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2025年5月19日月曜日

米陸軍の次期ティルトローター強襲機に制式名称MV-75がついた(The War Zone)—長年室しまれてきたブラックバードに交代します

 

The U.S. Army's Future Long-Range Assault Aircraft (FLRAA) tiltrotors will be designated MV-75s, the service announced today at the Army Aviation Association of America's annual Mission Solutions Summit.

ベル


陸軍は現在、ベースラインのMV-75の納入を早めようとしており、特殊作戦バージョンも視野に入ってきた


陸軍のFLRAA(Future Long-Range Assault Aircraft)ティルトローターは、MV-75と命名されると、陸軍は本日、米国陸軍航空協会の年次ミッション・ソリューション・サミットで発表した。

 2022年、陸軍はFLRAA競合の勝者として、ベルのV-280Valorティルトローターをベースにした設計を選んだ。陸軍は、精鋭部隊である第160特殊作戦航空連隊(SOAR)に配属されている特殊作戦用MH-60Mの一部を含め、相当数のH-60ブラックホーク・ヘリコプターを新型のMV-75に置き換える予定である。設計は年内に最終決定される予定で、ベースライン型から特殊作戦型への転換を容易にするための機能が盛り込まれている。

 Designation-Systems.netのウェブサイトによると、2024年11月にFLRAA用の試作機YMV-75Aの名称が承認されたと報告されている。 本誌は3月から陸軍とこの指定の確認を進めていた。

 指定の、"M "は "multi-mission "を表し、"V "は垂直離着陸可能な設計であることを意味する。 ブラックホークやチヌークといったこれまでの陸軍輸送ヘリコプターは、ユーティリティを意味する "U "やカーゴを意味する "C "で始まる呼称だったことを考えると、ベースラインのFLRAA型に "M "が使われているのは興味深い。 この「マルチミッション」という呼称は、特殊作戦に特化した機能が組み込まれていることを反映しているのかもしれない。


米陸軍UH-60ブラックホークヘリコプター。 米陸軍

 陸軍はまた、ベースラインとなるFLRAAの設計が、負傷者搬送や「ダストオフ」のような他任務にも容易に適応できることを期待しているのかもしれない。このような任務に使用される陸軍のヘリコプターには、捜索救難を示す「H」が接頭辞に付いていることが多い。

 機種区分の "V "呼称と既存機体から大き離れた "75 "という数字が特別な意味を持つかどうかは不明である。Designation-Systems.netによると、XV-25Aは、実験的な傾斜誘導ファンARESドローンのために昨年承認されたと報告されており、このカテゴリで最も新しい連続した指定である。本誌は陸軍に詳細情報を求めている。

 FLRAAのMV-75制式名称は、陸軍がこれらのティルトローターの実戦配備を加速しようとしているときに行われた。陸軍は、ブラックホークよりもティルトローターがもたらす速度と航続距離の向上を、太平洋地域における将来のハイエンドな紛争で特に重要であると考えている。

 陸軍は、MV-75を2030年までに就役させる目標を掲げているが、現時点では2028年の就役を目指しているという。陸軍はまた、軍全体の大規模な兵力再編の一環として、FLRAAプログラムが切り捨てられるか、あるいは中止される可能性についての報道にも反発している。

 MV-75を最初に導入するのは、陸軍きっての空挺部隊である第101空挺師団となる。 同師団はすでに、将来のティルトローターを受領するための基礎固めに着手している。

 特殊作戦任務用のバージョンも、第160次SOARのために開発される予定である。

 ディフェンス・ニュースによると、陸軍のジェームズ・ミンガス副参謀総長は、今日のミッション・ソリューション・サミットでのスピーチで、「我々は、これを実現するために、ずっと先を待っているわけではない」と述べた。 「陸軍変革イニシアティブの下で、我々はこの航空機を予定より何年も早くオンライン化することを推進している」。

 陸軍の意向に沿えば、少なくとも現在伝えられているように、最初の運用型MV-75は10年末までに納入が開始される可能性がある。

更新:2025年5月15日

米陸軍は本誌の取材に対し、MV-75の「75」という数字は、同軍の正式な創設日である1775年6月14日にちなんだものであることを明らかにした。この日、当時の大陸議会は大陸軍を正式に発足させた。

 「FLRAAのミッション・デザイン・シリーズ(MDS)の名称はMV-75です。Mはマルチミッション、Vは垂直離着陸を意味する」。陸軍副参謀長広報アドバイザーのダニエル・マシューズは、本誌取材に対し、「75という数字は、アメリカ陸軍の誕生年である1775年へのオマージュです。「これは垂直離陸ティルトローター中型揚力戦術攻撃・医療避難機であり、陸軍に長距離・高速の選択肢を提供し、紛争環境でも生き残ることができる機体になります」。■


MV-75 Official Designation Given To Future U.S. Army Tiltrotor Assault Aircraft (Updated)

The Army is now pushing to speed up delivery of its baseline MV-75s, with special operations versions also on the horizon.

