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2019年11月10日日曜日

F-35やF-22の情報をサイバー活動でハッキングした中国、米大統領選挙の情報を入手したロシアにより西側社会は大きな損失を被っている



How China Stole Top Secret Information on the F-22 and F-35

A terrible hacking.
November 9, 2019  Topic: Security  Region: Asia  Blog Brand: The Buzz  Tags: F-22F-35J-20ChinaMilitaryHackingCyber Attack
Key point: Beijing was able to get detailed information on America's best stealth fighters.
シア中国両国がサイバー戦、サイバー情報収集活動で米国に対抗する場面が近い将来に生まれそうだ。
両国には高度の能力を備えた部隊があり、米国から情報を盗む他、インフラ攻撃が可能だ。例として高度軍事ハードウェアの極秘情報があり、ロッキード・マーティンF-22、F-35やベル-ボーイングV-22オスプレイの情報が海外敵対勢力の手に渡っている。

「サイバー脅威のせいでグローバル体制、統治体制、社会規範への一般の信頼が揺らぐ一方で、米国等の各国に出費が強いられている」とは国家情報長官ダニエル・コーツが今年5月の議会証言で述べた一節だ。「重要インフラでサイバー技術と重要インフラが統合されているため、サイバー脅威により国民の健康、安全、繁栄が危険にさらされる」

 サイバー空間ではロシアが最強の敵対勢力である。「ロシアはサイバー攻撃の分野で相当進んでおり、ことに最近は強硬な姿勢をサイバーで強めている」「その姿勢が2016年米大統領選挙で如実に示され、同年の選挙関連データを盗み取り、把握できたのはロシアの最高位高官だけだったのではないかと見ている」とコーツは述べている。
 脅威は増加の一途で、クレムリンは能力拡大に走っている。「ロシアのサイバー運用は今後も米国や同盟国を標的として情報収集しつつロシアの政策決定を支援し、ロシアの軍事政治的目標の達成を助ける世論操作を行い、将来の有事に備えサイバー環境へ対応していくだろう」(コーツ)
 一方で中国はサイバー諜報活動やサイバー戦で活動をトーンダウンしているようだ。とはいえ、この分野で中国の存在は大きいことに変わりない。「中国は今後も米国政府、同盟国、米企業を標的にサイバー諜報活動を続けると見ている」「民生分野のセキュリティ専門家は中国発のサイバー活動を相変わらず探知しているが、規模は2015年9月の米中サイバー協定の発効後に相当縮小している。中国は海外の標的を狙い撃ちしており、自国の安定を阻害する、または政権の正当性を脅かすと判断する対象を狙っている」(コーツ)
 すでに被害は生じている。中国は高性能米兵器システムの技術情報を入手しており、例としてF-22やF-35等がある。「敵勢力は米防衛産業や民間企業をハッキングし科学技術やビジネス情報を入手している」「例としてF-35共用打撃戦闘機、F-22ラプター、MV-22オスプレイがある。さらに敵勢力は政府関係者や民間企業関係者の個人情報を狙っており、こうした諜報活動により海外勢力の兵器開発が加速化しコスト低減効果が生まれている。またリバースエンジニアリングのみならず対抗措置の開発も進めているので軍事技術並びに民生分野での米国の優位性が危うくなっている」

 こうしたデータ窃盗によって中国は高性能兵器システム開発に成功しているとペンタゴンは見ており、米高度技術を入手した結果だという。中国製の高性能兵器システムに米ノウハウが利用された例として成都J-20・瀋陽J-31両ステルス戦闘機、電磁カタパルト発艦システムがあり、後者はドナルド・トランプ大統領が酷評しているが中国は次期空母に搭載しそうである。米国が対抗策を強化しない限り、問題は時とともに深刻化の一歩となる。■

2016年11月4日金曜日

★★トランプ大統領で米国防政策はこうなる



投票数で勝っても選挙人で多数を獲得できなければトランプ候補は当選できないのですが、ここに来て同候補に明らかに勢いがついており予想外の結果が生まれそうな気配です。トランプ大統領になって国防政策はどうなるのか、共和党の重鎮の考え方に耳を傾けてみましょう。このとおりならかなり期待できる国防政策が期待できそうです。選挙戦は人格攻撃など低劣になっていますが、冷静な思考が裏で動いいていることにホッとします。日本も一層の防衛支出を求められるのは避けられないでしょう。

