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2025年6月27日金曜日

AI搭載のMQ-20アベンジャーが初の空対空模擬キルを達成(The Aviationist)—UCAV+AIの技術的な進展のペースは早く、フォローするのが大変ですが、それだけ大きなインパクトを秘めているということですね。

 

AI MQ-20 Avenger simulated kill

飛行中のMQ-20アベンジャー。 (GA-ASI)



MQ-20アベンジャーにシールドAIの自律性ソフトウェアを搭載したテスト2回目でUCAVが複雑なミッションをこなした。


 GA-ASIのリリースによると、2025年6月11日に実施された、シールドAIのHivemind自律性ソフトウェア・プログラムを使用したジェネラル・アトミクス-航空システムズ社(GA-ASI)のMQ-20アベンジャーの「世界初」のテストでは、無人戦闘空中機(UCAV)が「シミュレートされた自律キル」を達成した。2回目のテストでは、GA-ASIはMQ-20アベンジャーが「複数の実機とバーチャル航空機を含む演習」の一部であったと述べ、シールドAIはUCAVのデジタル・ツインも関与していたと付け加えた。

 カリフォーニア州エドワーズAFBで行われたオレンジフラッグ25-1と呼ばれる空軍テストセンターによる全領域テストシリーズの一部である以前の一連のテストでは、MQ-20を自律的に制御するハイブマインドの能力が実証された。 これは、米国政府が義務付けたソフトウェア・アーキテクチャとの互換性のテストと、ハイブマインドと国有システム/プログラムとの切り替えテストに加えて行われた。

 シールドAIのハイブマインドは、2024年にフランク・ケンドール元空軍長官が操縦した自律型X-62A VISTAを制御するAIの「パイロット」または「エージェント」でもあった。

 シールドAIは声明の中で、Hivemindを "AIを搭載した自律ソフトウェア "と説明し、"モジュール式統合、オペレーターの信頼性、マルチプラットフォーム展開 "を通じて、"無人システムがGPSや通信が遮断された環境で複雑なミッションを遂行する "ことを可能にしている。

「Hivemindは、実証済みの適応性と戦術的妥当性を備えたミッション自律性を提供する」と同社の声明は述べている。 戦術シナリオの種類、パイロットなしの標的ドローンであったかどうか、どのように探知されたか、距離と方位についての追加情報は、両社とも言及していない。


2月のテスト

シールドは、オレンジフラッグ25-1演習中の2025年2月のハイブマインド対応MQ-20アベンジャーUCAVの最初の飛行テストと6月のテストを区別した: 「2月の飛行がコマンドラインインターフェイス(CLI)を使用した基本的な管理作業に重点を置いていたのに対し、6月のテストでは、A-GRA準拠のミッションプランニングソフトウェアを使用し、編隊飛行や戦闘空中哨戒演習などの戦術スキルを実証した。 この "複雑なLVCミッション環境 "でのテストは、"スケーラブルで運用可能な自律性への道 "を加速させる。

 最新のテストについてシールドAIは、ハイブマインドが実機のMQ-20とそのデジタル・ツインの両方を指揮し、接続したと述べた。 これは空中戦における初歩的なチーミング戦術を確立するもので、一方のプラットフォームが脅威を検知する間に、もう一方のプラットフォームがそれに対処するというものだ。 シールドAIはまた、「自律性ソフトウェアがC2(コマンド・アンド・コントロール)およびエッジシステムとシームレスに接続し、リアルタイムで実行される」と述べ、有人地上管制がUCAVの挙動を監視していることを示した。

テスト飛行中のMQ-20アベンジャー。 (GA-ASI)


 Hivemind自律性ソフトウェアが成功裏に実証されたことに加え、MQ-20アベンジャーが "Autonomy Government Reference Architecture (A-GRA) "に準拠したインターフェースで飛行したことも、先のテストの特徴である。 A-GRAは国防総省(DoD)のフレームワークで、自律型軍事プラットフォーム間の相互運用性を強化するために設計されており、今後の作業には「A-GRAへの完全準拠を達成し、クロスプラットフォームの自律性をさらに強化するための更新」が含まれるとシールドAIのリリースは当時述べている。

 GA-ASIのリリースによると、2月のテストに登場したもうひとつの国有ソフトウェアは、MQ-20アベンジャーが受け取った「政府提供の自律化ソフトウェア」(または「リファレンス自律化スタック」)であり、「空対空の交戦に焦点を当てた自律飛行操作能力」を実証した。一方、シールドAIスタックは、"飛行の安全な管理フェーズのための自律スキルを実証した"。

