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2018年6月6日水曜日

米空軍OA-X軽攻撃機構想のめざすもの、ローエンド戦闘にはローエンド機材を

筆者一押しだった軽ジェット機スコーピオンは一次評価で落選ですか。OA-Xのめざす費用対効果では優秀だったのですが....F-22を無理やり投入したというのはゲイツ元長官がF-22ではアフガニスタン等の低甚度戦では無用の長物と発言して早々に調達を打ち切ったことへの腹いせだったのでしょうか。でも今から軽攻撃機を作っても今度は中ロといった互角の戦力を有する大国相手の作戦が中心となっており、やることが半周遅れですね。スコーピオンの芽がなくなりOA-Xにすっかり興味がなくなりました。

Aerospace Daily & Defense Report

Wilson: Leave High-End Fighters Out of Low-End Fights ローエンド戦闘にハイエンド戦闘機を投入するのはナンセンス(ウィルソン空軍長官)

May 30, 2018Jen DiMascio | Aerospace Daily & Defense Report

USAF

2017年11月、F-22ラプター編隊がアフガニスタンの麻薬工場を空爆した。だが空軍長官に言わせればこの攻撃は実施すべきでなかったことになる。

「何もハイエンドのステルス戦闘機で麻薬工場一か所を攻撃しなくてもいいのでは。コスト効果比が悪い攻撃の極致だ」とヘザー・ウィルソンは大西洋協議会の場で5月29日語った。

このため空軍は軽攻撃機実証を続けているのであり、目標は時間当たり$5,000-$10,000での作戦運用で、第五世代戦闘機ではこれが$30,000超となる。

空軍は軽攻撃機実証OA-XはホローマンAFB(ニューメキシコ州)で第二段階に入っており、シエラネヴァダ/エンブラエルA-29スーパートゥカーノ及びテキストロン・エイビエーションAT-6Bウルヴァリンの二機種についてセンサー、兵装運用、長期運用の可能性について比較検証を続けている。

ウィルソン長官は空軍としては短期間での兵装調達能力を証明しつつ、軽攻撃機をネットワーク上で中継地点にできると証明したいとする。

「この軽攻撃機にもネットワークを搭載し地上部隊や前線航空統制官とつなぎ、衛星や指揮命令機能と接続し、開戦開始から使用可能にするのです」とウィルソン長官は述べた。「ネットワークに価値があります。導入可能な価格で海外展開し同盟各国と共同作戦の実施が可能かテストしたい」

長官は同盟諸国が装備品調達を目指すなかで米国の輸出規制のため中国製の無人機や情報収集機導入に向かわざるを得ない場合があり、米製機材と翼を連ねていると指摘した。「同盟各国にとって良い結果を与えてあげる必要があるのではないか。この点で軽攻撃機は最初から輸出を視野に入れており、各国と共通装備を運用する想定」と述べた。

長官は軽攻撃機実証の狙いは空軍として兵装を迅速に導入する能力があることを示すことにあるとも述べている。空軍は秋にも実験段階を終え、半年後に調達契約を交付したいとしている。■

2018年2月13日火曜日

軽攻撃機選定、米空軍は自らの調達を真剣に考えていないのでは?

Will USAF Actually Buy A Light Attack Aircraft This Time?米空軍は軽攻撃機を真剣に調達するつもりがあるのか

The U.S. Air Force does not have the best track record of putting procurement dollars toward light attack米空軍に軽攻撃機調達で成功実績はない

