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2021年11月3日水曜日

ファイブアイズはナインアイズへ。米国防予算法案に加盟国拡大が盛り込まれた。日、韓、インド、ドイツが追加候補国に。対中警戒網の強化が必要との認識。

 

 

中国への対抗には従来の英米中心の体制では不十分だとの米議会筋の見解が出ている。


  1. 米国主導の「ファイブアイズ」取り決めは第二次大戦の遺産であり、中国を相手に対抗するため改編が必要だと下院情報小委員会の有力議員が語っている。

  2. アリゾナ州選出民主党のルーベン・ゲラゴRep. Ruben Gallego下院軍事委員会特殊作戦・情報活動小委員会委員長は長年誰も手を触れなかった取り決めの拡充を実行すべきとの文言を今年の国防予算案に盛り込んだ。

  3. 条項では国家情報長官及び国防関連各省に「ファイブアイズ」加盟国(米、豪州、英国、ニュージーランド、カナダ)間の情報共有の現状及び欠陥に加え、日本、韓国、インド、ドイツを加盟させた場合の効果及びリスクについて報告を求めている。

  4. 「『ファイブアイズ』モデルは時代遅れだと思う」とゲラゴ委員長はDefense OneNextgov主催の2021年度国家安全保障フォーラムで発言した。「範囲の拡大が必要だ。今までの英米中心の情報共有では不十分だ」

  5. 同条項では「当委員会は脅威の構造がファイブアイズ誕生時の想定と大きく変わったと認識し、中国及びロシアの脅威を重視。当委員会は大国間対立に対応すべく、ファイブアイズ加盟各国は従来以上に密接に作業し、志を共有するその他民主国家と信頼の輪を共有すべきと考える」とある。



  1. 前国家情報長官ジョン・ラトククリフの補佐官を務めたダスティン・カーマックは米国はインド太平洋諸国と情報共有協力を強化しており、ファイブアイズの正式変更は「言うは易し実行は困難」とする。

  2. 「すでに相当の作業が舞台裏で実行されており、従来より良好な連携が生まれている」とカーマック(現ヘリテージ財団研究員)は述べた。

  3. 例として、米国は軍事通信情報や基地をインドと共有しており、オバマ政権トランプ政権による交渉の結果だという。

  4. カーマックはファイブアイズ拡大について「賛同する」としたが、ファイブアイズの情報源や収集方法を守ることができるか追加国の審査が必要と注意喚起している。

  5. ファイブアイズは第二次大戦中に生まれた英米間の情報収集合意が元で枢軸国の打破を目指した、その後三か国を加えた。合意は70年余も存続している。

  6. ここ数年は中国が加盟国を驚かすことが増えている。今夏の極超音速ミサイル実験もそのひとつで、ミサイルは地球を一周した。

  7. ガレゴ委員長は日本、韓国、インドを加えれば米国は情報網を拡充し、中国への監視機能が向上すると述べ、理由として該当国の文化・地理条件を上げた。

  8. 「韓国とは長年にわたり協力を続け、韓国は中国国内やアジアに優秀な情報源を有し、うまく機能させているが、米国は情報を英国との例と同様に共有している」

  9. ガレゴ委員長は長年続いている構造の変更は手続き面や慣行の面からきびしい戦いになり、候補各国の情報面での関係で精査が必要と指摘した。一方で外交関係や情報活動の効果の点で新規加盟を認める効果が生まれるとした。

  10. 「基本は中国への警戒と同時に各国を勇気づけることだ。つまり『信頼するからこそ情報共有の輪に迎える』と伝える」

  11. ファイブアイズ各国はヨーロッパにルーツを有する白人国であり、ガレゴは拡大には既存加盟国の抵抗が出るかもしれないとする。

  12. 「アジアの非白人国家との情報共有に抵抗する向きが想定できる。率直に言ってこうした感情は捨てるべきだと思う。なぜなら世界は一変しており、こうした友邦国と一緒に戦う必要があり、こうした国なしでは戦いたくないからだ」

  13. .ガレゴが中心となりまとめた条項は国防予算認可法案に盛込まれ、9月に可決された。上院通過はまだで、下院案との調整が必要だが、ジョー・バイデン大統領に送られ署名の上成立する。■

 

‘Nine Eyes’? Bill Would Look at Adding Four Countries to Intel-Sharing Pact

 

Lawmaker says current ‘Anglophile view’ is insufficient against China.