 このフライトは、GA-ASIの航空機が "自社製ソフトウェアから政府提供のソフトウェア、そして必要に応じて他のベンダーのソフトウェアへと素早く移行できる "ことを証明した。


6月のテスト

最新の演習では、MQ-20自律型共同航空機が、「マーシャリング、複数の実機との動的空中定位維持、模擬戦闘エリアのパトロール、自律的な意思決定、人間の指揮・制御との連携、2機の実機の自律的な迎撃-実機の標的に対するミサイル発射の模擬的な成功をもたらす」ことができることを実証した。 代表的なグループ5の無人航空機(UAV)を使った "ライブ・オン・ライブ "イベントは、自律性が将来のプラットフォームにとって今日いかに成熟しているかを証明した。

 同社が所有するMQ-20アベンジャー(尾翼番号N903PC)を映したビデオで、技術プログラム・マネージャーのアビゲイル・フランシスは、ライブのMQ-20はバーチャルのMQ-20が本物でないことを知らなかったと述べた。

 「GA-ASIの上級プログラム担当副社長であるマイケル・アトウッドは、「このイベントは、我々が将来の自律化の取り組みに不可欠であると考えている相互運用性と適応性を反映している。「GA-ASIのマイケル・アトウッド副社長は、次のように語っている。「複数のベンダーの自律化要素を迅速に統合してテストできることは、その起源に関係なく、最も効果的な能力を確実に戦闘員に提供するのに役立つ。

 6月11日のテストでは、MQ-20アベンジャーが政府提供のソフトウェア群からHivemindへの "飛行中移行"を行い、"航空機の安定性やミッションの継続性に影響を与えることなく、同様のミッション・プロファイル(...)"を実現した。 GA-ASIのリリースによると、標準化されたリファレンス・アーキテクチャが「異なるベンダーのものであっても、ハードウェアとソフトウェアの統合をいかに合理化するか」を実証することに加え、これは「政府が単一のサプライヤーに縛られることなく、幅広いベンダーのエコシステムから機能を取り入れることを可能にする」という。

 ハイブマインド・ソリューションズのクリスチャン・グティエレス副社長は、同社のリリースで次のように述べている: 「我々は、実戦配備された自律性のリスクを下げ、スケーラブルでミッションに対応可能な自律性がすでにここにあることを証明している。


戦術使用

空対空の役割のような複雑なミッションのための自律性は、米空軍がそのフリートに連携型戦闘航空機コラボレーティブ・コンバット・エアクラフト(CCA)を組み込むのと同時進行している。GA-ASIのYFQ-42Aは、選ばれた2機種のうちの1機であり、もう1機はアンドリルAndurilのYFQ-44Aである。シールドAIとのコラボレーションは、CCAが試験飛行を開始する一方で、自律性ソフトウェアを改良するための並行した取り組みと考えることができる。 GA-ASIはすでにアベンジャーについて、"将来の自律型共同プラットフォームのテストベッドとして広範囲に使用されるジェット動力UAS "と説明している。

 CCAの性能と米空軍が導き出した結果次第では、ハイブマインド・ソフトウェアを既存のYFQ-42A、またはインクリメント2設計にインストールすることができる。 多くの空対空状況では、感覚的で文脈的な推論を必要とする複雑な意思決定は行われない。


MQ-20アベンジャー。 (General Atomics Aeronautical Systems)


 単にAAMを敵対的なターゲットに発射するだけでよい対空拒否のようなシナリオは、見慣れないレーダーシグネチャーと、おそらくは敵味方識別(IFF)質問で否定的な表示によって区別されるため、UAVによって容易に実施することができる。空軍が第4世代、第4.5世代、第5世代の航空機、空中早期警戒管制(AEW&C)、人工衛星といった他の支援資産を有していれば、これはさらに現実的なものとなる。■



