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2015年5月3日日曜日

★LRS-B事業に適格なのはどちら? 米空軍の選定を前にふたつの主張



LRS-Bは先日のCBSA報告(「米空軍の主力機が大型機に統一される日が来る?」)が次世代の主力戦闘用航空機になるとみる重要な機種ですが、依然として秘密のベールの中で空軍は選定の作業を進めている模様です。以下ご紹介の応援文はそれぞれバイアスが露骨で笑えますが、事実がそれぞれ盛り込まれているのも事実です。であれば三社連合で最良のLRS-Bを実現すればいいのではないかと思えますが、選定は真剣にやってもらわないといけません。選定結果いかんで業界を去る企業が出そうというのがこれまでなかった事態ですが、さぞかし空軍関係者も胃が痛いのではないでしょうか。

Differing Views On Who Will Build The Long-Range Strike Bomber

May 1, 2015 Rupa Haria | AviationWeek.com


米空軍はステルス次期爆撃機長距離打撃爆撃機(LRS-B)の開発生産で主契約企業を今年中に選定する。ボーイングはロッキード・マーティンと組みB-2で実績を有するノースロップ・グラマンに対抗するが、勝者はどちらになるだろうか。
Aviation Week & Space Technologyはその行方を占う二つの見方を紹介する。まずローレン・トンプソン(レキシントン研究所最高業務責任理事)はボーイングとロッキード・マーティンが空軍の爆撃機・攻撃機の95%を提供している事実から両社連合が最良の選択だと主張。一方、ロバート・ハッファ(前ノースロップ・グラマン解析センター長)は空軍の要求水準からみてノースロップ・グラマンが圧倒的に有利な立場だという。

Opinion: The Boeing-Lockheed Team Is The Most Qualified

Apr 30, 2015 Loren Thompson | Aviation Week & Space Technology
米空軍は長距離打撃爆撃機の要求性能で事実上何も公表していないが、契約獲得を目指す二大勢力もともに提案内容について沈黙を保っている。外部からどちらの内容が優れているのか知る由もないが、どちらが有利なのかの評価は可能だ。
では選定の任に当たる関係者だとして、爆撃機の設計ではなく爆撃機開発チームを選ぶとして考えてみよう。選択はボーイングが主導し、ロッキード・マーティンが加わる連合とノースロップ・グラマンが率いる事業体の一騎打ちだ。これまでの実績、現在の技術水準、財務能力や業績からどちらが的確だといえるだろうか。
経験値が違う .
過去三十年間でボーイングとロッキード・マーティンは空軍向け爆撃機・攻撃機の95%を提供している。例としてF-15,F-16,F-22やF-35があり、B-1爆撃機もここに加わる。両社の納入実績は1980年以降で3,000機に上る。現在も両社は固定翼機で最大の納入実績を維持しており、2014年だけで戦闘機、輸送機、偵察機を計300機以上納入している。
