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2025年7月5日土曜日

ジェットゼロが1,400万ドルの米空軍資金カットに直面か(Aviation Week) —新興企業には波乱万丈の物語があります。民間航空から期待されていることもあり、同社にはなんとか実機開発まで進んでいってもらいたいです


KC-Z4

クレジット:JetZero


以下は民間航空の話題を中心としたターミナル1 https://aviationspacebusiness-civilaviation.blogspot.com/
と共通記事です。

ェットゼロのZ4ブレンデッドウィングボディ機への米空軍資金約1400万ドルが2026年度予算で削減される恐れが出てきた。

 新たに発表された予算文書によると、空軍は、カリフォーニア州ロングビーチを拠点とする新興航空機開発企業へのこれまでの支払い予定額から、2026年度に1,400万ドルを削減する計画とある。

 「この削減は、能力開発を最適化し、資源効率を向上させるための戦略的再編成を反映したものである」と空軍の予算文書は示している。

 空軍の広報担当者に削減理由について詳しい説明を求めたが回答は得られなかった。ジェットゼロの広報担当は、資金削減案についてコメントを避けた。

 この動きは、2年前に設立された官民パートナーシップで空軍の支援を削減する可能性がある。2023年、エネルギー・環境・施設局はジェットゼロのプロジェクト資金調達のために2億3500万ドルを拠出することを約束した。

 これまでのところ、ジェットゼロはZ4実証機のために3億ドル以上の資金を調達していると、トム・オリアリーCEOは5月初旬にエイビエーション・ウィーク誌に語った。

 空軍の予算資料によると、ジェットゼロは2024年1月に空軍から6390万ドルを受け取っている。また、2025年7月には8320万ドルの支払いが予定されている。そして3回目の600万ドルの支払いは2025年11月に行われる予定である。後者は、空軍の2026年度予算案に残る唯一のプロジェクト資金となる。

 空軍からの1,400万ドルの支払いは、ジェットゼロとの2023年の合意に含まれていたが、実現するかどうかは現在明らかになっていない。

 ジェットゼロには、民間資金調達で削減分を補うオプションが残る。同社はシリーズBの資金調達ラウンドに取り組んでいるとオリアリーは5月に語った。

 「非常に強く明確な需要シグナルがあるため、非常に順調です」とオリアリーは語った。「投資を含め、さまざまな形で私たちとパートナーシップを結んでくれた航空会社が3社あります。そしてワーキンググループには15社の航空会社が参加しています」。

 空軍は2023年、ジェットゼロが民間旅客機の運航に成功する可能性を高めるために資金援助を行った。空軍はその後、民間航空機を活用して、空中給油や空輸用途の軍用派生機を設計することができる。 ジェットゼロは、将来の空軍の要求を満たすKC-Z4空中給油バリアントのコンセプトを発表した。■


JetZero Faces $14M U.S. Air Force Funding Cut In Fiscal 2026

Steve Trimble June 30, 2025

https://aviationweek.com/defense/budget-policy-operations/jetzero-faces-14m-us-air-force-funding-cut-fiscal-2026

スティーブ・トリンブル

ワシントンDCを拠点とするAviation Week Networkの軍事航空、ミサイル、宇宙担当記者。


2025年3月28日金曜日

F-47戦闘機の公開で米空軍のステルス空中給油機計画に注目が集まるがその実現性は不明だ(The War Zone)


F-47の開発で新型空中給油機にも期待が出ているが、米空軍に両方の航空機を購入する余裕があるのかとの疑問も出ている

The U.S. Air Force's selection of Boeing's F-47 as the winner of its Next Generation Air Dominance (NGAD) combat jet competition raises new questions about plans for new stealthy aerial refueling tankers.

F-35統合打撃戦闘機に空中給油を行う架空のステルス空中給油機のレンダリング。 ロッキード・マーティン社スカンクワークス


空軍が次世代戦闘機(NGAD)コンペでボーイングF-47を選定したことにより、新型ステルス空中給油機に新たな疑問が生じている。米空軍は過去に、2つの取り組みは本質的に関連しているものの、両方の機材の購入は不可能かもしれないと述べていた。また、既存のKC-135の耐用年数を延長することも、現在および将来の需要を満たすために十分な空中給油能力を確保する上で、視野に入れられる可能性が出てきた。

 ドナルド・トランプ大統領は、ピーター・ヘグセス国防長官とデビッド・オールビン空軍参謀総長に挟まれ、先週金曜日にホワイトハウスでF-47を発表した。

 F-47は、連携型無人機(CCA)や新型ジェットエンジン、兵器、電子戦システム、センサー、ネットワークアーキテクチャ、戦闘管理機能などを含む、より大規模なNGAD構想の一部だ。また、空軍は次世代空中給油システム(NGAS)「システム・オブ・システムズ」の構想を練り上げる作業も進めており、2040年までに、あるいはそれより早く、新型のステルス機や無人給油機を導入する可能性もある。

 「調査結果については触れないでおく。それは基本的に、各種選択肢がどのようなものになり得るかについての代替案分析(AOA)だ」と、空軍のジョン・ラモントゥーン大将(空軍機動軍団[AMC]のトップ)は、先週木曜日の生放送インタビューで、Defense Oneのオードリー・デッカーからのNGASの現状に関する質問に答えた。このインタビューは、Defense Oneの「2025年の空軍および宇宙軍の現状」という仮想会議としてオンライン配信された。AMCは、老朽化が進む空軍の現有機の大半を管理しており、KC-135と新しいKC-46の両方が含まれる。