BY TARA COPP

SENIOR PENTAGON REPORTER, DEFENSE ONE

NOVEMBER 2, 2021 12:26 PM ET


2021年9月8日水曜日

ファイブアイズはナインアイズへ。日本、インド、ドイツ、南朝鮮の加盟へ。

 



「ファイブアイズ」サミットがカリフォーニアで2019年に開かれた(Photo: Rights reserved).


「ファイブアイズ」通信傍受追尾集団を率いる米国はオーストラリア、カナダ、ニュージーランド、英国とともに新規加盟国を加えたいとする。


1941年の大西洋憲章調印後に英米両国は枢軸国の通信傍受の仕組みづくりに動いた。1946年のUKUSA合意に発展し、1948年にカナダを加え、その後オーストラリア、ニュージーランドが1956年に加入し、「ファイブアイズ」(FVEY)が生まれた。


その後、第二陣として発足五か国と同等ではないが、デンマーク、フランス、ノルウェー、オランダ加わり、さらにその後ドイツ、ベルギー、スペイン、イタリア、スウェーデンも加わった。今回は第四次加盟国として南朝鮮、イスラエル、日本、シンガポールが加わる。


下院軍事委員会はドイツ、南朝鮮、インド、日本の地位を高めるべきとの構想を練っている。


ファイブアイズの全貌は2013年にエドワード・スノーデンがすっぱ抜くまで誰も知らなかった。この「内部告発」によりファイブアイズは外国勢力のみならず加盟国国民も監視対象にしていることが判明した。スノーデンは現在ロシアに亡命中だが、以下の監視事業五種類を暴露した。

  • プリズムは主要インターネットプロバイダー各社上のインターネット通信を不法に監視するもの

  • テンポラは潜水艦ケーブルを介しての通信傍受

  • マスキュラーは国際間のデータベースのやり取りを傍受する

  • ステイトルーム(ウィーン条約に違反し大使館、領事館の現地通信を傍受する)

  •  Xキースコアは世界規模のデータ処理


ファイブアイズは国家が運用するというよりむしろ国家の域を超える存在だ。各国の憲法や基本法を違反することもある。加盟国の元首や政府が集まった姿よりも強力を誇る。「世界で最も監視されてるのはファイブアイズ」国の市民で、中国やロシア国民よりもその監視の強さは大きい。■


"Five Eyes" about to become "Nine Eyes"

VOLTAIRE NETWORK | 6 SEPTEMBER 2021


2018年2月11日日曜日

★ファイブアイズに堂々と関与するフランス情報部の自信ぶりはどこから来るのか。日本が相手にされる日がくるのか。

軍事情報のマフィアのような五か国をファイブアイズと呼んでいますが、そこにフランスも積極的に関与をしはじめているようです。Defense Newsの記事です



French official details intelligence-sharing relationship with Five Eyes

フランス関係者がファイブアイズとの情報教諭関係の一端を明らかにした


The Five Eyes partnership includes Australia, Britain, Canada, New Zealand and the U.S. (Devan Feeney/Staff)

By: Pierre Tran    

https://www.defensenews.com/global/europe/2018/02/05/french-official-details-intelligence-sharing-relationship-with-five-eyes/

PARIS — フランス関係者がワシントンでファイブアイズ情報グループと情報共有をしているのは同国の情報収集力と高価値情報の交換機能がフランスに期待されることの裏返しだ。フランス軍情報部DRM(軍事偵察局)の空軍大佐の一人が語る。
 「こちら側に重要な情報があることの証しだ」と大佐は国防記者協会で講演した。大佐は本名を明かしていないのはDRM長官ジャン・フランソワ・フェルレ空軍大将Gen. Jean-François Ferletの要望に従ったものだ。
 大佐は実態は「ファイブアイズ・プラス・フランス」だとし、オーストラリア、英国、カナダ、ニュージーランド、米国の情報交換にフランスが参加していると紹介した。
 フランスが加わったのは一年前のことで、先行して米仏関係が2013年から2014年にかけ強化されたことを受けてのことだという。
 フランスには「自律能力」があり、各国依存がなくてもやって行けると大佐は説明。これでフランスが各国と情報交換する際の関係が定義されており、特に対米関係で重要だという。
 大佐は米国が世界を「黒白」決めつける傾向があるというものの、フランスもイランに協力するイラク軍事集団筋がシリア政府を不安定化させていると見ている。米国は12月に連合国と会合を開き、複雑な状況を解明しようとした。フランスは経験豊かなアナリスト部隊を現地に置き、詳細に解明しようとしている。
 イラクとシリア国境近くの渓谷地帯にイラン、ロシア、シリア、イラク、アラブ各国の勢力がそれぞれの目的をもち混在していると大佐は説明。
 DRMは現地に20名強の人員を送り、画像、通信、電子偵察の専門分野を担当させている。
 別のアナリスト部隊に「オープンソース」情報を専門に担当させており、特にインターネットの動きを注視している。インターネットではDRMは虚偽のIDを使う工作員、特にフランス国内での動きを注視している。
 大佐はJ2情報部隊の長で情報活動全般を計画実施する部隊のの恥部だ。DRMはおよそ2,500名を抱え、大部分はパリ北方クレイユ基地に勤務している。■

