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2025年10月31日金曜日

15万ドルという驚きの価格の小型巡航ミサイルが登場(TWZ)―低価格スタンドオフ兵器の開発が活発になっているのもウクライナ戦の影響でしょう

 

ラグナロク小型巡航ミサイルは長射程低価格スタンドオフ兵器で、その他にも開発が活発になっているのもウクライナ戦の影響でしょう

クレイトスから発表の低コスト巡航ミサイルは80ポンド弾頭で500海里を飛行可能とある

Kratos ragnarok cruise missile on an XQ-58.

KRATOS

コストのスタンドオフ兵器拡大を続けているクレイトスも低コスト巡航ミサイル(LCCM)「ラグナロクRagnarok」で市場に参入した。

名称は、北欧神話における世界の終焉に因んだもの。クレイトスのXQ-58ヴァルキリー無人機の兵装ベイに収納可能。同社によれば、同ミサイルの射程は500海里で、80ポンドの弾頭を搭載可能し高度35,000フィートでマッハ0.7の巡航速度を維持できる。

ラグナロクはXQ-58の内部と主翼に搭載される。(クレイトス提供)

これらの性能数値(少なくとも公表値としては)は非常に印象的だが、価格がそれ以上に驚くべきものだ。クレイトスによれば、100発単位での単価は15万ドルとなる。購入数量が増えれば、この数字はさらに、おそらく大幅に低下しそうだ。

同ミサイルの性能とコストの数値は、米空軍が以前表明した同種兵器の目標と完全に合致している。

ラグナロクの設計上のその他の特徴として、構造に炭素複合材を多用していること、コンパクトな保管・輸送のための革新的な翼折り畳み機構、そして武器ベイ、主翼、パレットからの展開能力が挙げられる。XQ-58ヴァルキリーをホスト機として明確に想定して設計されている点は、クレイトスに大きな強みとなる。ステルスドローンは様々な顧客、特に米海兵隊から強い関心を集めている。戦闘機、先進ドローン、爆撃機、輸送機に加え、その小型化により重量が許せば攻撃ヘリコプターを含む非伝統的な航空機への展開も可能となる。米特殊作戦軍小型巡航ミサイルに強い関心を示しており、類似のミサイルを試験中だ。

エグリン空軍基地から試験飛行に発進するXQ-58(米空軍/サミュエル・キング・ジュニア撮影)

発表資料には地上発射型や誘導パッケージ、弾頭以外のペイロードオプションの言及がないが、本誌はプログラムの詳細について追加情報を求めている。

クレイトスは現在の防衛調達で独自のニッチ市場を見出している。そのルーツは主に標的ドローンにあるからだ。消耗品日回無人航空機を生産する過程で培われた専門技術は、現在急増中の低コスト長距離兵装や連携戦闘機材(CCA)、その他手頃な価格の高度自律型無人システムの開発にも転用されている。

低コスト巡航ミサイルの開発競争は激化しており大手から中小企業まで多様な提案を持ち込んでいる。だがクレイトスのように、比較的高度でありながら低コストの機体を確実に製造できる実績を持つ企業は少ない。米国や外国の新たな需要に応えるため、この分野での競争は急速に激化している。ウクライナは米空軍のプログラム「拡張射程攻撃弾薬(ERAM)」を通じて開発された低コストの巡航ミサイル型兵器を数千発受け取る予定だ。しかし他の米国同盟国・パートナー国、そして米軍自体もERAM計画の恩恵を受ける可能性がある。ERAM経由か他プログラムかはともかく、先進兵器の備蓄不足が問題視される中、米軍によるこの種の兵器購入は明らかに目前に迫っている。

クレイトス・アンマンド・システムズのスティーブ・フェンドリー社長は、同社公式発表で次のように述べている:

「ラグナロクLCCMは、予算制約の中で実戦配備されるシステムを決定する現実を踏まえつつ、現代の戦闘員の進化するニーズを満たす高性能攻撃システムをヴァルキリー向けに開発する当社の決意を示すものだ…モジュラー設計により、搭載・発射オプションにおいて最大の戦闘能力を提供する。最近話題となったノースロップ・グラマンのランバージャックと補完的な能力を持つこの新クラスの兵器は、無人・有人両方の用途をサポートし、コストパフォーマンスの面でその価値を証明しつつある。」