 「OSDとともにその仕上げの作業を行っており、今月末までには提出できるはずです」と、ラモントゥーン大将は続けた。「NGADで我々が何をしたか考えてみてください。NGADのAOAはかなり前のことでした。まだ、NGADを追求するかどうかを決定していません。数日以内にNGASが決定されるとは思っていません」。

 AMC司令官のコメントは、F-47発表の前日になされた。空軍は昨年、NGAD戦闘機プログラムを徹底的に見直すために保留扱いとしていた。最終的に、将来のハイエンド戦闘において最小限のリスクで航空優勢を達成するためには、新しい第6世代有人ステルス戦闘機が不可欠であるとの結論に達した。

 前述の通り、空軍当局は以前、NGAD戦闘機の決定がNGASに影響を与えると明らかにしていた。F-47については、空中給油なしでの航続距離など、まだ不明な点が多く残されている。また、空中給油の必要性を左右する運用コンセプトも、まだ予想の域を出ない。戦術戦闘機は歴史的に燃料消費量が非常に多い。大型で航続距離の長いNGAD機は、小型で航続距離の短い機体より空中給油の必要性は低いものの、より高価になる。これらは、本誌がボーイングの戦闘機設計に関する最新の分析で詳細に検討したトレードオフである。

 米軍の現行戦術機群は空中給油支援、ひいては比較的前方での空中給油機運用に大きく依存している。同時に、防空での脅威の生態系は規模と範囲を拡大し続けており、特に、非ステルス性の空中給油機やその他の支援機は、将来の大規模な紛争で敵の優先的な標的となるため、懸念すべき課題となっている。

 「分析結果から、NGADは必要だと確信しています。これは私の意見であり、上層部に意見を申し上げる立場にありますが、その違いは理解しています。しかし、それだけでは十分ではありません」と、オールビン大将は先週木曜日、Defense Oneでの別の仮想インタビューで語っていた。「素晴らしいことですが、それを取り巻く支援体制にも防御可能な基盤が必要であり、より長く飛行場にとどまるためには十分な給油が必要です」。

 生存性の高い空中給油支援の必要性での選択肢の1つとして、新型ステルス空中給油機の導入が長く検討されてきた。本誌は、このテーマを長年追跡してきた。数年前、そのような航空機を追求することが理にかなっているだけでなく、空軍にとって不可欠である理由について詳細なケースを提示した。しかし、低観測性(ステルス性)に優れた空中給油機を開発するコストや複雑性、また、十分な機数を調達し、実戦配備するのに必要となるリソースに関する懸念が持ち上がっていた。

 昨年、前空軍長官のフランク・ケンドールは、NGAS、NGAD戦闘機、およびCCA無人機を計画通りに開発する余裕が空軍にないと警告を発した。今月初めには、Aviation Weekが、NGADの推進決定がNGASの将来に疑問を投げかける可能性があると報じた。先週金曜日のホワイトハウス記者会見で、ヘグセス長官はNGAD戦闘機プログラムがほぼ廃案となったことに言及し、F-47は「より安価」であると述べたが、詳細を説明せず、また、どのような費用対効果評価が変更されたのかは不明だ。空軍指導部は、一貫してNGASのステルス空中給油機型に対する潜在的な代替案を強調してきた。

 「興味深いことに、NGASはNGADのようなものであり、NGASは必ずしも航空機である必要はなく、空中給油システムですので、空中給油機の生存性を高める方法は他にもあります」と、オールビン大将は先週語った。「電子戦にで、あるいは護衛支援で、実現することができます。さまざまな方法があります。ですから、これはNGASの評価全体の一部なのです」。

 「大まかに言えば、生き残るための方法はいろいろあります。過去数十年にわたって航法システムやエンジンなどをアップグレードしてきたように、[既存の給油機] をアップグレードし、防御システムを搭載し続けることができます」と、先週、AMCのラモントゥーン大将も述べている。「また、統合戦力のパートナーと協力し、彼らに防御してもらうこともできます。したがって、さまざまな方法があります。たとえNGASを追求しなくてもです」。

 「調達部門は、新しい(NGAS)プラットフォームに関連する技術の開発を試みる素晴らしい仕事をしてきました。NGADでそれを成し遂げ、NGASでもそれを始めています」と、ラモントゥーン大将は続けた。「そして、空軍および統合戦力双方において、システムファミリー全体で継続されるよう期待しています。しかし、近い将来にどのような形になるかは、まだ判断には時期尚早です」。

 ここで興味深いことに、空軍と国防高等研究計画局(DARPA)は、NGAD戦闘機プログラムの支援でデモ機複数が長年にわたって極秘裏に飛行していたことを確認している。2023年、空軍はジェットゼロを雇い、将来の空中給油機や貨物機開発に役立つ、高効率のブレンデッド・ウィング・ボディのデモ機を製造すると公式に発表していた。本誌は、ステルス空中給油機や関連設計に関するその他の判明している業務についても伝えてきた。ただし、機密領域でどのような関連研究や開発が行われているかは不明だ。

BWB空中給油機のレンダリング。ジェットゼロ

 

「我々はそれを確実に検討しています。そして、現在、企業が自律型空中給油能力の開発に取り組んでいます。つまり、自動給油ができるプラットフォームです」と、無人プラットフォームが将来の空中給油部隊の一部となる可能性についての質問に対し、ラモントゥーン大将は付け加えました。「すべて実現可能な領域にあると考えています」、

 また、空軍は将来の空中給油ニーズに対応し別の方法として、戦闘機サイズの航空機で搭載可能なブーム装備ポッド式空中給油システムを検討していることが知られている。

 また、既存の空中給油機の性能を拡大し、新たな防御システムや通信およびデータ共有機能を含める作業も継続中だ。

 「次のアップグレードでは、視認範囲外での接続や戦術データリンクを実現する必要があります。環境に関する優れた状況認識(S.A.)を得ることができます」と、ラモントゥーン大将は先週、Defense Oneのデッカー記者に語った。「我々は脅威を察知し、理解し、自機を守り、いくつかの機会を活かすことができるのです」。