AI-Powered MQ-20 Avenger Achieves First Simulated Air-to-Air Kill

Published on: June 20, 2025 at 9:53 PM

 Parth Satam

https://theaviationist.com/2025/06/20/ai-mq-20-avenger-first-simulated-kill/


パース・サタム

パース・サタムのキャリアは、2つの日刊紙と2つの防衛専門誌の間で10年半に及ぶ。 人間の営みとしての戦争には、どのミサイルやジェット機が最も速く飛ぶかをはるかに超えた原因と結果があると信じている。 そのため、外交政策、経済、テクノロジー、社会、歴史と交差する軍事問題を分析するのが好き。 彼の仕事は、防衛航空宇宙、戦術、軍事ドクトリンと理論、人事問題、西アジア、ユーラシア問題、エネルギー分野、宇宙など、あらゆる分野に及んでいる。


2019年3月8日金曜日

新型機登場 XQ-58Aは空軍の戦闘様式を一変する可能性を秘めたステルスUCAV

無人機分野での進展が早く、新型機がどんどん登場しつつ作戦運用構想も技術の発展に合わせ進化しています。F-35に20年も費やす間にそれだけ進展しているわけで、追いつくのが大変なくらいですね。


Air Force's Secretive XQ-58A Valkyrie Experimental Combat Drone Emerges After First Flight 米空軍の極秘XQ-58Aヴァルキリー試験戦闘無人機が初飛行に成功

The XQ-58 may lead to a whole new class of highly-flexible and affordable unmanned combat air vehicles that could revolutionize how the USAF fights.

XQ-58は高度な柔軟性と低価格戦闘無人機につながりUSAFの戦闘方式を一変する可能性を秘める

BY TYLER ROGOWAYMARCH 6, 2019


USAF

ーイングが輸出を意識した「忠実なるウィングマン」構想の戦闘無人機を発表した翌週に空軍研究開発本部(AFRL)がよく似た構想のXQ-58Aヴァルキリーが初飛行したと発表した。同機は長らく秘密のベールに隠されていたが二年半たってその実態が初めて明らかにされた。
USAFは公式発表を以下伝えている。
XQ-58Aヴァルキリー実証機は長距離飛行可能の亜音速無人機で2019年3月5日にアリゾナ州ユマ試験場で初飛行に成功した。空軍研究開発本部がクレイトス無人航空機システムズと共同開発した。
同機開発は空軍研究開発本部が目指す低価格消耗航空機技術Low Cost Attritable Aircraft Technology (LCAAT) の一環で戦術用途機材で上昇する一方の価格傾向を打破する目的がある。LCAAT構想ではUASの設計製造を早めるため設計ツールを改良し民生製造技術を流用して製造期間コスト共に下げる。
同機は滑走路がなくても運行でき76分間飛行可能。契約交付から2.5年で完成した。XQ-58Aはテスト飛行5回でシステム機能、空力特性・発進回収システムをすべて評価する。.
「XQ-58Aは低調達コスト低運航コストをめざす初のUAVでありながら戦闘能力を革新する存在、とAFRLのXQ-58A主幹Doug Szczublewskiが語る。
USAFの「消耗品扱い」無人戦闘航空機構想としてついに姿を表したXQ-58Aは話だけ先行していた空軍の新型UCAVで、空軍にはこれ以外にも秘密のUCAVがあるはずだが同機はローエンド機材の代表なのだろう。

KRATOS DEFENSE

XQ-58Aはクレイトス社のXQ-222案と酷似しており、同機から発展したとわかる。
XQ-58Aは低価格ステルス無人機として偵察攻撃・電子戦支援能力を発揮し単機であるいは多数を同時運用する、または「忠実なるウィングマン」役のQ-58として有人機の指揮統制下で飛ぶのだろう。同機の飛行距離は2千マイルで小型口径爆弾二発あるいは電子戦装備や偵察装備を搭載し、滑走路がなくてもロケット発進方式で飛行する。

同機を製造したクラトス・ディフェンスは標的無人機の製造で知られ、AFRLはXQ-58をコスト面では従来の流れを断ち切る存在として求めた。以前にもこの構想を以下のようにお伝えしている。
LCASDの狙いは再利用も任意に可能ながら高度に適応力のあるローエンド無人戦闘航空機を年間調達99機未満の場合単価3百万ドルで実現し、年間100機生産なら2百万ドルにすることだ。LCASD構想は戦略構想、調達規模双方で「大量」を狙う
USAF


