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2021年12月5日日曜日

台湾防衛で攻撃型潜水艦への期待が高まる。技術と威力が着実に向上している。同盟国所属艦も含めPLAN揚陸部隊の阻止は可能。潜水艦が台湾防衛の最後の砦になるのか。

ヴァージニア級攻撃型潜水艦

GDEB

 

技術の進展により米海軍の潜水艦は探知されにくくなり、他方で従来より高い精密攻撃を可能とする装備の展開が始まっている。

 

上艦艇は敵に視認され、航空機や無人装備も探知されやすい。陸上配備のミサイル発射装置や迎撃ミサイルも衛星の前に姿を隠すことができない。

 

つまり、前方配備装備で中国の台湾侵攻を食い止めようとしても人民解放軍にその位置が把握されてしまうことになる。

 


攻撃型潜水艦への期待


では潜水艦はどうか。中国の台湾侵攻を食い止める手段として米国や同盟各国が潜水艦を投入すれば合理的な選択となる。

 

中国は奇襲攻撃を選択するはずで、米空母等の視認目標が台湾近辺にない時をねらうだろう。このため、潜水艦や水中無人装備の出番となる。

 

新たな静粛化技術に水中無人装備の迅速調達が加わり、魚雷の改良と相まって海中からの攻撃の成功確率が高くなってきた。

 

潜水艦、無人水中装備が台湾付近に十分な数で展開できれば、探知されにくい中で中国揚陸部隊を攻撃し撃退するのは可能だろう。

 

兵装と技術の向上

 

さらに米海軍では攻撃型潜水艦の技術改良が加わり、探知を難しくするだけにとどまらず、長距離かつ精密な攻撃を可能とする兵装システムが利用可能となってきた。

 

例としてトマホークがあり、発射後に飛翔経路を変更可能となり、移動中の水上艦を狙える装備になった。

 

また、海軍は超軽量魚雷の開発も進めており、実用化となれば攻撃の選択肢が拡大される。


超軽量魚雷 Northrop Grumman

 

 

ブロックII以降のヴァージニア級、さらに今後登場する攻撃型潜水艦は新型水中アンテナや通信装置を装備し、エンジンの静粛化、特殊表面塗料で探知をこれまでより困難にする。

 

保安上の理由のため詳細は不明だが、海軍上層部はUSSサウスダコタがヴァージニア級ブロックIII仕様艦のプロトタイプとして登場した際に改良点を話題にしていた。今やサウスダコタ以降の各艦が現在作戦投入可能となっている。そのため攻撃型潜水艦の作戦実施能力の拡大に期待が集まっている。

 

ブロックIIIヴァージニア級では「フライバイワイヤ」自動航行制御機能、光ファイバー配線に加え、高性能の大型開口ソナーが艦首についた。攻撃型潜水艦と無人水中装備は高リスク水域や沿岸付近で極秘偵察任務に投入され、水上艦や無人航空機より探知が困難という利点を生かす。

 

米海軍ではさらに小型中型大型の無人水中装備の開発が急速に進んでいる。各装備は長時間活動でき、水中に数週間潜みつつ敵水上艦艇や潜水艦さらに機雷の位置を探る。

 

今後は無人装備を武装化する可能性も出てくるはずで、水中指揮命令技術の進展により人員は武力行使に関し指示する側に留まる可能性が出てくる。水中無人装備は今でも機雷の探知爆破を「自律的に」実施できるが、魚雷等の運制御は人員が行うというのがペンタゴン方針だ。

 

戦力構造の観点で米海軍は新型潜水艦の大量導入を迅速に展開する必要を痛感している。

 

攻撃型潜水艦の「不足」への懸念は今に始まったことではなく、議会と海軍はヴァージニア級攻撃型潜水艦の年間三隻建造を計画し、現行の2隻より増やそうとしている。

 

だが現行の潜水艦部隊で課題に対応できないのだろうか。Global Firepowerによれば中国の潜水艦は79隻と米国の69隻を上回る。このため米国内では潜水艦建造調達の加速化を求める声が多い。

 

米同盟国にも潜水艦があり、Global Firepowerでは南朝鮮に22隻、日本に20隻の潜水艦があるとある。こうした同盟国所属の艦は米海軍攻撃型潜水艦とともに中国海軍の動きを止めるべく配備され、ステルス性能と攻撃力を発揮するだろう。■

 

 

Attack Submarines Could Save Taiwan

DEC 1, 2021

KRIS OSBORN, WARRIOR MAVEN

Kris Osborn is the defense editor for the National Interest. Osborn previously served at the Pentagon as a Highly Qualified Expert with the Office of the Assistant Secretary of the Army—Acquisition, Logistics & Technology. Osborn has also worked as an anchor and on-air military specialist at national TV networks. He has appeared as a guest military expert on Fox News, MSNBC, The Military Channel, and The History Channel. He also has a Master’s Degree in Comparative Literature from Columbia University. 