Joseph Trevithick

Published May 14, 2025 6:15 PM EDT

https://www.twz.com/air/mv-75-official-designation-given-to-future-u-s-army-tiltrotor-assault-aircraft



ジョセフ・トレビシック

副編集長

ジョセフは2017年初めからThe War Zoneチームのメンバー。 それ以前はWar Is Boringの副編集長を務め、Small Arms Review、Small Arms Defense Journal、Reuters、We Are the Mighty、Task & Purposeなどの出版物にも寄稿している。


2025年5月14日水曜日

米陸軍の未来型ティルトローターFLRAAは大型化し、特殊作戦仕様を意識した機体になる(The War Zone)

 


The U.S. Army has incorporated special operations-specific requirements into the design of its Future Long-Range Assault Aircraft (FLRAA) tiltrotor, which has led to an unspecified increase in gross weight.  

ベル



UH-60をナイトストーカーのMH-60に変えるのは複雑なプロセスだったため、今後登場する長距離攻撃機ではそれを避けたいというのが米陸軍の意向だ


陸軍は、次期ティルトローター「フューチャー・ロングレンジ・アサルト・エアクラフト(FLRAA)」に特殊作戦に特化した要件を取り入れた。この変更は、基本形のFLRAAを陸軍の精鋭部隊である第160特殊作戦航空連隊(SOAR)用の特殊作戦バージョンに安価かつ容易に改造することを意図している。標準仕様のUH-60Mブラックホークを特殊作戦用MH-60Mに改造するプロセスは非常に複雑で、多大な資源が必要となる。

 米特殊作戦司令部(SOCOM)の回転翼プログラム・エグゼクティブ・オフィス(PEO-RW)でフューチャー・バーティカル・リフトとMH-60の両プログラム・マネージャーを務めるキャメロン・キーオ中佐は、本日開催されたSOFウィークの年次会議で、FLRAAの特殊作戦仕様に関する最新情報を提供した。陸軍は、2022年のFLRAA競合の勝者として、ベルV-280 Valorティルトローターをベースにした設計を選定した。FLRAAは、第160部隊の特殊作戦用MH-60Mの約半数を含む、陸軍全体のH-60ブラックホークでかなりの部分を置き換えることが期待されている。

 FLRAAに関しては、「我々はこの件に関して陸軍と密接な関係にある。我々はまた、半歩ほど遅れている。彼らは基本契約にCLIN(Contract Line Item Numbers:契約品目番号)をいくつか盛り込み、私たちが開発に使えるようにしてくれました」とキーオ中佐は説明する。 「我々はエンジニアリングの分析から始めて、現在タラップ上にある、あるいはこれが実戦配備される時点でタラップ上にあるすべてのミッション機器を吊り下げる必要がある。 「そのための構造的な余裕はあるのか? このようなものを置くスペースは確保されているのか?」

 特殊作戦用FLRAAが後日交代する予定のMH-60Mは、機首搭載レーダー、追加センサー、防御システム、通信機器など、標準的なUH-60Mにないシステムを満載している。また、通常の陸軍ブラックホークにはない空中給油プローブも装備されている。


MH-60Mブラックホークを正面から見ると、ヘリコプターのノーズエンドに特殊作戦に特化した機能がずらりと並んでいるのがわかる。 USN


 「そこで工学的な分析を行い、それが現在詳細設計になっています」とキーオ中佐は付け加えた。陸軍のFLRAAプログラム・マネージャーと同軍の航空プログラム・エグゼクティブ・オフィス(PEO-Aviation)は、「詳細設計の初期カットでエンジニアリング解析を行いました。その結果から、重量のトレードを見て、その航空機のベースラインに少し重量が追加されましたが、彼らは、"おい、これにもミッション機器のた将来の成長能力を買おう"と言って、ベースラインの航空機にそれらを挿入したのです」。

 陸軍はすでに、量産型FLRAAの設計が、2017年から飛行しているベル社のV-280デモ機とは大幅に異なることを明らかにしている。陸軍はまた、この先の新機能や改善された機能の統合を容易にするため、今のうちに基礎を固めることを推進していると話している。

 今、「実戦配備のために製造されるすべてのFLRAAには、我々のものを機体に搭載するための規定がある」。 とキーオ中佐。 「この件に関しても、我々は陸軍と歩調を合わせている。 彼らより先に進むことはできない。そのプログラムを加速させる方法はない。 彼らは素晴らしい仕事をしています」。

