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2025年10月16日木曜日

B-52爆撃機がヴェネズエラ沖を数時間にわたり飛行した意味(TWZ)― 日本人が意識していないのがヴェネズエラを巡る緊張です。麻薬問題を超えて中南米での米国権益を守るというトランプ大統領の意思がポイントです

ヴェネズエラ沖に3機のB-52爆撃機が出現したことは、拡大中の米軍の南カリブ海作戦で新たな展開を示している

A trio of U.S. Air Force B-52 bombers was tracked flying orbits in international airspace off the coast of Venezuela earlier today.

B-52爆撃機のストック写真。

米空軍

空軍のB-52爆撃機編隊が本日早朝、ヴェネズエラ沖の国際空域を飛行した。これはカリブ海地域における米軍増強とい動きの中で行われた大規模な軍事力の示威であり、表向きは違法薬物の北米流入を阻止するのが目的だ。同時にトランプ政権はヴェネズエラの強権者ニコラス・マドゥロ政権へ圧力を強めており、致死的な海上阻止作戦を超えた直接的な軍事行動の可能性が着実に高まっている。

BUNNY01、BUNNY02、BUNNY03のコールサインの3機のB-52は、今朝早くルイジアナ州バークスデール空軍基地を離陸し南下した。その後東へ進路を変え、ヴェネズエラがマイケティア飛行情報区(FIR)と呼ぶ国際空域へ進入した。

B-52はマイケティアFIR内を約2時間旋回して離脱した模様だ。米軍のF-35統合打撃戦闘機(おそらく海兵隊のB型で、プエルトリコのローズベルト・ローズ海軍基地から飛来)や、空軍の空中給油機、その他の航空機も、同じ海域付近でここ数週間飛行する様子を追跡されている。

未確認情報によれば、ヴェネズエラ空軍の米国製F-16戦闘機小規模部隊のうち少なくとも1機が、B-52が沖合を旋回中にカラカス西部のエル・リベルタドール空軍基地から離陸した。ただしこれは無関係の訓練飛行だった可能性もある。爆撃機を迎撃する試みがあったかは不明だ。マドゥロ大統領は本日、ヴェネズエラ近海国際水域で米国が麻薬密輸船と称する船舶を攻撃した事件を受け、新たな緊急演習を命じた。9月には、米国の潜在的な脅威から国境地帯と重要石油インフラを防衛するため、約2万5千人の兵士を配備したと表明している。

本稿執筆時点では、B-52が基地に帰還したか、あるいは依然として飛行中かは不明である。本誌はカリブ海上空への爆撃機出撃に関する詳細情報を得るため、空軍グローバルストライク司令部(AFGSC)および南米方面空軍(AFSOUTH)に問い合わせた。AFSOUTHは国防総省へ連絡するよう指示してきた。

特筆すべきは、B-52爆撃機をはじめ、空軍のB-1爆撃機やその他の米軍戦闘機が、数十年にわたり断続的にカリブ海上空で麻薬取締作戦に参加してきた事実だ。特にB-52が有する航続距離と標的捕捉能力は、麻薬密輸船の発見と追跡調査に有用である。

同時に、B-52をカラカスにここまで接近飛行させる行為は、明らかにマドゥロ政権へのメッセージ発信を意図したものだ。同爆撃機はスタンドオフ巡航ミサイルの連射が可能で、陸上及び海上目標に使用可能な各種通常兵器を搭載できる。ただし、ヴェネズエラ軍は防空能力が限定的ではあるが、依然として脅威となり得る。B-52など航空機によるスタンドオフ攻撃は、将来の米軍による国内目標への直接行動において、味方部隊のリスク低減に寄与する可能性が高い。さらに防空システムを標的とし、後続作戦の道を開くことも可能だ。

本日早朝、米空軍のC-17輸送機がカリフォーニア州エドワーズ空軍基地からプエルトリコのホセ・アポンテ・デ・ラ・トーレ空港へ直行する異例の飛行が確認された。この出撃の目的は現時点で不明だ。エドワーズ基地は作戦部隊の拠点ではなく、空軍随一の試験基地である。

