2021年8月31日火曜日

米軍はカブール空港にどんな装備品を残してきたのか。タリバンが利用できないよう破壊、機能喪失させたというが....

  

A screengrab from a video show members of the Taliban inspecting abandoned former US State Department CH-46E Sea Knight helicopters in a hangar at Hamid Karzai International Airport following the final withdrawal of American troops on Aug. 31, 2021.

VIA TWITTER

 

 

軍はほぼ20年にわたるアフガニスタン作戦を完了し、同国を完全撤退した。予想通り、最後に米軍は各種武器装備品を破壊あるいは使用不能にした。

 

米中央軍(CENTCOM)司令フランク・マッケンジー海兵大将は記者会見で以下の装備品を「非軍事化」したうえでハミド・カルザイ国際空港に残していったことを認めた。

 

  • ロケット弾砲弾迫撃砲弾対抗装置(C-RAM)少なくとも二個装備
  • 航空機計73機(米軍、アフガニスタン軍所属機)
  • 耐地雷待ち伏せ攻撃防御(MRAP)装甲トラック70両
  • ハンビー27台

US ARMY

A Centurion C-RAM defense system.

 

 

マッケンジー大将は上記装備を具体的にどう使用不能にしたのかについて説明していない。またC-RAMの型名称についても述べていない。C-RAMはハミド・カルザイ国際空港で本日もISIS分派の攻撃を防いだ。説明では二個装備程度とあるが正式な数にも触れていない。

 

米軍で供用中のC-RAMは一式15百万ドルのセンチュリオンのみである。現地ではロケット攻撃の際にセンチュリオン特有の20mmヴァルカン機関砲の発射音が聞こえたとの報道もある。

 

ハミド・カルザイ国際空港に設置したといわれるセンチュリオンの映像画像がいっさいないことに興味を惹かれる。ニューヨークタイムズはC-RAMが米大使館敷地内に設置してあったが、撤収時に使用不能にされたと報じていた。

 

マッケンジー大将は航空機についても詳しい機種別情報に触れておらず、一部は修理不能な状態と述べたに過ぎない。今回の機材はアフガニスタン空軍機材の大部分と思われる。

 

最終撤収時に同空港に合った機材にはA-29スーパートゥカーノ軽攻撃機、C-130Hハーキュリーズ輸送機、UH-60ブラックホーク、Mi-17輸送ヘリコプターがあった。その他機材は長年に渡り放置されていたものもある。L-39武装型ジェット練習機もそのひとつで、ツイッターで同型機が3機残っているのがわかる。

 

アフガン空軍へ供与した米製機材をタリバンの手に渡さないため米国はどのような手段を取るかがこれまでわからなかったが、ネット上に流出した写真ではアフガン空軍のUH-60ブラックホークの窓が破れ、扉が破壊されているのがわかる。

 

タリバンはすでに旧アフガン空軍機材を他の基地で捕獲している。またアフガン空軍要員も数十機で国外逃亡している。

 

それでもA-29やUH-60をタリバンが利用するのに時間がかかるかは疑問のままだ。

 

また本日出てきた映像ではタリバンがブラックホークを操縦している。

 

マッケンジー大将が言及した73機に米国務省のCH-46シーナイトヘリコプター7機が含まれるのか不明だ。国務省は各機を飛行不能としたうえでカブール空港に放棄したと述べている。別の映像ではタリバンがシーナイトを検分しているのがわかる。一部に同機をCH-47チヌークと混同する傾向があるが、いずれにせよ近年になり大幅改修された機材がタリバンの勝利の象徴となったのを見るのは悲しい。

 

タリバンの電撃構成で相当数のハンビー等車両も奪われた。MRAPやピックアップトラックもここに入る。とはいえ米軍がそれ以上の車両放棄をしていないのは朗報だ。

 

米軍は同空港他で相当量の物資を破壊して最終撤収を完了している。マッケンジー大将は記者会見でこのことに触れた。米軍部隊はアフガン軍向け小火器軽火器多数を破壊している。

 

それでも米軍が一部装備品を現地に残すことが予想されていた。センチュリオンは一式でもC-17での輸送が必要な大きさだし、積み下ろしに数時間がかかる。そのため、カブール空港に残すことにしたのだろう。ただし、装備の重要機能は破壊し危険を最小限にしつつ撤収に当たったはずだ。