Top Trump Military Advisers Detail GOP Candidate's Defense Plan



2016年大統領選挙で国防問題は主要争点になっていない。予算制限法の制約が予算強制削減措置とともに解除された場合を想定し、両陣営ともに国防政策では一般的な言及にとどめているのが現状で、その中でクリントン候補が政策面にやや詳しく触れている程度だ。トランプ候補は本人が軍の「惨状」と呼ぶ状況の再建に重点を置いている。だが両候補ともに各論となるとわずかしか明らかにしていない。
一般投票まで一週間となった今、共和党の軍事問題政策の重鎮二名からトランプ当選で国防がどうなるかが見えてきた。アラバマ州選出上院議員ジェフ・セッションズは上院軍事委員会に所属しトランプ政権誕生の暁には国防長官就任が濃厚と言われている。ランディ・フォーブス下院議員はヴァージニア州選出で下院海洋権力小委員会委員長だが来年1月で議員を退く。予備選に勝てなかったためだ。だがフォーブスは海軍問題での知見の豊かさで知られ、海軍長官候補のひとりた。
先週金曜日にこの両名がDefense Newsへトランプ政権のペンタゴン方針について語った。
政権発足早速とりかかる主要政策は何か
セッションズ:トランプは米国は力による平和を推し進めるべきとする。軍の戦力が低下していると見ており、再建が必要だ。予算強制削減がその原因だ。アメリカの国益を第一におくべきだ。
国益の中核部分に焦点を合わせる。同盟関係の再構築、新規友邦国もあり、外交政策はもっと現実的にして、頭の中だけで有効な政策目標は求めていかない。結果が悪くなるだけで人命が犠牲となり、財源にも悪い。これまで巨額の投入をしながら肝心の我が国や我が国が助けるべき人々に恩恵がなかった。
軍関係でトランプがまず最初に行うのはISIS撃滅だ。就任30日以内に軍に作戦案を作らせるといっている。軍事行動以外にサイバー、金融、情報宣伝、外交の各手段を駆使しISISを壊滅させる。ISISは米国にとって直接の脅威だ。わが国を攻撃すると公言している。また攻撃を実施したものを祝福している。真正面から対決して敗退させるべき敵だ。
トランプは繰り返しアメリカの道を誇らしく思うと発言している。世界に対して謝罪こそしないが、成果は祝う。移民問題は安全保障問題との認識で、米国に脅威となる人物は入国させないと発言した。
また国内エネルギー生産を拡大すると発言しており、雇用を作るだけでなく、富の海外流出を防ぐ。また危険な海外地帯への依存度を減らす。
サイバー能力をてこ入れし向上させると具体的に発言している。わが方には防御、攻撃双方の手段がある。サイバー攻撃を受けるだけの立場に甘んじ反撃しないままというのは受け入れがたい。
国防総省の主な支出項目を検討している。トランプの提案は陸軍の増強だ。現在の48万名体制を54万名に拡大する。
SessionsAlabama Senator Jeff Sessions pledges his commitment to Republican candidate for President Donald J Trump before he speaks to supporters at a rally at Ambridge Area Senior High School on October 10, 2016 in Ambridge, Pennsylvania.Photo Credit: Photo by Jeff Swensen/Getty Images
その理由は?
セッションズ; まだお話しできる段階ではないが海軍に現在の水準より引き上げる余地がある。トランプはアメリカのプレゼンスを各地で示すべく海軍力拡張を主張している。ランディ、君はコメントしたいだろう
フォーブス: 質問は「当選翌日になにをするのか」だったよね。
全体的な話だ。合衆国大統領は単に案を実施する立場ではない。大統領は議会とともに、政策立案者とともに案を前進させるのが役目だ。なぜこのことが重要かというとクリントン候補はオバマの取った道筋と同じ方向を目指すといっている。つまり若干手直しするものの路線を継承するということだ。
だがトランプ大統領は最初の数日間で国際国防戦略を国防総省の下で、国家安全保障会議の下でなく作るといっている。明らかに仕事の進め方が変わる。世界各地で活動は、この八年間は国家安全保障会議が筋書きを書いてきた。八年前と比較して今の方がよくなっている国はどこにもない。
二番目に誰が当選するにせよ、安全保障会議では戦略が生まれてこない。 アイゼンハワー大統領除き、これができた大統領はない。だが次の大統領が誰にせよ、現在の想定を超えた規模の危険や脅威に直面するはずだ。そこでペンタゴンが選択肢を示す戦略を大統領に示すことが鍵となる。
トランプ大統領とクリントン大統領の違いはトランプなら我が国の能力や装備を元の方向に戻し大統領としての選択の幅が広がることだ。クリントン候補の言葉をそのまま受ければ、基本的にオバマ政権を継承すると言っているので、こう聞きたい。2007年には戦闘司令官の求める兵力艦船数の90%を充足していたのが今年は42%しか実現していないのを継続するのだろうか。歴史始まって以来の小規模かつ高機齢の空軍でいいのか。陸軍が45万人体制に縮小するのを認めるのか。トランプ大統領は軍の能力、勢力を再建する。
346ないし350隻が必要だ。なぜなら隻数、戦力をともに増やすことで脅威発生時の次期大統領に選択肢が広がれば、単に成功するだけでなく、アメリカ国民の生命を保護することができるからだ。
セッションズ: 海兵隊は18万名まで縮小しており、トランプは20万名まで拡充する提案だ。米大統領の信頼度が歴史的な水準まで減少している今日では米国が国防支出を放棄していると見られてもおかしくない。言葉だけでこの流れを変えるのは不可能だ。
トランプ構想では艦船数を増やし、兵力や機数を高水準で維持する。言葉だけでなく世界に対して米国の力を理解させる。平和の維持につながる。
2012年大統領選のロムニー候補には海軍拡充案が詳細な内容であったと記憶している。今、350隻と言ったが、どんな艦種を想定しているのか。現在は272隻で合計308隻規模だ。では追加する42隻はどんな構成になるのか。航空母艦はもっと必要なのか。
フォーブス:まず発言を思い出してもらいたい。米国には新国防戦略を国防総省主体で必要だ。ここからご質問の内容に答える。現政権が手がけてこなかった内容だ。現政権が生んだのは12ページの国防戦略指針だけだ。バカげた話だ。.
つぎに方向性の違いがおわかりだろう。トランプ候補は巡洋艦の重要性を強調している。現政権は11隻ある巡洋艦をすべて撤去しようとしている。巡洋艦、駆逐艦を十分揃えて360度全方位の対応が可能だ。巡洋艦の近代化改装は続けるべきだ。トランプ大統領は現在の大統領と反対のことを口にしている。巡洋艦が必要だ。
空母がもっと必要なのか反対なのかを断言できる人はいないと思う。だが潜水艦はもっと必要だ。10年間で41隻まで縮小すれば中国の半分となり、受け入れられない。20201年に攻撃型潜水艦が一隻加わるが、トランプ大統領は明らかに潜水艦を強化していくだろう。
セッションズ:フォーブス議員のいうように、巡洋艦の近代化とくにミサイル防衛能力は必須だ。トランプ候補が予算強制削減措置は国防総省では停止すべきと発言していることに注意喚起したい。世界が数年前よりずっと危険な場所になっていることを認めるべきだ。我が方も増強すべきだ。
トランプ候補はイラン、北朝鮮へのミサイル防衛措置の強化もはっきり主張している。また北朝鮮が核爆弾を有し、イランも短期間で核兵器開発する能力がある。両国はミサイル開発も進めている。米国のミサイル防衛の性能と有効性を向上していくべきだ。
Forbes
U.S. Rep. Randy Forbes, R-Va., speaks to a reporter after a news conference March 1, 2013 on Capitol Hill in Washington, DC.Photo Credit: Photo by Alex Wong/Getty Images
