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2025年10月14日火曜日

フォード級とニミッツ級超大型空母の違い(National Security Journal)

 

米海軍の超大型空母構想がたどり着いたフォード級はニミッツ級から相当変化しているのがわかりますが、戦闘の様式がどんどん代わる中、海軍でエリートとなっている航空士官エイビエイターが頂点となった文化にしがみついていると有人機運用空母しかも巨体の艦があたかも古の恐竜のように適応できなくなる可能性もあります。

The U.S. Navy Gerald R. Ford–class aircraft carrier USS Gerald R. Ford (CVN-78) and the Nimitz-class aircraft carrier USS Harry S. Truman (CVN-75) underway in the Atlantic Ocean on 4 June 2020, marking the first time a Gerald R. Ford–class and a Nimitz-class aircraft carrier operated together underway.

2020年6月4日、大西洋上で航行中の米海軍ジェラルド・R・フォード級空母「USSジェラルド・R・フォード」(CVN-78)とニミッツ級空母「USSハリー・S・トルーマン」(CVN-75)。フォード級とニミッツ級の空母が同時に航行するのはこれが初めてである。


主なポイントと概要 

フォード級空母はニミッツ級から大幅な改良を施す:電力供給量を3倍にするツインA1B原子炉;EMALSカタパルトと先進着艦装置により、円滑で高頻度の飛行作戦を実現。アイランドを小型化した広い飛行甲板。広範な自動化で乗組員を500~900名削減。SPY-3/Xバンド・ボリュームサーチレーダー、シースパロー、RAM、ファランクスを含むモジュラー式センサー/防御システム。

ニミッツ級蒸気カタパルトは信頼性が高いが機体への負荷が大きく、超軽量UAVの発進には不向き。

フォード級空母。画像クレジット:クリエイティブ・コモンズ。

フォード級は1日あたり160機(緊急時220機)の出撃を目標としつつ、整備負担を軽減。結果:同等の排水量でありながら、数十年にわたる運用期間中に将来のシステムや無人航空機を統合するための大幅な成長余地を確保。

ニミッツ級とフォード級空母の相違点は?

ジェラルド・R・フォード級空母は、米海軍の超大型空母であるニミッツ級の後継艦である。

空母の時代は終わったのかという議論が傍らで激化する中、米国は軍事力を投射で引き続き空母打撃群に依存している。中国も明らかに空母の力を信じており、自国の新型空母を建造中である。

ニミッツ級空母とその打撃群は米海軍の中核をなす。これらの近代的な空母は世界のどこにでも膨大な戦力を投射できる。しかし海軍は2007年、ニミッツ級の代替を発表した。

ジェラルド・R・フォード級の1番艦はUSSジェラルド・R・フォード(CVN-78)である。後継艦として、ジョン・F・ケネディ(CVN-79)、エンタープライズ(CVN-80)、ドリス・ミラー(CVN-81)が建造予定である。

フォード級空母は、全電気式動力システムや電磁式航空機発進装置(EMALS)による効率的な航空機運用など、大幅な技術的進歩を特徴とする。

自動化の進展により乗組員数と保守需要が削減され、先進的な防御システムには新型レーダーと将来技術の統合のためモジュール式能力が含まれる。

主要な構造変更点として、小型化され後方に配置されたアイランドが挙げられる。これにより飛行甲板が拡大され、航空機の離着艦運用が高速化された。フォード級は排水量10万トンと大型化したが、自動化により乗組員が500~900名削減されている。

原子炉出力

フォード級空母は2基の新型ベクテルA1B原子炉を搭載している。これらの原子炉はニミッツ級A4W原子炉より小型で構造が単純、かつ少人数の乗組員で運用可能でありながら、はるかに高い出力を実現した。

各原子炉は300MWの電力を生成可能で、A4Wの100MWの3倍に相当する。フォード級原子炉の発電量は驚異的であり、空母の全需要を十分に賄う。

この原子炉は、前世代機に比べバルブ、配管、一次ポンプ、凝縮器、発電機の数が約半分である。蒸気発生システムは200個未満のバルブを使用し、配管はわずか8種類のサイズを採用した。これらの改良により、構造が簡素化され、保守作業が軽減され、要員要件が低減されただけでなく、よりコンパクトなシステムとなり、艦内の占有スペースも削減された。

動力装置の近代化により、炉心エナジー密度の向上、ポンプ動力要求の低減、構造の簡素化、さらに最新の電子制御・表示装置の採用が実現した。新動力装置で監視要員の必要数が従来の3分の1に削減された。

電磁式航空機発射システム

ニミッツ級空母は航空機発射に蒸気カタパルトを使用している。

蒸気カタパルトは1950年代に開発され、極めて高い信頼性を実証してきた。50年以上にわたり、各空母の4基のカタパルトのうち少なくとも1基は、99.5%の確率で航空機を発進させることができた。

しかし、欠点もある。第一に、カタパルトによる航空機の摩耗への懸念がある。

蒸気システムは巨大で非効率的、制御も困難である。ニミッツ級空母の蒸気カタパルトは大型機の発進には適するが、軽量の無人航空機(UAV)には対応できず、21世紀のプラットフォームとしては許容できない制約である。カタパルトは1950年代の技術であり、更新が必要だ。

EMALS(電気式カタパルト発射システム)はより効率的で、小型・軽量・高出力かつ制御が容易である。

制御性の向上により、EMALSは蒸気カタパルトより重い機体と軽い機体の両方を発進させられる。さらに制御された力を使うことで機体への負荷が減り、メンテナンス削減と寿命延長につながる。