 さらにキーオ中佐は、現在160部隊のヘリコプターで使用されている特殊作戦用のソフトウェアを、FLRAAのミッション・システムに適応させることも検討していると付け加えた。陸軍がFLRAAで重視しているのは、将来的な新機能の導入を迅速化するためのモジュラー・システムとオープン・アーキテクチャ・システムだ。


陸軍のFLRAA設計のベースとなっているベルV-280 Valorデモンストレーター。 ベル


「第160特殊作戦航空]連隊には、独自のエイビオニクス・スイートがあります。これは大型機(MH-60MとMH-47Gチヌーク)に共通するものでユーザーは非常に満足している。素晴らしい機能を備えている。もう20年以上も開発している。「そうすれば、CASで使っているのと同じもの、つまり共通のエイビオニクス・アーキテクチャーをそのまま使うことができます」。

 キーオ中佐が説明したベースラインFLRAAを特殊作戦仕様に改造するプロセスは、現在のUH-60MからMH-60Mに改造する方法とは根本的に異なる。 出来上がったヘリコプターは、ブラックホークの標準的なM型とは大きく異なっている。

「陸軍のUH-60MブラックホークをSOFSA(ケンタッキー州レキシントンにある特殊作戦部隊支援活動)まで飛ばし、完全に解体する。「私たちはより高い総重量で飛行している。「ミッション機器はすべて機体重量を増加させる。そのため大幅な構造変更を行わなければならなかった。 「そして、この重い機体を手に入れたことで、エンジンの出力が限られてしまう問題に直面したのです。 私たちはYT-706を使用している。 YT-706はまだ完全には認定されていないが、非常に優秀なエンジンだ。 私たちがここで行っていることのひとつは、ユーザーに能力を提供するために、より高いレベルのリスクを受け入れることができるということです。 高度な訓練を受けたユーザー、世界最高のパイロットは、そのリスクを管理することができる。

 「そのため機体を解体し、すべての構造で改造を行い、エンジンを手に入れ、SOF(特殊作戦部隊)特有のシステムを組み込み、最後にそれを黒く塗るのです」。

160th SOAR MH-60のペア。 アメリカ陸軍


 このプロセスを合理化するためFLRAAの基本設計に変更を加えることが、いかに重大な利益をもたらすかは想像に難くない。 キーオ中佐が指摘したように、「ビッグ・アーミー」は現在設計に組み込まれているトレードスペースを活用し、独自のニーズを満たすために機能を追加することもできる。

 FLRAAでは航続距離と速度がブラックホークより大幅に向上しているため、従来の陸軍の航空運用を完全に変えることができる。陸軍は新型ティルトローターについて、最高速度250ノット(時速285マイル)以上、潜在的には280ノット(時速320マイル)、無給油戦闘半径200〜300海里を目標としている。このヘリコプターの製造元であるシコースキー社の親会社ロッキード・マーティンによれば、通常の運用条件下で飛行する典型的な現行型ブラックホークは、最高速度163ノット(時速187.5マイル)、無給油で268海里を飛行できるという。

 FLRAAの速度と航続距離は、陸上または海上での最初の発進地点と作戦地域が非常に離れていそうな太平洋地域での将来の紛争で特に重要となる。 また、これらの能力は、通常夜間という過酷な環境下で特に困難な長期任務を遂行するよう定期的に要請される第160特殊作戦航空連隊にとっても、非常に貴重なものとなるだろう。 連隊の比較的最近の歴史では、アルカイダの創設者オサマ・ビン・ラディンを死に至らしめたパキスタンでの有名な急襲作戦がある。

 陸軍は過去に、2030年までにベースラインFLRAAバリアントの実戦配備を開始することが目標であると述べていたが、ちょうど今週、陸軍はスケジュールを2028年に前倒しすることを検討していることを明らかにした。陸軍当局はまた、米軍全体の大規模な優先順位の見直しの一環として、このプログラムが中止される可能性を否定している。陸軍は、大規模な軍再編の一環として、多くのプログラムを大幅に削減しようとしている。

 FLRAAに関して陸軍と行ってきた作業により、SOCOMは、ベースライン型が実戦配備され始めたら、ティルトローターの特殊作戦バージョンをできるだけ早く実戦に投入するための基礎固めを行っている。

 SOFウィーク会議のPEO-RWセッションの音声を提供してくれたFlightGlobalのRyan Finnertyに感謝する。■


Army’s Future Tiltrotor Gets Heavier So It Can Rapidly Convert Into Special Ops Variant

Turning UH-60s into Night Stalker MH-60s is a complicated process, and the hope is to avoid that with the Future Long-Range Assault Aircraft.

