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2017年8月13日日曜日

X-47Bをテスト機材としてMQ-25A受注を狙うノースロップ・グラマン



写真はかなり解像度が低いのですがあきらかにX-47Bですね。熱のゆがみではなくデジタルズームのためでしょう。かなり遠距離で視認していますね。

Modified X-47B Breaks Cover As Testbed For MQ-25 Bid

X-47BがMQ-25開発用のテスト機に使われ久しぶりに姿を現す
Aug 12, 2017Guy Norris | Aerospace Daily & Defense Report

Anonymous
LOS ANGELES—ノースロップ・グラマンが米海軍が求めるMQ-25Aスティングレイ無人給油機にむけた空中給油システムのテストでX-47B無人機(UAV)をテスト機につかっている。
  1. ノースロップ・グラマンのMQ-25Aにむけた準備の様子がこのたびAviation Weekが入手した写真で判明した。改修ずみX-47Bが米空軍の第42工場(カリフォーニア州パームデール)で撮影され主翼装備空中給油ポッド(WARP)を左主翼下に、落下式燃料タンクを右主翼下につけている。
  2. また写真では給油用プローブが右主翼についており、機体はAV-2/502、つまりX-47B二号機のようだ。X-47Bは海軍の求める空母運用無人機実証事業(UCAS-D) で製作され、同事業は2015年に終了している。
  3. 写真では高温のゆらぎのため詳細が見にくいが、WARPはCobham34に酷似しており200から325ノット速度域での使用する。同システムは毎分400米ガロンを移送する動力にラムエアタービンを使うが写真上でWARPの先端にこれがはっきり見える。
  4. 右主翼下のポッドはF/A-18ホーネット、F/A-18E/Fスーパーホーネットの標準補助燃料タンクに似ており、FPU-8(330ガロン)またはFPU-11(480ガロン)落下タンクのようだ。
  5. 米海軍が「ソルティドッグ」と呼称したX-47Bが海軍航空システムズ本部のパタクセントリヴァー基地(メリーランド)から今年1月パームデールに移動したがその後同機の動静は聞かれなかった。
  6. 改修したX-47Bの登場は海軍から正式なMQ-25A提案要求(RFP)が今年後半に予想される中でのことで、MQ-25Aは海軍初の空母搭載無人実用機となり早ければ2019年から2020年に登場する。RFP初版は6月に出ており、技術製造開発(EMD)契約を2018年に交付するとしている。要求内容はボーイングジェネラルアトミックスロッキード・マーティン、ノースロップ・グラマンの各社に送付されている。
  7. ノースロップ・グラマンに照会したが回答を差し控えるとのことだった。■

2016年6月18日土曜日

★提言 X-47Bを給油機として飛行再開せよ



この意見のように確かにX-47Bのテストは唐突な終わり方をしており、もったいないことは確かなのですが予算問題など飛行を中止させる理由があったのも確かです。一方で空母離着艦ができるのは有人操縦だけという組織内文化がすべて無人でこなしてしまう同機に反発したことも考えられませんかね。

 Put the X-47B Back to Work — As a Tanker

An X-47B UAV made a historic launch from the aircraft carrier USS George H.W. Bush on May 14, 2013.
U.S. NAVY / ERIK HILDEBRANDT
BY JERRY HENDRIX
JUNE 13, 2016
米海軍は数十億ドルを投じて別のUAV試作機を作らなくても既存機材を有効活用できるはずだ。


ソルティドッグ501および502は未来の海軍航空兵力へ当初期待された効果を全部出すことなくひっそりと格納庫に座っている。海軍は新型UAVに予算と時間を使う前に、X-47Bを飛行再開すべきだ。

2007年に十億ドル予算が付いたX-47B実証無人機は海軍航空兵力に無人機が統合可能か調べるのが目的だった。その栄光の日々の実績には初の空母自律着艦、初の空中給油の実施があり、二機はさらぶテストに使う予定だったが、想定飛行時間の八割で海軍上層部はX-47Bを博物館送りにする決定を下した。せっかく無人空母艦載機の実現に向けて事業が進んでいたのに。

ソルティドッグ二機は低視認性の無人攻撃機で機内ペイロード4,000ポンド戦闘半径1,500マイルの試作型として製造された。だが実際に完成すると海軍航空部門の上層部はおどろくべき変心を見せ長距離攻撃能力は不要と言い始めた。すでにMQ-4Cトライトン広域海洋監視機を68機調達する予定なので空母打撃群のニーズにこたえられるとしたのだ。