既に同地域では米軍の大きな増強が行われており、前述の通り海兵隊航空機が旧ローズベルト・ローズ海軍基地に展開している。空軍のMQ-9リーパーや、AC-130Jゴーストライダーガンシップもプエルトリコから出撃しているのが確認されている。ここで指摘しておく価値があるのは、AC-130Jは特殊作戦部隊の襲撃支援も含まれるということだ。

その他多数の米空軍・海軍資産も現在この地域で活動中である。これには、イオージマ強襲揚陸群(ARG)/第22海兵遠征部隊(MEU)、複数のアーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦、タィコンデロガ級ミサイル巡洋艦、ロサンゼルス級原子力攻撃型潜水艦、さらにはオーシャン・トレーダー(特殊作戦母艦)も含まれる。

結局のところ、現在この地域には、合計で約 10,000 人の米兵が前線展開していると報じられている。先週、米南部軍(SOUTHCOM)は、西半球全域での麻薬対策作戦の拡大を支援するため、第 II 海兵遠征軍(II MEF)の部隊が主導する新たなタスクフォースを立ち上げた。

9月以来、米軍はカリブ海で小型ボートに対し少なくとも5回の致命的な攻撃を行い、麻薬密輸に関与したとされる個人多数を殺害した。ドナルド・トランプ大統領が最新の攻撃について昨日発表した。これらの作戦とその背後にある法的権限について、深刻な疑問が投げかけられている。

それ以外にも、ここ数週間、トランプ政権がマドゥロへの圧力を強めていることを報じる報道が絶え間なく続いている。ちょうど今日、ニューヨーク・タイムズ紙、トランプ大統領が中央情報局(CIA)に対し、ヴェネズエラおよびカリブ海のその他の地域での秘密作戦の実施を承認したと報じた。先週の報道では、米国当局者を引用し、トランプ大統領がヴェネズエラ当局との現在の行き詰まりを外交的に解決する取り組みの終了を命じたと報じられた。

トランプ政権の一部は、マドゥロ大統領を放逐する行動を推進していると報じられている。2020年以降、独裁的なヴェネズエラ指導者は麻薬密輸などの容疑で米国から指名手配されており、米当局は現在、本人の逮捕に5000万ドルの懸賞金をかけている。■


B-52 Bombers Just Flew For Hours Off Venezuela’s Coast

The B-52 sorties are a major show of force aimed at Venezuelan dictator Nicolas Maduro as U.S. forces further step up operations in the Caribbean.

Joseph Trevithick

Published Oct 15, 2025 4:38 PM EDT

https://www.twz.com/air/b-52-bombers-just-flew-for-hours-off-venezuelas-coast



ジョセフ・トレヴィシック

副編集長

ジョセフは2017年初頭より『The War Zone』チームの一員である。それ以前は『War Is Boring』の副編集長を務め、その署名記事は『Small Arms Review』『Small Arms Defense Journal』『ロイター』『We Are the Mighty』『Task & Purpose』など他媒体にも掲載されている。


 

2019年11月6日水曜日

米空軍の重武装機構想はまだ消えていない 大量の兵装とネットワークで攻撃部隊の後衛となるのか


 USAF Leaders Considering Arsenal Plane Options

11/4/2019
​—RACHEL S. COHEN

デボラ・リー・ジェイムズ前空軍長官が戦略装備整備室主導の重武装機構想を2016年に発表していた。Air Force illustration.


