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2017年4月11日火曜日

★4月7日シリアミサイル攻撃の決定過程、浮かび上がった問題点のまとめ



ペンタゴンによる背景説明としてはよくまとまっていますが、ロシアの関与以外に北朝鮮が現地に人員を送っており何らかの関与があったのでは、北朝鮮へのメッセージだったまでは触れていませんね。記事にはありませんが、駆逐艦艦長二名にはエアフォースワン搭乗中の大統領から直接電話が入ったそうです。

How the U.S. Planned and Executed the Tomahawk Strike Against Syria シリアミサイル攻撃はこのように立案、実施された

April 7, 2017 3:59 PM • Updated: April 9, 2017 12:06 PM

USSポーター(DDG-78)が地中海からミサイル攻撃を実施。April 7, 2017. US Navy Photo

THE PENTAGON —国防総省高官からアルシャリアート飛行場へのトマホーク攻撃作戦の立案および実施の説明が報道陣にあった。
米攻撃は4月4日の化学攻撃がハンシホーンKhan Sheikhoun市街地に向けられ多数の幼児女性含む死者が発生したことに呼応したもの。サリンガスが投入されたとみられる。
以下は化学攻撃の発生した4月4日以降を時系列で辿り、米最高指導部の意思決定がどのように木曜日の攻撃につながったかをまとめたものである。

攻撃発生

  • 攻撃の翌日、大統領は国防長官に軍事対応策の選択肢検討を命じた。その結果は提言にまとめられ、国家安全保障会議にまわされた他、関係省庁が検討し、翌6日にまとめられた提言策が大統領に提出された。

USSロス(DDG 71)がスペイン・ロタに寄港中。同艦は前方配備として同地に2017年3月より配備US Navy Photo

  • 国防総省高官によれば大統領向け提言策はそのまま米中央軍司令部および駆逐艦USSポーター(DDG-78)とUSSロス(DDG-71)に送られた。

USSポーター(DDG 78) が補給艦USNS メドガー・エヴァースMedgar Evers (T-AKE 13) より海上補給を受ける。April 15, 2015. US Navy Photo

  • 「立案段階で該当駆逐艦二隻の投入も選択肢のひとつで、駆逐艦には大統領自らの選択と伝えられたことで実施は迅速に行えた」と同高官は説明。「あらかじめ二隻は予定地点に待機させてあり、命令あり次第実施できる体制だった。大統領が選択肢を受け取った段階から作戦実施できる状態だったことになる」

トマホークBLK IV巡航ミサイル US Navy Photo

  • 4月6日、トランプ大統領はトマホーク陸地攻撃ミサイル(TLAMs)による攻撃案を選択。これについて軍当局は「相応の内容」でスタンドオフ攻撃なので「最小限リスクの攻撃」と解説していた。シリア国内のロシア軍に高性能防空装備があるため軍は有人戦闘機を危険な状況に送り込みたくなかった。だだしロシアはTLAMsを迎撃しなかった。
  • 「大統領はアルシャリアート飛行場攻撃に決めた。6日午後に安全保障会議でこの選択が決定された」と高官は報道陣に説明。「同6日午後4時30分ごろに大統領命令を受けている。大統領命令は国防長官経由で中央軍司令部に伝わり、作戦実施となった。受領4時間後にTLAM59発が発射された。東部標準時で昨日8:40ごろのことだ」

アルシャリアート飛行場の全体像。Image courtesy of the Defense Department.

  • 「化学攻撃に相応する選択肢を編成し大統領に示しており、攻撃直後の被害状況写真では丸で囲んだ軍事目標に強化航空機掩体壕、航空機、燃料施設、弾薬他が軍事目標の対象となった」
  • 「ロス、ポーターは59発を発射した。ミサイル全弾が目標に命中している」
  • 目標にシリア政府の軍事力が含まれる一方でロシア軍装備は対象から外された。すなわち回転翼機、20ないし100名のロシア軍関係者向け施設である。
  • 「同基地は相当広い施設で、滑走路は10千フィート長で滑走路端に強化掩体壕がある。また原油、燃料の貯蔵地区がある。化学兵器貯蔵庫と見られる施設もある。また地対空ミサイルが基地周囲に展開している」