 

マッケンジー大将は空港運営に必要な装備として、支援車両等はそのままタリバンに残したと発言。依然同国に残る米国人数百名の脱出用に同空港の再開は重要な意味があり、その他国で脱出を希望する国民にも同様だ。ただし、タリバンが脱出を認めた場合に限られる。

 

総合すると、機能するかは別としてカブールに残した装備品の全体像がこれから出てきそうだ。■

 

Everything We Know That The US Military Left Behind At Kabul Airport


Here's What The U.S. Military Left Behind At Kabul Airport

Aircraft, vehicles, and at least two defense systems able to shoot down rockets and artillery shells are just some of what was not airlifted out.

BY JOSEPH TREVITHICK AUGUST 30, 2021


北朝鮮がプルトニウム生産を再開か。ヨンビョン核施設に活動の兆候現る。国際制裁をものともせず核兵器開発を続ける北朝鮮の動きに警戒を。

  

Close-up of Radiochemical Laboratory complex, March 2, 2021.

2021年3月2日撮影の放射化学実験施設の衛星写真。 Satellite image (c) 2020 Maxar Technologies/Getty Images

 

朝鮮がヨンビョン核施設の原子炉運転を再開した模様と国際原子力エナジー機関(IAEA)が発表した。

 

原子炉は出力5メガワットと小規模だがプルトニウム生産が目的で、核兵器製造に用いる。

「2018年12月以降2021年7月まで原子炉は作動の兆候が皆無だった」とIAEA報告書は指摘している。

 

「だが、2021年7月に入ると冷却水の排水など兆候が現れ、原子炉運転との関連が見られた」(同報告書)

 

これに対し南朝鮮はIAEA評価を認めていない。

 

同国政府は北朝鮮の核・ミサイル活動を米国と共同で注視していると統一省報道官が8月30日に述べている。

 

報告書ではあわせてヨンビョンの放射化学実験施設で2月中旬から7月初めにかけて活動が続いたと指摘している。同施設は燃料棒再処理に使用される。

 

また報告書は原子炉や施設の状況を「大きく憂慮させるもの」と表現している。

 

IAEAでは評価の根拠として民間から購入した衛星写真としている。

 

北朝鮮国内の核活動査察は不可能となっている。同国は数年前に査察官を国外追放した。

 

北朝鮮を調査対象とする米スティムソンセンターが処理作業に触れ、1月撮影の画像で核兵器製造用のプルトニウム回収の準備に入っているようだと指摘していた。再処理作業でプルトニウムが入手できる。

 

北朝鮮は核兵器開発を続けているため国際制裁対象となっており、国際社会とりわけ近隣の南朝鮮、日本の懸念の種となっている。

 

2月に出た国連の内部報告では北朝鮮が長期にわたる制裁にもかかわらず核兵器開発を続けていると指摘していた。■


North Korea appears to have restarted controversial nuclear reactor


2021年8月30日月曜日

8月に三日間連続で宮古海峡上空に無人機各型を展開したPLAの狙いにもっと関心を。(ISRは本ブログの大きな柱)

 

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Photographs of Chinese drones flight in the East China Sea and the Miyako Strait taken by Japanese fighter jets in August 2021.

統合幕僚監部

 

 

国人民解放軍の無人機が東シナ海から宮古海峡にかけ飛行し、航空自衛隊は三日連続で戦闘機を発進させた。中国軍の無人機運用能力が向上してきたことに加え、東シナ海からフィリピン海にかけての水域が通商路として重要なため、日本も対応を連日迫られた。

 

今回の飛行活動8月24日に始まり、 Tengoen TB-001スコーピオン中高度長時間飛行(MALE) 無人機が東シナ海から沖縄の北西方面に飛んだ。翌日はハルビン BZK-005 MALE型無人機が宮古海峡を行き来した。8月26日にはTB-001が再び宮古海峡上空に現れた。三例とも航空自衛隊がスクランブル出動し、中国無人機の様子を監視した。

 

8月25日26日の両日には山西Y-8Q哨戒機一機、Y-9JB電子情報収集機一機が無人機に随行していた。

 

