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2025年7月12日土曜日

DARPAが貨物水上機プログラムを終了、技術の新用途に注目するというが(Defense News)—やはり途中で中止ですか。今回の研究内容が次の装備につながるか注目です

 


オーロラ・フライト・サイエンシズは、リバティ・リフターに手を加え、フロートを翼端に移動させ、尾翼を調整し後部貨物ドアに対応できるようにしていた...(オーロラ・フライト・サイエンシズ)


防高等研究計画局(DARPA)は、大型貨物用水上飛行機の開発実験を終了した。

 3年近く続いたリバティ・リフター・プログラムは、荒海でも離着陸できる長距離で低コストの水上機を設計・製造するのがねらいだった。 

 DARPAは2023年、M1エイブラムス戦車など170,000ポンド以上の貨物を輸送できるC-17グローブマスターとほぼ同じサイズと能力を持つ飛行機にしたいと述べた。

 DARPAはジェネラル・アトミクスおよびボーイングの子会社オーロラ・フライト・サイエンシズとリバティリフターの開発に取り組んでいた。

 DARPAは、貨物用水上飛行機を開発することで、軍や営利団体が迅速なロジスティクス任務を遂行する新たな機会につながるとともに、大型航空機の製造コストを引き下げる革新的な製造技術や材料の開発を期待していた。

 DARPAはDefense Newsに寄せた声明の中で、6月にリバティー・リフター・プログラムを終了したと明らかにした。 Aviation Weeが最初にリバティリフター計画の終了を報じた。

 「高い海面状態でも離着陸可能な飛行艇を製造できることを学んだ」と、プログラム・マネージャーのクリストファー・ケントは語った。「 物理学の理にかなっており、海上での建造技術と海上での複合材料でそれが可能であることを学びました」。

 しかし、DARPAは、航空機製造に進むことはなく、あくまでもデモンストレーターに過ぎないとしていた。

 「現在より大幅に安く、大幅に多くの場所を飛行できるプラットフォームを構築できるという、当初抱いていた仮説が立証できました」とケントは語った。「はるかに効率的な建設技術で次世代航空機を製造する道を開くものです」。


 オーロラは、本誌に寄せた声明の中で、このプログラムを通じて開発した技術は今後何年にもわたって使用されるだろうと述べた。

 「リバティ・リフター・プログラムを通じて当社は設計の実現性と斬新な製造技術の実現可能性を示すことができました。「当社は、リバティリフターの予備設計で成し遂げた技術的進歩を誇りに思っており、これらの学びを将来のプログラムに応用することを期待しています」。

 DARPAによると、2023年後半にリバティリフタープログラムを再編し、技術的なリスク低減活動を前倒しした。2024年初頭、DARPAはジェネラル・アトミクスをプログラムから外し、オーロラ社提案を継続すると発表した。

 オーロラとDARPAは、水上飛行機の技術的設計を実証するために、水上飛行機用の新工法と新素材の製造と応力テストの例と同様に、縮尺模型のシミュレーションとテストを行った。

 DARPAによると、これらのシミュレーションとテストは、コンセプトが実行可能であることを示した。DARPAは現在、国防総省の産業界や他の関係者と協力し、これらの技術を他の形で迅速に実用化する方法を模索している。

 リバティリフターに総額約9800万ドルを費やしたとDARPAは認めている。■


DARPA ends cargo seaplane program, eyes new uses for tech

By Stephen Losey

 Jul 10, 2025, 01:03 AM

https://www.defensenews.com/air/2025/07/09/darpa-ends-cargo-seaplane-program-eyes-new-uses-for-tech/



スティーブン・ロージーについて

スティーブン・ロージーはDefense Newsの航空戦担当記者である。 以前はAir Force Timesでリーダーシップと人事問題を、Military.comで国防総省、特殊作戦、航空戦を担当していた。 中東に赴き、米空軍の作戦を取材した経験もある。



2025年4月30日水曜日

リバティ・リフター・エクロノプラン デモンストレーター、C-130サイズ荷重の揚力を目指す(The War Zone)

 Aurora Flight Sciences has provided new details about the demonstrator design it is working on for the Defense Advanced Research Projects Agency's (DARPA) Liberty Lifter X-plane program.  

