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2024年9月7日土曜日

なぜ中国人がニューヨーク州政府で知事補佐官となり、台湾代表都知事の面会を阻止できたのか―日本にとっても他人事と笑っていられない


コメント 日本では公務員に外国人が就任することはないと思いますが、公私を問わず内部に入り込んでいる不良分子がいないとは断言できません。この際、日本の自治体でもチェックが必要ですし、何と言ってもスパイを取り締まるちゃんとした法体系を確立する必要がありますね。



リンダ・スンはニューヨーク州政府で知事側近など数多くの役職に就いていたが中国政府のエージェントとして働いていたと検察は説明

   


Why Is Beijing Interested in a Mid-Level Government Aide in New York State?

罪状認否を終え、ブルックリン連邦裁判所を後にするニューヨーク州知事の元側近リンダ・スン(2024年9月3日、ニューヨーク)。 Credit: AP Photo/Corey Sipkin Subscribe for ads-free reading 


ューヨーク州検察が今週、ニューヨーク州知事の元側近を中国政府の違法な代理人として起訴する決定を下したことで、米国政治に影響を及ぼす中国の取り組みに対する懸念が高まっている。 


リンダ・スンはニューヨーク州政府でキャシー・ホウクル知事の次席補佐官など数多くの役職を歴任。彼女は、数百万ドル相当の金銭的利益と引き換えに、台湾代表が知事に面会するのを妨害したとされるなど、州の行事で中国の利益を推し進めたとして告発されている。 

 火曜日のスンの逮捕は、米司法省が近年、米国内にいる北京の工作員を根絶するために起訴した一連の事件の中で、最新かつおそらく最も注目度の高い事件である。 

 これまでの事件は、共産党に批判的な反体制派を報道したり監視したりしたことで、中国のスパイ容疑者を起訴したものであったが、火曜日の事件は、中国がいかに直接米国の政治に影響を与えようとしているかを示すものであった。なぜ州レベルなのか? 中国は米政府高官と州レベルの関係を築くことを重要視しており、これまでもそうしてきた。 米中二国間関係はますます緊迫しているが、両国は2010年代には地域レベルの広範な関係を培ってきた。しかし近年は、米国政府と中国との関係がより対立的になり、中国に厳しい態度で臨むことが超党派のコンセンサスとなっている。ホワイトハウスと議会は中国製品に高関税をかけ、ハイテク製品の対中輸出を制限している。 

 中国の進出を積極的に禁止する法案を可決する州さえある。ジョージア州、フロリダ州、アラバマ州は、中国の「代理人」による不動産購入を禁止した州のほんの一部だ。 

 州レベルでの影響力を求めることは、「連邦レベルでの関係が悪化するにつれて重要性を増している」と、米国ジャーマン・マーシャル基金のインド太平洋プログラム・シニアフェローで、中国を研究しているマレイケ・オールバーグは言う。「北京はどのようにして海外への影響力を培っているのだろうか?中国共産党には統一戦線と呼ばれる海外活動を専門とする支部がある。統一戦線の管理下には、社会団体や業界団体を装い華僑を取り込むグループ多数がある。これらの団体の中でよく知られているのは、中華全国華僑華人帰国連合会であり、この連合会自体が多くの小規模な団体を統括している。これらの団体は、海外で会員を増やし、中国のディアスポラと関わることを目的としており、アフリカから東南アジア、北米まで、世界中に支部を持っている」。 

 ジェームズタウン財団主任研究員ウィリー・ラムは、中国政府は長い間、アメリカの主要都市や中国人が多く住む州をターゲットにしてきたと述べた。中国政府は、ニューヨーク、ニュージャージー、ロサンゼルス、サンフランシスコなど、中国人が多く住む米国の主要都市や州をターゲットにしてきた長い歴史があり、北京の工作員は、華僑のための確立された「よくできた」協会や業界団体と連携してきたとラムは言う。 

