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2021年7月1日木曜日

中露への抑止力発揮のため、米海軍も通常型潜水艦を整備し、日米共同戦隊を展開すべきだとするホームズ博士の持論をお聞きください。


https://www.reutersconnect.com/all?id=tag%3Areuters.com%2C2017%3Anewsml_RC1BE7450D00&share=true

 

海軍にはディーゼル電気推進式潜水艦部隊を整備すべき理由がある。SSKsで西太平洋での戦闘を抑止できる。米国の対応力を示せるからだ。抑止効果とは戦力そのものとあわせ、戦力を行使する意思を示すことで実現する。敵は相手の戦闘能力に打撃を与えられないと判断し顔面蒼白となる。端的に言って、弾力的な対応力が抑止効果が生む。開戦となれば、ディーゼル艦をたくみに利用することで米国ならびに同盟国なかんずく日本が戦闘を有利に進められる。

 

もう一度通常型潜水艦を整備すべき理由を列挙しよう。SSKsは連合軍部隊の中核を構成する。海上自衛隊と共通仕様の艦を採用し、両国共同部隊を編成し、戦隊を常時配置することで米国は日本防衛のリスクを負担する姿勢を示せる。日本も米国の姿勢から自信を深められる。両国の同盟関係が強化される。有事に米国が常に横にいてくれるとわかれば日本も安堵できる。米国が同盟国を信頼する意味は大きい。米国はアジア各地の基地なくしてアジアに戦略的プレゼンスを維持できない。そこで米海軍戦力の一部を多国籍部隊に編入することほど各国間の団結を示せるものはない。また各基地の利用が保証される。

 

さらに、戦略環境面でこうした艦は中国あるいはロシアの動きを第一列島線内で食い止める連合国の海洋戦略で大きな役割を果たす。原子力潜水艦支持派はディーゼル艦は海峡封鎖作戦や狭い海域での潜航には不適と主張している。逆に推進派はSSNsの利点を列挙している。たとえば制限なく潜航できる、高速移動できるなどだ。

 

だが、これは正しくない。SSKsがSSNsと同じである必要はない。今のままでも十分仕事ができるし、価格面で大量整備が可能だ。この点で原子力潜水艦派はディーゼル潜水艦のこれまで長い間にわたり達成してきた成果を否定している。米海軍太平洋艦隊の潜水艦戦隊は日本帝国海軍を第二次大戦中に苦しめ、列島線で活躍した。大戦中に水中戦が決定的な意味を持つと証明された。海上自衛隊もソ連、中国の水上艦航行に同様の戦術を冷戦期に展開した。歴史を否定してまでSSKsの効用を否定するのは説得力がない。

 

列島線の防衛で、日米の潜水艦部隊が高速水中速度と無限の潜航時間を有するSSNsで構成する理由はない。SSNsは大洋でこそ優れるものの、防御任務では過剰性能で高額投資になり、無駄な存在だ。米日潜水艦部隊は封鎖作戦に当たり、水上艦艇、島しょ部に展開するミサイル部隊、航空機、機雷敷設部隊と共同で任務遂行するはずだ。重要地点に配備する潜水艦は音を立てず列島線沿いにステルス性能を発揮し敵攻撃のチャンスを待つ。

 

ディーゼル艦ならこれが可能だ。連合軍は定期配備できる規模として潜水艦数を十分にする必要があり、戦闘損失を補う予備艦が必要だ。米日潜水艦部隊は十分な規模を維持しローテーションで琉球諸島への配備を維持する。ここに米潜水艦10隻余りが加われば、水上艦攻撃を黄海、東シナ海、オホーツク海でも実行する余裕が生まれる。こうした適正規模の戦力がSSNよりはるかに低予算で実現できる。低単価で大量調達が可能となる。隻数が多いほどよい。そうりゅうディーゼル艦の建造単価は最新の米ヴァージニア級SSNの32億ドルに対し631百万ドルなので、原子力潜水艦1隻の予算で4隻建造できる。ヴァージニア級3隻の予算があればディーゼル艦12隻が整備できる。

 

あるいは、SSN予算を使わなくても攻撃力が不足気味の沿海域戦闘艦をSSKに交換する手もある。最新のLCSの建造単価は646百万ドルでそうりゅう級に近い。LCSを断念しても、(実際に今年の予算で海軍は三隻のLCSを要求から外した)建造しないことで後悔は残らない。

 

