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2025年11月26日水曜日

ドイツのF127フリゲート艦のSPY-6レーダー部品を日本企業が供給へ(Naval News)


SPY-6はドイツ海軍の新鋭F127級フリゲート艦(写真)に選定された。TKMS提供画像。

レイセオンはドイツ海軍の次世代F127フリゲート艦に選定されたSPY-6レーダーシステムに、日本企業が製造した部品が組み込まれることを本誌に明らかにした。

レイセオンが開発・製造するAN/SPY-6は、米海軍の最新艦載防空レーダーである。各辺60cmの立方体形状のレーダーモジュラーアセンブリ(RMA)を組み合わせることで構成され、レゴブロックのように様々なサイズのレーダーアレイを組み立てることが可能となった。RMAの数に応じて、SPY-6ファミリーはSPY-6(V)1(37基)、SPY-6(V)2/(V)3(9基)、SPY-6(V)4(24基)に分類される。米海軍は今後数年間で、アーレイ・バーク級駆逐艦(Flight IIAおよびFlight III型)、空母、強襲揚陸艦など60隻以上の艦艇に本システムを搭載する計画だ。

2025年10月、SPY-6は初の国際輸出契約を獲得した。同システムはドイツ海軍の新鋭F127級フリゲート艦に選定された。同艦は8隻の建造が計画されている。レイセオンの海軍部門社長バーバラ・ボルゴノビはSPY-6が選ばれた5つの主要な理由を本誌に説明した。

「第一に、これは米国の公式プログラムで、米国艦艇との相互運用性・互換性を保証する。第二に、これは低リスクなアプローチを意味する。ドイツのフリゲート艦に特化した適応は必要だが、その調整作業は極めてリスクが低い。第三に、既に米海軍向けに生産中だ。計画段階ではなく、実際に製造が進んでいる。2艦は既に就役しており、生産と納入は予定を前倒しして進んでいる。第四に、これは海上レーダーだ。陸上レーダーを海上環境に移設したものではない。本レーダーは海上で性能を発揮するよう設計されている。海上試験を含む厳格な試験を複数地点で実施済みだ。最後に、訓練も極めて重要である。単にレーダーを納入するだけでなく、顧客と乗組員が当社の能力を適切に運用できることを保証する。これにはSPY-6の訓練インフラも含まれる」。

マサチューセッツ州アンドーバーにあるレイセオン・ミサイルズ&ディフェンスのレーダー開発施設で製造中のSPY-6レーダーアレイ。SPY-6は米海軍のレーダーファミリーであり、7種類の艦艇で統合防空・ミサイル防衛を担う。レイセオン提供画像

日本企業がSPY-6部品生産に参加

SPY-6で注目すべきは、日本企業が部品製造に参加している点だ。2024年、三菱電機(MELCO)と三波工業(さんぱこうぎょう)は、SPY-6システムの特定部品を生産する供給契約をレイセオンと締結した。両社はレーダー関連製品で豊富な経験を持ち、レイセオンとの協業を電源装置及び関連サブシステムの製造から開始し、作業範囲を段階的に拡大する計画だ。レイセオンによれば、MELCOと三波工業での部品生産は2026年に開始される。

これまで公表されていたのは、日本製部品が米海軍艦艇向けSPY-6レーダーに組み込まれるという事実のみであった。しかしレイセオンの海軍システム・サステインメント担当副社長ジェニファー・ゴーティエはこれらの部品がドイツのF127級フリゲート艦に選定されたSPY-6システムにも組み込まれると本誌に述べた:

「契約での最近の進展で特に注目すべきは、サンパとMELCOが米国向けだけでなく世界中の艦隊向けにもSPY-6の部品を生産する点だ。ドイツが最初の事例となる。そしてグローバルなSPY-6ファミリーが拡大するにつれ、両社が世界中のシステム向けに部品を生産するようになる構想だ」。

これまで日本の防衛産業は、主に自衛隊向けの装備・部品を製造・供給してきた。そのため、長年、低収益で成長産業とは見なされてこなかった。しかし、レイセオンとの協業で始まったSPY-6部品生産は、日本企業が世界的な顧客基盤向けに部品を製造する初めての真の機会となる。したがって、この取り組みは製造施設の拡張や先進的な生産ノウハウの獲得など、複数の分野で大きな利益をもたらすと期待されている。

