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2024年8月19日月曜日

米国および西側諸国にグローバル情報戦を仕掛けている中国に西側はどう対応すべきか (WAR ON THE ROCKS)

 





中両国の戦略的競争が激化するにつれ、国際的なメディア環境における「物語の戦い」 “battle for the narrative”が激しさを増している。しかし、中国の影響力拡大の取り組みを理解しようとする動きの中で、ワシントンの一部やより広範な中国ウォッチャーのコミュニティでは、米国の体制上の立場によって中国の活動の特定の側面に注目する傾向が見られる。場合によっては、こうした狭い視点や断片的な視点が、米国の情報領域における対中競争能力を損なう結果となっている。

 中国の影響力行使を分析する際に陥りがちな3つの狭いアプローチが特に懸念される。1つ目は、北京の秘密裏に行われる影響力行使に過度に焦点を当て、対象となる聴衆の認識を形成するためのより広範な(そして非常に明白な)取り組みから切り離して評価することである。2つ目は、北京のソーシャルメディア戦術における最新進化に過度に焦点を当てることだ。3つ目は、北京の行動を理解する上でデジタルツールやビッグデータ分析に過度に依存することである。

 中国の影響力行使に関するこうした狭い視点、つまり「サイロ化」分析は重要ではあるが、断片的な対応につながり、より協調的な政策アプローチの実施を妨げる可能性がある。

 北京による世界的なプロパガンダ活動(秘密裏、公然、デジタル、アナログ)に対する情報に基づく政策対応を策定する鍵は、それらを全体として研究し、中国共産党に関する情報に基づく理解を基盤とすることである。このような包括的分析は、中国の行動を予測し、米国の戦略的コミュニケーション計画に情報を提供し、北京の主張に対する聴衆の免疫力を高めるためのメッセージを作成するために活用できる。

 現在、米国には、この横断的な任務を遂行する任務を与えられ、資金提供されている組織は存在しない。 

 物語の戦いに勝利するためには、米国は、中国政府の影響工作に先手を打つことができるよう、政府全体にわたる米国の戦略的コミュニケーション計画を伝えることを任務とする組織を指定し、その組織に資金提供すべきである。

 

表立った問題も重要 2024年の年次脅威評価報告書において、国家情報長官室は、中華人民共和国が米国の指導力への疑念を拡散し、民主主義を弱体化させ、北京の影響力を拡大するため、「世界的な秘密工作による影響力行使の姿勢を拡大している」と警告した。この評価では、中国の秘密工作キャンペーンは、2024年の選挙を前に分裂を拡大させることを目的とした生成型AIやロシア式戦術など、ますます洗練された要素を取り入れていると説明している。

 しかし、中国の秘密工作キャンペーンは影に潜むものだけではない。外国の認識を形作ろうとする北京の取り組みには、公然と秘密裏に行われる戦術の複雑な組み合わせが含まれている。巨大な国営メディア複合体を利用して、北京は世界中の聴衆に対して中国に対するポジティブなイメージを広めようとしている。これは、習近平総書記が「中国のストーリーをうまく伝える」と表現していることである。また、米国および米国のパートナーや同盟国といった競合相手を貶め、弱体化させ、その正当性を失わせることも目指している。

 このキャンペーンは、米国およびそのパートナーや同盟国が中国に対して「世論戦」を仕掛けているという認識に基づいて推進されている。中国の戦略的思考において、世論戦は「三戦」のひとつであり、メディアを利用して世論に影響を与え、国内外の聴衆の支持を得ることを意味する。三戦には、心理戦(軍事作戦を支援し、政治的・軍事的目標を達成するために情報やメディアを利用する)や、法律戦(国際法や国内法を利用して国際的な支持を得たり、軍事行動の政治的影響を管理する)も含まれる。

 中国が世界的なメディア環境においてその存在感を拡大しようとする取り組みは、20年以上も前から始まっており、胡錦涛政権(2002年~2012年)の初期まで遡る。2000年代初頭までに、中国が世界経済の主要なアクターとして台頭することは疑いのないものとなっていた。2001年には、中国が新興経済大国としての地位を正式に確立する2つの重要な出来事があった。中国が世界貿易機関(WTO)に加盟し、2008年の夏季オリンピックの開催地に北京が選ばれた。 

