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2024年11月28日木曜日

主張 イスラエルとヒズボラの停戦は単純に祝えない(1945)

 Merkava Tank from Israel. Image Credit: IDF.

Merkava Tank from Israel




2024年11月26日、ジョー・バイデン大統領は、イスラエルとヒズボラの戦闘を終結させるため、米国の外交官とアモス・ホッホスタイン特使が交渉して生まれた停戦を祝った。 

 ローズガーデンで演説したバイデン大統領は、「中東から良いニュースが本日届いた。イスラエルとレバノンの首相と会談し、両政府がイスラエルとヒズボラの壊滅的な紛争を終結させる米国提案を受け入れたことを発表できることをうれしく思う」。大統領はまた、合意を後押ししたフランスのエマニュエル・マクロン大統領に感謝した。

 だが誰も祝福すべきではない。まず、この合意は本質的に、レバノンが2006年のイスラエルとヒズボラの戦争を終結させるために18年前に交わした約束の履行を約束するものだ。レバノン側はヒズボラのリタニ川以北の撤退を要求すると言っているが、ヒズボラはベイルートのコミットメントを確実に試すだろう。2006年、ヒズボラは停戦を利用して再軍備を行った。イランの最高指導者アリ・ハメネイがイスラエルのネタニヤフ首相の「処刑」を要求していることから依然としてイスラエルの破壊にコミットしており、その目標を達成するためヒズボラを重要なツールと見なしている。バイデンとマクロンが推し進める協定が、ガザやヨルダン川西岸地区の国連救済事業機関(UNRWA)と同様に、その責任と数十年にわたる失敗を否定し続ける国連レバノン暫定軍の問題を是正するとも思えない。


最悪の事態を予想する理由は他にもある。


第一に、停戦によってイスラエル北部とレバノン南部は静まるかもしれないが、ヒズボラの財源が再建するのを止めることはできない。ヒズボラがトロントからトーゴ、ブラジルからボルネオまで広がる国際的ネットワークを持っているからこそ、米国はヒズボラを世界的な影響力を持つテロ集団と定義していることを忘れてはならない。バイデンの計画のどこにも、勝利にはアフリカと南米のヒズボラ金融インフラ全体を根こそぎ破壊することが必要だという認識はない。

 バイデンが重要な軍需品を差し控えることでネタニヤフ首相の受け入れを強要したというテッド・クルーズ上院議員のコメントも赤旗を掲げるべきだ。イスラエルは民主主義国家であり、ヒズボラはテロ集団であり、レバノンは破綻したマフィア国家である。敵対国に対するイスラエルの防衛に対する米国の支援は絶対であるべきだ。もし取引が賢明であれば、中東で唯一の真の民主主義国家を恐喝したり恐喝したりする必要はないだろう。ネタニヤフ首相はイスラエルの安全保障で寸劇を演じることはない。そうなると、バイデンが退任するまで待つか、あるいはドナルド・トランプ次期大統領に武器輸出の再開を約束してもらい、その仕事を終わらせることになるだろう。

 マクロンの関与も悪い兆候だ。フランス、アメリカ、イスラエル目標を共有していない。バイデンは、任期最後の数週間で自分のレガシーを守るために、静かで羽の生えたようなことを望むかもしれない。イスラエルは、ヨーロッパの中堅国並みの兵器を持つが、大量虐殺的な強力な敵を倒すために戦っている。しかし、フランスは常にヒズボラに好意的で、中東のテロ支援国との商業的利害関係を政策に反映させてきた。  ホフスタインの関与も同様である。ホフスタインは特使であり、政権前後の商業的つながりは利害の対立を意味し、バイデン政権内部では、正式な地位で上院の承認を得ることができないにもかかわらず、権力を握っている。

 第4に、バイデンは停戦は恒久的取り決めのための隠れ蓑だと主張している。バイデンは重要な外交政策決定において誤った側に立つという実績を続けている。ヒズボラを温存することで、彼は勝利の顎から敗北を奪い取る。ヒズボラを存続させ、レバノンの強力な政治勢力として存続させることは、多くのレバノン人が過去の政府によるイスラエルへの不合理な敵意を歴史のゴミ箱に閉じ込めたいと願っているにもかかわらず、エルサレムとベイルートの間に和平が成立しないことを保証する。  レバノンがイスラエルとの和平に失敗したのは、1982年にシリアが画策したレバノン次期大統領バチール・ゲマヤルの暗殺によって頓挫した取引にもかかわらず、イスラエルが傷ついた以上にレバノンが傷ついたからだ。