だがこの方針転換は接近阻止領域拒否 (A2/AD) 体系の新型装備には目をつぶっているようで、たとえばDF-21D空母キラー弾道ミサイルの登場で艦載航空隊の有効距離より外で空母が航行を迫られる事態に対応できない。航空隊の有効半径は通常500マイルであり、航空隊には長距離攻撃機が必要であり、X-47B計は参考になるはずだ。

そこでソルティドッグの仕様をもう一度思い出してみよう。実際には実現までしないものもあったが、当時の海軍作戦部長ゲイリー・ラフヘッド大将は次の内容を承認した。

  • 空軍のブーム式給油装置に対応すること
  • 夜間発着艦および低照度下で艦上移動可能とすること
  • 悪天候、向かい風でも飛行オペレーション可能とすること
  • 有人機と同等の着艦条件の実現(海軍飛行隊員がケースI、II、IIIと呼ぶ想定)
  • 母艦から無線制御で着艦させること.
  • 空母離着艦を100回以上実施すること(実績は20回未満)

10億ドルを投じ、無人機の空母運用テストの8割をこなしたただけで格納庫入りさせておきながら海軍は別事業で空母用無人機を検討しているのは皮肉としかいいようがない。

そこでペンタゴン内部から別の声が出ているのは驚くべきことではない。海軍に偵察機ではなく給油機として無人機を活用させて有人機の飛行距離を伸ばしA2ADに対抗させようというのだ。給油機としての設計が将来攻撃機に進化できるのであればこの案に意味がある。だが基本設計が給油機としても機能する偵察機のままならば意味がない。その設計では攻撃機として想定する高度、速度が実現できず、重装備兵装を搭載する想定のかわりに機内燃料を他機に分け与えるだけの想定だからだ。

そこで以下を提案したい。何か突飛なことをしてX-47B/ソルティドッグのテストを当初通り貫徹させる。各機能の発展をチェックし、追加テストも行う。ソルティドッグの一機に4,000ポンド燃料バッグを爆弾倉に搭載し、ホース-ドローグ給油装置をハードポイントに取り付ければソルティドッグは無人給油機のテスト機材に早変わりする。X-47Bの運用高度上限は40,000フィートプラスで高めの亜音速により現行の有人機への給油は容易に実施できるはずだ。さらにすぐにもテスト開始できる利点もある。

財政事情が窮屈なのはわかるが、敵も進歩しており、せっかく二機が眠ったままなので海軍は将来のために両機を有効活用すべきである。今すぐその場で。


本記事の著者ジェリー・ヘンドリックスは新しいアメリカの安全保障を考えるセンターにおいて国防戦略評価部長を務めているが、海軍を大佐で退役しており、海軍歴史遺産保存部門長をしていた。



2015年4月23日木曜日

X-47B>空中給油テスト成功、でもこれで事業終了か


空中給油もデモとして実施して予算もないのでX-47Bはすでに過去の機体となるのでしょうか。一方で肝心のUCLASSの仕様が決まらないのでX-47Bのデータがいつになったら有効活用されるのか先が見えません。海軍長官の発言にはX-47Bの成功が大きく作用しているのでしょうね。まずDefense Techの記事紹介です。

Navy Conducts First Aerial Refueling of X-47B Carrier-Launched Drone

by KRIS OSBORN on APRIL 22, 2015

Navy X-47B refuels for the first time. (Navy photo)
米海軍はX-47B艦載無人実証機を使い4月22日にパタクセントリヴァー海軍航空基地上空で無人機への初の空中給油に成功した。
X-47Bにはオメガ・エア・リフィユエル社 Omega Air Refueling の給油機が対応したと海軍とノースロップ・グラマン関係者が明らかにした。
X-47Bは5月には空母への着艦、発艦ですでに歴史に残る業績を上げており、現在は空母艦上での取り回しの改善に投入されている。
The Navy launched and landed the X-47B in rapid succession with an F/A-18 fighter jet as part of a series of joint manned and unmanned flight tests aboard the USS Theodore Roosevelt in August of last year off the coast of Norfolk, Va., service officials said.
X-47Bの着艦発艦テストはF/A-18の運用と平行して有人無人機運用テストとしてUSSセオドア・ロウズヴェルトを用い昨年8月にノーフォーク軍港(ヴァージニア州)沖合で実施している。

Navy X-47B refuels for the first time. (Navy photo)
X-47Bは8分間の飛行後、拘束フックによる着艦に成功し、主翼を折りたたみ、艦上をタキシーングし、続くF/A-18に着艦スペースを空けた。

