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2024年12月17日火曜日

米駆逐艦が南シナ海でFONOPを実施(USNI News)

 

2024年11月16日、北太平洋を航行するUSSプレブル(DDG-88)。 米海軍写真

第7艦隊の発表によると、12月6日金曜日に米駆逐艦がスプラトリー諸島で航行の自由作戦を行った。

 海軍関係者がUSNIニュースに語ったところによると、USSプレブルPreble (DDG-88)はスワロー・リーフの12カイリ内を航行した。

 「中華人民共和国)、ベトナム、台湾はそれぞれ、軍艦や軍船が領海を『無害通航』する前に、国際法に違反して許可や事前通告を要求している」と第7艦隊の声明は述べている。

 「無害通航に許可や事前通告を一方的に課すことは違法である。中国、台湾、ベトナムが課したこのような違法な制限に対し、米国は事前通告することなく、また許可を求めることなく、無害通航に従事することで、異議を唱えた」。

 スワロー礁はスプラトリー諸島南部に位置し、マレーシアが管理している。国連海洋法条約第19条に基づき、軍艦は他国の海岸線から12カイリの領海内を「沿岸国の平和、秩序または安全を害しない限り」航行することができる。

 米国は、南シナ海のスプラトリー諸島とパラセル諸島を含め、世界中で定期的に航行の自由作戦を行っている。

 フィリピンとマレーシアはそれぞれスプラトリー諸島の一部で領有権を主張している。ベトナム、台湾、中国はそれぞれスプラトリー諸島全体の領有権を主張している。 CIAワールド・ファクトブックによれば、ブルネイはスプラトリー諸島の大陸棚を排他的経済水域の一部だと主張している。 スプラトリー諸島は中国本土から約740カイリ、フィリピンのパラワン島から西に110カイリ離れている。

「南シナ海における非合法かつ広範な海洋権益の主張は、南シナ海沿岸諸国の航行と上空の自由、自由貿易と妨げのない通商、経済的機会の自由を含む海洋の自由に対する深刻な脅威である」と第7艦隊の金曜声明は述べている。■



U.S. Destroyer Performs South China Sea FONOP

Mallory Shelbourne

December 6, 2024 2:39 PM


https://news.usni.org/2024/12/06/u-s-destroyer-performs-south-china-sea-fonop


2023年9月4日月曜日

九段線から十段線へ。中国の領有権主張はとどまる所を知らない。今回はインド、ネパールにも波紋。沖縄も入っているのに、日本メディアには報道しない自由を行使していていいのだろうか。

 


中国の新しい10段線地図がインド太平洋全域で反発を受けている


新発表の地図は、インド、ネパール、ベトナム、マレーシア、台湾から鋭い反応を呼び起こしている。地図はインドで開催されるG20サミットの1週間前に発表された。習近平国家主席は出席しないと言われている


 今週、中国が南シナ海の大部分に対し違法な領有権主張を更新し、インド国境沿いにも新たに領有権を追加する公式地図を発表したことを受け、怒りの波が南シナ海周辺とインド全土に広がっている。

 中国による最新の覇権主義的行動は、中国天然資源省が28日に発表した「新標準」地図の形で現れた。新しい地図は、中国が主張し、国連の海洋法法廷によって却下された9段線の主張を繰り返す一方、台湾周辺とインド北部の新たな領土を主張している。習近平国家主席が最新のBRICsサミットで「覇権主義は中国のDNAにはない」と宣言した数日後のことである。

 中国が一方的に2つの新領土を主張し、インドとネパールを怒らせている。しかし、インドだけではない。

 キャンベラにあるオーストラリア戦略政策研究所のインド太平洋専門家マルコム・デイヴィス Malcolm Davisは、「中国がインドの領土(アルナーチャル・プラデシュ州とアクサイチン州)を中国領土と主張していることが争点のようですが、同時にロシア領土(ボリショイ・ウスリースキー島)や南シナ海全域、台湾の領有も主張しています」と言う。

 台湾の近くにダッシュ記号が描かれているのは、中国が琉球の日本の島々も自国の領土と見なしているのではないかという指摘もある。中国は以前、インド領や南シナ海、台湾の領有権を主張していたが、ロシア領の領有権を再び主張し、日本領の領有権も主張する可能性が出てきた。インド側は怒っており、中国に正式に抗議している。モスクワがウクライナ戦争で北京の支援を必要としていることを考えると、ロシアがどう反応するかはわからない。

 インド太平洋の主権問題ではよくあることだが、実際に何が起きているのかについては、専門家で見解が異なる。シンガポール国立大学のイアン・チョン Ian Chong 准教授は、新しい地図に新しい領有権の主張が含まれているかと問われ、「このタイミングは驚きだが、領有権の主張は新しいものではない」と答えた。

 「おそらく、フィリピンとベトナムが、中国船舶による放水砲の使用を公表し、彼らの船舶を阻止したことと関係があるのでしょう」とチョンは続けた。「もしかしたら、ベトナムとインドが2016年の仲裁裁判所の裁定を支持したことと関係があるかもしれない。しかし、これはすべて推測である。公式な説明はまだない。ではなぜロシアを引き入れたのか?」