空軍が「重武装機」構想のテストを計画中だ。構想では複数機材に大量の兵装を搭載し、攻撃部隊の支援が可能か試す。
重武装機は遠隔操縦機や戦闘機を引き連れ戦闘区域に進出し、「ネットワーク化で準自律運用可能な兵器」を運用するというのが2016年に公表された空軍ビデオの内容だった。構想はその後国防総省の戦略装備整備室が温めてきた。
「最古参機体をあらゆる種類の通常型ペイロードの発射台にする」構想と前国防長官アシュ・カーターが2016年に述べていた。「重武装機は超大型の空中弾倉となり、第5世代機を前方配備センサーとして照準ノードにしてネットワークでつなぐ」
上層部はこうした機材を運用した場合の効果を引き続き検討中と空軍広報官カーラ・バウジー大尉が11月3日認めている。原型機としてB-52が有望との声があるが、機動力に優れた輸送機も候補にあがっている。
空軍協会が今年9月に開いた航空宇宙サイバー会議で空軍のグローバル打撃軍団司令官ティモシー・レイ大将から空軍が実験を重ねていくとの発言があった。
空軍の調達を仕切るウィル・ローパーは以前は戦略装備準備室長で、9月末に同構想の説明を受けている。
機動性のある機体が重武装機に適しているのか。戦略国際研究所で航空宇宙安全保障プロジェクトをまとめるトッド・ハリソンによれば搭載する兵装の種類により変わるという。
「空対空兵装なら外部搭載兵器が理想的だ。しかし機動力を重視した機材の多くは外部搭載を想定していないので、相当の改装が必要だろう」「一方で対地攻撃手段を搭載するのなら、後部ランプから展開すればいいので大規模改装は不要となる」.
また、B-52が選択肢としてすぐれているのは機内及び主翼下に大量の兵装を搭載できるからだという。
「重武装機でステルス性や高速飛行性能は不要だがペイロードの大きさが必要だ」
AFAミッチェル航空宇宙研究所で将来の航空宇宙構想や性能評価をまとめるマーク・ガンジンガーも輸送機や民生機材が原型では不十分でB-52あるいはB-1を投入すべきと主張する。
「開戦直後にはC-17の需要は高いはずだ。その機材を攻撃任務に転用し、部隊の戦線投入任務から外すのでは賢明とは言い難い。民生用機材を転用して兵装を大量搭載して、兵器の与圧を解除してから無事に機外に放出できるのか疑問だ」■

コメント これも戦闘機の概念を崩すあたらしい構想の一部なのでしょうか。世界があいかわらず単座で機動性に優れた従来構想の延長の戦闘機を模索する中で米国のみが何でもこなせる大型機を戦闘機材の屋台骨に期待して整備しようとしている気がします。それにしても米空軍公表の想像図はC-130とB-52の合いの子の様な奇怪な姿になっていますね。

2018年11月26日月曜日

B-21調達は200機へ拡大の可能性、2030年代の米爆撃機構成を大胆に予測



Could the Air Force End Up with 200 New B-21 Stealth Bombers? 米空軍はB-21調達を200機まで拡大するのか

