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2017年8月17日木曜日

米本土ミサイル防衛に自信を見せるMDA(ミサイル防衛庁)



New MDA director: US prepared to defend against North Korean nuclear ICBM threat

MDA新長官:米国は北朝鮮核ICBM攻撃の防御の準備ができている



写真 米空軍中将サミュエル・グリーヴス(宇宙ミサイル装備センター長兼宇宙分野事業統括者)が第103回ロウズボウルの観衆に手を振る。カリフォーニア州パサデナ, Jan. 2, 2017.

HUNTSVILLE, Ala. — ミサイル防衛庁長官に就任したサミュエル・グリーヴス空軍中将は米国の本土防衛体制に自信をもっており、北朝鮮の核ICBMに対応する装備の準備態勢ができていると語った。
  1. 宇宙ミサイル防衛シンポジウムで質問を受けたグリーヴス中将は「現在配備中の弾道ミサイル防衛システムで脅威に十分対応できる」と述べた。
  2. ただしミサイル防衛庁は変化し続ける脅威に対応しようとしており、ICBM同時発射や対抗措置やおとりの放出に対抗すべく脅威の「緩和」に「しっかりと」取り組んでいると付け加えた。
  3. グリーヴス中将はデータの裏付けが十分にあってはじめて自信が持てるとし、「解析を完了し、各種システムを構築し、モデリングやシミュレーションを実施し、テストも厳しい条件で行い、総合的に行った。裏付けデータもある」と語った。
  4. 長官はDefense Newsに対しMDAは脅威の深化に対応する整備大日程表に従っていると述べた。
  5. 金正恩になってから北朝鮮はミサイル試射回数を急増しており、呼応して朝鮮半島での開戦の危機も大きくなってきた。
  6. 先月のICBM発射ではじめて射程1万キロ超の性能を有するとの解析結果が出た。サンディエゴはもちろんニューヨークにも届く可能性が出てきた。また核弾頭の小型化にも成功したとの報道がある。
  7. 一方で北朝鮮発表の論調は一層好戦的になっており、8月9日にはグアム核攻撃を公言。
  8. これに対抗して注目されるのが5月に北朝鮮やイランからのICBM攻撃を想定して実施された本土防衛システムの作動試験だ。
  9. このテストではじめて地上配備中間軌道防衛システムが供用されICBM級の目標を狙った。以前のテストでは中距離弾道ミサイルしか標的になっていなかった。
  10. MDAはTHAAD超高度広域防衛システムの先月のテストを成功と判定した。THAADは2013年からグアムに配備が始まり、韓国にも導入がはじまった。■

2017年6月1日木曜日

米GMDがミサイル迎撃に成功した意味、MDAの中長期ミサイル防衛構想


技術はどんどん進んでいきます。北朝鮮が飛翔制御変更なミサイルを開発したと自称していますが、米側と同等のセンサー網を運用していないため、制御の有効性は疑問です。しかし米側も今後真剣な対応を迫られるのは間違いありませんが、技術が必ず解決策を出してくるはずです。今は北朝鮮ですが中国やロシアのミサイルへの対応もそのうち道が開けるでしょう。

Army photo

アラスカのミサイルサイロに搬入される地上配備迎撃ミサイル。

 

GMD Missile Defense Hits ICBM Target, Finally

GMDミサイル防衛が迎撃実験についに成功

 By SYDNEY J. FREEDBERG JR.on May 30, 2017 at 5:45 PM

WASHINGTON: 北朝鮮の最新のミサイル発射から二日目に米国が本土ミサイル防衛の効果を初めて確認することに成功した。コードネームFTG-15とされた本日のテストではこれも初めて「ICBM級」の標的が投入されたとミサイル防衛庁(MDA)が発表した。地上配備中間段階防衛構想(GMD)には会計検査院(GAO)調べで2002年以来1,230億ドルの巨費が投じられており、今回で1999年以来の迎撃テストは18回中9回成功とちょうど50パーセントとなった。
  1. 「本日の成功で命中=撃破方式の本土ミサイル迎撃に懐疑的な向きも反論が難しくなりました」と戦略国際研究所のミサイル防衛部門長トーマス・カレイコが指摘する「本土ミサイル防衛体制に重要な日となり金正恩には悪い日になりました」
  2. どこまで悪い意味があったのだろうか。命中率50パーセントを現実の作戦で考えると、批判派の憂慮する科学者連盟がテストが非現実的で簡単なものだったと指摘するが、現在36基運用中の地上配備迎撃ミサイル(GBI)のうち18発が敵ICBMを迎撃することになる。少なくとも近未来で北朝鮮やイランには十分だと言える。ただし米政府はこの「限定的」ミサイル防衛体制ではミサイル多数を発射してくる中国やロシア相手には不十分だと認めている。
  3. MDAは今年末までにGBIを44基に増設するが、「二発発射して一発命中」では割りが悪い。このためMDAは複数目標撃破迎撃体Multi-Object Kill Vehicle (MOKV)の開発を急いでおり、迎撃ミサイルをいわば精密発射弾に変え、一発のGBIから複数弾頭を発射し目標多数に対応させる。供用開始を2030年目標だったが、MOKVは2025年に運用開始できそうだ。予算要求は2018年度に259百万ドルで、MDA総予算79億ドルの一部となっている。
MDA Photo
空中発射レーザー母機は2012年にモスボール保存となった。
  1. 長期展望ではMDAはレーザーに注目しており、2018年度予算要求で54百万ドルでR&Dを進める。半導体レーザーは電気だけを使い電源があれば何回も発射できる。軍の一部ではレーザーを実地試験しているが射程は短距離で想定は無人機やロケット弾の撃破だ。MDAはもっと難しい標的をはるかに遠距離から狙う構想で、開発中止となった空中発射レーザー構想を復活させようとしている。前回は改装747機に毒性の強い化学レーザーを満載していたが、今回は半導体レーザーを無人機に搭載する。敵発射地点近くに無人機を周回飛行させミサイルが発射されれば即座に撃破する。このいわゆる「発射直後迎撃」構想では敵ミサイルを一番脆弱な段階で攻撃し、弾頭を発射直後の上昇段階のミサイルものとも迎撃する。
  2. これに対して本日テストされたGMDは大気圏外攻撃弾Exoatmospheric Kill Vehicle (EKV) を飛んでくる弾頭部に宇宙で衝突させる方式だ。精密に衝突させ爆発物は使用しない。衝突すれば相手は粉砕される。だが目標に命中させるため地球規模の高性能センサー群の海上配備Xバンドレーダー(SBX)などからデータを指揮統制戦闘管理通信Command, Control, Battle Management and Communication (C2BMC)システムに投入し迎撃体へ指示を出す。
  3. この「命中=破壊」方式の迎撃は技術上は大きな課題でアイゼンハワー大統領が「弾丸を弾丸で撃ち落とす」と評したのは有名だが、現在では低高度はペイトリオットで、中高度はTHAADがあり、さらに高高度にGBIと当たり前に装備されている。本日のテストは満点ではなかったが、この技術の有効性を支持する向きには有利な結果を生んだ。■