Aurora Flight Sciences capture


DARPAは、リバティ・リフター X-planeの初飛行を2028~2029年に目指し、ここから大型量産機の開発につながる可能性がある

オーロラ・フライト・サイエンシズが詳細を公開

ーロラ・フライト・サイエンシズは、国防高等研究計画局(DARPA)のリバティリフターLiberty Lifter X-planeプログラム向けに開発中のデモ機設計に関し新たな詳細を明らかにした。

 リバティ・リフターの主要な目標は、翼地面効果(WIG)原理を採用した新しいエクラノプラン型輸送機の設計を実証することにある。この実証機を基にした将来の機体は、米軍に滑走路を必要とせず長距離で大量の貨物と人員を輸送する新たな手段を提供できる可能性を生む。

 オーロラの製造部門ビジネス開発ディレクター、リチャード・クーチャーヴィは、本日開催された「モダン・デイ・マリン」展示会で、本誌のハワード・アルトマンに対し、リバティ・リフターの最新状況を伝えた。2023年、オーロラ・フライト・サイエンシズとジェネラル・アトミクスは、リバティ・リフターの初期開発を行う契約を獲得しました。昨年、DARPAはボーイングの完全子会社オーロラ・フライト・サイエンシズを、飛行デモ機開発を単独で継続する企業に選定した。

 オーロラによる最新コンセプトアートでは、V字型の船体を持つ飛行艇スタイルの配置が特徴で、大型の直線型主翼と翼端フロートを備え、8基の翼搭載ターボプロップエンジンで駆動される。また、水平安定板で上部に接続された双垂直尾翼も備える。貨物(軽装甲両用車両を含む)は、大型の後部ランプから荷下ろしされる。

 ジェネラル・アトミクスは、より革新的な双胴設計を提案している。


 「当社は、目標機体の約80%スケールのデモ機を設計しています」とクーチャーヴィは説明した。このスケールは「目標機体をフルスケールで建造しなくても有益な教訓を抽出できます」。

 「現在、C-130輸送機に近いサイズ、25トン(積載量)の機体を検討しています」と彼は続け、デモ機は翼幅約216フィートとなる見込みだと付け加えた。また、米国政府が供給するエンジンを使用する。

 DARPAは以前、リバティリフターの最終形は、C-17AグローブマスターIII貨物機と同等の積載容量を持つと述べていた。C-17の公称最大積載重量は約82トンだが、実際の飛行では60トン以下の貨物と乗員を積載して飛行するのが通常だ。


C-130(手前)とC-17(後方)。米空軍

 DARPAが過去に公開したリバティリフターの要件には、海況4までの条件下で水面離着陸が可能であり、海況5までの「持続的な水上運用」が可能なことも含まれている。この海況は、風速11~16ノットと17~21ノット、波高3~5フィートと6~8フィートで特徴付けられる。

 「当社は非加圧コクピットを備えたデモ機を建造しています。なぜなら、この機体は主に地面効果飛行を目的としているため、数百フィートの範囲内と水面から非常に近い高度を飛行することになるからです」とオーロラのクーチャーヴィは説明しました。「そのため海況が少しでも悪化しても、航空機が長距離にわたって地面効果を維持できる技術が必要です。特に、激しい波が予想される状況でもです。これがプログラムの技術的課題の一つです」

オーロラ・フライト・サイエンス/DARPA


 翼地効果(WIG)原理を活用した飛行プラットフォームの概念は新しいものではないが、このような設計が成功を収めた実績は少なく、特に軍事用途では顕著だ。ソビエト連邦は軍事用WIG設計の最も著名な運用国であり、ロシア語で「エクラノプラン」と呼ばれる機体は、現在ではWIG設計の総称として広く使用されているが、その運用は限定的だった。近年、ロシアで軍事用エクラノプランの復活を試みる努力は、現在まで運用可能なタイプを生み出していない。