Feb 5, 2018Lara Seligman | AviationWeek.com


国も軽攻撃機を導入して中東の戦闘員に対処すべきとの意見

の方にとって、米空軍が上位二機種の戦闘実証を省略してそのまま調達戦略を立案することに決めたのは朗報だろう。
 だが実際に軽攻撃機部隊に予算を投じることになるのか確実ではなく、空軍はこの面で実績は芳しくない。
 空軍は昨年夏に既存機4型式をホローマンAFB(ニューメキシコ)に持ち込み各機の特性を確認した。シエラ・ネヴァダ=エンブラエルのA-29スーパートゥカーノ、テキストロンのAT-6、同じくスコーピオン、L3-エアトラクターのAT-802Tロングソードで、空軍上層部は繰り返し実証がうまく行けば、次の段階は上位機種を実際の戦闘場面で実証すると言っていた。
 ここにきて空軍は決定に必要な情報は十分得られたので戦闘実証は行わないとする。何が起こったのか。空軍としては購入前に実際の戦闘環境で対象機の地上部隊支援性能を確認したいはずだ。
 空軍のこれまでの実績を見れば今回の軽攻撃機議論が理解できる。  
「OA-X」構想は2007年にまでさかのぼる。イラク戦が激化しピークとなり空軍力への支援要請が最高潮に達した。低コスト代替策として戦闘員相手に安価で低性能武器で対抗する構想だった。
 コロンビア空軍がターボプロップ軽攻撃機を供用しているのに触発され、空軍内部で費用対効果の研究が始まった。コロンビアはエンブラエルのA-29スーパートゥカーノ以外にEMB-312トゥカーノ、ヴィエトナム時代のA-37ドラゴンフライ(グラスコックピット改装ずみ)、ダグラスAC-47ガンシップを使っていた。検討でダグラスA-1スカイレイダーに関心が集まった。朝鮮戦争で活躍した米海軍機で退役済みで、そのほかノースアメリカン・ロックウェルOV-10ブロンコも観測機でありながら軽攻撃機にも投入された経緯があり注目された。
 この研究からOA-X実現構想が生まれ、航空戦闘軍団が2008年に承認し、安価な軽攻撃観測機の必要性能を明示した。その内容は現在まで一貫している。民間で稼働中の機体にターボプロップエンジンを搭載し点検整備を簡単にし、運航を安価に行いつつ、強力な武装、精密誘導爆弾、センサー通信装備を備えるものだ。
 ここまでは良好に聞こえるが、現実はうまく行かなかった。当初のOA-Xは2008年の予算問題の犠牲となった。同様の「軽攻撃兼武装偵察機」構想は2012年に取り消しになった。
 うまく行ったのは「軽支援機」構想で軽攻撃機少数を購入しアフガニスタン空軍向けに訓練を行ったことだ。今はNATOがスーパートゥカーノでアフガニスタン空軍を養成中だ。
 歴史を振り返ると米空軍が軽攻撃機導入で海外国の参加を強調しているのが興味深い。
 ホローマン実証では五か国がオブザーバー参加した。カナダ、オーストラリア、アラブ首長国連邦および中東の他国だ。空軍は第二段階実証ではさらに多くの国を招く予定だと言う。
 そのねらいは米国自身ではなく各国に同じ機体を導入させることに見える。
 そうなると空軍長官ヘザー・ウィルソンは第二段階で「必要なデータを入手し調達に向かう」と言っていたが、大いに怪しく思えてくる。■

なるほど、ゲリラ戦でのCASには米空軍がやる気がないことがわかりますね。A-10の処遇であれだけ冷淡だったのも予算問題と言うよりも対地支援任務への理解のなさが原因なのでしょう。しかし米陸軍に固定翼機運用を禁じたのが空軍自体なので引き受けざるを得ないミッションのはずなのですが。