対照的にノースロップ・グラマンの実績は小規模だ。この数年で同社は年間10機程度の固定翼機を納入しており、ターボプロップ機とグローバルホーク無人機(UAS)が中心だ。同社の軍事用途需要での役割はボーイングまたはロッキード・マーティン向け機体の一次組み立てが中心だ。
現在の実施能力では
ボーイングはセントルイスに戦闘機製造ラインを運営し、大型軍用機はP-8Aポセイドンのようにシアトル周辺で製造している。同社はあわせて民間商用機で世界最大規模のメーカーでもある。ロッキード・マーティンは第五世代戦闘機の量産ラインを有する唯一のメーカーである。同社のフォートワース工場は三軍向けF-35戦闘機を生産中で、その背景にはボーイングがロッキードと共同で作ったF-22の経験がある。
現状で多くの事業を展開していることで、ボーイング、ロッキード両社には技術陣多数があり、世界規模のサプライチェーンと整備ネットワークもある。ロッキード・マーティンは業界唯一の低視認性機材生産能力があり、業界の中でもソフトウェア応用技術は群を抜いている。ボーイングには複合材を使った大型機の生産では業界一の技術を有している。
ノースロップ・グラマンには以上のどれもない。パームデール工場(カリフォーニア)はUAS製造や既存機の改修にあたり、一次組み立て構造品を出荷している。同社は完成機を大量に生産していないので、サプライチェーンやコスト管理でも業界他社よりも見劣りがする。またリスク管理でも不足が目立つ。ロッキードはスカンクワークスでこの点一歩先を行っている。      
財務力はどうか
ボーイング、ロッキード・マーティンの2014年売り上げ総額は1,360億ドル。ノースロップ・グラマンは240億ドルで4年連続の減収。これだけ規模が離れるとボーイング=ロッキード・マーティンのほうが空軍の計画変更への対応に圧倒的に有利だ。空中給油機事業では空軍の度重なる要求変更にボーイングはKC-46で対応したが、ノースロップ・グラマンは撤退している。その理由は利益確保が難しいためとしていた。
実績の違い
ノースロップ・グラマンはB-2爆撃機生産の実績を強調するが、実は同機は大量の既成技術を使っており、その維持管理が大変である事実は無視している。(飛行4時間ごとにステルス性維持のため18時間の作業が必要) またB-2生産ではボーイングが最大規模の事業量を提供したことにも言及していない。ボーイングは1万人を雇用し、同機の主翼、機体後部、こう着装置、燃料系統、兵装運用部分を製造した。ボーイングはその後ロッキード・マーティンと組み第五世代戦闘機第一弾F-22を製造している。
長距離打撃爆撃機はB-2をすべての点で凌駕する性能となるだろう。要求性能の実現には成熟技術を中心に対応し、ボーイングやロッキード・マーティンには他機種の製造工程から開発製造段階に流用できる基盤がすでにある。これに対してノースロップ・グラマンはF-35のような本格ステルス機のソフトウェアを自社開発しておらず、大型機の複合材利用でも製造上のノウハウがなく各方面で相当の遅れを取り戻す必要がある。
こうしてみると結論は明らかだ。が新型爆撃機の製造で的確なのはボーイング=ロッキード・マーティンでノースロップ・グラマンの選定した場合はリスクがはるかに高くなる。
ローレン・トンプソンはレキシントン研究所の最高業務責任者である。同研究所はボーイングとロッキード・マーティンから運営費用を受け取っている。