 ソビエト連邦が完成させた唯一のプロジェクト903ルン級エクラノプラン(巡航ミサイル搭載)が、2020年にカスピ海で展示目的の移動試験を実施している。


 エクラノプランは、通常の船舶設計に伴う抵抗を受けないため高速移動が可能であり、翼が生み出す揚力も利用できる高効率な水上機となる。一方で、高速での海面すれすれ飛行には課題があり、オーロラのクーチャーヴィが指摘するように、水面上の物体や高い波との衝突リスクなどがある。

 これらの課題を克服するため、DARPAの「リバティ・リフター」プログラムは、必要に応じて伝統的な飛行艇のように動作可能なハイブリッド設計を提案している。この設計は「平均海面高度10,000フィートまで飛行可能だが、その場合航続距離を犠牲とする」仕様となっている。

 「航空機の設計初期段階では、予備設計段階で航空機の外形がほぼ決定され、構成を理解していますが、詳細設計段階に進むとまだ設計作業が残っています」とオーロラのクーチャーヴィは述べました。「そのため、詳細設計段階に進み、航空機の建造を開始できることを楽しみにしています」。

 DARPAは、今夏にリバティリフターの次段階への進捗判断を行う見込みだがクーチャーヴィによると、実証機を実際に建造する場所については「まだ未定」だ。

 「このプログラムの目的の一つは、航空宇宙建造に限定せず、可能な限り海洋製造プロセスを最大限活用することです」とクーチャーヴィは説明。「したがって、航空機は海洋船舶建造プロセスと航空機建造プロセスの組み合わせで建造されます」。

 これは『海洋分野の熟練した人材を擁する立地』を探していることを意味し、海洋建造側で航空機の建造と組み立てを支援できる『造船所やその他のパートナー』が近くにあることが必要だ。「その後、航空機を水上に浮かべる必要があります」と彼は続けた。「この航空機には着陸装置は搭載されません。デモ機は陸上ベースの航空機ではありません。そのため、製造後間もなく、製造プロセスの一環として浮かせられ、その生涯の大部分を水上で過ごすことになります」。


オーロラ・フライト・サイエンシズ/DARPA

 海軍建築と海洋工学の企業ギブス・アンド・コックス(Leidosの傘下企業)がオーロラのリバティリフターチームに当初から参画している。

 オーロラの設計における海洋への焦点は、DARPAがリバティ・リフターで実証を目指す広範な目標を反映したものだ。

 「リバティ・リフタープログラムは現在、国防総省(DOD)と商業分野の高速物流ミッションを変革する可能性のある、手頃な価格の革新的な水上飛行機を設計し、建造、浮上、飛行させることを目指しています」と、DARPAのウェブページで説明されている。「リバティリフターの革新的な製造技術と材料は、既存インフラを活用して低コストで迅速に構築できる能力を提供し、戦場での戦闘員の効率性を向上させるための防衛産業基盤の強化に貢献します。リバティリフターは、船舶の規模で海上捜索救助や災害対応を、航空輸送の速度で実現する可能性もあります」。

 DARPAによると、リバティリフターは従来型貨物機への代替案を提供するだけでなく、「既存の海上輸送プラットフォームをはるかに上回る速度で大型荷物を効率的に輸送する新たなツール」となる可能性がある。

 既存の貨物船より高速で、滑走路に依存しない海上物流能力は、太平洋での将来の紛争で特に価値あるものとなる可能性がある。特に中国との高強度な戦闘において、地域内の米軍部隊は攻撃への脆弱性を軽減するため、インフラが未整備の遠隔地を含む広範な地域に分散配置されるだろう。既存の空輸・海上輸送資産は、分散した作戦を支援するため、過重な任務を負わされかねない。

 さらに、リバティ・リフターは潜水艦や対艦ミサイルなどの海上脅威を回避できる。非常に低い高度での飛行プロファイルは、特にレーダー探知を回避することで、航空機の生存性を全体的に向上させる。

 これらの点を踏まえ、滑走路に依存しない航空能力、または滑走路への依存度が低い航空能力が米軍にますます注目されている。米特殊作戦司令部(SOCOM)は、MC-130JコマンドII特殊作戦給油/輸送機のフロート機バージョンを開発していたが、昨年、予算問題のためプロジェクトを中止した。日本の新明和US-2水上機も、この種の能力を実現する別の可能性として議論対象になっている。

