ラベル 電動航空機 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 電動航空機 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2023年10月8日日曜日

米空軍と「メガワット級」ハイブリッド・パワートレインを共同開発する新興企業Ampaire社。いよいよ軍用用途でも使えるシステムが登場か。スタートアップ企業が次々に出てくるのが米経済の底力だ。うらやましい。


 ハイブリッド電気推進装置開発企業のアンペアAmpaireは、米空軍のアジリティ・プライムプログラムで「メガワット規模のハイブリッド技術」を開発するために、米空軍と125万ドルの契約を獲得した。

アンペアは南カリフォルニアの新興企業で、今回の契約で民生セスナ208キャラバンで開発したAMP-H570ハイブリッドパワートレインの開発拡大が可能になると述べている。

アンペアのElectric EEL(ハイブリッドのセスナ337スカイマスター)は、NASAと共同で、「より効率的で小型のパワートレイン」のテストベッドとしてきた。同社ウェブサイトによると、セスナ337スカイマスターを改造したEELは、「高出力の電子機器、インバーター、モーター、関連システム」を開発するテストベッドとある。

同社は双発ビーチクラフト・キング・エアに「初のメガワット規模のハイブリッド・プロトタイプ」パワートレインを搭載しようとしている。

「これが当社の第2世代AMP-H570パワートレイン・ユニットの最初の製造とテストになります」と同社は説明する。「1.14mW(1,529hp)への出力向上で、当社はハイブリッド推進の新基準を打ち立て、応用範囲を飛躍的に拡大できると期待しています」。

メガワット・スケールに到達したことで、民間航空機市場だけでなく、軍事用途のハイブリッド・パワーの生産も視野に入る。「この2つの市場に到達することは、ビジネスと業界のリーダーとしての当社にとって、2つの大きな目標の達成を意味します」。

アンペアは新しいパワートレインとなるAMPドライブ200ファミリーの開発でNASAとの「後続契約」も発表した。

「NASAが当社の電動EELを使用する3つ目のプログラムとなり、今回は当社の既存技術を活用して、より効率的で小型のパワートレインを開発します」。

さらにアンペアによると、カナリア諸島の新興航空会社サーカーエアラインズ Surcar Airlinesは、テネリフェ島での観光運航用に、アンペアの「エコ・オッター」航空機(デ・ハビランド・カナダDHC-6ツイン・オッター・ターボプロップの低排出ガス型)を3機発注した。

「サーカーの取り組みは、持続可能なパワートレイン・ソリューションを導入する航空会社の大きなトレンドの一部です。「アンペアは、カナリア諸島など観光客の多い地域でニーズを満たすのに重要な役割を果たすと同時に、コスト削減と環境フットプリントの低減を同時に実現する製品を提供できることを誇りに思います」。

アンペアは、サーカーとの契約で財務条件は明らかにせず、機体発注が確約かどうかとの質問にも答えなかった。

アンペアのハイブリッド電気システムは累計22,500マイル以上を飛行しており、最近では南カリフォルニアからアラスカ内陸部のフェアバンクス国際空港まで2,955nm(5,473km)を数日間で飛行した。■

Ampaire to develop ‘megawatt-scale’ hybrid powertrain with USAF | News | Flight Global

By Howard Hardee7 October 2023


2021年11月27日土曜日

英空軍が合成燃料の作戦運用構想を示し、前線や艦艇内での燃料供給の可能性に触れた。一方、小型機には電動化技術の進歩が著しい。軍もゼロエミッションを目指している。

Zero Petroleum

 

ロンドン---英空軍トップが考える未来の姿では前方作戦基地や艦艇内で航空機用合成燃料を製造し、ネットゼロエミッションを2040年までに実現する。

 

英空軍の環境目標でエコフレンドリーなジェット燃料の実用化がカギとなる。だが、サー・マイク・ウィグストン空軍中将Air Marshal Sir Mike Wigstonはフリーマン航空宇宙研究所での11月24日スピーチで新技術の実用化で生まれる作戦運営上の利点にも触れた。