米攻撃後の同基地。Image via DoD

  • また国防総省関係者は直後損害評価で目標59点に命中が確認されたと述べたが、強化掩体壕内の航空機すべてが破壊されたかは不明だと付け加えた。関係者は「約20機」が損傷を受けたとし、全てロシア製でシリアが運用する固定翼機で4月4日の化学攻撃に投入された機材も含む。滑走路は標的とされなかった。TLAMによる滑走路破壊は限定的で標的に選んでも「無駄」と高官は述べた。
  • 攻撃時刻は現地時間午前3時で意図的に設定されている。民間人死傷者を最小限に抑える狙いがあり、基地周辺には住居はないという。関係者はさらに現時点では民間人、軍人の死傷者の情報はないと述べている。

なぜ駆逐艦発射のトマホークが選択されたのか
今月始めに米戦略軍トップが米海軍水上艦艇部隊が紛争時に通常弾薬をまず使う傾向があるのを称賛している。空軍大将ジョン・配転は水上艦艇からの攻撃は潜水艦や爆撃機と比べて、軍事力行使の際にはっきりしたメッセージを米国が選択したと示せる利点があるという。「水上艦艇には他の手段にはない選択肢だ」
「必要な場所に艦艇を配置できる」
USSロス(DDG-71)およびUSSポーター(DDG-78)からの攻撃は2011年のオデッセイ・ドーン作戦以来最大規模の艦艇からのミサイル発射になった。両艦とも弾道ミサイル防衛が主任務であるが短時間で攻撃能力の実施が準備でき、両艦それぞれ90門の垂直発射管があり、対空ミサイル、BMD迎撃弾と使い分けができる。
「各艦の性能から指導部に正確かつ効果的な攻撃の選択肢が実現しており、それこそ各艦の真価だ」とポール・ステイダー大佐(USSフエシテイ(CG-66)およびUSSロス(DDG-71)艦長を歴任)はUSNI News に金曜日語っている。「トマホークはきわめて短時間で効果を発揮できる。またここ数年間で相当の進歩をしており、必要なときに非常に効果のある選択肢となる」–Sam LaGrone

情報機関


二番目に現れた高官からは空爆の背景事情の説明があった。米政府はシリア政権が自国民への化学関連攻撃をこの数週間で拡大しているのを監視していた。反乱勢力がホマの軍用飛行場占拠を匂わせていた。
  • 「シリア政権は激しいプレッシャーに置かれていた。ホマ地方で反乱勢力が大攻勢をかけて、反乱拠点はホマ県からイドリブ県にかけ不穏な動きを示していた」と高官は説明。「そのため政権はホマ飛行基地を喪失する危険にあり、回転翼機の重要拠点である同基地は樽爆弾の製造拠点とも疑われており、政権は死守を迫られている。今回の化学攻撃には前線での自暴自棄な決定で反乱勢力の動きを鈍らせる動機があったと見ている」.
  • 3月25日、シリア政権は塩素化学成分をホマに投下。
  • 3月30日、同政権は未確認の化学成分をホマに投下し現地NGO団体は神経ガスだったと述べている。

シリアのSu-22. Sputnik Photo

  • 4月1日に同政権はサリン爆弾をハン・シーホウン(イドリブ県)に投下し、2013年以来最悪の化学兵器攻撃となった。米軍はシリア軍機がアルシャイラート飛行場からハン・シーホウンに飛ぶのを監視していた。同日午前7時前のことでサリンによる死傷者の報告が入り始めた時間と符号する。
  • 「該当機の飛行経路はわかっている。該当機が攻撃時間に現地上空にいたのもわかっている。攻撃時間は同日早朝で0650または0655ごろと見ている。神経ガスに触れた住民の死亡は0700とただちに発生しており、神経ガスと即座にわかった」と同関係者は説明し、「化学爆弾を投下したのはSu-22だった可能性が濃厚」としている。シリア運用のロシア製軍用機だ。