先に述べた通り、本誌はクレイトス社に対し、ラグナロクとその進化構想、そして正確な開発状況について数多くの質問を投げかけている。同社はリリースで「生産準備完了」と表明している。

更新情報:

クレイトスが質問に部分的に回答した。ミサイルの総重量は「175ポンド級」と説明している。数百マイルを飛行し80ポンドの弾頭を搭載可能なミサイルとしては極めて軽量なため、改めて確認している。

弾頭以外のペイロード搭載能力については、「センサーや電子機器を搭載可能」と回答があった。

地上発射型ミサイルについては「理論上は可能であり、地上発射システムも構築できる。ただし現時点では空中発射に重点を置いている」と述べた。■


Ragnarok Mini-Cruise Missile With Big Range Targets $150K Price Tag (Updated)

Kratos has unveiled its low-cost cruise missile that it says can fly a whopping 500 nautical miles while carrying an 80-pound payload.

Tyler Rogoway

Published Oct 16, 2025 7:42 PM EDT

https://www.twz.com/air/ragnarok-mini-cruise-missile-with-big-range-targets-150k-price-tag

タイラー・ロゴウェイ

編集長

タイラーは軍事技術・戦略・外交政策の研究に情熱を注ぎ、防衛メディア分野でこれらのテーマにおける主導的な発言力を築いてきた。防衛サイト『フォックストロット・アルファ』を創設した後、『ザ・ウォー・ゾーン』を開発した。

2025年5月11日日曜日

クレイトスがランディングギア装備のヴァルキリーを公開(Aviation Week) — これまでのXQ-58は帰還時にネットで回収する前提だったんですね

 

Kratos

クレジット:クレイトス


レイトス・ディフェンス・アンド・セキュリティ・ソリューションズはXQ-58Aヴァルキリーの第2バージョンを発表した。

 「滑走路の柔軟性/滑走路の独立性は、最大限の作戦上の有用性をもたらす」と、クレイトスは新しいコンフィギュレーションのイメージ図を含むソーシャルメディアへの投稿で述べている。

 このメッセージは、XQ-58Aの当初の設計コンセプトからの転換を意味する。数年前に構想が浮上したとき、クレイトスはロケットによる離陸とパラシュートによる着陸を必要とするオリジナルのヴァルキリー設計で滑走路独立性を実現した。

 結局、米空軍はCCA運用プロトタイプの最初の増分で滑走路ベースの大型無人航空機システム(UAS)を取得すると決定した。 クレイトスはまた、XQ-67オフボード・センシング・ステーション・プログラムにデミゴルゴンと呼ばれる着陸装置を装備した大型UASを提供する入札で敗退し、最終的にジェネラル・アトミックス・アエロネイバル・システムズが落札した。

 しかし、海兵隊は2023年にXQ-58Aへの関心を復活させ、実験的なプロジェクト・イーグル用に2機を納入する契約をクレイトスに交付した。 

 昨年、プログラムが飛行テストに移行する中、クレイトスはXQ-58Aのオリジナルバージョンが滑走路離陸を可能にするトロリーベースの着陸装置を明らかにした。

 同時にクレイトスCEOのエリック・デマルコは、ペイロードを犠牲にしてまで内部着陸装置システムを追加したXQ-58Aの第2バージョンに着手したことを明らかにした。「ヴァルキリーでは、ロケット打ち上げができるようになります」。 

 クレイトスの無搭乗機部門の社長スティーブ・フェンドリーは、最近本誌にこう語っている。 「内部ペイロードの容積の一部を放棄しても、外部ペイロードはすべて維持できます」。

 海兵隊は、提案されている海兵隊航空地上任務部隊無人遠征戦術機(MUX-TacAir)プログラムで、将来型CCA設計を選択することを計画している。 MUX-TacAirは、ロッキード・マーチン社F-35Bを補強し、戦闘や偵察の任務に従事する無人航空機を指す。■


Kratos Reveals Landing Gear-Equipped Valkyrie Version

Steve Trimble April 15, 2025

https://aviationweek.com/defense/aircraft-propulsion/kratos-reveals-landing-gear-equipped-valkyrie-version