Joseph Trevithick

Published May 8, 2025 8:22 PM EDT


https://www.twz.com/air/armys-future-tiltrotor-gets-heavier-so-it-can-rapidly-convert-into-special-ops-variant


ジョセフ・トレビシック

副編集長

ジョセフは2017年初めからThe War Zoneチームのメンバー。それ以前はWar Is Boringの副編集長を務め、Small Arms Review、Small Arms Defense Journal、Reuters、We Are the Mighty、Task & Purposeなどの出版物にも寄稿している。



M10ブッカー軽戦車は戦場に登場した時点で陳腐化していた(19fortyfive)


M10 Booker Light Tank

2024年8月3日、シャーロット国際空港のノースカロライナ州空軍基地でC-17グローブマスターIIIに積み込まれる前にM10ブッカー戦闘車を評価するノースカロライナ州空軍の隊員。写真の一部は保安上の理由でマスクされている。(米航空州兵撮影:リアナ・ハートグローブ二等軍曹)



陸軍は今月初め、新型装甲車M10ブッカーが事実上キャンセルされたことを明らかにした。M10はもともと陸軍の歩兵旅団戦闘チーム用に設計されたものだが、設計に重大な欠陥があり、その結果、生産されないことになった。

 しかし、その製造上の欠陥が何であれ、ドローンや精密砲兵などの新しいプラットフォームや、より安価で機動性の高い資産が火力ギャップを埋めることができる世界において、ブッカーはすでに歩兵の火力支援という問題に対する時代遅れの解決策だったのだ。


2024年4月18日、マサチューセッツ州アバディーンのアバディーン試験場で展示されたM10ブッカー。(米陸軍撮影:クリストファー・カウフマン)。

2024年5月21日、ノースカロライナ州フォート・リバティでFOX and Friendsのライブ・セグメント撮影中に静態展示されるM10ブッカー。 M10ブッカー戦闘車両は、2人のアメリカ軍人にちなんで命名された: 第二次世界大戦中の行動により死後に名誉勲章を受章したロバート・D・ブッカー兵曹と、イラク自由作戦中の行動により死後に殊勲十字章を受章したスティーヴォン・A・ブッカー二等軍曹である。 彼らの物語と行動は、この2人の兵士の命を奪ったような脅威を破壊するための防護と殺傷力を提供する歩兵突撃車両であるM10ブッカー戦闘車両に対する陸軍の必要性を明確にしている。 (米陸軍撮影:ジェイコブ・ブラッドフォード軍曹)


 また、『軽戦車』と呼ぶことでも議論があった。ジェネラル・ダイナミクス・ランド・システムズが開発したM10ブッカーは、機動保護火力ソリューションとして考案された。ブッカーは105ミリ主砲を中心に開発され、軽歩兵への直接火力支援を目的としていた。ブッカーは、空軍のC-17グローブマスターIII輸送機で一度に2両運べるほど軽量で、より大型で重いM1A2SEPv3エイブラムス主力戦車は一両しか運べない。陸軍は最終的に504両のM-10を購入する予定だった。

 見た目は戦車だが、M10はまったく別の目的で考案された。アメリカの軽歩兵は、伝統的に有機的な火力、特に手強い敵の防御力を低下させたり排除したりするために引き上げられる火力の不足に悩まされてきた。 

 見た目は戦車だが、教義上は突撃砲だった 戦車は機械化された攻撃の主要な構成要素であり、その攻撃によって得られた利益を活用するために配備される。突撃砲は歩兵の攻撃を支援するもので、主砲を使って障害物や敵の強固な地点を破壊する。

 攻撃を支援するだけの装甲車には主力戦車のような重装甲は必要ないため、陸軍は突撃砲型車両の重量を低く抑え、空挺部隊、航空機動部隊、山岳部隊、軽歩兵部隊に配備できると考えた。

 これらの部隊のほとんどは、戦術的機動性を戦略的機動性と引き換えにしているため、より重い機械化部隊よりもはるかに少ない航空機動軍輸送機で迅速に展開することができる。 だがディフェンス・ワンによると、残念ながら陸軍はブッカーの重量を抑えることに失敗した。その結果、42トンの車両はC-17輸送機で一度に1台ずつしか運べず、さらに悪いことに、ケンタッキー州フォートキャンベルやその他の基地内の橋を安全に渡ることができなかった。

 M10は相当数実戦配備されることはなかったし、これからもないだろう。 ブッカーは実戦配備に10年を要したが、それが支援するはずだった軽歩兵部隊に惜しまれることはなかった。車両要件は、10年分の戦争技術の進歩によってほぼ時代遅れになり、大隊レベル以下の部隊は105ミリ砲と同等の有機火力を実戦配備できるようになった。