BZK-005系統の無人機は長距離情報収集偵察監視(ISR)用の機材で連続40時間の飛行が可能とされれていた。標準型のBZK-005は2006年に姿を現し、推進式プロペラ一基、後退翼、機体後部は双胴式で、2018年にPLAは武装型BZK-005Cを公表している。

 

同機の主センサーは機首下のタレットに搭載する電子光学赤外線フルモーションビデオカメラだ。昨年に別の型BZK-005Eが搭乗し、レーダー装置を機首下につけており、電子光学タレットは機体下の別の位置に変更されている。

 

航空自衛隊が公表したBZK-005が宮古海峡上空を飛ぶ写真ではさらに仕様が変わっていることがわかる。機首下にレドームをつけ、胴体下に光学タレットがわかる。BZK-005は見通し線外での作戦を衛星経由の操作で実施し、多用な情報集任務につくようだ。

 

防衛省

 

防衛省

 

 

TB-001スコーピオンも長距離対応無人機で機体後部が双胴式になっているが、BZK-005とは異なる形状だ。スコーピオンは大型でTengoenが初めて製造した無人機だ。同社は2016年に創立された新しい企業だ。機体はエンジン二基でプロペラを左右で高翼方式の主翼下で回す。

 

BZK-005と異なり、TB-001は当初から武装無人機の設計であり、主翼下にはハードポイント四か所があり、胴体下にセンサータレットがつく。航空自衛隊公表の同機写真では主翼下には何も装着していなかったが、あきらかに追加センサーをつけており、おそらくレーダーあるいは電子情報収集ポッドが胴体下についているのが見える。また機体全体にわたりアンテナがはりめぐらされている。とはいえ、双発の同機は多様な情報収集機能が付く点でTB-001より先を行っており、レーダーも機首につくし、完全視界線外での運用が可能だ。

 

防衛省

 

防衛省

防衛省

 

防衛省

 

 

今回の無人機各型で中国は多様な情報収集を重要地点で展開できる能力を誇示した。多用な機能で地図作成、防空体制の発する電子信号の収集、さらにレーダー地図作成、船舶の写真撮影まである。中国の空母部隊が宮古海峡を通過することが通常のことになってきた今日ではこうした活動は特に重要な意味を有する。

 

中国の無人機は一見高性能に見えるが、冷静見ればMQ-1、MQ-9クラスに匹敵するに過ぎない。中国は高高度飛行監視機能を有する機材で優位を発揮しようと開発を進めている。だが現状の非戦闘型無人機を飛ばすだけで航空自衛隊の待機戦闘機はスクランブル対応させることができる。

 

三日連続で無人機を投入したことからこれまでと異なる海軍艦艇の動きが実現しそうだ。中国軍艦三隻(駆逐艦2隻、フリゲート艦一隻)が宮古海峡を8月24日通過している。

 

とはいえ、無人機三機の投入で中国の無人機運用能力が着実に上がっているのがわかる。インド太平洋で次の戦術・戦略課題になるのが容易に想像できる。■

 

この記事は以下を再構成し人力翻訳でお送りしています。

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Japanese Fighters Intercept Three Chinese Drones In As Many Days

It isn't clear if the surge in Chinese drone presence over the East China Sea is indicative of a new trend or prelude to a major naval movement.

BY JOSEPH TREVITHICK AND TYLER ROGOWAY AUGUST 26, 2021

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2021年8月29日日曜日

ブラッドレイ歩兵戦闘車両は攻撃力装甲防御力を向上し、米陸軍はこれからの戦闘でも大きな役割を期待し、敵IFVの駆逐を想定。

 

 

米陸軍はブラッドレイの残存性を高める改良を進めている。

 

M2ブラッドレイ歩兵戦闘車両は歩兵部隊隊員を戦場に輸送するのが任務だが、報道陣は戦車と誤解することが多い。軌道走行式で33トンの車重と装甲を施し、25mmブッシュマスター自動機関砲とTOW対戦車ミサイル発射機で武装しているため無理もないところか。

 

ただし、M2への批判派は火力性能が不足と見ている。機械化歩兵分隊は地形を縫い敵位置を偵察し、あるいは敵を待ち伏せし、防衛線を守る、あるいは敵を建物内から追い出すのが役目だ。

 

ただし、M2の歩兵輸送能力に制約がある。初期型では7名しか搭載できず、やっと9名を運べるよう改良されたにすぎない。となると機械化歩兵小隊の輸送にブラッドレイ4両必要となり、全員が一両に乗ることはできない。

