ラベル EA-6B の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル EA-6B の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2022年12月28日水曜日

歴史に残る機体(35)EA-6プラウラーはグラマン艦載機最後を飾り、文字通り縁の下の力持ちとなった電子支援機材として重宝された。

 歴史に残る機材32


The EA-6B Prowler Has Been Retired, But Its Impact On Air Warfare Will Live On Forever

グラマンA-6イントルーダーの系譜は、60年にわたる供用を経て終焉を迎えた

EA-6Bプラウラーは、同型機の最後の運用者となった海兵隊が正式に退役させた。米海軍が同機を2015年7月に退役させて、終焉の日はじわじわと近づいていた。プラウラーの退場は、グラマンのA-6イントルーダー・ファミリーの60年にわたる信じられないほど成功した実績の終わりを意味する。

すべてはYA2F-1に始まり、推力ベクトルノズルと、設計時(1950年代)には高度なコンピュータシステムを備えた、非常に野心的な空母艦載攻撃機だった。同機は1960年に初飛行し、その後A-6イントルーダーへ改良された。同機は、非常に大量の爆弾を搭載し、悪天候や夜間でも超低空飛行で敵地深くまで侵攻する、信じられないほどの攻撃力と正確さを備えた核搭載可能攻撃機であった。A-6は1963年に就役し、10年間ベトナムで戦い、その後、リビア、イラクなどで活躍した

グラマンと海軍は、このイントルーダーから、敵防空レーダーを妨害するイントルーダーの電子戦型EA-6Aを短期間で誕生させた。この機体はわずか28機しか製造されず、1963年に初飛行した。しかし、コンセプトは成功し、ベトナムの危険な空で苦労して学んだ教訓も手伝い、4人乗りEA-6Bイントルーダーの再設計につながった。1968年に初飛行、1971年に就役した空母搭載可能な電子戦専用ジェット機である

message-editor%2F1552088109235-ea-6a_prototype_nan6-63.jpg

EA-6A prototype., USN

EA-6Bは海軍と米海兵隊で48年間にわたり活躍し、その性能と必要性は増す一方だった。1998年に米空軍のEF-111レイヴンが退役すると、EA-6Bはアメリカの空軍力での電子戦支援で唯一の機体となり、同機以外には空軍のEC-130Hコンパス・コールが限られた能力を提供するだけだった。 

message-editor%2F1552088126481-1024px-ea-6a_and_ea-6b_of_vmaq-2_in_flight_c1977.jpg

EA-6A and EA-6B side by side. , USN

時代が進むにつれて、プラウラーの技はより多くなっていった。プラウラーはAGM-88高速対レーダーミサイル(HARM)を発射し防空体制制圧を支援し、ALQ-99ジャミングポッドで電子妨害支援も可能になった。EA-6Bの電子戦装備は、通信システムの妨害にも使用され、プラウラー・コミュニティは、イラクとアフガニスタンのアメリカ軍と同盟軍の地上部隊に恐怖をもたらした遠隔起爆型即席爆発装置(IED)を破壊する機能で、空中からの支援能力を高めた。

海兵隊の最終的なICAPIII機は、非常に高性能な機体となった。このアップグレードにより、プラウラーの状況認識、通信能力、妨害効果、ヒューマンマシンインターフェースが飛躍的に向上した。EA-18Gグラウラーの電子戦システム開発のベースとなったが、一部情報筋によると、ICAPIIIプラウラーは、グローラーよりさらに優れているという。

ここ数年、ほんの一握りの海兵隊プラウラーがLITENINGターゲット・ポッドを搭載し飛行し、従来とは異なるオーバーウォッチと監視の役割を果たしながら、必要に応じ妨害任務も同時にこなしてきた。

プラウラーは著しく時代遅れの航空機であったにもかかわらず、そのキャリアの黄昏時に真のマルチロール・プラットフォームとなった。

海兵隊航空基地チェリーポイントを拠点とする米海兵隊の最後のプラウラー飛行隊、Marine Tactical Electronic Warfare Squadron 2、通称VMAQ-2「Death Jesters」も2019年3月8日金曜日、基地での式典で同機に別れを告げた。

USMCは、EA-18Gグラウラーなど電子戦専用機の購入していない。その代わりに、同軍はボルトオンのIntrepid TigerポッドとMQ-21 Blackjackドローンを使用し、飛行部隊全体に電子戦能力を分散させる方針だ。しかし、はっきり言って、これらのシステムは、それなりに能力はあるものの、EA-6BやEA-18Gが提供する広範囲の敵の防空システムに対するハイエンド電子攻撃能力は提供しない。