フランスが独自の情報をつかんでいるからファイブアイズに加わることを許されるんですね。日本は小泉首相がかつてエシュロンへのアクセスを求めて拒否されていましたね。やはり中身のある情報を握っていなければだめです。そこで日本が優位を発揮できる分野はどこかと思うと朝鮮、中国、シベリアなどどうしても地理的に近い場所での情報活動が想起されますが、ヒューミントがやはり重要ですね。報道機関、商社、メーカーと各地に日本はプレゼンスを持っていますが、協力者のネットワークを作り上げる努力をしているのでしょうか。それが無理ならサイバー分野でのハッカーはじめ犯罪集団(北朝鮮含む)の情報でしょうかね。

2016年6月17日金曜日

★Brexit>EU脱退を選択した英国に三つの可能性


EU脱退の選択に終わった場合の英国はどんな戦略方針に向かうべきか、というのが今回のテーマです。経済面ではEU脱退にを想定した動きが出ていますが、状況は混とんとし票差はわずか、つまりどっちに転んでおかしくないでしょう。EUそのものが不要と英国民が選択すれば一気に制度が崩壊し現状維持が旨の主流派はなんとか残留の結果を出してもらいたいと必死ですが、どうやら安全保障上は世界の終わりではないようです。以下お読みください。

The National Interest


Little Britain, Middleman, or America's BFF: the UK's Options after Brexit

Image: Flickr/c.art.

June 16, 2016

  1. 6月23日、英国有権者は再び国民投票に臨み、欧州連合に残留するか留まるかで意思を示す。外交政策や国際関係関連で投稿する喜びのひとつに歴史上の「もしも」の疑問に答えることだ。過去の暗い記録から予測しEU脱退した場合を考えるのは面白い作業だ。英国離脱Brexitが本当に実現した後の想定はスコットランド離脱を巡る国民投票や婚約破棄とは違う。だが関心の的は「離婚回避」に失敗したあとに英国の長期的戦略がどうなるかで、可能性は三つと見ており「小英国」「仲介役」「永遠の大親友」と呼ぶ。

小英国モデル
  1. まず「小英国」とはEUの陰から英国が抜け出し地政学的に多国間関係を強めることで、1973年に同国がEUに加盟した時点の状況を上回ることだ。国家主権を重視する政治主張が有権者に影響を与えれば英国はかつての「栄光ある孤立」に復帰することになる。この言葉を生んだサリスベリ卿の時代には帝国版図だけに留意し欧州大陸のごたごたとは一線を画せた。今日では冷戦期の日本が例だ。日米同盟関係に守られて日本は新重商主義外交を展開し、地政学上の危険から距離を置きつつ同盟側には最低限の支援しか提供しなかった。英国に置き換えると米国およびNATOと正式な防衛取り決めは維持するが英国に直接関係しない事態へは積極対応はしない。世界に背を向け紅茶をすすり午后をクリケットで楽しむ英国となる。
  2. この場合の英国は参戦に慎重になる。西側の一員とはいえ自国に死活的な権益がある場合のみ戦火を開くことになる。ただし過去の栄光ある孤立から学ぶものがあるとすれば、英国外交にほとんど益がないことだ。孤立主義で紛争を初期段階で抑える介入が遅れたのは、集団対応策の実施ができずその意向もなかったためだ。1890年代末のドイツの台頭が例で最後まで傍観者のままで、ドイツを放置したため1870年代の普仏戦争時よりかえって強力で悪意あるドイツを作ってしまった。

