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2019年1月6日日曜日

東シナ海が今や最重要活動空域になった航空自衛隊の現状と展望をRANDが分析しています

米空軍の委託研究でRANDが航空自衛隊の現況に特化した形で南西諸島部分における中国航空活動の強化に対応している現状を分析し、今後の対応策を説明する報告書を昨年末に発表しました。以下そのダイジェストです。このブログをご覧の皆さんには周知の事実かもしれませんが、米国でも共通の認識をしてもらえるのは助かりますね。また日本の一般国民にも認知してもらいたい事実です。航空自衛隊には毎日大変な仕事ですが、ストレスに負けず精進していただき、国民も支援していきたいところです。

China's Military Activities in the East China Sea
Implications for Japan's Air Self-Defense Force
東シナ海での中国軍事活動は航空自衛隊にどんな影響を与えているか

by Edmund J. Burke, Timothy R. Heath, Jeffrey W. Hornung, Logan Ma, Lyle J. Morris, Michael S. Chase
Related Topics: Air Defense, Aviation Maintenance, China, Fighter Aircraft, Japan, Military Strategy

長年に渡る日中間のライバル関係がここにきて激しさを増しているのは両国で国力の差が縮まってきたためだ。両国間のせめぎあいは政治・経済・安全保障の各分野に及ぶが尖閣諸島を巡る対立が焦点なのは間違いない。本報告書の著者は中国が日本周辺で海空戦力をどこまで増強しているか、特に尖閣諸島近辺での動きを分析した。また中国艦船航空機の動きに対する日本の対応も分析。結論として戦闘機の数的制約により航空自衛隊が中国航空活動に十分対応できていないことがわかった。中国が戦闘機数で優位にあるため、日本は現状を維持できなくなる。著者は提言として今後発生する課題への米国と日本による対応策の道筋を示した。

主な所見
中国と日本で日本近辺ので軍用機同士の遭遇が劇的に増えている。
  • .中国軍用機の尖閣宮古両諸島近辺での飛行が増えており、中国の戦略として第一列島線を突破する飛行経路として重要視しているのがわかる
  • 活動が増加しているため日本も装備の配備調達を加速化し中国のプレゼンス増加に対応しつつ日本領空の防御に追われている。

中国の航空活動強化への対抗策として日本にとって最良の道は防衛力増強である。
  • 日本政府は島しょ部防衛で航空自衛隊の能力向上に向けた装備調達とともに防衛的な姿勢堅持を重視してきた。
  • また海上保安庁(JCG)予算を増額し尖閣諸島を意識した巡視活動を確立した。

中国の航空活動に常時対応するため薄く広がらざるを得ない航空自衛隊にさらにストレスがかかっている。
  • 運用テンポの早まりで整備保守が悪化しており、機体点検や整備の回数が増えているのが原因だ。
  • 航空自衛隊パイロットが現実状況で経験を増やすのは結構だが、日本領空侵犯が増えているためパイロット養成にも悪影響も出ており、訓練に専念できない状況が生まれている。

提言

  • 日米両国は中国軍用機が日本周辺で突如として大規模活動を展開する想定にも迅速かつ効果的に対応できるよう知見を交換しておくべきだ。
  • 両国は米軍の展開再検討に際し、日本が南西部に機材を優先配備することをあらかじめ認識すべきだ。
  • .米側からは冷戦期に状況の変化に呼応してスクランブル方式をどう変えていったかの経験を共有できる。
  • 米国は既存及び今後予定される地上配備防空装備により中国の領空侵犯に対応をある程度可能とする訓練を日本と行うべきだ。

.日本にはその他諸国とも各分野で協調して中国の領空侵犯への対抗策を模索する可能性がある。■

2017年7月27日木曜日

7月23日米中軍用機異常接近への中国の反応は予想通り



やはりというか、判で押したような主張がこれでもかと北京から出てきますが、自国の主張を全面に出してくるところは大きなこどものようです。

Beijing Accuses U.S. Navy Surveillance Aircraft of Operating Unsafely; Repeats Call for U.S. to Stop Surveillance Flights Near China 米海軍偵察機の危険行動を中国政府が非難し中国近辺での監視偵察飛行の中止を要求


