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2025年5月5日月曜日

アメリカを再び鉱業大国に復活させようとするトランプ政権(The National Interest)

 

Wikipedia Commons


アメリカが鉱業での優位性を中国に失ったことは不可避ではなかった——だがその回復も同様だ


ランプ大統領による行政命令「アメリカ鉱物生産拡大のための緊急措置」は、アメリカにおける重要鉱物の生産と加工の減少を逆転させ、外国の敵対勢力への依存を軽減することを目的としている。米国地質調査所(USGS)によると、米国は「重要鉱物」と分類される50種類の鉱物のうち12種類について100%輸入に依存しており、さらに28種類について50%を超える輸入依存度を示している。中国は30種類の重要鉱物の最大生産国であり、米国の輸入量の四分の一を占めている。

 敵対国への依存は、米国の製造業と防衛能力に影響を与える重要な原材料の供給において、受け入れられない脆弱性だ。重要鉱物の米国サプライチェーンの確保には、政府による大幅投資、既存の資金調達メカニズムの見直し、規制の変更、および必要な資源と専門知識を有する国や企業とのパートナーシップが不可欠だ。

 鉱物プライチェーンのグローバル化が国家緊急事態となった背景は何か、米国はどのように対応すべきか?


レアアース元素(REEs)

レアアース元素(REEs)は希少とは限らない。多くの鉱物堆積物に微量に含まれ、分離に高度な冶金プロセスを要する。米国は1960年代から1970年代にかけて、生産量と需要がはるかに低かった時代にREEsの供給を支配していた。

 中国は1980年代半ばにREEsの生産と加工に戦略的なコミットメントを表明した。1990年代には、電子機器や磁気モーターなどの新技術に不可欠なREEsの主要生産国となった。鄧小平は1987年に「中東には石油があり、中国にはレアアースがある」と述べた。現在、中国はREEsの生産を支配し、世界のREEs加工能力の90%を掌握している。

 トランプ大統領の行政命令「アメリカエネルギーの解放」には、「非燃料鉱物、特にレアアース鉱物の主要な生産国・加工国としての地位を確立する」という政策指針が含まれている。この目標を達成するためには、レアアース加工の商業的実現可能性を理解し、プロジェクトの競争力を阻害する資金不足のギャップを埋める必要がある。


バッテリー金属

米国企業は、重要なバッテリー材料の開発において歴史的に重要な役割を果たしてきた。鉱物を塩水から抽出する方法は、石油産業が重要な役割を果たすことができるダイレクト・リチウム抽出(DLE)に適用可能だ。エクソンシュルンベルジェは既にDLEプロジェクトに進出している。しかし、中国は既に市場操作を開始しており、供給を支配しようとしている。中国は最近、DLE関連の材料と技術で輸出制限を発表した。

 中国企業は、ニッケル、コバルト、リチウムを世界市場に過剰供給し、短期的な価格低下を誘導することで、新規生産の資金調達を妨げている。中国はまた、コンゴ民主共和国におけるコバルト生産で支配的な地位を確立し、世界供給量の90%を加工している。


米国の鉱業セクターの衰退

1970年代初頭、主要な石油会社は鉱山事業に積極的に参入していた。エクソンとシェルは石炭採掘を手がけ、シェブロンはモリブデンを採掘。BPミネラルズは銅、ジルコン、チタン酸化物、金などを採掘し、コノコはウランを採掘していた。米国鉱山企業の成功は1970年代に頂点を迎えていた。

 その後、石油会社が鉱山業から撤退し、業界全体が衰退した背景には複数の要因がある。まず、投資銀行は1960年代に流行した多角化経営モデルから、専門化された「コア」ビジネスへの戦略的転換を進めた。  

 同時に、1970年代半ばから1980年代にかけて鉱物資源の価格が急落した。一方、石油価格は劇的に上昇した。その結果、石油会社は鉱山事業から撤退し、石油・天然ガス探査に集中した。

 さらに、環境保護庁(EPA)の役割の拡大と鉱山関連安全規制の強化が、採掘産業にとって厳しい事業環境を米国に生み出した。最後に、バッテリー、半導体、その他の電子機器における希少金属の市場はまだ存在していなかった。