 テストではすでに、空中給油機が無人機の空中管制官として行動できることが実証されている。これにより、脅威から身を守るために無人機を活用できるようになる。


過去のジェネラル・アトミックスのレンダリングでは、無人機が空中給油機KC-46から給油を受けながら、脅威から守る様子が描かれている。ジェネラル・アトミックス


 ラモントゥーン大将は、特に空中発射型無人機(CCA)の潜在的可能性についても強調したが、タンカー機または貨物機について言及したのかどうかは不明である。司令部では、KC-135を他の無人航空システムの母機として使用することを検討している。

 また、空軍は空中給油能力の向上をより広く必要としている。先週のインタビューで、ラモントゥーン大将は平時における要件を満たす場合でも、既存の空中給油機群に継続的な負担がかかっていることを認めた。今後導入されるB-21レイダーステルス爆撃機は、空中給油機群の既存の能力要求を大幅に増加させることになる。これらはすべて、同軍のKC-10空中給油機の退役決定、および新型KC-46ペガサス空中給油機で運用実用性を制限し、納入を遅らせている技術的および品質管理上の問題の継続により悪化している。

 本誌は、亀裂によるペガサス最新型機の納入停止について、最初に報道した。 納入されているKC-46にも少なくとも11機で亀裂が見つかっているが、根本原因はまだ特定されていない。原因が特定されれば、空軍と製造元のボーイングが改善策に合意し、その後、新型空中給油機の納入が再開される。

 空軍は、KC-46の現行発注分が納入された後も、さらに空中給油機の追加取得を計画している。ペガサスをさらに購入するという話もあるが、ラモントゥーン大将は正式決定はまだと述べ、また、市場には他の選択肢もあることから、従来型の空中給油機の追加購入については「まだわからない」と述べている。エアバスは、過去数十年にわたり、世界中の多くの空軍で使用されているA330多用途空中給油機(MRTT)を、米空軍にも売り込んできた。2023年、同社は、ロッキード・マーティンとの提携解消後も単独で活動を継続すると発表した。

 空軍はすでに2050年代までKC-135の飛行を継続する見込みであるが、NGAS計画でさらなる遅れが生じた場合、KC-135の耐用年数延長プログラムが現実となる可能性がある。KC-135の最後の機体は1965年にボーイング社の生産ラインから送り出されたが、空軍で使用されている残りの機体は、新しいエンジン、電子機器、ナビゲーションシステム、通信機器など、長年にわたって何度も大幅なアップグレードが施されてきた。

 「空中給油機隊の再整備は、絶対に優先事項です。説明したように、(KC-)135 機体は、決して若くはありません。」と、AMC のラモントゥーン大将は述べた。「代替機の取得に本当に長い時間がかかり、さらにアップグレードを続けるのであれば、過去数十年間と同様に、135 の耐用年数延長を検討する必要があるかもしれません」。

 空軍は、乗員数を減らした空中給油機の運用や、人工知能および機械学習技術の活用が、機体や人員を増やさず空中給油能力を向上させる現実的な方法となり得るかどうかを検証中だ。また、ラモントゥーン大将は、民間請負業者が能力不足の一部を補い貢献していることを強調しました。これは、本誌が長年にわたって密接に追跡してきた、今も拡大を続ける傾向だ。

 「どんな日でも、我々の必要量はほぼ一定だが、供給量はこれよりずっと少ないので、すべての必要量を満たすことはできない。そのため、訓練面で多くのことが行われています。なぜなら、運用上の要件を優先し、訓練上の要件は通常、その優先順位が最も低く、最初に犠牲になることが多いからです」と、AMC司令官は説明した。「そのため、一部のサービスと統合軍の他の分野では、自らのリソースを活用して、空中給油契約を結び、その能力を提供しています。運用上の要件により、我々ではニーズを満たせない場合です。「我々は完全にそれを支持しています」と彼は付け加えた。

 F-47が発表され、NGASのオプションの初期評価が終了した今、空軍の将来の空中給油構想、そしてそれがステルス空中給油機となるかどうかについて、これから明確になりそうだ。■


F-47 Fighter Reveal Draws New Attention To USAF Stealth Tanker Plans

Proceeding with the F-47 will impact tanker needs and there have been questions about whether the USAF can even afford to buy both aircraft.

Joseph Trevithick

https://www.twz.com/air/f-47-fighter-reveal-draws-new-attention-to-usaf-stealth-tanker-plans



2025年1月10日金曜日

米空軍が主翼胴体一体型BWB機「パスファインダー」のサブスケールモデルをテストへ(The Aviationist)―民生用でもBWBが実用になれば大きな変化が生まれますね。

 Blended Wing Body Demonstrator

2023年8月16日に米空軍が公開したJetZeroのBWB機のコンセプト図。 (Image credit: JetZero/US Air Force).