各国の反応

新しい地図は、インド、ネパール、ベトナム、マレーシア、台湾からの鋭い反応を呼び起こした。新しい地図は、習近平が出席する予定だったインドでのG20サミットの1週間前に発表された。

 インド外務省のアリンダム・バグチArindam Bagchi報道官は水曜日の声明で、「インドは、インドの領土を主張するいわゆる2023年の中国の『標準地図』について、中国側と外交ルートを通じて強く抗議した」と述べた。「我々は、これらの主張には根拠がないとして拒否するこのような。中国側の措置は、境界問題の解決を複雑にするだけだ」。インド軍と中国軍は、中国が領有権を主張する2地域をめぐる国境戦で何度も殺し合いをしており、最初の戦闘は1962年に起きている。

 「マレーシアは、サバ州とサラワク州付近のマレーシア領海一部を中国に属するとする中国の2023年標準地図を認めない」と外務省は8月30日の声明で述べた。

 その1日後、フィリピン外務省は声明を発表し、「中国の2023年版標準地図を拒否する...南シナ海における中国の境界線を示すとされる9本の破線(現在は10本の破線)が含まれているためだ...フィリピンの地形と海域に対する中国の主権と管轄権を正当化しようとするこの最新の試みは、国際法、特に1982年の国連海洋法条約(UNCLOS)の下では根拠がない」と述べた。

 中国外務省の王文斌 Wang Wenbin 報道官は8月30日の定例記者会見で、「南シナ海に関する中国の立場は一貫しており、明確だ。中国当局は毎年、様々な種類の標準地図を定期的に発行しており、これは社会のあらゆる部門が標準地図を利用できるようにし、地図の標準使用に関する国民の意識を高めることを目的としている。関係者が客観的かつ理性的な見方をしてくれることを願う」。 前日、王報道官はインドの抗議に対し、同じような形で、より慇懃な態度で答えていた。「私たちは、関係者には客観的かつ冷静になり、この問題の過剰解釈は控えるよう願う」。

 この表現は、今年シンガポールで開催されたシャングリラ対話で人民解放軍トップの発言と興味深い関係がある。李尚武将軍 Gen. Li Shangfu は、中国軍が東シナ海や南シナ海で、国際水域にいる他国軍に、なぜ危険で非専門的な行動に頻繁に出るのかという質問に対し「余計なお世話だ」と言い切っていた。

 最新の地図は、中国の「10段線」に正式なお墨付きを与えるもので、従来の「9段線」からアップグレードしている。国連法廷で中国の主張は国際法上正当性がなく、中国が主張する領土は法律上も歴史上も根拠がないとの裁定が下されている。

 それ以来、中国は世界で最も手付かずのサンゴ礁を破壊して海軍基地や空軍基地を建設し、排他的経済水域内のサンゴ礁で部隊に補給しようとするフィリピンの小型船舶に放水したり、乗組員をなぶり殺したりしている、  USSチュンフンがカナダのHMCSモントリオールと台湾海峡を通過航行した際には威嚇し、他国の艦船や米軍機の周辺では、好戦的で時には危険な作戦行動をとった。


パラオ、米沿岸警備隊を歓迎

注目すべきタイミングとして、太平洋の島嶼国家パラオは8月23日、米国沿岸警備隊との協定に署名し、パラオ職員が乗船することなく、パラオに代わり沿岸警備隊艦艇を排他的経済水域で航行できるようになった。

 「この協定は、パラオの排他的経済水域を監視し、違法・無報告・無規制の漁業から守り、パラオ海域で不審な操船を行う招かれざる船を抑止するのに役立ちます」とスランゲル・ウィップス大統領 President Surangel Whipps は声明で述べた。

 パラオは、他の太平洋諸国と同様、国防を米国に依存している。そのため、この協定が太平洋の小国が従うべきモデルになり得るかという疑問が生じる。もしそうなら、マーシャル諸島とミクロネシアは「候補になりうる」と、この地の独立系シンクタンク、ローウィー研究所のミハイ・ソラ Mihai Sora は言う。

 「しかし、太平洋諸国も主権侵害に非常に敏感であり、現段階で同様の合意を求めてアメリカのドアを叩く国が多いとは考えにくい」とソラは付け加えた。「アメリカは、太平洋島嶼国との関係において、このような案を持ち出す前に、外交的な下準備が必要だ」。

 もっと根本的なことを言えば、中国の第っk簿漁船団や沿岸警備隊がEEZに入るのを阻止することを明らかに目的としているこのようなパトロールは、この地域の緊張を和らげるのに役立つのだろうか、それとも高めてしまうのだろうか?

 米国は、パラオのような島国への安全保障支援の拡大は、ルールに基づく秩序と地域のパワーバランスの強化に役立つと主張するだろう。しかし、多くの太平洋諸国の代表は、その反対を主張している。地域の安全保障を強化することは、紛争のリスクを増大させるというのだ。今回のケースでパラオは米国にこのような支援を明確に求めたようだ。■


New Chinese 10-Dash map sparks furor across Indo-Pacific: Vietnam, India, Philippines, Malaysia - Breaking Defense


By   COLIN CLARK

on September 01, 2023 at 8:39 AM


2023年1月10日火曜日

中国のグレーゾーン戦略に米海軍はこう対抗する----ホームズ教授解説

 

地中海(2022年8月24日)ニミッツ級空母USSハリー・S・トルーマン(CVN75)の飛行甲板で、攻撃戦闘飛行隊(VFA)211の「ファイティングチェックメイト」所属のF/A-18Eスーパーホーネットが発艦準備中。ハリー・S・トルーマン空母打撃群は、米国、同盟国協力国の利益を守るために米第6艦隊の米海軍欧州作戦地域に定期配備中。(U.S. Navy photo by Mass Communication Specialist 3rd Class Jack Hoppe).