 一方、国営の中国航空工業集団(AVIC)は昨年、2000年代後半から開発を進めてきた大型水上機AG600の量産開始を発表した。本誌は過去、AG600が中国が南シナ海で維持する遠隔の島嶼基地を支援するのに特に適している点を指摘してきた。

 DARPAがリバティリフターを継続するか、オーロラの計画中のデモ機が実際に初飛行を行う時期は未定だ。同プログラムは現在、飛行試験の開始時期を2028~2029年に延期する可能性を検討している。これは当初の2027~2028年スケジュールからの変更だ。DARPAのX-planeプログラムは必ずしも実現するとは限らず、オーロラは2018年に中止されたハイブリッド電気式垂直離着陸ドローン「XV-24LightningStrike」でその経験がある。

 「DARPAは今年、今夏に、予備設計審査を実施し、詳細設計段階と実証機製造を開始するかどうかを決定する必要があります」とクーチャーヴィは認めた。「当社はDARPAが判断を下すために必要なものを提供する準備は万全です。この機会を楽しみにしています」.。

 現時点でオーロラの設計は、米軍向けの新たなエクラノプラン輸送機の基盤となる可能性のあるものとして具体化しつつあるといえよう。■

Liberty Lifter Ekronoplan Demonstrator Aims To Lift C-130-Sized Payloads

DARPA is eyeing a first flight for the Liberty Lifter X-plane in 2028-2029, which could lead to a much heavier-lifting production aircraft.

Joseph Trevithick

Published Apr 29, 2025 1:42 PM EDT

https://www.twz.com/air/liberty-lifter-ekronoplan-demonstrator-aims-to-lift-c-130-sized-payloads


2025年3月4日火曜日

DARPA(国防高等研究計画局)が軌道上で大型構造体を建設しようとしている(The National Interest)―いつも飛び抜けた構想で楽しませてくれるDARPAですが、今回は画期的なインフラづくりに注力するようです

 



NOM4Dプロジェクトは、民間宇宙セクターにとって間違いなく恩恵となるが、米軍にとっても戦略的意味をもたらしそうだ

ランプ政権の言うとおりなら、米国は国内製造業に革命を起こすことになる。トランプ大統領の任期が終わるまでにそれが実現するかどうかは別として、過去50年にわたって依存してきた製造業のグローバル化ネットワークに依存し続けることはできないと、米産業界が理解していることは事実である。 革新的な方法として検討されているのが、軌道上での製造である。

 国防高等研究計画局(DARPA)と、2022年に開始された新規軌道・月製造、材料、質量効率設計(NOM4D)プログラムである。NOM4Dの目標は、宇宙での製造のために原材料を軌道上に輸送する方法を開発することである。これまでのところ、このプログラムは過去3年間で予想を上回る成果を上げており、DARPAは実験室でさらなる研究を行う必要性を感じていないほどである。

関係団体

カリフォーニア工科大学(Caltech)やイリノイ大学アーバナ・シャンペーン校などのパートナー機関とともに、2026年に軌道上でテストされるプロジェクトが少なくとも2つある。そのひとつは、NOM4Dプログラムのもうひとつのパートナーである宇宙製造スタートアップ企業モメンタスMomentusとの共同実験である。

 実験では、Caltechの複合ファイバーロンゲロン組立ロボットを使用し、軌道上でアンテナ開口部の部品を組み立てる。DARPAは、軌道上での組み立てが可能であると証明できれば、宇宙空間での大型構造物の建設に向けた第一歩になると考えている。

アメリカの軍事・民間宇宙プログラムの構築

NOM4Dプロジェクトは、発展途上の民間宇宙部門に恩恵をもたらすだけでなく、宇宙での足場拡大にますます力を注いでいる米軍にとっても、真の戦略的意味を持つ可能性がある。 特に、月や火星のような天体の資源を利用するという長期的な目標が、アメリカの宇宙植民地化の成功を左右するからだ。