JetZeroはBWB機のデモンストレーター「Pathfinder」に取り組んでおり、ノースロップ・グラマンのスケールド・コンポジットがフルサイズ機体を製造する

米空軍は、BWB(ブレンデッド・ウィング・ボディ)実証機のサブスケール・バージョンの飛行試験からデータを収集し、実物大の航空機の制御ソフトウェアと最終的な構成に反映させる、と『Air and Space Forces Magazine』誌が報じた。 米空軍の広報担当者は、このプロジェクトに関する最新情報を明らかにし、2027年の初飛行に向け順調に進んでいることを確認した。


太平洋でのロジスティクスとコストのギャップを埋める期待

BWBプロジェクトでは、2023年8月16日に空軍省が新興企業ジェットゼロを選定し、 同社はその後、2024年4月に将来のフルサイズ機の12.5%スケールバージョンを公開した。このサブスケール航空機の翼幅は23フィートである。

 同社広報担当者は、「パスファインダー」の愛称で呼ばれるデモ機に触れ、ジェットゼロが開発中のコンセプトが、このようなBWBサブスケール・プロジェクトとしては最後のものであるボーイング・ファントム・ワークスのX-48と同様の飛行力学を持っていることを確認したと述べた。

 B-2スピリットのような 全翼機 と従来型の胴体と翼の構成をミックスしたようなBWB機は、ペイロードのため中央により多くのスペースを持ち、より大きな揚力を提供することで抵抗を減らし、燃料使用量を30%削減することができる。コスト削減とロジスティクスの容易さは、軍民双方の旅客・貨物航空に連鎖的な利益をもたらし、このプロジェクトがエナジー・施設・環境担当の空軍次官補によって主導されている理由でもある。

 業界関係者によると、BWBプログラムの費用分担契約では、空軍が2億3,000万ドル、民間投資機関が約3億ドルを負担することになっている。FAA(連邦航空局)は2024年3月、1/8スケールの航空機に飛行試験を開始するための耐空証明を与えた。

 テスト飛行は当初2023年に開始の予定だったが、サプライチェーンの問題で延期された。2026年には実物大の航空機が製造され、2027年4月に地上試験が開始され、2027年9月に初飛行が予定されている。

ブロック2飛行フェーズの画像でスマートにバンクするX-48Bブレンデッド・ウィング・ボディ研究機。 2008年4月4日。 (画像クレジット:NASA/Carla Thomas)


実機設計につながるサブスケールモデル

広報担当者によると、カリフォーニア州のクロウズランディングで最初に飛行させたサブスケール機は、「以前のBWBサブスケール機、すなわちX-48と同様の飛行力学を持っている」。 NASAとボーイングのプログラムは、2013年初頭までにドライデン飛行研究センターでの飛行試験キャンペーンを大成功と生産的なものと定義した後、遠隔操縦によるX-48BとX-48Cハイブリッド/混合翼機研究機の試験飛行で終了した。

 現在のプロジェクトでは、ジェットゼロがサブスケールのBWB機に取り組み、ノースロップ・グラマンのスケールド・コンポジット部門がフルサイズの機体を製造している。スケールド・コンポジットの広報担当者は、「試験用の実物大パーツの製造を開始した」と述べた。

 そのため同社は「主翼の試験品」を製作し「実寸大の航空機の構造モデルの改良と検証」に使用する予定だ。ジェットゼロはまた、「統合試験設備で大きな進展を遂げた...これにより、実物大の航空機の初期製造よりもかなり前にシステム統合試験を開始することができる」。

 パスファインダーのサブスケール実証機でのテストはまた「実寸大実証機に適用される飛行制御法則の改良」を可能にしている、と広報担当者は付け加えた。「さらなる飛行試験は、(数値流体力学の)モデルと外側の金型ラインの性能特性を検証するのに役立つだろう」と同広報担当は語った。

 ジェットゼロの共同設立者CEOのトム・オリアリーがCNNに語ったように、主な技術的課題は「円筒形でない機体の加圧」である。チューブ形状の機体であれば、「飛行のたびに生じる絶え間ない膨張と収縮のサイクル」にうまく対応できる。


2007年8月14日、5回目の飛行中にエドワーズ空軍基地のロジャース・ドライ湖の端を飛行するボーイングのサブスケールX-48Bブレンデッド・ウィング・ボディ機。 (画像クレジット:NASA/Carla Thomas)


「チューブと翼機の、チューブには与圧荷重があり、翼には曲げ荷重があるというように、荷重が分離されています。しかし、ブレンデッドウイングは、基本的にそれらを混ぜ合わせます。軽くて強い複合材料でそれを実現できるのは今だからこそです」とオリアリーは述べている。

 ジェットゼロはまた、2024年11月4日、実物大BWB機の飛行制御システムのパートナーも発表した。BAEシステムズムーグタレスウッドワードがそれぞれ、アクティブ・コントロール・サイドスティック、フライト・コントロール・アクチュエーター、パイロット・コントロール、フライト・コントロール・コンピューターを供給する。


X-48プログラム

NASAによると、X-48プロジェクトでは、B型からC型への主な変更は、「機体騒音を遮蔽する構成への変更」であった。「翼端のウィングレットをエンジンの横の内側に移設し、効果的にツインテールにするなどの外的変更が行われた」。

 「機体の後部デッキは2フィートほど後方に延長された。「最後に、プロジェクトチームはX-48Bの3基の推力50ポンドのジェットエンジンを2基の推力89ポンドのエンジンに置き換えた。

 マンタ型のX-48ハイブリッド・ウィング・ボディ技術実証機は合計122回飛行し、そのうち30回はCモデルとして飛行した。 X-48Cの最終飛行は2013年4月9日で、初飛行はそのわずか8カ月前の2012年8月7日だった。当時、NASAの環境対応型航空プロジェクトのマネージャーであるフェイ・コリアーは、「地上から飛行までのデータベース」を確立し、「飛行範囲全体を通してコンセプトの低速制御性」を証明し、どちらのバリエーションも 「非常に静かで効率的である」と述べた。


BWBと将来の空軍モビリティ構想

空軍の次世代空中給油システム(NGAS)プログラムとは公式な関係はないが、「BWBのコンセプトは、NGASの分析作業や次世代空輸に関する議論に役立つ可能性が高い」と『Air and Space Forces Magazine』広報担当者は述べた。しかし、BWBプロジェクトは、現在PoR(Program of Record)であるNGASとは「独立」した存在だ。 2023年の国防授権法では、今後4年間で2億3500万ドルをこのプロジェクトに費やすことが割り当てられている。