 

海軍協会の「海上反乱プロジェクト」の最新エントリー「南シナ海で砲撃せずに勝つ」“Winning without Gunsmoke in the South China Sea,”は、米海兵隊統合中間軍能力局のウェンデル・レインバックとエリック・ダックワース Wendell Leimbach and Eric Duckworthによる成果だ。このオフィスは極めて重要な仕事をしている。ゲームや分析によって、米国とその同盟国協力国には、中国の「グレーゾーン」戦略を打破する手段を明らかにしている。

 米国は、中国が海洋法に反し南シナ海領有権を主張するのを黙って見ているしかない。あるいは、発砲し侵略の責めを負わせることもできる。海洋法は、銃やミサイルで撃ちまくる以外の手段を求めている。それゆえ、受動的黙認と熱い戦争の間の「中間的な武力行使能力」が必要だ。

 リーバック=ダックワース両名は、米軍の文官がグレーゾーン作戦に適用する用語について、一見些細だが本質的な変化を報告している。ごく最近まで、この不透明な領域で効果的に活動する方法を見つけようとする努力は、「非殺傷兵器」の名目で行われていた。しかし、武器とは道具であり、能力ではない。国防総省の定義によれば、能力とは「特定の条件と性能のレベルにおいて、あるタスクを完了し、ある行動方針を実行する能力」である。言い換えれば、何かをする能力である。

 ウィジェット(道具)から戦術、作戦、戦略へと焦点を移したのは賢明な判断であった。

 この場合、必要な能力とは、中国による東南アジアの漁民、沿岸警備隊、海軍への虐待に、暴力に訴えず対応し、萎縮させる能力である。中国の漁船団、海上民兵、沿岸警備隊は日常的に、「排他的経済水域」(EEZ)で東南アジアの近隣諸国が天然資源を採取するのを阻止している。排他的経済水域とは、一般的に沖合200海里の保護区では、沿岸国が単独使用を保証している。

 中国は近隣諸国のEEZに艦船を配備し、国際法の下で同胞のはずのアジア各国の権利を奪っている。その主張を裏付けるため非軍事的な海上サービスを利用し、無法行為から逃れている。だからといって、中国が地域紛争で武力行使を控えるとは限らない。中国の船員は常に武力を行使しているが、あからさまな武力行使は控えている。つまり、銃撃はしていない。例えば、漁船を大量に押し寄せさせ、取り締まりを困難にしている。中国沿岸警備隊は、東南アジアの沿岸警備隊や海軍をも凌駕し、広大な作戦の展望を開いている。

 中級戦力を配備すれば、米国とその地域の当事者は、開戦の敷居を低くし対立をエスカレートしやすくし、中国のグレーゾーン能力に対抗できる。事実上、中国にあえて先に引き金を引かせ、捕食者としての姿をさらすこともできるし、習近平が非強制的な海洋外交にデスケーリングするよう仕向けることもできる。

 現在、武器から能力への用語変更にもかかわらず、武器とセンサーは依然として不可欠な道具である。共著者ふたりは、小型ボートのプロペラに付着して膨張し推進力を妨げる「合成スライム」、電子機器を妨害したり船舶エンジンを停止させるマイクロ波指向性エネルギーシステム、視力を低下させたり光学系を妨害するレーザーなど、斬新で時には狂気じみた技術を列挙している。

 こうした技術革新は喜ばしいが、使いこなすには、グレーゾーン競争の現場に誰かがいなければならない。世界最高の性能でも、使わなければ意味がない。米国の政治家や軍人は、グレーゾーンで中国との競争を意識的戦略的に選択しなければならない。それは、南シナ海に米海軍、海兵隊、沿岸警備隊の船員、船舶、航空機を常駐させることだ。言い換えれば、これまでのように、たまに現れては艦船を走らせるやり方はやめるということである。常駐する中国に争いの場を譲ることになるからだ。

 競争しなければ勝てないし、競争するためには現場にいなければならない。行こう、そして残ろう。■

 

How the U.S. Navy Can Compete with China in the Gray-Zone - 19FortyFive

ByJames Holmes

 

James Holmes is J. C. Wylie Chair of Maritime Strategy at the Naval War College and a Nonresident Fellow at the University of Georgia School of Public and International Affairs. The views voiced here are his alone.

