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2024年12月17日火曜日

米駆逐艦が南シナ海でFONOPを実施(USNI News)

 

2024年11月16日、北太平洋を航行するUSSプレブル(DDG-88)。 米海軍写真

第7艦隊の発表によると、12月6日金曜日に米駆逐艦がスプラトリー諸島で航行の自由作戦を行った。

 海軍関係者がUSNIニュースに語ったところによると、USSプレブルPreble (DDG-88)はスワロー・リーフの12カイリ内を航行した。

 「中華人民共和国)、ベトナム、台湾はそれぞれ、軍艦や軍船が領海を『無害通航』する前に、国際法に違反して許可や事前通告を要求している」と第7艦隊の声明は述べている。

 「無害通航に許可や事前通告を一方的に課すことは違法である。中国、台湾、ベトナムが課したこのような違法な制限に対し、米国は事前通告することなく、また許可を求めることなく、無害通航に従事することで、異議を唱えた」。

 スワロー礁はスプラトリー諸島南部に位置し、マレーシアが管理している。国連海洋法条約第19条に基づき、軍艦は他国の海岸線から12カイリの領海内を「沿岸国の平和、秩序または安全を害しない限り」航行することができる。

 米国は、南シナ海のスプラトリー諸島とパラセル諸島を含め、世界中で定期的に航行の自由作戦を行っている。

 フィリピンとマレーシアはそれぞれスプラトリー諸島の一部で領有権を主張している。ベトナム、台湾、中国はそれぞれスプラトリー諸島全体の領有権を主張している。 CIAワールド・ファクトブックによれば、ブルネイはスプラトリー諸島の大陸棚を排他的経済水域の一部だと主張している。 スプラトリー諸島は中国本土から約740カイリ、フィリピンのパラワン島から西に110カイリ離れている。

「南シナ海における非合法かつ広範な海洋権益の主張は、南シナ海沿岸諸国の航行と上空の自由、自由貿易と妨げのない通商、経済的機会の自由を含む海洋の自由に対する深刻な脅威である」と第7艦隊の金曜声明は述べている。■



U.S. Destroyer Performs South China Sea FONOP

Mallory Shelbourne

December 6, 2024 2:39 PM


https://news.usni.org/2024/12/06/u-s-destroyer-performs-south-china-sea-fonop


2021年9月9日木曜日

どちらが真実を語っているのか---9月8日USSベンフォールドによるFONOPをめぐる米中両国の主張の違い.判断は読者にお任せします。

 

事実はひとつでも価値観のちがい、主義主張の違いから報道内容が大きく異なることがあります。このたび航行の自由作戦を展開した米駆逐艦について対照的な報道記事が出ましたのでご紹介します。



2021年9月8日USSベンフォールド(DDG-65) が南シナ海で航行の自由作戦を実施した。 US Navy Photo

 

まず、USNI Newsはこう伝えています。

 

 

海軍は航行の自由作戦(FONOP)を実施した米艦艇を南シナ海から追い出したとの中国の主張を否定した。

 

第七艦隊はUSSベンフォールド(DDG-65)がスプラトリー諸島付近を9月8日航行したと発表。人民解放軍(PLA)はFONOPを非難し、米艦を追尾したのち排除したと国営メディアCGTNが伝えている。

 

PLA南方戦域司令部報道官Tian Junilは「高度警戒態勢を維持している」とCGTNが伝えている。

 

米海軍は中国の発表内容を否定し、FONOPを国際法の枠内で実施したと主張している。

 

「PRCが今回のミッションについて発表した内容は虚偽だ。USSベンフォールドはFONOPを国際法に準拠して実施した。この実施は航行の自由と海域の合法的な活用を進めるに対するわが国の姿勢を反映したものだ。米国は今後も飛行、航行、運用を国際法の許す範囲で継続する。USSベンフォールドはその模範を示した。PRCの主張内容のいかんにかかわらずわが方はこのまま進む」(第七艦隊発表)

 

「PLA発表はPRCによる米海上活動の合法性を曲解しながら、南シナ海域の東南アジア各国に波紋を拡げる過剰かつ根拠のない領有主張の最新例に過ぎない。米国が国際法に則り、自由で開かれたインド太平洋の展望を堅持するのと対照的なのがPRCの行動だ。大小を問わずあらゆる国家の主権を尊重すべきであり、力の脅しに屈せず、経済成長を各国合意の国際ルールや規範の元で追及することが可能としなければならない」

.

