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2024年9月29日日曜日

ウクライナ戦の教訓を米陸軍装甲旅団はこのように活用している(Defense One)

 Soldiers with the 1st Armored Brigade Combat Team, 3rd Infantry Division, scan a simulated village with a Bradley Fighting Vehicle at the National Training Center, Fort Irwin, California, July 21, 2024.


2024年7月21日、カリフォルニア州フォート・アーウィンのナショナル・トレーニング・センターで、ブラッドレー戦闘車で模擬村をスキャンする第3歩兵師団第1機甲旅団戦闘チームの兵士たち。アメリカ陸軍 / Spc.REBECA SORIA 




 第1装甲BCTは、古い衛星アンテナを司令塔のように発光するように細工し、相手軍を罠にはめた


陸軍が軽歩兵旅団の近代化に取り組んでいる中で、装甲旅団は手持ちの技術で適応を図っている、と今月、軍幹部が語った。 

 第3歩兵師団司令官クリストファー・ノリー大将は、金曜日のメディア懇談会で、「我々は、訓練へのアプローチ方法と、[無人航空機システム]、対[ドローン]、電磁波[戦争]の領域でどのように革新しているかの両方で変革してきた。「我々が今やっていることの多くは、現有装備品をよりよく使っているだけだ」。 

 7月、師団の第1装甲旅団戦闘チームは、陸軍のナショナル・トレーニング・センターでのローテーションで、ウクライナの観察から引き出された新戦術を試すことができた。カリフォーニア州フォート・アーウィンにある同センターでは、高度に訓練されたブラックホース部隊を相手に、旅団が実際の戦闘を想定した超現実的なシミュレーションを行う。 

 訓練センターに行く前に、電子戦の兵士たちはまず第1旅団の司令部を監視することに時間を費やし、それから司令官たちに彼らの電子シグネチャーがどのように見えるかをブリーフィングしたと、旅団司令官のジム・アームストロング大佐は語った。 

 「大隊(戦術作戦センター)や旅団(戦術作戦センター)が訓練に出るたびに、電子戦)小隊が出かけて行って、スペクトルでマッピングした」と、9月初めのフォート・ムーア機動会議で語った。 

 電子戦小隊には、敵の位置を特定するため市販の方向探知機も与えられ、部隊の偵察中隊と訓練を行った、とアームストロング大佐は付け加えた。 

 NTCの砂漠の環境では、敵を演じる兵士が携帯電話の信号を探知すれば、第3歩兵師団の誰かのものであることを疑う余地はないだろう。 

 そこでアームストロングは、注意深い監視者の目を欺くことを期待し、偽の端末を持ち込んだ。「散らかっている場所に隠れるのではなく、自分たちで散らかった場所に隠れるように持っていかなければならない」。 

 この努力の一環として、部隊は旅団の司令部を監視して得た知識を使って、テントと実際の衛星トレーラーが完備された囮の司令部を設置した。兵士たちは、より高速な新しいスターリンク衛星端末を使って本物の司令部を動かしていたため、部隊はその場所に自分たちの装備を揃えることができた。 

 そして兵士たちは、偽の司令部の通信ネットワークをキーにして、あたかも本物の司令部であるかのように通信を行った。部隊はまた、偽の司令部に携帯電話とWiFiパックを置いた。 

 敵役の兵士たちは偽の司令部を妨害し、また偽の司令部に模擬間接射撃を浴びせ、自分たちの位置を露呈させた、とアームストロング大佐は言う。 

 それでも、この経験によって、偽の司令部に現実的な生活の痕跡があるように見せるにはどうすればいいかなど、コンセプトの課題が明らかになった。兵士が現場を行ったり来たりするのは、より現実的だが、敵の攻撃を受ける可能性がある。 

 部隊は演習が進むにつれて、欺瞞計画の維持に苦労したという。 

 メディア懇談会でノリーが語ったところによると、部隊は演習に90機のドローンを持ち込んだ。うち70機は歩兵分隊が使用する小型のブラック・ホーネットだったが、残りの20機は大型のクアッドコプターや、電気に接続することでより長く飛行できるテザー・ドローンだった。 

 アームストロング大佐によれば、同旅団はドローンを砲撃目標の修正や偵察に役立てたほか、敵陣地を攻撃する準備として大型装甲車両を見えなくするために必要な煙の量を監視するのにも役立てたという。 

 部隊はドローン一部をドローンチームに編成し、第101空挺団の第2旅団がドローンをどのように管理しているかと比較している、とアームストロング大佐は言う。 

 「我々は、第101空挺師団第2旅団と緊密に連携している」とアームストロング氏はメディア懇談会で語った。第101空挺師団の第2旅団は、"transforming in contact "と呼ばれる陸軍の近代化努力の一環として、新装備をテストし、新戦術を開発している軽歩兵旅団のひとつだ。 

 ドローンとヘリコプターの空域を常にデコンフリクトさせようとするのではなく、150フィート以下であれば、ドローンはいつでも飛行可能であることを部隊は確立した、とアームストロング大佐は機動会議でのプレゼンテーションで述べた。  