It could happen. Here's how. 可能性はある。その場合はこうなる
November 22, 2018  Topic: Security  Region: Americas  Blog Brand: The Buzz Tags: B-21B-52U.S. Air ForceChinaRussia
空軍はB-21レイダー・ステルス爆撃機の運用基地の準備に入った。だがB-21の調達規模はいまだはっきりしない。
選ばれたのはティンカー空軍基地(オクラホマ州)で同機の整備拠点となることが11月16日の空軍発表からわかる。
ジョージア州のロビンス空軍基地、ユタ州のヒル空軍基地もティンカー基地を支援する。エドワーズ空軍基地(カリフォーニア)がテスト拠点となる。
この発表に何ら驚くべき情報はない。ティンカーは航空補給施設の主要基地で一万名ほどの軍民関係者がB-1B、B-52、KC-135、E-3やE-6の重整備にあたっている。エドワーズはテスト機の基地として空軍現有機ほぼ全部を運用してきた。
「各基地の活用でB-21の開発、運用が大きく前進する。B-21は長距離性能があり敵防空網を突破し重要任務をこなして十分生存できる機体である」と空軍は述べており、レイダー初号機は2020年代中頃の就役とある。
とはいえ空軍にB-21が何機揃うのかは今も不明だ。ペンタゴンはノースロップ・グラマンのレイダー生産機数を時の経過につれて変更しており、2015年10月時点では80機から100機で総経費を200億ドル程度としていた。
だが空軍の2017年度予算要求では最低機数が100機に増えている。「今世紀通じて航空優勢確保の持続のため最低100機のB-21を調達したい」との説明だった。「最低100機の調達でライフサイクル運用コストが下がる。さらに今後の爆撃機部隊の適正規模を検討中だ」
その時点ではB-21導入でB-2、B-1Bを運用中のテキサス、サウスダコタ、ミズーリの各基地で廃棄する予定だった。「各基地の運用で影響を最小限にし、運用経費を削減しながら既存施設の再利用を最大限にしながらコストは下げられる」との説明だった。
2018年現在で空軍には1990年代製のノースロップ・グラマンB-2が20機、ロックウェルが1980年代に製造したB-1Bが63機ある。空軍は2030年時点でB-21を100機、ボーイングB-52Hと併用の方針だ。B-52は1960年代の機体だが改修を受けており76機が2018年現在稼働中だ。
だが爆撃飛行隊は増える。2018年現在は第一線爆撃飛行隊は計9ある。2018年9月に飛行隊を5つ増やすとの空軍発表があった。
「目標を裏付ける調達予定がともなっていないが、関係者は75機追加が必要と見ており、その時点で生産中の機材はB-21しかない」と議会調査部は2018年10月の報告書で指摘している。
あるいは空軍が旧型機の稼働期間を伸ばす可能性もあると議会調査部は指摘。「B-21調達を拡大する決定をするにあたり議会は費用対効果の比較で新型機導入と既存機の可動期間延長の比較検証を求めるだろう」
「この比較は容易ではない。というのもB-52は稼働期間を80年の想定で、軍用機でここまで長く運用した例がないためだ。B-52で防空網の進化に耐えられるのかは別にしても機齢80年の機体を整備し稼働させるのは難易度が高いだろう」
空軍が5個爆撃飛行隊を追加し、B-52Hを他機種と退役させればB-21は200機以上必要となり、事業規模は増大するはずだ。■
David Axe edits War Is Boring. He is the author of the new graphic novels MACHETE SQUAD and THE STAN.
B-21はもともとLRS-Bと呼ばれていたようにファミリー構成のBつまり爆撃機型のはずですから、残りの機体がどうなるのかが関心を呼ぶところです。格闘戦闘機にかわる制空機とでも言うべき重武装機や電子戦やISR機への進化も期待しているのですが、今の所爆撃機の話題ばかりですね。あるいはブラック事業で裏で別の機体が開発されているのか。いずれにせよ、B-21の実機を誰も見ていない状態なのですが、2020年代中頃の就役であれば意外に早く開発が進んでいるのでしょうか。あるいは既に初飛行しているのかもしれません。中国を意識して今回はペンタゴンも徹底した情報管理を行っているようですね。


2018年8月27日月曜日

歴史のIF(5) B-52がなかったら米空軍はどうなっていたか

歴史のIF(5)----B-52が初飛行したときに生まれている人がこれから減っていきますが当の同機は2050年代まで稼動するとは恐れ入ります。米国としても投資効果が史上最高の機体になりますね。ではそのB-52が生まれなかった世界はどうなっていたでしょうか。


The Air Force Would Have Serious Problems if the B-52 Bomber Never Happened B-52がなければ米空軍は大変な状況だったはず

Image result for B-52H wikipedia

ーイングB-52ストラトフォートレスは1955年以来米国の国防最前線で飛び続けている。当初はソ連への戦略核兵器投下が役目だったが、ソ連崩壊後もミッションを実施している。

これまでミッションの範囲が広がり、ヴィエトナムでは通常爆弾で戦略爆撃を、ソ連海軍には対艦攻撃を、イラク軍には通常弾で阻止消耗攻撃を、その他テロ対策で破格主任務もこなしてきた。現時点ではB-52はB-1BやB-2退役後も供用され、また初飛行時に生まれていない人が大多数となっているが2050年を過ぎて最終的に退役する予定だ。