Navy X-47B refuels for the first time. (Navy photo)
X-47Bへの空中給油はペンタゴンで海軍の次世代空母運用無人機の検討作業が続く中で実施された。議会有力議員はステルスで長距離飛行による敵地侵入攻撃性能が必要だと主張している。これに対しペンタゴンも情報収集監視偵察(ISR)を重視し、無人空母運用偵察攻撃機(UCLASS)構想を検討している。
X-47BはUCLASSに先立つ実証機の位置づけだ。

USNI Newsはもう少し掘り下げて報じています。

Navy Conducts Successful Test of Aerial Refueling with X-47B, UCAS-D Program Ending

April 22, 2015 3:37 PM


米海軍が初の自動空中給油に成功した。ノースロップ・グラマンX-47Bテスト機が4月22日に実施し、これで無人空母搭載機実証事業Unmanned Carrier Air Vehicle demonstrator (UCAS-D) も終了すると海軍航空システムズ本部 (NAVAIR) がUSNI Newsに語っている。
  1. X-47Bはチェサピーク湾上空を巡航飛行し、コールサイン ソルティドッグ502としてオメガ・エアリアル・リフュエリングサービシズ社のボーイング707給油機の後方につき4,000ポンド超の燃料を受け取りパックスリヴァーに向かい東部標準時午後1時15分に着陸したとNAVAIR報道官がUSNI Newsに語っている。.
  2. 給油はプローブ・ドローグ方式で行った。.
  3. 4月15日にソルティドッグ502はタンカーとの通信接続を確立したが、この際は燃料は移送されていない。また乱流で給油テストが中止されたこともああった。
  4. 空中給油テストはノースロップ・グラマンに交付した64百万ドル契約の一部。
  5. 「UCAS-Dの飛行テストは2012年に始まり、有人リアジェットをX-47Bに見立てて実施した。数回に渡る実証飛行でX-47Bへの空中給油の可能性が証明され、航法・指揮統制機能や赤外線レーザーの処理部品で改修を行った」とノースロップは発表。.
  6. これでソルティ・ドッグ501と502はテスト業務から外れ、航空博物館送りとなるか航空宇宙メンテナンス・再生グループ(「機体廃棄場」)があるデイヴィス・モンタン空軍基地(アリゾナ州)に移動となるだろう。
  7. 両機とも設計飛行時間の20%しか使用されていないが、海軍は機体構造は今後登場する無人空母運用偵察攻撃機(UCLASS)と共通要素は少ないと見る。
  8. 「X-47とUCLASSの相違点を考えるとUCLASSのリスク軽減対策は巨額の事業になりそうだ」とB.V. Duarte デュアルテ大佐(NAVAIR PMA-268責任者、UCAS-DおよびUCLASS事業を統括)は語る。
  9. X-47Bはステルス設計で空中給油可能かつ機内ペイロードが大きく、海軍が当初構想していた海軍用無人航空戦闘システム (N-UCAS) を具現化し、敵地侵攻型機に近い。構想は2006年のQDR(四年ごとの国防整備計画)で最初に提示された。
  10. その後、海軍は目標を修正し、無人空母運用型偵察攻撃機 (UCLASS) にした。USNI Newsが知るかぎりこの機体はRAQ-25とNAVAIR内部で呼称されている。
  11. UCLASS検討の初期段階では空母打撃群に追加偵察能力 off-cycle surveillance capabilityを提供するが攻撃能力は限定的とし、しかも制空権が確保された作戦空域内での攻撃を想定し、空中給油能力は不要とされた。
  12. ただし、無人機全体の構成を検討する戦略的事業検討(SPR,スピア) が国防長官官房内で開かれ、UCLASSの最終構想は未決とされた。
  13. 議会内にはジョン・マケイン上院議員(共、アリゾナ州)やランディ・フォーブス下院議員(共、ヴァージニア州)のようrにUCAS-Dテストの延長を求める声がある。しかし、22日に議会スタッフによるとX-47Bテストは下院軍事委員会シーパワー兵力投射小委員会でも検討の対象に上がっていないとのこと。
  14. NAVAIRはUCAS-D事業はソルティ・ドッグ502がUSSジョージ・H・W・ブッシュ(CVN-77)への着艦に成功した2013年の時点で終了にする予定だったが、海軍上層部から空中給油テストを加えるよう求められた経緯がある。■