以上の記事の単価が高性能巡航ミサイル単価とほぼ同額なのに留意願いたい。また高性能ステルス無人機で何度も再利用する狙いがないことも重要だ。試験機段階から作戦機材に変身すれば、Q-58には空軍の攻撃力や柔軟対応力を比較的廉価で実現する潜在力がある。.
整備された滑走路がない場所からでも運用できることはペンタゴンがめざす大国との戦闘でインフラがない環境でも運用できることを意味する。また航続距離を見れば抵コストでも敵の接近阻止領域拒否バブルの突破が常識を破る形で実現でき、戦闘機が脆弱な給油機に依存しているためこの任務が容易でないことを考えると対照的だ。
そう、XQ-58AはXプレーンであり、近い将来における空軍の戦闘方法を一変させる可能性を秘める。敵味方とわず外国も急速にそれぞれ長距離ステルス戦闘航空機の実用化を進める中でXQ-58が姿を表したのは絶妙のタイミングと言える。
くりかえすが同機USAFのローエンドUCAV構想の一部であり、頂上となる存在は見えていない。いつの日かその姿を拝みたいものだ。■

Contact the author: Tyler@thedrive.com

2019年1月31日木曜日

新型機登場 ロシア大型UCAV? オホートニク

Russia's Next Deadly Weapon: A Stealth, Jet-Powered Robot Warplane ロシアの次世代兵器か、ステルスロボット軍用機登場

Okhotnik-B could see squadron service.オホートニク-Bは実戦配備の可能性が高い

January 28, 2019  Topic: Security  Region: Europe  Blog Brand: The Buzz  Tags: RussiaMilitaryTechnologyWorldStealthDrone

シアがステルスロボット軍用機を開発中だ。クレムリンはこれまで殺人無人機は配備していなかったが今回は実用に耐える第一線機材になりそうだ。
オホートニク-B Okhotnik-B 無人機の不明瞭な画像が2019年1月23日に航空関連ウェブサイトに現れた。写真では約50フィート幅の無人航空機がロシア南部ノボシビリスクの滑走路に移動する姿が写っている。
機体は全翼機で米空軍のB-2ステルス爆撃機に通じるものがあるが、オホートニク-B(ロシア語で狩人)は理論上は敵防空網を突破し兵装を投下する機能がある。
オホートニクは中国の天鷹 Tian Ying 無人機、米空軍のRQ-170偵察無人機、米海軍の試作UAV X-47B、ボーイングのX-45C実証機と同等の機体だ。
このオホートニクがロシア空軍に配備される可能性は高いとロシア軍事航空関連に詳しいトム・クーパーが語る。「ロシア軍にはUAV関連事業が複数あり、今回の機体登場は至って正常な進展だ」
クーパーはさらにオホートニクはロシアが「これまでの開発の流れの一貫にすぎない」と表現。
ただし毎回こうではない。2007年に軍用機メーカーのミコヤン・グレヴィッチからスカット Skat UAV試作機がオホートニク同様に全翼機ステルス機の触れ込みで登場した。だがロシア経済の不振で国防費が伸びず、スカットは行き場を失った。10年かかったがロシア政府の予算がやっと増え、シリアでの手痛い経験からUAVが実戦配備されるめどが見えてきた。
クレムリンは無人機事業を大幅拡大中とロシア軍に詳しいサミュエル・ベネディクトが報道記事で語っている。.
2018年12月中旬に「ロシア国防省から無人機分野で重要発表が出た」とベネディクトは述べている。「シリア介入を2015年に開始した時点でロシアには中核となる戦闘能力が欠如していた。つまり識別後直ちに攻撃する能力でこれこそ各国の無人戦闘機材の中心性能だ」
「ロシアはシリアでこれを強く意識したが情報収集監視偵察(ISR)用の無人機はあっても攻撃は有人機や砲兵隊が行っていた。そのため攻撃用UAV各種を取り揃えようと必死なのです」
「ロシア政府公式発表や軍幹部も無人機が軍で必要だ、戦闘に必須だと述べています。最近もプーチン大統領が2019年の軍で重要な分野に無人ロボット装備の開発を特に言及しています」
オホートニク以外にロシア無人機には米軍のリーパーに似た存在のフォルポスト Forpost 中距離無人機があり、「ないのは12時間から24時間飛べる偵察UAVだけです」とクーパーも言う。「過去三年間のシリアでもこの機種は登場していません」
クレムリンは長距離ISRも開発中だが、アルティス Altius で苦労している。「生産が遅れ、必要な中核技術、ハイテク部品が足りず数カ年分遅れているのです」とベネディクトは解説する。
だがオホートニクはうまくいくかも知れない。2019年は「ロシア国防部門にとって恵みの年となり短期間でも『飛躍』となり同機が飛行し、攻撃テストするかも知れません」とベネディクトは見る。
「同機が配備されれば最大かつ最高速のロシアUAVになりますがテスト評価が未完成で設計性能の時速620マイルと重量20トンは未確認、ということは空力性能、電子ハイテク機能など多くが未解決ということです」
第一線で機能するためにオホートニクには小型精密誘導爆弾も必要とクーパーは指摘するがロシアはこの分野で世界水準から遅れている。
オホートニクの実戦配備には相当の年数がかかりそうだが、ロシア側要員は準備できているとクーパーは指摘する。「UAVパイロット、地上要員の第一陣は四年間の訓練を終えており、小型UAVならシリアでたくさんの経験を積んでいます」■
David Axe serves as the new Defense Editor of the National Interest. He is the author of the graphic novels  War Fix, War Is Boring  and Machete Squad.
Image: YouTube Screenshot