 ジェットゼロにBWB契約を交付した際、フランク・ケンドール空軍長官は、BWB機は「燃料需要を大幅に削減し、世界的な到達範囲を広げる可能性がある」と述べた。また「部隊や貨物を素早く、効率的に、長距離移動させることは、国家安全保障戦略を可能にする重要な能力である」とも付け加えた。

 BWBの効率向上により、航続距離の延長、滞空時間の増加、ペイロード運搬効率の向上が可能になり、これらはロジスティクス・リスクの軽減に不可欠な能力である。報告書はまた、「構造設計、材料技術、製造における」現在のエンジニアリングの進展に言及し、数十年来のBWB航空機のコンセプトがついに実現するとしている。


太平洋におけるロジスティクスとコストのギャップを埋める

『Air and Space Forces Magazine』の報告書がその後指摘したように、このプロジェクトは、西太平洋で中国とのハイエンドな戦争を維持するための「ロジスティック・ギャップ」を埋めようという広範な取り組みに関連している。実際、この戦域は、作戦地域間の距離が広大で、島々から遠く離れた基地が多いという特徴がある。

 また、燃料と空力性能は、機動性と戦闘機が分散した条件の悪い飛行場から、支援インフラがほとんどない状態で運用される、同軍がこの劇場で実践しているACE(Agile Combat Employment)コンセプトを補完するものともなる。

 空軍当局者は、航空機動軍団とグローバル・ストライク軍団の航空機をBWB設計に転換することで、現在の価格で航空燃料を使用した場合との比較で年間燃料費を10億ドル削減できると述べている。

 ロジスティクス用の航空機は、空軍の年間ジェット燃料消費量の約60%を占めており、BWBの能力は大きな恩恵となる。「この革新的な技術は、太平洋での戦いに不可欠であり、我々に必要な作戦上の優位性を与えてくれるだろう」と、米空軍スポークスマンは『Air and Space Forces Magazine』に語った。■


U.S. Air Force Tests “Pathfinder” Subscale Model of Blended-Wing Body Jet

Published on: January 5, 2025 at 4:58 PM

 Parth Satam

https://theaviationist.com/2025/01/05/usaf-tests-pathfinder-subscale-blended-wing-body/


2024年2月26日月曜日

米国防総省が支援する新興企業ジェットゼロのBWB実証機の初飛行が近づく----順調に行けばその後、実寸大のBWBが登場する

BWBは先にボーイングが縮小機を飛行させていますが、新興企業ジェット・ゼロも縮小版から初めて実機に移行するとのことです。初飛行すれば航空史上でまた一つのマイルストーンが生まれますね。AviationWeekがシンガポール航空ショー会場から伝えていますのでご紹介しましょう。

JetZero blended wing body aircraft

Credit: Mark Wagner Aviation Images


ジェットゼロ・スケールの実証用BWB機が初飛行に迫る

ンガポール・エアショーで展示されたジェットゼロJetZeroのBWBデモ機は、2023年に締結されたDIU契約の一環で開発される実機へ道を開く。

カリフォーニア州を拠点とするジェットゼロは、今後数週間以内にブレンデッド・ウィング・ボディ(BWB)マルチロール商用・軍用実証機の縮小版の飛行試験を開始すると発表した。

「数日から数週間のうちにできるだろう」とジェットゼロのトム・オリアリーTom O’LearyCEOはエイビエーション・ウィークに語った。「準備は整っており、湖底の乾燥を待つだけです」と、離着陸テストに使用されるカリフォーニア州エドワーズ基地の広大な地域を指して彼は付け加えた。南カリフォルニアでは大雨があり、湖底の大部分は水で浸水している。

翼幅23フィート、縮尺12.5%の機体は、NASAの持続可能な飛行実証機プログラムの初期段階として2021年の契約で資金提供をうけており、ジェットゼロによるBWBコンセプトの重要な特徴である関節式機首脚の設計の評価に使用されるもので、2023年に授与された2億3,500万ドルの米国国防イノベーションユニット(DIU)契約で開発される実機へ道を開く。

ジェットゼロの共同設立者で最高技術責任者(CTO)のマーク・ペイジ Mark Pageは、1990年代にマクドネル・ダグラスで混合翼コンセプトの創案に貢献したBWBのベテランである。離陸時には、ノーズギアが数フィート伸びて迎え角が約6度増加し、BWBのボディが揚力を生み出す。

最初の飛行試験段階は3ヶ月程度と予想されているが、プログラムが継続されるにつれ、サブスケールの機体は追加試験に使用され続ける予定、とペイジは言う。小型実証機の飛行試験は、当初2023年後半に開始される予定だったが、一部の飛行制御システム部品の納期が遅れたために延期されていた。

ジェットゼロの4年間の開発計画は、2027年第1四半期に始まる実証機の飛行試験で頂点に達する。エアバスA330に近い翼幅を持ち、ボーイング767に匹敵するサイズの実証機は、ノースロップ・グラマンとその試作子会社スケールド・コンポジッツと共同で製造・試験される。

「実証機の完成時期は完全に予定通りです」とオリアリーは言う。「予備設計審査は6月に、重要設計審査は2025年前半に予定されています」。

BWBの商用型は、ジェットゼロの表現によれば中堅市場向けであり、同社はカリフォルニア州ロングビーチで開催されるシンポジウムに主要航空会社10社ほどを招待している。「これは一種のプレ・ワーキング・グループであり、実際には、ワーキング・グループから何を望むかについて、各社のご意見を聞きたい」とオリアリーは言う。「座って、『ワーキンググループのあるべき姿について話し合おう』と言いたいのです」。