 

M2およびM3ブラッドレイは1,800両近く供用中で米陸軍では二段階で性能改修を行い、ちょうど半分まで来ている。2018年1月にさらに上の性能を狙うM2A5改修の企画が生まれ、搭載兵員数を増やすべく車体の拡大と装甲を強化し、30mm機関砲の搭載を狙う。

 

陸軍の大型かつ強力な歩兵輸送車ブラッドレイはさらに大型化しそうだ。

 

M2A4 性能改修型

 

米陸軍ではブラッドレイが活躍する場面はM1エイブラムズ主力戦車より多い。イラク砂漠戦となった1990-1991年の湾岸戦争でブラッドレイはエイブラムズ以上の敵装甲車両を葬った。

 

敵の犠牲となったブラッドレイはわずか3両で、友軍の誤射で破壊されたほうが多い。だが、その後、長期化したイラクでの対戦闘員作戦中にブラッドレイ数十両の喪失が発生した。装甲防御で改良を受けていたにもかかわらずだ。そもそもブラッドレイでは地雷や即席爆発物(IED)への防御は優先度が低く、これより装甲が薄いストライカー装甲車両より被害事例が多くなっていた。

 

装甲改良とあわせセンサー機能の充実を図ったものの本格的な解決策にならなず、追加重量がエンジン負担につながり、電気系統に不足が生まれ、機動性が犠牲となってしまった。2012年からM2A4仕様への改良が始まり、現在も「技術改良提言」(ECP)を二段階で進めている。

 

このうちECP1がほぼ完了しており、ブラッドレイは設計時の車両性能を回復すべく、大型トーションバーと軌道改修を行い、サスペンションとショックアブソーバーを取り換えた。これにより車両の摩耗が減り、信頼性が高まり、地上クリアランスが増えIED爆発時の残存性が高まった。

 

 

ECP第二段階では電気系統の強化、パワートレインに従来より高出力の電気系統に対応した新型電力管理ソフトウェアを導入する。2018年開始予定だったが、ソフトウェアのバグつぶしと信頼性問題で開始が遅れた。ただし、改修後のブラッドレイは平均281マイルでの故障と想定した400マイルに満たない状態で、電力系の故障とトランスミッションオイル冷却が原因となっている。にもかかわらずECP2の実施は間もなく本格開始される。

 

ブラッドレイ改修でM3騎兵戦闘車両に近くなる。M3は装甲偵察任務に投入されている。M2A4仕様へ改修が終わった車両は従来より高い性能を発揮し、さらに上を狙うM2A5仕様への改修に近づく。

 

M2A5で車体大型化、砲塔が実現

 

M2A5では第三世代の前方監視赤外線(FLIR)センサー、レーザー照準器、カラー外部監視カメラで敵を長距離で捕捉することが可能となる。なお、エイブラムズ主力戦車の装備品と同時に改修を行う。

 

また、ブラッドレイの砲塔、車体がともに大きく変わる予想図が出ており、開発には4-5年かかるとするとの予測がツイッター上に出た。米陸軍は新型車両の開発及び部品調達に6億ドルを計上しているが、さらに増加するとみられる。ペンタゴンが砲塔と車体ともに対象とするかあるいは片方だけを選択するかは不明だ。

 

車体はストレッチして追加装甲の搭載、新型トランスミッション、さらに搭載人員を8名に追加する。車重は40トンへと一気に20パーセント増になる。改良で車内の隊員には従来の二倍から5倍の装甲防御が実現するという。

 

防御面の改良ではアクティブ防御装備(APS)があり、飛来するミサイルやロケット推進手りゅう弾に対抗する。エイブラムズ戦車ではトロフィーAPSが導入されているが、ブラッドレイではイスラエル製アイアンフィストをテスト中だ。

 

砲塔関連では25mm機関砲にかわり30mmのXM813ブッシュマスターII自動機関砲が搭載される。同装備はストライカー装輪歩兵輸送車両にも導入されている。一見、大幅改良に見えないが、30mm弾は25mm弾の二倍の大きさがあり、炸裂効果、装甲貫通効果がともに大きくなる。

 