2018年2月12日月曜日

今になって出てきたロッキードX-44A無人全翼機とはどんな機体だったのか

謎の機体好きにはたまらないスクープです。図面は米特許庁のファイルからのようでかなり大まかで実機と異なる可能性もあります。もう20年近く前の話なので技術が陳腐化しており、今更極秘にしておいても仕方ないという判断なのでしょうか。The Warzoneからの記事です。



Exclusive: Lockheed Skunk Works' X-44A Flying-Wing Drone Revealed  ロッキードスカンクワークスのX-44A全翼無人機の存在が浮上

The aircraft is a missing link in a lineage of shadowy unmanned flying-wing drones built by the legendary Skunk Works.

伝説的スカンクワークスの全翼無人機の系譜をつなぐ存在か


USPTO
BY TYLER ROGOWAYFEBRUARY 2, 2018


ッキードで採用に至らなかった「ティアIII」RQ-3ダークスター無人長時間滞空スパイ機とRQ-170センティネルをつなぐ存在で今まで不明だった機体が明らかになった。全翼機形状の無人機はロッキードのスカンクワークスが1999年にRQ-3が消滅した後に製造されていた。
 狙いは迅速製造技術とともに侵攻航空偵察性能の実証であり小型無尾翼無人機の空力特性の証明にあった。機体はX-44Aと呼称され2001年に初飛行した。
USAF
RQ-3タークスターは1999年に突如中止となったがねらいだった敵地侵入長時間偵察機能は今日につながっている
 
 この極秘機の呼称には混乱を招く要素がある。X-44「マンタ」は同時期に無尾翼有人機として広く知られていたからだ。X-44は推力偏向で飛行制御を狙い、速度、燃料効率、操縦性の効果を試すのが目的だった。
USAF/NASA
X-44マンタの想像図。事業は2000年に予算打ち止めとなった。


 USAFとNASAによる同事業は2000年すぎて取り消しになったことになっており、一部の想像図が残っるだけで、F-22から尾翼を取り除いた形状と三角翼が特徴だ。


DOD


 上がX-44Aが初めて国防総省の4120.15-L軍用航空機制式名称一覧に記載された際の写しで「None」とあるのは公式愛称がないことを意味している。明らかに記載内容はロッキードX-44A無人機と別であり、どうしてそんな記載になったのか不明だ。
 ロッキード作の小太りな全翼機形状無人機にX-44名称がついた経緯がわからないが、二つの機体に直接関連があるとは思えない。
USPTO


 ロッキードの1996年出願特許と知的所有権からX-44Aの設計案がわかる、と言うか実態に近い形がわかる。X-44表皮はナノカーボンファイバー製で動力はウィリアムズF112ターボジェットエンジンだ。このエンジンは巡航ミサイルのほか、無人機でもマクダネル・ダグラスX-36やボーイングX-50にも搭載された。


USAF/PUBLIC DOMAIN
Williams F112 jet engine.