 1980年代から1990年代のグローバル化は、低コスト労働力を確保するため国境を越えたサプライチェーンを生み出した。米国は製造業の多くを中国に移転し、これにより米国の鉱物供給が減少する一方、中国の需要が増加した。

 米国は、必要に応じて中国などから製品を輸入することで、露天掘鉱山や尾鉱池による環境汚染を回避した。中国とのこのような貿易は、国家安全保障上の懸念を招かないとされ、肯定的に捉えられていた。


前進にむけた4つのアプローチ

米国の鉱業の衰退は、4つの次元に着目することで逆転可能だ。  

(1) 米国の鉱業工学、鉱物科学、鉱物加工教育の活性化

この分野の衰退を最もよく示すのは、現在の米国における鉱業教育の現状だ。米国には鉱山工学と鉱物加工プログラムを提供する大学プログラムはわずか15件しかない。2023年には鉱山工学の学位を取得した学生は160人に対し、中国では2,500人を超えている。米国には鉱山工学の教授はわずか70人ほどです。地質学プログラムの多くは環境科学や水文学に焦点を当てているが、石油地質学ではない。

 テネシー大学のような一部の地球科学部門は、重要鉱物教授職を設置している。米国政府の資金支援があれば、さらに多くの機関が同様の措置を講じるだろう。奨学金や手当は、米国や米国企業が主導するプロジェクトにおける戦略的鉱物開発の需要増加に対応するため、この分野へ関心を高めるのに役立つ。

(2) 米国政府は鉱物プロジェクトへの支援を強化すべきだ

中国への重要鉱物依存は、戦略的に受け入れられないと正しく認識されている。米国には代替ソリューションの発見と開発が必要だ。しかし、重要鉱物プロジェクトは、多額の資本投資、長期的なスケジュール、技術リスク、許可取得の課題、外国の敵対勢力による操作に脆弱な市場など、多くの困難を伴う。トランプ政権とバイデン政権は、近年、重要鉱物市場における中国の慣行に対抗するため、企業を支援する新たな政府ツールの必要性を認識してきた。

 例えば、2018年にトランプ大統領はBUILD法に署名し、国際開発金融公社(DFC)を設立した。DFCは重要な鉱物プロジェクトを支援するため、株式投資と債務投資の両方を行い、事業継続可能性への橋渡しを支援してきた。DFCは国防生産法(DPA)に基づき、国内プロジェクトに資金を投入している。

 同様に、輸出入銀行(EXIM)、エナジー省、国防総省などは、国内および西側諸国と協調した重要鉱物生産能力の強化を目的とした新たな資金調達メカニズムを整備してきた。しかし、これらのプログラムは、重要鉱物サプライチェーンの大部分を回復するために必要な予算、リスク閾値、柔軟性、人的資源が不足している。承認手続きの期間が長く、プロジェクト融資の資金構造は既存のギャップを埋めるまでに至っていない。

 さらに、DFCやEXIMのような機関は政治的・官僚的な制約に直面している。これらの機関の権限は、それぞれ2025年10月と2026年に期限切れとなるため、立法による更新が必要だ。米国産業は、これらの機関の支援を受けて、重要鉱物の生産と加工を再建する必要がある。

(3 優先企業と国との国際鉱物同盟を構築し、規模を拡大する

 オーストラリア、カナダ、イギリス、アメリカの企業は、S&Pグローバル・マイニング・インデックスの圧倒的多数を占めており、強力な同盟パートナーの基盤を築く可能性がある。重要鉱物の生産における優位性を確立する国家戦略は、鉱業産業が健全な友好国とのパートナーシップの拡大を基盤とすべきだ。

 さらに、米国は必要な資源を保有する国々とパートナーシップを築く必要があるが、これには鉱物貿易協定を支援するため米国の資金提供が不可欠となる。2022年6月に先進国と資源保有国が設立した「鉱物安全保障パートナーシップ」と関連する「鉱物安全保障フォーラム」は、共同事業を目指す鉱山企業への門戸を開く役割を果たす可能性がある。