 メタマテリアルを使った構造物を大規模にテストすることは、人類の宇宙定住を可能にする鍵である。 新しい宇宙経済を支える支柱のひとつとなるだろう。

 この分野で重要なブレークスルーを最初に達成できた国(または企業)のいずれかが、前世紀のSF作家の荒唐無稽な夢を実現することができるだろう。 そしてDARPAは、中国ではなく、米国が最初にそこに到達することを確実にするための努力を主導している。

 月や火星(そしてその先)に巨大な施設や設備を建設するのはまだ何十年も先の話だが、少し身近なところでは、DARPAのNOM4Dチームが現在開発している方法は、米国が地球を回る軌道の優位性を再び確保する(そしてそこから月やその先へとその優位性を拡大する)上で大きな影響を与えるだろう。NOM4Dの実験がうまくいけば、地球での生活をより良いものにするまったく新しいシステムを構築することができる。

アメリカは宇宙ベースの太陽エナジーを手に入れるかもしれない

宇宙太陽光発電の革命について考えてみよう。 国家安全保障局(NSA)は、2007年時点で、この技術がゲームを変える可能性のあるエナジー生産方法だと認識していた。 実際、それ以来、中国はこの技術に多額の投資を行っている。 米国もそれに倣うべきだ。

 NOM4Dの技術を応用して地軸軌道上に巨大な集光装置を設置すれば、米国は安価な代替エナジー革命をリードすることができる。

戦略的側面を忘れてはならない

さらに、この技術の戦略的意味合いも大きい。 民間経済に恩恵をもたらすだけでなく、斬新なエナジー源は、米軍が地球上のあらゆる部隊や基地に信頼性の高いエナジーを供給することを可能にする。

 さらに、通常であれば地球上で建設し、軌道上で爆破する設備も、すべてを軌道上で建設することができるため、大幅に削減することができる。これは、2026年に軌道上で開始される予定のNOM4D実験の目的ではない。しかし、これらの実験は、民間宇宙経済や、米国が宇宙における戦略的優位性を維持するための軍事宇宙計画のための宇宙船全体の創造につながるかもしれない。

 つまり、アメリカの製造業の拡大と、新たな国家宇宙経済の台頭が合致するのである。 これは、米国の発展をより良い方向に大きく変えるだろう。


2025年2月19日

By: ブランドン・J・ワイチャート


https://nationalinterest.org/blog/techland/darpa-is-going-to-build-superstructures-in-space


著者について ブランドン・J・ワイチャート

ブランドン・J・ワイチャート(Brandon J. Weichert)は、The National Interestのシニア・ナショナル・セキュリティー・エディター、Center for the National Interestのシニア・フェロー、Popular Mechanicsの寄稿者であり、地政学的問題について様々な政府機関や民間団体と定期的にコンサルティングを行っている。 ワシントン・タイムズ』、『ナショナル・レビュー』、『アメリカン・スペクテイター』、『MSN』、『アジア・タイムズ』など、多数の出版物に寄稿。 著書に『Winning Space: How America Remains a Superpower』、『Biohacked: The Shadow War: Iran's Quest for Supremacy』などがある。 最新刊『A Disaster of Our Own Making: How the West Lost Ukraine』(邦訳『西側諸国はいかにしてウクライナを失ったか』)は書店で購入可能。 ツイッターは@WeTheBrandon。




DARPA Is Going To Build Superstructures In Space

February 19, 2025

By: Brandon J. Weichert


https://nationalinterest.org/blog/techland/darpa-is-going-to-build-superstructures-in-space


About the Author: Brandon J. Weichert

Brandon J. Weichert, a Senior National Security Editor at The National Interest as well as a Senior Fellow at the Center for the National Interest, and a contributor at Popular Mechanics, consults regularly with various government institutions and private organizations on geopolitical issues. Weichert’s writings have appeared in multiple publications, including the Washington Times, National Review, The American Spectator, MSN, the Asia Times, and countless others. His books include Winning Space: How America Remains a Superpower, Biohacked: China’s Race to Control Life, and The Shadow War: Iran’s Quest for Supremacy. His newest book, A Disaster of Our Own Making: How the West Lost Ukraine is available for purchase wherever books are sold. He can be followed via Twitter @WeTheBrandon.