 一方通行の攻撃ドローンは、領空侵犯を目的とした弾薬と考えるべきだとアームストロング大佐は言う。「203グレネード弾を発射するのであれば、空域攪乱のために 旅団の航空部隊を呼ぶ必要はない」。 

 ドローン操作に加え、旅団は訓練に先立ち、対ドローン手順も練習したと司令部軍曹ライアン・ルーシュは言う。訓練はシンプルな教訓を与えてくれる、とアームストロング大佐は言う:「オープンな場所に座っていたら、死んでしまう」。兵士たちはまた、彼らの技術をすぐに否定する要素に取り組んでいた。日中の気温が110度に達したとき、車両は非常に熱くなり、砲兵の調整ソフトウェアが数時間、這うように遅くなった。   

「装甲多目的車で空調があるのは医療用車両だけだ」とアームストロング大佐は言う。■


How a US armor brigade is applying lessons from Ukraine

The 1st Armored BCT rigged an old satellite dish to emit like a command post—and ensnared the opposing force.


BY SAM SKOVE

STAFF WRITER

SEPTEMBER 24, 2024 02:32 PM ET

https://www.defenseone.com/technology/2024/09/armored-unit-adapts-old-tech-lessons-ukraine/399785/?oref=d1-homepage-top-story


2017年5月28日日曜日

★★米陸軍が韓国から事前集積装備を米本国に送付するのはなぜか



一見すると韓国の防衛を放棄するような話ですが、よく見ると米陸軍が即応体制の高い部隊を交代で各地に派遣する体制づくりに投入されるのですね。朝鮮半島の危機はまだ続くと思うのですが、もっと大きな視野で運用を考えているようです。

Pre-positioned US stock leaving South Korea to create armored brigade 前方配備装備品を韓国から米本土に送り装甲旅団編成に投入する米陸軍

By: Jen Judson, May 26, 2017 (Photo Credit: Capt. Jonathan Camire/U.S. Army)

WASHINGTON — 米陸軍は韓国国内に集積した事前装備を米本土に呼び戻し装甲旅団戦闘集団(ACBT)の編成にあてる検討中と米陸軍参謀総長マーク・ミレー大将が明かした。
  1. この動きは旅団戦闘チームで軽装備歩兵中心から強力重装備の装甲旅団戦闘チームに再編成する意味がある。米陸軍は歩兵旅団戦闘チームを第15装甲旅団戦闘チームに再編成し、第16旅団用には韓国内の事前配備装備を活用する。
  2. 陸軍の事前集積装備はAPSと呼ばれ、各戦闘司令部下で迅速即応が必要な事態で緊急作戦用に使う想定だ。ただし陸軍は装備品セットを訓練で消費した分の補充に振り向け、さらに必要に応じ部隊規模を拡大する。このため事前配備装備を払い出し以前よりも頻度が高くなっている演習に投入する。
  3. 参謀総長の発言では従来の中心が対テロ作戦や国内治安確保作戦がイラク、アフガニスタンにあったが、部隊戦力を再構築し再び大国を相手にした本格戦闘に備える必要を実感しているのだという。
  4. 議会公聴会ではテッド・クルーズ上院議員(共、テキサス)がミレー参謀総長に韓国内装備を米本国に送還する必要について問いただした。参謀総長は装備品の本国送付で編成する第16ABCTは交替配備で後日韓国に展開され、陸軍の戦略方針の一環となるとし「リスクもたしかにあるが、許容範囲のリスクだ」と答えた。
  5. 韓国内にABCTを順繰りに配備するのは陸軍が進める交代方式の部隊配置方針と合致し従来のような継続前方配備はとらない。さらに陸軍は交代部隊は完全装備状態にさせる。
  6. 1月に交代配備による初のABCTを欧州に派遣したが、ドイツのブレーマーハーヴェン港到着からわずか14日でポーランドで装備品すべてを運用可能になっている。
  7. 米陸軍の迅速交代部隊派遣戦略では長年保管したままの装備品も使い作戦能力を誇示する。
  8. 前方配備部隊に装甲旅団規模の重装備を常時配備すべきかで論争があるが、ミレー大将は迅速な部隊派遣体制を維持するほうが良いと見る。「戦闘能力を高いままで、全部隊を恒久配備した際の固定費が不要になる」からだという。
  9. また同大将は下院軍事委員会委員長マック・ソーンベリー議員(共、テキサス)から欧州の前方配備ABCTの見直しを交代派遣の費用との比較で進めるよう求めがあったと述べている。
  10. ただミレー大将は「当方の提言として交代派遣をこのまま続け、...一国から別の国への移動を続けるべきと考えるのは部隊を一か所に貼り付けておくわけにいかないため」と述べた。さらに旅団を恒久的に駐留させると購買部や学校まで含めた体制の維持につながり、軍属家族を戦闘発生の可能性ある地帯に送ることになると述べている。
  11. 交代で配備する旅団は「戦闘を視野に入れた訓練体制を維持し、訓練内容も意味のあるもになる」と付け加えている。■