ない機体を引退させたい』」
  4. 「F-16は多用途機で、F-15の後塵を拝していた頃から相当の進歩を遂げている」という。
  5. 例えば昨年12月にレイセオンにF-16のコンピュータシステム改修の契約が交付され「現行比2倍の処理能力と40倍の記憶容量で米空軍パイロットに第五世代機なみの計算能力を提供する」と同社は発表している。
  6. 米空軍は第416飛行テスト隊(カリフォーニア州エドワーズ空軍基地)がノースロップ・グラマン製APG-83拡張可能機動ビームレーダーを搭載したF-16のテストを開始している。同レーダーは第五世代機のアクティブ電子スキャンアレイ火器管制レーダーのことである。
  7. 「現行のAPG-66やAPG-68レーダーにかわりF-16に第五世代機に近い性能が付与される」と空軍は発表している。
  8. 空軍はF-16C部隊に「レーダー換装でF-15同様の機能を実現させ、維持運用経費の削減策として機種整理をおこないたい」とスコット・ウェスト少将が運用責任者兼ペンタゴン詰め空軍次席補佐官として発言している。
  9. イーグルについて州軍航空隊総監スコット・ライス中将がMilitary.comに予定済みの改修策は実施すると話している。ただし空軍は改修の次の段階を実施しないことで維持管理費運用経費に流用したいという。
  10. ライス中将は空軍として既存機種を超えた選択肢が欲しいと述べ、「特にデジタル時代であり」機体を装備搭載のプラットフォームととらえ、「装備をいかに統合するかが重要で将来は機体よりも重要になる」と述べている。
  11. F-16は空対空戦闘能力でF-15に劣るが上記アナリストは「F-16だけにしてしまったら誰が助けてくれるのか」と、他の機種が助ける現在の前提を踏まえて疑問を呈している。

魔法の機体?

  1. 昨年、下院軍事委員会航空地上兵力小委員会から空軍にF-22生産再開の場合の想定をまとめる課題が出された。
  2. 公式文書は完成しているのか、「初版評価ではF-22生産再開の費用は法外な規模だった」と空軍報道官はMilitary.comにRAND研究所の検討内容に言及し述べている。
  3. そうだとしてもロッキードは実施の想定で意見を出すと同社でF-22事業次長をつとめるジョン・コッタムは述べる。
An F-22 deploys flares. (U.S. Air Force photo)
  1. 「空軍が当社を訪問し研究内容に追加すべき点がないか尋ねられたため、当社も真剣に取り組み、データ提供をしています。政権が代わり、アメリカ国内産業の復興が優先事項になりましたので当社も空軍から政権と同じ方向性の提示があると信じています」
  2. 「今後、仮に議会に報告書完成版が届けられなくても、当社として知見を提供し内容を一層現実的にしていきます」
  3. 一方で現役ラプターパイロットは本当に新造機が生産ラインから出てくる日が来るのか訝っている。
  4. どの演習でも初日ごろに機体を飛ばし「他機種とともに共同飛行します」「一週目の終わりになるとF-22があと30機は必要だと痛感します。F-22がいなくなると空対空で被撃墜機が増えるからです」とダニエルは言う。
  5. さらにダニエルは「機数が少ないことに毎回がっかりさせられています。ミサイルや燃料でも同じです。F-22パイロットは『ビンゴ、ビンゴ』が聞こえてミサイルもなくなると毎回イライラさせられます。基地に帰ると他機種が撃墜していると聞かされるのです」
  6. ステルス、速度、さらに「不公平なまで多くの情報を機体が提供する...まるで魔法のようです」
  7. F-16で改修が進んだとしても第四世代機で同等の任務をこなせるのかラプターパイロットはじめ多くが疑問を呈している。
— Oriana Pawlyk can be reached at oriana.pawlyk@military.com. Follow her on Twitter at @Oriana0214.