アメリカ海兵隊が購入するF-35BとCは、強力な電子戦機能を持つが、大規模な戦力保護やプラウラーやグㇻウラーが提供する広域妨害ではなく、自己防衛に重点を置いている。

message-editor%2F1552092190859-2019-03-08.png

DoD

2016-2025 Naval Aviation Vision文書では、米海兵隊の中央集権的な電子戦戦略の脱却について次のように述べている。

EA-6B Prowlerの2019年度退役後の電子戦(EW)要件に対処するための海兵隊の包括的計画は、海兵隊空地任務部隊(MAGTF)EWで、最新技術を使用し航空プラットフォーム(無人、固定翼、回転翼の資産)、ペイロード、地上EWノード、サイバー効果を統合し指揮官に有機的かつ持続的EW能力を提供する。MAGTF EW構想は、海兵隊がこれまで低密度・高需要のEWに集中していたのを、分散型・ネットワーク型・プラットフォーム非依存型のアプローチに移行させる。MAGTFのEWは、地上部隊や高度な統合防空システムに対抗する第5世代航空機を支援するため統合EW資産を補完する」。

EA-6Bは、国防総省が保有する高速ジェット機の仲間に比べれば比較的小さな機体だが、総飛行時間は26万時間を超え、現役時代はほぼすべての主要な米軍作戦に参加していた。EA-6Bのレーダー・スクランブル機能によって、どれだけのパイロットと航空機が救われたかは、数えることができない。

message-editor%2F1552091840163-aasddavv.jpg一番手前の機体の左翼についたライティングポッドに注目。

USMC

この数字は本当に驚くべきことだ。プラウラーが電子トリックを駆使して1機救うごとに、他の多くの飛行機とサービスマンが、墜落機を救出するため敵地に飛び込む作戦が不要になったことを意味することを忘れてならない。つまり、EA-6Bはアメリカの戦闘機の生存率に累積的な影響を与えたのだ。

また、F-117が初めて出撃して以来、プラウラーはアメリカのステルス航空機の静かな担い手として、ステルス技術の「カクテル」にほぼ不可欠な存在として働いてきた。F-117が唯一戦闘で失われたのは、アライド・フォース作戦時で、ステルス機が敵領空に深く入ったが電子攻撃の傘としていのEA-6Bが不在の夜だったことは注目に値する。

地上の兵士にも同じことが言える。電子戦の天使が頭上を周回していたために、命も手足も無事で脱出できたことを知らない人がどれだけいるか。今や、電子戦は戦闘の主要領域となりつつある。電子攻撃関連の技術は、かつてないほど重要かつ効果的であり、はるかに大きな能力が生まれつつある。数十年にわたるEA-6Bの運用は、EA-18Gグラウラーの開発のみならず、今後数十年にわたり戦闘に勝利するための電子戦戦略や技術に影響を与えてきた。

グラマンを象徴する同機はもう使用されていないが、EA-6Bと、その頑丈な機体に精力的に取り組んだ人々、それに搭乗した人々、その他設計や長年にわたるプラウラーの維持に携わった全員が残したのは素晴らしい遺産だ。それは、地球上のどの飛行機にも真似できない、信じられないような、しかししばしば誤解される記録だ。EA-6Bは本当に、一般人がほとんど何も知らないまま最も重要な戦闘機だった。

「グラマン鉄工所」の戦術機の系譜で最後の機体に最後の別れを告げたが、私たちはプラウラーをこれほど壮大で長続きする成功に導いてくれたすべての人に感謝の言葉を述べるしかない。■

 

The EA-6B Prowler Has Been Retired, But Its Impact On Air Warfare Will Live On Forever

BYTYLER ROGOWAY|UPDATED DEC 1, 2019 6:46 AM

THE WAR ZONEMUST READ FEATURES

 


2019年3月8日金曜日

3月8日EA-6Bが米軍供用を終了、半世紀近く活躍した同機の豆知識

5 fun facts about the EA-6B to say goodbye to the Marine Corps' Prowlers 米海兵隊で退役するEA-6Bの豆知識5点

Blake Stilwell,


US Marine Corps electronic warfare EA-6B Prowler Al Udeid Air Base Qatar

カタールのアルユデイド航空基地に展開したEA-6Bプラウラー。 September 12, 2018. US Air Force/Tech. Sgt. Ted Nichols