 中国国営メディアによると、スンは、全中国華僑華人帰国連合会の常任委員を自称する石乾平とつながっていた。新華社によれば、石は米国華人企業家連盟の代表も務めていた。 

 スンはまた、出身地である江蘇省など、地域レベルの華僑帰国者グループの支部とも関わっていたという。 

 こうしたグループとは別に、活動する国に知られずに設置される華僑警察署に対する懸念も高まっている。昨年、ニューヨーク警察は、中国の地方警察機関の秘密警察署を設置した疑いで2人の男を逮捕した。 


北京は何を望んでいるのか? スン事件は、一見スパイ映画のようだが、中国が微妙なレベルで影響力を培うことに関心を持っていることを示している。 

 検察によると、スンは、副知事だったホウクルが旧正月のお祝いをするために録画したビデオについて、中国政府高官からトーキングポイントを求めたという。またスンは、台湾政府の代表がニューヨーク州高官と会うのを妨害したとも言われている。中国は民主主義国家である台湾を自国の領土と主張し、台湾政府代表と他国政府とのいかなる交流も主権主張の侵害とみなしている。

 習近平国家主席の演説や党の文書は、党の海外活動の指令のひとつが、祖国のために近代化と平和統一の大義に「積極的に参加し、支持する」よう促すなど、党の目標に華僑を結集させることであることを明らかにしている。 

 中国政府はまた、アジア系アメリカ人に対する暴力など、アメリカ国内の問題を利用することも厭わず、自国のメッセージを後押ししてきた。アメリカン・エンタープライズ研究所のジーン・カークパトリック・フェローであるオードリー・ウォンは、「中国政府は、海外にいるすべての華人の代弁者であると主張したがる」と言う。

 中国政府は時として、合法的な文化団体やコミュニティ団体と、影響力行使の境界線を曖昧にすることがあるという。 

 中国は、地方レベルでの関与に関して、しばしばアジェンダを設定している。「中国側と米国側では、リソースの点でかなりミスマッチがある」(オルバーグ)。例えば、上海市には国際的な関与を専門とする職員が何百人もいるが、アメリカの州にはほんの一握りしかいない。「もっと戦略的な思考が必要で、リソースと知識を増やす必要があり、それがあれば、決めることができる」と彼女は言った。 

 ウォンは、スン事案で起こったように、地方自治体はコミュニティ連絡係として一人に頼るのではなく、アジア系のコミュニティに働きかけるべきだと付け加えた。地方自治体は、「合法的なアジア系アメリカ人組織と協力して、地域コミュニティ・レベルのインフラを構築する」べきなのだ。■



Why Is Beijing Interested in a Mid-Level Government Aide in New York State?

Linda Sun held numerous roles in New York state government, including deputy chief of staff for the governor. She was also, prosecutors say, working as an agent for the Chinese government.

By Huizhong Wu

September 06, 2024



https://thediplomat.com/2024/09/why-is-beijing-interested-in-a-mid-level-government-aide-in-new-york-state/


2024年9月2日月曜日

中国のスパイ活動は武力を伴わない戦争だとNATOが反発―しかし、一部加盟国の対応はまだ手ぬるくスパイ防止法が未制定の国も。(日本も同様ですが)(National Interest)

 



中国による影響力工作の広さと深さに直面している欧州はどうすべきか? 


1964年、京劇の歌手でスパイのシー・ペイ・プーは、フランスの外交官ベルナール・ブルシコと密会を始めた。二人の逢瀬はいつも暗闇の中で行われ、ブルシコはそれを中国人の慎み深さのせいと考えていた。実はシーは女装した男性だった。彼は子供まで差し出し、自分たちの子供だと主張した。この策略は、ブルシコがその後20年間にわたり中国共産党にフランス大使館の書類を渡し続けるよう仕向けるためだった。

 西側高官が中華人民共和国(PRC)を甘く見るべきではなかった事例は、これが初めてだったのかは記録にないが、伝統は続いている。 

 ほぼあらゆる国家がスパイ活動を行っており、影響力行使を求めているが、統一戦線工作部が主導するPRCによる活動の範囲と激しさは、米国でもヨーロッパでも圧倒的といってよい。筆者が住むベルギーは、NATO本部とEUの大部分の機関を擁しており、PRCの格好の標的となっている。