Opinion: Stealth And Integration Experience Point To Northrop Grumman LRS-B Advantage

Apr 30, 2015 Robert Haffa | Aviation Week & Space Technology
:
ステルス長距離打撃爆撃機(LRS-B)の主契約企業の米空軍による選定時期が近づいている。同機は時と場所を問わず我が国の軍事力の行使を確実にするため必須の装備だ。表面だけ見て専門家はボーイングとロッキード・マーティンの連合とノースロップ・グラマンの一騎打ちと表現しているが、空軍の要求内容を詳しく見つつ各チームの能力水準を見れば、ノースロップ・グラマンがLRS-B製造に圧倒的に有利であることがわかる。以下説明する。
真剣に専念できるのはどちらか.
F-35やKC-46給油機の調達で不手際があったことで空軍は新型爆撃機では終始一貫して集中配慮し、必要な資材を投入する責任ある対応ができる業者の選定を求めている。しかるにボーイング/ロッキード・マーティンは空軍の他機種事業で手がいっぱいだ。ボーイングは給油機案件で予想外の負担を迫られており、ロッキード・マーティンはF-35で大きく遅れを発生させておきながら性能は想定以下だ。そうなると両社にとってLRS-Bの優先順位は低くなり、量産段階に入るKC-46とF-35のほうが利益を出しているはずだ。
実績が裏付ける。空軍がF-22の追加調達を求めたところ、F-35の売り上げ減を恐れたロッキード・マーティンはF-22推進の立場を急にひっこめている。同様にLRS-BのためにロッキードがF-35を断念したり、ボーイングがKC-46生産ペースを落とすことはありえない。むしろLRS-Bをトラブル続く事業のしりぬぐいにするのではないか。これに対しノースロップ・グラマンはLRS-Bに専念し、納期予算どおりの納入が可能な体制になっている。
関連した経験則が必要だ.
空軍の調達責任者は議会に対して新型爆撃機の機体単価は2010年の貨幣価値で550百万ドル上限のままの想定と証言しており、提案競争でも据え置きとなるだろう。ノースロップ・グラマンはステルス長距離爆撃機で開発、製造、維持の経験を有する唯一の企業である。B-2では機体維持費用の削減を実現している。維持費用はウェポンシステムとしてのライフサイクルコストの8割を占めるほどだが、B-2では同程度の大きさの空軍他機種より安くなっている。反対にボーイングとロッキード・マーティンはそれぞれ大型民間機や戦闘機生産の実績を強調しているが、高性能爆撃機を製造し維持することは複雑な作業であり、一貫して責任ある体制と技術力が必要とされる。そこで実績が重要となる。B-2の生産は民間機を給油機に改造するよりはるかに複雑な工程だが、それでもボーイングはKC-46の納入に10年以上かけているがまだ実現できていない。
ステルス関連サブシステムの実績があるのはどちらか
空軍の考えるステルスとは技術と戦術の組み合わせに、サブシステム各種を加えて低視認性を実現するものだ。ノースロップはステルス用のサブシステム多数で信頼の実績がある。ロッキードもF-22およびF-35のステルスレーダーでノースロップを頼りにしたほどで、ステルス通信リンクでも同様で、F-35では別に通信航法システム、赤外線センサー、ステルス空気取り入れ口含む機体中央部もノースロップが供給している。国防総省はLRS-B無人機型も推進するが、ノースロップ・グラマンの無人機空軍向けグローバルホークや海軍向けX-47Bでの経験が有利な要素だ。
ノースロップ・グラマンが有利な理由
空軍はLRS-Bの就役を時間内予算内に実現できる契約企業を求めている。ボーイングとロッキードが連合したのは単独ではこれが実現できないからだ。ボーイングにはステルスの実績がなく、ロッキードはF-35で大幅な遅延を招いている。
全方位ステルス性能では設計がすべてだが、ボーイングが主契約企業になってどのように協力企業の設計を承認するつもりなのか。ステルス戦闘機で設計実績のあるロッキードが経験値をわざわざ提供して自らの優位性を譲ったうえで「第六世代」戦闘機競争でボーイングを有利にするはずがない。
ステルス爆撃機製造の経験が欠如していること、ボーイング/ロッキード共同事業の経営リスクならびに両社が空軍の他機種事業に経営資源を投入せざるを得ないことから両社に次世代の長距離打撃爆撃機製造を任せるのは賢明な選択とはいいがたい。ノースロップ・グラマンなら経験、実績、専念の上経済的に新型ステルス爆撃機を開発・製造・配備・維持できる事業をまとめることが可能だ。そのため同社が受注に成功するのは明らかだ。
ロバート・ハッファは退役米空軍大佐でノースロップ・グラマン解析センター長を務めた。



2015年4月3日金曜日

★大変悩ましい次期長距離爆撃機開発企業の選定(米空軍)



一方が採択されれば他方は業界に生き残れないとは厳しい状況です。極秘予算の話も後半に出てきますがなんとか高度技術を散逸させない配慮が求められます。日本の産業政策をあれだけ批判していた米国が自ら防衛産業の基盤維持を図る政策を展開せざるを得ないとはなんとも皮肉な話です。LRS-Bという呼び方がLRSBに変わっていることに注目です。2020年というのはもうすぐですが、予算上は大変な時期になりそうです。