 しかし、こうした非常に注目された成功にもかかわらず、北京は、中国に対する国際的なイメージが依然として欧米メディアの反中バイアスによって損なわれていると懸念し、それが国際的な影響力を高める努力を妨げていると考えていた。2004年には、中国共産党指導部がこの問題への取り組みに力を入れる姿勢を示すため、中国共産党は対外メディアの改善を目的とした一連の指令を出し、対外宣伝工作領導小組を再設置した。

 2008年には、北京はオリンピック聖火リレーのルートで抗議活動が勃発し、海外での「人心の掌握」に引き続き失敗したことを突きつけられた。この広報上の大失態により、中国は対外宣伝の改善が必要だとの確信を強めた。それから1年も経たないうちに、中国は世界におけるメディアの存在感を高め、国際ニュース報道を改善するための推定66億ドルのキャンペーンを開始した。

 外国の認識を形作ることを目的とした中国の現在進行中の世界キャンペーンは、印刷、デジタル、放送メディア、さらに情報通信インフラストラクチャーなど、対象国の情報環境のほぼすべての側面に影響を及ぼしている。例えば、メコン地域では、中国は5カ国(タイ、ラオス、ベトナム、カンボジア、ミャンマー)の現地メディアとのコンテンツ共有契約、複数の国における現地メディアへの金融投資、中国企業による通信インフラ開発への投資など、積極的な足跡の確立を試みている。これらの活動を隠そうとするどころか、中国はしばしば、それらを「人類の共有する未来のための共同体を構築する」ための取り組みの一環として喧伝している。


デジタルメディア以上のもの 世界中のその他政府やメディア組織と同様に、中国のプロパガンダ機関もデジタル時代に適応している。中国の国営メディア複合体は、印刷物や放送からオンラインへ、そして従来のメディアから新しいメディアへと、見事に移行している。例えば、中国の公式通信社である新華社通信は、Facebook、X、Sina Weibo(Xに似た中国のマイクロブログサイト)、YouTubeに強力な存在感を示している。新華社のYouTubeチャンネルのフォロワー数は143万人に上る。さらに、中国政府は検閲、ボット、荒らし、雇われたインフルエンサーなど、さまざまなソーシャルメディア操作戦術を用い、さらにジェネレーティブAIの実験も始めている。

 しかし、中国の影響力行使のすべてがオンライン上で行われているわけではない。重要な取り組みではあるが、北京のデジタル上の足跡に焦点を当てた分析では、オフライン活動、例えばプロパガンダの放送やジャーナリストを標的にした取り組みなどの範囲を捉え損なうリスクがある。例えば、中国の海外向け公式放送局である中国国際放送局(CRI)は、世界中で放送される61言語のマルチメディアコンテンツを制作している。短波放送は、ラジオが伝統的にニュースの主要な情報源となっている太平洋諸島諸国などにも届いている。

 中国による海外メディアやジャーナリスト(中国国内および国外)への影響力行使の試みは、デジタル領域をはるかに超え、現実世界の人間同士の交流の領域にまで及んでいる。北京の工作員は、ジャーナリストに暴力をちらつかせるという露骨な手段から、親中派の姿勢を取らないのであれば中国市場へのアクセスを失う可能性があるとほのめかす巧妙な手段まで用いている。最近では、北京は外国のジャーナリストに「お茶に招待する」と脅迫しています。これは、中国の国家安全保障や反スパイ法に反する情報を公開した場合に、個人を呼び出して刑事訴追すると脅迫する一般的な慣行だ。また、北京は好ましくない報道への報復として、ビザ発行や更新を拒否することで外国人学者やジャーナリストを処罰してきた。中国へのアクセスを生活の糧としている人々にとって、この慣行はキャリアを台無しにする可能性があり、そのため、自己検閲をへの強い圧力がかかる。


デジタルツールへの過剰な依存 中国のデジタル上の存在感は、デジタル監視ツールや分析モデルの使用に適している。実際、これらのツールは、オンライン上の中国の影響力行使の急増を把握し、定量化し、理解する上で重要な役割を果たしている。また、北京のデジタル領域での取り組みを監視する上で、それらは確かに重要であるが、アナリストがそのアウトプットに過度に注目し、コンテクストを見失うことはあまりにも容易である。