予算強制削減措置に触れているが、予算管理法と議会内の政治力学で連邦予算の支出規模が宣言されているはず。今後どうすべきと見ているのか。350隻、ミサイル防衛、海兵隊増員、戦闘機追加を言及している。すべて実現すれば相当の支出増になる。
セッションズ: 支出増の必要は疑う余地はない。予算に関連してきた当事者としては断腸の思いだが、予算強制削減の水準のままではいられないのだ。トランプ大統領はオバマ大統領やヒラリー・クリントンと違う選択をする。国防支出を増やしながら他の費目も同様に増額させるのは賢明な策ではない。
世界規模で危機状況にあるのだ。世界各地で自体は悪化している。だからこそ強くあるべきで支出を増やす必要がある。国家安全保障にそれほど関係しない費目に支出する必要はない。全費目を増額する必要もない。新大統領は現政権の政策方向とは全く違う立場を明確に示すだろう。
矛盾しないか。一方で強力な軍事力を主張し、他方で例えばロシアに強硬態度を取らないとし同盟各国への要求を増やすという。トランプ大統領は太平洋重視の姿勢を守らないのか。
セッションズ:ロシアとの関係は現政権下で著しく悪化したのであって、ヒラリー・クリントンが国務長官だった時点の話だ。逆転できるかわからない。努力はする。わが国の国益の観点で見る。米ロ両国は今より協調できるはずだ。中国は大幅に自己主張を強めている。日本は中国機の侵入に対応して航空機を発進させている。両大国がともに世界尾の大きな懸念材料になっている。
国防支出増はこれから出現する脅威に対応するもので、次から次に脅威が生まれているようにみえる。こちらが想定したとおりにはならない。また同盟各国も応分の負担増は必要だ。各国の支出内容を指示するのは容易ではないが、重要なことは確かだ。GDP比2%台の国防支出をしているNATO加盟国は五カ国にすぎない。これに対し米国は3.6%でもっと増えるかもしれないのだ。
各国に要望するのは当然だ。真剣な議論が必要となる。ドナルド・トランプはこのやり方を熟知している。しっかりと腰を下ろして要求する。これでわが国の予算以外でも必要な措置がとれる。
フォーブス: 二つの点で対立が生まれないようにする必要がある。一つはトランプ候補には自国の国防力は他国の意図の上に構築するべきものではないとわかっていることた。そんな意向など48時間もあればすぐ変わる。なんといっても軍の能力と装備の上に構築すべきものである。
このことを主張するのはトランプ候補だけではない。統合参謀本部議長があり、前の統合参謀本部議長や上下両院の軍事委員会の過去の委員長も同じ意見だ。米国がこれ以上の軍事力削減に進めば、ロシアや中国のような国が元気づくだけでこちらに追いつけると感じる。トランプ候補の政見は各国との協調を狙う。強い国防力と国防装備、能力の拡充は一層協調的な関係につながり競合勢力は国防体制の支出追加ができなくなる。
セッションズ: もう一つの争点は核兵器だ。あまりにも急激に削減すれば他国は米国と同等に競合できると過信しかねない。このことを心配している。世界は米国が二級軍事力になってほしいとは表いない。他国に先を越されては困る。核兵器で世界の平和を維持することに意味がある。
またこのこともお伝えしたい。ドナルド・トランプは戦争をしたいわけではない。戦争は悪、破壊、死、富の浪費だと見ている。シリアで何が起こったのか、リビアの国民の苦境もみている。エジプトはイスラム同胞団の被害からまだ回復していない。イラクはこれから復興という段階だ。ヒラリー・クリントンは軍の助言を無視して無理やり撤兵を押し通した。今やイラクでは自国領土の奪回に必死になっているがそもそも軍が撤退した後の2011年に平和の元で選出された政府が機能していたときの領土奪回だ。
太平洋重視政策への質問に答えていない。大西洋から太平洋への部隊移動の流れを止めるのか。
セッションズ:太平洋重視に向かうと思う、太平洋での立場を強化することは賛成だ。ランディはこの問題をもっと深く研究していると思うがどうか。
フォーブス:現政権が構造変化に手を付けたといっているが、全く新規の政策ではない。変化は前から始まっていた。世界の貿易量の三分の二が行き交う地域を単純に見ることはできない。世界の有力海軍国や陸軍部隊がこの地域に関心を払っている。
現政権が見過ごしていることがある。アジア太平洋にもう一度焦点を合わせれば良いと見ている。中東やその他地域には力を入れないとする。トランプ候補には米国はバスケットから卵一つだけを抜き取れないとわかっている。世界全体を防衛する能力と装備が必要だ。
アジア太平洋で大規模な軍事力が必要な点では変更ないが、世界の他の地域から能力装備を抜き取って来るのは認められない。その選択肢はだめだ。
一つの問題が核戦力の近代化改修だ。トランプ大統領が誕生すれば核の三本柱の再強化を提唱し、弾道ミサイル潜水艦、大陸間弾道弾、爆撃機の充実に動くのか。ロシアへの姿勢を強硬にする可能性はあるだろうか。核近代化の狙いの一つがロシアへの姿勢だ。2人はロシアとの関係改善を主張されているが。
セッションズ: ロシアは大規模市民防空演習を行い核攻撃での生き残りを訓練している。核兵器近代化で先に行っており、実際の攻撃計画も整備している。きわめて危険で面倒な関係にほかならない。相手側にはこちらが核兵器近代化を断固として進める姿勢を見せつける必要があろう。
オバマ政権はこの点を承知しているが、まだ完了していない。十分な予算をかき集めていない。核兵器の一部にはまだ真空管を使っているような状況だ。対応は必須だ。
トランプ候補は最新鋭ミサイル防衛が必要と訴える。これはどんな意味があるのか。どの装備を更改するのか。
セッションズ; まず弾道ミサイル防衛装備がある。すでに迎撃ミサイルの誘導装置で技術が確立されている。開発は今後も続けて既存のミサイルに取り付ける必要がある。
東海岸に防衛ラインが必要なのか決める必要がある。東海岸にレーダー基地は必要だろう。これは今後も続ける。技術を進歩させて敵より先に立っている必要がある。費用は膨大ではない。予算計上は今後も妥当規模を維持して新型装備の展開の勢いを維持すべきだ。
北朝鮮にどう対応するのか。同国は兵器開発を続け韓国、日本を攻撃する能力を整備中でゆくゆくは米国も標的に入れるだろう。韓国、日本にミサイル防衛装備をもっと設置するのか。
セッションズ: 太平洋の同盟各国と一緒に作業して米国が各国のパートナーであると理解させ、日本、韓国を覆うミサイル防衛の傘には両国の負担を求めるべきだろう。トランプ候補は中国は北朝鮮の危険な状態打開でもっと活躍すべきだと繰り返し主張している。
もう少し哲学的レベルで話をすれば、政治の話題になるのが事実であることは確かだ。韓国の状況はオバマ政権誕生時より悪化している。中国との関係はもっと悪くなった。ロシアはずば抜けて悪い。パキスタンも悪化、イランも悪化している。リピアも同様。リビア難民がヨーロッパを目指している。シリアも大規模な惨状だ。イラクは国土奪回に向かっている。エジプトでは軍が介入して国政選挙になったのは幸いとはいえ脆弱でやはり以前より悪化している。オバマ政権とヒラリー・クリントンは国務長官として状況の回復にほとんど寄与していない。ISISがのさばっている。ほぼ世界の各地で挑戦を受けている状況だ。
ドナルド・トランプがこの状況にどう対応するつもりなのかを紹介してしまったのは間違いだと思う。こぼれたミルクは相当の量でわが国の信用度を回復して安定した世界を取り戻す方法を見つけなくてはならない。
国防産業が考慮すべき点はなんだろうか。ドナルド・トランプは大企業は覚悟しておけと述べている。大企業の利益を減らして成果を実現しようとしているのか。
セッションズ:間違いない。米国政府は最低価格で調達して不良欠陥もないことを期待している。国防契約企業各社が納期どおりで予算通りに製造することを監視していく必要がある。
フォーブス: 覚えておいてもらいたいのは国防契約企業各社の予測可能性だ。戦略さえ与えれば守る様になる。予測可能性が生まれれば必要な事業を展開できるはずだ。
もうひとつ学んでいるのは相手は国家だけではないことだ。非国家勢力がどんな兵器を入手しているかが気になる。米国への脅威となるからだ。■