だがそのBUFFが米空軍とその他軍の間で繰り広げられた調達をめぐる争いに敗れていたらどうなっていただろうか。
米空軍さらに米軍全体としてB-52が生まれなかった場合の穴をどのように埋めていただろうか。

第二次大戦終結してほどない時期に爆撃機構想が多数生まれた。米陸軍航空軍(まもなくUSAFになった)は戦時中はB-29生産に集中するため新型爆撃機の開発を凍結していた。

ジェット推進方式や核兵器の登場で調達そのものに変化が生まれ、ピストンエンジン方式のコンベアB-36ピースメーカーが大陸間戦略爆撃機として唯一の存在だった。だがB-36の開発開始は1940年代初頭でドイツ攻撃を念頭においた機体でジェット時代についていけないのは明白だった。このためUSAFにはピースメーカーを整備しながら並行して新型機開発が必要だった。その後B-52になった機体の原型は1945年末に設計図としてあらわれた。

B-36, Wikipedia

B-52設計案はその後二年間で大幅変更を受け、直線翼のピストンエンジン爆撃機から後退翼ジェットエンジン爆撃機になった。だが1947年12月にキャンセルになるところだったのはコスト超過とともにエンジンで不安が生まれたためだ。その他数社も実用化はともかく代替提案を示し、ストラトフォートレスの生き残りは疑問視された。

B-52がキャンセルされていればUSAFは苦しい立場に追いやられていただろう。

B-36は初号機が工場を出た段階ですでに陳腐化しており、短距離しか飛べない戦闘機を爆弾倉に搭載するなど対策が必要となっていた。ソ連迎撃機はピースメーカーをやすやすと餌食にしたはずで、このためカーティス・ルメイ司令官は朝鮮戦線への同機投入をためらった。

USAFには中距離爆撃機としてボーイングB-47ストラトジェット、B-50(B-29改良型)があった。それぞれ航続距離やペイロードに制約があったが、海外基地の利用や空中給油によりソ連国内の目標への到達は可能だった。コンベアB-58は1960年に供用開始となったが、総合的に及第点しか取れない機体だった。つまりピースメーカー後の中距離爆撃機では戦力不足だったろう。
YB-60 Wikipedia


USAFはB-60に期待したかもしれない。コンベアがB-36をジェット推進式にした機体でB-36と機体に共通点が多々あった。機体の大きさや操縦性の不足などだ。B-60はB-52より爆弾搭載量が大きいものの速力が低かった。史実ではB-60は試作機一機が初飛行したが不採用となった。B-52がそれだけ期待にこたえる存在だったためだ。ただしB-60はB-36と部品多数を共用していたためストラトフォートレスより低価格になるはずだった。

だがB-60ではソ連がSA-2地対空ミサイルを稼動させた後の状況に適合するのが大変だったはずだ。機体の大きさのためB-52でその後実現した低空侵入飛行ミッションは苦手で、電子装備を搭載する余裕が機内にあったことは利点となっただろう。総合すると空軍がB-60を長期稼動させていたとは考えにくい。


空軍はB-70推進に傾いた。国防総省がB-70をキャンセルしたのはソ連の防空技術の進展が理由だったが、B-52が満足できる結果をだしていたためもある。戦略爆撃機で穴が開いていればB-70が実現した可能性は高かっただろうが、SAMや高速迎撃機の存在は大きかった。B-70にはB-52並の柔軟性が欠如していたため、BUFFと同じミッションの実施は容易でなかったろう。

USAFが外国機材調達に傾いた可能性がある。USAFはイングリッシュエレクトリック製キャンベラをマーティンにB-57としてライセンス生産させ1950年代の中型爆撃機不足を補ったが、米企業の設計案不足をそのまま英国機でカバーしたとは思えない。ただしアヴロ・ヴァルカン、ハンドレページ・ヴィクター、ヴィッカース・ヴァリアントにはそれぞれ米国中型爆撃機にはない長所があったし、ペイロードはB-52やB-60に匹敵するものがあった。