 ビッグデータ分析を用いて北京のオンライン上の足跡を監視しようとするアプローチは、中国共産党の必然性、目的、歴史といったより広範な理解から乖離するリスクがある。その結果、データの解釈を誤り、予測能力に欠ける結論が導かれる可能性がある。例えば、中国による脅威行為に関する情報活動に関するマイクロソフトの優れた報告書はデジタル領域における6ヶ月から12ヶ月の活動期間に焦点を当てているが、これを素人が読んだ場合、中国のオンライン影響力キャンペーンがターゲットとなる聴衆の共感を呼ぶようなストーリーを構築する能力を急速に向上させているという印象を抱く可能性がある。しかし、これらのキャンペーンをより広範な歴史的・政治的文脈に位置づけると、状況はより複雑であり、おそらくそれほど深刻ではないことが明らかになる。中国の影響工作やプロパガンダキャンペーンは、政治的な正しさがしばしば効果性よりも優先されるシステムが生み出した産物である。


歴史の重要性 北京の広範な影響力行使の取り組み(公然、秘密、デジタル、人的、アナログ)を総合的に分析し、中国を支配する共産党の理解を基礎とすることは、適切な政策対応を策定する上で極めて重要だ。

 まず、外国の認識を形成しようとする試みは中国共産党にとって新しい行動ではないことを忘れてはならず、同党が用いる戦術の多くは数十年にわたり磨き上げられてきたものなのだ。対外宣伝の使用は、中国共産党の活動の中核であり、その歴史を通じて一貫して行われてきた。外国に「中国支援者」を育成するといった戦術は、数十年も前から行われている。毛沢東自身も、1930年代に中国共産党とその指導者たちに好意的な描写で世界的な注目を集めたアメリカのジャーナリスト、エドガー・スノーと慎重に人間関係を築いた。同様に、共産党軍が約90年前に国民党軍から延安の洞窟に身を隠して以来、党は独自の新聞を発行し、ラジオを通じてメッセージを発信してきた。この2つの慣行は、その後の数十年間に北京によって磨き上げられ、適応されてきたものであり、現在も対外宣伝の主要な要素となっている。

 次に、中国のメディアの行動を最近の党の改革の文脈に位置づけることで、北京の物語が今後どのように進化していくかについて洞察が得られる。習近平は政権を握って以来、2018年に実施された組織改革を通じて、中国共産党による中国メディア生態系への統制強化を目指してきた。これらの改革の一環として、党は国家新聞出版広電総局を廃止し、責任を中央宣伝部に移管した。中国メディアに対する党の統制強化は、今後の行動に重大な影響を及ぼす。これは、中国メディアの行動において、商業的な要請である「真のオーディエンスエンゲージメント」よりも、党の要請がより大きな役割を果たす可能性が高いことを示唆している。また、中国が推進するストーリーは、ターゲットとなるオーディエンスにとって必ずしも魅力的ではないとしても、北京が世界に対して伝えようとするマスター・ストーリーを裏付ける、極めて予測可能なものになる可能性が高いことを意味する。

 実際、筆者が中国のメディアの行動を観察してきた約20年間で、得られた重要な教訓のひとつとして、北京の主張は往々にして非常に予測可能だということがある。中国メディアが報道する具体的な出来事に関わらず、中国共産党の使命である中国に対する肯定的なイメージの促進を達成するために、あらゆる機会を利用している。最も大まかなレベルでは、中国のメディアによる海外向け報道には、次のような主張が浸透している。中国は平和的である、中国の協力へのアプローチは互恵的かつウィンウィンである、中国は国際社会の責任ある一員である、中国は発展途上国にとってより良いパートナーである、などだ。

 その一方で、中国のメディアは中国の競争相手、特に米国を反射的に貶めており、その正当性を否定しようといる。中国メディアが米国について報道する際、特に中国との競争に関連する米国の活動についてでは、次のような論調が中心となる。米国は世界的な覇権を維持しようとしている、米軍は不安定化要因である、米国の協力へのアプローチは利己的である、米国は国際組織を利用して他国をいじめている、米国の開発途上国への支援には政治的な条件が付いている、などだ。