2016年7月2日土曜日

★★警戒すべき中国軍の五大装備



中国の兵器体系がどの位正確に機能を発揮するかよりもその配備を進める背景に運用をためらわない意思があること、旧式装備でも数にものを言わせる飽和攻撃をする姿勢、さらに潤沢な資金で着実に新型装備が増えていることに注意が必要です。

Visit Warrior

5 Chinese Weapons the US Should Fear

KYLE MIZOKAMI
Yesterday at 12:44 AM


  1. この二十年で中国は世界規模の軍事大国として台頭してきた。三十年前の人民解放軍は時代遅れの装備で人力を豊富に投入する「人民闘争」を主眼としていた。その間に海軍は沿岸部隊から大洋部隊に変身し、空軍は第五世代戦闘機を開発するに至った。陸軍も大幅に近代化している
  2. 多数の新型兵器が中国で開発中で、一部装備は要注意だ。
  3. 周辺国や米国は中国の武力増強に懸念を覚えている。中国は軍事力投射で東シナ海、南シナ海の紛糾を解決しようとする姿勢が顕著だ。装備整備で自信をつけた中国が自国主張を通すため躊躇せず兵力を動員すれば事態は域内危機にエスカレートし、あるいは深刻に拡大し米政府の介入を招きかねない。
  4. 中国も対米戦の可能性を意識して、米軍を照準に入れた兵器体系開発に注力しているが、戦闘は中国本土近辺にとどめたいとの意向がある。この発想が「接近阻止領域拒否(A2/AD)の整備につながり、中国が想定する一番本国寄りの防衛線いわゆる第一列島線の内側に米軍を侵入させまいとする。千島列島から日本、台湾、フィリピン、ボルネオを結ぶ線だ。
  5. 米中戦争の可能性は少なく、双方が戦闘を望んでいないのも確かだが、国益が衝突すれば戦闘になる可能性もある。この事を念頭に米国が最も警戒すべき中国の軍事装備トップ5は以下の通りだ。

DF-21D 対艦弾道ミサイル

  1. アジア太平洋に展開する米軍部隊にとって一番危険なのは東風-21D対艦弾道ミサイル(ASBM)である。DF-21Dは米空母攻撃用に設計され極超音速で米海軍の防衛網を突破する想定だ。
  2. DF-21Dは地上発射式で推定有効射程は1,500 km以上。本体から切り離される再突入体はマッハ10から12で飛翔する。その速度と運動エネルギー、さらに再突入体の弾頭部分が加わり、米海軍最大の空母でも相当の被害は免れない。確実ではないがDF-21Dの直撃を受ければ空母は戦闘能力を喪失するか沈没するといわれる。

  1. 車両式発射台に乗るDF-21Dは道路移動するので発射前の位置探知は極度に困難だ。再突入体の極超音速飛翔速度は迎撃が困難だが不可能ではない。
  2. DF-21Dのアキレスけんはいわゆる「キラーチェーン」のセンサー、中継局、指揮命令所で空母を探知、識別の上追跡するため必要な一連の装備だ。DF-21Dの打ち上げを成功させるためには多くのリンクが必要で、そのうち一つを切れば全体が機能しなくなる。
  3. 空母を沈めようとすれば中国は偵察機材多数を投入する必要があり、海上偵察は中国の得意分野ではない。陸上配備の水平線越えレーダーでは精度が落ち、海上監視機、UAV、潜水艦は空母航空隊の格好の餌食だ。唯一衛星群が空母追跡データを得られるが、妨害やその他機能を停止させる手段はある。
  4. DF-21Dの試射は013年早々に行われたようでゴビ砂漠に描いた空母形状の輪郭内にクレーター二個が見つかっている
  5. DF-21Dは実戦化されているようだが、キルチェーンの完成はまだで、システム全体が機能し始めるにはまだ数年かかりそうだ。それでも5,600名の命、艦載機70機を一度に抹消し、米兵力投射の主柱を奪いかねない最悪の事態をあらかじめ熟考しておく必要がある。

成都J-20戦闘機
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  1. 中国初の第五世代戦闘機J-20は大型双発機でまだ開発段階だ。その任務は不明だが設計上の特徴から各種任務が可能なようだ。長距離高速移動し低視認性の特徴を生かすのだろう。試作用3機が生産されており、2020年ごろの就役と見られる。
  2. デルタ型主翼に前方カナードが加わり双尾翼のJ-20は中国でもっとも野心的な設計だ。AESAフェイズドアレイレーダーや電子光学式目標捕捉システムを搭載すると思われる。機内大型兵装庫は二つあり、空対空、地上攻撃用、対艦の各ミサイルを格納できる。.
  3. J-20で想定する任務の中では航空優勢戦闘機としての役目が一番だ。長距離飛行性能が意味するのは中国沿岸部からさらに遠方に展開して米戦闘爆撃機やB-1、B-2といった爆撃機の迎撃だ。また長距離性能を生かして防空識別圏を設定した地域のパトロールも可能だ。