射程が2マイル近くとなり、装甲貫通能力も30パーセント増えるとの観測がある。ブラッドレイは敵IFVの撃破で実力を発揮するはずで、シリア、イラク、ウクライナなどで存在感を増しているIFVによりよく対応できるようになる。さらに新型砲は空中炸裂へプログラム可能で遮蔽物背後に潜む敵部隊やヘリコプターにも有効に使える。ただし銃弾が大きくなるため、従来の300発搭載が180発に減る。とはいえ、ブッシュマスターIIでも毎分200発発射のまま、精度があがり、火力が増すため、同じ効果を得るため発射弾数は少なくてすむとする。

 

新型砲塔では車長、砲手双方の視野が広がり、イーサネットにより両名の動きが連携でき、レーザー照準器、航法装置の性能がともに上がる効果も期待できる。その他、「5.56mm制圧兵器」の遠隔制御機関銃が敵地上部隊から車両を防御するとの予想がある。

 

当然ながら車体拡大と砲塔の改良でブラッドレイに悪影響も出る。車重が増え操縦性が低下し、価格上昇で世界各地への展開も困難となる。とはいえ、陸軍としてはブラッドレイの残存性を高めるべくロケット推進手りゅう弾やIEDの脅威に悩まされたイラク、アフガニスタン戦訓を念頭に、同時に新型誘導対戦車ミサイルやIFVへの対抗も進めたいとしており、今後の超大国相手の戦闘も視野に入れている。より軽量な車輪走行式のストライカーAPCも新型砲・ミサイルが導入しつつあるが、ブラッドレイでは残存性を確保しつつ攻撃力を最も過酷な戦闘環境でも確保し、戦場に真っ先に投入するとしている。■

 

Could a Bradley Fighting Vehicle Take out a Tank?

by Sebastien Roblin

August 27, 2021  Topic: Bradley Vehicle  Region: Americas  Blog Brand: The Reboot  Tags: BradleyIFVInfantry Fighting VehicleTankArmorMilitaryTechnologyU.S. Army

 

 

Sébastien Roblin holds a Master’s Degree in Conflict Resolution from Georgetown University and served as a university instructor for the Peace Corps in China. He has also worked in education, editing, and refugee resettlement in France and the United States. He currently writes on security and military history for War Is Boring.

This article first appeared in February 2018.

Image: Wikimedia Commons.


クアッド四か国海軍部隊のマラバール演習が8月26日スタート。第一段階はフィリピン海で特殊部隊も交え展開中。

 

US Indo-Pacific Command

 

 

ーストラリア、日本、インド、米国が8月26日マラバール2021演習の第一段階をフィリピン海で開始した。

 

マラバールは毎年開催されている海洋演習で、高度の戦術作戦立案能力、訓練能力、配備能力を王立オーストラリア海軍(RAN)、インド海軍(IN)、海上自衛隊(JMSDF)、米海軍の間で磨くもので志を共有する各国で法の支配を基礎におくインド太平洋秩序を維持が目的だ。

 

今年度の演習は米海軍が主宰し、二段階に分かれる。まず四か国でフィリピン海を舞台に合同海軍運用、対潜戦、防空演習、実弾火砲発射、海上補給活動、相互航空運用、海上阻止行動を訓練する。

 

今年の演習では海軍特殊戦部隊が第一段階に加わり、非正規海上脅威への対応とともに通常の海軍部隊との共同運用技術を高める。

 

「マラバール21は多国間訓練で戦闘技術を磨き、海上保安の技能を高める優れた機会だ。

「米海軍の駆逐艦部隊は各国部隊とともに地域安全保障と安定の基礎を形成し、インド太平洋の各国が恩恵を得るのを助ける」(CTF71司令チャールズ・サージャント大佐)

 

米海軍からは第一段階で太平洋艦隊の対潜艦トップのアーレイ・バーク級駆逐艦USSバリー(DDG 52)以下絵画運特殊戦部隊、海上警備偵察機材、海上輸送司令部(MSC)隷下のヘンリー・J・カイザー級給油補給艦USNSラパハノック (T-AO 204)が加わる。

 