だが、ディーゼル艦の利点は連合国の事情、戦略環境、予算事情に合致する以上のものがある。戦闘力を最も迅速に再整備できる側が戦闘に勝利をおさめることができる。海洋権力の大家アルフレッド・セイヤー・マハンやJ.C.ワイリーがこの主張に賛同するはずだ。

 

マハン、ワイリーはともに米国が大国間戦闘の緒戦で大きく劣勢に立たされると予言し、こうした戦闘こそトランプ政権下のペンタゴンが各軍に想定している種類だ。そうなれば、各軍は防衛産業各社とともに相当の戦力を整備しなければ中国あるいはロシアの戦闘初期における優位性を覆せなくなる。その後、米側は戦力を再整備し、しかも迅速にこれを進め、反撃に移る。米海軍潜水艦部隊は初期に損害を被った後で戦力を補充できるだろうか。SSN依存では不可能だ。米海軍は潜水艦建造を迅速に進め大量建造で戦闘力の立て直しを迫られる。

 

原子力推進機関含む艦建造は短時間かつ低予算で実現できない。年2隻のヴァージニア級建造で防衛産業の原子力関連製造能力が大きな負担を強いられているのは、オハイオ級の後継艦となる弾道ミサイル潜水艦の建造が別にあるからだ。そのためSSNの全体隻数は現状は増強できないままほぼ一定数に留まっている。平時に規模を維持できないとわかれば、実際に喪失が発生したらSSNの追加建造の余剰能力があるのか疑わしくなる。

 

そこで通常型推進方式に注目が集まる。SSKsは最初から大洋での任務を想定外にできる。通常型潜水艦を短期間で大量建造するインフラを確保する必要がある。米国内でディーゼル艦の建造は1950年代以降は皆無だ。そうなると日本からの調達という選択肢が出てくる。そうりゅう級の設計が成熟しており、建造所の技量も高い利点を享受できる。日本と並び米国でもディーゼル潜水艦を建造する選択肢もあろう。あるいはその両方になる可能性もある。

 

ということで、外交、戦略、予算、作戦、戦術の各面からディーゼル潜水艦を調達すれば、既存の原子力潜水艦部隊を支える存在になることがおわかりのはずだ。ぜひこの方向で進みたいものである。■

 

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China's Secret Fear: A U.S. Diesel-Submarine Fleet

by James Holmes

June 30, 2021  Topic: U.S. Navy  Blog Brand: The Reboot  Tags: SubmarinesMilitaryTechnologyWorldSSKSSNChinaJapan

 

James Holmes is J. C. Wylie Chair of Maritime Strategy at the Naval War College and author of “Visualize Chinese Sea Power,” in the current issue of the Naval Institute Proceedings. The views voiced here are his alone.

This piece first appeared in 2018 and is being reprinted due to reader interest.

Image: Creative Commons. 

 


 

2017年10月31日火曜日

★★米海軍が通常型潜水艦建造に向かう可能性



この記事では通常型潜水艦の優位性がいまいち明確にとらえられていないと思うのですが、まず原子力潜水艦ありきの米海軍が考え方を変えたとしても通常型潜水艦建造の技術基盤がない米国が日本に協力を持ち掛けてくるはずなので潜水艦事業に大きな変化をもたらすのは必至でしょう。
そうりゅう級(あるいは後継艦)を米海軍が採用すれば日本の防衛産業にとっては画期的な事態となりますね。ただしこれは東アジアでの安全保障を見直したいという米国の一部の流れとは逆に日本との協力関係の強化になってしまうので、日本には好都合と言えるのですが、米国本流のの考え方にはなじまないでしょう。日本の地理的優位性を精一杯活用すべきでしょうね。

 


Is It Time for the U.S. Navy to Start Building Non-Nuclear Stealth Submarines?