ベンフォールドは7月にもパラセル諸島付近でFONOPを実施し、この際も中国は同艦を南シナ海で追尾し追いだしたと発表しており、やはり米海軍はこの主張を一蹴していた。■

 

Destroyer Performs FONOP, US Navy Disputes Chinese Claim That It Ousted Warship - USNI News

By: Mallory Shelbourne

September 8, 2021 12:32 PM

 

では、おなじみ環球時報英語版の記事はこれをどう報じているかを見てみましょう

 

民解放軍南方戦域司令部は9月8日高度警戒態勢に入り中国の主権、安全を守り、南シナ海の安全安定を維持すると発表しt。これは米駆逐艦が中国領海に侵入したのに対し警告を与えたことを受けてのこと。数日前も米空母が同地域で挑発的な展開を示していた。

 

9月8日、米誘導ミサイル駆逐艦USSベンフォールドが南シナ海メイジ礁隣接部を中国の許可なく通航したため、PLA南方戦域司令部は同艦の追尾、監視を展開し、警告を与えたのち同水域から排除したと同司令部は発表。

 

報道官空軍上級大佐Tian Junliは米側の行動は中国主権の侵害と指摘し、米国が目指す海洋覇権と南シナ海軍事化の動きを示す証拠だとした。

 

「米国こそリスクを作り出している側との証拠が次々に出ており、域内の安全安定を損なっているのは米国だ」(Tian大佐)

 

同報道官発表の声明文では中国は島しょ部及び近隣水域に主権を有し、PLA南方戦域司令部は高度警戒態勢にあると述べている。

 

北京のシンクタンク、南シナ海戦略状況調査事業 (SCSPI)によれば空母USSカール・ビンソンがバシー海峡から南シナ海に9月6日に移動しており、

米空母の南シナ海への移動は今年に入り六回目だとSCSPIは述べている。

 

中国在住の軍事専門家Fu Qianshaoは米駆逐艦が中国領海を通過航行したこと、米空母が南シナ海入りしたことは中国をにらんだ挑発行為であり、日本近海に展開する英空母HMSクイーン・エリザベスと連携しているとGlobal Timesに指摘。

 

USSカール・ビンソンには米海軍初のF-35C戦闘機とCMV-22Bティルトローターで編成の航空団が搭載されており、海外への展開はこれが初と米海軍協会が伝えている。

 

そのUSSカール・ビンソンが南シナ海へ直行しているのは中国封じ込めが目的だが、中国には対ステルスレーダーがあり、F-35Cの探知は可能とFuは指摘。またCMV-22Bに島しょ部へ着陸できる性能があるが、中国には対抗策がるとも述べた。

 

こうした挑発行為へ中国は余裕を持って対応できるとFuは述べる。「第二列島線内部でPLAは負けない」■

 

PLA on alert amid US' provocative destroyer, carrier activities in South China Sea

 

By Leng Shumei and Liu Xuanzun

Published: Sep 08, 2021 07:59 PM

   


2021年7月13日火曜日

どちらが嘘をついている?7月12日の米海軍FONOP実行に関し、米中が平行線の主張を展開。

 今回のFONOPは中国の主張を否定した国際仲裁判定5周年を意識して実行されたのでしょう。実は中国も米国も原則論が大好きな点で共通性があり、こうした事例の後ではお互いに主張は平行線となりやすいのです。そもそも米国はじめ各国は中国の領有主張を認めていないので領海侵入にはあたらないという理屈でしょう。しかし、SCS問題の解決のためには中国の既成事実をことごとく崩していくしか解決はないと思います。読者の皆さんはどう思いますか。