  • 「化学攻撃の拡大傾向に大きく憂慮せざるをえず、罪のない一般市民が多数被害を受けることは看過できない」と同関係者は述べ、「サリンに代表される神経ガスがハン・シーホウンで使われたのは疑う余地がない。被害者の症状は神経ガス使用の場合と一致している」
  • 化学攻撃の直後に「一般市民が病院を一斉に目指すと、UAV一機が上空に視認され、小さなUAVでシリア政権あるいはロシアのもので、病院上空を飛んでいた。病院では救急活動に忙しく、攻撃後5時間が経過して同じUAVが戻ってくると、病院は(固定翼機から)攻撃された。爆撃の理由も実行者も不明だが、同病院を意図的に狙ったのは化学攻撃の証拠を消すためだったのだろう。この点に当方は非常に関心を引かれている」と同関係者は述べ、病院を爆撃した機材はロシア製だが、ロシアあるいはシリアのいずれの所属か不明だという。両陣営は同じような機材を運用している。また病院関係の情報を収集していたUAVの所属も米側は掴んでいない。

ペンタゴンがシリアによる化学兵器投下だと信じる空中写真。DoD Image

  • ロシア政府は反乱勢力がハン・シーホウンに化学工場を運営しており、これが爆撃を受けたと主張。だが説明に当たった国防関係者は爆弾投下爆発による大きなクレイターが道路真ん中にあり、建物のそばではないとするオープンソースの映像、衛星画像を見せた。同関係者は爆弾が民間人のそばに投下され、中にサリンガスが入っており、今回の攻撃が神経ガスだったのかという議論は事実の前に意味がない。シリア政権側の空爆が化学成分の元だったという以外に可能性がなく、多数のシリア一般住民が死亡しているのだと説明。
  • 米軍はサリンガス攻撃にどこまでロシアが関与していたかを突き止めようとしている。「化学攻撃の実施方法は解明できた。政権側が化学製品を投入した化学攻撃の実績、化学工業力の水準はわかっている。先例があり、技術があるのはわかっている。さらに外部から援助を得ていたのではと疑っている」と同上関係者は述べ、「何が起こったのか、どこで起こったのか、誰が起こしたのかもわかっている。同時に誰が支援していたかもわかっている。明らかにロシアはシリア政府を押さえきれていない。結果として、再度シリア一般住民が死亡した。ロシアに化学兵器取り扱いの知識があるのはわかっている。今回の場合におけるシリアとロシアの絡み合いは現時点では説明できないが、注意深く情報を分析しロシアが今回の攻撃を事前に承知していた、あるいは支援で関与していたことを示していく」
  • はたしてロシアが4月4日の攻撃を事前に知っていたのか、支援したのかとは別に2013年にロシアはシリア国内の化学兵器全部は廃棄ずみと保証していた。同上関係者は当時の米国はロシアの言い分を認めて化学兵器は全て同国からなくなったと見ていたが、今回の攻撃を受けて米情報機関はさらに注意深くこれまでの化学攻撃の対象地からシリアの化学兵器水準を把握する痕跡を見つけるという。■

2017年4月9日日曜日

シリアめぐりロシアの関与を疑う米国、北朝鮮にも要注意



今後米ロ間で激しい言葉の応酬がありそうですね。シリアに北朝鮮がどこまで絡んでいたのかも調べてもらいたいものです。化学兵器を北朝鮮がどこまで運用する体制にあるのか、今回の化学攻撃も北朝鮮の知見が背後にあるのではと思うのですがどうでしょうか。

 US Looking at Possible Russian Role in Syrian Chemical Attacks ロシアがシリア化学攻撃に関与?This image, released on Friday, shows the impact of the April 6 missile strike on Shayrat Airfield in Syria. (DoD photo)

国防総省が金曜日公表した画像でシャリアート基地へのミサイル攻撃の効果がわかる。
(DoD photo)
Stars and Stripes | 8 Apr 2017 | by Tara Copp and Corey Dickstein