米海軍は通常型潜水艦建造に踏み切るべき時に来たのか
October 29, 2017

  1. 米議会とトランプ政権がウォールストリートジャーナルのロシア海軍潜水艦の記事を読めば、米国も真剣に通常型潜水艦調達を検討すべきと言い出すのではないか。
  2. ジュリアン・E・バーンズ記者の記事ではロシアの通常型潜水艦とNATOの間で追跡劇が3か月続いたと暴露している。バーンズは「ロシアの攻撃型潜水艦クラスノダールKrasnodar,は5月末にリビア沿岸を離れ地中海を東に向かい、その後潜航し、シリアに巡航ミサイル数発を発射した」と伝えている。
  3. バーンズ記者はNATO部隊が同艦を一貫して追跡していたと明らかにした。まずオランダが北海で同艦を捕捉し英仏海峡まで追尾した。ジブラルタルからは米巡洋艦がP-8の支援で地中海で追尾した。
  4. モスクワは同艦がリビアに向かい演習参加すると発表していた。実際には到着する前に浮上し5月末にシリアに向け巡航ミサイルを発射している。問題は米空母打撃群が6月はじめに同じ地域に向かっており、対ISIS作戦の実施を始めようとしていたことだ。このためロシア潜水艦の位置確認は特に重要になった。米関係者は「潜水艦一隻でも空母のような主力艦に脅威になる」ためと説明している。
  5. バーンズは詳細に触れており、米海軍や同盟国が潜水艦を追尾する方法各種や潜水艦が追尾から逃れる戦術も書いている。ただし記事からは西側海軍部隊がロシア潜水艦追尾にどこまで成功したか不明だ。米海軍関係者は同艦の二回目ミサイル斉射の様子はフランス海軍フリゲートが把握し、米海軍も空中監視していたと述べている。NATOがこのロシア潜水艦の追尾に苦労したのなら、中国やロシアが米潜水艦の追尾はできないことは明らかだ。
  6. 記事から明らかなのは米国や同盟国は相当の努力を投入してクラスノダールを追尾したことだ。これは相当困難な仕事だ。米国は世界最高の対潜戦能力を有すると自負しており、同艦追尾に必要な前方配備基地や同盟諸国を有していることが重要だ。もし米およびNATOが潜水艦追尾可能ならロシアや中国では西側潜水艦の追尾は不可能となるはずだ。
  7. クラスノダールがとくに高性能通常型潜水艦でない点が要注意である。同艦はプロジェクト636.3ヴァルシャヴャンカVarshavyanka級潜水艦だ。ロシアは世界で最も静粛な潜水艦と自慢する636.3型はキロ級を改良し低価格が特徴だ。2009年にはヴィエトナムに同型艦6隻をわずか20億ドルで供給する契約に調印している。(価格には乗員訓練および予備部品を含む)対照的に米国は原子力潜水艦一隻で27億ドルを支払う。通常型で最大かつ最高性能と言われる日本のそうりゅう級は単価5億ドル超といわれる。つまり原子力潜水艦一隻の単価でディーゼル電気推進型潜水艦が5隻ないし7隻建造できる。
  8. 355隻艦隊を整備しようとする米国 には通常型潜水艦調達を真剣に検討し原子力潜水艦の補完機能を実現する必要がある。これは大きな変化となる。米海軍の最後の通常型潜水艦建造は1950年代で、1990年以降は運用していない。ここにきてディーゼル電気推進式潜水艦建造構想に勢いがついてきた。今年初めには議会の求めに応じ2030年代の海軍艦船構成を検討したMITREコーポレーションが通常型潜水艦の配備を求めた。
  9. 米海軍側がこの要望をはねつけ、通常型潜水艦では海中環境、補給面、性能面で制約があると反論したのは自然な反応といえる。だがこれに対しいずれも制約条件ではないとの主張が出てきた。ジェイムズ・ホームズJames Holmesが海中環境は潜水艦を米国配備した際にのみ制約となると主張。日本への前方配備なら米本土配備の原子力潜水艦に対して有利だと述べている。同様にホームズの指摘では補給面でも日本を利用すれば克服可能という。ディーゼル電気推進式潜水艦だけでなく海軍の他の艦艇にもメリットが生まれるという。
  10. 性能面で高性能ディーゼル電気推進式潜水艦は特に脆弱なわけではない。ホームズは日本のそうりゅう級は二週間に一度浮上するだけでいいという。原子力潜水艦並みの潜航期間は無理だが、ヴァージニア級攻撃型原子力潜水艦一隻の値段でそうりゅう級5隻を導入できると主張。単艦の性能で原子力潜水艦にかなわなくても数の威力でカバーできるとした。
  11. たしかに大洋なら原子力潜水艦の性能が活用でき、長期間展開能力、潜航深度で他の追随を許さない。一方で浅深度海域や閉鎖系海域のペルシア湾や南シナ海では大気非依存型推進(AIP)搭載の潜水艦が望ましい選択になる。この事から議会、トランプ政権に対し原子力潜水艦のみの調達方針を再考すべきと求めたい。■
Zachary Keck (@ZacharyKeck) is a former managing editor of the National Interest.
Image: A Russian made Iranian navy Kilo class submarine takes part in Iranian naval exercises in the Persian Gulf November 2, 2000. Iranian navy maneuvers on both sides of the strategic strait of Hormuz will continue until November 6, 2000.