 コンゴ民主共和国(DRC)のフェリックス・チセケディ大統領は、コバルト、タンタル、リチウム資源の提供と引き換えに安全保障措置を盛り込んだ重要な鉱物パートナーシップを米国に提案している。グリーンランド、アルゼンチン、ブラジル、ボリビア、カナダ、チリは、資源保有国としてのパートナーシップ候補として適している。

(4) 防衛物流庁の防衛国家備蓄センター(DNSC)に対し、適切な支援とインセンティブを伴う重要鉱物の購入を再承認する

 中国国営企業は過剰生産を行い、価格を低下させて潜在的な競合他社の市場参入を阻む戦略を採用している。これらの戦術に対抗するため、DNSCは、中国による市場操作で引き下げられた価格に左右されずに、投資家が承認された国で重要鉱物資源の探査、取得、評価、開発、採掘を行うための保証付き購入契約を提示できる。

 生産者は、市場価格が堅調な際には承認された買い手に高価格で売却できる一方、中国の戦術により市場価格が許容できない水準まで低下した場合、米国政府を買い手として依存できる。コバルトは、国家備蓄からほぼ枯渇している重要な鉱物の例で、1990年の24,000メートルトンから2023年には約300メートルトンまで減少している。国家備蓄の活性化は、保証付き購入契約の創設を通じ、長期的な米国重要鉱物目標の達成を支援できる。

 備蓄量がすべての重要鉱物の市場に影響を与えるほど十分でない場合でも、国防総省(DOD)の他の資金調達メカニズムを活用することで、新規プロジェクトを阻害する可能性のある短期的な価格急騰を緩和する支援が可能だ。「オペレーション・ワープ・スピード」は、重要鉱物分野に対応する有効な先例を確立した。ワープ・スピードの下で、米国政府は主要な製薬企業と購入契約を保証し、mRNA COVID-19ワクチンを一般市民に迅速に供給する取り組みを加速させた。

 米国政府は、教育支援、プロジェクト融資、商品購入契約、適切なパートナー国との連携を通じて、重要鉱物サプライチェーンの活性化をリードする上で重要な役割を果たすことができる。同様に重要なのは、ホスト資源国とのパートナーシップを確立し、そのニーズを満たすことで、金融、安全保障、貿易協定を通じて重要鉱物へのアクセス権を獲得することだ。

 鉱業生産は設立に時間がかかるが、価格が安定していれば、数十年にわたり生産可能となる。トランプ大統領による行政命令は、この脆弱性を解決するため、政府全体を挙げて取り組むよう指示している。■


How to Get America Mining Again

April 24, 2025

By: David C. McDonald, and Anthony Weiss

https://nationalinterest.org/feature/how-to-get-america-mining-again

Topic: Security

Region: Americas

Tags: China, Critical Minerals, Donald Trump, Mining, and Rare Earth Minerals


著者について:  

デビッド・C・マクドナルドは、国家安全保障のためのビジネスエグゼクティブズ(Business Executives for National Security)の理事会メンバーであり、数多くの国際的な石油・ガス探査・開発合弁プロジェクトのマネージャーを歴任した。現在はマクドナルド・アンダーソン財団(McDonald-Anderson Foundation, Inc.)の会長であり、フーバー研究所(Hoover Institution)の監督理事会メンバー。


アンソニー・ワイスは国家安全保障のためのビジネスエグゼクティブズ(Business Executives for National Security)の理事会メンバーで、現在、重要鉱物に焦点を当てた投資会社TechMetの執行役員を務めている。以前は、特殊鉱物と化学品のグローバルな加工・販売会社であるプリンス・インターナショナル・コーポレーションの執行副社長を務めていた。その前は、工業用鉱物の加工会社であるアメリカン・ミネラルズ・インクの社長を務めていた。


2022年6月10日金曜日

弾薬生産に不可欠なレアアース供給を中ロに握られたまま危機感を強める米国

 

Bullets are seen in front of an American-made F-16V fighter during a military exercise in Taiwan on Jan. 15, 2020. (Chiang Ying-ying/AP)