USS Benfold (DDG-65) in the South China Sea US Navy Photo

 

 

海軍は南シナ海で米艦艇が中国軍により排除された事実はないと中国の主張を否定している。

 

南シナ海で誘導ミサイル駆逐艦隊が航行の自由作戦(FONOP)を7月12日実行した直後に海軍が声明発表した。人民解放軍はUSSベンフォールド(DDG-65)を「追い払った」と主張したとのロイター記事が出ていた。

 

「(PLANの)声明にある内容は事実に反する。USSベンフォールドは国際法に則りFONOPを実行し、公海上で通常の行動を続けた」と米第七艦隊は報道発表している。「今回の運用はわが国が掲げる航行の自由と海洋面の合法的な利用原則の固持の一環だ。米国は今後も国際法の許す範囲で飛行、航海、運用を続ける。USSベンフォールドはその一例にすぎない。PRCがなんと言おうがわが方の動きを止めることはできない」

 

中国の主張ではベンフォールドはパラセル諸島近くを航行したとある。中国、ベトナム、台湾が同諸島の領有を主張している。中国はパラセル諸島周辺に領海基本線があるとし、同諸島周囲の海域を中国領海とする。米国はこの主張に対抗し、基本線への航行を実行してきた。

 

「米国による合法的な海洋活動を再度曲解しながら、中国は過剰かつ正当性のない海洋権益主張を南シナ海周辺の東南アジア諸国の犠牲の上に展開している」「PRCによる行動は国際法遵守を続ける米国と対照的であり、米国は自由で開かれたインド太平洋の実現に努力している。大小を問わず各国の主権を尊重するべきであり、力の脅かしに屈することなく、経済繁栄を国際法規範に基づき追求すべきだ」

 

中国外務省は7月12日の報道会見でFONOPを非難した。

 

「中国は主権、権益、安全保障を法に従い今後も堅持し、域内各国との友好協調の関係を固く守り、南シナ海の平和と安定をしっかりと守っていく」(張立堅報道官)

 

米海軍は5月にも同様の中国発表を否定した。中国軍がパラセル諸島でFONOPを実行中のUSSカーティス・ウィルバー(DDG-54)を南シナ海から追いだしたと中国は公表していた。

 

「今回のPLA発表は事実に反している。USSカーティス・ウィルバーがいかなる国の領海から『退去』された事実はない。同艦はFONOPを国際法に則り実施しており、公海上で通常の行動をおこなっていただけだ」と第七艦隊は当時反論していた。■

 

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Navy Denies Chinese Forces Chased Away Destroyer During FONOP - USNI News

By: Mallory Shelbourne

July 12, 2021 1:43 PM

 


2020年6月11日木曜日

台湾海峡上空で、台湾機がPRC機を追い払う。その前に米海軍機が台湾島を南北縦断飛行していた

USN

湾空軍戦闘機が中国のSu-30フランカー編隊を「追い払った」。中国機が短時間ながら台湾の防空識別圏に入ったためだ。この事件は米海軍のC-40クリッパー人員輸送機が台湾西海岸上空という異例の航路を飛行した後に発生している。台湾を中国の主権が及ぶ領土とみなす北京政府から見れば反発を呼ぶのは必至のフライトだ。

台湾国防部の発表では事件は2020年6月9日に台湾党南西部で発生した。台湾の声明文では機種不明の台湾空軍戦闘機部隊が中国のフランカー編隊を迎撃し、強制排除する前に空域を去るよう警告したとある。

中国軍用機が台湾島周辺を飛行する事例がここ数年増える傾向にあるが、台湾の蔡英文総統は台湾機は中国軍用機が台湾海峡の「中間線」を超え進入した場合は「強制排除」を辞さないと発言していた。中間線が事実上の台湾とPRCの境界線となっており、後者は台湾を不可分の領土の一部とみなしている。