 バイデンはイスラエルとレバノンの和平と和解を推し進めることもできたはずだが、その代わりに、和平阻止を専門とするグループを温存したのだ。

 バイデンは喜ぶかもしれないが、停戦が続くと信じるのはナイーブだ。バイデンは本質的に、さらに血なまぐさい紛争への道を蹴っているのだから。 

 最悪の場合、バイデンは敵に、イスラエルや他のアメリカの同盟国を攻撃するために最善を尽くすことができることを思い出させ、もし戦闘を数日から数週間、数カ月に延ばすことができれば、ワシントンは同盟国に譲歩するよう圧力をかけるだろう。テロとの戦いにおいて、アメリカはより明晰な目を持つ同盟国にとって足手まといになっている。■



Don’t Celebrate Israel’s Ceasefire with Hezbollah Yet

By

Michael Rubin

About the Author: Dr. Michael Rubin

Michael Rubin is a senior fellow at the American Enterprise Institute, where he specializes in Iran, Turkey, and the broader Middle East. A former Pentagon official, Dr. Rubin has lived in post-revolution Iran, Yemen, and both pre- and postwar Iraq. He also spent time with the Taliban before 9/11. For more than a decade, he taught classes at sea about the Horn of Africa and Middle East conflicts, culture, and terrorism, to deployed US Navy and Marine units. Dr. Rubin is the author, coauthor, and coeditor of several books exploring diplomacy, Iranian history, Arab culture, Kurdish studies, and Shi’ite politics, including “Seven Pillars: What Really Causes Instability in the Middle East?” (AEI Press, 2019); “Kurdistan Rising” (AEI Press, 2016); “Dancing with the Devil: The Perils of Engaging Rogue Regimes” (Encounter Books, 2014); and “Eternal Iran: Continuity and Chaos” (Palgrave, 2005). Dr. Rubin has a PhD and an MA in history from Yale University, where he also obtained a BS in biology.


2017年11月12日日曜日

イエメン・フーシがサウジアラビアに発射したミサイルはイラン製だった


北朝鮮、中国と身近な脅威に目が行きがちですが、イラン問題も大きな課題で、シリアでの関与もきになりますが含め中東情勢に影を落としています。オバマ政権による核合意を反故にしたいトランプ政権も警戒を強めていますが、できれば一つずつ片づけたいのでしょう。ただし、サウジアラビアの動向にも不安がある中で事態が一気に流動的になってもおかしくありません。今回のミサイルで証拠を明示しイランの関与が白日にさらされれば大変なことになりかねません。

U.S. General: Missile Targeting Saudi Capital Was Iranian

サウジ首都を狙ったミサイルはイラン製と米軍が発表

Supporters of the Shiite Huthi movement raise their weapons during a gathering in the capital Sanaa, Yemen / Getty Images
     
November 10, 2017 12:18 pm
中東の米空軍トップによればサウジアラビア軍が迎撃成功したイエメン反乱勢力が発射の弾道ミサイルはイラン製でミサイル本体に「イラン軍標識」が残っていたという。
  1. ジェフリー・L・ハリジアン中将Lt. Gen. Jeffrey L. Harrigianはカタールの空軍司令部でサウジ首都を狙ったミサイルの残骸調査から「イラン政府による製造」の証拠が見つかったとCBSニュースで語った。CBSニュースはフランス大統領エマニュエル・マクロンがミサイルがイラン製なのは「明白」と述べたと今週先に伝えていた。
  2. サウジアラビア外務省も7月22日にイエメンから発射されたミサイル数発がイラン製だとする証拠を発見したと述べている。
  3. サウジアラビアは11月4日にリヤド国際空港近くでミサイル迎撃に成功したと発表したが、同国内でここまでの内部まで反乱勢力ミサイルが到達したのははじめてだ。
  4. サウジアラビアはシーア派反乱勢力にイランが兵器を供与していると非難してきた。これに対しテヘランはミサイル提供の事実はないと否定している。
  5. ワシントン中近東政策研究所のマイケル・ナイツMichael Knights研究員はイエメンでの勤務経験があり、11月9日のアナリシスでイランがフーシ反乱勢力を支援中と考えても決して誇張ではないと述べている。
  6. 「テヘランがフーシにミサイルを提供し技術支援の上特殊部品を提供していると考えても決して突飛なことではない」「つまるところ国際封鎖を受け戦闘状態にあるフーシが二年足らずで三種類のミサイル装備を展開できたのだから」■

2017年11月5日日曜日

速報 リヤドへ弾道ミサイル攻撃、ペイトリオット迎撃成功



イエメン内戦にサウジアラビア等が介入している様子に日本で関心を持つ向きがどのくらいいるのかわかりませんが、状況はどんどんかわっているようです。弾道ミサイル戦争の様相を帯びてきました。CNNが以下伝えています。

 