ウクライナ戦争の影響

ロシアのウクライナ戦争は、神風ドローンと精密誘導弾が現代の戦闘に不可欠であることを疑う余地なく実証した。

 小型で、徒歩やトラックで移動する部隊でも発射可能なこれらの兵器は、極めて精度が高い。神風ドローンの一例はスイッチブレード300ブロック20で、偵察ドローンとして機能した後、ジャベリン・ミサイルに相当する弾頭で標的を攻撃できるうろつき弾薬である。

 エクスカリバー155ミリGPS誘導弾は戦争で有名になったが、電子機器の小型化が進み、歩兵用迫撃砲のレベも精度を上げてきた。 その一例がイスラエルのアイアン・スティング120ミリ誘導迫撃砲弾で円誤差はわずか1メートルである。言い換えれば、目標に向けて発射されたアイアン・スティング砲弾の半分は、正鵠から3フィート以内に着弾するはずだ。

 これらの新兵器に加えて、歩兵はジャベリン対装甲ミサイル、M3A1マルチロール対装甲対人兵器システム(またはカール・グスタフ)、M136 AT4対戦車ロケットを使用できる。


ジャベリン・ミサイル

ジャベリン。 画像出典:ツイッターのスクリーンショット


 M10ブッカーの完全な代替となる兵器システムは一つもない。ドローンは電子戦環境の影響を受けて不利となる可能性があり、迫撃砲はビルや複数階建ての建物の根元に建てられた強襲地点など、高角度や低角度の目標には効果がない。 しかし、ドローンや精密迫撃砲弾は、歩兵部隊への統合が容易で、追跡車両のような輸送やロジスティクスのフットプリントがなく、歩兵司令官に、本部の支援を求める必要のない豊富な有機的選択肢を与える。 このような兵器は、敵のドローンや精密砲の標的として42トンの装甲車両を提示する代わりに、地上陣形に分散して配置することができ、すべてを破壊するのは難しい。

 M10ブッカーは、実行可能で実用的な車両(未来戦闘システム、地上戦闘車両など)を生み出せなかったか、開発に長い時間を費やして兵器が現実世界の出来事に追い越されてしまった(XM2001クルセイダー榴弾砲)陸軍装甲車プログラムに加わった。

 M10ブッカーの開発に10年かかったのは逆に良かったのかもしれない。 もし3年から5年だったら、陸軍はすでに多くの不要な車両を抱え、身動きが取れなくなっていただろう。105ミリ砲が時代遅れというわけではないが、現代の戦場で砲と同等の火力を得るためには、もはや複雑な42トン装甲車は不要だ。■


M10 Booker Was Obsolete Even Before It Hit the Battlefield

By

Kyle Mizokam

https://www.19fortyfive.com/2025/05/m10-booker-was-obsolete-even-before-it-hit-the-battlefield/



著者について19FortyFiveの寄稿編集者であるカイル・ミゾカミは、サンフランシスコを拠点とする防衛・国家安全保障ライター。 Popular Mechanics』『Esquire』『The National Interest』『Car and Driver』『Men's Health』などに寄稿。 ブログ「Japan Security Watch」「Asia Security Watch」「War Is Boring」の創設者兼編集者。


2025年5月4日日曜日

ヘグセス長官が米陸軍に「包括的な変革」で組織改編と兵器削減を指示(Braeking Defense)―M10やハンビーの取りやめなど削減一本ではなく、未来を見通した優先順位付けに注目すべきでしょうね


Department of the Army


「この建物や議会を這い回る利益団体とロビイストたちは、あまりにも長く成功を収めてきたため最初にやるべきことは、取得を希望しない、または必要ないものを削減することだ」と、陸軍長官ダニエル・ドリスコルは国防総省で記者団に述べた


ート・ヘグセス国防長官は米陸軍の「変革」を命じ、特定の部隊の廃止、旧式システムの調達中止、内部組織の統合を含む措置を指示した。

 本誌は今週、陸軍で重大な再編が検討されていると最初に報じ、その内容は陸軍未来司令部と訓練・教義司令部の統合を含む新たな組織の設立を含むものとしていたが、ヘグセスのメモで本日確認された格好だ。

 その他の注目すべき措置には、「有人攻撃ヘリコプター部隊の削減と再編し、敵を圧倒できる低コストのドローン群で補強する」との命令や、「全陸軍(現役、予備役、国民警備隊)にわたる選択された装甲部隊と航空部隊を含む、旧式部隊の廃止」が含まれる。