ジェットゼロは実証機にプラット・アンド・ホイットニーのPW1100Gを選択したが、最近米空軍から表明されたエンジン出力の限界に関する懸念について、オリアリーは次のように言う。

「主なことは、空軍が何を求めているかということです。燃料を持ち運ぶのならば、推力が大きい方がいいに決まっている」とオリアリーは言う。「新しいエンジンがあれば最高ですが、私たちは大手メーカーではありませんので、エンジン会社に行って、『新しいエンジンを作ってくれ』とは言えません。空軍のプログラムは商業実証プログラムであり、タンカーでもなければ輸送実証プログラムでもない。空軍が我々のプログラムに投資しているのは、納税者が投資家として恩恵を受けられると考えているからでうす」。■

JetZero Scaled Demo BWB First Flight Imminent | Aviation Week Network

Guy Norris February 22, 2024




2023年9月18日月曜日

民間航空会社に新型ハイブリッド機の採用を期待する米空軍;空中給油機、輸送機....2020年代中に実機が登場しそうだ

 

Rendering of the blended-wing body prototype aircraft. COURTESY JETZERO



民間航空会社に新型ハイブリッド機の採用を期待する米空軍


米運輸司令部は、主翼胴体一体型BWBは、既存の空港から飛んでも、より効率的な提供することができると述べている。


 翼胴体一体型BWB機は、短距離滑走路から、長距離飛行でき、米軍に利益をもたらす可能性がある。しかし、この飛行機が既存の空港と互換性があることを確認することが、民間航空会社に賛同してもらうための鍵であると、月曜日に空軍将官が語った。

 民間航空会社がこのような新しい、根本的に異なる外観の飛行機を購入すれば、軍のコストを下げることになる。

 米運輸司令部のトップ、ジャクリーン・ヴァン・オヴォスト大将は、月曜日に開催された航空宇宙軍協会の年次航空・宇宙・サイバー会議で次のように語った。

 BWB機は、胴体が翼の一部として機能するハイブリッド航空機。空軍は先月、新興企業のジェットゼロJETZEROに、早ければ2027年に飛行するBWB機プロトタイプ製造の契約を結んだ。この新型機により、より短い滑走路から離陸してもより長い距離の飛行が可能になると期待されている。

 ヴァン・オヴォスト大将は、「航空エンジニアとして効率性の観点から、可能性が本当にあると思う。「もし、折りたたみ式主翼になれば、新しい空港を作る必要がなくなり、より多くの場所で使うことができる。

 ジェットゼロのBWBプロトタイプは、エアバスのさまざまな機種で使用中のプラット&ホイットニーのターボファンエンジンを搭載する。

 プラット・アンド・ホイットニーの軍用エンジン社長であるジル・アルバテリは、月曜日のブリーフィングでプロトタイプについて、「我々は、どのような市販の活動エンジンが必要とされるレベルのスラスターとパワーを提供できるのか、過去も含めて真剣に検討中」と語った。■


Military hopes commercial airlines adopt new hybrid plane design - Defense One

BY MARCUS WEISGERBER


2023年8月20日日曜日

米空軍がBWB実証機を発注、相手先は新興企業JetZero、初飛行は2027年予定。タンカー、輸送機の軍用用途に加え民生用途も視野に入ってくる。


米空軍がBWB実証機を発注


A rendering of JetZero's BWB concept configured as a tanker, with F-35A Joint Strike Fighters flying in formation and receiving fuel. <em>JetZero</em>


空軍は、ブレンデッド・ウィング・ボディ実証機を2027年までに飛行させたいとしている


米空軍は、ブレンデッド・ウィング・ボディ(BWB)構成のフルサイズ実証機を設計・製造するため、新興企業JetZeroを選定したと発表した。同機はすでにXBW-1と呼ばれており、2027年までに飛行を目標としている。

 フランク・ケンドール空軍長官は、本日開催された航空宇宙軍協会主催のイベントで、ジェットゼロ選定を発表した。同軍は、このイニシアチブが、よ既存のタイプよりも大幅に燃料効率の高い、将来の空中給油タンカーや貨物機への道を提供することを期待している。また、大量の内部容積での大型輸送能力の利点もある。このように、次世代空中給油システム(NGAS)および次世代空輸(NGAL)プログラムに役立つ可能性がある。

「BWBは、燃料需要を大幅に削減し、世界規模の到達範囲を拡大する可能性を秘めている。「部隊や貨物を迅速かつ効率的に長距離移動させることは、国家安全保障戦略を可能にするうえで重要な能力である」。

 国防総省のエナジー・施設・環境局は、国防総省の国防イノベーションユニット(DIU)と協力してこのイニシアチブを主導している。DIUのウェブサイトによると、DIUは「軍全体に先進的な商業技術の採用を加速させる」ことを任務としている。ケンドール長官は、NASAもこの取り組みに重要な貢献をしていると述べた。

 空軍のプレスリリースによると、「2023会計年度国防授権法に概説されているように、国防総省は、この変革的なデュアルユース技術の開発を迅速に進めるため、今後4年間で2億3500万ドルを投資する予定であり、民間からの追加投資も期待している」。空軍のプレスリリースによると、「この変革的なデュアルユース技術の開発を迅速に進めるため、今後4年間で2億3500万ドルを投資する。

 空軍とDIUは1年以上にわたり入札を検討し、先月までに競合企業を2社に絞り込んだと報じられている。ジェットゼロは、同社が「Z-5」と呼ぶ設計を新しいBWB構想に提案していると以前に確認した唯一の企業である。同社はこのプロジェクトでノースロップ・グラマンと提携している。ノースロップ・グラマンの100%子会社で、最先端の航空宇宙設計とラピッドプロトタイピング能力で知られるスケールド・コンポジットが、作業をサポートする。