スティーブ・トリンブル

ワシントンDCが拠点のAviation Week Networkの軍事航空、ミサイル、宇宙担当。


2024年12月17日火曜日

クレイトスの新型UCAVタナトスが初飛行を実施(Aviation Week)

 

Kratos Thanatos UCAV

Credit: Kratos


レイトス・ディフェンス・アンド・セキュリティはタナトス無人戦闘航空機の初飛行を完了した。

 クレイトスの無人システム部門の社長であるスティーブ・フェンドリーSteve Fendleyは、今後6〜12ヶ月の間にシステムが進化するにつれて、より多くのことを学びたいと本誌に語った。同社は初飛行の時期については明言せず、ここ数カ月以内としている。

 クレイトスは2023年11月にタナトスのデザインを発表し、エリック・デマーコEric Demarco最高経営責任者(CEO)は決算報告で、1年以内に契約を結びたいと述べた。デザインには、2つの吸気口と1つの排気口を持つ単発UCAVと思われるものが描かれている。 機体には垂直尾翼と水平安定板がなく、同社のステルスアプローチを示している。

 フェンドリーは12月7日、レーガン国防フォーラムでのインタビューで次のように語った:「タナトスの飛行は事実上実証済みです。当社は、機体が飛ぶかどうかではなく、統合されたシステムが任務を遂行できるかどうかを試しているのです」。

 クレイトスは、空軍の共同戦闘機(CCA)プログラムの今後の増分に強い関心を持っていると言う。最初の調達分はアンドリルジェネラル・アトミックスに授与された。フェンドリーによれば、CCAは、第5世代戦闘機で行われていることを補強し、第4世代戦闘機からオフボード・システムを導入することで、生存しやすくするという。 例えば、ボーイングF-15やロッキード・マーチンF-16のような第4世代戦闘機に対して、大きなスタンドオフを提供するために、電子戦に「初期の高い焦点」を当てることが挙げられる。

 同社は、米海兵隊(USMC)と空軍双方とXQ-58ヴァルキリーで進行中の仕事をしている。

 フェンドリーによれば、ヴァルキリープログラムは、10月に行われたエメラルド・フラッグ演習を含め、テストにおいて「さまざまな作戦ミッションセットの統合」に重点を置いているという。そのミッションの間、XQ-58Aは初めて「キル・チェーンを閉じる」ためにターゲット・データを米海兵隊のロッキード・マーチンF-35Bに転送した、と彼は言う。

 海兵隊はXQ-58のようなシステムを最終的に実戦配備することに興味を示しているという。

 クレイトスが主張する作戦に関連する側面のひとつは、バルキリーが滑走路に依存しないことである。

 「国防総省は滑走路の独立性こそ王道だと言ってきた。とはいえ、クレイトスは引き込み式の通常型離着陸システムにも取り組んでいる。

同社は、製造可能性を念頭に置いてUCAVを設計している。例えば、同社はヴァルキリーについて、1,000機生産に何が必要かを尋ねられた。 この研究では、クレイトスは自社設計とパートナーからのエンジンの両方を使用することを検討しているため、推進力がネックになる可能性が高いことが示された。その結果、生産に要する時間は「それほど長くはないが、エンジンが制約になる」と彼は言う。

 同社はドローンやその他の小規模な用途をターゲットとしたエンジンを自社製造しており、7月にはGEエアロスペースと協業を発表し、CCAを含むシステムでのスケーラブルな用途を開発している。

 「最初から生産を前提に製造しています。これは、当社自身のシステムにおいても、また独自システムを開発したいと考える他の企業と協力する上でも、かなり有利です」とフェンドリーは言う。

 クレイトスはドローンで幅広い経験を持つ。国防総省が対無人航空機システムに重点を置くようになるにつれ、同社の業務は大幅に増加すると予想される。同社のBQM-167、BQM-177、MQM-178 Firejetはいずれもハイエンドの対UASに使用できる。例えば、FirejetはイランのShahedドローンを効果的なエミュレーションし、他のドローンは「さらに高い能力」を提供するだろう、と彼は言う。■



ブライアン・エバースティン

2021年8月にアビエーション・ウィーク誌に加わる前は、エアフォース誌で国防総省を担当していた。 ブライアンは2011年に『ミリタリー・タイムズ』の記者として防衛航空を取材し始めた。


Kratos Conducts First Flight Of Thanatos UCAV

Brian Everstine December 11, 2024

https://aviationweek.com/defense/aircraft-propulsion/kratos-conducts-first-flight-thanatos-ucav



2023年11月6日月曜日

クレイトスが新型先進ステルスドローンのデザインを公開、米国には一体何機の闇のプロジェクトの機体があるのだろうか。全機が実用化される保証はないのだが.....