「再生可能発電は太陽光や小型水素電源とし、莫大な量の燃料や補給活動を不要にし、補給の脆弱性や苦労もなくなる。この動きをさらに進め合成燃料の製造施設を前方配備すれば、基地あるいは艦上でジェット燃料を製造できる。HMSクイーン・エリザベス空母打撃群で燃料を自給できる」

この構想はさほど突飛なものではない。

RAFの迅速戦力室Rapid Capabilities Office (RCO) が合成燃料製造技術に予算を投入しており、試行中の方法のうち少なくとも一方式が移動可能になると期待している。

今月初め、RAFは小型機イカルスC42を世界で初めて100%合成燃料で飛行させた、燃料は英国の小企業ゼロペトロリアムZero Petroleumが製造したと発表した。

ゼロペトロリアム以外の企業が手がける合成航空燃料二つ目の事業の詳細も間もなく発表される。

「RAFは民間技術系企業数社と組んでおり、12月初旬にもこれ以外の燃料プロジェクトの追加情報を開示したい」(英空軍報道官)

ゼロペトロリアムの合成燃料の原料は空気と水だ。まず水から水素を、空気中の二酸化炭素から炭素を抽出する。風力や太陽光の再生可能エナジーで水素と炭素を結合させる。加熱した金属触媒で圧力をかけて合成燃料が生まれる。

同社はスコットランドの小島に製造プラントを数週間で設置し、今回のフライト用燃料を供給した。

RAFではエタノールやリサイクル廃油など飼料を原料のサステナブル航空燃料sustainable aviation fuel (SAF)をと使用しているが、高コストと小規模製造のため、実用性に疑問が出ていた。

「安価かつ供給に心配がなくなれば利用したいが、中短期的には製造規模が低くサプライチェーンも不足気味だ。この関連でいうと、世界規模のジェット燃料消費量は年間およそ320百万トンだがSAFの生産規模は世界全体で10万トン程度で拡大の気配はなく、スポット価格は通常のジェット燃料の10倍程度というのが現状だ」(ウィグストン中将)

RAFでは皇太子をヨルダンまでA330VIPジェットで運んだが、同機にはSAF混合燃料を使用した。

ウィグストン中将は一部機種で「100%SAFでフライトをまもなく実施する」とも述べた。ただし、合成燃料のほうが「期待が持てる代替手段」となり、SAFより効果は大きいとした。

「合成燃料製造方法で新しいアプローチが登場しており環境にやさしく持続可能となる。外国に依存せず確保できる。また化学的に純粋度が高い燃料で排気がきれいとなり、整備も容易となり、長寿命を実現し、騒音排熱など目視上の特徴が低くなる」

サステナブルあるいは合成燃料は石油製品やジェットエンジンをグリーンにする手段として唯一の選択肢ではない。電動や水素推進方式も別の選択肢となり、小型軽量の訓練機への応用が考えられると同中将は述べた。

「初のゼロエミッション運用を2020年代末までに実現するのがねらいだ。機体は訓練生、大学生候補生の飛行訓練初期段階に使うのに最適だ。これに成功すれば、世界初のゼロカーボン機が軍用に登場することになる」

RAF広報官からは「各種技術を比較検証しており、新技術の理解を深めている」とし、「これにより未来のコンセプトと要求内容を賢いユーザーとして深める」との発言もあった。

英空軍は90機残るグロブ製チューダーT1練習機の後継機の選定を急いでいる。

一方ロールスロイスは電動フライトで一定の進展が生まれたと11月19日に発表し、世界航空スポーツ連盟に全電動機Spirit of Innovation で世界記録三つの更新データを報告したという。

データでは同機は最高速度555.9 km/h (345.4 mph)を記録し、従来の記録 213.04 km/h (132 mph)を大きく破った。

英国防省のボスコムダウン試験飛行施設で同機は532 km/h (330 mph) を達成し、高度3千メートルへの上昇も202秒と従来より60秒短くできたと同社は発表。■

British Air Force chief envisions synthetic fuel produced on deployments

By Andrew Chuter

 Nov 25, 04:02 AM