 昨年公表された正式な情報公開請求では、BWBプロジェクトの主な目標は、ボーイング767やエアバスA330より少なくとも30%効率的な空力学設計にあると説明された。これら2つの民間旅客機は、現在空軍で供用中のボーイングKC-46Aペガサスタンカー(二次貨物輸送能力を持つ)やエアバスA330マルチロールタンカー輸送機(MRTT)のベースだ。

 BWB機は、先進的なエンジン技術と組み合わされることで、燃料効率の大幅な向上につながると期待されている。その結果、このコア・デザイン・コンセプトに基づく将来の空軍タンカーや貨物機は、現在の機材と同等か、それ以上の積載量を持ちながら、より遠くまで飛ぶことが可能になるかもしれない。

 「空軍のプレスリリースによれば、「BWBでは各種軍用輸送機構成が可能である。「これらの航空機は合計で、空軍の年間ジェット燃料消費量の約60%を占める」。

 7月にロンドンで開催されたGlobal Air and Space Chiefs Conferenceでのプレゼンテーションで、「我々は、より多くの生産性、より多くの燃料供給、そして貨物を得ることができる距離での空中給油の両方に利点があると考えている」とも述べている。

 BWBとは新しいものではなく、空軍は過去30年間、ステルス型も含めて何度もこの構成での設計を検討してきた。しかし、米軍は現在、太平洋地域における中国との潜在的な大規模紛争に備えることに主眼を置いており、長距離空中給油と空輸能力に対する新たな差し迫った要求に直面している。

 空軍はまた、将来のハイエンド戦の支援で、より生存性の高いタンカーと空輸機が必要であると明らかにしている。デフォルトでは「ステルス」ではないが、BWBの設計はこの点で適応しやすく、設計によっては、ある側面からIRとRFシグネチャーの両方において「より低い観測可能性」を自然に発揮する可能性がある。BWB型の次世代空中給油タンカーや貨物機には、その他の高度な生存性機能が追加される可能性もあり、敵センサーに発見されるのがはるかに難しくなる。

 「勇敢な航空兵が大空に飛び立ち、最初の空中給油能力を証明し、我が空軍の世界的な活動範囲を広げて100年が経過した。今回の発表は、将来のいかなる競争相手に対しても航空戦力の優位性を維持する努力において、空軍にとって新たな画期的な出来事となりました」と、エナジー・施設・環境担当空軍次官補のラビ・チャウダリー博士は語った。元C-17グローブマスターIIIのパイロットでありエンジニアでもあるチャウダリーは、作戦指揮官の機敏性を高めるため、作戦エナジーの効率性を確保する取り組みを主導している。


2027年の初飛行に向け、ジェットゼロのXBW-1デモンストレーターを今後数年でさらに知り、見ることができるのは非常に楽しみである。


東部標準時午後8時5分更新

The War Zoneでは、BWB構想およびジェットゼロの設計について、本日発表された情報の全容を詳細に調査する機会を得た。

 最新のレンダリングを見て、すぐに気づいたことは、このデザインの潜在的なシグネチャー・マネジメントの利点だ。垂直尾翼がなく、一般的なブレンデッドボディのプランフォルムは、レーダー断面積上の利点を提供できることに加え、胴体後部に配置されたトップマウントエンジンは、下方のほとんどの側面から遮蔽されている。これは、航空機の赤外線シグネチャーや、さまざまな状況下でのレーダー上での見え方に大きなメリットをもたらす可能性がある。


ジェットゼロのブレンデッド・ウィング・ボディ設計コンセプトの最新レンダリングの後端部のクローズアップ。アメリカ空軍

ジェットゼロは以前、エンジン構成が音波を上方に導くことを強調した。これは、騒音公害が大きな問題となりうる商業用途に有益であると宣伝されているが、軍事用途に設定されたバージョンにも有用である可能性がある。例えば、より静かな軍用輸送機は、秘密任務や極秘任務に有利だろう。

 ジェットゼロのコンセプトの最新のレンダリングでは、前方の胴体の側面に沿って乗客用の窓とドアも描かれており、貨物だけでなく人員輸送にも使用できる可能性を強調している。同社はすでに、軍事用途に加え、230~250人の乗客定員と大きな航続距離を持つ、高効率の中型民間旅客機につながるデザインを売り込んでいる。

 これらの見解は、空軍関係者、ジェットゼロとノースロップ・グラマンの代表者が、本日航空宇宙軍協会主催のイベントで述べたこととよく一致している。

 「飛行には、揚力、重量、抗力、推力の4つの力がある。ジェットゼロの共同設立者でありCEOのトム・オリアリーは、核となる設計コンセプトについてこう説明した。「正味の効果を組み合わせると、(それらは)驚異的なものになる。推力について考える。超高効率の機体にできることは、必要となる推力を小さくできることで、より小さなエンジンを使うことができ、その結果、重量が減り、抵抗が減る好循環に入るということです」。

 オリアリーは、同社チームはまず、単通路旅客機で一般的に使用されている市販のジェットエンジンで駆動可能な「可能な限り大きな混合翼」を作ることから始めると付け加えた。彼はさらに、ジェットゼロは新興企業ではあるが、共同設立者のマーク・ペイジ含む従業員が、マクドネル・ダグラスで長年同様のコンセプトに携わってきた経験を持つおかげで、BWB設計に関する膨大な組織的知識を持っていると述べた。ボーイングが1997年に吸収したマクドネル・ダグラスが一般的にBWBのアイデアの発案者とされている。