 By: Sam LaGrone
July 25, 2017 12:46 PM • Updated: July 25, 2017 3:28 PM

写真: 米海軍のEP-3EエアリーズII海洋哨戒機。 US Navy Photo

  1. 日曜日に発生した人民解放軍空軍による迎撃事案で米海軍偵察機の危険飛行を中国が非難した。
  2. 中国外務省、解放軍はともに米海軍EP-3エアリーズII情報収集機による東シナ海上空の中国沿岸沖合での活動を非難している。
  3. 「米艦船航空機はこれまでもたびたび中国沿岸水域に接近し偵察行動をしており、中国の海洋航空上の安全に深刻な脅威になっている」と外務省報道官陸慷が25日述べている。
  4. 「中国は米国に対して直ちにすべての接近監視偵察行動の中止ならびに同様の事件の再発防止を求める」
成都J-10戦闘機  PLAAF Photo

  1. 国営通信新華社で国防省報道官も同様に非難する声明を発表した。
  2. 「米軍機の接近で中国の安全保障が脅かされており、両国パイロットが危険にさらされ二国間の軍の安全も被害を受けている。中米間の軍事上の安全を妨げる根本原因だ」
  3. 声明はともにPLAAF所属成都J-10戦闘機二機がEP-3に対して危険な迎撃をしてきたとのペンタゴン発表を受けてのもの。
  4. Military Timesによれば青島南方およそ80カイリ地点でJ-10はエアリーズの背後に接近してきた。その他記事ではJ-10はエアリーズの90ヤードまで接近し、無線交信の呼びかけに応じなかった。
  5. 「米海軍EP-3は通常任務中で国際法を順守していた」と米太平洋艦隊が声明文をUNSNI Newsに伝えている。「米軍機乗員の第一報によれば危険な迎撃を受けた。本件は外交軍事チャンネルで中国に懸念を伝えている」
  6. エアリーズIIは国際空域での活動を前提に交信記録を監視記録する機能があり、通信情報収集にあたる。
  7. 米中双方が通信情報収集に航空機や艦船を国際水域、空域に展開しているが、中国は米側の作戦を迅速に非難することで知られる。
  8. 今週の事件は2014年の瀋陽J-11BH戦闘機がP-8Aポセイドンにバレルロールをかけ搭載兵装を見せつけた事案に次ぐものだ。中国は米機が挑発したため発生した事案で米機は中国沿岸に接近していたと非難、ただし同機は国際空域内にとどまっていた。
  9. 「わが方のパイロットはプロ意識が高く安全を常に留意している。中国は開発途上国である」と当時の中国国防省報道官が述べていた。
  10. 「機体以上にパイロットは貴重な存在だ。他国の軒先まで飛行させて平気な国があるが、我が国は自国人員機材の安全を優先させる」
  11. この際のP-8AとJ-11事例は中国では相当有名で空中での接近を描いた絵画が中国のマイクロブログサイト微博で広く共有されていた。
2014年のJ-11による米海軍P-8Aポセイドン迎撃を描いた絵画. Image via Weibo

  1. 2001年にはエアリーズIIが無鉄砲な中国機の迎撃のため海南島に緊急着陸を迫られた。
  2. 事態を複雑にしているのが中国が防空識別圏を東シナ海上空に設定したことで圏内を飛行する機は中国航空管制当局と軍に飛行目的の申告義務があると主張している。
  3. 米国は該当空域は国際空域であり一切の制約を受けないとし、中国政府の通知には従わないとしている。
  4. 今年初めには米P-3Cオライオン対潜哨戒機が海南島から150マイルで行動中にPLAAFのJ-10二機の迎撃を受けた。
  5. 今回の事案同様にペンタゴンは当時も「危険」な行為と非難していた。■

2017年7月25日火曜日

中国が東シナ海で米海軍機に異常接近、中国が焦っている



中国が明らかに対応を変えています。挑発して危機状況を作り出したいのか、プロパガンダ攻勢をかけるのか。明らかに焦っているのはそれだけ情勢が不利だと感じているためでしょう。