ROCAF
台湾空軍のF-16A/B戦闘機。台湾国防部は6月9日発生した中国のSu-30迎撃に投入された機種を明示していない。


人民解放軍は台湾南東部から先の南シナ海で新鋭空母山東も動員し大規模演習を展開しており、台湾へ無言の圧力をかけていると見る専門家も多い。北京政府からは台湾が正式に独立をめざせば、軍事力行使も辞さないとの発言が繰り返し出ている。PLA最大の陸上軍事演習地ズリヘに台湾総統府の正確な模型があり、台湾外交部など実寸大の建物も再現されている。

北京と台北の言葉の応酬は蔡総統再選で熱くなっていたが、二期目の任期開始でまた加熱してきた。蔡総統は政治面で大陸から一層距離を取ると公言。国民の支持を頼りに同総統は米トランプ政権と強い関係を維持している。前例のない規模の武器購入が成立しており、F-16C/Dのブロック70機材は一例だ。北京から見ればこれは「レッドライン」を超えることになる。

米国はPRCを中国で唯一の合法政権と認めているが、台湾との関係維持を権利として主張し、最終的解決までの間は台湾防衛を助けるとしている。そのため中台間で緊張が高まると米軍は航行の自由パトロール(FONOP)を強化し、台湾海峡を艦船、航空機に通過させ、米国の台湾支援を誇示している。

C-40Aフライトが台湾とPRCの戦闘機部隊の緊張を生み出した格好だが、クリッパーは台湾領空を通過しており、米軍機の常として危険は冒していない。

USN

これと同じ米海軍C-40Aが台湾上空を6月9日に通過飛行した。機体マニアはオンラインフライト追跡ソフトでC-40Aが嘉手納航空基地から台湾へ向かい、その後南東部へ移動したことを気づいた。機体は海軍機体番号169036で海軍予備隊補給支援飛行隊61(VR-61)の所属でワシントン州ウィドベイアイランド海軍航空基地に配属されており、台湾島の北部から台北近くを飛行し、海岸線沿いに南方へ移動した。

CNV7642(C-40A 169036) is flying over West coast line of Taiwan.
It's a rare flight course...🤔
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フライト追跡データを見ると、機体はさらに南方へ移動し、タイのウタパオ空港に着陸している。その後、同空港からグアムに移動したようだ。
It seems they flew a little inland from the coastline of Taiwan.🤔
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CNV7642(C-40A 169036) is approaching to U-Tapao AB Thailand.
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ADS-B EXCHANGE
A full look at the recorded flight tracking data regarding the Navy C-40A's flight on June 9.

台湾島上空を飛行し台湾の事実上の独立を示す効果とともに、台湾が自国空域を実行支配していることを改めて示し、FONOPSの一部にもなった。現地紙 Taiwan Times は台湾国防部報道官Shih Shun Wenの発言として「わが軍が台湾空域を完全に統制しており、現状は通常の状態であると言える」を伝えている。ただし、報道官はC-40Aが台湾西海岸上空を飛行したことでは確認を避けた。台湾の China Times はクリッパーがChing Chuan Kang 航空基地(台中市)に緊急着陸したと伝えたが、裏付けとなる証拠はない。

今回のC-40Aフライトに先立ち、太平洋で前例のない航空活動が展開されていることに注目すべきだ。一つには米空軍B-1B爆撃機編隊が長距離展開したが、中国へのメッセージであることはあきらかだ。

近い将来に台北と北京の緊張が消える兆候はない。両国関係は今年になりCOVID-19大流行でとげとげしさをましており、PRCは台湾当局による国際的舞台での活動を阻止し、香港では数ヶ月に渡り住民の反対運動が続いている。蔡英文政権は香港住民を支援する方策を模索するとし、北京政府が香港で国家治安法を施行するのに対抗している。

台湾海峡を挟む両当事者に米国が加わり、近い将来に空の上で予想外の対峙やFONOPSがいっそう激しくなりそうだ。■

この記事は以下を再構成したものです。

Taiwanese Fighters Drive Off Chinese Jets After Navy Transport Plane Flies Over The Island

The unusual flight certainly caught the attention of Beijing, which appears to be more focused on Taiwan's independence than ever before.