 

KRATOS Defense





The War Zoneの記事からです。


クレイトスは、来年までに米空軍から契約を得たいとしている


クレイトスKratosは、タナトスThanatosドローンのレンダリングを初めて公表した。想定する顧客の具体名はないが、構想図に米空軍のロゴが含まれており、空軍が目指すCollaborative Combat Aircraftプログラムまたは他の先進的なドローン・プロジェクトと関連の可能性がある。タナトスとはギリシャ神話に登場する死を象徴する人物だが、同機の情報はまだ限られており、The War Zoneは照会中だ。

 クレイトスの2023年第3四半期決算発表の一部として公開されたもので、2025年に同社の成長につながる可能性のある「新規プログラム」の1つとして名前が挙げられた。

 クレイトスのエリック・デマルコ社長兼最高経営責任者(CEO)はプレスリリースで、「当社は、タナトスを含むクレイトスの戦術ドローンシステムに関して、顧客と協議中であり、来年の契約を望んでいる」と述べた。

 クレイトスによるタナトス開発は2019年から知られていたが、これまで詳細は発表されてこなかった。また、同社のポートフォリオに機密扱いの無人機が複数あることは、よく知られている。2019年にクレイトスが投資家向けに行ったブリーフィングのスライドで、タナトスやその他の機密プロジェクトに言及していた。XQ-58Aを獲得した空軍のLCASD(Low Cost Attritable Strike Demonstrator)プログラムもここで言及されている。

 レンダリングには、ショベルノーズデザイン、深いチャインライン、ブレンドされた凹型インレット、凹型エキゾーストを隠すカモノハシのようなトレーリングエッジの延長など、教科書通りの低視認性(ステルス性)要素を多数備えた無尾翼の無搭乗機が描かれている。このような尾翼デザインは、レーダーステルス機能に加え、赤外線シグネチャーを大幅に低減するのに役立つ。

 タナトスの主翼は菱形で亜音速・超音速で抵抗を低減する。

全体として、タナトスは、試験訓練や研究開発活動に使用するターゲットドローンの製造からスタートしたクレイトスが、これまで公に発表した中で最も先進的なドローンコンセプトである。

 すでに指摘されているように、レンダリングではタナトスがクレイトスのロゴと米空軍のロゴの両方を身につけている。この組み合わせは、同社が過去に空軍に提案した他のドローンのレンダリングでも見られた。このことから、クレイトスが同機の契約を望む顧客は空軍である可能性が非常に高い。

 タナトスがどのプログラムで開発されたかは不明だが、空軍は、協働戦闘機(CCA)プログラムとして、少なくとも当初は、乗員付き戦闘機と緊密に協力して運用することを目的とした、高度な自律性を持つ高度無人機の実用化を積極的に追求している。同軍はこれまでに、有人戦闘機を支援する空対空ミサイルを搭載した武器運搬車としての役割、追加的な感知ノードとしての役割、電子戦能力の提供という3つの主要任務を、CCA無人機で定義している。CCA、あるいはその亜種や派生型は、最終的にその他の任務を担い、B-21レイダー・ステルス爆撃機を含む、広範な有人プラットフォームと連携するか、単独で運用される可能性もある。

 空軍は、CCAの要件と、これらの無搭乗機をどのように使用するかについてのビジョンを練り直しているが、少なくとも1000機は取得したいと述べている。1,000機という数字は、2機のCCAを200機の新型第6世代有人ステルス戦闘機と300機のF-35A統合打撃戦闘機にそれぞれペアで搭載する作戦概念に基づくものだ。CCAの取り組みと第6世代ステルスジェット・プロジェクトは、ともに空軍の大規模な次世代航空支配(NGAD)構想の一部である。

 空軍は、10月1日に始まった2024会計年度で1種以上のCCA設計を選ぶコンペを開始したいとしており、少なくともそれらのドローンの初期バッチに関する作業は2025会計年度に開始される可能性がある。