 南シナ海における領有権問題やインド太平洋地域への米軍の展開など、特定のトピックや政策問題に関連する中国メディアの報道は、概ねこれらのマスター・ナラティブの範囲内に収まるメッセージを広め、北京の公式見解を補強する。新華社の英語サイトで「米国」、「軍事」、「不安定化」という語句を検索すると、南シナ海、中東、東南アジア、そして世界的に、米軍を不安定化要因として描こうとする見出しの一覧が現れる。

提言 中国の主張が予測可能なものならば、それに対処することは可能でだ。人々が最初に目にする、あるいは耳にするメッセージは、最も強く印象に残る。心理学者はこれを「プライマシー効果」と呼ぶ。重要な問題に関しては、米国は過去の類似した行動に対する中国の反応を歴史的に分析し、中国のレトリック的な反応を予測し、聴衆が中国の主張に影響を受けないようにするメッセージを作成することが可能だ。例えば、米国軍が不安定要因であるという描写が、インド太平洋地域のパートナーや同盟国を対象とした中国のメッセージングの恒常的な特徴である場合、米国の戦略的コミュニケーションでは、特定の作戦や展開の安定化の役割に関するメッセージを前面に押し出せばよい。同様に、中国がインド太平洋諸国への米国支援を米国の覇権維持と各国政府の弱体化を狙ったものとして描こうとする可能性を踏まえれば、米国の支援パッケージに関するメッセージでは、各国の主権を尊重していることを強調すべきである。

 ワシントンには、中国に対する米国の戦略的コミュニケーションを担当する組織が必要である。現在、国務省のグローバル・エンゲージメント・センターは、「外国政府および非政府組織によるプロパガンダおよび偽情報の認識、理解、暴露、対抗に向けた米国連邦政府の取り組みを指揮、主導、同期、統合、調整する」ことを任務としている。これは極めて重要な任務であるが、情報空間において中国と競合する必要にはやや及ばない。これでは米国を後手に回ることとなり、中国のメッセージングを予測し、計画し、先手を打つことが可能な状況なまま、それに反応するようなものである。敵対勢力のプロパガンダや偽情報の工作を理解し、予測する権限を組織に与えることで、米国は中国の影響力拡大キャンペーンを先手を打てるかもしれない。少なくとも、この組織は連邦政府機関に対する助言機関として、さまざまな国や地域における中国の影響力行使の包括的な理解と、それに対する北京の反応の可能性を踏まえた上で、戦略的コミュニケーションをどのように調整すべきかに関する提言を行える。より野心的なアプローチとしては、この構想上の組織に、政府全体を巻き込んだ米国の戦略的コミュニケーション計画を世界規模で策定する権限を与えることが考えられる。

 米国は、この構想上の組織に、政府全体を挙げたグローバルな戦略的コミュニケーション計画を策定する権限を与えるべきである。

 米国は、物語の戦いに勝利するために、敵対者のメッセージを予測し、先手を打つ形で戦略的コミュニケーション計画に情報を提供する組織を指定し、十分な資金を提供すべきである。 

 この任務を遂行するには、影響力行使に関する中国による取り組み(公然、秘密、デジタル、人的、アナログなど)を包括的に分析する必要がある。■


China’s Global Public Opinion War with the United States and the West

Heidi Holz

August 14, 2024

Commentary

https://warontherocks.com/2024/08/chinas-global-public-opinion-war-with-the-united-states-and-the-west/


2024年7月10日水曜日

AIを悪用し偽情報を流す悪質なロシア、中国の集団が西側を撹乱し民主主義への攻撃を続けている

 情報工作、情報戦は今年各国で選挙があることもあり、特に警戒すべき事項です。その中で例によってロシア、中国にAI技術を悪用した有害な工作がすでに始まっており、無垢な大衆がこれに騙されつつあると警鐘を鳴らすDefense One記事のご紹介です。ただやられるばかりではなく、そうした悪辣な集団を破滅に追い込む攻撃ができないものでしょうか。

ロシアと中国につながるアクターが偽情報による工作でOpenAIを利用している

アメリカ製AIツールが世界中で偽情報の流布を後押ししており、ツールのメーカーが懸念している。

AI企業OpenAIの新しい報告書は、ロシアと中国に拠点を置く勢力が、ウクライナ、台湾、モルドバ、米国などのトピックに関し偽情報活動を強化するために生成人工知能を使用していることを明らかにした。