Saudi Arabia intercepts ballistic missile over capital

サウジアラビア首都を狙った弾道ミサイル迎撃に成功


  • 11月4日、サウジアラビア首都空港を標的に弾道ミサイル一発がイエメンから発射された。フーシ勢力が支配するイエメン国防省が発表。
  • ミサイルはリヤド北東上空で迎撃されたとサウジ国防省が発表。
  • ミサイル発射は現地時間8:07 p.mで、ペイトリオットミサイル防衛システムが迎撃に成功しミサイルは無人地帯に落下したと連合軍は発表。負傷者は発生していないとのこと。
  • 発射されたのはイエメン開発の長距離ミサイルのブルカンBurqan2Hだという。
  • リヤドのキングハリッド国際空港では何の影響も受けていないと空港当局がツイッターで伝えている。
  • 同日にはイエメン首都サナアが夜間空爆を受けた。
  • イエメンではイランの支援を受けたフーシ反乱勢力が2015年に同国を占拠したためサウジアラビア主導の連合軍が介入している。.
  • サウジ首都のリヤドがミサイル攻撃の標的になったのは今回が初めてだ。
  • イエメン内戦はイランの代理戦争の色彩が強い。サウジ主導連合軍が支援する正当政府は政権の座を追われ現在はアデンに本拠を置く。
  • 国際連合人権高等弁務官事務所はイエメンの死傷者は合計13,829名でうち死亡は5,110名と集計している。
  • サナア空襲では8月に集合住宅二棟を破壊したがサウジ主導連合軍は「意図的ではない事故だ」としていたがその前にはホテルを倒壊させている。
  • フーシ勢力はイエメンを攻撃する国の首都を標的にすると弾道ミサイル投入を公言しており、今回のミサイル攻撃はイエメン一般市民を狙った攻撃の報復だとし、今後もサウジ都市を狙うとする。
By Tim Lister, Ammar Albadran, Hakim Al-Masmari, Sarah El Sirgany and Eric Levenson, CNN
Updated 2348 GMT (0748 HKT) November 4, 2017CNN's Bijan Hosseini contributed to this report.

2016年4月8日金曜日

米海軍がイエメン向け大量の兵器を洋上で押収しています


おそらく洋上で搬入を阻止された火器類は氷山の一角でイランが中東の戦乱に相当の役割を果たしていることが推察されます。オバマ政権が末期にイラン、キューバと連続してこれまでの政策を変更していますが、こんな事態が普通にあるのであればイランについてはその真意を疑わざるを得ませんね
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U.S. Navy Seizes Suspected Iranian Arms Shipment Bound for Yemen

By: Sam LaGrone
April 4, 2016 10:50 AM • Updated: April 4, 2016 11:41 AM

A cache of weapons is assembled on the deck of the guided-missile destroyer USS Gravely (DDG 107). The weapons were seized from a stateless dhow which was intercepted by the Coastal Patrol ship USS Sirocco (PC 6) on March 28. US Navy Photo
押収した武器の山が誘導ミサイル駆逐艦USSグレイヴリー(DDG-107)艦内に集められた。火器類は国籍のないダウ船にあり、沿岸警備艇USSシロッコ(PC-6)が3月28日に押収したもの。 US Navy Photo

米海軍艦艇二隻が貨物船を拿捕し、不法に運び込もうとしていた武器をペルシア湾で押収した。貨物船はイエメンのフーシ戦闘員への補給を狙っていたと海軍が4月4日に発表した。

  1. 国籍のないダウ輸送船はサイクロン級哨戒艇USSシロッコ(PC-6)が3月28日に停船させ、臨検隊がAK-47自動小銃1,500丁、RPG発射機200丁、50口径機関銃21丁を船倉で見つけており、イランを出港したと見られた。
200 RPG launchers as part of the seizure. US Navy Photo
押収した武器類にはRPG発射機200丁もあった US Navy Photo

  1. シロッコは応援を求め誘導ミサイル駆逐艦USSグレイヴリー (DDG-107) が拿捕と武器押収を行ったと第五艦隊は発表。
  2. 「今回の拿捕はイランから出発し不法に武器類を搬入しようとする一連の流れの最新事例」と米海軍は発表している。「武器類は米国管理下にあり、最終処分方針を待つ状態だ。輸送船と乗員は武器押収の直後に帰港を許された」
USS Sirocco (PC 6) assigned to Commander, Task Force (CTF) 55 during a bilateral exercise with the Iraqi Navy. US Navy Photo
USS シロッコ(PC-6) US Navy Photo

  1. ペルシア湾では有志連合軍による同様の武器押収が続いている。「オーストラリア海軍のHMASダーウィンが2月27日に海上でAK-47およそ2千丁、ロケット推進手りゅう弾発射機100丁、PKM汎用機関銃49丁、PKM予備弾倉39個、60ミリ迫撃砲砲身20丁を押収している」と海軍は発表。
  2. 「3月20日にはフランス海軍の駆逐艦FSプロヴァンスがAK-47を2千丁、狙撃ライフル64丁、対戦車ミサイル9本他を押収した」
  3. シロッコは前方配備としてバーレーンから運用しており、グレイヴリーはハリー・S・トルーマン空母打撃群に所属。■