  1. 7日、米軍高官はロシアがシリアの化学攻撃に手を貸した可能性があると述べた。
  2. 関係者によればロシアの関与が今後の調査の対象で、シリアの化学兵器開発を止めなかったのか、それともシリアによる隠蔽工作を助けたかをはっきりさせる。
  3. 金曜日に、シャイラート空軍基地の破壊状況を示す画像が公表され、シリア空軍機材20機、弾薬貯蔵施設、地対空ミサイル陣地や燃料弾薬貯蔵庫の破壊状況がわかった。
  4. 現地ホムズ地方の知事タラル・バラジはアラブTV局に基地の火災は二時間ほど続いたと述べた。知事は攻撃で死傷者が発生したとAP通信に語っている。シリア軍によれば7名死亡、数名が負傷したという。
  5. ロシア関係者は同日、空爆を「非合法」と非難し、シリア国内の騒乱状態が悪化するだけだと述べたとBBCが伝えている。通信社複数が攻撃によりロシアの対米協力は終わり、シリア上空での米ロ軍用機の衝突を防ぐ等の措置はできなくなったと報じている。
  6. ただし米関係者は同上報道内容を認めず、両国間の通信回線は維持出来ており、現に金曜日にも使用されていると述べた。
  7. ただしロシア国営通信インターファックスは金曜日にロシアがモスクワ米国大使館付武官を呼び出し、通信回線は土曜日深夜をもって使用中止とすると通告したと伝えている。
  8. シリア国内のエスカレーションは今週火曜日の化学攻撃が原因で、反乱勢力が占拠するハンシホン村が襲われたのだ。
  9. 軍高官が公表した映像では村内道路に全く通行がなく、化学兵器の傷跡が視認できた。爆弾は反乱勢力の化学工場製とのシリア大統領バシャル・アサドの主張への反論がこの画像だ。米情報活動成果も背景に軍事関係者はアサド主張は当てはまらないと断言した。
  10. また関係者によれば小型無人機が村の病院を襲撃直後に監視していた証拠がある。病院には化学火傷に苦しむ民間人多数が押しかけ、無人機は一旦その場を去った。五時間後に同じ無人機が戻ってくると病院は爆撃を受けた。この病院襲撃の事実からシリア単独での行為だったのか疑問が生まれている。
  11. 「陰でだれが支援していたのかわかってきたようだ」と軍関係者の発言がある。「明らかにロシアはシリア政権の活動を制限できていない。ロシアが同国に化学分野の専門知識を展開していることはわかっている。ロシアとシリアがこの件で共謀したとまでは今は言えませんが、情報を注意深く評価中でロシアが果たしてシリアを支援していたのかを判断したい」
  12. 今回の攻撃はトランプ大統領の就任後二度目の軍事作戦となった。二日間に渡り軍トップと国家安全保障会議と協議し、木曜日午後4時30分に攻撃実施の命令を下した。
  13. 「今夜、軍事攻撃をシリア国内の航空基地を対象に命じました。化学攻撃の出撃基地となった場所です。米国の安全保障上、化学兵器の拡散、使用の阻止には死活的な意味があります」とトランプ大統領は木曜日深夜に全国向け放送で語った。
  14. USSポーターのミサイル発射開始は午後8時40分で現地時間では午前3時近い。この時間を選んだのは民間人被害を最小限に抑えるためだった。
  15. 「米作戦立案部門は非常に注意深く計画し、ロシア、シリア双方の人的被害を最小限に抑えようとした」とペンタゴン報道官ジェフ・デイヴィス大佐は述べている。「特にロシア人を標的にしないよう注意した」