OpenAIツールを使って効果やリーチを向上させた過去3ヶ月の情報工作5件を報告書が詳しく述べており、敵対勢力がどのように高度なAIツールを使って、地政学的な出来事の認識に影響を与えているかを示している。

中心的な発見:生成AIは、英語(または他の言語)の能力が非常に低いオペレーターでも、より本物らしく聞こえるようにでき、投稿やコメントに個性を与え、ネイティブスピーカーのように見せることができる。このツールを使って、投稿コメント数を増やし、米国やウクライナなどに対する大規模な民衆感情を印象づけたアクターもいた。オンライン・ユーザーがインターネットのコンテンツが合法的かどうかを判断する際の数少ない兆候が言葉遣いの悪さがあるため、これは非常に重要だ。

Bad Grammarと呼ばれる親ロシア派グループは、OpenAIのツールを使って「ウクライナとモルドバの大統領は、汚職、民衆の支持の欠如、欧米の『干渉』に自国民を裏切っている」と非難した。Telegram上の英語コメントは、移民、経済的苦境、その日のニュース速報といったトピックに集中していた。これらのコメントは、時事問題の文脈を利用して、米国はウクライナを支援すべきではないと主張していた」という。ロシアは最近、モルドバへの情報工作を強化しており、モルドバがロシア侵攻の標的になる可能性を示唆している。

Doppelgangerと呼ばれるロシアで活動する別のグループは、このツールを使い英語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、ポーランド語のコンテンツを投稿し、実際以上の人気があるように見せていた。このキャンペーンが9GAGにミームや動画を投稿するたびに、3〜5つのアカウントが返信し、たいていは「ハハハ」や「笑」といったシンプルなメッセージだった。これらのアカウントはそれぞれ、このキャンペーンのコンテンツにしか関与しておらず、ほとんどが同じ日付に作成されていた。この行動は他のユーザーから批判的なコメントを集め、その多くはこのアカウントを「ボット」と呼んだ。

投稿のリーチを操作するためのAIの使用は「当社のモデルを使って大量の短いコメントを生成し、それをテレグラム、X、インスタグラム、その他のサイトに投稿した」点で共通している。

中国のアクターは、荒らしコンテンツを流すためにツールを使用することはあまりなく、代わりにAIを使用して操作を洗練させ、プラットフォームやそのセキュリティ上の欠陥、オンライン視聴者の感情などの分析を拡大している。Spamouflageと呼ばれる中国のグループは、「ツールを使ってコードをデバッグし、ソーシャルメディア分析について助言を求め、ニュースや時事問題を調査し、コンテンツを生成してブログ・フォーラムやソーシャルメディアで公開した」。そして彼らは、「当社のモデルを使って、ソーシャルメディアへの大量の投稿、特に中国語投稿のセンチメントを要約し、分析した」。IUVMという集団はは、「当社のモデルを使ってウェブサイトのタグを作成し、それが自動的にグループのウェブサイトに追加されたようだ」。

OpenAIの分析では、いずれのキャンペーンも、Breakout Scaleで測定されるレベルの大きなインパクトを達成できていない。しかし、敵対者が米国ベースのAIツールを使って、Telegramのような外国のソーシャルメディアプラットフォームや、Xのような国内のソーシャルメディアプラットフォームで、視聴者の認識に影響を与えようとしていることを示している。

国家安全保障当局は、選挙関連の偽情報におけるAIの脅威の高まりについて数カ月前から警告を発しており、ODNIのアヴリル・ヘインズ長官は3月、スロバキアで親ロシア派が政府指導者が汚職に関与していることを示すと称する偽の音声コンテンツを作成し広めたことで、AIが今年初めのの選挙で重要な役割を果たした可能性があると述べた。

OpenAIの報告書は、AIが生成したコンテンツに明確なラベルを付けるよう法整備を進める同社の取り組みを追ったものだが、AIが生成したコンテンツの検出は改善されつつあるものの、悪質な行為者はモデレーターの対応より先にコンテンツを生成し、拡散させることができることも示している。■