2015年4月15日水曜日

★X-47Bの最後のテストは空中給油の実施、そこでお役御免へ

X-47Bが順調にテストをこなしている間にUCLASSのコンセプトが決まらないのは歯がゆいですね。一方、いつの間にかドローンという言葉が一班に使われるようになりましたが、もとをただすとunmannedというコバに抵抗を感じた女性が出発点です。その女性は今週大統領選挙出馬を表明したヒラリーであり、このブログ管理者がどうしても支持したくないタイプの政治家です。

X-47B Drone Set For Refueling Test Tomorrow

By SYDNEY J. FREEDBERG JR.on April 14, 2015 at 4:50 PM

130514-N-FU443-745
NATIONAL HARBOR, MD: 「明日の天気はよさそうだ」とボー・デュアーテ大佐(米海軍で空母運用無人機事業を統括)は言う。慎重に「今のところはね」と付け加えた。
  1. 天候が良ければ米海軍の実験機X-47Bは空中給油を行う。無人機の空中給油は初の試みだ。これまでのテストでX-47Bは飛行中の給油機に30フィートまで接近し、ドローグ(燃料ホース)の背後についたまま飛行している。これまでは高精度GPSで空母着艦含む飛行を制御してきた。明日は新型光学センサーで燃料管をドローグに挿入する。
  2. 空中給油はパイロットにとっても神経をすり減らす仕事だが、アメリカが世界規模で空の優位を維持するためにはどうしても必要だ。無人機で空中給油が可能となれば可能性は増える。有人機の場合は燃料以外に搭乗員の人的限界で制約を受けるからだ。
  3. そこで海軍はX-47B後継機に超人的な耐久性を期待しており、UCLASSは24時間一週間連続の警戒飛行を航空母艦の周囲で行う。ただしUCLASSを巡り内部で苦い論争がまだ続いており、偵察・攻撃のどちらを優先すべきかで結論が出ていない。もともと防空体制の整備された空域に奥深く侵攻する構想だったが、長時間パトロール飛行しつつ、必要に応じ爆弾を投下する設定へと大きく変化している。.
  4. UCLASSは偵察・攻撃ミッションを均等に実施できない。海軍は偵察ミッションを重視し、最低でも飛行時間は14時間としている。国防長官官房(OSD)はこれに疑問を感じ高レベルで戦略性能検討会Strategic Portfolio Review (SPR, improbably pronounced “spear”)を開催し、何ヶ月も意見を戦わせているが問題は一向に解決のめどがついていない。
  5. デュアーテ大佐は海軍連盟主催の会議の席上で報道陣に対し検討作業は「夏のどこか」までに終わるとの見方を報道陣に示した。OSDがUCLASSの要求性能をめぐり議論を進める間に、大佐はUCLASSで求められる性能の実現を図っている。これは共用操作ステーションCommon Control Station と呼ばれ艦上で無人機と空母の間の通信を司る装備を含み、デュアーテは「今年度はCVN-70カール・ヴィンソンとCVN-77ジョージ・ブッシュの二隻を改造し」UCLASS運用の準備をする。
  6. ペンタゴンが戦略レベルでUCLASSの主任務を決めれば、海軍による要求性能に「修正が必要か判断できる」とデュアーテはいい、いよいよ待望の提案要求に移る。「産業界は息を殺して待っている」という。予算案では契約成立を2017年、作戦投入は2023年を想定する。
  7. その時点でX-47Bは確実に博物館入りしているだろう。同機はあくまで実証が目的で空中給油(AAR)に成功すれば十分な働きをしたといえるとデュアーテは言う。また給油テストで予算を使い果たしてしまう。
  8. 「目標項目はすべて達成し、得られた成果はUCLASSの性能諸元に反映させる」とデュアーテは言うが、UCLASSはX-47Bと相当違う機体になるはずで、制御系、降着装置など機構が異なる。そこでX-47Bをこれ以上テストに投入しても次期機種の開発に参考にならないということだ。現会計年度が終わる10月1日に海軍はX-47B2機を処分し、博物館に運ぶかデイビス・モンタン空軍基地(機体廃棄場)に移動させるかだという。そうなると同機は歴史を作る立場から歴史の一部になる。■


2013年9月20日金曜日

米海軍の次期無人艦載機UCLASSはローエンド性能機になってしまうのか

Pentagon Altered UCLASS Requirements for Counterterrorism Mission

By: USNI News Editor                        
USNI website, Thursday, August 29, 2013
                                                 
Chief of Naval Operations (CNO) Adm. Jonathan Greenert, left, and Secretary of the Navy (SECNAV) Ray Mabus observe an X-47B Unmanned Combat Air System (UCAS) demonstrator make an arrested landing on July 10, 2013. US Navy Photo