国は弾薬生産に不可欠な鉱物の調達をほぼ全面的に中国(一部ロシア)に依存している。

アンチモンantimonyは徹甲弾や爆薬から核兵器、さらには暗視スコープなど様々な軍事機器の製造に不可欠だ。

アンチモン含むレアアース鉱物の戦略的備蓄で強化が必要と議会が注目している。備蓄対象には、チタン、タングステン、コバルト、リチウムなど、防衛産業に不可欠な鉱物多数が含まれているが、是正措置がないと2025年度までに対応不能になると議会は予想している。

下院軍事委員会が水曜日発表した法案では、アンチモンのサプライチェーンにおける中国支配に初めてメスを入れている。法案に添付の報告書では、10月までに国防備蓄管理部門へアンチモンの状況について委員会に説明し、「鉱物資源の5年間見通しと現在および将来のサプライチェーンの脆弱性」を提供するよう要求している。

「委員会は、最近のロシアや中国との地政学的な動きと、特にアンチモンのサプライチェーンを途絶させる可能性を懸念している」と報告書は指摘。

また、同法案では、国防総省に対して、使用済みバッテリーをリサイクルし、「貴金属、希土類鉱物、戦略的に重要となる元素(コバルトやリチウムなど)をサプライチェーンまたは米国の戦略的埋蔵量に再生する」方針を打ち出すよう求めている。

下院準備小委員会は木曜日に文案を承認する見込みで、軍事委員会は年次国防認可法案の一部として同法案実現を進める。

第二次世界大戦中、日本が中国からアンチモン供給を打ち切ったため、米国はアイダホの金鉱でアンチモンを調達しはじめた。しかし、この鉱山は1997年に生産停止した。

米国地質調査研究所の2020年報告書によると、「アンチモンの国内鉱山は存在しない」とある。「中国は採掘・精製されたアンチモンの最大の生産国で、米国の主要輸入先である」。

報告書では、中国は「世界第2位の生産国ロシアにシェアを奪われている」と指摘しており、タジキスタンが世界第3位のアンチモン供給国として世界市場で地歩を固めてきたという。

過去数十年にわたり、戦略的鉱物の国防備蓄から売却を許可してきた議会にとって、国防備蓄強化の大きな転換点にきた。

冷戦が始まった1952年のピーク時には、備蓄は現在のドル価格で420億ドル近くあった。昨年は8億8800万ドルに急落している。

国防総省は先月、議会に独自の立法案を提出し、備蓄用鉱物の追加調達のため国防承認法案で2億5350万ドルの承認を要請している。

下院軍事委員会のセス・モールトン議員Rep. Seth Moulton(民、マサチューセッツ)は4月、国防予算小委員会に23年度の2億6400万ドルを備蓄用資金として追加提供するよう共和党議員とともに要請した。

「現在の備蓄は大国間競争の必要条件を満たしていない」「国防備蓄は、サプライチェーンが寸断された場合、国防総省が必要とする大半の物資をカバーすることは不可能な水準にある」。■

 

The US is heavily reliant on China and Russia for its ammo supply chain. Congress wants to fix that.

By Bryant Harris

 Jun 9

About Bryant Harris

Bryant Harris is the Congress reporter for Defense News. He has covered the intersection of U.S. foreign policy and national security in Washington since 2014. He previously wrote for Foreign Policy, Al-Monitor, Al Jazeera English and IPS News.


2016年3月3日木曜日

国防装備に必須のレアアース供給に中国の影、日本近海の供給可能性は?


現在は価格が暴落しているので産業界にも危機感がないようですが、レーザーなど記事が指摘するように新技術の生死を決めかねない材料が中国に多いというのはなんという皮肉でしょう。レアアースはレアメタルよりさらに特殊な材料のようですね。実は日本近海が有望な開発地点として注目されており、今後中国がここに目をつけて日本の海洋主権に挑戦してくる可能性も出てくるでしょう。
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Pentagon Fails To Act On Crucial Rare Earth Minerals