How Russia-, China-linked actors use OpenAI for disinformation - Defense One

BY PATRICK TUCKER

SCIENCE & TECHNOLOGY EDITOR, DEFENSE ONE

MAY 31, 2024 04:46 PM ET


2023年10月21日土曜日

中国の情報工作「長征」に西側は警戒すべきだ。あまりにも露骨な工作の実態は明らかにすべきだろう。(Washington Times)

 


Chinese President Xi Jinping makes a toast to leaders and invited guests after delivering his speech at a dinner marking the 74th anniversary of the founding of the People's Republic of China at the Great Hall of the People in Beijing, Thursday, Sept. 28, 2023. (AP Photo/Andy Wong, Pool)

Chinese President Xi Jinping makes a toast to leaders and invited guests after delivering his speech at a dinner marking the 74th anniversary of the founding of the People’s Republic of China at the Great Hall of the People in … more >

プロパガンダ手段としての偽情報利用をエスカレートする中国


「長征」情報は政権のシナリオを後押しし、批判者を黙らせると報告書が指摘



 国政府の報告書によると、中国政府は共産主義体制を宣伝し、反対意見に対抗する世界的キャンペーンを大規模に展開している。

       

国務省のグローバル・エンゲージメント・センターが発表した調査によると、数十年にわたり放送や印刷メディアを通じ世界各国の視聴者向けに中国に関する肯定的な物語を宣伝してきた中国共産党は、習近平国家主席の下でそのアプローチを変えたという。

 「北京は、目的に適う場合には偽情報を協調的に使用するようになり、多くの場合、メッセージを増幅させるために真偽不明のボットネットワークを使用している」と同報告書は結論付けている。報告書は、この作戦を「何十億ドルもの投資によって支えられている」高度に洗練されたメディアと政府の影響力と表現している。

 報告書は、プロパガンダや検閲、オンラインコンテンツをコントロールする「デジタル権威主義」の推進、国際組織や二国間関係への浸透と統制など、中国政府による情報操作と影響力活動で複数要素を特定している。

 グローバル・エンゲージメント・センターのジェイミー・ルービン所長は記者団に対し、同報告書は中華人民共和国がその影響力と偽情報活動を通じて、世界の情報環境を歪めようとしているかを包括的に検証していると述べた。

  ルービンは、「パズルのピースを並べると、世界の主要地域で情報支配を目指す中華人民共和国側の驚くべき野心が見えてくる」と述べた。中国の究極の目標は、米国とその同盟国の安全と安定にダメージを与えることだ、と彼は断言している。

     元国務省報道官のルービンは、情報化時代は "グローバリゼーションの暗黒面 "を生み出したと述べた。外国の偽情報や情報操作の努力を止めない限り、民主主義の価値や権利はゆっくりと着実に破壊されていくだろう、と同氏は警告した。

 中国大使館のスポークスマンにコメントを求めたが、返答はなかった。


共謀罪

       

報告書によると、中国側はまた、北京が推進する虚偽または偏ったシナリオを宣伝するため、賄賂を通じて元政府高官、企業関係者、ジャーナリストを「共用している」という。

       

報告書は、「こうした要素が一体となって、情報環境の完全性を侵食している」と述べている。

       

偽情報は、以前は北京の外交政策全般で補助的役割に使われていたが、今では中国の影響力活動の中心的な特徴となっている。例えば、COVID-19ウイルスの起源を問う記事、潜水艦建造に関する米英豪3カ国協定への批判、ウクライナ侵攻を正当化するロシアの支持などである。

       

大規模な偽情報工作や影響力工作は、中国の対台湾政策を擁護し、国務省が中国西部の少数民族ウイグル人に対する虐殺政策と呼ぶものに対抗するものである。

       

中国の秘密情報部員は海外メディアに虚偽の記事を植え付け、外交官は海外メディアに圧力をかけて、中国政権が好むシナリオを宣伝させている。中国はまた、外国のメディアを買収し、作戦に利用している。

       

報告書は、北京の取り組みが表現の自由を低下させ、国際的な情報発信者を中国のプロパガンダの「道具」となるよう操っていると警告している。

       

効果的に対抗しないと、一般市民、メディア、市民社会、学界、政府が将来入手できる情報は歪曲され、中国からの虚偽または誤解を招く情報に基づいたものになるだろう、と報告書は述べている。