Pentagon: Chinese fighters intercepted US Navy spy plane

中国戦闘機が米海軍スパイ機を迎撃

写真)EP-3偵察機の飛行前チェック。名称非公開の南西アジア拠点にて。2010年撮影。U.S. AIR FORCE

 By COREY DICKSTEIN | STARS AND STRIPESPublished: July 24, 2017

WASHINGTON – 7月23日中国戦闘機2機が東シナ海上空で米スパイ機に異常接近し海軍のEP-3偵察機は回避行動を迫られたとペンタゴン報道官が24日に発表。米機パイロットは中国J-10機の接近を「危険かつプロの自覚に欠ける」と判断した。中国機は米機の下を高速で通過後に上昇しEP-3の飛行経路に入ってきたとペンタゴン報道官ジェフ・デイヴィス海軍大佐が述べた。海軍機内で衝突警報が作動し、パイロットは「回避行動」で中国機と衝突を避けた。
  1. 発生時刻は日曜日午前遅くで、場所は青島南方90マイルの国際空域とデイヴィス大佐は説明。
  2. 危険な行動に出たJ-10はEP-3から300フィートを飛行し、同機の進路を「遮断」せんとしたと国防関係者が匿名条件で述べている。
  3. デイヴィス大佐は中国との上空遭遇がここまで危険になるのはまれな事例だと述べた。「国際空域では定期的に迎撃を受けている」とペンタゴンで報道陣に語った。「圧倒的多数は安全に行っている。今回は例外でいつもと違う」
  4. 今回の事件の前に5月に米軍機を中国戦闘機が迎撃する事例が2件発生している。
  5. 5月24日にはJ-10の二機編隊が海軍P-3オライオンに「危険かつプロらしからぬ」迎撃を南シナ海、香港沖で受けた。うち一機は米機から100フィート未満まで接近した。
  6. 5月18日にはSu-30戦闘機二機編隊が空軍のWC-135コンスタントフェニックス核探知機を東シナ海上空で迎撃し、一機が米機から150フィートまで接近しWC-135の上空を反転通過した。■

2016年7月6日水曜日

6月17日東シナ海上空で何があったのか どちらの言い分が正しいのか


この問題の背景には中国が狙う心理戦もありますが、世界に孤立する様相を示す中国が多方面で大胆な動きに出ていることにも注目すべきでしょう.一体真実はどうだったのか。否定するだけではだめで、日本も情報開示すべきではないでしょうか。でないとウソを言い続けるほうが真実だと受け止められるようになります。日本も主張する際に計算された戦略戦術が必要ですね。

China says Japanese F-15s locked onto its fighters over East China Sea

Gabriel Dominguez, London - IHS Jane's Defence Weekly
05 July 2016


Source: JASDF
中国国防省が火器管制レーダーを東シナ海上空を6月17日に飛行中のスホイSu-30戦闘機二機に航空自衛隊のF-15戦闘機二機がロックオンしたと非難した。
中国は中国戦闘機のうち一機が航空自衛隊F-15に攻撃を加える構えを見せて接近したとの報道を否定している。F-15はスクランブル出撃していた。
「日本側の発表は事実を捻じ曲げ白を黒と言いくるめ不和を植え付けようとするものである」と同省情報局報道官が述べているとChina Military Onlineが伝えた。
それによると報道官はSu-30の二機編隊が「東シナ海防空識別圏で通常の哨戒飛行を行っていたところ」航空自衛隊F-15が二機高速で接近し「火器管制レーダーを中国機にロックオンした」とし、日本側がいつでも武器を発射できる状態だったとしている。
Su-30編隊は「戦術行動など必要措置」で日本側の「挑発行為」に対応したと報道官は述べ、F-15二機は赤外線フレアを放出しその場を去ったという。
中国側報道官は日本の行為は「空中事故で深刻な被害や損傷を航空機搭乗員に与えかねない」事態だったと注意喚起した。また同報道官は日本政府が「中国に歩み寄り」かつ「交渉の障害を取り除き」中日海上空中連絡メカニズムの立ち上げ・運用の条件整備に向かうよう希望すると述べた。日中両国は海上での意図しない衝突回避のしくみづくりで昨年12月に基本合意している。
萩生田光一内閣官房副長官は中国の言い分を否定しており、航空自衛隊機は「中国国防部が言うような挑発行動は一切取っていない」と述べ、中国戦闘機へのロックオンレーダー作動の事実はないと述べている。■


2015年4月21日火曜日

中国>S-400防空ミサイル導入で何が変わるか


長距離防空ミサイルの導入は他国の航空作戦への牽制効果がねらいでしょう。メッセージに注目すべきです。記事が指摘するように台湾が苦しい立場になりますが、日本も当然注視していくべき事態ですね。ロシアは防衛装備以外にめぼしい輸出工業製品がなく、このS-400も各国にこれから売り込みにかかるのでしょう。