 「よりスリムで致死性の高い部隊を構築するため、陸軍は旧式、重複、非効率的なプログラムの処分、および本部と調達システムの再編を加速したペースで進める必要があります」とヘグセスはメモ[PDF]で記した。

 ペンタゴンでの午後の記者会見で、陸軍長官ダニエル・ドリスコルは記者団に対し、これらの変更は現代の脅威に対応するため必要な処置だと述べた。「世界各地で進行中の戦争で、装備が当初の目的を果たせないことが明らかになっている。それでも、年々同じ装備品が繰り返し配備されている」。「この建物や議会を這い回る利益団体やロビイストが、あまりにも長く成功を収めてきた。したがって、最初にやるべきことは、効果がないもの、または不要なものを削減することです」

 本誌が入手した部隊宛てのメモで陸軍参謀総長のランディ・ジョージ大将は、これらの変更は「陸軍変革イニシアチブ(ATI)」の枠組み下で行われると述べ、主要な重点分野を3つ挙げた:「戦闘能力の迅速な提供、部隊構造の最適化、無駄と陳腐化したプログラムの廃止」。

 ジョージ大将は「このイニシアチブはすべての要件を再検討し不要なものを廃止し、戦闘部隊を厳格に優先順位付けして致死性に直接貢献させ、戦略目標とリソースを一致させるため、階層のリーダーが困難な判断を下す権限を付与する」、 

 AEIのシニア非居住研究員で退役陸軍少将のジョン・フェラーリは、ヘグセスのメモで2027年が繰り返し言及されている点に言及し、この日付は偶然ではなく、中国の能力に関する最近の推計と一致していると指摘した。「これは陸軍とその指導部が、2027年を完了目標として設定することで意思決定と実行を一致させる大胆な計画だ。わずか32ヶ月という期間だ」とフェラーリは本誌に語った。「陸軍の改革は迅速に進み、新たな技術系防衛スタートアップの能力と一致する一方、他の軍種は変化を年単位や十年単位で測っている」と彼は後で付け加えた。 


航空機と地上車両の削減

陸軍当局は本日、同軍がハンヴィーとジョイント・ライト・タクティカル・ビークルの生産を中止すると確認した。また、ジェネラル・ダイナミクス・ランド・システムズは、新開発の軽戦車M10ブッカーの生産を中止するよう指示される。(ウォールストリート・ジャーナルが最初に報じた。)

 「ブッカーはコスト誤謬の典型例であり、陸軍が間違ったことをしている」とドリスコル長官は述べた。「私たちは、通常の戦車では到達できない場所に投入できる小型で機動力のある戦車を開発したかった。しかし、重い戦車になってしまった」

 陸軍長官の首席技術官アレックス・ミラーは、陸軍がAH-64D型ヘリコプターの機群から撤退する計画も明らかにしたが、後継機種として新型AH-64E型を採用するかは未定だ。

 「アパッチは古い機種で、維持費が非常に高い」とジョージ大将は記者団に述べました。「この措置で出動準備率が向上するでしょう」。

 ジョージ大将の部隊宛ての書簡によると、退役対象にはジェネラル・アトミクスが製造する「旧式の」グレイ・イーグル無人機も含まれる。

 ジェネラル・アトミクスの広報担当C・マーク・ブリンクリーは、「旧式」という表現に反論し、同無人機は年々更新されてきたと指摘した。「当社は、これらのプラットフォームを最先端に進化させるため、現代化されたグレイ・イーグル25M、グレイ・イーグルSTOL(短距離離着陸型)、イーグルアイレーダーを開発してきました」とブリンクリーは本誌へのメールで述べた。「米国陸軍の不明確なビジョンと低予算優先順位により、議会や他機関が米軍兵士のために大胆な措置を講じることを余儀なくされたにもかかわらず、当社はこれを実現してきました」。「陸軍のRSTA(遠隔偵察・監視)任務が将来消えることはありません。その任務を兵士の命を犠牲にせずに遂行する能力も同様です」とブリンクリーは付け加えた。

 一連の削減はプログラムの初期段階だが、ジョージ大将はメモでさらに削減が控えていると警告している:「これは最初のステップだ。今後数ヶ月以内に実施される第2弾の変革努力をすでに指示している」。

 今後の削減の詳細は不明だが、陸軍指導部は数ヶ月間、地上車両のポートフォリオがさらに深刻な削減に直面していることを示唆してきた。これには、ロボティック・コンバット・ビークルやブラッドリー後継機競争のような近代化プログラムの停止、またはストライカーのような既存プログラムでも削減が含まれる可能性がある。