 ステルス性の外観のタナトスが来年度の機会を狙っており、再来年には財政的に実を結び始める可能性があるというクレイトスのこれまでのコメントとこれらはすべて一致している。CCAプログラム契約をめぐる競争は熾烈を極めると予想され、大小さまざまな企業がすでに独自の提案を準備している。

 同機がCCAの競合機となる可能性は最も高いかもしれないが、タナトスは、過去にCCAの競合機となる可能性が示唆された各機構想より先進的で、コストが高くなる可能性がある。より大きなペイロードを搭載し、CCA以上に独立した運用を想定した、伝統的な無人戦闘機(UCAV)になる可能性もある。

 クレイトスは近年、他の取り組みの一環としてすでに空軍と深く関わっている。これには、クレイトスのXQ-58AヴァルキリーとUTAP-22メイコMakoドローンを高度な自律性開発プロジェクトやその他の試験・評価作業の一部として使用することも含まれる。

 NGADに関することだけでも、その多くは厳重に機密扱いのままであり、他にも空軍の先進的なドローン開発が「闇」の領域にある。

 タナトスのレンダリングには空軍のロゴが描かれているが、米軍で先進的なドローン能力を追求しているのは空軍だけではない。海軍は、新型有人・無人航空機を含む独自のNGAD取り組みを行っており、関連技術について空軍と積極的に調整・協力している。両軍は明確に、将来の作戦中にそれぞれのCCAやその他の無人機の制御を自由に行き来できるようにしたいと考えている。

 米海兵隊は最近、将来の無人機計画を洗練させるためのプロジェクトの一環として、クレイトスXQ-58Aの飛行を開始したばかりだ。

 クレイトスのタナトスへのビジョンがどのようなものであれ、同機のデザインを初めて見ることができた次は、詳細が明らかになってくるかもしれない。■


Thanatos Advanced Stealth Drone Design Breaks Cover | The Drive

BYJOSEPH TREVITHICK|PUBLISHED NOV 3, 2023 3:30 PM EDT


2019年9月19日木曜日

忠実なるウィングマンXQ-58Aヴァルキリーの開発現況について



Payload tests for XQ-58A set for early 2020

19 SEPTEMBER, 2019
 SOURCE: FLIGHTGLOBAL.COM
 BY: GARRETT REIM
 WASHINGTON DC
https://www.flightglobal.com/news/articles/payload-tests-for-xq-58a-set-for-early-2020-460947/

レイトスKratos Defense & Security Solutionsは通信および自律運用ペイロードを自社開発のXQ-58Aヴァルキリー無人機(UAV)に搭載する契約が2019年9月末までに成立すると期待している。
   忠実なるウィングマンとなる同機は米空軍研究本部(AFRL)と共同開発で2020年第1四半期にテストを開始する予定。今回のペイロードはAFRL事業ではなく、別の米国防関係機関による契約案件と同社社長スティーブ・フェンドレーが説明。
   同社はXQ-58Aを3機製造しており、全機が飛行可能とフェンドレーが述べている。一号機は2019年3月の初飛行以来2回飛行しており、米空軍が運用している。残る2機は同社が保有し、うち1機は年内に飛行の予定。
   「同機が機能することは判明している。今度はセンサー他システムを搭載し、航空機としての機能を試したい」「装備はウェポンベイに搭載する。ベイが機体前方に二箇所あり、全てを統合する」(フェンドレー)
   ヴァルキリーの前方はモジュラー構造のノーズコーンと機首の構造でプラグアンドプレイ方式のインターフェースを採用し、センサー類のハードウェアを簡単に入れ替えられると社長は説明。
   今後の可能性だが、とフェンドレーは前置きし、最近になり公開されたレイセオンのペレグリンPeregrine(従来の半分のサイズの中距離空対空ミサイル)をXQ-58Aで運用する構想があるという。ロッキード・マーティンのクーダCudaも空対空ミサイルの候補だという。
   同機のウェポインベイは小口径爆弾4発が入る大きさだがペレグリン空対空ミサイルなら2本収容可能とフェンドレーは述べた。XQ-58Aが空対空ミサイルで武装すれば有人機を援護するウィングマンの役目が実現し、ロッキード・マーティンF-35ライトニングIIやボーイングF/A-18E/Fスーパーホーネットとの運用が想定される。■