Tough Choices For DoD On Long Range Strike Bomber

By COLIN CLARKon April 02, 2015 at 4:30 AM

An artist's concept for a stealthy future Long-Range Strike Bomber.ノースロップ・グラマンのLRSB概念図
WASHINGTON:  でペンタゴンはあと数ヶ月で長距離打撃爆撃機(LRSB)の契約企業を選定するが、興味深い結果になるだろう。ボーイング=ロッキード・マーティンが選定されるとロッキードが高性能ステルス機の設計をほぼ独占することになる。逆の場合だとノースロップ・グラマンがステルス爆撃機を独占する。
  1. 結果は米国の産業基盤にも重大な影響を与えるが、問題が山積していた空中給油機選定の比ではない。
  2. 「この十年間で新型戦闘航空機の開発契約は皆無だったが、これからの十年も同様だろう」とリチャード・アボウラフィア( Teal Group の航空宇宙分野主任アナリスト)がフォーブス誌で解説している。「言い換えればLRS-Bに絡むは大手三社のうち、次の戦闘航空機開発に生き残れるのは二社だけだ。ロッキード・マーティンはF-35のおかげで心配の必要はない。残る二社は今回受注できなければ業界に残れなくなる。つまり2030年ごろに就役予定の次世代戦闘機開発の競合に参入できない。」
lockheed boeing long range strike bomberロッキード=ボーイングのLRSB概念図
  1. ボーイング主導のチームの主張はボーイングがこれまで大型機多数を予定通りに生産しており納得の行く価格で実現した実績を基にしている。ただしKC-46では困難に直面しているが。
  2. 「ボーイングは大量の大型機生産でずばぬけた実績を持っています」とアボウラフィアは記者に語った。「ただし同社もつまづくことがあります」とウェッジテイルの例とやや規模は小さいがKC-46の例を示唆した。両機種とも民間商用機を軍用に改装して、軍用機を完全新設計した場合に発生する諸問題を回避するはずだった。
  3. もしボーイングチームが敗退すれば、米国は「重要な生産能力を失い」、雇用も喪失する。「反対にロッキード・マーティン=ボーイング案が採用となれば、ノースロップ・グラマンが軍用機から撤退しそれもつらい結果になる」
  4. ペンタゴン調達部門のトップ、フランク・ケンドールからは産業基盤の配慮は選定で大きな要素にならないと発言があった。採用企業はあくまでも提案内容により選定規程に従って決まるという。ケンドール副長官が設計チームの選定を今後も守るべき大切な存在と表現していることから意味深長ながらもあきらかに意図を伝えようとしている。
  5. 空軍は機体単価550百万ドルで100機調達にこだわっているが、これとは別に研究開発段階で200億ドルが必要であり、これを見るとボーイングに有利に働く。というのは機体生産では技術の革新性よりも現場の生産活動が重要に働くからだ。
  6. またボーイング、ロッキード組には議会からの支援も期待できる。というのは両社とも規模が大きな企業で倒産させるわけにいかないからだ。しかし両社は予算縮小の影響を受けやすい。2020年に予算不足が発生したらロッキードはF-35を諦めてLRSBに集中できるだろうか。ボーイングがKC-46で譲歩するだろうか。ともに実現の可能性は薄く、新型爆撃機だけに専念できるのはノースロップ・グラマンである。
  7. ノースロップのステルス機設計技術を維持してロッキードだけに独占させないためにもアボウラフィアは「設計能力を温存させてきた秘密予算の世界が存在してきた」と指摘する。ノースロップが契約受注に失敗すれば同社が爆撃機を組み立てることはないが、ペンタゴンとしては同社の高度技能を有し情報に通じた従業員を高度の秘匿事業に関与させたいと願うだろう。こういった事業は予算書には姿を見せない。
  8. アボウラフィアもB-2の製造、保守管理を通じて得た同社の技術水準が重要と考える。
Over the Pacific太平洋上空を飛行するB-2
  1. それでもアボウラフィアでさえどちらが受注するのか直感でもデータでも答えられないという。
  2. ボーイングが受注の場合はロッキードが重要な設計工程を受持つが知的財産をボーイングと共有することは皆無と言ってよい。ボーイング=ロッキードチームには航空機生産で信用実績があり、ロビースト多数を送り、豊富な資金で議会に影響を与え、予算危機が今後発生しても事業の温存を図るだろう。
  3. もしノースロップが受注すれば、米国にはステルス機設計能力を有する企業が二社となる。
  4. 宇宙分野は技術や産業基盤の議論とずれるが、高性能技術の要求で共通要素がある。ボーイングが自社では十分な技術的知見を有しない高性能情報集衛星の受注に成功したが、結果として事業費の超過日程も大幅に狂う損失が数年にわたりつづき、事業が終了された事例(将来画像アーキテクチャ事業)がある。選定委員会が正しい判断を下すことを祈ろう。■


2015年2月9日月曜日

★T-Xを既存機改修から新型機案に切り替えたノースロップは真剣勝負



ノースロップにとってT-38がそこそこに売れて派生型のF-5がさらに多く各国に採用された成功体験があるので、この案件はなんとしても取る、という覚悟があるのでしょうね。スコーピオンとならび、維持費のかからない画期的な機体が生まれるかもしれません。当面注目です。そうなると韓国T-50他は分が悪くなりますかね。ノースロップにとっても戦闘機製造技術の継承をかけた重要な案件であることはまちがいないでしょう。負ければ撤退ですからね。
Northrop Developing New Design for T-X
By Aaron Mehta10:20 a.m. EST February 6, 2015