In this article:China, featured, South China Sea, U.S. Military, U.S. Navy


2023年1月4日水曜日

米中軍用機の空中衝突寸前の事態は中国軍による米海軍撃破シミュレーションの一環だった

  

PLAN

 

中国海軍は南シナ海で米海軍艦艇への攻撃をシミュレーションしている

 

 

国海軍は、12月21日に南シナ海で米海軍機動部隊を攻撃するシミュレーションを行った。同日、J-11戦闘機が米空軍RC-135偵察機を、国防総省が「安全ではない作戦」と呼ぶ方法で迎撃した。昨日、ビデオが公開され、空母「山東」等の機材が関与する、南シナ海での中国の大規模演習の詳細が明らかになりつつある。

「同演習の一環として、山東の攻撃隊が米海軍の編隊を攻撃するシミュレーションを行った」と、アジアのある国の当局者がフィナンシャル・タイムズに明かしている。武装した人民解放軍海軍(PLAN)のJ-11BSHフランカー戦闘機がRC-135を迎撃したのはその最中のことだった。事件は国際空域で起こった。

 南シナ海では、台湾の南端からフィリピンのルソン島北端まで続く極めて戦略的なバシー海峡上空での給油活動も含め、航空・海軍の活動が活発であったことが明らかになっている。

 南シナ海での中国の激しい軍事活動は珍しくないが、今回の演習シナリオは特に米海軍艦艇をターゲットにしていたようで興味深い。

 同時に、米軍の偵察機や哨戒機も南シナ海、特にバシー海峡を定期的に訪れている。

Pentagon Releases Video Of Chinese J-11 Fighter Making ‘Unsafe Intercept’ On U.S. Jet

Chinese J-11 seen in USINDOPACOM’s footage. DoD

 

 実際、迎撃されたRC-135は、南シナ海の空と海域で展開される中国の軍事演習を監視していた可能性が高い。北京大学が主催するSCS Probing Initiativeでは、「米軍は毎日3~5回、南シナ海に出撃している 」と主張している。

 SCS Probing Initiativeによると、12月21日、米軍はクラーク基地と嘉手納基地からP-8A哨戒機3機、RC-135V偵察機1機、E-3G空中早期警戒管制機1機で南シナ海と台湾海峡南側上空で作戦行動をしていた。問題のRC-135Vは、J-11に迎撃された機体の可能性が非常に高い。

 一方、PLANの空母「山東」も、米海軍空母打撃群と同様に、この地域で演習を行っている。

 実際、南シナ海における米空母作戦は、近年強化されている。例えば2020年7月には、ニミッツ級空母2隻、USSニミッツとUSSロナルド・レーガンが、同地で6年ぶりに行われた両空母による演習に参加した。

 注目すべきは、12月21日現在、PLANの遼寧空母機動部隊も大規模演習を行っており、フィリピン海を航行中だ。空母と海域外での作戦がPLANの作戦コンセプトで中心になるにつれ、PLANが2つの場所で同時に大規模な空母作戦を実施できることは重要な意味がある。

 全体として、12月21日の出来事は、同地域で一般的になりつつある中国米国の活動パターンを反映している。

 北京は南シナ海の大部分を自国領土と主張し、同海域が領有権が争われる海域にする一因となっている。このような主張は、中国が物議を醸す人工島をこの地域に建設していることにより、一層強固になっている。前哨基地は軍事化され、国際的な大きな反対にもかかわらず、中国の領有権主張の戦略で一部となっている。戦略には、他国による漁場や資源へのアクセスを妨害するために使用される準軍事的な船舶も含まれる。

 

南シナ海のスプラトリー諸島のクアタロン礁に中国が建設した人工島(2022年10月25日撮影)。. Ezra Acayan/Getty Images

 

 さらに、バシー海峡は、特に中国の潜水艦にとって、南シナ海から東の広い太平洋に向かう重要な通路として機能する。南シナ海の北端にある海南島の広大な玉林海軍基地の弾道ミサイル潜水艦など、北京の戦略核戦力の一部として重要性を増している。

 一方、米軍には、この地域での中国の活動を監視するだけでなく、PLANの航空機や艦船の能力、戦術、技術、手順などを明らかにする情報収集が明確に求められている。もちろん、J-11が米国の戦略的偵察機材に接近し迎撃してきた場合も重要な情報が得られる。

 RC-135への迎撃や山東打撃群による米海軍への模擬攻撃の正確な位置は不明だが、これら含む事件の地政学的背景には、台湾問題が絡んでいる。

 中国指導部は台湾に対し攻撃的な姿勢を強めており、米国当局者も、北京が早晩、台湾を支配下に置く可能性があるとの懸念を公然と表明している。台湾を支援する米海軍作戦を頓挫させることが、PLANの成功の基本であることは明らかだ。 

 RC-135とJ-11の遭遇について、米軍報道官はロイターに対し、中国機が実際に偵察機から10フィート(約15メートル)以内に入ったが、機首からは20フィート(約15メートル)離れていたと確認した。米軍機が空中衝突を避けるため回避行動をとったのは、RC-135の機首から中国機が離れた位置にあったからだと伝えられている。

 元RC-135パイロットでThe War Zoneの寄稿者であるRobert S Hopkins IIIによると、今回公開されたビデオには、J-11がRC-135に極端に接近している様子や、あからさまに危険な行動をとっている様子は見られない。

 しかし、フランカーはRC-135に接近し、戦闘機を操縦するパイロットの目視による分離が妨げられた可能性があり、ビデオに映っていない出来事が何であったかは分からない。しかし、国防総省の説明では、回避操作が行われたという。