2018年10月4日木曜日

★南シナ海で米駆逐艦に危険操艦をした中国駆逐艦の意図は何だったのか

中国には国際社会の常識は通用しないようです。上層部に注目されようと中国艦艦長がスタンドプレイをしたのか、貿易問題で劣勢な中国が打開策を求め一介の艦長に無謀な挑戦を命じたのかわかりませんが、米側から開示される情報が増えれば中国は不利になるばかりでしょう


U.S. Navy Releases Images Of Chinese Warship's Dangerous Maneuvers Near Its Destroyer米海軍から中国艦の危険な操艦事実を示す画像が公表された

The series of pictures gives a good sense of just how close the two ships came to hitting each other.一連の写真から両艦が衝突寸前だったとわかる

BY JOSEPH TREVITHICKOCTOBER 2, 2018
USN
海軍公表の写真数点から南シナ海で発生したアーレイ・バーク級駆逐艦USSデケイターと中国人民解放軍海軍の052C型旅洋II級駆逐艦蘭州の異常接近の様子がわかる。中国艦が危険なまで接近する操艦をしており一歩誤れば大事故になっていた。
画像をまっさきに入手したのはgCaptainで蘭州がデケイター前方に接近してから両艦が距離を取る操艦をしているのがわかる。画像は米艦搭載のMH-60Rシーホークヘリコプターのセンサータレットから、あるいは無人機インスティテュが撮影したものだろう。米海軍公式発表では事件は9月30日のことで「旅洋」級とだけあり、米艦から45ヤードまで接近したとある。
USN VIA GCAPTAIN
.蘭州(右)がUSSデケイター(左)の45ヤード先を航行しているのがわかる


こう書くと十分な距離があったように聞こえるが、排水量数千トンの艦の操艦は緩慢なので、安心できる距離ではない。なお、45フィートと言うとデケイターの全長の三分の一にすぎない。2017年にはアーレイ・バーク級駆逐艦二隻が西太平洋でそれぞれ衝突事故で大損傷し乗員数名が命を失っている。
USN VIA GCAPTAIN
両艦が距離を取り始める


USN
デケイターが蘭州から距離をさらにとろうとしている


米海軍が南シナ海の事件を公表するや中国外務省が早速対応しデゲイターは物議を醸している南シナ海ゲイヴン礁付近で中国の「明白な主権」を犯したと発表。「米国には直ちに是正措置をとり、このような挑発行為を猛省し中米関係さらには域内の平和安定を損なう事態の回避を求めたい」(中国外務省声明文)
画像を見ると蘭州こそ「挑発行為」をとっているのがわかる。米海軍は中国が実効支配する人工島から12カイリの距離を保ち航行したと発表している。デケイターは航行の自由作戦(FONOP)の一環として同地を航行し、米国は南シナ海広域で中国が主張する領有権に真っ向から挑戦している。
米政府は国際社会の大部分とともに中国の主張を認めず、より詳細な情報が開示されるかが注目される。
本件は詳細情報を入手し次第、続報をお送りする。
Contact the author: jtrevithickpr@gmail.com