 X-44の全翼巾は30フィート近くとRQ-170の半分程度だ。じゃかいも状の機体本体に各種センサーを搭載し、輸送時には主翼を取り外せたのではないか。これはRQ-170と同じだ。従来型の制御面が後縁部につき、主翼端はまっすぐに切れている
USPTO


 同機はロッキード・マーティン独自の研究成果と言うよりボーイング、ノースロップ・グラマンと同社の競作で生まれたようだ。この競作の成果は不明だが、ロッキードは不採用だったようだ。競作の目標は不明だが、初期の半使い捨てステルス機の可能性があり、空軍が現在目指している低コスト消耗品攻撃機実証 Low-Cost Attritable Strike Demonstration (LCASD)に近い存在だったかもしれない。


USPTO


 機体に付いた下の紋章の謎のデザインは航空宇宙国防関係でよく知られることになったのはトレヴァー・ペグランの著作 I Could Tell You But Then You Would Have to be Destroyed by Me: Emblems from the Pentagon's Black World 刊行以来である。


WORTHPOINT


 紋章は黒いエイがつき、興味深いことに「黒エイ」がX-44のニックネームだった。またpottus est melius quam satis beneとは「普通に良いだけでは十分ではない」の意味でX-44製造技術を指しているのだろう。 Indigo, Delta, Kilo(IDK)とは"I Don't Know"の頭文字で同機の極秘度合を示している。ナンバーワンと星座は謎だが、星六つはエリア51を意味することが多い。ただし、星は11個付いている。
 X-44は改装され海軍の空母運用空中給油機(CBARS)の目視探知機能の評価に使われている。ロッキードはCBARS参画をあきらめておらず、ジェネラルアトミックスとボーイングと厳しい競争に直面している。
LOCKHEED IMAGE
ロッキードP175ポールキャットはX-44Aの後で作成され、やや大型になったがコンセプトは類似し形状は進歩している。そこでRQ-170センティネルの前身にRQ-3、X-44、P175の三機種があったことがわかる。


 スカンクワークスが高性能無人機を目指す中でX-44が習作であったことがわかる。
 おそらくステルス無人機各型の前身となったのだろう。まだ極秘扱いが解除されていない機体がありそうだが、P175ポールキャット実証機につながったことは明白で両機種とも目標を共有し、設計上は類似しているが、P175は大型で性能も伸びている。
 その他2000年代初期から中期に現れたらしい機体にスカンクワークス作の全翼機形状極秘機体の一連があるのだろう。9/11後は敵地に侵入し長時間偵察する性能が最重要になったはずで、ロッキード製の別の極秘機がイラクの自由作戦に投入されている。これはおそらくRQ-170センティネルの試作機であったに違いない。アフガニスタンのカンダハール飛行場で同機が一般に目撃されはじめたのは2007年だった。
USAF VIA FOIA
グアムのアンダーセンAFBにRQ-170が配備された


 RQ-170はオサマ・ビン・ラディンの所在を突き止めたほか、イランの核開発の様子を監視し、2011年にイランに捕獲されたことで有名になったが、北朝鮮上空はじめ各地でも飛行している。その背後にX-44はじめまだ正体不明の機体数種類があるのだろう。謎に満ちて闇に消えた米国のステルス無人戦闘航空機(UCAV)の系譜については別に紹介したい。
 スカンクワークスから謎の機体の写真や関連情報が近い将来に公開される日が来るのを待とう。これだけ長期にわたり極秘扱いなのは全く理解できない。今日の高性能無人機と比較すればはるかに単純かつ小型機にすぎないのだ。
 X-44Aは二十年前の機体だが歴史に埋もれた高度に極秘の「ブラック」技術の世界があり、まだまだ知られていない側面があることを思い起こさせてくれる機体だ。
 ロッキードにX-44を照会したが回答が来ていない。同機に関する何らかの情報が出てくれば随時ご紹介したい。■
Contact the author: Tyler@thedrive.com

こうしたブラック事業は予算技術で普通の費目に潜り込ませているのでしょうね。それはやはり財政がしっかりしているから可能なことなので、現今の厳しい状況をみるとブラックの原資そのものが乏しくなっていれば技術の革新的進歩に逆効果になりますね。やはり国防の基本は強い経済です。

2014年2月15日土曜日

米海軍次期無人機UCLASSを空対空作戦に投入する可能性を検討中


Navy’s UCLASS Could Be Air to Air Fighter

By: Dave Majumdar
USNI News, February 13, 2014 7:35 AM
X-47B Unmanned Combat Air System Demonstrator (UCAS-D) on Nov. 9, 2013. US Navy