2018年2月8日木曜日

米空軍の軽攻撃機実証はターボプロップ二機種に絞り込み、スコーピオンは落選

US Air Force kills combat demo for light attack aircraft

米空軍は軽攻撃機で比較検証対象を絞り込んだ 

次回実証ではA-29スーパートゥカーノとAT-6ウルヴァリンが対象に絞り込まれた。スコーピオンは選外となった。

By: Valerie Insinna    

空軍は軽攻撃機の次回実証の対象を二型式に絞り込んだ。ターボプロップ機が選ばれた。予定していた実戦実証はおこなわない。

次回実証は2018年5月から7月にかけデイヴィス-モンタン空軍基地(アリゾナ)でテキストロンエイビエーションAT-6ウルヴァリンとシエラネヴァダエンブラエルA-29スーパートゥカーノを対象とする。テキストロンのスコーピオンとL-3テクノロジーズAT-802Lは落選となった。
「実戦実証の代わりに各社と整備性、データネットワーク機能、センサー機能を試すこと年、最も有望な軽攻撃機候補のAT-6とA-29を対象にする」と空軍長官ヘザー・ウィルソンが発表した。「これにより迅速な調達に必要なデータを集める」
米空軍は軽攻撃機の飛行実証を行うと2016年に発表していた。その時点で航空戦闘軍団司令官マイク・ホームズ大将は安価な既存機種で近接航空支援の要求に答えられるかを試したいと希望を述べて中東を念頭にA-10やF-16で実施中のコストと比較したいと述べていた。
軽攻撃機数百機を調達すれば利点は多い、と推進派は述べる。保有機材が多ければ運用効果が上がり、パイロット訓練も毎年増やせるというのもその一つだ。
さらに低コストで取り扱いが楽な機体を導入すれば「相互運用効果があがる」と空軍参謀総長ディヴ・ゴールドフェイン大将が述べている。つまりF-35やF-15が高価すぎて導入できない各国との共同作戦の実施が視野に入るという。
初回の飛行実証を視察にホローマン空軍基地(ニューメキシコ)にやってきた空軍上層部は戦闘実証が次の段階と言っていた。ただし、中東に機材を持ち込まなくても軽攻撃機の調達に必要なデータは得られると言っている。
「導入決定に必要なデータは機体サポートや調達導入フィージビリティから十分得られます。現在、要求内容の文書化とともに調達戦略を練っています」(米空軍広報官エミリー・グラボウスキ大尉)
ネットワーク機能と協力国との相互運用性いが次回実証のカギになりそうだ。「空軍は迅速に構築できる安価なネットワークにより機体が部隊内で相互通信できるかとともに指揮命令系統との交信も検討する」と空軍は声明を発表した。
また次回実証では関係国も招くとあり、カナダ、オーストラリア、アラブ首長国連合、パラグアイを想定する。
次の段階の実証では補給面や整備上の要求水準も比較対象となり、その他兵装、センサー関係や訓練内容も重要だという。
ただし、空軍は次回実証の費用負担方法は未定としており、大日程も決めていない。
「次段階の実証の費用面を積算中ですが、関係各社と最終価格を詰める必要があります。その段階で現時点で残る予算を活用することになります」(グラボウスキ大尉)■
筆者が推していたスコーピオンが落選となり、がっかりです。近接航空支援で想定するのはイラクやアフガニスタンの地上戦やゲリラ戦でしょう。たしかに今回絞り込んだ二機種のいずれも効果を発揮しそうですね。しかしスコーピオンは薄幸の機体になってしまうのでしょうか。

2017年7月23日日曜日

テキストロンのスコーピオンは米空軍OA-X選考に残れるのか


以前から気になっているスコーピオンですが、いよいよ運命の別れ目になりそうです。今夏の米空軍実証では同機の性能が嫌でも目に付くはずですが(同機は唯一のジェット機)、予断を許しません。一方、同機に関心を示す海外国がサウジアラビアとはじめて明らかになりましたね

 


Could Textron's Scorpion Light Attack Jet Take Over the OA-X Competition? テキストロンのスコーピオン軽ジェット攻撃機はOA-X選考に残れるか