2018年11月12日月曜日

米海軍潜水艦にアグレッサー部隊誕生。その他3Dプリンター技術などで将来の姿が変わる

Navy Creating Attack Sub Aggressor Unit to Train to Fight Against Russia, China 米海軍が攻撃潜水艦でアグレッサー部隊を創設しロシア、中国に勝つ訓練を開始する

November 8, 2018 4:00 AM • Updated: November 7, 2018 8:58 PM
ヴァージニア級高速攻撃潜水艦USSミズーリ(USS-780)。May 31, 2018. US Navy Photo

ARLINGTON, Va. — 米海軍潜水艦部隊にアグレッサー戦隊が生まれる。中国やロシアを想定した即戦力体制の効果をさらに引き上げるねらいがあると米海軍潜水艦部隊司令官が説明している。

チャールズ・リチャード中将中将は8月の就任式典で隷下部隊に「戦闘準備を進めよ」と述べ注目を浴びた。

中将は国家防衛戦略構想を反映しここ数ヶ月に渡り潜水艦部隊の構想を整備している。訓練、戦闘態勢の認定、新規手法の開発やハイエンド戦支援体制などだ。

構想は米潜水艦部隊及び支援組織に向けた司令官の施策方針と呼ばれ、攻撃潜水艦部隊の訓練体系の抜本的変革を目指すとリチャード中将が海軍潜水艦連盟の年次総会の隻上で披露した。

「高速攻撃潜水艦向け訓練期間を元に戻すことでハイエンド戦に対応できるようにする。戦術即応体制評価と呼んできた体制に戻し戦闘即応体制評価として戦闘に中心を置く」(リチャード中将)

「第一線配備への認証過程を見直し重複をなくし、適材適所を目指した。潜水艦部隊ですべてを競わせる。実戦同様に勝敗をはっきりさせる。敵対勢力がこちら以上の水準だと困る。敗者になれば帰港できないだけだ」

アグレッサー戦隊はこの延長でハイエンドの潜水艦対潜水艦の戦いで米海軍が勝利することを目的とする。リチャード中将は海軍航空部隊の「トップガン」からヒントを得たと認めている。

会場で海軍広報官サラ・セルフ-カイラー中佐が構想ではトップガンと違い訓練専用艦は配備しないとUSNI Newsに述べた。かわりに人員(規模未定)は専属とさせ、リチャード中将は現役退役の海軍要員と民間人の想定と述べている。

リチャード中将は新規部隊を「敵側部隊の戦術を再現し訓練、認証演習に投入し、海軍航空部隊から着想を得たアグレッサー戦隊として敵対勢力の能力で我が方部隊と対決させ最大限まで現実を再現した訓練とする。実戦時に発揮できる力を与えるのが目的」と述べた。

司令官の構想では同時に海中迅速戦力整備構想Undersea Rapid Capability Initiatives (URCI) と呼ぶ作戦構想、戦術、整備戦略その他の実現も進めるという。

「内容の性質上詳しくお話できないが、今後実現したい構想は26通りあり、トップが戦略抑止力であり、URCIに13個、作戦構想が11あり、その他海中戦の戦力増強につながる構想作業がある。さらに次世代兵器、複合ドメインセンサー、通信装備、航法支援装備、無人自律技術があります。一部では革命的な効果が生まれる」

迅速戦力実現のハードウェア面ではリチャード中将はデジタル戦整備室が全力で「人工知能、機械学習の海軍への応用、導入」を進めていると紹介。またDARPAが海軍研究本部と無人装備のプロトタイプ、高性能センサーの開発を進めている状況を紹介し、ここ数年で大きな進展があったと述べた。

さらに中将は付加製造(3Dプリンター製造技術)の艦艇導入に触れ、即応体制の引き上げならびに兵站上の負担軽減につながると述べた。「潜水艦上で海上整備修理体制の将来を先取りしている。付加製造の実証を積極的に行い各艦に迅速に導入する。まもなく3Dプリンターが全艦に搭載される」

中将はSUBSAFE基準は今後も守るとしつつプリンターは輸液な存在になると述べた。攻撃型潜水艦USSヴァージニア(SSN-774)の乗組員は自前で3Dプリンターを購入し「部品を自製し航海日数を維持できた。こうした問題解決方法は連日のように部隊内で見つかっている」■

コメント:空のトップガンが生まれたのは空中戦での実力低下を憂えてのことでしたが、水中戦でも同様なのでしょうか。専属艦はないということですが、かつてスウェーデンの通常型潜水艦を借り上げたように同盟国の潜水艦をアグレッサーにしてはどうでしょうか。海上自衛隊のそうりゅう級が最適かもしれません。日本側乗組員にとっても「赤」の戦術を体得できる機会になるのでは。