インド海軍からはシバリク級多用途ステルスフリゲート艦INSシバリク(F 47)、カモルタ級対潜コルベットINSカドマット(P 29)が加わり、海上自衛隊はいずも級多用途駆逐艦JSかが(DDH 184)、むらさめ級駆逐艦JSむらさめ(DD 101)、JSしらぬい(DD 120)が、オーストラリアはアンザック級フリゲートHMASワラモンガ(FFH 152)を派遣する。航空機ではインド海軍のP-8、海上自衛隊がP-1、米海軍のP-8Aが加わる。

 

オーストラリア、インド、日本、米国の各海軍部隊はこれまでも定期的にインド太平洋で演習を行っており、悪意ある影響に対抗し域内の安全と安定のため協力を強めている。■

 


Australia, India, Japan, and US Kick-off Exercise MALABAR 2021

Naval News Staff  27 Aug 2021

     By Commander, Task Force 71 Public Affairs


2021年8月28日土曜日

バイデンも覆せなかったトランプの遺産F-15EX。イーグルIIは戦術機材の中でどう位置づけられるのか。最終生産規模が見えてこないが、ボーイングは今後も事業量を確保している。

 

F-15EX rendering

Boeing illustration

 

主党のジョー・バイデン大統領は就任にあたり、先任大統領の決定多数を覆すと誓っていたが、共和党のドナルド・トランプ大統領時代に始まったたF-15EX調達は全面的に進展している。

 

Tealグループ副社長のリチャード・アブラフィアは「トランプの置き土産がF-15調達の復活だ」と述べる。

 

イーグルIIの名称がついたEX型はC型の後継機種の位置づけだが最終調達規模はまだ見えてこない。

 

ボーイングは空軍から12億ドルでロット1契約の交付を昨年受けた。さらに期限機数を特定しない229億ドル契約もある。空軍はこの契約で最大200機調達に向かうとボーイングは解説している。

 

イーグルIIにはフライバイワイヤ機体制御、高性能コックピット装備、BAEシステムズ製AN/ALQ-250イーグルパッシブアクティブ警告生存装備を電子戦に備え搭載している。

 

特に兵装搭載量が大幅強化され、全長22フィート重量7千ポンドの極超音速ミサイルも運用可能となった。ボーイングは高度50千フィートでマッハ2飛行可能とする。

 

同機はペンタゴンがめざすDevSecOps構想の先駆けとなる。これはソフトウェアのアジャイル開発を目指し、オープンミッションシステム想定の機体構成とデジタルエンジニアリングがあいまって従来より迅速かつ平易に性能改修が実現できたとボーイングは説明している。

 

空軍は同機にスカイボーグ事業で開発する無人ウィングマンをつける予定だ。「スカイボーグ担当部門とは毎週ミーティングを行っており、こちらには短期での実証実現を求めてきた」「有人無人機のチームとしてF-15EXがまずこれを実現する」とボーイングは説明。

 

 

トランプ政権が同機の調達を求めたのは2020年度からである。空軍上層部には第五世代機調達に集中したいとの意向があったが、その後イーグルII調達を求める意見に変わった。

 

議会は2020年度8機、2021年度12機の調達予算を承認した。バイデン政権の2022年度予算では12機を上乗せするとある。

 

ボーイングは政権交代があったが同機調達の方向に変化がなかったことに驚く様子がない。

 

「最初はトランプの事業だとしていたが、政争とは無関係にあくまでも要求性能の実現をめざしDoDは検討してきた」ことでペンタゴンは同機調達に進んだとボーイングは見ている。

 

「空軍からは老朽化したF-15Cの代わりが欲しい。迅速かつ運営する州軍航空隊が機種変更の際に実効性を犠牲にしない形で進めたい....しかも早く入手したい。ボーイングはどこまで迅速かつ負担可能な価格を実現できるのか」と聞かれたという。

 

アナリストのヘザー・ペニーは空軍退役中将デイヴィッド・デプチュラとミッチェル研究所レポートでボーイングが「要求性能の実現に全くの新型機を提案せず、一種の賭けをした」と記している。

 

同レポートはF-15EX採用を間違った決断とし、ハイエンド戦では生き残れない機体とする。ステルス性能がないからだ。だがボーイングは賭けに勝った。

 

「当社はこの事業に相当の額をつぎ込んでいる。自信がなければこんなことはしない」とボーイング副社長プラット・クマールは述べている。

 

主要議員の間ではイーグルIIへの関心が高い。上院軍事委員会の2022年度国防予算認可法案が7月にまとまったが、バイデン政権が求めた12機にとどまらず、さらに5機調達を認めている。