2019年3月を持って海兵隊はEA-6Bプラウラー最後の飛行隊を解隊する。
これによりプラウラーの米軍供用に幕が下りる。戦術電子妨害機として1971年に供用開始し、現役機材では最長期間を飛んだが2019年3月8日がいよいよ最後となる。
後継機種はF-35共用打撃戦闘機でF/A-18ホーネットやAV-8Bハリヤーと同じ構図だ。

1. ホーチミンからISISまで相手に戦った
It fought everyone from Ho Chi Minh to ISIS
海兵隊のEA-6Bが空中給油を終え離脱していくイラク上空June 28, 2018. US Air Force/Staff Sgt. Keith James
最初に投入されたのは1972年の東南アジアでプラウラーは空軍、海軍、海兵隊の各機材と70回に渡る事態で260千時間を飛んだ。

2. 欠点のない勝利の実績

Its victories were flawless
海兵戦術電子戦飛行隊2の9機がカタールのアルウデイド基地に揃ったAugust 16, 2018. US Army/Spc. Jose Diaz
一機も敵の手で喪失していない。北ヴィエトナム、リビア、イラク、イラン、タリバン、パナマと敵は数多かったがアメリカを守った170機のプラウラーを落とせなかった。
ただし事故等で50機を喪失しているのは残念だ。

3. 敵レーダー妨害が仕事

敵レーダーをどう妨害するのか。無線信号を使えなくし、標的照準を不可能にする。

プラウラーはテロ掃討世界戦争で完璧な装備となり携帯電話通話を妨害し、車庫扉の開閉装置を作動不能にし、地上部隊を敵の遠隔操作即席爆発物から安全に守ってきた。

4. 戦術機で最長の供用期間

It's the longest serving tactical jet

EA-6BプラウラーがISIS標的攻撃ミッションを終えUSSジョージ・H・W. ・ブッシュに着艦する Thomson Reuters

F-16もかなわない。プラウラーの供用期間はF-16を上回り米軍戦術ジェット機で最長だ。いまのところ。

5. ビン・ラディン殺害を支援

The Prowler helped ice Bin Laden
米海軍所属のEA-6Bプラウラー、イラク上空で空中給油を受けたところ。October 4, 2014. USAF

パキスタンでSEAL部隊が特殊極秘ヘリコプターで忍び込んだのは事実だが、実はEA-6Bブラウラーがオサマ・ビン・ラディン住居周辺でレーダーや電子信号の作動がないことを確認したため、作戦が実行できた。■
Read the original article on We Are The Mighty. Copyright 2019. Follow We Are The Mighty on Twitter.

2016年6月24日金曜日

海兵隊の老兵EA-6Bはイラク、シリアでISR任務にも投入されている


The U.S. Marines’ Jamming Jets Are Spying on Islamic State

Old EA-6Bs get a new role

by JOSEPH TREVITHICK
イラク上空を飛ぶプラウラーにライトニングポッドがついている。 U.S. Air Force photos.