2025年1月9日木曜日

DARPAのめざす滑走路に依存しない高速航空機SPRINT事業の詳細を請負業者が明らかにしている(Defense One)―いつも一歩飛び抜けたプロジェクトを推進するDARPAのような機関が日本にも必要ですね

 An artist’s conception of various military aircraft based on Aurora Flight Sciences’ fan-in-wing technology.

オーロラ・フライト・サイエンスのファン・イン・ウイング技術に基づく様々な軍用機の想像図. AURORA FLIGHT SCIENCES



DARPAは、技術実証機の設計を4月に審査する


DARPAのSPRINT垂直離陸プログラムの最終設計期限が視野に入ってきたところで、請負業者2社から候補機に関する新たな詳細が明らかになった。

 オーロラ・フライト・サイエンシズは、45フィートの翼幅と1,000ポンドのペイロードを持つ無人デモンストレーターを準備していると10月の声明で述べた。 この実証機には「市販のターボファンエンジンとターボシャフトエンジン」が搭載され、機体を最低要件を50ノット上回る450ノットまで上昇させる予定だという。

 これらの既製部品は、昨年5月のプログラム開始時にオーロラが発表した革新的な「ファン・イン・ウイング」(FIW)システム、つまりステルス性、垂直飛行、固定翼の積載量と速度を兼ね備えた混合翼の機体設計に利用される。

 この基本設計は、「4つの揚力ファンと40フィートのペイロードベイを備えた、翼幅130フィートの有人航空機」のような、各種中型・大型揚力航空機用にスケールアップできる、とオーロラの関係者は10月の声明で述べている。「FIW航空機は、真の垂直離着陸の戦術的利点を提供しながら、固定翼の軍用輸送機の典型的なペイロード、航続距離、速度を満たすか、それ以上にすることができる」。

 他方でSPRINT契約を結んでいるもう1社ベル・テキストロンは先月、「ストップ/フォールド・ローター・システム」の風洞試験を完了したと発表した。このシステムは、航空機がローターを使って垂直離陸した後、ローターを後方に折りたたみ、別の、おそらくより高速で燃料効率の高い推進システムに引き継ぐものだ。 (2023年2月、テストコースでStop/Foldローターアセンブリが動作している動画がある)。

 SPRINT計画(正式には、米国防高等研究計画局と米特殊作戦司令部が運営するSpeed and Runway Independent Technologies(速度・滑走路非依存技術)プログラム)は、400~450ノットで巡航し、過酷な環境で未整備の路面から飛行できる、さまざまなサイズの軍用機の動力源となる技術とコンセプトを備えた概念実証の技術実証機を求めている。 オーロラのリリースによると、予備設計審査は2025年4月に予定されており、飛行試験は2027年に計画されている。

 このプログラムの要件は、「太平洋地域での作戦でもたらされる広大な範囲と距離の課題に応え製造された将来の航空機に目を向けている米国の意思決定者にとっての緊急の必要性を強調するもの」である。    フォーキャスト・インターナショナルのアナリスト、ジョン・ヘムラーは最近の投稿で、「米陸軍のFLRAA配備が10年後に迫っていることから、米国の4軍すべてが間もなくティルトローター機を運用することになる」と書いている。 「国防総省の航空機取得の長期的な将来と、おそらくすべての軍部隊が顧客となることを考慮すると、効果的な設計を提供するための賭け金は高い」。■


SPRINT contractors add details about their fast, runway-independent aircraft

BY DEFENSE ONE STAFF

JANUARY 6, 2025 11:05 PM ET


https://www.defenseone.com/technology/2025/01/sprint-contractors-add-details-about-their-fast-runway-independent-aircraft/401983/?oref=d1-featured-river-top


2024年5月8日水曜日

DARPAによりテスト中の新型水中ドローン『マンタレイ』は想像以上に大型だった---各国が急ぐUUVの開発に注目

 



