- どうも我々は多方面へ同時に関心を示すことが下手なようです。イラン、イエメン、サウジアラビアと注意が必要な地点は増える一方ですが、北朝鮮はともかく、モリカケだ、お相撲だ、はては有名人のスキャンダルだと騒ぐ一方で見えなくなっていく対象がいかに多いか。中国は既成事実の積み上げに余念がありません。地上設備などミサイルで一掃できると米軍が思っているかもしれませんが、オセロで言えば隅の要所を取られてしまったと思えてなりません。南シナ海を抑えた後は東シナ海、本命は沖縄でしょう。かつて日本企業が長期的に物事を考えているといわれていましたが、中国共産党はもっと長い視野で考えているのではないでしょうか。もっと警戒が必要です。
As tensions ease, China keeps building on disputed islands
緊張緩和の一方で中国は引き続き問題の島しょで建設工事を強行中
CSISのアジア海洋透明性確保事業がDigitalGlobe と共同で公開した画像では南シナ海スプラト
リー諸島で中国が2017年になり構築した建築物を区別して表示している。(CSIS Asia Maritime
Transparency Initiative/DigitalGlobe via AP)
WASHINGTON — 南シナ海での中国人工島建設による緊張が鎮静化の観がある
が、中国は建設工事を依然として続けている。
- 新たに公表された衛星画像では中国がスプラトリー、パラセル両諸島で2017年に構築した建築物は延べ72エーカー(28ha)に及び、海軍空軍基地にしようとしていることがわかる。
- ワシントンンに本拠を置くアジア海洋透明性確保構想Asia Maritime Transparency Initiativeが南シナ海の動向を逐一追っており、中国他数か国が領有権を巡り対立している様子を監視している。12月14日に同団体から中国による格納庫、地下諸侯施設、ミサイル収納陣地、レーダー施設等の建設の最新状況が発表された。
- 中国と東南アジア各国とで南シナ海の「行動規範」を形成する交渉が長引く間に中国の活動が進展している。米国と緊張が緩和した観があるが米政府は中国の行動を批判していることに変わりはない
- スプラトリー諸島では2016年初めに埋立て造成工事が完了し現在は建築物構築工事が続いている。同諸島領有を主張するのはマレーシア、台湾、フィリピン、ヴィエトナム、ブルネイもある。ペンタゴンによれば中国は同地区で合計3,200エーカー(1,248ha)を造成した。
- パラセル諸島では中国の拡張工事をは停止中のようだと同団体は説明。
- 米国はじめ各国が中国が同地区を軍事転用していることを非難し、南シナ海各地で地形変更したことも非難の対象だ。中国の言い分はスプラトリーの人工構築物は主に民生用で漁業や海上交通の安全確保用とするが、滑走路や軍事施設が整備されている。
- 同団体役員のグレッグ・ポーリングGreg Polingによれば中国はフィリピン大統領ロドリゴ・デュテルテ当選の機会をとらえ新大統領の中国への対話路線を利用した一方でトランプ政権が北朝鮮核問題や中国との交易問題に忙殺されているのをいいことに同政権は軽くあしらってきたと解説。
- 「一面見出しに出なくなりましたが中国が軟化したと誤解してはなりません。中国は目指す目標に向けて建設工事を継続中です」(ポーリング)
CSISのアジア海洋透明性確保事業がDigitalGlobeと共同で公開したパラセル諸島のウッディ
島の画像(2017年11月15日)ではY-8軍用輸送機二機が見える。 (CSIS Asia Maritime
Transparency Initiative/DigitalGlobe via AP)
- スプラトリーで一番目立つのがフィアリークロス礁での建設工事で格納庫群のわきに3千メートル滑走路があり、地下貯蔵庫はおそらく武器等用で、強化掩体壕はミサイル部隊用で他に通信レーダー施設が確認されると同団体は述べる。
- またパラセル諸島内のウッディ島に新型軍用機が飛来している。10月末に中国軍はJ-11B戦闘機部隊が同島に訓練展開した時の写真を公表した。11月にはY-8輸送機が同島で視認されており電子情報収集活動に従事したのだろう。
- ペンタゴン報道官クリストファー・ローガン海兵隊少佐Marine Lt. Col. Christopher Loganは12月14日に米側情報解析結果の詳細に触れることはできないが「これ以上の軍事化が進めば緊張が高まり各方面の不信を招くだけ」と述べている。
- 米国は南シナ海に何ら領有権を主張しないが領有権をめぐる対立は国際法に則り平和的解決を求め航行の自由、上空飛行の自由の保証が欠かせないとの立場だ。中国はアジアの問題に米国が介入するものだとして反発している。■