調停役モデル
  1. 二番目の可能性は英国が中間業者に似た立場になることだ。これは韓国の元大統領盧武鉉が2000年ごろに提唱した「バランサー」論に似ている。この発想では「小英国」よりは規模を拡大して中間国あるいは誠実な調停役の役割を演じる。例えば英国政府は米中間の亀裂を解消する立場になる。両方に大事な点を伝える仲買人外交を務め、誠実な調停者あるいは銀行家となる。つまるところBrexit後の予測として経済崩壊が言われるが、ロンドンは引き続き世界の金融センターのままむしろ成長するだろう。英国の金融大国としての国力は閉じられた扉の中でも強いようだ。
  2. ただし歴史をひも解けば誠実な仲介者役は状況の進展につれ発言力を失う傾向がある。教科書を見れば誠実さの欠ける国は仲介者として成功していないことがわかる。英国自体が大戦間に仲介役を心がけたがドイツを怒らせ結果としてフランスの力を弱めている。英仏両国の努力が結果を結ばなかったのは明白である。では現代においてはどうだろうか。インドは長い間にわたる調停役の経験を有するが、同国でさえ非同盟主義が今日では逆に危険につながると気づき始めている。誠実な調停役では機密情報や防衛装備の入手が同盟国時より劣るのは当然だ。相手にすればどちらにつくのかわからない。中国とロシアが一層強圧的な政治手法をとり、歴史修正主義の立場で法支配が前提の自由主義の秩序に挑戦する世界で日和見の立場を取れば状況の危険性を見抜けず致命的な誤算を招きかねない。

永遠の大親友モデル
  1. 最後のシナリオは英国が中核的な安全保障関係を抜本的に見直し、テコ入れすることだ。この選択では従来の同盟国たる米国との関係が強化されNATO重視にもつながる。同時にオーストラリア、ニュージーランドとの最恵国貿易関係、安全保障、住民移動関係が復活するだろう。EU加盟でこの関係は弱くなっていた。EU型から離れた英国は同盟国とともに以前から存在する制度に新しい利用価値を与えるだろう。「ファイブアイズ」(英米加豪ニュージーランド)がアングロスフィアで長い間安全保障の柱だ。英国内エリート層はファイブアイズの再強化策として目に見えない存在から閣僚級組織に格上げし英国および最密接な同盟各国の自由体制を守る手段に変えようするかもしれない。さらにファイブアイズの門戸を広げ、インドやスカンジナビア、北東アジアの諸国の追加を考えてよい。

望ましい選択肢は
  1. 英国の進むべき道では三番目の選択肢が安全保障上、国家主権の独立性の観点双方で優れていると写る。ただしこれから数十年にわたり英国民がどの方向を望むのかはうかがい知れない。三つの選択肢で英国の一般国民や政治エリートに尋ねても意見はバラバラだろう。小英国モデルは地方部で人気を集めるだろう。地方の独立党支持者や過疎地でEU脱退論が一番強い。調停役モデルを一番強く支持するのは保守党内のビジネス観点を有する層ならびにコービー党首率いる新しい労働党の中で専制主義に寛容な一派だろう。ロンドンの都市住民層では人種文化が多様化しており、調停者構想が一番合うのではないか。これは英国がイラク侵攻に参加した2003年の影響で、米国との特別関係に不安を覚える感情のなせる業だ。
  2. 米国との複雑な関係があるからこそ都市部住民で教育を受けたエリート層は米国と自由主義を共有しても、ロシアや中国へは違和感があるはずだ。本人が認めるか定かではないがジェレミー・コービンが一番共感できるのはバーニー・サンダースでありウラジミール・プーチンではないはずだ。また労働党支持層は社会多様性、社会正義、人権がアメリカ社会で扱われている様を共感しても、ロシアが同性愛者を非合法化し、中国が人権運動法律家を投獄するのは容認できないはずだ。この深いつながりが最終的に(ロシアからの潜入者が多いとはいえ)労働党政権が誕生しても毎回英米同盟関係を維持している理由である。そして最良の友人構想を強く支えるのが根っからの保守党支持者と穏健な労働党支持層でともに全国に散らばる。こうしてみると最後の選択肢になれば西側防衛体制は再強化されたメンバー国に出合えそうだ。6月23日の結果と関係なく、米国の政策決定層は英国に手を差し伸べ、英国民に対して米国が最古の同盟国であることを思い出させ、結果と関係なく米国は英国の側につくことを伝えるべきだ。

本稿の著者ジョン・ヘミングスはCSIS戦略国際問題研究所の太平洋フォーラムで非常勤研究員でロンドン大学政経学部でアジア太平洋における米国の同盟戦略を研究し博士号取得をめざしている。