  1. また米支援機材を狙うことが可能だ。E-3セントリーやE-2CホークアイAWACSやKC-135、KC-130給油機は米軍の長距離作戦実施に不可欠な機材だ。長距離空対空ミサイルを搭載したJ-20は支援機を撃墜し、米軍同盟国軍の作戦能力を低下させるだろう。
  2. もう一つの可能性が米艦船や基地の攻撃だ。レーダー探知を逃れるJ-20に対地攻撃ミサイルを発射させ通常型弾頭付き弾道ミサイル攻撃に先立ち米側の地対空ミサイル陣地を破壊する他、レーダー施設、指揮命令所を攻撃する。この攻撃で米側防衛体制を制圧し続く弾道ミサイル攻撃の道を開くのだ。
  3. 時が来ればJ-20がどの方向に投入されるかわかるはずだ。J-20の使用用途が不明のままというのは戦闘機で20年のリードがあるとはいえこちら側世界では不安を招くため好ましからぬ事態だ。

衛星攻撃手段

  1. 長年にわたり米軍に大きな優位性を与えているのが宇宙配備軍用衛星群だ。アジア太平洋では米大陸部から距離が相当あることからその価値は大きい。
  2. 中国には少なくとも一種類の実用衛星攻撃兵器SC-19がある。DF-21の派生型でKT-2(運動破壊手段)を弾頭に装着して発射し、KT-2は赤外線誘導される。KT-2弾薬を積まず敵衛星に衝突させて破壊する。
  3. 2007年に軌道上の中国旧式衛星に衝突破壊したのがKT-2で、2013年には中国が「観測ロケット」と称し高高度実験装置を搭載したロケットを打ち上げているが、これが実はSC-19/KT-2運用テストだったと米情報機関筋は見ており、SC-19は中地球軌道まで到達可能と見られる。この高度の軌道に米GPS航法衛星群があり危険が生まれる。

  1. 中国のASAT兵器体系は米衛星のうち情報集衛星、通信衛星、航法衛星を狙う。こうした衛星が使用できなくなると中国を上空から監視偵察するのが困難となり、各種航法の精度が落ち、通信効率が低下するほか、GPS誘導兵器が作動しなくなる。
  2. 中国はSC-19を自走車両に搭載し、移動発射させるようだ。中国の舗装道路延長は1.86百万キロで、移動式ASATの捕捉撃破は極めて難しいだろう。
  3. ASATを紛争に投入すれば国際非難が中国へ向くのは避けられないが、米軍が衛星に依存しているため第一撃を宇宙に向ける誘惑は抑えられないはずだ。

071型揚陸艦
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  1. 兵力投射の重要性は中国で増大している。とくに東シナ海、南シナ海で部隊揚陸能力が整備され、尖閣諸島、パラセル、スプラトリーで中国指導部が実施の意を強くしている。
  2. 071型揚陸強襲艦は三隻、長白山、崑崙山、井岡山が就航中だ。各艦は西側が中国版の「ゲイター部隊」として海兵隊を輸送揚陸させ敵前上陸が狙いだとする。さらに三隻の建造が見込まれ、米ワスプ級に匹敵する全通型飛行甲板を有する揚陸艦6隻が続く。
  3. 建造元は上海の滬東中華造船で071型は排水量2万トン、全長700フィートの艦容を誇る。海兵一個大隊400名から800名と装甲車両18台を搭載する。
  4. 飛行甲板でW-9兵員輸送ヘリを二機同時運用し、格納庫にさらに4機を収納できる。ドック型格納庫に揚陸艇とともにLCACと同等の兵員輸送ホーバークラフト4隻も搭載できる。


  1. 071型揚陸輸送艦は南海艦隊に配備され台湾侵攻も狙うが中国海軍は即座に用途を転用することが得意だ。各艦は指揮統制用、災害救難人道援助用にも使える。四隻のうち長白山は現在インド洋に展開中でマレーシア航空370便の機体回収任務についている。
  2. 長白山一隻なら脅威にならないが、遠征展開能力が中国に整備されてきたことから島しょを巡る対立が深刻事態に発展する可能性が出てきた。

サイバー攻撃作戦

  1. 人民解放軍は「電子優位性」を開戦直後に確立すれば勝利につながると考えている。今回取り上げた五つの兵器体系のうち、サイバー作戦が最も謎に包まれた攻撃能力だ。
  2. サイバー攻撃の手段は多様で、心理作戦から敵装備・インフラの攻撃まである。中国の電子部隊は優位性を確保すべく通信を支配したり、有害ソフトウェアを送り、あるいはオンラインで偽情報を発信してくるだろう。サイバー攻撃は典型的な軍事作戦と一緒に実施すると効果が最大化でき戦線の追加につながる。サイバー作戦で敵のコンピュータネットワークを使用不能にしたり、通信妨害が先行すれば次に航空機やミサイル攻撃が続くと考えてよい。
  3. 通常の軍事作戦では有効範囲が制約条件となるがサイバー攻撃では地理と関係なく敵攻撃が軍民間問わず可能だ。また今回取り上げた兵器体系で唯一米本土の攻撃が可能なのがサイバー攻撃だ。
  4. 中国でサイバー部隊の中心は参謀本部第三部のようで米国家安全保障局に匹敵する。第三部の人員は130千名規模と見られ、各軍、各作戦局、研究機関に分散配置されている。また米国内の作戦を担当する31398部隊の存在が判明している。
  5. Project 2049によれば参謀本部第四部門が通常の電子戦情報収集にあたる一方でサイバー攻撃にも関与しているようだ人民解放軍の「統合電子戦ネットワーク」の概念では敵コンピュータの妨害と戦場電子装備のジャミングを想定しているのが明らかだ中国ではサイバーを通常の電子戦と一体で考えるが米国にはこの発想はない
  6. これだけの人員を投入しながら、中国のサイバー能力はまだ低いようだ。例えばスタックスネットのようなサイバー攻撃手の運用能力があるとの証拠はない。中国指導部もこれを意識し「先制攻撃戦略」で洗練されないものの効果的に敵を開戦直後に攻撃する発想と見る専門家もいる。
  7. インターネットやネットワーク技術で米国は最先端だが、開発の速度が速く状況は変化していく。サイバーと電子戦は米軍と米国内に入り込み、将来の戦闘では敵はサイバーを活用するだろう。