 最近の事件では、極右政党AfDのドイツ人欧州議会議員マクシミリアン・クラの中国人側近が関係していた。この側近は、欧州議会の審議内容を長年にわたり中国に流していた容疑で逮捕された。彼はドレスデンの在外中国系コミュニティも監視していたとみられている。 

 欧州における中国の影響力工作の目的のひとつに、権威主義的な共闘がある。中国共産党を肯定的に評価し、その内政・外交政策について好意的な発言をするよう、欧州の公人を説得することだ。そして、中国共産党の立場を宣伝する代理人として、こうした志を同じくする代理人を招き、発言させる。捕らえられたエリートは、政治団体、企業、意思決定機関に公然とロビー活動を行い、国内外に向けて中国共産党のエコーチェンバーを作り出すことができる。 

 ベルギーの民族主義政治家フランク・クライエルマンがその例だ。2022年12月、彼は中国の工作員であることが暴露された。報道によれば、彼はポーランドとルーマニアでも活動していた。クライエルマンのハンドラーは中国国家安全部(MSS)の浙江支部の所属だった。彼のスパイマスターがメールで伝えてきた中国共産党の主要目標は、"米欧関係の分断 "だった。 

 中国共産党の重要な目標のひとつに、中国内外の中国人をコントロールすることがある。これには、「フォックスハント作戦」の下、海外に逃亡した汚職の疑いのある中国人高官の追及も含まれる。海外にいる中国人をコントロールするため、中国共産党は世界53カ国に秘密の「警察署」のグローバルネットワークを構築した。これらの秘密警察署は、特にウイグル人、チベット人、香港人などの少数民族の行動を監視し、敵対的な活動を防ぐためにも使われている。 

 米国が先端技術の輸出規制を強化する中、北京はそうした能力に関する知識や情報を収集するため、欧州で取り組みを強化している。中国が先端技術を入手しようとする方法は複数ある。合法的には投資や研究資金を通じて、非合法的な手段としては企業内部の人間、サイバースパイ、輸出規制の回避、買収、技術のリバースエンジニアリングなどを組合わせて行う。 

 最近の欧州におけるスパイ事件も、中国とロシアの影響力活動の重複を示している。展開中のクライエルマン事件とクラ事件は、この点でいくつかの証拠を示している。議員秘書は優れた情報源であり、元議員は中国とロシア双方の諜報・影響活動の格好の標的となっているようだ。  最後に、欧州内の中国組織犯罪集団は、中国の在外公館に赴任している無届け警察官と協力し、海外からの移民や反体制派を監視・脅迫している証拠がある。こうしたグループは受け入れ国に根を下ろしており、警察に情報や支援を提供する。その代償として、中国当局は海外で活動する暴力団を起訴せず、彼らが中国に亡命しようとしても決して身柄を引き渡さない。このような中国の影響力行使の広さと深さに直面して、欧州は何をすべきなのだろうか? 

 欧州はベルナール・ブルシコの歩んだ道を進むべきでない。米国も同様だ。その代わりに、例えを拡大するなら、私たちはスイッチを入れ、中国の京劇歌手の顔に生えた無精ひげを見て、中国に対する私たちの甘さを終わらせなければならない。

 この無煙戦争には、長期的な視野に立った大西洋横断戦略が必要なだけでなく、NATOのパートナーであるインド太平洋4カ国(オーストラリア、日本、韓国、ニュージーランド)を巻き込み、こうした国の成功事例から学ぶ必要がある。