T-38 Sunset
(Photo: US Air Force)
ノースロップ・グラマンは米空軍向け次期練習機T-Xへ新型機案で入札することに決定した。同社はこれまでBAEホーク練習機を改修する案を提示すると見られていた。
実は米空軍がT-Xの要求性能を明らかにした2年前から設計開始していたと同社T-X事業を統括するマーク・リンズレー Marc Lindsley, Northrop's T-X program directorは言明。
同社はホーク案で準備していたが、新設計案で性能・価格両面を満足させられると判断したという。
同社は空軍に新方針をすでに連絡済だとリンズレーは述べ、方針転換は特定の要求内容のためではなくむしろ空軍からの情報をもとに判断したものと説明。
すでに新型機は組み立て中で、今年中に初飛行と見られる。ノースロップはこれ以上の日程観を言及していないが、6月のパリ航空ショーあるいは9月の空軍協会年次総会で新型機をお披露目するのは業界では普通だ。
T-Xは現行T-38練習機の後継機種として第五世代機をパイロット養成する高性能機となる。空軍は2016年第四四半期にRFPを公示し、正式契約を2017年秋に締結したいとする。
2016年度予算では研究開発予算11.4百万ドルが確保済みだ。2017年に12.2百万ドルに増額し、2018年は107.2百万ドル、19年は262.8百万ドル、2020年は275.9百万ドルと順次拡大していく。
ノースロップ発表前はT-Xに新設計機で臨むのはボーイングサーブチームだけと見られていた。ロッキード・マーティン韓国航空宇宙産業のT-50、ジェネラルダイナミクスアレニア・アエルマッキのM-346を改修したT-100、テクストロン・エアランドはスコーピオン改修型で参入を狙うとみられ、競争は厳しい。

昨年夏時点でノースロップはホーク案参加企業を発表していた。リンズレーによれば新型機開発になってもチーム構成は変えないという。BAEとは訓練システムの導入を協議中だが、L-3も地上訓練システムを供給する。
リンズレーは「とりあえず」ジェネラルエレクトリックのエンジンを試作機に使うと発言したが、量産機では言及を避けた。
新設計機体で生まれる利点の一つが提携企業を追加だ。ノースロップはKUKAシステムズ(デトロイト)と2012年にホーク想定の生産ラインの設計を依頼している。KUKAはF-35のパームデール工場(カリフォーニア州)のラインを設計した実績がある。
「機体設計では製造効率も考慮しています。製造部門代表が設計技術陣に最初から混じっています。整備時のアクセスパネルなど最初から良いものをつくれるわけです」(リンズレー)
「新型機には新式の製造方法だけでなく将来の発展可能性も盛り込んで設計します。それは新型機が対象とする現行機材が50年にわたり飛行していることも関係します」T-Xも長期間就役の想定なら改修が簡単に出来る構造にしておく必要がある。
とくにスケイルドコンポジッツ Scaled Compositesが重要さにかけては最右翼の存在だ。ノースロップは同社を2007年に買収したが、スケイルドは迅速試作部門として半場別会社のように動いている。ノースロップ以外の会社向けの仕事もしている。ノースロップのT-Xはスケイルドのモハーベ工場(カリフォーニア州)で設計作業中だ。
「スケイルドが迅速試作、開発段階を準備してノースロップの工場能力と一体化されえます。両社の間でシナジー効果を引き出すのです」
T-Xの生産場所は未定だと同社は言うが、可能性は二箇所で、ともにノースロップのManufacturing Centers of Excellenceでひとつはセント・オーガスティン(フロリダ州)で、もうひとつはパームデールで、KUKA開発によるF-35組立ラインが据え付けられている場所だ。
その先の海外販売についてリンズレーは将来的には当然検討するが、当面の焦点はT-X落札だという。■