結語

  1. 米中開戦の可能性は当時の米ソ開戦よりも低いといってよい。冷戦時よりも超大国間の戦争は発生しないはずで特に米中両国は相互経済依存を高めている。その中国が今回取り上げた兵器体系を開発しているのは偶然ではない。中国の観点では米国戦に今から備えておくのは論理的な選択肢だ。
  2. 今回取り合げた兵器体系五つは戦争の可能性を引き上げる。一方で中国に周辺各国および米国との協調を進めさせるる自信の裏付けとなる。各国は中国が主張を取り下げるよう期待するが、反対に新たな火種が生まれるかもしれない。今やボールは中国側に握られているのだ。■


カイル・ミゾカミはサンフランシスコを本拠に活動する記者でDiplomat,、Foreign Policy War is Boring The Daily Beastに寄稿している。2009年に自身でJapan Security Watchブログを立ち上げた今回はNational Interestで初寄稿となった


2016年5月2日月曜日

米サイバー軍はISISの指揮命令機能、財務機能をどう攻撃しているのか




ISIS向けサイバー作戦は相当の効果を出してきたようです。当然相手方も防衛対抗措置を取りますので、当面はいたちごっこでしょうか。でも資金源の遮断が効果を挙げれば活動も低調になっていくはずです。イスラムの教義でまとまった組織というよりも金銭でつながった利益集団と見るほうが正しいのかもしれません。

The Cyber Threat: Cybercom’s War on ISIS

May 2, 2016 5:00 am

cyber
アシュトン・カーター国防長官と統合参謀本部議長ジョセフ・F・ダンフォードJr海兵隊大将 / AP
     
ペンタゴンが秘密のうちに実施中のイスラム国へのサイバー戦で追加情報が浮上した。
  1. アシュ・カーター国防長官とジョセフ・ダンフォード統合参謀本部議長が米サイバー軍の作戦内容について質問を上院公聴会で28日受けた。
  2. 「目的はISILの指揮統制機能を妨害し、資金移動を妨害し、地元住民を恐怖で統治するのを妨害し、外部から戦闘員を募集するのを邪魔すること」とカーター長官は述べ「このすべてでサイバーを利用して実施中です」
  3. ダンフォード議長からは「仮想隔離状態を作り出そうとしています」「地上作戦を補完し、特にISILが外部各地で展開を狙う作戦を対象にしています」と発言。
  4. カーター長官は米国と有志連合軍の空爆作戦の裏でシリアとイラク国内でサイバー攻撃を行っていると述べた。「感触ですが直接の効果が生まれています。空爆と並行してインターネットを遮断しています」「近代戦では敵打破のために利用できる手段すべてを投入する必要があります」
  5. 二人とも作戦の詳細には触れなかったが、サイバー攻撃は1月に開始され秘密のベールに覆われたままだ。
  6. バグダッドでは空軍少将ピーター・ガーステン(対ISIS軍事作戦および情報担当副司令官)が火曜日にサイバー作戦が「戦場に効果を」上げつつあると述べたが「詳細は最高度の機密情報だ」とした。「高度に調整された作戦であるとだけお伝えできます。デーシュへ照準を合わせており、損害を与える能力もこちらにはあります」
  7. 少将は調整業務の始まりは「特定の標的に対してどんな効果をあげたいのか」を考えて計画立案することだと説明。「各情報機関と作戦部隊など関係者はすべて調整し、図上で作戦を立てます。各方面から内容説明があり、その後で実施に移ります」
  8. ISISに対してサイバー軍は27個編成した戦闘ミッションチームの一つを選択し、タンパにある中央軍と組ませる。中央軍はイスラム国への軍事作戦を統括している。
  9. チーム構成は軍人、民間人、契約企業で海外のコンピュータシステムを標的にサイバー諜報活動を行う。アラビア語が達者なものが多数あり、ISISの作戦・通信の理解には不可欠だ。
  10. サイバー軍の目標はチーム数を133まで増やし、合計6,187名規模にすることで、各チームは45名から60名が配置される。
  11. サイバー攻撃立案の第一段階は作戦の必要条件を設定することで通常は軍がISISの「重心」と呼ぶ指導層、資金、兵器、そして指揮統制通信が行われるサイバー空間が標的となる。
  12. イスラム国は携帯装置で通信をしており、有線通信も多用されている。インターネットの利用は減っているが、アルカイダはまだウェブサイトを好んで使っている。
  13. ISISは人の手を介して重要内容を伝えることもあり、部隊指揮官やそうした文書配達係はサイバー攻撃でも高価値の標的になる。
  14. 最近入手したISIS内部文書によればフェイスブックやツィッターも多用され戦闘員の移動からシリア入りまでを助けていると判明した。
  15. サイバー攻撃の標的にはほかに公式、非公式のISIS情報があり、公式発表からビデオ映像まで同集団のテロ活動の支援に使われている。
  16. ISIS戦闘員の使う主なアプリににテレグラムがあり、データを暗号化している。サイバー作戦ではこのアプリを狙い暗号解読を目指している。テレグラム利用者のフォーラムにはプロパガンダや指示内容が含まれており、例としてオンラインで正体を隠す方法を説明するものがある。
  17. IS関係者は海外のハッカー集団に金銭で各国政府ウェブサイトから極秘情報を盗ませていることが判明しており、将来のテロ作戦の参考にしている可能性がある。今後は米サイバー部隊がここに着目するはずだ。
  18. 2014年だけでISISが資金10億ドルを調達している。原油販売、恐喝、身代金、現金押収、ISIS支配地域での徴税や美術品密売でこれだけの金額を作った。
  19. そこで資金調達を妨害すべく、サイバー攻撃がISISの財務システムに行われている可能性があり、機能停止や妨害、またはなりすましで偽情報を流しているのだろう。
  20. 軍事問題の専門家によればISIS独特の指揮命令形態はアナリストが「中央統制、分権を組み合わせた実施」と呼ぶ方式で自称カリフのアブ・バカ・アルバグダディを頂点に指導層には中央方式で命令を伝え、実際の実施詳細は現場指揮官に任せる方式だという。
  21. そこでサイバー攻撃の第一段階では広範囲の情報収集で対象活動の指揮統制の仕組みを解明する。
  22. サイバー軍司令官マイク・ロジャーズ提督は4月5日、米国からのサイバー攻撃で「ISILは攻撃の立案、実施でイラクあるいはシリア内の拠点から米国を狙うのが一層困難になっており、わが軍将兵による物理的な攻撃は安全に実施できるようになり、最終的にISILを撃滅する」と証言している。
  23. ISIS自体のサイバー戦実施能力についてロジャーズ大将は懸念はあるが相手方のサイバー攻撃実施能力は限定的であり、むしろサイバー空間を利用した宣伝プロパガンダや、戦闘員勧誘、過激思想の普及、資金集めが中心になっていると述べた。
  24. サイバー作戦自体が秘密の扉の向こうにあるため、少なくとも2010年代末まで作戦が効果を上げているかは明らかにされないだろう。■