 

F-15EX契約の成立はボーイングに単なる朗報以上の結果を生んだ。

 

「戦闘機製造は巨大事業です」とクマールは述べ、F-15事業で契約企業400社が全米42州にまたがると述べた。

 

「サプライチェーンに55千名が雇用されており、それぞれの技術基盤を維持し次の事業に活用することが重要なのは単にボーイングのみの問題ではなく、各社にも大切な意味があります」「この技能基盤を喪失すれば、次の事業へのつなぎがなくなります」

 

またボーイングは機体整備事業も伸ばせす効果が生まれた。

 

サターフィールドからはF-15用の支援装備は93パーセントが互換性があり、供用可能な状態にあるとし、旧型から新型への機種展開が楽になったと述べている。

 

「完全新型機ではなくボーイングはF-15系列の供用を選択し、F-15EXが生まれた」とミッチェル研究所報告書にある。「これによりボーイングはごくわずかなコストで長期にわたる機体維持事業の収益を期待できることになった」

 

事業では今年大きな成果を達成した。2月に初号機がボーイングのセントルイス工場で完成し、3月に空軍がエグリン空軍基地でテストを開始した。同社は2号機も製造済みで三号機の生産が始まったところだ。ロット1の残る機材は2023年はじめまでに納入される。

 

ロット1に続きロット2生産が始まるが、「海外発注分の機材も同時に生産する必要があります」とクマールは述べている。

 

ボーイングは今後の需要に応えるべく、生産能力を月産2機に引き上げ、月産3機もオプションとするとクマールは説明。

 

F-15EXは現在生産中の機材で最先端性能を有するカタール向け仕様をもとにしており、10点ある重要技術のすべてが成熟化済みとの政府評価もある。低率初期生産は2022年3月から開始の予定だ。

 

「F-15EXは既存生産ラインを活用することもあり、製造リスクは低いとの評価が出ている」と報告書にあり、「製造工程は実証ずみ」ともある。量産型への設計変更の可能性も低いとの評価も出ている。

 

2021年時点のF-15EXの単純製造価格は88百万ドルほどと空軍の予算書類にある。クマールはロット1機材では臨時コストを除けば一機80百万ドルを割り込むとする。「今後さらに下がるのは間違いない」

 

F-15EXのアピールポイントの中心に運用維持コストがあり、フライト時間あたり運用費を29千ドルと想定しており、F-35Aは33千ドルだ。

 

イーグルIIはじめ四機種を米空軍は2030年時点の使用機材と位置付けているが、空軍が最終的にイーグルIIを何機調達するのだろうか。

 

議会調査局は「F-15EXはつなぎ調達から本格的防衛装備品調達に変わる予想がある。調達事業ベースラインで調達規模が明示されよう」としている。

 

国防総省では戦術機構成について検討を進めており、コスト評価事業評価(CAPE)の部長代行ジョセフ・ノエリアが下院軍事委員会で7月に以下述べていた。

 

「CAPEでは戦術機材の調達価格を中心に性能面のトレードオフを検討しています」「統合参謀本部が戦闘部隊司令部と調整のうえ、将来の戦闘で戦術機をどのように活用すべきかを検討しています」

 

空軍は近未来から中未来を想定した戦術機の投入案を海軍と検討中だ。

 

こうした検討結果がバイデン政権による国防戦略構想、さらに2023年度予算要求に加え今後の防衛事業に反映されると述べた。

 

「議会ではF-15EX事業予算をどこまで計上すべきかについて空軍やDoDのその他優先事業とのからみで検討している」とCRS報告書にもある。

 

こうした決断では以下の疑問に答える必要がある。F-35Aの予定調達規模の実現にペンタゴンはどこまで真剣なのか。F-15の機材更新は空軍がめざす386個飛行隊構想に合致するのか。戦術航空機メーカーの維持はどこまで国益につながるのか。超大国相手の国防戦略にF-15EXはどこまで合致しているのか。

 

調達の行方を左右しかねないのは無人機だ。

 

「F-15EXに求めるニーズがとこまで無人機で実現するか」と同上報告書は指摘している。■

 

Trump's F-15EX Legacy Lives On in Biden Administration

8/20/2021

By Jon Harper