 しかし、国防総省は、今回のJ-11の行動が、中国軍機が示す南シナ海での「危険な行動」のパターンに合致していると明確に考えている。

 繰り返されている事態は、危険だとかプロらしくないとかいろいろ言われているが、中国軍機の各種行動を包含していることも明らかで、中には明らかにより危険な行動もある。

 7月、米統合参謀本部議長のマーク・ミリー大将は、中国が米軍機や同盟軍機への迎撃を積極的に行うようになっていると述べた。ロイド・オースティン米国防長官も中国の魏鳳和Wei Fenghe国防相との会談で、この問題への懸念を表明している。

 

 

ここ数カ月の中国機では、よりあからさまな威嚇が見える。オーストラリア国防総省によると、今年5月、南シナ海上空で中国のJ-16フランカー戦闘機が発射した対抗措置により、オーストラリアのP-8Aが被害を受けた事件も一例だという。

 この事件では、J-16がオーストラリアの哨戒機の横から前に切り込み、チャフを撒いたと言われている。チャフは通常、レーダーの目くらましや混乱に使われるが、エンジンに取り込まれると深刻な被害をもたらすと言われる。

 P-8の事故を受けて、中国国防省は「中国軍がとった対策は専門的で安全、合理的で合法的なもの」と表明した。

 北京は、米国とその同盟国の軍事活動を地域の平和への脅威とみなし、航行の自由パトロール(FONOP)を行う米海軍艦艇を鋭く非難している。一方、南シナ海の大部分と台湾に対する領有権の主張には揺るぎがない。

 今のところ、米インド太平洋軍は、12月21日の事件や中国の演習範囲について、詳細を明らかにしていないが、RC-135迎撃は、中国政府にも提起された。北京の国防省と在米中国大使館からはコメントが出ていない。

 同地域の地政学的状況がすぐ変わるわけではないため、PLANと米軍、同盟国が関わる事件がさらに発生する可能性が高いと思われる。

 12月21日に中国が南シナ海で行った大規模演習と、同時に行われたRC-135迎撃は、利害関係の強い遭遇で常に存在する、誤解による不用意な衝突の危険性を浮き彫りにしている。■

 

Mock Attack On U.S. Navy Vessels Underway During Chinese Fighter's 'Unsafe Intercept'

BYTHOMAS NEWDICK|PUBLISHED DEC 30, 2022 12:31 PM

THE WAR ZONE


2022年11月8日火曜日

中国のグレーゾーン戦略に対抗する米国でホームズ教授の提言。航行の自由作戦から南シナ海プレゼンス常時維持へ。

 

地中海(2022年8月24日)ニミッツ級空母USSハリー・S・トルーマン(CVN75)の飛行甲板で、攻撃戦闘飛行隊(VFA)211の「ファイティングチェックメイト」所属のF/A-18Eスーパーホーネットが発艦準備中。ハリー・S・トルーマン空母打撃群は、米国、同盟国協力国の利益を守るために米第6艦隊の米海軍欧州作戦地域に定期配備中。(U.S. Navy photo by Mass Communication Specialist 3rd Class Jack Hoppe).

 

海軍協会の「海上反乱プロジェクト」の最新エントリー「南シナ海で砲撃せずに勝つ」“Winning without Gunsmoke in the South China Sea,”は、米海兵隊統合中間軍能力局のウェンデル・レインバックとエリック・ダックワース Wendell Leimbach and Eric Duckworthによる成果だ。このオフィスは極めて重要な仕事をしている。ゲームや分析によって、米国とその同盟国協力国には、中国の「グレーゾーン」戦略を打破する手段を明らかにしている。

 米国は、中国が海洋法に反し南シナ海領有権を主張するのを黙って見ているしかない。あるいは、発砲し侵略の責めを負わせることもできる。海洋法は、銃やミサイルで撃ちまくる以外の手段を求めている。それゆえ、受動的黙認と熱い戦争の間の「中間的な武力行使能力」が必要だ。

 リーバック=ダックワース両名は、米軍の文官がグレーゾーン作戦に適用する用語について、一見些細だが本質的な変化を報告している。ごく最近まで、この不透明な領域で効果的に活動する方法を見つけようとする努力は、「非殺傷兵器」の名目で行われていた。しかし、武器とは道具であり、能力ではない。国防総省の定義によれば、能力とは「特定の条件と性能のレベルにおいて、あるタスクを完了し、ある行動方針を実行する能力」である。言い換えれば、何かをする能力である。

 ウィジェット(道具)から戦術、作戦、戦略へと焦点を移したのは賢明な判断であった。

 この場合、必要な能力とは、中国による東南アジアの漁民、沿岸警備隊、海軍への虐待に、暴力に訴えず対応し、萎縮させる能力である。中国の漁船団、海上民兵、沿岸警備隊は日常的に、「排他的経済水域」(EEZ)で東南アジアの近隣諸国が天然資源を採取するのを阻止している。排他的経済水域とは、一般的に沖合200海里の保護区では、沿岸国が単独使用を保証している。

 中国は近隣諸国のEEZに艦船を配備し、国際法の下で同胞のはずのアジア各国の権利を奪っている。その主張を裏付けるため非軍事的な海上サービスを利用し、無法行為から逃れている。だからといって、中国が地域紛争で武力行使を控えるとは限らない。中国の船員は常に武力を行使しているが、あからさまな武力行使は控えている。つまり、銃撃はしていない。例えば、漁船を大量に押し寄せさせ、取り締まりを困難にしている。中国沿岸警備隊は、東南アジアの沿岸警備隊や海軍をも凌駕し、広大な作戦の展望を開いている。