 「あなたは、ここでおよそ50%高い効率を持つものを見ていますね?つまり...第一に、航続距離が2倍になるか、あるいはペイロードが2倍になる可能性があるということです」と、今日のイベントに出席していたノースロップ・グラマンの副社長兼航空部門社長のトム・ジョーンズは付け加えた。「さらに、折りたたみ翼設計により、スポット・ファクターが小さくなるため、より多くの航空機を離れた場所に配置することができる。また、航空機はある程度の短距離離着陸も可能です...」

 ジェットゼロのオリアリーは、離着陸時間の短縮にも言及している。

 これらの性能向上は、将来のタンカーや貨物機に関して、空軍にとって多くの重要な運用上の利点をもたらす可能性がある。

 より短い滑走路、より長い距離、同じペイロードを運ぶためのより良い効率性、そしてより多くの場所への輸送が可能になることは、すべて空軍にとって興味深いことであると、航空機動軍団の戦略・計画・要求・プログラム担当ディレクターアルバート・ミラー空軍大将は説明する。「結局のところ、これがすべてなのです。短い滑走路でどこかに着陸し、負傷者をピックアップし、彼らが必要とするケアのために飛ばすことができる能力です。同じ燃料を(タンカーから)重要なレシーバー(航空機)に、必要なときに、必要な場所で、より遠くから供給することができる」。

 このことは、既存のタイプも含め、タンカーや空輸機が主要な貢献者になると予想される、太平洋における中国との将来的なハイエンド紛争の可能性に関して言えば、すべてに関連性がある。

 「結局のところ、(米インド太平洋軍の)責任範囲における最も厄介な課題は、敵対国(中国)が遠距離で我々に挑んでくる可能性のある兵站だ」とミラー大将は言う。「アジャイル・コンバット・エンプロイメント(作戦概念)とは、生き残るため分散し、必要な時に必要な場所で殺傷力を持つように集約することです。

「ブレンデッドウイングは、飛行距離の延長をもたらす可能性がある。燃料よりも貨物を運べる効率。燃料を運搬し、他の機体に積み替えることができる。「だからこそ、この技術から学べる限りのことを学ぶことが重要なのだ」。

 ミラー空軍大将はまた、BWB実証機は必ずしも将来のタンカーや空輸機に対する空軍の要求を直接満たすものではないと強調した。大将は、この設計は間違いなくこれらの要求を満たすのに役立つだろうし、将来の太平洋地域での大規模な紛争に関して彼が強調した作戦上の問題に対する解決策になる可能性もある、と付け加えた。

 ノースロップ・グラマンのジョーンズは、実証機の開発と製造が、各種能力の組み合わせを探求する機会を提供するかを強調し、これについてもある程度言及した。「つまり、モデル化が必要な(米インド太平洋軍の)シナリオの種類を考え始めれば、それがアジャイル戦闘エンプロイメントモデルに適合することがわかる。より多くの航続距離をモデル化するのか、より多くの貨物をモデル化するのか?

 すでに述べたように、空軍は、単に能力が高いだけでなく、脅威の高い環境下、あるいはその近くでの生存性がより高い次世代タンカーや空輸機へのニーズを明確に表明している。

 「なぜ今なのか?」エネルギー・施設・環境担当の空軍次官補であり、C-17AグローブマスターIII貨物機を操縦した元空軍将校でもあるラビ・チャウダリー博士は、今日のイベントでこう語った。「そして皆さんは、PRC(中華人民共和国)との大国間競争の新時代に突入したことを認識している」。

 「航続距離が伸びれば、殺傷能力が高まる。燃料効率はエネルギー資源を節約し、より多くの出撃を可能にする。騒音が小さいということは、生存性が高いということだ。「シームレスな地上作戦は、地上での時間を短縮し、より早く空へ飛び立つことができる。そして、施設はもはや以前の紛争のような聖域ではなくなりつつある時代において、この能力は非常に重要になるだろう。「作戦エナジーが、近い将来の紛争における勝敗の分かれ目になるといっても過言ではない。」

 ケンドール長官は冒頭の挨拶で、「われわれは、ペーシング・チャレンジと呼ぶ手強い相手(中国)と技術的優位をめぐる競争をしている。「その競争上の優位性は、戦闘部隊の要求を満たす優れた技術を開発し、それを敵対国より早く実用化する能力にある。今日、その革新の精神は、BWBプの実証プロジェクトで継続している」。

 ケンドールは、民間航空部門に潜在的な利益をもたらすことでパートナーシップの貴重な機会を提供すると付け加えた。


A rendering of a JetZero blended wing body airliner at a civilian airport. <em>JetZero</em>

民間空港でのBWB旅客機予想図。JetZero


「このプロジェクトは、中国に対する技術的優位性を維持する産業基盤にも影響を与え、同技術には商業的関心が集まる。我々は、この技術と将来の競争を模索し、適切な能力を可能な限り迅速かつ効率的に戦闘員の手に届けることを楽しみにしている。「同プロジェクトは、国防総省だけでなく、民間企業にとってもWin-Winであることを強調したい。私たちは、商業的利益によって、このプロジェクトすべてに利益をもたらす追加投資が行われることを期待している。

 プロジェクトが本格的に始動するにつれ、BWB構想に関する政府側と産業界側からの情報がより多く出てくるだろう。我々がすでに見聞きしたところでは、このプログラムは将来の軍事・商業航空開発に大きな影響を与える可能性がある。■


Blended Wing Body Demonstrator Jet Contract Awarded By Air Force (Updated)

BYJOSEPH TREVITHICK|PUBLISHED AUG 16, 2023 4:20 PM EDT

THE WAR ZONE