2017年3月25日土曜日

★米空軍がF-15C/D型の早期退役を検討中



予算がないからと機種を整理していけば、その先はどうなるかわかっていても背に腹は変えられない事情が米空軍にあるのでしょうか。F-15はまだまだ供用に耐える機種であり、「空飛ぶミサイルトラック」に改装する構想もあるのに行く末に黄色信号ですね。もっともA-10の事例のように議会が強硬な反対論を展開することもあり(マクサリー議員は退役空軍大佐でA-10パイロットのようです)、空軍もわざと議論を巻き起こしてちゃっかり予算を確保したいと考えているのではないでしょうか。本家の米空軍がこんな状態では先が心配ですね。航空自衛隊は結局最後までイーグルを運用するのではないかと思いますが。

Are the F-15 Eagle's days numbered? Top generals say maybe

By: Stephen Losey, March 22, 2017 (Photo Credit: Senior Airman John Hughel/Air Force)
米空軍はF-15C型およびD型を退役させ任務をF-16に引き継がせる検討に入っている。
  1. 下院軍事委員会即応体制小委員会の聴聞会が今週水曜日に開かれ、委員長ジョー・ウィルソン議員(共、サウスカロライナ)がスコット・ライス中将(州軍航空隊総監)にF-15C型D型計236機を退役させ予算節約する案を質した。ライス中将は検討中と認めた。
  2. 同聴聞会でマーサ・マクサリー議員(共、アリゾナ)から同案は初めて聞いたとして、スコット・ウェスト少将(空軍運用部長兼参謀次長)に同戦闘機退役案が既定方針なのかを問いただした。
  3. ウェスト少将は正式決定ではないとしながら限られた予算を最大限に活用する案を空軍が検討中と認め、ミッション実現のため機種数を最小限にしたいと発言。ウェスト、ライスともにF-15の一部退役は「正式決定前」とした。なお、F-15Eストライクイーグルは検討対象ではない。
  4. ライス中将からはレーダー改修を行えばF-16でF-15の代わりは務まるとの発言があり、空軍は2019年度業務を計画中だが、F-15C型D型の退役方針は今年中は決まらないとライス中将は発言。そうなると同機退役は最短で2020年となる。
  5. だが空対空任務を主眼におくF-15C型D型を退役させ、空対地任務中心のF-16を使う案には疑問が寄せられた。F-15C型D型の就役開始は1979年でAIM-9サイドワインダーおよびAIM-120AMRAAM空対空ミサイルを最大8発搭載する。これに対してF-16は空対空ミサイルあるいは空対地ミサイルを最大6発搭載する。両機種がM-61A1多銃身20ミリ砲を装備するが、F-15では940発なのにF-16は500発だ。
  6. 「性能の違いは明らかだ」とウィルソン委員長は指摘。
  7. F-15イーグルの任務をF-16に任せて航空優勢確保で支障が生まれないのかを尋ねられライス中将は問題なしと答えている。「機種構成変更でリスクがないわけではないが、F-16に新能力を付与すれば性能面で十分対応できる。即応体制や本土防衛体制で変更が生じるが、対応は可能」と述べている。
  8. これに対してマクサリー議員はF-22登場までF-15Cが最優秀の空対空戦闘機であったと指摘。これに対しF-16は各種任務を低費用でこなせるが、レーダーを換装してもF-15Cと同等の空対空性能は実現しないと主張した。また現在でさえパイロット不足に悩む空軍で機種変更したら即応体制の維持が懸念されると表明した。「今でも即応体制に危うさがあり機種変更で再訓練をする間に危機が生まれれば短期でも即応体制が犠牲になる。戦闘機飛行隊が55個まで削減されている中、機種変更には慎重に望むべきだ」
  9. ウェスト少将は機種変更の際には一時的に「オフライン」状態が発生するが、中国やロシアへの優越性が減っているのも事実だとし、機種近代化は早く行ったほうが良いと述べた。
  10. 空軍報道官アン・ステファネックはその後F-15C型D型の退役案は決定事項ではないと述べ、これまでもA-10退役を複数年度で提案したものの同機はまだ運用中と指摘した。「将来の戦力構成は機会あるごとに検討しています。予算案に盛り込まないかぎり、案は案であり、検討にすぎません。選択肢の一つであり実行に移すわけではありません」■


2017年3月17日金曜日

★KC-46不足のため100年間飛び続けそうなKC-135はまだまだ健在



100年前といえば、第一次大戦がおわろうかというときですが、その当時の機体が今も飛んでいるというのと同じ話ですね。航空機の発展があきらかに停滞してきたのか、50年代の設計がよほど頑丈になっているのでしょうか。10年前の乗用車をそのまま乗ることも無理ではないですが、少ないですよね。しかしKC-135のブーマー操作員は腹ばいの無理な姿勢をまだ続けることになりそうですね。

