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2017年7月4日火曜日

北朝鮮がICBM発射成功と発表、SM-3で日本は守れるのか


 

北朝鮮がICBMを完成させたといっていますが、今の段階ではアラスカに辛うじて飛ぶ程度でしょう。それでも米ミサイル防衛体制がいよいよ本土防衛を重視する方向に切り替えを迫られかねず、日本のミサイル防衛体制が一層注目されそうですね。


Can America's SM-3 Missile Protect Japan from North Korea? SM-3ミサイルで北朝鮮脅威から日本を守れるか


July 3, 2017

  1. 日本の自衛隊は通常の軍隊ではない。第二次大戦後の憲法で海外で戦闘行為を禁じているためだ。とはいえ日本が北朝鮮から脅かされるのは国内に米軍基地を抱えるためだが、そもそもは1998年にテポドン-1ミサイルが日本領空を横切り飛翔したことが出発点だ。
  2. その後も北朝鮮はミサイルテストを繰り返し、本日も行った。北朝鮮は米西海岸を直撃できる大陸間弾道弾の完成に向け作業中だが、すでに日本は北朝鮮の中距離弾道ミサイル(IRBM)の射程に入っている。発射後10分で日本本土を直撃するはずだ。
  3. 日本は独自の対抗策で北朝鮮ミサイルに対応している。PAC-3ペイトリオットミサイル地対空ミサイル部隊6個を展開し、駆逐艦4隻に長距離SM-3ミサイルを搭載している。ただしいずれも高速で高高度飛翔するIRBMに有効対応できるか未実証だ。マッハ4で飛ぶPAC-3の有効射程はわずか30キロで局地防衛手段でしかない。
  4. そこでSM-3の新型超長距離型を三菱重工レイセオンが共同開発中であり、IRBM発射後の加速段階や中間飛翔段階で迎撃を狙う。ただし残念ながら同ミサイルは迎撃テスト二回目で失敗し、弾道ミサイル防衛体制が未完成だと露呈している。それでも日本は陸上運用でSM-3を導入しミサイル艦を補おうとしている。
  5. スタンダードミサイル3は別名RIM-161で米海軍の駆逐艦巡洋艦でミサイル防衛ミッションの手段となっている。各艦は洋上の機動発射台となりイージス戦闘システム、各種ミサイルに対応する垂直発射管を搭載する。さらに弾道ミサイルに精密機能が加わり対艦兵器になる可能性が出てきたおり艦船防御用にも弾道ミサイル迎撃装備が使われそうだ。
  6. 三段式固体燃料ロケットで飛翔するSM-3を誘導するのはSPY-1レーダーでGPSと衛星航法からも支援を受ける。標的に近づくと軽量大気圏外発射体により運動エネルギーだけで飛来するミサイルを破壊し、爆発物は使わない。実弾発射テストでは70パーセントから80パーセントの成功率で中距離弾道ミサイルから分離した再突入部分にも対応している。なお衛星攻撃も可能。
  7. 日本はこんごう級駆逐艦4隻にイージス戦闘システムとSM-3ブロックIミサイルを搭載し、あたご級二隻のベイスライン9改修が完成すれば弾道ミサイル迎撃能力も備わる。ブロックIミサイルは最高速度マッハ10で有効射程380マイル(約610キロ)。
  8. 残念ながら6隻では日本本土を守りきれない。またブロックI迎撃体でミサイル弾頭部を確実に破壊する十分な運動エネルギーが確保できるか疑問視する声もある。
  9. 1999年に日米両国は大型長距離飛翔可能な新型SM-3の共同開発に合意した。2012年までにペンタゴンは15億㌦をつぎ込み、日本もほぼ同額を支出している。その結果生まれたSM-3ブロックIIAは以前の型とは第一段だけが同じだが米海軍マーク41垂直発射管システムに辛うじて入るほどの大きさになっている。
  10. ブロックIIAの最大射程は1,350マイル(約2,100キロ)、最大速度はマッハ15超となる。迎撃体が大型化し高度制御が可能となる。迎撃体に積む赤外線センサーが二色対応の高性能版となり、迎撃対象の目標やおとり、デブリを判別できる。
  11. 2017年2月3日にブロックIIAミサイルがUSSジョン・ポール・ジョーンズから発射され宇宙空間で弾道ミサイル迎撃に成功している。
  12. 残念ながら6月22日の第二回テストは失敗し、原因を調査中だ。
  13. 二回中一回失敗したからブロックIIAが役に立たないわけではない。だがミサイル迎撃がいかにむずかしいかあらためて教えてくれた格好だ。長射程性能を誇る地上配備中間段階迎撃防衛システムがアラスカ、カリフォーニアに配備されているが、試射でも不良率40パーセントになっており、原因は配線問題だという。また高価なミサイルのため試射多数を行えないのも事実だ。ブロックIIミサイルは単価20百万ドルを超えるといわれる。またテスト条件を実際の戦闘状況より都合よく設定していることは忘れてならない。システムが肝心な場面で作動しないとなれば懸念材料となるのは必至だ。
  14. それでもブロックIIのSM-3は短距離用のTHAADやペイトリオットPAC-3に比べれば射程、対応可能の双方で柔軟性がはるかにすぐれているが、ブロックIの試射実績と同様の成績の実証が条件だ。想定外だがSM-3で北米をねらうICBM迎撃にも使えそうだ。米本土の沖合にイージス艦を配備すれば迎撃態勢を強化できる。ブロックIIAミサイルは2018年にも配備が始まる予定でそれまでにテストで成功実績を増やす必要がある。
  15. ミサイル脅威の前に日本は防衛体制強化の検討中だ。今後就役する新型駆逐艦二隻にSM-3がミサイル防衛用に搭載される。日本も当初はTHAAD導入に向かう予測があった。短距離(120マイル程度といわれる)対応のTHAADはミサイルが地表に向かって飛翔する最終段階で対応を想定し、SM-3とPAC-3を補完する「第三陣」になると期待された。
  16. ただし北朝鮮が5月14日に発射したIRBM火星Hwasong12を受け稲田朋美防衛相は地上配備SM-3いわゆるイージスアショア取得に傾いていると明らかにした。イージス地上施設はSM-3発射に加えSPY-1Dレーダーで艦船とネットワークを形成し相互補完できる。米軍はイージスアショアをポーランドに導入中で、ブロックIIA迎撃ミサイル24発を展開する。ジャパンタイムズによればイージス陸上施設が二か所あれば日本全土をカバーでき、各712百万ドル(約8億円)とTHAADより大幅に安上がりとなる。
  17. 先週の報道では朝鮮半島の緊張が高まる中で日本政府はイージスアショアの早期導入を準備中だ。日本が地上、海上双方に迎撃ミサイルを多数配備すれば、米海軍でさえSM-3ブロックIミサイルを全イージス艦に一度に配備できない中、一発で命中保証ができなくてもミサイル多数を発射すれば迎撃が確実になる。弾道ミサイル防衛がどこまで信頼できるか不明というのは気が休まらない状況だが原因を探す必要がなければもっと良い。■
Sébastien Roblin holds a master’s degree in conflict resolution from Georgetown University and served as a university instructor for the Peace Corps in China. He has also worked in education, editing and refugee resettlement in France and the United States. He currently writes on security and military history for War Is Boring.
Image: Wikimedia Commons