EMALSは旧式カタパルトより25%多い出撃回数を可能にする。ニミッツ級は電力制限のためEMALS搭載は不可能である。

フォード級は最大90機の航空機を搭載可能で、F-35ジョイントストライクファイターF/A-18E/FスーパーホーネットE-2DアドバンストホークアイEA-18Gグラウラー電子攻撃機、MH-60R/Sヘリコプターに加え、無人航空機および戦闘車両を含む。

1日あたり160出撃(危機時・航空戦時には最大220出撃)という高い出撃率の要求が、飛行甲板の設計変更につながった。

レーダーシステム

新空母はイージス方式のXバンドAN/SPY-3イージスレーダーと、捜索・追跡・複数ミサイル照射が可能なSバンド体積監視レーダーを搭載する。

AN/SPY-3は設計上、最先端の低可視性対艦巡航ミサイル(ASCM)脅威を検知し、進化型シースパローミサイル、スタンダードミサイル、および最も困難なASCMに対処するために必要な将来のミサイル向けの射撃管制照明要件を支援するように設計されている。

このシステムはズムウォルト級駆逐艦で初めて導入された。

艦艇防御システム

フォード級は、航空機・ミサイル・小型艦艇に対するポイント防御用に、Mk-29ミサイル発射装置2基(各8発のシースパロー搭載)、ローリング・エアフレーム・ミサイル発射装置2基、ファランクス近接防御兵器システム4基を装備する。

ニミッツ級超大型空母は依然として驚異的な戦力投射プラットフォームであるがフォード級は、米海軍を今後50年にわたる海上覇権の時代へと導く。■

Ford-Class vs. Nimitz-Class: What Makes These Supercarriers So Different?

By

Steve Balestrieri

https://nationalsecurityjournal.org/ford-class-vs-nimitz-class-what-makes-these-supercarriers-so-different/

著者について:スティーブ・バレステリエリ

スティーブ・バレステリエリは国家安全保障コラムニスト。米陸軍特殊部隊の下士官および准尉を務めた。防衛分野の執筆に加え、PatsFans.comでNFLをカバーし、プロフットボールライター協会(PFWA)のメンバーである。その作品は多くの軍事専門誌に定期的に掲載されている。


2019年6月10日月曜日

米海軍空母でF-35C運用ができない...とはどういうことなのか

コメントは下にあります。

Nimitz and Ford Carriers Need Upgrades to Deploy With F-35Cs ニミッツ級フォード級空母にはF-35C供用に改修が必要


June 6, 2019 3:37 PM • Updated: June 7, 2019 6:09 AM
An F-35C Lightning II assigned to Strike Fighter Squadron (VFA) 101 is positioned on the bow catapults of the Nimitz-Class aircraft carrier USS Abraham Lincoln (CVN-72) March 17, 2018, in the Atlantic Ocean. US Navy photo
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時点でF-35CライトニングII供用打撃戦闘機の運用が可能な米海軍空母は1隻しかないとUSNI Newsが6月6日に報じている。

今週はじめに議会が海軍へ不満を表明した。フォード級空母をF-35Cの運用体制がないまま受領し2020年度国防予算認可法の成立を期待しているからだ。F-35C運用可能な艦はニミッツ級空母USSエイブラハム・リンカン(CVN-72)のみだ。

「ニミッツ級、フォード級の空母はもともとF-35C運用に対応した設計なのですがF-35の性能をフルに引き出すためには艦内に専用区画を設けたり強力なジェット排気を偏向させるなど改修が必要なのです」と海軍報道官ダニエル・ヘルナンデス大佐がUSNI Newsに伝えてきた。

現状でも各空母でF-35Cの離着艦は可能だが機体を艦内で長期運用する設備が未整備のままといことである。

「F-35C用にCVN-78、CVN-79の改装が引き渡し後の整備時に予定されているが実施時期はF-35Cの第一線就役時より前となる」とヘルナンデス大佐は述べている。「CVN-78、CVN-79では予算サイクルで盛り込み済みだがCVN-80、CVN-81では建造時から盛り込むため後日改装は不要となる」

下院軍事委員会シーパワー兵力投射小委員会は海軍の想定改装日程を前倒しし2020年度国防予算支出認可法でフォード級二号艦ジョン・F・ケネディ(CVN-79)ではF-35運用能力を付与しないままの引き渡しを禁止させようとしている。
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各艦が搭載するカタパルトや着艦装備は現状のままでもF-35C運用に問題はない。

F-35Cの拘束着艦はニミッツ級空母で2014年11月3日に実施されている。

海軍は必要な空母改修は今後数年以内に実施したいとする。F-35Cで初の実戦部隊VFA-147はUSSカール・ヴィンソン(CVN-70)に2021年に配備される予定だ。同艦は現在ワシントン州ブレマートンのピュージェットサウンド海軍工廠で34.3百万ドルの整備中で工期は2020年7月までと海軍は公表している。■
  

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一部に電磁カタパルトの不具合などが取り沙汰されていますが、記事が本当なら実態は違うようですね。単に離着艦させるのは可能だが、空母で運用体制がまだ未完ということでしょうか。でも考えてみれば変な話でF-35Cの採用波及に決まったわけではありません。つまり米海軍としてはF-35Cの導入に積極的ではないというこでしょう。F-111でも海軍は採用を見送りましたが、F-35Cも電子支援に使うなど積極的に投入するつもりはないのでしょうか。