報告書は、中国の影響力キャンペーンに対抗するための世界的なコンセンサスが高まっていることを指摘し、「このような未来は当然の結論ではない」と述べた。「中国のグローバル・ナラティブが最終的に優勢になれば、世界中の個人の自由と国家主権を損なうような国際秩序の再構築に対する抵抗は少なくなるだろう。


新たな「長征」

報告書は、習近平政権が「新たな長征」を開始し、中国共産党のインフルエンサーの一人イー・ファンが、中国の体制と政策に関する西側の悪意ある嘘と戦っていることを明らかにしている。

 長征とは、1930年代に毛沢東が率いた運動のことで、最終的には1949年に共産党が政権を掌握することになった。

 この報告書は、与党共産党の統一戦線工作部(UFWD)という、主に中国国外に住む華人に対する「国境を越えた弾圧」に従事する表立った、そして秘密裏に影響力を行使する部門の活動に焦点を当てた、初の米国政府公式出版物となった。

 報告書によれば、統一戦線の工作員は、共産党中央委員会という指導部の直属機関によって、北京批判者へ嫌がらせや強要を行っている。

 習近平は統一戦線活動を拡大し、中国の権力を維持・拡大するために不可欠であるとしている。「2012年に政権に就いて以来、習近平は統一戦線への資金を大幅に増やし、情報領域を含む国際環境を北京に有利なように形成するための努力を中央で調整するようになった。

 統一戦線の工作員は国家安全部の秘密警察とも連携している。国務省の研究者によれば、同省は「作戦上の隠れ蓑」として統一戦線を利用し、影響力工作を行っているという。

 世界的な工作活動のもう一つの主要機関は中国共産党中央宣伝部で、国内の情報統制を世界各国に輸出しているという。

中国共産党中央宣伝部は「海外の中国語スペースに親北朝鮮のレトリックを氾濫させる巨大なメディア組織を指揮している」と報告書は述べている。

 報告書を作成したグローバル・エンゲージメント・センターは、アメリカ政府の対プロパガンダ事務所である。同センターのこれまでの報告書や活動の大部分は、ロシアの偽情報工作に焦点を当てていた。

 国務省の監察官は昨年、グローバル・エンゲージメント・センターに対し、偽情報とプロパガンダに対抗する役割について落第点を与えた。 167人のスタッフと7400万ドルの予算を持つ同センターは、外国の嘘や欺瞞を暴く政府全体による情報活動を主導できなかったという。

 監察総監の報告書によれば、「偽情報対策におけるセンターの役割は、法律で義務づけられている政府全体のアプローチを主導・調整することではなく、アメリカ政府の各種取り組みを支援することに限られていた」。


Xファクター

       

中国当局は、偽情報とプロパガンダを促進するため、ソーシャルメディアサイトXで公式・外交アカウント333以上を使用している。イギリスでは、数十のアカウントからなるひとつの調整されたネットワークが、駐英中国大使の全リツイートの44%を生み出した。

 中国政府は、東アフリカの地元報道機関に、現金と引き換えに好意的な記事を掲載するよう金を支払い、その取り決めを公表しないという契約を結んでいた、と報告書は述べている。

 中国はまた、ソーシャルメディアのインフルエンサーを利用して、自国のアジェンダを宣伝している。100人近くが政権寄りのコンテンツを20の言語で投稿し、推定1100万人にリーチしている。

 「北京は、ボット、トロール、真正でないソーシャルメディアアカウント間の協調キャンペーンを利用し、親中国コンテンツを後押しする一方で、批判的なコンテンツを抑圧している」と報告書は指摘し、ボットは検索エンジンの検索結果やハッシュタグ検索を操作するために「フラッディング」と呼ばれるテクニックを使用していると指摘した。

 その結果、中国の宣伝担当者は、自分たちが反対するトピックに関するオンライン情報をかき消したり、無関係なコンテンツを拡散させたりして、事実に基づいた情報が人々に届くのを制限することができる。

   最近のPRCによるフラッディング・キャンペーンには、2022年の冬季オリンピック期間中、"GenocideGames "のハッシュタグを乗っ取り、新疆ウイグル自治区におけるPRCのジェノサイドと人道に対する罪に対する認識を高めようとする外国人活動家の努力を妨害たものがある」と報告書は述べている。