  16. デイヴィス大佐はシャイラートが化学兵器貯蔵場所だったか不明だが基地が以前は貯蔵場所だったと述べている。
  17. トランプ大統領はアサド軍が化学攻撃の張本人であることは「疑う余地がない」と言い切っている。「シリア独裁者バシャ・アサドが恐ろしい化学攻撃を罪のない一般市民相手に強力な神経ガスで実施した。アサドは多数の男女、児童を窒息させ新生児もこの野蛮な攻撃で命を奪われている」
  18. シリア政府は関与を否定している。シリア国営テレビは米攻撃を「侵略」と呼んでいるとAPが伝えている。
  19. トランプは木曜日に習近平主席との会談地パームビーチのマーララゴ別荘地で攻撃実施を命令した。国防長官ジム・マティスはフロリダヘ飛びトランプに選択肢を提示していた。
  20. トランプはこれまでアサドのシリア国内での動向を無視して、ISIS撃滅を中心にしてきた。ただし今回の化学攻撃を「凶悪行為」と呼び「看過できない」と述べた。エアフォースワンで移動中に同行報道陣に米国の行動を示唆していた。「アサドはひどい」とトランプは述べ、「シリアで発生したことは極悪犯罪だ。あいつがあの国で采配をとるので事件が起こる」
  21. シリアは2011年から内戦状態にある。シリア反乱勢力はアサドを放逐しようとしたが、アサドは自国民に攻撃を繰り返した。2012年にアサド政権は化学兵器保有を認め、バラク・オバマ前大統領はアサドに化学兵器を使用すれば然るべき行動を取ると警告した。2012年12月にシリア内ホムズの住民が化学兵器で死亡したとの報道があったが、米国は何ら対応しなかった。
  22. 内戦はISISが力の真空地帯を占拠したことで一層複雑かつ激甚度を高めた。米軍が対ISIS作戦をシリアにも拡大したのは2014年のことで、空爆を開始し、その後シリア反乱軍の訓練や装備提供に拡大している。反乱勢力はもともとアサドを駆逐する目的があったが、支援の拡大によりロシアが2015年9月に進出し、空軍基地を利用して軍用機をシリア国内で運用しはじめ、高性能の防空体制を沿岸部と内陸部に構築した。
  23. それ以降、米軍の対ISIS地上部隊と空爆回数が増えている。ペンタゴンは現時点でのシリア国内米軍隊員数を正確に発表していないが503名までの長期駐留の権限を得ている他、先月は一時的に海兵隊と陸軍レインジャー部隊400名を増派した。
  24. レインジャーはマンビジに展開しシリア国内のクルド人部隊とトルコ軍の交戦を抑止する役目を負っている。海兵隊は砲兵部隊でシリア国内のアラブ勢力に火力支援を提供中で、ISISの事実上の首都ラッカ攻略にも一役買っている。
  25. 空軍はクルド人勢力が支配するシリア北部のコバニに滑走路を設営し、空輸作戦を展開中だ。統合参謀本部議長ジョセフ・ダンフォード大将付きの陸軍最上級曹長ジョン・ウェイン・トロクセルは今週水曜日にコバニに飛び基地を訪問し火砲支援や米軍による現地勢力の訓練状況を視察した。DOD発表の報道発表でトロクセル曹長は現地部隊は活発と報告している。「現地の海兵隊は一ヶ月弱で火砲を1,182回も発射している」■
Pentagon correspondent Corey Dickstein contributed to this report.