Aviation Week & Space Technology

Short On Cash For KC-46, U.S. Air Force Eyes Souped-Up KC-135

Mar 9, 2017 Lara Seligman | Aviation Week & Space Technology
KC-135 Stratotanker
ボーイングKC-46新型給油機を十分調達する予算が足りないため、米空軍は代替策として機齢60年のKC-135ストラトタンカーに最新装備を搭載しあと40年の供用ができないか検討している。
  1. 空軍は次世代給油機KC-46を179機導入を第一歩とし給油機部隊を更新したいとする。だがボーイングのペガサスが完全に供用できるのは2028年度になる。残るKC-135の300機は将来のKC-YまたはKC-Zが実用化になる2030年から2040年まで主力のままと残る。
  2. 統合軍体制のストラトタンカー頼みは今後も続き結局100年間飛行することになると航空機動軍団(AMC)のカールトン・エヴァーハート大将は述べている。
  3. しかし1950年代のウェポンシステムを改修する代わりに新型KC-46をなぜもっと導入しないのか。全ては予算が原因だとエヴァーハート大将は説明。大将は空軍協会主催の航空戦会議で報道陣に語った。
  4. 「全てはお金であり、資源であり、継続決議(CR)です」とし、議会が政府支出の4月までのつなぎをしていることを言及した。財政年度の最後の数ヶ月をCRで運用するのが今や通常になっているが、CRでは現時点の支出規模しか認めず、新規事業でも予算が自由に使えず、長期的には混乱が生まれているのだ。
  5. KC-135を退役させてもKC-46資金が生まれるわけではない。国防総省では運用維持(O&M)予算を調達勘定に流用できない仕組みがあるためだとリチャード・アブラフィア(Tealグループアナリスト)は指摘する。
  6. アブラフィアは「国防総省の難問は調達勘定とO&M勘定が別になっていることですね」としつつエヴァーハート大将は「現実的になっている」と付け加えている。
  7. KC-46の追加導入の代わりにKC-135を近代化すれば空軍に給油能力が追加されると指摘するのはトッド・ハリソン(戦略国際研究センター)だ。空軍が今の段階でもっと給油機が必要なら、KC-46追加導入では間に合わない。なぜなら現在の生産予定では機材が利用可能になるのは2020年代以降とハリソンは指摘する。
Boeing’s next-generation KC-46 assembly line
米空軍はボーイングの新型KC-46ペガサス運用を2017年から開始する。Credit: Boeing

  1. 一方で空軍としてはKC-135が将来の戦場でも生き残れるようにしておきたいところだ。操縦席に液晶ディスプレイを導入し、レーダー高度計、オートパイロット、デジタル飛行指示他コンピュータ換装で総額910百万ドルのブロック45改修を進めている。だがAMCは次のブロック改修の方向を検討中とエヴァーハート大将は述べている。
  2. エヴァーハート大将はリンク16や見通し線外通信装置を導入したいと考えており、KC-135にも画像他のデータをリアルタイムに近い形で他機種と共用させたいとする。機体防御も段階的に導入し、電子対抗措置でジャミングへの有効策を、機体防御装備や音紋制御まで考えているかもしれない。
  3. 「KC-135は相当期間飛び続けることになるが、ネットワーク化した多面的な指揮統制環境に入り、敵は当然こちらの給油機を狙ってくるはずだ」とジョン・トーマス准将(戦略立案担当)は述べる。
  4. さらにKC-135にはFAA認定の自動従属監視送信装置(ADS-B)が搭載されつつある。これはGPS技術で機体の位置、対空速度他データを得るものだ。
  5. 「KC-135は傑作機ですが近代化が必要なのは否めません」とエヴァーハートは述べている。「この機体を使い、将来のKC-Zにつなぎます。またKC-46の新型電子装備をKC-135にも導入したい」
  6. それでもハリソンは空軍は自らを追い詰めないよう配慮が必要と指摘する。KC-135改修の代償は長期にわたる機能の発揮になるからだ。
  7. ハリソンも「空軍もあと何年707を本当に飛ばすつもりなんでしょうね」という。■