July 20, 2017

  1. テキストロンは同社が自主開発したスコーピオン軽攻撃ジェット機を米空軍が今夏主催するOA-X実証に出場する準備を進めている。
  2. 同社からはビーチクラフトAT-6ターボプロップ軽攻撃機も加わり、OA-X実証が正式な調達事業になり、300機程度の採用を2022年めどでテキストロンとしては期待したいところだ。
  3. OA-X実証の結果でスコーピオン採用となればテキストロンにも意味が出てくるし、海外でも採用国が出てくるかもしれない。反対の場合、スコーピオンはお払い箱行きになりそうだ。
  4. 同機の生産型仕様を見たいとする向きも海外にあるが、OA-X結果を待つ向きもある。
  5. 「空軍の実証結果を待とうとする動きもあり、他方で当社と詳細を協議中の向きもあり実際の運用想定と予算検討をしている向きもあります」とテキストロンCEOスコット・ドネリーが投資家向け業績報告会で7月19日に述べている。
  6. 「今回の実証に本腰を入れているのは米空軍の評価のみならず海外顧客数か国も結果を注視していると思います」
  7. OA-X実証は8月の予定でスコーピオン量産仕様機が投入される。空軍からは評価は厳格に行う旨の連絡があったという。
  8. 「空軍の実証では各機に各種のミッションシナリオで性能、実用性を試し、8月から始め9月かまでかかるかもしれない」とドネリーは見る。
  9. 「単純な合否の判定はなく、どの機種に能力があるのか確かめるでしょう。当社のスコーピオンやAT-6はきわめて高性能でA-29と比べても違いが明瞭に出てくるでしょう」
  10. OA-Xは実験の様相もあるが上院軍事員会が12億ドルで2018年度に有望機種の導入を認めるのも追い風だ。ドネリーも今後の調達活動の展開に期待している。
  11. 「空軍上層部はこのような機体が必要だと明確に述べています。ただし実際に飛行し機能を発揮できるのを納得できないと動けないのでしょう」
  12. OA-Xには海外も関心を示しており、サウジアラビアは導入国になりうる。
  13. 「ええ、OA-Xでサウジも関心を寄せており、当社も交渉中ですが、まだ初期段階です」
  14. 「いろいろ期待もありますが、今は機体性能、運用能力に集中してスコーピオンが期待に十分応えられることを実証するのに集中したいですね。今は案件形成期ですね」
  15. テキストロンは空軍によるOA-X実証の進め方に満足しているようだ。
  16. 「空軍の実証の進め方は実務的で機体性能の確認事項を理解しており、次の段階に進む意図が明確です、どうなるかわかりませんが」とドネリーは語ってくれた。■
Dave Majumdar is the defense editor for The National Interest. You can follow him on Twitter: @Davemajumdar.
Image: Creative Commons.

2017年7月18日火曜日

米空軍OA-Xの比較検証は今夏実証、勝者は?



一番興味を惹かれる機体がスコーピオンですが、選定はA-29になるのではないでしょうか。ただしいきなり一機種に絞り込むようではないためスコーピオンにも目があると思いますが、皆さんはいかが考えますか。

 

