We Dreamed Up a U.S.-China War in 2030 (And It's Terrifying)
Let's try to avoid this, please.
May 4, 2019 Topic: Security Region: Asia Blog Brand: The Buzz Tags: World War IIIChinaAmericaTaiwanSouth China SeaJapanWar
中華人民共和国(PRC)と合衆国は貿易戦争の崖っぷちに向かっているようだ。この戦争で両国経済に広範な影響が生まれ同時にグローバル経済秩序も影響を免れない。だがいまのところ爆弾やミサイルが飛び交う状況ではない。米中両国に数々の対立があるが、戦火を交える状況には至っていない。
だが次の10年間で状況は変わるかも知れない。いまは無関係に映る対立が時とともに重大性を帯びることがある。中国の国力増強の中で小さな論点が重大結果につながる体験を米国は迫られるかも知れず、反対に中国が調達・近代化サイクルの中で米国の無力を見抜く可能性もある。
2030年に両国の力のバランスは今と大きく異なるはずだし、戦略地図も変わる。2030年に米中両国が開戦すればどんな展開になるのだろうか。
開戦の契機
両国対決の根本原因は今と同じだ。中国と米国は新興国が既存勢力に対決する「トゥキディデスの罠」に陥る。中国の国力増大に終わりがないように見える一方、米国はグローバル国際秩序規範を設定する立場を守る。ただしPRCも合衆国も取るに足らない問題では開戦に進まないはずだ。
米同盟国への深刻な脅威が想定できる。日本、韓国、インド、台湾あるいはフィリピンかもしれない。中国と各国に紛争の種がすでにまかれている。PRCとこうしたいずれかの国の間で軍事衝突が発生すれば米国が巻き込まれるのは確実だろう。インドとPRCの戦争が危険度が最大で米国以外にパキスタンやロシアも巻き込まれるかもしれない。日中両国の対決の場合でも壊滅的な結果になりかねない。ここでは戦略構図の変化を受け入れる準備が必要で、日韓両国の対立関係が軍事衝突につながれば米中両国の軍事対決にまで発展しかねない。
どんな新技術が投入されるのか
対決場所は対決原因により左右されるが、東シナ海、南シナ海が重要な舞台になりそうで、空軍力と海軍戦力が重要となる。米陸軍、海兵隊も「複合ドメイン戦」で自らの役割を確保しようと懸命だ。
今後12年間で軍事バランスが中国有利になると容易に想像できる。だからといって中国が必ずしも優位に立つわけではないが、時間経過とともにPRCに有利になるのは確実だ。人民解放軍海軍(PLAN)の増強ペースは米海軍を上回っており、人民解放軍空軍(PLAAF)の装備近代化も米空軍を上回る。これは米海軍が355隻体制、空軍がF-35やB-21を実戦配備しても変わらない。
双方とも既存技術を大量に配備しているだろう。中国は2030年には空母四隻を運用し、内訳は遼寧型STOBAR空母二隻とCATOBAR通常型空母二隻のはずだ。米海軍が量的質的に優位だが中国は紛争開始直後に一時的に局所的優位性を示すはずだ。中国は潜水艦、水上艦艇も多数を集中展開するはずだ。これに対しUSNは優位とはいうものの、差はわずかしかない。
航空機では米空軍、海軍、海兵隊はF-35を相当数配備しているはずだ。空軍にはB-21レイダーステルス爆撃機もその他爆撃機部隊とともにある。中国はJ-10、J-11の増強で米軍のF-15、F-16、F/A-18と遜色ない戦力を整備しているはずだ。J-20も一定数配備され、J-31もPLAが導入を決めれば整備されるだろう。中国が装備近代化を進めても2030年までに米軍の水準に到達できないだろうが、PLAAFは急速に戦力差を埋めるはずで航空基地多数と各種ミサイルの支援を頼りにできる。
2030年までに発生する最大の違いは無人機材の大量導入で一部有人機材と交代しているだろう。この分野での技術進歩は高スピードで展開しており実用化となる機材の正確な予測は困難だが、空中、水上、水中の無人機材各種が無人機同士あるいは有人機材を相手に戦闘を展開するだろう。無人機材運用には偵察、通信の裏付けが必要で両陣営とも開戦直後からこの妨害を狙うはずだ。
サイバー戦になるのか
米中両国は社会、経済、軍事の各面でコンピュータ通信に依存し、サイバー空間接続に大きく頼っている。接続が妨害されれば破滅的な結果が待つ。だがサイバー戦の専門家からは米中ともにインターネットへの依存度が高い分だけ安全性を確保しており妨害に強くなっているとの声が聞こえる。例を上げれば20世紀に連合軍爆撃を受けてもドイツ産業界は予想とことなり崩壊しなかった。高度な冗長性をもたせたので破壊できなかったのだ。日本経済はそこまで洗練されていなかったため封鎖作戦と空襲で大打撃を受けた。複雑になっても脆弱になるわけではなく、デジタル経済への転換が進めば攻撃がそれだけ容易になるわけではない。
だからといって軍事衝突とサイバーが無関係ではない。むしろデジタル戦は軍事側面を巻き込むことが多い。米中ともに接続の弱点を見つけ攻撃を試み、敵の目を使えなくさせ、逆に敵の目を使おうとするはずだ。サイバー攻撃と「リアルの」軍事作戦を調整実施する腕が高いほうが有利に事態を進めるはずだ。
どのように終わるのか
米中戦の終わり方でいろいろ考察が出ている。ただし2030年の戦闘の姿は誰にもわからず、両陣営がどう決着をつけるかも不明だ。ただし2030年に入っても米国の産業基盤や継戦能力を制圧出来る通常戦力を中国が整備している可能性は限りなく小さい。他方で米国がPRCを圧倒するシナリオの実現度も低下している。敗退させても政治的な危機状況が続くだけだ。勝利条件は敵陣営の主力部隊を敗退させることになりそうで、一気に壊滅させても消耗戦にもちこんでもいい。
封鎖作戦は解決にならないだろう。中国のエナジー消費は2030年には今より増加しているはずで、PRCの戦略的脆弱性が高まる。ロシアとの間にパイプラインを強化する、代替エナジーを開発することでPRCは米国との戦闘を乗り切ることは可能だろう。しかしなんといっても中国に一番の打撃は対外貿易の崩壊だろう。
いずれによせ2030年の米中戦争の終結には慎重な外交工程が必要となる。戦闘が終結しても両国の対立関係は今世紀を通じ続くだろう。
結語
ほぼ40年にわたり専門家は米国とソ連の戦闘は避けられないと言っていた。実際に開戦寸前の危機はあったが、開戦しなかった。中国と米国でも武力衝突の回避も同様に可能だし、実際にそうなりそうだ。だが戦力バランスが傾いた場合の想定を想像しておくことに価値があるし、どんな機会が生まれるかも想像できる。運と技量に恵まれれば2030年になっても米中両国は戦争を回避できる。とは言うものの両国の政策立案部門は万一開戦となる可能性を真剣に受け止めて検討する責任があることを忘れてはならない。■
Robert Farley, a frequent contributor to TNI, is a Visiting Professor at the United States Army War College. The views expressed are those of the author and do not necessarily reflect the official policy or position of the Department of the Army, Department of Defense, or the U.S. Government.