2015年2月4日水曜日

米空軍の重点技術開発分野は量子、サイバー、無人機 



技術優位性の回復、維持で差をつけたい第三の相殺戦略の中、国防予算でも技術開発は重視されているようです。公開した情報ではこれだけしかわかりませんが、Black 予算でもっととんでもない技術開発が進んでいるかもしれませんね。今後に期待しましょう。

US Air Force Launches Trio of Tech Studies

By Aaron Mehta10:59 a.m. EST January 31, 2015
WASHINGTON —米空軍の目指すべき将来技術はなにか。
空軍関係者はこの質問を何度も考えてきた。日常的に大々的な作戦を展開する一方で将来戦力を構築するというバランス感覚を空軍は求められている。
【SABとは】 米空軍の科学審議会 Scientific Advisory Board (SAB)がこの問題で諮問する立場だ。審議会は政府独立組織で50名の科学技術者が委員として在籍し、空軍の課題を掘り下げて毎年検討している。
SAB委員長はワーナー・ダームWerner Dahm(前空軍主任科学者)で、審議会の役割はどの技術が投資に値する現実的なものかを空軍に対して助言しつつ、長期的におお化けしそうな技術も指摘している。
「正しい技術を推薦するのは本来業務ではない。工程表がしっかりした事実に基づいているがを確かめるのが仕事だ」
1月27日に委員が集合し、今年は三分野を特化対象にした。量子、無人機、サイバーの各分野。検討結果は7月に空軍トップに説明され、年末までに公表される。
【量子】 最初の話題は空軍における量子システムの活用方法だが、ダーム委員長からは量子コンピュータだけを考察することのないよう釘を差している。「この分野の研究はもっと広範」とし、量子力学の応用システムがあれば空軍ははるかに迅速に暗号解読ができ、高性能電子光学・赤外線センサーや通信の暗号化、精密時計(フェムト秒単位で計測可能)が実現するという。
【サイバー】 2番目の注目分野はサイバー上の脆弱性で航空機や宇宙システム上の組み込みシステムに焦点を絞る。飛行制御用の機体内部のコンピューターやレーダーでインターネットと接続していがサイバー攻撃に脆弱なものが対象だ。
脆弱性問題は認識されており、研究では問題に決定打解決策の確立をめざすが、このために問題ごとに技術開発するのは避け、費用対効果に優れた方法を模索するという。
【無人機】 三番目の研究分野は無人機で激戦環境での生き残り可能性をどれだけあげられるかが課題だ。これも新しい課題ではない。.
研究ではどの選択肢で現実的に無人機の生存性を引き上げられるかを掘り下げて検討し、ステルス性能の向上から無人機間での協同運用、あるいは無人機の単価を引き下げて生存性自体を無視できるようにする可能性も取り上げる。
「これら次世代、次次世代の技術が既知の内容であれば、当方の研究は大きな意味がなくなる。思考プロセスを明らかにすることに審議会の存在意義があるのであり、何をすべきか、何をしたらよいかを示す」
【空軍の期待】 基調講演をしたラリー・スペンサー大将Gen. Larry Spencer(空軍副総司令官)は率直な発言をしている。
「みなさんの助けが必要です。突破口を見つけてください。なぜなら空軍は現状の方法にどっぷりつかっており、『これはできない』だの『これはうまくいかない』でがんじがらめになっているからです」
スペンサー大将はSABに対して実施可能な仮説の提示を求めている。「机上の世界から現実に利用可能な段階に移るべく皆さんにご助力願いたい」
新規発想や技術内容の出処はSABだけではない。2016年度予算案では空軍を未来に導く技術内容を重視しているとペンタゴン関係者のコメントが出ている。
1月28日には新アメリカ安全保障センターが主催したイベントでボブ・ワーク副長官がまもなく提出の予算案に言及し、「有望な新技術、新性能として無人潜水機、海中機雷、高速打撃兵器、高性能新型ジェットエンジン、レイルガン、高エネルギーレーザー」への予算確保にとりくんでいると発言があったばかりだ。
同日に調達を取り仕切るフランク・ケンドール副長官が下院聴聞会で次世代戦闘機として空軍向け海軍向けの開発予算を2016年度予算に盛り込むと発言している。
【強制予算削減で研究開発はどんな影響を受けているか】 ケンドールと平行して、上院は予算強制削減の影響について四軍司令官を質問攻めにしていた。空軍参謀総長マーク・ウェルシュ大将からは強制削減で技術開発能力が犠牲になっていると発言があった。
「強制削減で空軍の科学技術関連予算は2.23億ドルが16年度に削減され、その後はおよそ10.8億ドル減額の見込み」とウェルシュは意見書を提出している。「このためおよそ100分野で契約中止や取り消しが発生する。契約内容には制空技術、指向性エネルギー、製造技術、人的システム各種、弾薬、推進装置、機体構造研究、サイバー、センサーおよび宇宙技術が含まれる。」
このことはSAB審議委員も意識しており、財政が厳しい中で中国の台頭に対応して技術開発のニーズを両立させるべきかとのスペンサー大将の問題提起に多数の質問を投げかけている。
「相手の動きに反応する立場になってはいけないと思う。反応する人材がほしい。」とスペンサー大将は発言。「予算縮小の中で難易度が高いのは承知しているが、脅威は減少していないのだ」
「現時点の要求と将来の要求の間でバランスを取るのがジレンマであり、同時に実現を迫られるのもジレンマだ」とスペンサー大将は付け加えた。
SABは空軍の研究機能の一部であるが、予算を意識して活動を展開している。
「相対コストが重要度を上げてきている。実現の可能性がない非現実的な解決方法では負担は不可能だ。当方は予算関連組織ではないが、空軍が同じ予算で最大効果を得られるように考えているつもりだ」■