稲葉義泰

稲葉義泰は、静岡県在住のフリーランスライター。日本で数少ない若手軍事ライターの一人であり、現在は日本の大学院で国際法(特に自衛と武力行使)を研究している学生である。特に陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊に精通している。


Japan to Supply Components for German F127 Frigate’s Radar



2018年7月3日火曜日

日本がイージスアショア用高性能レーダー導入を決める

すみません当方は新聞を読まないので以下の記事はすでに報道ずみかもしれません。一つ言えることは今後中国が裏からイージスアショア反対運動を操ることで「住民運動」はじめ国会論戦でも野党議員の動きに要注意ですね。

Exclusive: Japan to buy advanced U.S. radar for missile defense system特報:日本が米製高性能レーダーをミサイル防衛用に購


TOKYO (Reuters) - 日本が来週にも(注 原記事は6月29日初出)米製高性能レーダー導入を決めミサイル防衛体制の実効力を高めつつ、米国との貿易摩擦を緩和しつつ北朝鮮や中国に対する備えを固めることが判明した。
日本政府関係者はイージスアショアについて「巨額の導入案件となりトランプ大統領によい贈り物になる」と述べている。
日本は早ければイージスアショア施設二か所向けにレーダー導入を決めるはずで2023年の稼働を目指す。この購入が8月に予定される次年度予算要求に入るとロイターは三か所の取材源から理解している。
選択候補としてレイセオンのSPY-6、ロッキード・マーティンの長距離判別レーダー(LRDR)があると消息筋が説明している。そもそも日本がイージスアショア導入を決めた時点でSPY-6を想定していたが、米側が同レーダー供与に難色を示している。
日本の予算要求はシンガポールで6月12日開かれた米朝首脳会談後に緊張が緩和する中で進められる。
日本側防衛当局は依然として北朝鮮を差し迫った危機と見ているが、中国の軍事力増強の方が長期的には深刻な脅威ととらえている。
人民解放軍ロケット軍は日本まで到達可能な弾道ミサイル数百発を管理下に置き、日本のミサイル防衛体制は世界有数の規模に整備されている。
日本側防衛関係者の試算はイージスアショアの二個施設導入を20億ドルとしている。さらにSPY-6あるいはLRDRまで含めれば総費用は軽く二倍に増えるとの見方がある。高性能レーダーは既存イージスシステムより数倍遠くの探知能力がある。
性能向上は当然のことながら高い出費を伴うが、トランプ大統領が望む米製軍事装備輸出拡大に沿うものだ。
トランプ大統領は昨年11月の訪日をきっかけに日本へ圧力を加え鉄鋼製品への関税引き上げ、自動車輸入への課徴金適用はじめ二国間貿易交渉を進めたいとしている。
6月の共同記者会見でトランプ大統領は安倍首相が「数百億ドル相当の追加製品購入」を約束したと発表した。
安倍首相は9月の国連総会で再度トランプ大統領と会見すると見られると日本政府関係者は説明したが、会談内容の推定は拒んだ。

レイセオンかロッキードか

レイセオンは三菱重工と共同でイージスアショア用のSM-3ブロックIIAミサイルを開発している。ロッキード・マーティンが主契約社だ。

SPY-6レーダーは米海軍のイージス装備艦艇向けに開発されており、LRDRは米国の地上配備中間過程防衛ミサイル迎撃システムと2020年までに統合される見込みだ。
ともに高性能レーダーであり日本は長距離迎撃ミサイルと併用して将来の中国ミサイルの脅威にも十分対応できるはずだ。
日本は5万名近くの米軍関係者を駐留させており、米海兵隊・海軍では世界最大の海外配備場所となっているが、北朝鮮が核兵器及び弾道ミサイルを永久に廃棄する明確な証拠が出るまでは現在の姿勢を崩さないとしている。
「イージスアショアは日本に必要であり導入を進めていく」と日本政府筋は述べている。
Reporting by Tim Kelly and Nobuhiro Kubo; additional reporting by Linda Sieg; Editing by Gerry Doyle