 1)中国の影響力工作を調査し、その仕組みを理解するとともに、効果的な対抗策や阻止策を講じることができるよう、認識を高める

 2)  反スパイ法を未導入の欧州諸国は、導入を検討する

 3)  北京が後援するメディアが華僑に与える影響に対抗するため、独立した中国語メディアを支援する 

 4)  冷戦時代のソ連の諜報活動への対抗での経験を生かし、防諜能力を強化する

 5)  外国による情報操作や干渉に対抗するための活動を強化する。

 6) 「太陽光の消毒剤」を推進し、外国による影響に対する透明性登録制度を提唱する

 7)  中国共産党の機能について政策立案者の知識を高め、次世代の専門家を育成するための中国語と中国文化教育に投資する 

 政策立案者と情報機関は、革新し、教育し、変化する脅威の状況に適応しなければならない。重要な課題は、大西洋の両側での戦略的対応が、自由、開放性、合法性という理想を尊重することである。

 北京による無煙戦争への慎重な対応は、「ブルシコ」にならないための不断の警戒と相まって、民主的制度を守り、中国共産党の脅威の増大に対する抵抗力を構築するのに役立つだろう。 ■


テレサ・ファロンは、ブリュッセルを拠点に20年以上の経験を持つ、世界のエネルギーと地政学に関するアナリスト、ライター、コメンテーター。アジア太平洋安全保障協力会議(CSCAP-EU)のメンバーであり、2016年にはロシア・欧州・アジア研究センター(CREAS)を設立した。現在の研究テーマは、EU・アジア関係、中露関係、海洋安全保障、グローバル・ガバナンス、中国の一帯一路構想である。トピックに関する長文は、Concordiam誌に掲載予定。 


Smokeless War: Europe is Getting “Boursicoted” by Beijing

Faced with this breadth and depth of Chinese influence operations, what should Europe do?

by Theresa Fallon

August 31, 2024  Topic: Security  Region: Europe  Tags: ChinaEspionageGreat Power CompetitionEuropean UnionSurveillanceNATO

https://nationalinterest.org/feature/smokeless-war-europe-getting-%E2%80%9Cboursicoted%E2%80%9D-beijing-212553


2022年7月26日火曜日

ミサイル基地付近の携帯中継タワー、空軍基地付近を買い占めたPLA退役将軍、中国のスパイ活動への警戒心を高める米国。日本にとっても傍観刷る余裕はない。

 

フロリダ州ホームズビーチの携帯電話タワー。

Yvesmayrand/Wikimedia Commons

 

核ミサイル格納施設付近の中国製携帯電話関連機器に情報機関が懸念しているが、その主張に同意しない専門家もいる。

 

 

CNNの報道によると、米軍基地近くに設置された中国製電子機器は、米国防総省の陸上核抑止力に不可欠な通信回線を脅かす可能性がある。最新の調査結果で、FBIがかなりの警戒心を抱き、中国の技術の問題が大きくなりつつあるのを示唆している。

 

ケイティ・ボー・リリスによるCNN報道は、中国企業ファーウェイ製機器の使用を特に対象としたFBI調査が元だ。調査は、米国で急増中の中国のスパイ活動を受けてのもので、記事では「FBI含む連邦機関による防諜活動の熱狂」と表現している。

 

調査は、少なくとも2017年から行われ、米国の機密施設付近での中国による土地購入、スパイ組織、米国の軍事・政府インフラ近くに仕掛けられたとされる中国の監視装置などを調べた。

 

特に興味深く、懸念されるのは、中西部の米軍基地に近いセルタワーに設置されたファーウェイ機器をFBIが発見したとされることだ。CNNは、現職および元国家安全保障当局者を含む、この問題に詳しい「10人以上」の情報筋に話を聞いた。各自は、機器が「高度に秘匿された国防総省の通信を捕捉し、妨害できる」と認めたという。

 

グレートプレーンズの中央と北にあるミニットマンミサイル部隊六ヶ所を示す地図。黒字は非稼働の部隊、赤字は稼働中のミサイル部隊3個を表す。 National Park Service 

 

中でも重要なのは、核兵器を担当する米戦略司令部(USSTRATCOM)の通信が含まれていることだ。中西部には、コロラド州、モンタナ州、ノースダコタ州、ネブラスカ州、ワイオミング州の広大な大陸間弾道ミサイル(ICBM)配置場所がある。

 