By RICHARD WHITTLE on March 01, 2016 at 1:24 PM

Round Top (1) (004)テキサス州のラウンドトップ山は中国に代わりDoDの求めるレアアース材料の供給源になれるのだろうか。
このたび刊行された政府会計検査部門GAOの報告書では国防総省DoDがレアメタルの国家安全保障上の意義を理解していないと叱責している。レアメタルは中国が世界市場を支配しており、米国に必要量を確保する案を作成していない、関連部門の連携が取れていないと指摘している。これについてBreaking DefenseがDoDに照会したところは過誤はないとしながら善処を約束した。
  1. 「GAOによるDoDが重要資源獲得に尽力していないとの指摘に賛同しかねるが、継続改善の考えによりGAO報告書の提言は受け入れる」と報道官エリック・バジャー空軍中佐が述べた。
  2. ペンタゴン、防衛産業その他企業がレアアースで国防向けは100パーセント、民生用で85パーセントの供給を中国が支配している事実を都合よく無視しているという議論は低調なままだ。2010年に中国はこれを武器として日本向けレアアース供給を停止しレアアース価格は急騰した。
Fig 8 China-Japan zones
  1. 「南シナ海、東シナ海の状況を見ていると、中国が重要原材料を実行支配しているのを知る人がほとんど皆無なのは何とも皮肉だ」とテキサスレアアース資源会社 (TRER)のアンソニー・マーチーズ会長は指摘する。同社は投資元を募り、レアアース鉱脈を米国内で唯一の供給源テキサスで探査中だ。
  2. レアアースとは特殊な物性を有する17種類もの金属・成分で、強力な磁力や高度の耐熱性などを発揮できる。分類上は「軽い」レアアースと「重い」ものにわかれ、イットリウム、ネオジウム、ジプソジウムといった奇妙な名前がついているが、いったん不足すれば笑っていられなくなる。「最近の研究ではレアアースがないと米軍事装備の生産や運用ができなくなると判明」とGAOは述べている。「必要な資源に確実なアクセスを確保することがDoDに必要だ」
  3. ペンタゴンにとってこの資源がどうして必要なのか。(2012年度国防予算認可法で詳しく説明しているので引用する)
    • SSN-774ヴァージニア級原子力高速攻撃潜水艦一隻でおよそ9,200ポンドのレアアース材料が必要
    • DDG-51イージス駆逐艦では5,200ポンド
    • F-35共用打撃戦闘機なら920ポンド
    • 精密誘導弾、レーザー、衛星通信、レーダー、ソナー他装備にも必須と議会調査局が2013年に追加している
  4. 「レアアースは文字通り希少とは限らないが、地球表土で濃度が低いことが多い」と議会調査局は説明している。つまり採掘と処理が高価格になり、処理も多工程を必要とする。鉱石から酸化物成分に分離し、金属成分に精錬し、金属成分を合金に処理し、合金をデバイスや部品に加工し永久磁石として共用直接攻撃弾(JDAM)にの誘導部分に組み込むのは一例だ。
  5. GAOによればDoDで三部門がレアアースを所管している。国防補給局(DLA)の戦略物資室、生産産業基盤政策 (MIBP)室、戦略物資保護委員会 (SMPB) で、それぞれの製作方向性が「ばらばら」で「必須の」レアアース材料の定義でも共通認識がないという。GAOはSMPBが「国防安全保障上で必須なレアアースを定義し」供給がストップした際の影響をあらかじめ分析させたうえで「供給確保につながる戦略を展開させる」べきとアシュ・カーター国防長官へ提言している。また国防長官は「MIBPに対して確実な供給源を把握し、相当の期間にわたり確実な供給を確立するよう指示すべき」としている。
  6. 今回のGAO報告書はこの問題に関する政府報告書の最新版にすぎないが、これまでの報告書でも国防総省に迅速な行動をとるよう求めていなかった。またこの件に関し国防産業に対しても同じ姿勢だ。
  7. 「フォーチュン企業番付大手100社の主要企業と話しましたが、皆同じことを言っています。『何が問題なのか。必要なレアアースは低価格で調達するのに何の問題もないぞ』というのです」(マーチーズ) TRERは国防補給局が交付した契約により同社のラウンドトップ山(エルパソ南方)のレアアース鉱脈の時価評価を行っている。同社はイットリウム、イッテルビウムその他DLA指定のレアアースの分析用標本を製造しており、契約により秘匿条件を守っている。マーチーズによればラウンドトップ山から「将来のDoDレアアース材料の100パーセント供給は確実」だという。
  8. ただし、この問題を正しく認識すれば。■