さらに空軍は核兵力整備では弾道ミサイル開発に努力を振り向けていた。有人爆撃機に対して弾道ミサイルには大きな利点があり、USAFの組織文化を変えていった。ソ連の統合防空体制が整備されたことでUSAFもミサイル依存を高めていき、当然その他装備の調達に影響が出た。

B-52はその他の爆撃機でできなかった仕事をこなしていった。ミサイル時代でも十分役割を果たしており、長距離低空侵攻戦略爆撃機として、大量通常爆弾の搭載機として、その他長距離軍用機として活躍した。B-52後継機の中で同様の働き振りを示した機材はない。
B-52が存在していなければヴィエトナム戦の余波で生まれた戦闘機出身将官の興隆で戦術機材重視の流れがいっそう強まっていただろう。B-60あるいはB-70(またはその双方)が第二次大戦同様の編隊飛行でハノイをラインバッカーII作戦で爆撃していたら当惑する結果になっていたはずで、爆撃機至上主義者でさえ勘弁してほしいと思う事態だっただろう。1970年代に入りネット評価が実用化されて戦略爆撃機部隊に新しい意義が生まれたとはいえ、爆撃機推進派は依然として強力でB-1Bを実現させている(あるいはその前身のB-1Aも供用されていたかも)が、B-52不在で生まれた穴の多くはミサイルや戦闘機が埋めていただろう。

米国がB-52調達に向かわなかった可能性を考えるのは困難なほどだ。ただしその場合は空軍全体や国防総省に波及効果が生まれいたはずだ。B-52が通常型核運用の双方で使えなかったら空軍の姿も変わっていたはずだ。B-70ヴァルキリーが今も供用中だったかもしれない。B-1Bランサーは生まれていなかったかもしれず、B-60が形を変えながら今も供用されていたかもしれない。■

Robert Farley , a frequent contributor to TNI, is author of   The Battleship Book .

2018年1月16日火曜日

B-52H編隊がグアムに移動し、USAF爆撃機三機種がそろい踏みへ

B-52s Are Headed Toward Guam Where B-1Bs And B-2As Are Already Forward Deployed

B-52がグアムに移動中、B-1BとB-2Aがすでに展開中

If the bombers do touch down at Andersen AFB in Guam it'll be the first time all three USAF heavy bombers will be there at once since August of 2016.

アンダーセンAFBに着陸するとUSAF重爆撃機各型がそろうのは2016年8月以降はじめてとなる。


Rim of the Pacific exerciseSTAFF SGT. KAMAILE O. LONG—1 CTCS
 BY TYLER ROGOWAYJANUARY 15, 2018

B-52Hストラトフォートレス戦略爆撃機少なくとも2機がコールサインMYTEE 51で太平洋を移動中で、ハワイを超えると到着地がアンダーセンAFBとなるのは確実だ。同地でB-1B、B-2Aに合流すれば三機種の同時配備は2016年8月以降のこととなる。
B-2はグアムに突如展開した際に米太平洋軍は爆撃機展開と抑止ミッションにあたると発表。緊張高まる中でこれには核兵器の運用も含むが、B-1Bにその能力はなく、B-2とB-52Hなら実施が可能だ。
B-52のグアム配備がいつまでかは不明だ。ごく短期間で重爆撃機をグアムに展開する訓練は随時行われているが2016年8月同様に三機種が当面そのまま残り同時訓練にあたる可能性もある。
2017年はほぼ通年でB-1Bがグアムから「力の誇示」ミッションを朝鮮半島付近で行っている間に米朝間の緊張が高まった。米側には残る手はあまりない中で戦略爆撃機を北朝鮮近くで飛ばす選択肢は残る。あるいは三機種を同時に飛ばし大規模な力の誇示を行うかもしれない。まるで航空ショーだが米国は同盟国とともにこれまでもこれを実施している。
冬季五輪が近づいているが、今回は世界有数の緊張地帯での開催となる。同時に南北朝鮮で会談が進行中だ。

B-52ミッションが明らかになれば記事をアップデートしたい。■