空中のUAVはすでに実戦投入されていますが、水中の無人装備UUVはまさしく今が開発のたけなわといったところでしょうか。その中でいつもぶっ飛んだ開発で楽しませてくれるDARPAが音頭をとる水中グライダーの大型版ともいえるノースロップ・グラマンの「マンタレイ」の新たな写真が出てきました。The War Zone記事からのご紹介です。


Testing of DARPA's Manta Ray UUV


Northrop Grumman

<em>Northrop Grumman</em>

Northrop Grumman

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Manta Ray pictured during in-water testing off Southern California.<em> <em>Northrop Grumman</em></em>

Manta Ray pictured during in-water testing off Southern California. Northrop Grumman



巨大な水中ドローンのプロトタイプは、今年初めに南カリフォルニア沖で水中テストを終えていた


月初め、ノースロップ・グラマンの長期耐久潜水ドローン実証機「Manta Ray」のお披露目について報告した。当時、このドローンは超大型無人水中航行体(UUV)と説明されていたが、実際にどれほどの大きさなのかはわからなかった。それが今、変わった。そして、我々が見ている画像によって、その説明は確かに合っている。


国防高等研究計画局(DARPA)が本日発表したテストベッドの新しい画像は、今年2月と3月に南カリフォルニア沖で行われた水中試験で撮影されたものだ。水中試験の完了は、ノースロップがマンタ・レイ・プログラムのもとでDARPAのために開発した同UUVにとって重要な足がかりとなる。このプログラムは、新しい超長距離ペイロード対応UUVの重要技術をの実証を目的としている。DARPAによると、現在、この技術の試験と移行のための次のステップを米海軍と交渉中である。



DARPAによれば、マンタ・レイの最近の水中テストは、"浮力、プロペラ、制御面など、車両の推進と操舵のすべてのモードを使用した水中操作を含む、海上での流体力学的性能を実証した"。


メリーランド州の建造場所からカリフォルニア州の試験場所までUUVを輸送するために、ノースロップ・グラマンは分解して輸送しなければならなかった。DARPAによれば、これはマンタ・レイが海軍施設の貴重な桟橋スペースを占有することなく、世界中に迅速に配備される可能性を裏付けるものである。


マンタ・レイのDARPAプログラム・マネージャーであるカイル・ウオーナー博士は、「実物大のマンタ・レイのテストは、モジュール式のサブセクションから現場で迅速に組み立てられた後、実世界での運用を想定した準備態勢を検証するものである。モジュール輸送、現場での組み立て、その後の展開の組み合わせは、超大型UUVとしては初めての能力を示している」と語った。


「マンタ・レイを作戦地域に直接輸送することで、移動中に消費されるエネルギーを節約することができます。「一旦展開されると、効率的な浮力駆動の滑空を利用し水中を移動します。多種多様な海軍任務を可能にするため、複数のサイズとタイプのペイロード・ベイを備えた設計されています」。


ノースロップの "超大型水中グライダー "プロトタイプは、マンタの "優雅な滑空"にインスピレーションを得た。このUUVは、シーグライダーのような特性を持つリフティングボディを特徴としている。同社が以前に公開したビジュアルでは、2つの小型プロペラで推進することも示されている。


要するに、マンタ・レイは「人間が行くことのできない海洋環境において、長期間の長距離ミッション」を遂行できる設計、とノースロップ・グラマンは述べている。その機能の重要な部分は、省エネ技術(海底で低電力状態で待機する)とエネルギー生成技術(ノースロップ社は再生可能エネルギー企業であるSeatrecと協力している)の追加に関するものである。


もちろん、国防総省が最終的にノースロップ製品を調達するかどうかはまだわからない。DARPAによれば、2番目の企業PacMar Technologiesは、実物大のマンタ・レイのプロトタイプのテストを続けている。ノースロップ・グラマン、パックマー・テクノロジーズ、ロッキード・マーティンの3社は、2020年にマンタ・レイ・プログラムに取り組む契約を獲得した。前者2社だけが2021年後半に次の段階に進むことが決まった。