S-400 Strengthens China's Hand in the Skies

By Wendell Minnick1:20 p.m. EDT April 18, 2015

635648131586430993-DFN-China-S-400(Photo: umnick/wikipedia)
TAIPEI — 中国はロシアと新型S-400対空防衛システムの導入で合意し、中国の防空体制はいっそう強固になると専門家は見ている。
  1. 射程400キロメートルではじめて台湾上空の飛行物体の撃破ができる他、ニューデリー、カルカッタ、ソウルも射程範囲におさめる。黄海や南シナ海の防空識別圏でも防御が固められ北朝鮮内のいずれの地点にも発射できる。
  2. 日本と対立が深まる尖閣諸島近くまで防衛空域を伸ばすことも可能と指摘するのは ワシリー・カシン Vasiliy Kashin (モスクワの戦略技術分析センター Centre for Analysis of Strategies and TechnologiesCentre for Analysis of Strategies and Technologiesで中国専門家)
  3. 中国が配備ずみのS-300の有効射程は300キロだが、台湾の北西沿岸部上空までしか射程におさめず、インドや韓国の首都は対象外だとアレクサンダー・フアン Alexander Huang (台北にある戦略軍事演習研究協議会 Council on Strategic and Wargaming Studiesの会長)は指摘する。S-400で台湾の防空体制が試される。
  4. 「新装備で中国は航空抑止力を増強でき各国とも中国領空近くでの作戦に一層慎重になるだろう」(フアン)
  5. 国営防衛装備輸出公団ロソボロネキスポートのCEOアナトリ・イサイキン Anatoly Isaikin が売却を4月13日に発表した。報道陣へはS-400に国際市場から引き合い多数があり、中国が初の海外顧客になると述べた。詳細は未発表だが正式契約は2014年末に結ばれているとカシンは補足し、4ないし6大隊分で総額30億ドルだという。
  6. S-400はミサイル迎撃にも利用できる。ロソボロネキスポートはDefense Newsからの問い合わせに答えていない。
  7. S-400導入は中国の防空・ミサイル防衛体制で正常進化とマーク・ストークス Mark Stokes(Project 2049 研究所専務理事)は語る。「どの型式が輸出される型式、配備地点がどこになるかも興味のまと」という。
  8. 台湾を挟みS-400が配備されると台はも非対称的能力の拡充に走り中国の防空体制の弱点を攻撃できる装備をめざすとストークスは見る。
  9. 台湾の国防部 Ministry of National Defense (MND) は今回の発表を平然と受け止め、台湾軍は慎重に観察していると報道官羅志祥少将Luo Shou-heは語り、ロシアと中国が密接な軍事協力を進めているのは承知という。
  10. 「新型装備の脅威に対抗するべくROC(中華民国)軍は脅威評価を終えており、対抗策の戦術戦略を調整済み」で飛行訓練も通常通り継続するという。
  11. カシンによれば中国は長距離防空ミサイル生産の体制を徐々に整えているものの、ロシアと開きが相当ある。中国製装備が海外市場でロシアに競り勝つことがあるが「性能より中国が提供する支払い条件や技術移転が理由」という。
  12. 中国がS-400をリバースエンジニアリングするのは疑いもない。S-300でも前例がある。だがリバースエンジニアリングは非常に時間を食うとカシンは指摘し、ロシアはすでに次世代のS-500の開発に取り組んでいるという。このS-500の生産開始は2017年と見られ、中国にS-400の供給を開始するのとほぼ同時期になる。■

2014年12月27日土曜日

中国:尖閣諸島をにらんだ基地新設に日本は対応をどうすべきか


こういう報道が出てくる共同通信には敬意を表します。中国に独自の情報源があるのでしょうね。それにしても立場が反対なら自国近辺に物騒なものができたと大騒ぎするのに、いちいち目くじらを立てるなと取り合わない中国の態度はどうなんでしょうか。もっとも国内ではこの案件は全く報道されていないのでしょうね。

Report: China Building a Base 190 Miles from Contested Islands

By: Sam LaGrone
Published: December 23, 2014 10:05 AM • Updated: December 23, 2014 10:06 AM

An illustration of China’s contested Air Defense Identification Zone (ADIZ) from state run media. Xinhua Photo
物議を醸し出している中国による防空識別圏 (ADIZ) 国営新華社通信


中国が尖閣諸島から200マイル地点の島嶼に滑走路複数を建設中と共同通信が伝えた。


匿名中国筋を引用し数本の滑走路が南キ(鹿の下に几)Nanji 島に完成済みで、レーダー設備も補強しているという。

「戦略的に重要な立地だ。釣魚(尖閣)諸島に近く、東シナ海の防空圏を補強できるし、本国の沿海部の海上防衛でも重要な位置になる」と中国海軍研究所Chinese Naval Research Instituteの主任調査員Li JieがBloombergに語っている。「中国が該当地域の軍事プレゼンスを強化しているのは疑いようがない」