 中級戦力を配備すれば、米国とその地域の当事者は、開戦の敷居を低くし対立をエスカレートしやすくし、中国のグレーゾーン能力に対抗できる。事実上、中国にあえて先に引き金を引かせ、捕食者としての姿をさらすこともできるし、習近平が非強制的な海洋外交にデスケーリングするよう仕向けることもできる。

 現在、武器から能力への用語変更にもかかわらず、武器とセンサーは依然として不可欠な道具である。共著者ふたりは、小型ボートのプロペラに付着して膨張し推進力を妨げる「合成スライム」、電子機器を妨害したり船舶エンジンを停止させるマイクロ波指向性エネルギーシステム、視力を低下させたり光学系を妨害するレーザーなど、斬新で時には狂気じみた技術を列挙している。

 こうした技術革新は喜ばしいが、使いこなすには、グレーゾーン競争の現場に誰かがいなければならない。世界最高の性能でも、使わなければ意味がない。米国の政治家や軍人は、グレーゾーンで中国との競争を意識的戦略的に選択しなければならない。それは、南シナ海に米海軍、海兵隊、沿岸警備隊の船員、船舶、航空機を常駐させることだ。言い換えれば、これまでのように、たまに現れては艦船を走らせるやり方はやめるということである。常駐する中国に争いの場を譲ることになるからだ。

 競争しなければ勝てないし、競争するために現場にいなければならない。行こう、そして残ろう。■

 

How the U.S. Navy Can Compete with China in the Gray-Zone - 19FortyFive

ByJames Holmes

 

James Holmes is J. C. Wylie Chair of Maritime Strategy at the Naval War College and a Nonresident Fellow at the University of Georgia School of Public and International Affairs. The views voiced here are his alone.

In this article:China, featured, South China Sea, U.S. Military, U.S. Navy


2021年12月25日土曜日

米議会調査局が各議員に配布している南シナ海、東シナ海での米中戦略競合の現状と背景についての報告書から総括部分をご紹介します。

 


米議会メンバーはこうした背景資料で勉強し、日本の国会議員は新聞記事や週刊誌報道で政府を糾弾しています。この違いは大きな結果の差を生みます。報告書は全132ページだそうです。

 

2021年12月12日付の議会調査局による南シナ海、東シナ海で米中戦略競合の背景と問題点に関する報告書の抜粋をお伝えする。

 

報告書より

 

ここ数年にわたり南シナ海(SCS)が米中戦略競合の舞台となっている。

 

中国がSCSで展開する大規模島しょ造営工事、基地整備はスプラトリー諸島でみられ、海上兵力により中国は域内のフィリピンやヴィエトナムの主張を退けており、米側では中国がSCSの実効支配を確立しようとしているとの懸念が強まっている。SCSは戦略、政治、経済各面で米国並びに同盟国協力国に重要な地点だ。

 

中国海上兵力は日本統治かの尖閣諸島がある東シナ海(ECS)でも米側の懸念となっており。中国は近隣地区の支配としてSCS、ECSを黄海からの延長で習っており、インド太平洋他での米国の戦略政治経済面の権益を大きく損ないかねない。

 

SCS、ECS双方での米中戦略競合で米国のめざす目標には以下含む内容がある。西太平洋での条約上の義務の遂行として日本、フィリピンとの安全保障条約があり、対立は平和的にに解決する原則、「力による解決」の台頭を阻むこと、航行の自由原則の堅持、中国が東アジアでの大国に台頭することを阻止すること等があり、広義の米戦略として競争力を維持しつつ対中関係を維持することがある。

 

米国の具体的目標となる SCS及びECSでの米中両国の戦略的競争として以下が考えられる。SCSで中国が追加の基地建設を行うこと、SCSで占拠地点の基地に人員、装備、物資を追加移動させること、SCSのスカボロー礁で人工島構築や基地建設を始めること、SCSで領有主張する地点周囲に直線基線を宣言すること、SCS上の防空識別圏(ADIZ)宣言を思いとどまらせること。中国に対し、ECS尖閣諸島における海上部隊活動を縮小または終了させ、スプラトリー諸島におけるフィリピン占有地への圧力をめざした行動を停止し、スカボロー礁またはスプラトリー諸島の周辺海域へのフィリピン漁民のアクセスを拡大し、米国と日本が定めた基準の採択を奨励する。 海洋の自由に関する米欧各国の定義を採用し、フィリピンと中国間のSCS仲裁法廷の2016年7月裁定を受け入れ遵守させることである。

 

議会の課題は、SCSおよびECSにおける中国へ戦略的に対抗する現政権の戦略が適切なのか、正しくリソースを提供しているか、また同戦略、実施のリソースの水準、またはその両方を承認、拒否、修正すべきか否かである。各問題で議会が下す決断は、インド太平洋地域およびその他の地域における米国の戦略、政治、経済各面の権益に大きな影響を与える可能性がある。■

本文はここからダウンロードできます。 here.

