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2022年11月4日金曜日

ロシアのステルス爆撃機PAK DAは完成するのか、飛行するのか、専門家でも分かれる評価

 PAK DA

PAK DA. Image Credit: Artist Rendition/Creative Commons.

国防総省高官が19FortyFiveに語ったところによると、ロシアで計画中の新型ステルス爆撃機PAK DAは「決して飛ばないだろう」という。別の国防総省の高官は、モスクワはおそらく「リソース、技術基盤、専門知識、そしてもちろん、資金」がないと主張している。

米軍も疑問視する「PAK DA」

情報源や情報収集方法が明らかになるのを恐れ、具体的な詳細には触れたくないが、米国防総省高官は明らかにPAK DAへ深刻な疑問を持っており、ある高官は、爆撃機は「インターネット上の防衛サイトで見るソーシャルメディア投稿やアーティストレンダリングではとても良く見えるが、実態は図面にあるだけ」とまで大胆に述べている。

PAK DAとは?

PAK DAは、ロシア空軍が製造を狙うステルス長距離戦略爆撃機だ。

ロシア国営メディアのタスの8月報道では、情報筋がPAK DAは「極超音速兵器で武装され」、「その飛行はドローンが支援する」と指摘していた。

また同じ情報源を引用して、2023年までに「実験」または「実証モデル」が準備されるとも主張していた。

EurAsian Timesによる最近の報道では、ロシアはPAK DA用の新型エンジンの開発に懸命に取り組んでおり、「テストの結果、エンジンは設計パラメータに適合していることがわかった」と説明がある。

PAK DAは飛ぶのか?専門家の見解

ケンタッキー大学上級講師ロバート・ファーレイ博士:「ロシア航空産業は現在、ウクライナで発生した損失を補う必要がある一方で、海外から輸入できなくなった先端部品を再調達する必要があり、重大な課題に直面している。PAK DAがロシアの航空機購入の優先順位の最上位になることはないだろう」。

ネブラスカ大学国家戦略研究所の戦略的抑止プログラムディレクター、アダム・ローサー博士、米戦略軍大学付属研究センター。「PAK DAが飛ぶかという問題ではない。飛ぶ。機体の中身が本当の問題だ。アメリカのステルス機と20%、50%、80%、100%同等になるのかが問題だ」。 

ヘリテージ財団主任研究員ジョン・ヴェニーブルJohn Veneable 「ロシアは人類を初めて宇宙に送り出し、初めて超音速輸送機(ツポレフTu-144)を開発し飛行させた国だ。米国のステルス技術の起源は、ロシアの優秀な物理学者の概念と数学的方程式に基づく。 

ツポレフにステルス爆撃機の開発ができないと考えるのは傲慢の極みであり、ましてやそれが飛ぶことはないと考えるのは無理がある。問題は、それがいつ空へ飛び立つかで、プログラムがどれだけ成功するかだ。

 

Artist Renderings

PAK DA

PAK DA stealth bomber. Image Credit: Artist Render.

PAK-DA

PAK-DA possible image. Image Credit: Yandex.

PAK DA

PAK DA stealth bomber. Image Credit: Russian Social Media.

PAK DA

Computer rendering of what could be Russia’s PAK DA stealth bomber. Image Credit: Russian Social Media.

PAK DA

Image Credit: Russian Social Media.

PAK DA

Image: Artist rendition. Image Credit: Russian Social Media.

ヘリテージ財団シニアフェロー ジョン・ヴェニーブル氏 「ロシアは人類を初めて宇宙に送り出し、初めて超音速輸送機(ツポレフTu-144)を開発し飛行させた国である。米国のステルス技術の起源は、ロシアの優秀な物理学者の概念と数学的方程式に基づくものである。 

ツポレフにステルス爆撃機の開発ができないと考えるのは傲慢の極みであり、ましてや飛ぶことはないと考えるのは無理がある。問題は、それがいつ、そして空へ飛び立ったときに、プログラムがどれだけ成功するかだ。■

Russia's PAK DA Stealth Bomber 'Will Never Fly', U.S. Defense Officials - 19FortyFive

ByHarry Kazianis

Expert Biography: Harry J. Kazianis (@Grecianformula) serves as President and CEO of Rogue States Project, a bipartisan national security think tank, and Senior Editor for 19FortyFive. He has held senior positions at the Center for the National Interest, the Heritage Foundation, the Potomac Foundation, and Pacific Forum. Kazianis has also worked as a defense journalist, serving as Editor-In-Chief of the Diplomat and Executive Editor of The National Interest. His ideas have been published in the New York Times, Washington Post, Wall Street Journal, Newsweek, CNN, CNBC, and many other outlets across the political spectrum. He holds a graduate degree focusing on International Relations from Harvard University and is the author of the book The Tao of A2/AD, a study of Chinese military modernization


2020年12月17日木曜日

ここに来て動きが出てきた米、中、ロの戦略爆撃機の状況について。B-21、H-20、PAK DA他既存機種も。

  

B-21 bomber concept

B-21の初飛行と低率初期生産開始は2022年と米空軍の最新工程表にある。Credit: Northrop Grumman Concept

 

、中、ロの「超大国」間での競合復活をうけ戦略爆撃機が再び注目を集めている。

 

上記三国は新世代ステルス爆撃機を秘密裏に実用化しようと労力を投入してきたが、長期供用中の既存機種でも性能向上を同時に進めてきた。その新型ステルス爆撃機第一陣が2021年に姿を表しそうだ。今回は新規開発機とあわせ供用中機種の改修の状況もお伝えする。

 