2010年9月5日日曜日

サイバー軍団の役割とは

Cyber Command Defines Its Mission

aviationweek.com Sep 3, 2010                                               
  1. 米 サイバー軍団がフォート・ミード’メリーランド州)で戦略軍の傘下に発足したのが今年の5月で、司令官はアレクサンダー空軍大将である。同大将は国家安全 保障局の局長と中央安全保障機構の長も兼任。議会は同大将に「国防総省関連の情報ネットワークの運用及び防衛の指揮、体系的かつ状況に応じた計画立案、サ イバー活動の統合調整」の権限を与え、「全方位の軍事サイバー作戦により米国及び同盟国がサイバー空間で活動に制約が生じないように」することを求めてい る。
  2. だ が、実際に同軍団函の役割をどう果たすのか。その答えの一部はIT関係者の取りまとめを各軍、戦闘部隊、情報収集機関、民間部門、公益事業、州法執行機関 からどうやって実施するかにある。外国政府や非国家組織も国防総省ネットワークに対するサイバー諜報活動や攻撃に関与している疑いがある。このすべてを勘 案してサイバー軍団は15,000におよぶペンタゴンのネットワーク、4,000ヶ所の軍事拠点、7百万台を超える国防総省管理下のコンピューター・通信 装置をつなぎ、強化する任務にあたる。これだけの対象があるので、問題の範囲は圧倒的な規模だ。
  3. サイバー戦そのものの定義がまだない中で同軍団が発足し、課題に取り組無のは歴史の中で硬直してしまった米国の戦闘司令部の制約を外す意味もある。
  4. 国 防情報局、国家安全保障局、国家偵察局での経験をもつ安全保障コンサルタントのマイケル・タンジはサイバー軍団は「マトリックス構造の中で活動」して軍民 を問わず最適人材を配置し、軍の所属と関係なく問題を解決すべきだと言う。「ピラミッド型の組織図や、さらに小型のピラミッドがその下にあるような組織で はうまく動きません。サイバー軍団は防衛と攻撃を任務とすべきで、その最善な方法は全員を一緒に動かし、敵の考え方を理解し、敵の用いる手段をりかいさせ ることです」(タンジ)
  5. 同 軍団の運用では新しい方向性が必要だという見方は他の専門家にも共有されている。「空軍や海軍の創設時とは事情がちがう。サイバー分野では10年から15 年の遅れが生じており早く追いつかないといけない」(IT警備保障でペンタゴン、民間双方に経験をもつリチャード・ステイエノン) 彼によればサイバー軍 団の優先事項は基本からはじめるべきだという。「設立一日目にアレクサンダー大将は机を拳でどんどん叩くべきだったのです。つまり、各ネットワークの接続 状況と防護の実態を把握すべきだったということです。もちろん、これは規模が大きく、費用もかかるのですが、どうしても実施すべき仕事です。」
  6. ワ シントンで7月に軍事通信電子産業協会の支援で業界、サイバー関連の各軍司令官及びサイバー軍団トップが集まり、問題点をどう解決していくべきかを討議し た。エネルギー省の情報収集・防諜部長ブルース・ヘルドは「静的なサイバー防衛では敵の機敏なサイバー攻撃に対応が追いつかない。今後うまく攻撃に対処し ても、もっと攻撃が続くだけだ。」と警告した。
  7. デイビス陸軍准将(サイバー軍団業務部長)は各軍の攻撃能力を結合し、その他の政府組織及び民間部門とも連携し、政府が「多様な戦闘形態の全てで通用する枠組み」を作る必要があると指摘した。
  8. その他にエド・ミューラー(大統領府国家安全保障通信諮問委員会座長)はサイバー攻撃阻止では「この数年間で大きく進展して戦術的にはより有効になった」と発言。今後も進化を続けるには「官民連携が絶対必要だ」という。
  9. ハッ カーや不満を抱く政府職員からの脅威が広がる現状や各軍内部からの情報漏洩の可能性を考えると、これだけ多様なサイバー攻撃への対応がひとつの組織にサイ バー軍団としてまとまるのか疑問に思える。そこで同軍団の政策立案責任者であるヴォートリノー空軍少将が各軍のサイバー司令官を取りまとめて、「単一の任 務しかないものはどこにもいない」として各軍のサイバー作戦は同時にサイバー軍団の指揮命令系統下にも置かれるべきだと指摘した。
  10. ブ ルンディッジ空軍准将はこれに加えて各軍の活動を迅速に「調和化」するべきと発言。同准将はイラク配属時に各軍が「自軍組織の中で報告していたため、各軍 が情報の争奪戦を行っていた。そこでの教訓はもっと多くの結果を得るためには各軍が一緒に汗をかき、調和することだ」と発言。
  11. ア レクサンダー大将はサイバー軍団の直面する課題を以下のように説明している。米国が他国と戦闘状態に入る例を考えると、米国ネットワークへのサイバー攻撃 が行われても、敵国が第三国を経由して攻撃への関与を隠したらとどうなるか。あるいは米国が国家レベルではない敵の攻撃を受けたら。「それぞれ対処する交 戦規則が異なる。現時点では交戦規則が正しく出来ていないのが現状だ。」
  12. サ イバー軍団がまだ対応手段を逐一整備していない間に脅威はすでに存在しており、「ゆっくりやっている暇はない。敵はすでにわがほうのネットワークを理解し ており、ネットワーク運営者よりも多くを知っている可能性もあるので、敵の目の前で早くドアを閉める必要があり、今すぐすべきだ」(スティーノン)
  13. タ ンジにはサイバー軍団の成否は軍団トップが情報時代の組織運営にふさわしい考え方で、とりまとめ、行動を起こせるかに掛かっていると写る。「もし軍の他の 部門と同じモデルを考えていたら、失敗するのは明らかです。組織内部、外部との紛糾に終始するでしょう。軍事組織で成功するには他の部門を出し抜くしかあ りません。それを克服するには各組織の持つ能力をかけあわせる解決方法を生む思考が必要です。」■

コ メント いつもの当ブログ内容で出てくるテクノロジーや装備が今回は全く登場していません。今回は政策レベルの話でもあり、組織の枠をどう克服するのかと いうマネジメント問題でもあるのですが、ネットワークに依存する我々の生活をどう守るかという切実な問題でもあるので、ここはぜひ柔軟な対応をお願いした いものです。軍事、国家レベルに加え、電気通信水道ガス交通と生活全般に影響する話なので。その点で防衛省にやっとサイバー部門ができた日本ですが、アメ リカ以上に深刻な組織の壁(むしろ組織構成員の心の壁なのかも)を超越して「国民生活」を保護する方法を模索しているのでしょうか。時間がなくなってきま す。エネルギー省に防諜部門があるのは知りませんでした。