 航空分野では、陸軍は次世代攻撃偵察機(FARA)プログラムの開発中止を含む大規模な航空改革を昨年発表した。これにより、予算は無人航空偵察システムへのシフト、UH-60MブラックホークやCH-47FブロックIIチヌークなどの有人ヘリコプタープログラムの継続、および未来型長距離攻撃機(FLRAA)の開発継続に充てられる。

 業界ではFLRAAが長期的に困難に直面するとの憶測があるが、ジョージはベル社設計の回転翼機への支援を強化する姿勢を示している。


新たな投資分野

ヘグセスは、「抑止力と迅速な展開を最適化し、何よりもアメリカ本土の防衛とインド太平洋地域での中国抑止を最優先する」ため陸軍の再編を進めていると指摘し、ここに地域内の陸軍事前配置在庫の再評価と最適化が含まれると述べた。「インド太平洋地域における陸軍の前方展開を強化するため、事前配置在庫の拡大、輪番展開、同盟国・パートナーとの演習を拡大し、戦略的アクセス、基地配置、飛行権限を強化する」。

 3月下旬、本誌は、陸軍の上級幹部がグローバルな事前配置在庫戦略を見直し、浮体式移動式倉庫を廃止し、その武器と装備をインド太平洋地域内の友好国に配置する可能性を検討していると報じた。

 ヘグセスのメモは、地上部隊の削減対象を数多く列挙する一方、投資を優先すべき分野も詳細に説明している。「陸軍は戦略に沿って投資を優先し、既存のリソースを長期射程精密火力、航空・ミサイル防衛(ゴールデン・ドーム・フォー・アメリカを含む)、サイバー、電子戦、対宇宙能力の向上に重点的に配分しなければならない」と彼は記した。

 さらに、追加の重点分野とプログラムを詳細に説明している:

  • 2027年までに陸海移動目標を攻撃可能な探知機を搭載した将来の精密打撃ミサイル(PrSM)のバリエーション。ミラーはその後、記者団に対し、これは射程を「倍増」する新たなイニシアチブであり、新たなベンダーにより製造される可能性があると述べた。

  • 2027年までに電磁波と沿岸空域の優位性を確立する

  • 2026年末までに、地上または空から使用可能な新たな発射装備を各師団に配備する

  • 対UAS能力では2026年までに機動小隊へ、2027年までに機動中隊に統合しつつ、機動性とコスト効率を向上させる

  • 2026年までに3D印刷を含む先進製造技術を運用部隊に拡大する

  • 2027年までに戦区、軍団、師団本部でAI駆動型指揮統制を可能にする

  • 組織再編 ジョージのメモによると、陸軍本部は約1,000の職員ポストを削減するが、民間人か軍人かは不明。

  • 陸軍未来司令部とTRADOCは単一組織に統合され、部隊司令部は西部半球司令部に改編され、陸軍北と陸軍南を一つに統合する。

 具体的な詳細は明示されていないが、ジョージ大将は「指揮構造を簡素化するため一般事務職を削減し、民間人材管理政策を改定してパフォーマンスを優先する」と約束した。

 本誌は以前、陸軍が内部の職位で四つ星将官を陸軍参謀長と参謀次長のみに限定する計画を検討していると報じた。(戦闘指揮官職位は陸軍の管轄外のため、現時点での影響は低い。)

 ジョージ大将のメモには、プログラム中心から能力ベースのポートフォリオへの移行を伴う「柔軟な資金プール」の創設も盛り込まれている。これは、四つ星将軍がこれまで強く主張してきた概念ですが、議会からは懐疑的な見方が示されている。陸軍が議会の承認なしに資金の配分方法を変更できるかどうかは不明だ。■


Hegseth orders ‘comprehensive transformation’ of US Army, merging offices and cutting weapons

"All of these parochial interests and all of these lobbyists that crawl around this building and crawl around Congress, they have succeeded for far too long, and so the first thing is, we are going to start to cut the things we don't want or need," Army Secretary Daniel Driscoll told reporters.