 中国は、オンライン上や現実世界において、批評家に対する脅迫や嫌がらせを行い、反対意見を封じ込め、自己検閲を促している。北京当局は、国内外のオンライン批評家のアカウントを特定し、管理している。

 米国当局は、中国当局が中国国内の企業と協力し、匿名で活動しようとする海外の批評家を特定し、居場所を突き止める方法を確認したと報告書は述べている。

 報告書によると、人気の動画共有アプリTikTokの所有者であるByteDanceは、中国への批判者が同社プラットフォームを使用するのをブロックしているという。

 「米国政府情報によると、2020年後半時点で、ByteDanceは、ウイグル独立を主張するなどの理由で、TikTokを含むByteDanceの全プラットフォームからブロックまたは制限されている可能性が高い人々を特定する内部リストを定期更新していた」と報告書は述べている。

       

ByteDanceはまた、北京への批判を広める危険性があるとみなされた人々をブラックリストに載せていた。


エリートをターゲットに

         

影響力をさらに拡大するため、中国指導者たちは、外国の政治エリート(多くの場合、元政治指導者や引退した政府高官)を標的にし、政権に対するエリートたちの批判を封じるため、企業の役員や学術界の役職を提供する。

 中国は、習近平の「一帯一路構想」(インフラ融資プログラム)を支援するため、ヨーロッパやラテンアメリカの元国家指導者をリクルートした。

  中国は、中国への有給旅行、職業研修、大学院教育を通じて、親北京シナリオを推進する外国人ジャーナリスト育成に成功してきた。

 参加者には、「旅行中も旅行後も、どのように報道すべきかについて、中国側の対話者から明確な指示」を受けた者もいる、と報告書は述べている。「参加者のなかには、後に中国側の論点を自分の報告に盛り込むことで、直接の帰属を示すことなく、北京側が好むシナリオを進めることを可能にした者もいる」。

 中国の大人気メッセージングアプリWeChatもプロパガンダや偽情報に使われていると報告書は述べている。

「中国語メディアをコントロールすることに成功した中国共産党は、その大規模な取り組みが最終的に世界の情報環境をどのように再編成することになるのか、その前兆として警戒すべきものである」と報告書は述べている。■


China is stepping up disinformation use as propaganda tool, State Department says - Washington Times

2015年1月17日土曜日

UPIがツイッター上で米空母が中国の攻撃を受けたと報道(ただしハッカーによる虚偽報道と判明)


これは恐ろしいことです。何者かが(大体想像はつきますが)単なるイタズラをこえて情報を操作しようとしただけでなく、世界を混乱させ挙句は本当に戦争を巻き起こす意図があったためです。ソーシャルメディアの成り立ちそのものが思わぬ効果を巻き起こしかねません。それにしても大通信者のアカウントを易易と乗っ取るとはすごい、と認めざるを得ません。一層のセキュリティ強化が必要ですね。

Navy: China has not attacked U.S. aircraft carrier

By Jeff Schogol, Staff Writer3:22 p.m. EST January 16, 2015

UPIがツイッター上で空母ジョージ・ワシントンが攻撃を受けており、第三次世界大戦が始まったと報じたが、米海軍はこの内容を否定した。
同艦は停泊中であり、南シナ海に入っていない、と海軍がMilitary Timesに返答している。
UPIからは16日金曜日に同社ツイッターのアカウントが不正侵入されたと午後に入って発表があった。「ツイッター上で6件の虚偽のヘッドラインがおよそ午後1時20分から10分間の間に掲載され、連邦準備理事会のほか、USSジョージ・ワシントンが攻撃を受けているとの内容もあった」と発表。
UPIが不正侵入に気づいたのは「緊急速報」の表示が出た際だったという。社内の技術陣が同社ツイッターアカウントの回復に成功している。
問題の虚偽報道記事は同日午後2時ごろまでに削除されている。
(下 ツイッター上に現れた偽報道。スクリーンショットで撮影。削除済みなので見られません。
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(Photo: screen shot)
上の拡大 統合参謀本部からUSSジョージ・ワシントンが中国の攻撃で損傷を受けたとしている。中国は対艦ミサイルを発射とも。
The Navy says this Tweet is wrong.
The Navy says this Tweet is wrong.(Photo: Screenshot.)