【B−21】米空軍はノースロップ・グラマンB-21レイダーの初飛行は2021年12月4日とすると2018年7月に公表したあと低姿勢だったが、今後12ヶ月以内にカリフォーニア州パームデールのプラント42第4地区の建屋401から初号機が姿を表しそうだ。▼空軍の新日程表ではB-21初飛行を2022年としている。新型機が初飛行に先立ち屋外地上テストを6-9ヶ月かけるのが通例なので、逆算すれば新型機がロールアウトする時期は2021年下半期となる公算が強い。▼B-21では低率初期生産が2022年に始まるとノースロップ・グラマンは述べており、工程表だと量産仕様機材引き渡しは2024年からになる。

 

B-21開発は空軍の迅速戦力開発室が統括した秘匿体制のもとで進められており、B-21の正確な機体単価は不明だ。▼契約交付の2015年10月時点で空軍は80-100機生産した場合の平均単価を550百万ドル(2012年ドル価格)としていたが、インフレ調整を加えると632百万ドルに相当する。▼ペンタゴンは今後数年間の国防予算をよくて横ばい、削減も覚悟しており、空軍最大の課題はその他事業の予算を減らしB-21本格生産を軌道に乗せることにある。

 

【H−20】製造状況がよくわからないのが中国初のステルス、全翼機形状の爆撃機H-20だ。▼2018年に米国防総省が議会向け年次報告でH-20をステルス亜音速爆撃機でノースロップB-2あるいはX-47Bに似た形状で有効航続距離を少なくとも4,590 nm (8,500 km) 、通常兵器、核兵器少なくとも10トンのペイロードとした。▼2019年に同省はH-20のデビューは2020年代に予想されると追加発表した。▼ペンタゴン推定が正しければ、H-20は米西海岸は無理としても北太平洋ほぼ全部に到達可能で、アラスカ、ハワイ両州もここに入る。

 

【PAK DA】ロシアでは将来型航空複合体長距離航空(PAK DA) の爆撃機が2020年に生産段階に入るとの予測がある。▼今年春の衛星写真では大型の新工場がツボレフの生産施設があるカザンに着工されていた。▼5月までにテスト用一号機の機体構造組立が始まったとTASS通信が伝え、ロシア国防産業筋を引用し、最終組立は2021年に完了するとした。

 

上記三機種は冷戦後初の新型爆撃機となる。就役開始時期はそれぞれ不明だが、ノースロップの第一世代ステルス爆撃機B-2Aの運用開始が1997年だったのでほぼ30年を経て次世代機が登場することになる。こうした新型機生産が今後10年以上にわたり活況を呈すれば防衛産業への影響は大きい。

 

ただし、既存機種を全廃しようとする国はない。新型エンジン、センサー、兵装に重点的な資金投入を続ける一方で、冷戦時の旧型機に新たな価値を与える動きが顕著だ。

 

【B-52、エンジン換装、兵装の強化】2021年6月に米空軍からボーイングB-52の76機用新型ジェットエンジン608基の納入業者の発表がある予定だ。▼同機は導入後60年になるプラット&ホイットニーTF-33-P-3(推力17千ポンド)を搭載しており、換装エンジンの候補はGEエイビエーションのパスポート、CF34両エンジン、プラットのPW800、ロールスロイスのBR.725原型のF130だ。▼それぞれ一気に数世代先の設計で経済性と信頼性が向上する。▼またパイロン改修で最高22千ポンド搭載を可能とし、ロッキード・マーティンAGM-183A空中発射式迅速対応兵器を左右の主翼に搭載させる。▼ボーイングは機内の回転式発射機2基も改修し各巡航ミサイル8発を搭載する。▼今後新世代のスクラムジェット推進極超音速巡航ミサイルが実用化されれば現在回転式発射機に搭載するAGM-86と同程度の大きさ重量なので、B-52一機で極超音速長距離ミサイルを22発運用可能となる。

 

【B-1B】同様にB-1Bでも運用変更案があり、11月に空軍グローバル打撃軍団が亜音速ロッキードAGM-158共用空対地スタンドオフミサイル (Jassm)を同機外部パイロンに搭載する実証を行った。▼B-1Bの外部パイロン合計6箇所にAGM-183極超音速ミサイルを搭載する可能性がある。▼同時に機内回転式発射機からも巡航ミサイル8発を発射できる。▼2021年度予算案ではB-1合計17機を退役させ、浮いた運行経費で残る45機の近代化改修を進めたいと言うのが空軍の要望だ。

 

【H−6】人民解放軍海軍が初めて西安H-6Jを南シナ海ウッディ島に11月に配備した。▼同機はツボレフTu-16バジャーの直系だが、H-6Jは米海軍の太平洋艦隊に対抗可能な機体でYJ-12対艦ミサイルを搭載する。▼人民解放軍空軍もH-6Nの空中給油機能を2019年10月に公表した。▼同国内の政府発行雑誌がH-6Nが空中発射式弾道ミサイルを搭載した写真を掲載し、中距離対艦ミサイルDF-21の可能性がある。▼直近ではH-6NがDF-17極超音速滑空式兵器に類似したペイロードを搭載した写真が出ている。

 

【ロシアその他機種】ロシア爆撃機でも近代化は進んでおり、新型エンジンに換装したTu-160、Tu-95が飛行テストを開始した。▼さらにTu-22M3M試作機が2020年にテストに入り、エンジン、エイビオニクス、搭載ミサイルを更新しており、超音速空中発射式ミサイルKh-32もその一つだ。■

 

この記事は以下を再構成しました。

 

Secret Bomber Programs Set For Possible Rollouts In 2021

 

Steve Trimble December 09, 2020