海軍がマンタ・レイ・プログラムからどのデザインや技術を選ぶにせよ、さまざまなペイロードを長時間搭載できる「新しいクラス」のUVVを手に入れることは、海軍にとって有益であることは間違いない。


大まかに言えば、海軍は「特大」から最大まで様々な層のUUVを幅広く実戦投入することを視野に入れている。すでに、ボーイングから「オーカ」型超大型無人潜水艇(XLUUV)の第一号機を受領している。さまざまな型のUUVを保有することは、将来の海上での戦いにおいて非常に重要である。特に中国が無人水中装備品に多額の投資を行っている。


新しい画像の公開により、国防総省が将来の海軍UUVに文字通り大きな賭けに出ていることがこれまで以上に明らかになった。■


Manta Ray Underwater Drone Even More Enormous Than We Thought

New images of the giant underwater drone prototype show it completing in-water testing off Southern California earlier in the year.

BYOLIVER PARKEN|PUBLISHED MAY 1, 2024 5:29 PM EDT

NEWS & FEATURESSEA



2024年1月7日日曜日

DARPAが制御面のない画期的な実証機X-65を発表。2025年に初飛行するとあり、オーロラ・フライト・サイエンシズが実機を製造中。

 いつもぶっ飛んだ研究をしてくれるDARPAから全く新しい発想の航空機構想が発表され、実証機の制作がはじまっているとのことです。2025年に姿をあらわすとされ(異常に早い)、航空機の歴史に新たな1ページを刻んでくれる期待が高まります。今回はDARPAの公式発表からのご紹介です。





技術実証機X-65は機体に制御面がない画期的な機体になる。



DARPAは、アクティブ・フロー・コントロール(AFC)アクチュエータの飛行制御への応用の実行可能性を実証するため、オーロラ・フライト・サイエンシズを選定し、実寸大のXプレーンを製作する。この契約交付は、Control of Revolutionary Aircraft with Novel Effectors (CRANE)プログラムのフェーズ3となる。


1903年12月、ライト兄弟は、翼の反りを利用した世界初の制御可能な航空機を飛ばした。それ以来、事実上すべての航空機は、飛行制御に可動式の外部制御面システムを使用してきた。


X-65は、この100年来の飛行制御設計のパラダイムを打ち破り、加圧源からの空気噴流を利用して機体表面上に空気の流れを形成し、複数の表面にAFCエフェクターを搭載し機体のロール、ピッチ、ヨーを制御する。外部の可動部品をなくすことで、重量と複雑さを軽減し、性能を向上させることが期待されている。


「X-65は技術実証機であり、その特徴的なダイヤモンドのような翼の形状は、実物大の実環境試験でAFCについて我々が学べることを最大限に生かすように設計されている」と、DARPAのCRANEプログラム・マネージャーであるリチャード・レツィエン博士は語った。


X-65には2組の制御アクチュエーター(従来のフラップとラダー、およびすべての揚力面全体に組み込まれたAFCエフェクター)が搭載される。これにより、リスクを最小化し、制御効果に関するプログラムの洞察を最大化することができる。従来の制御面を使用した場合の機体性能がベースラインとなり、その後のテストでは、代わりにAFCエフェクターを使用して、可動面を選択的にロックダウンする。


「X-65の従来のサーフェスは、従来のフラップやラダーの代わりにAFCがどのように使用できるかを理解するための練習車のようなものです。「我々は、AFCエフェクターの性能が従来の制御機構と比較してどうなのかをモニターするためのセンサーを設置する予定であり、これらのデータは、AFCが将来的に軍用機・商用機双方にどのような革命をもたらす可能性があるのか理解できるだろう。


機体重量7,000ポンド超の無人のX-65は、翼幅30フィートで、マッハ0.7までの速度が可能となる。その重量、サイズ、スピードは軍用練習機に似ているため、飛行テストの結果はすぐに現実の機体設計に反映される。


CRANE終了後も、DARPAや他機関の試験機として使用できる。

オーロラ・フライト・サイエンシズはすでにX-65の製作を開始しており、2025年初頭のロールアウト、同年夏に初飛行が予定されている。■


DARPA Moves Forward on X-65 Technology Demonstrator


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1/3/2024