2015年2月1日日曜日

スーパーボウルで次世代爆撃機CMを流すノースロップの狙い





Northrop Ad To Run During Super Bowl: Hints At Next-Gen Bomber

By COLIN CLARKon January 31, 2015 at 2:59 PM
 21世紀有数の大型案件となる長距離打撃爆撃機をめぐりノースロップ・グラマンは、ボーイング/ロッキード・マーティン合同チームと競っている。同社は第六世代戦闘機の設計チームを社内に立ち上げ、空軍、海軍に売り込もうとしている。(CMは次のリンクで見られます)
WikimediaNorthrop XB-35あ
ペンタゴンが2月2日(月)に提出する予算案では次期爆撃機事業が大きな目玉となる見込みだ。ノースロップ・グラマンは全米最高の視聴率となるスーパーボウルで新作コマーシャルを放映する。最後に登場する機体は布をかけられているが、明らかにLRSBあるいは次世代戦闘機のいずれか、あるいは両方のヒントだろう。
CMでは同社の無尾翼の全翼機旧作YB-35がまず登場する。、次にB-2があらわれ、その後、空母無人発着艦をやってのけたX-47Bが紹介される。
140817-N-CE233ATLANTIC OCEAN (August 17, 2014) – The Navy’s unmanned X-47B conducts flight operations aboard the aircraft carrier USS Theodore Roosevelt (CVN 71). The aircraft completed a series of tests demonstrating its ability to operate safely anNorthrop X-47 carrier landing
LRSBは厳しく秘密が守られなかなか実態がわからないが、任意で有人操縦可能となるといわれ、高度のステルス性を実現し、高性能センサーを搭載し、無人機を発進、操作可能となるという。
ノースロップは素晴らしい性能を誇り素晴らしく高価な現行のB-2を生産している。B-2は全21機が生産された。
では新規事業の規模はどれくらいか。国防予算の専門家トッド・ハリソンTodd Harrisonによると調査開発費用だけで250億ドルがかかるという。空軍は計100機調達する意向だが、2010年度のドル換算で単価は5.5億ドルになる。ハリソンはインフレを考慮した現時点の価値で6億ドルになると指摘。
ハリソンはF-35がフル生産に達する2020年頃にLRSB事業も相当の規模になると見ており、同時に次世代ミサイル原潜もテンポを早め、KC-46給油機もフル生産に入る他、次世代空軍練習機T-Xも相当数の調達に入っているはずだと見る。
そうなると空軍内部で予算の争奪となる他、他軍とも予算をめぐる緊張が高まるだろう。民間防衛産業各社も当然競争は激化する。ノースロップは先手をうち、納税者に同社の姿勢を見せることで全体が縮小傾向の国防予算で大きなパイを獲得することを正当化しようとしているのであろう。
スーパーボウルで国防産業がCMを放映した前例があるのか不明だが、ノースロップの大胆な一手は同社にとって次期爆撃機や次世代戦闘機案件の落札がどれだけ死活的かを示すものだろう。なお、B-2パイロットがLRSBをどう見ているかは下の記事を参照されたい。

2010年1月6日水曜日

ペンタゴン近くに本社を移転するノースロップ・グラマンの狙い


Northrop Grumman Moving Headquarters To D.C. Region
aviationweek.com Jan 5, 2010

1. ノースロップ・グラマン(本社ロサンジェルス)は1月4日にワシントンDCへの本社移転を2011年夏までに完了すると発表した。
2. 現在12万人を雇用する防衛産業大手の同社の創設は70年前にロサンジェルス郊外であった。現在、ワシントンDC、メリーランド、ヴァージニアで候補地を絞り春までに決定する。「グローバルな防衛産業である当社の顧客構成はワシントンDC地区に大きく存在しているので、移転により当社はいっそうわが国と顧客に仕えることができるようになります」と同社の新CEOウェス・ブッシュが声明文を発表した。
3. 本社移転でカリフォルニア州内で勤務する同社従業員3万人のうち異動となるのはわずか300人にすぎないものの、カリフォルニア州として冷戦時代から航空宇宙産業の中心地となっていただけに今回の移転は象徴的。
4. 同州に本社をおいていたロッキード、ヒューズ、ロックウェル、リットンといった防衛大手が企業統合の激しかった90年代以降は他州に本拠を構える企業と吸収合併を繰り返した。ノースロップはグラマンとの合併(1994年)、TRWの吸収(2002年)以降もロサンジェルスを本拠地としていた。
5. これでノースロップ・グラマンはペンタゴンの近隣に本社を置く企業の仲間入りをする。ロッキード・マーティンはメリーランド州ベセスダ、EADSの北米本社はヴァージニア州アーリントンにある。一方ノースロップ・グラマンはカリフォルニア州が引き続き同社の「研究開発ならびに生産の主要地点であることにかわりはない」としている。