 

Report on US-China Competition in East, South China Sea - USNI News


December 23, 2021 8:08 AM

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2021年9月9日木曜日

環球時報が米国の航行の自由作戦に対し強硬な反論を展開。西側は犯罪者の開き直りの論理とみるだろうが....中国の仕掛ける「思想戦」に対抗できる論理、表現の力が必要ですね。

 真実とは何か。事実とは自分の見たいもののことであり、この論理を使えば世界は自分の価値観で見ることになります。おなじみの環球時報英語版ですが、先にお伝えした米駆逐艦ベンフォールドの南シナ海航行でとうとうこんな主張を展開してしまいました。われわれとしては敵の論理を打破するためにまず相手の言い分を聞くというのが妥当だと思われますが、こちらの価値観をくずされないためにも強い信念が必要と考える次第です。ウイグル問題で中国非難決議を阻止した日本政界の有力者がいますが、今話題の高市候補が自民党総裁、さらに総選挙に勝利し首相の座に就けば、まっさきにこうした中国の論理をつぶしにかかるでしょう。このため、中国としては高市候補の当選はなんとしても阻止しなければなりません。日本の報道陣も理由こそちがいますが、同候補の存在を最小化しようとしていますね。

   

 

 

ご注意 以下はCCPのメディア、環球時報の社説のご紹介です

 

駆逐艦USSベンフォールドが9月8日、南シナ海メイジ礁付近を中国の許可なく航行した。これに対し中国は航空機艦船を動員し、同艦に警告を与え、水域から退去させた。米側は第七艦隊の報道発表でUSSベンフォールドがメイジ礁から12カイリ内を航行したことを認め、航行の自由とともに通行権を主張した。また、メイジ礁は「国際法でいう領海を構成しない」とし、「埋立て、人為的な構築、構造物」を同礁上に作っても「国際法上の要件の変更はできない」と述べていた。

 

中米両国はメイジ礁起点12カイリの定義で意見が食い違っている。世界各地にも異なる見解がある。だが国際法ではいかなる国にも他国の主権に挑戦すべく軍艦を派遣することを許していない。特に米国は国連海洋法を批准しておらず、文句を言う権利はないはずだ。

 

米国の行為はむき出しの挑発行為以外の何物でもない。これはだれの目にも明白だ。メイジ礁には中国国民多数と施設がああり、米軍艦がここまで近くを航行したことで脅威を感じた。中国側も目をつむっているわけにいかず、対抗措置を取る。これは常識だ。

 

南シナ海に波を立ててヴィエトナムやフィリピンを行動させる米国の政策は空回りしている。軍艦を派遣し、いわゆる航行の自由を主張し、中国領の12カイリ以内を航行させたのは米国の焦りの証拠だ。

 

米国は遠隔地から軍艦を派遣し中国領近くで挑発行為を働かせた。これは米国が覇権主義を堂々と主張したのと同じだ。この選択が効果を上げるのは米国政府に必要な力がある場合のみで、中国は従来より国力を強化しており、上述の条件を無力化している。したがって米国が南シナ海で挑発するのは覇権主義を公にするだけでなく、中国を戦略的に圧迫する狙いがあるのだろう。こうした圧力が強まっても中国が国力に裏付けされた対応を取る中で、中米両国の海洋衝突の危険性が高まるだけだ。

 

ご注意 以下はCCPのメディア、環球時報の社説のご紹介です

 

では中国艦艇がアジア太平洋内の米軍基地に接近したらどうなるのか。また米同盟国の沿岸近くで偵察活動を展開したり、航行の自由を主張したらどうなるか。また、南シナ海に領有権を主張する各国も同様に他国の主張する島しょやサンゴ礁付近で作戦を展開すればどうなるか。世界の海洋秩序は好転するのか、悪化するのか。

 

米国に真実だけ伝えればよいと中国は考えているわけではない。中国は直接行動をとり、上記の接近偵察を展開するべく能力整備につとめる。中国の外洋艦隊整備がこれを実行可能とする。米国に苦い薬を飲ませることで米国並びにその同盟国の神経を高ぶらせ、さらに米国が南シナ海でいじめ行為を働いていることを西側世界に知らせることになる。

 

米国は南シナ海で巧妙な挑発行為を働くのなら、逆にPLAの展開する強力な対抗策を甘受すべきだ。両陣営のゲームは極限まで進みそうだ。米国は遠からぬ将来に自国すぐそばにPLA艦艇が現れる事態を経験することになる。中国と米国は制御不可能な事態に直面することになる。両国の艦艇、航空機が海上に展開し、緊張が高まれば、両国は引くに引けなくなる。

 

こうした状況が続けば、南シナ海で中米両国の衝突が遅かれ早かれ発生する。南シナ海の平和で最大の脅威が米国であり、域内の平和が同国により崩される日が来るかもしれない。これは決して大げさに表現して脅かそうとしているわけではない。

 

中国は海上で米国と競い合っているが、両国が事態を制御できなくなった場合に備え、軍事衝突に備えるべきだ。あるいは大規模軍事衝突がその後発生するかもしれない。状況が制御できなくなり、中米両国が軍事衝突の引き金を引けば、本国に近い方が圧倒的に有利となる。戦争に勝つのは中国である。■

 