2019年には、ミニッツマンIII ICBMのサイロが100基以上あるモンタナ州中部のマルムストロム空軍基地付近にファーウェイの携帯電話電波塔が設置されているのはがわかった。その後の報道では、コロラド州とモンタナ州、ネブラスカ州を通る州間高速25号線に沿い設置されているタワーが調査対象になったとされる。

 

 

2017年、マームストローム空軍基地が運用する発射施設。空軍資材司令部所属の第583ミサイル整備飛行隊は、大陸間弾道ミサイル兵器システムとしては史上初となる、マルムストロムの発射施設のプログラムデポ整備を完了した。 U.S. Air Force photo/Staff Sgt. Delia Marchick

 

翌年には、ネブラスカ州のICBMサイロ付近のタワーが中国諜報活動に脆弱となるとの報道が出た。

 

機器が米軍にどう使用される可能性があるかは、すぐには明らかにならない。しかし、「盗聴および妨害」とあることから、FBIは高度に機密化された通信を中国が傍受したり、なりすましたりできるだけでなく、妨害もできると考えているようだ。この場合、通信路を妨害して閉鎖することも考えられるし、偽信号を送るなど、高度な技術を用いることも考えられる。しかし、こうしたシナリオの信憑性は、一部が疑問視している。カーネギー核政策プログラムの共同ディレクター、ジェームズ・アクトンは、携帯電話の周波数は、米軍の通信と全く異なると指摘する。

 

エンブリー・リドル航空大学(フロリダ州)の電波スペクトル研究所のエドゥアルド・ロハスはCNNに対し、軍事通信の盗聴は「実現可能」と語った。ただし、「FCCに準拠し、非公開バンドを聴きつつ、別のバンドを聴く起動トリガーを静かに待つ装置の作成は、技術的に難しくない 」と付け加えた。

 

ロイター通信によると、この問題に詳しいとされる匿名の人物は、中国が 「軍事訓練や基地や人員の準備状況に関する機密データを入手する」 懸念を指摘している。

 

しかし、USSTRATCOMが機密データを送信するために使用する暗号化メッセージを、中国の諜報機関が実際に解読できるかは不明だ。また、Bulletin of the Atomic Scientistsの非専属シニアフェローであるスティーブン・シュワーツStephen Schwartzが提起しているように、同司令部の通信は安全な地下固定回線を主に使い、堅牢で回復力のあるネットワークを実現しているという事実もある。

 

シュワーツはThe War Zoneに以下語った。「ICBMに関しての懸念は、全く信用できない。携帯電話電波塔にあるものは、ICBM部隊が使う地下の固定電話を妨害することはおろか、傍受もできないだろう。バックアップの無線や衛星通信システムに干渉する可能性はどうか?その専門家ではないので......たぶんとしかいいようがない。しかし、繰り返すが、各チャンネルは地下回線が使用不能になった場合にのみ利用され、それは核戦争か、大規模なサイバー攻撃でしか起こり得ない」。

 

携帯電話の盗聴と同様に、FBIは高解像度の監視カメラを調査していると伝えらる。タワーに取り付けられ、天候や交通情報のライブストリームを提供するため使用されている。匿名の関係者にれば、こうしたカメラが、州間高速25号線沿いのほぼ同じ地域で、米軍車両の動きを監視するため使用される懸念がある。

 

シュワーツはさらに続けた。「タワーに付けたカメラから、準オープンソースの情報を得られるかもしれません。例えば、定期的な飛行テストの前後にミサイルを取り外したり交換するのに使われる大型トラック、核弾頭を基地に輸送するのに使われる装甲車、発射隊が仕事に到着または出発する時、またはサイロにメンテナンスチームがいる時を(ミサイルが数時間使用できなくなることを意味して)リアルタイムで見られるかもしれません」。

 