By   Ashley Roque and Aaron Mehta

on May 01, 2025 at 7:30 AM

https://breakingdefense.com/2025/05/hegseth-orders-transformation-of-us-army-combining-offices-and-cutting-roles/




 

国防人名録  ダニエル・ドリスコル陸軍長官

 

第26代陸軍長官ダニエル・ドリスコルは、軍の最大部門である陸軍の人員配置、装備、訓練を担当している


Daniel Driscoll, Secretary of the Army

陸軍長官

ダニエル・ドリスコル


職務

第26代陸軍長官ダニエル・ドリスコルは、約48万人の現役兵、州兵、予備役兵、関連文民が中核的、機能的な作戦と即応態勢の基準を確実にサポートできるよう、軍の最大部門である陸軍に人員を配置し、装備を整え、訓練することを任務としている。


優先事項

陸軍の隊員募集を強化すること。 上院軍事委員会の公聴会で、ドリスコルは陸軍の採用に関する懸念にこう答えた:「我々は今、第二次世界大戦以降で最も少ない数の現役兵士を抱えている中で世界中で紛争が勃発している」、陸軍ジュニアROTCの待機者リストを短縮することで、将来の入隊を奨励する。「このような血統や関係や連鎖を地域社会に構築することで、将来の兵士を一人だけではなく、何世代にもわたって確保することができる。陸軍の25年度1,859億ドルの予算要求では、6億7,500万ドルをリクルート活動に充てている」。

 ウェストポイントのような士官学校でのアファーマティブ・アクション(差別是正措置)政策は、陸軍の実力主義の長い歴史に合致していないと主張し、廃止する。彼の発言は、ピート・ヘグセス国防長官が表明した「卓越の基準」と一致している。

 陸軍を近代化する。 "新しく、複雑で、争いの多い環境 "で陸軍が優位に立てるような技術や兵器に投資する。

 ジャック・リード上院議員から、国防産業基盤の成長をどのように提案するのかと問われたドリスコルは、こう答えた:「まず第一に必要なのは、陸軍を顧客として改善することだと思います。 陸軍が現在使っている調達モデルは、巨大企業に報酬を与えるものです。 私は、陸軍が必要とするものを予測する能力を向上させ、国防基盤を5から7、25から50へと拡大させることに力を注ぐことが、強力な第一歩になると考えています」。


発言

「陸軍全体のマルチドメイン展開は戦争の未来の姿である」


軍人として

 陸軍士官候補生学校(OCS)を経て、2007年に装甲将校として任官。OCSは、紛争が多発する時期に将校の必要性を満たすために1941年に設立され、12週間の厳しい訓練プログラムによって、統合参謀本部長から政治コラムニストのウィリアム・F・バックリーJr.まで、さまざまな卒業生を輩出してきた。

 ニューヨーク州フォートドラムの第10山岳師団で騎兵偵察小隊長。

2009年、イラク自由作戦の一環としてイラクのバグダッドに派遣。通年勤務で 中尉として退役。

 陸軍表彰メダル、レンジャー・タブ、コンバット・アクション・バッジなどを受賞。


行政/政治経験

 2020年、ドリスコルはノースカロライナ州西部第11選挙区に立候補したが落選。 共和党候補として、国家安全保障、雇用保障、減税を争点に選挙戦を展開した。2020年、アッシュビル・シチズン・タイムズ紙で、ドリスコルは自身の綱領を次のように述べた: 「私にとっての山の価値観とは、正しいことを行おうとする激しい独立心、コミュニティを築き、隣人をサポートしようとする強い願望、不屈の精神で物事を成し遂げようとする能力を意味します。それらはWNCの一部であり、ユニークで、タフで、強い存在です」。ロー・スクールで知り合ったJDバンス副大統領の元シニア・アドバイザー。


ビジネスキャリア

 ドリスコルは、投資銀行、プライベート・エクイティ、ベンチャー・キャピタル、事業運営などの金融部門で働いた経験があり、一部はシャーロット地域で働いた。


学歴

 ノースカロライナ大学チャペルヒル校で理学士号。 (3年で卒業、軍入隊のためと報じられる)。イェール大学ロースクール。GIビルで入学。 2014年、法律の専門職学位(JD)を3年で取得し卒業。在学中、イェール大学の退役軍人法律サービスクリニックで働き、上院退役軍人問題委員会でインターンをしたほか、第9巡回区アレックス・コジンスキー首席判事のもとでもインターンを経験。


出生

 ノースカロライナ州ブーン出身のドリスコルは1985年に生まれ、州西部のバナーエルクで育った。ワタウガ高校に通った。父親は歩兵としてベトナム戦争に従軍。祖父は第二次世界大戦中、陸軍の暗号解読係だった。


私生活

 高校時代の恋人で形成外科医のキャシー・ドリスコルと結婚。2人の間には2人の子供がいる。ロータリー・クラブ、VFWポスト1134、イラク・アフガニスタン退役軍人のメンバー。


Who’s Who in Defense: Daniel Driscoll, Secretary of the Army

Daniel Driscoll, the 26th Secretary of the Army, is tasked with staffing, equipping and training the largest branch of the military.

By   Catherine Macaulay

on April 17, 2025 at 11:05 AM

https://breakingdefense.com/2025/04/whos-who-in-defense-daniel-driscoll-secretary-of-the-army/