2017年4月8日土曜日

★ペンタゴンが4月7日トマホーク攻撃の一次評価を発表。ロシアの情報操作には要注意



ロシア発表との食い違いが気になりますが、ロシア発表しか報道しない日本の一部メディアはもっと要注意ですね。二次攻撃があるのかはまだはっきりしませんが、今回の攻撃は「メッセージ」として軽微な被害をねらっただけのようです。北朝鮮はかたずを飲んで状況を見ているでしょうね。
Aerospace Daily & Defense Report

Pentagon Says All 59 Tomahawks Hit Syrian Targets

Apr 7, 2017James Drew | Aerospace Daily & Defense Report

トマホーク攻撃で「約20機」のシリア航空機を破壊したとペンタゴンは言うが、ロシアはMiG-23の6機が被害を受けただけと発表。U.S. Navy

  1. ペンタゴンによればレイセオン製トマホーク陸上攻撃巡航ミサイル59発が4月7日にシリアのシャリアート空軍基地に発射され、60発目は発射中止された。発射されたミサイル中一発は標的を外したが、残りは狙い通り着弾した。
  2. 地対空ミサイル陣地1、レーダー、航空機20他弾薬庫および化学兵器貯蔵施設の疑いのある箇所が損傷あるいは破壊された。
  3. というのが国防総省の評価である。ペンタゴンでは報道記者会見で係官二名が匿名で対応し海軍が実施した攻撃は100%正確だったと述べ、「59発が命中したのは確実」と説明。
  4. 同上発言と偵察写真を見ると59発中命中は23発で被害は修理中MiG-23の6機だけとのロシア国防省発表の信憑性が疑われる。ロシアは米攻撃の効果は著しく低かったと発表している。ロシアにはシリア攻撃を事前に通告しており、ロシアの防空システムはトマホークミサイルの通過飛行に反応していない。シリア運用のソ連時代の地対空ミサイルは低空飛行するトマホークを捕捉できず逆にミサイルの標的となった。
  5. トマホークミサイルの単価は1ないし1.5百万ドルなので攻撃全体で61百万から92百万ドルとなり費用対効果は高いとペンタゴン関係者は述べている。
  6. 「シリアの子どもたち何人が61百万ドルで命を救われることになるのでしょうか。市民数百人、数千人が化学兵器、樽爆弾や高性能爆発物の犠牲になっています。そのため抑止力が必要であり今回それを実施したわけです」(情報機関関係者)
  7. トマホーク攻撃の準備は4月5日に開始された。同日にトランプ大統領からジェイムズ・マティス国防長官に軍事行動で前日に報道された化学攻撃に対抗する選択肢の提示が求められた。2013年のダマスカス事件以来最大規模の化学攻撃であり、さらに現地で医療活動にあたる病院が爆撃されたことで被害が拡大していた。
  8. 選択肢には海軍艦砲による精密射撃等があり国家安全保障会議が検討ののち、有人戦闘機や爆撃機による攻撃よりも米軍の人的損害が低いためミサイル攻撃案が選択された。4月6日に大統領に選択案が提示された。同日午後4時30分頃、中国主席をフロリダでもてなしながら、トランプ大統領は軍首脳にトマホーク攻撃の実施を命じた。四時間後にロシアは航空基地への攻撃が間近に迫っていることを通知され、USSポーターとUSSロスがミサイルを発射した。
  9. 両艦は第六艦隊所属でスペインのロタから展開しミサイル発射地点に前日到着し、実施命令を待っていた。
  10. シリア目標にミサイル各弾が到達したのは4月7日現地時間午前3時から4時にかけて。機密解除された画像では一部標的に大きな破裂痕や穴が見られる。米関係者によれば正確な損傷状況は評価中とのことだが、20機以上の航空機に損害を与え、ロシアへの通知後四時間に渡り航空機離陸は一切見られなかった。滑走路は攻撃対象から外された。今回投入された弾頭では破壊効果が期待できないからだ。
  11. 攻撃時間は奇襲効果を狙って設定されたが、夜間であり民間人が付近にいる可能性が低いことが理由だ。
  12. 同基地にはロシア人12名から100名が配置されていたとの評価があるが、一名も死亡していない。だがシリア軍関係者数名は死亡している。
  13. ロシアはシリアでの武力衝突回避用の通信を遮断すると発表してきた。米関係者はこれを否定し、通信回線はまだ生きているという。
  14. ペンタゴンは4月4日の化学攻撃時に使用された固定翼機の正体はまだ判明していないと述べている。攻撃直後に救援活動中の病院を監視した小型固定翼無人機の所属も不明だ。攻撃時に同機は病院の周囲を飛行して、その後いなくなったが、五時間後の病院爆撃時には現場に戻っていた。
  15. ペンタゴンは3月30日に化学攻撃があったと見ていた。シリア軍が反乱勢力による攻勢を受けて苦し紛れに化学兵器を投入したと見ていた。シャイラート基地は化学兵器の製造貯蔵が長年行われている場所だ。2013年のダマスカス攻撃を受けてロシアはオバマ政権に対して今後はシリアの化学兵器の除去無力化に協力すると約束していたが、明らかに備蓄されていたのだ。
  16. 「ロシアはシリアの統制に失敗しています」と同上情報関係者は述べた。「注意深くロシアが化学兵器運用の手助けをしたのか、あるいは事実を知っていたのかの評価を続けています」■