2017年7月27日木曜日

低価格無人機の実現のカギは低価格短寿命エンジンの開発実用化だ



Aviation Week & Space Technology

Unmanned Wingmen And Cruise Missiles Need Low-cost Engines 無人ウィングマン機や巡航ミサイルには低価格エンジンが必要だ


Jul 24, 2017Graham Warwick | Aviation Week & Space Technology
  1. 航空界の発展は推進手段の進歩で支えられてきたが無人機がこの経験則を逆転しそうだ。大型UAVは航続距離や発電容量を重視し既存エンジンを搭載することが多い。
  2. リスク軽減の計算も働いている。技術開発を機体構造や電子装備に集中し、エンジンは既存型を使う。コストも考慮されるが、大型UAVといっても製造機数はさして多くない。
  3. 今や新世代の低コスト無人戦闘航空機や巡航ミサイル搭載の想定で、エンジンメーカー各社には安価で耐用年数を絞った新型エンジン開発が求められている。新型無人機で価格引き下げようとする前にエンジン価格が障害となる。
  4. 新エンジン構想の先頭に立つのがクレイトス・ディフェンスKratos Defenseの無人機部門で現在低価格消耗品扱い攻撃実証機Low-Cost Attritable Strike Demonstrator (LCASD)を米空軍研究本部(AFRL)の忠誠なるウィングマンLoyal Wingman構想として作業中だ。
  5. 同社のLCASD試作機にはXQ-58Aヴァルキリーの制式名称がつき、マッハ0.85で4,700カイリの飛行性能を有し有人攻撃機に随行する。初飛行は2018年初頭の予定。
  6. LCASDは使い捨てではないが戦闘で喪失しても惜しくない低価格機の想定で、敵防空網の中で有人機の残存性を増す役割がある。搭載エンジンは部品数を絞り低コスト製造とし、数百時間もてばよいとする。
  7. AFRLの機体単価目標は第一期100機生産で3百万ドル、さらに機数を増やし2百万ドルだ。価格を左右するのがエンジンだとクレイトスで戦術無人機システムの事業化担当重役のジョー・ヴァレンズエラが語っている。
  8. 「エンジン以外のすべてで低価格を実現しています。エンジンコストが40%と大きな比重になっています」と7月10日に全米航空工学研研究所主催のカンファレンスで述べている。グレイウルフ戦術巡航ミサイルはもっと深刻で目標単価200千ドルでエンジンが100千ドル以上とヴァレンスエラは説明。
  9. XQ-58Aのエンジンは既成品ウィリアムズFJ33-5ターボファンでビジネスジェット用だ。「専用開発エンジンはありませんので民生エンジンを使っていますが、飛行寿命が200から300時間なのにこのエンジンは分解修理まで3,500時間も稼働するのです。
  10. 有人機用に高信頼性で長期間稼働が前提のエンジンを一回きり使用の巡航ミサイルや消耗品扱いの無人戦闘航空機用に使えば高価格になる。
  11. 「低価格エンジンが必要です。考え方を変えないといけません。永遠に動き続けるエンジンではなく、故障を受け入れます。50時間持てば5回ミッションができるので十分です。値段が受容できればですが」
  12. 低コスト短寿命エンジンにはメーカーもビジネスモデルを変えて対応する。ヴァレンズエラは保守点検、修理、分解修理は不要という。浮いた予算で年間数百基の量産が必要という。
  13. クレイトスはAFRL向けにLCASD一機のみ製造し、自社資金で二機追加生産する。うち一機を飛行テスト用、もう一機を地上テストまたは飛行テストに投入する。ヴァレンズエラは追加製造予定もあるという。
  14. 米特殊作戦軍団がXQ-58Aを遠征作戦用無人機として注目する。ヴァレンズエラは同機をUAVとミサイルのハイブリッドと表現する。前線基地に展開貯蔵しておいて必要に応じ多様なミッションを実施できるという。
  15. 「補給施設での整備は不要の想定で、飛行できなくなったと判断すれば廃棄するのです」という。クレイトスが消耗品扱い機材分野に参入したのは標的機メーカーCEIの吸収後だ。標的機は平均6回の飛行で役目を終える。「標的機で当社は消耗品扱い機材を製造しているのです」(ヴァレンズエラ)■