新設基地は尖閣諸島に近く、物議をかもしだしている東シナ海上空の防空識別圏(ADIZ)の航空作戦を支援できる。Bloombergは基地が尖閣諸島に沖縄の米軍基地よりも近い場所にあることを指摘している。

「基地整備は何ら異常なことではない」と発言し、「中国は戦略拠点ごとに軍事基地を設けており、今回の南ジもその一つにすぎない」と語るのはXu Guangyu退役中将(中国軍縮兵器管理協会China Arms Control and Disarmament Association顧問)。

「日本側報道が何ジで騒いでいるが、本質を捉えていない」■


2014年2月19日水曜日

中国が対日軍事作戦を「短期かつ熾烈に」実施する可能性


Navy Official: China Training for ‘Short Sharp War’ with Japan

By: USNI News Editor
Published: February 18, 2014 1:25 PM
Updated: February 18, 2014 1:26 PM
Chinese marines assault a beach during the Mission Action 2013 exercise. Xinhua Photo


中国はこれまで台湾進攻を想定した揚陸戦の訓練を重ねてきたが、ここにきて訓練の想定を拡大し、日本が実効支配する東シナ海も対象に加えていることが米太平洋艦隊(PACFLEET)の情報部門トップから明らかになった。昨年実施したMission Action 2013演習では人民解放軍の各軍が参加し、尖閣諸島の占拠を想定していたと、PACFLEETのジェイムズ・ファンネル大佐 Capt. James Fannell(情報幕僚次長)が発言。

  1. 「Mission Action 2013は各軍を巻き込んだ大規模演習でした」とファンネル大佐はWest 2014会議(カリフォーニア州サンディエゴ)の席上で2月13日に発言している。「PLAには新しい任務が与えられており、短期間ながら高密度の戦闘で東シナ海の日本勢力を壊滅する前に尖閣諸島あるいは琉球諸島の南方を占拠する、と中国学識経験者から発言が漏れています」
  2. 昨年は中国が軍事活動を活発化させ挑発的な軍事プレゼンスを南シナ海で展開した年であった。その中心は中国が各国と問題を抱える原因となっている領土拡大の主張を示すNine Dash Lineと通称される地帯をとりまくもの。
  3. 「合衆国政府も中国が南シナ海で示している行動パターンそのものが中国による同海域の制海権の主張を反映するものとして懸念しており、いわゆる9-ダッシュ線で囲まれる
  4. 各国の反対を無視していること、および全く説明のないままあるいは国際法の原則を無視していることを問題視している」(ファンネル)
  5. 同大佐はその後中国がこの十年間に各国に示した強硬策の内容に触れ、フィリピン海南方での戦闘訓練などは中国が「航行権の保全」を狙ったものと解説。
  6. 「その訓練の翌週に東シナ海で中国艦船が火器管制レーダーを海上自衛隊艦船に照射する事件が発生している。中国はその事実を一か月にわたり否定したあと、その事実を認めたが、両艦の距離は射程距離を超えていたので危険はなかったと釈明しているが、それで済む問題ではない」
  7. ファンネル大佐は新設された中国沿岸警備隊による準軍事行動にも注意を喚起している。
  8. 「南および東シナ海での緊張は中国沿岸警備隊が中国隣接国を刺激することで悪化の一途である」
  9. ファンネル大佐によれば中国は1.6百万ドルを南シナ海の監視地点の改善にあてているという。 港湾施設、航空基地、飲料水確保および監視システムがその対象だという。「一方で中国は他国による同様の活動を挑発的と非難し、脅威を与えることで対応しようとしている」
  10. ファンネルのこの中国評価は現在米国が対中軍事関係を強化しようとするのと対照的である。
  11. 当日は海軍の作戦、立案、戦略担当のジェイムズ・フォッゴ少将Rear Adm. James Foggo が米海軍関係者とPLANの Wu Shengli提督との会談が成功裏に終わったと紹介しており、米代表団もPLAN艦艇・潜水艦を訪問しているという。しかし、代表団が帰った直後に中国は問題になっている防空識別圏(ADIZ)を東シナ海上空に設定している。米国は同時に中国艦船の今年のリムパック演習に参加させようとしている。■