2014年3月18日火曜日

SM-3 IIAミサイルの早期生産へ


Raytheon Eyes Early SM-3 IIA Builds

By Amy Butler abutler@aviationweek.com
Source: AWIN First
aviationweek.com March 13, 2014
Credit: U.S. Navy


レイセオンはSM-3ブロックIIA弾道ミサイル迎撃体の第一バッチ製造の提案を米ミサイル防衛庁 (MDA) へ提出しようとしており、初の飛行テストも来年に行う。提案書ではミサイル22基の販売をするとし、開発は順調に進んでいるとSM-3を担当するプラグラムディレクターのミッチ・ステイーヴィソンMitch Stevisonは語る。各基はMDAの研究開発費予算で調達する。

  1. SM-3ブロックIIAはレイセオンのSM-3ファミリーで最新版となる。これはオバマ政権が掲げるヨーロッパ対象適応型アプローチ European Phased Adaptive Approach (EPAA) の実施手段として、ヨーロッパの大部分および合衆国東海岸をイランの弾道ミサイル攻撃から守ることになる。SM-3 IIAは艦載あるいは地上発射で運用化は2018年の予定でEPAA構想が求める欧州の漸進的防衛体制拡張を実現する一環だ。
  2. ブロックIAとIBは米海軍艦船に地域内弾道ミサイル防衛手段として配備されている。IIAは日本政府および三菱重工業と共同開発されており、新設計の推進系が強力なものになる。SM-3 IA, IB およびIIA の第一段は直径21-inだがこのうちIIAは第二第三段まで同じ 21 in.のサイズであるのに対し、これ以前の型は直径14 in.になっている。
  3. サイズ拡大で飛翔距離が伸び、燃料を消費した段階の飛行速度が高くなるので、防衛対象面積が増える。「IIAミサイルは運動エネルギーでブロック1Bよりも強力になっています」(スティーヴィソン)
  4. 関係者がSM-3IIAのキャニスター放出口を検分しており、大型化したミサイルが海軍のMk.41垂直発射システムで対応できることを確認しているとスティーヴィソンは Aviation Week に語った。キャニスターはミサイル発射の際につかうもの。
  5. 初の迎撃試験は2016年度末までに実施予定で、計画よりも2年遅れることになる。逆にリスク軽減策の実施ができるようになった。ペンタゴンは「ハードウェア中心の内容を早期に求めていた」とスティーヴィソンは言い、早期にテストしていたらリスクがあったと認める。SM-3 IIAの実戦配備前に四回の迎撃実験が予定されている。
  6. ペンタゴンのSM-3 IIA開発予算は15.1億ドルほどで日本政府もほぼ同額を負担する。三菱重工はノーズコーン、第二及び第三段のモーター開発、組み立ておよび迎撃体の制御を担当している。
  7. 第一段はAerojetが生産し、レイセオンは対弾頭破壊弾を製造する。作業は1Bが基礎となっているが、ブースターの大型化でこれまでより大型の破壊弾が可能となり、情報処理能力と飛行距離が伸びている。二色赤外線探査装置 two-color infrared seeker と迂回高度変更機構 divert-and-attitude-control system は1Bのものを流用している。.
  8. 日本も同ミサイル導入で自国防衛に必要な艦船数を減らすことを期待している。■