米海軍が進める無人空母運用型空中偵察攻撃機(UCLASS) は空対空任務も実施できるようになるのか。海軍の航空戦担当マイク・マナジール少将Rear Adm. Mike ManazirはUSNI Newsのインタビュー(昨年12月20日)にその可能性を示していた。
  1. マナジール少将はUCLASSの主用途を情報収集監視偵察(ISR)および攻撃任務とするものの、ミサイル搭載の可能性を検討していると発言していた。ミサイル発射母体とした場合、F/A-18E/FやF-35Cの空対空任務を補完する無人ウィングマンになるという。
  2. 「AMRAAM(高性能中距離空対空ミサイル)を搭載したトラックのような存在になります」とマナジールは言う。「無人トラックは有人機と一緒に飛行します」
  3. マナジールの想定するUCLASSの操作はノースロップ・グラマンE-2Dホークアイあるいはロッキード・マーティンF-35Cからの遠隔操作によるもの。この構想には利点が多いと空軍予備役大佐マイケル・ピエトゥルチャCol. Michael Pietrucha(F-15Eの兵装システムズ士官で無人機専門家)がUSNIにコメントしている。
  4. 「これは荒唐無稽な話ではありません。困難なのは航空機自身に判断能力や優先順位づけができないので、戦闘機の機能を持たせるには機内にシステムを搭載することなのです」
  5. その解決方法は状況判断など人間で行う機能を戦闘機パイロットに任せることだ。そこで有人機が目標を発見、追跡、照合し、敵機との交戦は無人機に任せる。
  6. 「この点では海軍が空軍より先行しています」とピエトゥルチャは指摘し、海軍統合火器管制対空戦闘(NIFC-CA) 構想はデータリンクを利用したネットワーク化で多数の友軍機が戦闘状況を共有するものだという。
  7. NIFC-CA構想では「センサー」役の機体が捕捉した敵目標を射程内にあれば、「射撃者」役の機体ならどれでもが攻撃できる。「この問題が解決できれば、ミサイル満載の無人機ウィングマンに目標を教えればよい」
  8. ただ無人機を空対空戦に投入すると不利な点も発生する。制空任務用の戦闘機としてロッキード・マーティンF-22ラプターやボーイングF-15Cイーグルは高高度飛行と超音速飛行と組み合わせてAMRAAMに与える運動エネルギーを最大限にしつつ、長距離から発射している。
  9. これに対しUCLASSは亜音速機の設定であり、AMRAAMに与えられるエネルギーはボーイングF/A-18ホーネット以下となり、発射してもミサイル速度と高度は低く制空戦闘機の水準は期待できない。
  10. だがこの不利な点は克服できないわけではない。実際のAMRRAM発射の事例の大部分は音速以下の速度と中高度で発生しているとピエトゥルチャは指摘する。さらに亜音速無人機に運動エネルギー上の利点が生まれる条件があるという。
  11. たとえば有人戦闘機が防御態勢に入り、90度で目標敵機と方向を変えることを想定すると、有人機ではミサイル発射のチャンスは少ない。「90度旋回をすれば運動エネルギーが無駄になりますが、無人機は目標に直接接近できます」
  12. 「その場合の運動学的エネルギーは有人機よりも優秀です。なぜなら発射したミサイルには旋回後の修正が必要ないからです。無人機ウィングマンは戦闘機特有の機種を敵機に向けたまま保持する必要がなく、センサーが捕捉しておけばよいのです」
  13. しかし複雑な機構のステルス無人機は非常に高価であり、消耗品扱いは許されないだろうとピエトゥルチャは見る。
  14. 無人機を空対空戦に投入することは必然的に機体を敵の攻撃にさらす危険が増えることを意味する。しかし、それ以上にパイロットが意図的に無人機を盾にして自機を守ろうとする可能性もある。「自分の生命は代わりがききませんからね」とピエトゥルチャは言う。「コックピット内部では抽象的な思考をする余裕はなく、わたしなら無人機を自由に飛行させ人間のウィングマンでは不可能な方法で危険な脅威に対応しようとするでしょうね」
  15. ピエトゥルチャはペンタゴンが超音速無人機で有人戦闘機を全廃する日は来ないと考える。
  16. その理由はコストであり、とくに推進系のコストが劇的に上昇しても実現できる性能は有人機に劣るためだという。超音速UCAVには高推力エンジン(非常に高価格)および抗力を低く抑える機体形状の中に相当の燃料を搭載する必要があり、結局有人戦闘機と同程度の価格になってしまうからだ。
  17. 「とても高価格の機体でも有人機より性能が低ければ価値がないでしょう。それでは予算の節約になりません」■