2017年3月17日金曜日

★南シナ海での中国への対抗手段を日米豪印シンクタンクが検討した結果



The National Interest


How to Push Back Against China in the South China Sea


March 16, 2017

ワシントンで最近毎年恒例のトラック-2「クアッドプラス」対話が開かれた。参加したシンク・タンクはオーストラリア、日本、インド、米国の四カ国で、別に招待された「プラス」国は今回はシンガポールだった。
  1. 今回の対話は重要なタイミングのもとで開催された。民主体制四ヵ国並びにその他民主主義国は一連の課題に直面している。前回からの12ヶ月でロシアがクリミア半島で地位を固め、ウクライナ東部でも「グレイゾーン」だとして紛争を巻き起こした。中国は南シナ海(SCS)で拠点を要塞化し、国際仲裁裁判所の出した結論を無視している。また多くの国で選挙に忙殺されグローバルな問題が後回しになっている。
  2. 価値観とともに政治機構も共有している各国であり、それぞれの問題は理解できる。問題は各国の力をどう調整して共通課題に対処したら良いかという点だとわかった。
  3. 今年は米国から南シナ海問題に関し緻密なペーパーがジェイムズ・クラスカ教授(米海軍大学校)から提示された。教授は中国の一方的なSCS活動に三段階で対処すべきと主張。うち二点は当方の主張と同様だ。米航行の自由作戦(FONOPS)を支援、補完し、2016年の国際仲裁裁判所の出した判決の法的根拠を強化する点だ。
  4. まず2つの方法論を守りつつクラスカ教授は他国(残りの四カ国含む)もFONOPSを実施し国際海洋法の執行を強化すべきと主張。FONOPSで社会の関心も上がれば、作戦実施の負担は各国で共有できる。FONOPSは国際仲裁裁判所判決を尊重し法による支配の原則を強化維持を各国が図るべきという。
  5. SCSに関する外交活動で仲裁判決を高く掲げる必要が有ることでは異論がないがFONOPSはオーストラリア他が躊躇する選択肢だ。だがクラスカ教授の三番目の対策に一番興味を覚えた。合法的対抗策の実施だ。ここで言う対抗策とは他国の権利を阻害する国家に国際法に従って相応の対価を支払わせることだ。合法性を担保するため、行動はバランスの取れたものであるべきで、無関係の第三国を不利にせず、より広い国際規範に合致させる。たとえば人権の尊重だ。
  6. SCSで中国は他国権利を制限しており、UNCLOSに反する。とくに無害通航権をEEZ内部で制約なしで認めてきた流れに反する。ただし今の段階で中国は外交抗議以外の手段はとっていない。そこで各国による合法的対抗策は中国艦船や航空機に各国EEZや領海内で同様の制約を加えることだ。中国艦を尾行し退去を求める。誤解ないようにここで考えているのは探照灯や拡声器の使用であり、砲門を開くことではない。
  7. これはいろいろな点で有益だ。まず、裏返して同じ状況が生まれる。つぎに第三国の主張権利を侵害しない。だが、一番の理由はFONOPSで直面している費用対効果の悩みを相手側にも与える効果だ。
  8. 正しいか誤っているかは別に中国はSCSを中核的権益ととらえており、自国権益を守るべく主張を一層強めている。中国の国内感情は強く政府としても引き下がれない状況だ。FONOPSは中国の主張に法的根拠がないことを改めて示す意味があるが、国際裁定結果が出てからは中国は合法性に二次的な意味しか認めていないのは周知のとおりだ。FONOPSの実施を慎重にすれば中国を過剰反応させずエスカレーションのリスクも生まれない。
  9. 中国艦船に他国海域通過を困難にさせても上記の懸念は発生しない。非対称だった領土領海の主張がひっくりかえり、反対意見に意味が増える。エスカレーションのリスクは対策を行う国の手に握られる。各国が権利を明確に主張しても、リスクは中国が主張する海域でFONOPSを行うより相当低くなる。
  10. 合法的対策で四カ国の行動を制約される要因は皆無だ。各国が実施できる戦略だ。四カ国はそれぞれの海軍力や海空の能力の恩恵があってこそ同戦略を追求できる。個別では警告を出すことだけでも、集合すれば相当の威力になる。検討の価値がある考え方であり、次回FONOPSの議論が頭をもたげた際に再度思い出す価値がある考え方だろう。■

なるほど、目には目を、というわけですか。もしこの戦略を実施するなら国際海峡を多数有するわが国は厳格な執行が必要となりますね。特に尖閣ではEEZは愚か接続水域まで現在はわがもの顔で中国艦船が通過していますので、今の措置では足りなくなります。海上保安庁があれば法執行が可能と主張する向きがあるようですが、日本漁船が追い回される現状をどう見ているのでしょうかね。海上自衛隊を出さないことで抑止力になっているとの議論もありますが、日本以外の各国からは奇異な意見だと写っているのでは。人権は中国にとって一番触れてもらいたくない点ですね。結局、中国は異質な価値観にこだわれば孤立を深めるでしょうね。