ご注意 以上はCCPのメディア、環球時報の社説のご紹介です

 

China won't accept US hegemonic acts in the South China Sea: Global Times editorial

By Global Times

Published: Sep 08, 2021 11:39 PM


どちらが真実を語っているのか---9月8日USSベンフォールドによるFONOPをめぐる米中両国の主張の違い.判断は読者にお任せします。

 

事実はひとつでも価値観のちがい、主義主張の違いから報道内容が大きく異なることがあります。このたび航行の自由作戦を展開した米駆逐艦について対照的な報道記事が出ましたのでご紹介します。



2021年9月8日USSベンフォールド(DDG-65) が南シナ海で航行の自由作戦を実施した。 US Navy Photo

 

まず、USNI Newsはこう伝えています。

 

 

海軍は航行の自由作戦(FONOP)を実施した米艦艇を南シナ海から追い出したとの中国の主張を否定した。

 

第七艦隊はUSSベンフォールド(DDG-65)がスプラトリー諸島付近を9月8日航行したと発表。人民解放軍(PLA)はFONOPを非難し、米艦を追尾したのち排除したと国営メディアCGTNが伝えている。

 

PLA南方戦域司令部報道官Tian Junilは「高度警戒態勢を維持している」とCGTNが伝えている。

 

米海軍は中国の発表内容を否定し、FONOPを国際法の枠内で実施したと主張している。

 

「PRCが今回のミッションについて発表した内容は虚偽だ。USSベンフォールドはFONOPを国際法に準拠して実施した。この実施は航行の自由と海域の合法的な活用を進めるに対するわが国の姿勢を反映したものだ。米国は今後も飛行、航行、運用を国際法の許す範囲で継続する。USSベンフォールドはその模範を示した。PRCの主張内容のいかんにかかわらずわが方はこのまま進む」(第七艦隊発表)

 

「PLA発表はPRCによる米海上活動の合法性を曲解しながら、南シナ海域の東南アジア各国に波紋を拡げる過剰かつ根拠のない領有主張の最新例に過ぎない。米国が国際法に則り、自由で開かれたインド太平洋の展望を堅持するのと対照的なのがPRCの行動だ。大小を問わずあらゆる国家の主権を尊重すべきであり、力の脅しに屈せず、経済成長を各国合意の国際ルールや規範の元で追及することが可能としなければならない」

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ベンフォールドは7月にもパラセル諸島付近でFONOPを実施し、この際も中国は同艦を南シナ海で追尾し追いだしたと発表しており、やはり米海軍はこの主張を一蹴していた。■

 

Destroyer Performs FONOP, US Navy Disputes Chinese Claim That It Ousted Warship - USNI News

By: Mallory Shelbourne

September 8, 2021 12:32 PM

 

では、おなじみ環球時報英語版の記事はこれをどう報じているかを見てみましょう

 

民解放軍南方戦域司令部は9月8日高度警戒態勢に入り中国の主権、安全を守り、南シナ海の安全安定を維持すると発表しt。これは米駆逐艦が中国領海に侵入したのに対し警告を与えたことを受けてのこと。数日前も米空母が同地域で挑発的な展開を示していた。

 

9月8日、米誘導ミサイル駆逐艦USSベンフォールドが南シナ海メイジ礁隣接部を中国の許可なく通航したため、PLA南方戦域司令部は同艦の追尾、監視を展開し、警告を与えたのち同水域から排除したと同司令部は発表。

 

報道官空軍上級大佐Tian Junliは米側の行動は中国主権の侵害と指摘し、米国が目指す海洋覇権と南シナ海軍事化の動きを示す証拠だとした。

 

「米国こそリスクを作り出している側との証拠が次々に出ており、域内の安全安定を損なっているのは米国だ」(Tian大佐)

 

同報道官発表の声明文では中国は島しょ部及び近隣水域に主権を有し、PLA南方戦域司令部は高度警戒態勢にあると述べている。

 

北京のシンクタンク、南シナ海戦略状況調査事業 (SCSPI)によれば空母USSカール・ビンソンがバシー海峡から南シナ海に9月6日に移動しており、

米空母の南シナ海への移動は今年に入り六回目だとSCSPIは述べている。

 

中国在住の軍事専門家Fu Qianshaoは米駆逐艦が中国領海を通過航行したこと、米空母が南シナ海入りしたことは中国をにらんだ挑発行為であり、日本近海に展開する英空母HMSクイーン・エリザベスと連携しているとGlobal Timesに指摘。

 

USSカール・ビンソンには米海軍初のF-35C戦闘機とCMV-22Bティルトローターで編成の航空団が搭載されており、海外への展開はこれが初と米海軍協会が伝えている。

 

そのUSSカール・ビンソンが南シナ海へ直行しているのは中国封じ込めが目的だが、中国には対ステルスレーダーがあり、F-35Cの探知は可能とFuは指摘。またCMV-22Bに島しょ部へ着陸できる性能があるが、中国には対抗策がるとも述べた。

 

こうした挑発行為へ中国は余裕を持って対応できるとFuは述べる。「第二列島線内部でPLAは負けない」■

 

PLA on alert amid US' provocative destroyer, carrier activities in South China Sea

 

By Leng Shumei and Liu Xuanzun

Published: Sep 08, 2021 07:59 PM