New Air Force Light-Attack Plane May Soon See Combat Operations

米空軍のめざす新型軽攻撃機候補が即戦闘作戦に投入される可能性がある

Visit WarriorKris Osborn SCOUT WARRIOR


  1. 米空軍が進める軽攻撃機構想で実弾発射試験に投入する候補機種を実際の戦闘シナリオに送ると空軍上層部が説明している。
  2. OA-X軽攻撃機は低コスト、民生仕様での製造で戦闘投入可能な機材で航空優勢を確立した環境で各種ミッションを容易に実現する想定だ。F-15やF-22のような高性能高価格機材をISIS攻撃のような対地攻撃に投入せず貴重なミッション時間を節約できないか。これが構想の出発点だった。.
  3. 今夏に空軍は提案中四機種を実弾発射試験で比較検討する。
  4. 「実弾発射飛行テストでは広く使われている戦闘機攻撃機用兵装を試し、軽攻撃機としての性能を現行機種と比較する」と空軍広報官エミリー・グラボウスキ大尉がScout Warriorに説明している。
  5. 空軍が試すのはシエラ・ネヴァダのA-29スーパーツカーノ、ホーカー・ビーチクラフトAT-6、テキストロンのスコーピオンジェット、エアトラクターのAT-802Uだ。
  6. 評価試験では各種武装の投下、センサー機能、監視偵察機能と各種ミッションを戦闘状況を想定して行う。
  7. 各シナリオでは実際の戦闘状況を想定し近接航空支援、航空阻止、戦闘捜索救難、攻撃偵察がある。
  8. アーノルド・バンチ中将(調達担当空軍次官補付き軍事補佐官)はScout Warriorに対し一ないし二機種を戦闘投入する可能性があると紹介した。「良好な結果が得られれば戦闘実証したい。一部の機種を作戦戦闘シナリオに投入し限界を確認したい」
  9. 事業には相当の予算裏付けがあり、議会からの支援も手厚い。上院軍事委員会委員長ジョン・マケイン議員もそのひとりで空軍にはOA-X軽攻撃機300機の調達を期待するという。

A-29スーパーツカーノ
  1. 米国で訓練を受けたアフガニスタン軍パイロットがタリバンをA-29スーパーツカーノで攻撃している。A-29はターボプロップ機で20mmキャノンを胴体下に搭載し毎分650発発射できる。FN ハースタル製12.7mm機関銃各一を主翼下に搭載し、7.62mmディロン・アエロM134ミニガンは最高4基搭載すれば毎分3千発の発射が可能。
  2. また70mmロケット弾、AIM-9Lサイドワインダー、AGM-65マーヴェリックや精密誘導爆弾も搭載可能。レーザー誘導兵器も利用できる。
  3. スーパーツカーノは操縦性に優れた軽攻撃機で高温かつ厳しい艦橋でも運用可能だ。全長11.38メートルで翼幅11.14メートル、最大離陸重量は5.4トン、戦闘半径は300カイリで最高時速は367マイルだ。


テキストロン・スコーピオンジェット
  1. この自社開発機型の新型は昨年12月に飛行に成功している。それに先立ち同機は高性能精密攻撃兵器システムのロケット弾とAGM-114Fヘルファイヤーの発射に成功している。当初は地上からレーザー照準器で誘導され、その後機内のL-3WESCAM製MX-15Diセンサーで発射に成功したとテキストロンが発表している。
  2. テキストロン発表では改良型スコーピオンではエイビオニクスがガーミン製になるという。またG3000エイビオニクス一式で大型高精細度ディスプレイにタッチスクリーン式コントローラーを付け、ミッション実施能力が前席から制御可能となり、後席には航法機能を拡充させながら北重量を軽減化し性能を向上している。
  3. さらに機体には主翼に後退角4度を追加し、水平尾翼を改良し高速性能を向上し、降着装置を簡略化し、次世代ヘッヅアップディスプレイと実証済みのスロットルスティック制御を付けているとテキストロン資料からわかる。
ホーカー・ビーチクラフトAT-6軽攻撃機
  1. AT-6は多用途軽攻撃機である。ロッキード製A-10CミッションコンピュータとCMCエスターライン製のグラスコックピットにL3 Wecam製MX-H a15Diマルチセンサーを搭載し、カラーおよびIRセンサー、レーザー照準技術とレーザー距離計も搭載する。■

2017年5月16日火曜日

★★★米空軍軽攻撃機OA-X実証は来月実施へ、スコーピオン、AT-6、A-29が登場




Scorpion: Textron Airland

鳴かず飛ばずのスコーピオンですが、ここでひとつ当たりを付けたいところでしょう。しかし軽攻撃機の本命はターボプロップ機でしょうか。ここでも軽攻撃用途以外も想定しパイロット養成が米空軍の急務であるのがうかがわれます
Aerospace Daily & Defense Report

Scorpion, AT-6 and A-29 Chosen For Light Attack Demo

軽攻撃機実証の対象に選ばれた三機種はスコーピオン、AT-6、A-29
May 15, 2017 Lara Seligman | Aerospace Daily & Defense Report