しかし、5つの州の数千平方マイルに散らばる400機のミニットマンIIIが24時間365日警戒態勢にあることを考えれば、ほんの一握りが使用不可能であるとわかっても、飛んでくる脅威の計算に変わりはない。唯一重大な脅威となるのは、タワーに設置された機器で、ICBMを運用・維持する空軍の職員や民間の請負業者など、携帯電話ネットワークを利用したりPing送信する動きを監視する可能性だ。そのデータから、誰がどのシフトで勤務しているか、どのルートで移動しているか、どこに住んでいるか、誰と知り合いか、どの地元企業に出入りしているか、などがわかる。そのデジタルデータを使えば、ICBMや核戦争計画全般に関する秘密情報にアクセスできる人物を特定し、勧誘し、あるいは利用できるかもしれない。しかし、報告書によると、FBI含むセキュリティ専門家の最大の懸念はその点ではない。

 

また、中国が当該機器を何らかの不正な目的で使用している証拠は今のところないが、可能性は残る。しかし一方で、情報当局が、米国の機密データの流れを傍受し妨害する中国の能力に対処していることは明らかだ。

CNNによると、中国政府は米国に対するスパイ行為を「強く否定」している。

 

一方、ファーウェイはCNNに対し、同社機器は国防総省の通信を傍受できないと述べている。また、同社は、米国における同社の技術は全点、最初に連邦通信委員会(FCC)でテストされ、承認されていると述べています。

しかし、CNNの取材に応じた、捜査の詳細を知る元FBI職員など情報筋はこれに反論している。ファーウェイの機器について、関係者はこう語っている。「これは、我々が行っている最も機密性の高い事柄に関わる。核の三本柱での指揮統制能力に影響を与える。 "BFD "のカテゴリーに入る」。

 

それが真実で、セルタワー設備がUSSTRATCOM通信を盗聴できるなら、範囲内ならば、他の軍事・商業チャンネルからデータを中国が密かに収集できることになる。ファーウェイは過去にも、オーストラリア含む世界各国の携帯電話通話を監視していたとして訴えられている。オランダでは、当時の首相の会話にアクセスできた可能性があるとされた。

 

イギリスがファーウェイに5Gインフラを構築させる計画を立てた際、アメリカは「イギリスの主権を危険にさらす可能性がある」と宣言し、「イギリスの決定は、アメリカ空軍のF-35ステルス戦闘機の今後の配備を妨げる可能性がある」と警告する上院議員もあった。結局、英国は決定を覆した。

 

最新の調査中に、米国政府はファーウェイを中心とした潜在的なスパイ行為を防ぐ行動を取っていた。同社が国家安全保障で潜在的な脅威と見なされ始めたため、米国規制当局が介入したのだ。以来、ファーウェイは米国の捜査に何度も巻き込まれ、貿易制限の対象となった。

 

2019年には、ファーウェイを(中国企業のZTEとともに)ブラックリスト化し、農村部での携帯電話サービス普及を目的とした連邦政府補助金を使って、米国通信会社が同社機器を購入することを阻止するなどの措置がとられた。

 

その1年後に、ファーウェイとZTEの携帯電話技術を米国農村部の通信ネットワークから排除する目的で、さらなる措置が実施された。しかし、この措置は行き詰まり、影響を受けた通信会社は、連邦政府の償還金をまだ受け取っていない。通信機器約2万4,000台が影響を受けたとされる。

 

バイデン政権下で、国家安全保障当局は、米国の通信インフラ内でファーウェイが果たす役割に批判的な目を向け続けている。この調査は現在進行中だが、最終的には米国通信事業者が自社のネットワークからファーウェイ製機器の排除を求める判決につながる可能性もある。

 

中国がUSSTRATCOMやその他の重要な通信を盗聴したり妨害したりする能力の実態がどうであれ、最新調査が公開された事実は、北京の推定スパイ戦術に対する新しいアプローチを反映しています。FBI長官クリストファー・レイによると、米情報当局は毎12時間で新たな中国防諜調査を開始している。ここには大きな問題だと判断されるサイバーセフトは含まれない。

 

中国は「主要国すべてを合わせたより大規模なハッキングプログラムを運用しており、すべての国を合わせたよりも多くの米国人の個人データや企業データを盗んでいる」とレイ長官は述べている。

 