EA-6Bブラウラー電子戦機が米海軍、海兵隊で供用開始したのは1971年で強力な搭載ジャマーを使った敵レーダーや通信の妨害が主任務だった。

  1. 海兵隊はじめ各軍で機材不足が深刻な中、わずかになってきたプラウラーも穴埋めで使われ、イラク上空でスパイ活動に投入されている。
  2. 2016年5月にISISに対抗するペンタゴンの特別部隊がFacebookに掲載した写真にこれまでと異なる機体各種が写っていた。その中に海兵隊第四戦術電子戦飛行隊所属のプラウラーがあり、通常のジャミング装備ではなく目標捕捉ポッドを搭載していた。
  3. 2015年1月時点で海兵隊はWar Is Boringにプラウラーがイスラム国戦を支援中と発言したが具体的には何も教えてくれなかった。各機は海兵隊が主に使用しているクウェートのアーメド・アル・ジャバー基地を本拠地にしている様子でトルコのインチリック空軍基地にもEA-6Bが増派されている。
  4. 「プラウラーは連合軍各機や地上部隊の防護の傘となりダーイシュの通信を妨害してくれる」と米空軍のオマー・ヴィラレアル少佐(空軍中東メディアオペレーション主任)がWar Is Boring にメールで語った。少佐はイスラム国の別称を使っている。
  5. ありがたいことにイラク国内のテロリスト集団には長距離レーダー誘導による地対空ミサイルの装備はなくプラウラーは妨害を加える必要がない。だがイスラム国のプロパガンダは高度に組織化され技術も高く、通信ネットワーク、ラジオ放送他を沈黙させる機会は豊富にある。
イラク上空を飛ぶプラウラーにライトニングポッドがついている。 U.S. Air Force photos.
  1. 「EA-6BはNTISRポッドを搭載できます」と少佐は述べ、「非通常型情報収集監視偵察non-traditional intelligence, surveillance and reconnaissance」任務について言及している。「ただし保安上の理由から同装備をどう使っているか詳細はお話しできません」
  2. ノースロップグラマンが製造したライトニングポッド Litening pod はスマート爆弾やミサイルの照準用だが、偵察用途にも使えると同社は売り込んでいる。高解像度赤外線カメラとレーザー画像センサーを搭載し、空中からのスパイ活動に最適だという。
  3. 海兵隊は2007年にプラウラーに同ポッド搭載の改修をしており、とくに監視偵察用途を狙った。海兵隊航空部隊はこの機体をイラクに持ち込んでいる。
  4. この追加装備でプラウラーは道路わきに爆発物を埋める戦闘員を追尾し、携帯電話からの爆破信号を電子妨害できる。また乗員は新しい目標を発見すれば空爆を要請したり、地上部隊へ警告できる。
  5. EA-6Bは増槽をつければスパイ任務をさらに長時間延長することが可能で2,000マイルの飛行が可能となる。
  6. クウェートの基地からイスラム国の拠点地モスルまで往復1,200マイルで、イラク政府軍が奪回を急ぐファルージャまでは400マイル短くなる。
トルコのインチリック航空基地に着陸しようとするEA-6B、 2016年4月撮影. U.S. Marine Corps photo
  1. ペンタゴンはプラウラーの話題では口を閉じているが、米海軍安全本部は同機がイラク上空で情報収集活動についていると認めており、おそらく2014年に投入されていたのだろう。その理由としてダグラス・デヴオノ海軍大尉は同本部発行のApproach誌上で2015年3-4月号で乗機EA-6Bの空調が飛行中に故障したと伝えている。
  2. 「イラク上空の長時間飛行中に発生した」とあり「NTISRミッションの最中だった」と述べている。
  3. 記事では当該機の所属は明示していないがAP通信が同大尉が家族と映る写真を2014年11月に配信しており、キャプションでは空母USSジョージ・H・W・ブッシュ航空隊所属としている。
  4. ブッシュは9か月に及ぶ海上任務からヴァージニアの母港に戻ったばかりだった。艦載機はプラウラー5機も含め空爆他のミッションをイスラム国相手に実施していた。
  5. これが海軍のプラウラーに最後の実戦展開となった。空母の帰還から7か月して海軍は同機運用を終了している。
  6. 一方で海兵隊は同機を電子戦機材として少なくとも2019年まで使う予定で、イスラム国戦に投入していくようだ。
  7. 3月27日に空軍中将チャールズ・ブラウンが中東地区の最上級将官として報道陣に情報収集増強の必要性を話している。「もっと情報があれば民間人被害を最小限に食い止めつつ精密攻撃を継続できる」
  8. ペンタゴンはイラク、シリア両国で空中情報収取活動を広げる必要に迫られている。さらにスパイ機や無人機はアフガニスタンやイエメンの上空も飛行する必要がある。
  9. 空軍は監視偵察機を要注意地区のウクライナや南シナ海上空にも飛ばす必要があり、ブラウン中将にとってプラウラー隊がイラク上空にあることは心強いにちがいない。
  10. 海兵隊のF/A-18ホーネット戦闘爆撃機も臨時に情報収集ミッションをプラウラー同様に行えるが、ホーネットはすでに酷使気味である。予算削減の上ずっと遅れたままのF-35ステルス戦闘機に予算が流れるため、海兵隊航空部隊はホーネットを飛行させるだけで精一杯の観がある。
  11. 2016年4月20日には海兵隊で航空部門トップのジョン・デイヴィス中将がワシントンの議会で海兵隊保有のジェット機材で飛行可能な状態なのは32パーセント90機未満しかないと驚くべき発言をしている。
  12. 海兵隊もゆくゆくはEA-6Bの後継機種としてF-35を投入する。だが共用打撃戦闘機の実用化が数年先のままで最前線に大きなしわよせがきており、機齢45年のプラウラーは当面第一線でがんばるしかない。
  13. イラク、シリア、ペンタゴン、海兵隊で状況がこのままだと、海兵隊プラウラー乗員は通常ミッションに加え情報収集任務を覚悟しなければならない。