  1. 米空軍が今夏実施する軽攻撃機OA-X実証の対象機にテキストロンからスコーピオン・ジェット機およびAT-6ウルヴァリン・ターボプロップ機、そしてシエラネヴァダエンブラエルのA-29スーパー・トゥカーノの三機種が選ばれたのは業界で当然との声が強い。
  2. 各機は低コスト軽攻撃機として対テロ任務用に採用となる可能性がある。
  3. このうちスーパー・トゥカーノは米空軍軍用機型式証明を有する世界唯一の軽量小型支援機で本命といわれてきた。近接航空支援(CAS)用のターボプロップ機で低脅威環境での対ゲリラ戦や偵察ミッションを想定し、アフガン空軍が供用中だ。高温かつ過酷環境での運用を想定し、操縦性がすぐれ高温を放射しない。またジェット機のほとんどより運航経費が低い実績は、予算が厳しい中で有利だ。米空軍はOA-Xのねらいのひとつが経済性だと述べている。
  4. 「A-29は戦闘機パイロット養成にぴったりの機体です」とエンブラエル・ディフェンス&セキュリティの社長兼CEOジャクソン・シュナイダーは語る。「つまりパイロット訓練を念入りに行い、迅速かつ安価にこれを実施すれば他機材は本来の任務に専念できます」
  5. テキストロン・エイビエーションのAT-6も低価格ターボプロップ機で原型はビーチクラフトのT-6テキサン練習機だ。米軍で広く使われており、カナダ、ギリシア、イラク、イスラエルにも採用されている。
  6. これに対してテキストロン・エアランドのスコーピオンはOA-Xの想定の先を行く存在だ。2013年に初飛行したが採用例がない。同社は最近になり空軍のT-X高等練習機競作からスコーピオンの参加を断念している。軽ジェット機のスコーピオンはコスト面で不利になりそうだ。
  7. ただしテキストロンは両機種とも軽攻撃機として「傑出した機体」になると自信たっぷりだ。同社報道担当者がAviaiton Weekに5月15日に語っている。「両機種に高性能ミッション装備技術を投入しており、価格・適応性ともに優れています。設計、調達、組み立ては米国内で完結し、AT-6なら現政権の目指す目標にぴったりの強く前向きの経済効果が実現します」
  8. ボーイングロッキード・マーティンはともにOA-Xは初期段階で参入を断念しており、ノースロップ・グラマンは論評を避けている。
  9. 空軍はOTA(その他取引権限)合意を選定業者と取り交わしてから参加条件の詳細を伝えるが、逆にOTA締結前は一切発表しないと空軍報道官が述べている。
  10. 実証はまず6月にホローマンAFB(ニューメキシコ)で実施の予定で中東の対テロ作戦用の低価格軽攻撃機の導入の第一歩となる。予想される調達規模は300機で訓練にも投入して空軍パイロットの不足を緩和させたいとする。
  11. ホローマン実証で空軍は軽攻撃機の導入の可否を決める。ただし、空軍はあくまでも試験段階であり、正式な調達事業ではないと強調している。ホローマン評価の次に戦闘場面での実証になるか即座に採用になるかもしれないと空軍調達次席責任者のアーノルド・バンチ中将が述べている。
  12. 空軍は今年初めに想定性能諸元を各社に配布し、未整備地から離陸して軽攻撃、武装偵察を行う想定になっている。採用機は年間900飛行時間を10年間続ける高テンポ運用を求められ、昼間夜間ともにミッション実施率90%の想定だ。
  13. また最大離陸長は6,000フィートで安全な通信装備、昼夜とわず静止・移動いずれの目標を攻撃できる能力が求められている。さらに燃料消費率は1,500ポンド/時間以下としミッションを2.5時間実施する。赤外線、目視両面で機体の生存性も評価対象だ。■j