携帯電話の電波塔に搭載されたファーウェイ技術を通じて、中国がスパイ活動を行っている証拠は提供されていないが、捜査当局は、こうしたシステムが特定地域に拡散していることに疑念を特に抱いているようだ。米軍基地に近いだけでなく、ファーウェイが採算が合わないはずの地域に設置されている。

 

注目すべきは、他にも中西部にある米空軍のICBM施設が外国勢力による諜報活動に懸念が出ていることだ。

 

これには、中国企業が該当地域に近い土地を買い占めているかの調査も含む。CNNによると、「ユタ州の非常に機密性の高い軍事実験施設の近く」の土地と明らかになって、売却が中止された事例が少なくとも1件あったという。テキサス州ラフリン空軍基地に隣接する200平方マイルの土地を中国人民解放軍の元将軍が所有していることが明らかになり、同様の心配が浮上した。

 

一方、ノースダコタ州のグランドフォークス空軍基地は、以前はICBMの基地で、現在はRQ-4グローバルホーク偵察機など機材を運営しているが、中国関連で別の懸念になっている。中国の富峰集団が近くに建設を予定していたトウモロコシ製粉工場は、スパイ活動の危険性があるとして、監視対象となっている。そのプロジェクトの行方は、米国政府審査によって決定される。

 

これまでもThe War Zoneは、コロラド州東部とネブラスカ州、カンザス州の隣接地域で、法執行機関がドローンの編隊の報告を相次いで受けたことについても深く考察してきた。この「謎のドローン」事件は、少なくとも二名の米国上院議員、コロラド州知事、州公安機関が懸念を表明するに至った。

 

その中心には、相次ぐドローンを目撃した、F.E. ウォーレン空軍基地の第90警備隊グループがあった。第90警備隊は、ウォーレン空軍基地と第90ミサイル飛行隊が運用するミニットマンIII ICBM150機の警備を担当する。


連邦航空局(FAA)は2019年12月と2020年1月に多くの信頼できる目撃者が報告したドローンの飛行隊列の起源を特定できなかった。


米国の戦略的態勢でICBMの重要性は軽視できず、それを考慮すれば、この分野が潜在的なスパイ行為や高いレベルの監視の対象となっても驚くべきことではない。


こうした施設へのスパイ活動の疑いに中国がどう関わっているかは、少なくとも米国の情報機関が確固たる証拠を提示するまでは、疑問の余地がある。とはいえ、北京に対する疑惑、特にアメリカのICBMに関する疑惑は、長い実績がある。ここでもまた、スティーブン・シュワーツが観察するように、リスクの真の大きさを注意深く見る必要がある。


「仮に、中国が何らかの方法でICBM全体を危険にさらし、使用を阻止または遅延させたとしても、太平洋を拠点とする8隻のオハイオ級弾道ミサイル潜水艦には、それぞれ4〜5個の弾頭を搭載する計160本のトライデントII D5/LE SLBMがあり、中国を消滅させられ」。そして、ICBMの一部は中国を狙うかもしれないが、最も極端な状況、つまり全面核戦争以外では、中国に到達するためにまずロシアを飛び越えねばならず、これは非常に挑発的で危険になるため、「そのために使うことはまずないだろう 」と指摘している。


もちろん、太平洋と大西洋で抑止パトロールを常時行う潜水艦は数隻だけだが、潜水艦による二次攻撃抑止力は極めて強固で、爆撃機は柔軟だが生存能力が劣る。しかし、国防総省にとってICBMは戦略的優先度が最も高く、安全保障上で脅威の可能性があれば、極めて深刻に受け止める。


今回の疑惑の真偽はともかく、最近の動向は、米国内で疑われる中国の諜報活動の詳細を公表する際に、米国が透明性の高いアプローチを追求していることを示唆している。このことを考えると、今後、ICBMやその他の米軍インフラへの中国活動について、証言がより多く得られる可能性は十分にある。■


Nuclear Experts Question Possible Effects Of Chinese Cell Towers On U.S. Missile Silos

BYTHOMAS NEWDICKJUL 25, 2022 4:48 PM

THE WAR ZONE