ペンタゴンが米海軍の次期無人機の要求性能について当初の海上から数千マイル離れた地点を攻撃するというものから、テロリスト狩りに軸足を動かしていると判明した。

無人空母発進監視攻撃機 Unmanned Carrier-Launched Surveillance and Strike (UCLASS) の開発はペンタゴンの合同要求性能管理協議会 Joint Requirements Oversight Council (JROC) の担当で、コストダウンとともに無人機によるテロ対策ミッションを海外基地を利用せずに実現しようとしている。

UCLASSは当初空母艦載航空団に編入して有人戦闘攻撃機と共同で防護硬い目標の攻撃に投入する構想でF-35Cと同等のペイロードを想定していた。同時にステルス性を生かし長距離飛行による情報収集・偵察・監視(ISR)任務に投入し、空中給油で飛行時間を延長する構想あった。

ところがこのたび入手した資料によるとUCLASSの現時点での概念設計は当初想定した兵装を一部は搭載するものの、ステルス性は低くなり防衛体制の整った空域内の作戦はできないものになっていることが判明した。

UCLASSの誕生は共用無人戦闘航空機システム(J-UCAS)が取りやめになったことで実現したもの。J-UCASは米空軍、海軍が共同で開発するはずだった。
Distances in the Pacific Ocean. CSBA Illustration.



新構想で海軍は空母搭載型UAVを開発し、長距離誘導ミサイルの脅威にさらされる空母群に新たな作戦意義を与えることになっていた。一方、空軍は長距離爆撃機開発を継続する。

「UCASはISR能力に加え兵装投下機能を持つはずだったが、同時に長時間滞空し、敵防空網を突破するISR機となるはずだった」と元米海軍作戦部長、現ノースロップ・グラマン取締役のゲアリー・ラフヘッド提督 Adm. Gary Roughead は本誌取材に答えている。
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そこでノースロップ・グラマンはX-47Bを製作し、基本性能試験に投入した。

「無尾翼の無人機を空母に無事着艦させる技術実証が目的だった」とボブ・ワーク元海軍次官(現新アメリカ安全保障研究所CEO)Bob Work が本誌取材に答えている。
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ノースロップ・グラマンはテスト機を2008年にロールアウトし、2011年に初飛行させている。今年7月に同機は USS H.W.ブッシュ (CVN-77) への完全自動着艦に成功している。

このUCAS-D初飛行の年にUCLASS構想がペンタゴン内部で変質を開始している。

2011年に国防長官官房Office of the Secretary of Defense (OSD)がJROCと共同でUCLASS開発を牛耳るようになった。UCLASS予算はOSD経由で海軍予算に組み入れられた、とワークは証言。「OSDが予算を握り要求性能に口を出すことになった」

OSDの横槍で構想内容は対テロ作戦遂行に中心が移り、強固な防空体制への進入構想と離れていく。

対テロ作戦は現在は空軍のMQ-1プレデターやMQ-9リーパー無人機が実施しており、主眼は捜索追跡および「高価値」のテロリストの抹殺で、米国の対テロ作戦の重要な要素になっている。実際にテロリスト集団指導者数名が殺害されている。

 
MQ-9 Reaper UAV. US Air Force Photo

ただし合衆国がこういった作戦を実施するにあたっては緊急性とともに外国政府の承認が前提となっている。

「海外基地からの作戦実施には海外政府は好きなだけ制約を加えてきます。政策上の制約条件という意味です」とチャールズ・ダンラップ空軍少将Maj. Gen. Charles Dunlapが本誌取材で発言している。「制約は公海からの運用ならずっと少なくなります」

複数筋からホワイトハウスが対テロ作戦飛行の実施に空母を利用すれば海外基地を使う必要がなくなると関心を有していることがわかった。

空軍スポークスウーマンのケイティ・ホーグ中佐 Lt. Col. Catie Hauge は本誌取材に対してホワイトハウスからUCLASS性能要求水準になんらの指示はないとし、ホワイトハウス安全保障スタッフスポークスウーマンのケイトリン・ヘイデンCaitlin Hayden はコメントを拒否。

ワークによるとOSDが取り仕切るようになってから「きわめて健全な討議」がUCLASS要求性能内容をめぐりかわされたという。「一方は『すでに800機もの無人機があり、制空権が確保された空域で作戦実施できる』と発言していた。」

「ただ不足しているのはステルス機による敵地進入能力だ。そこで、もう一方は『対テロ作戦と非正規戦ミッションは当分続き、陸上基地発進だけでは頼りない』と発言していた」

「この私が退官する際も議論はまだ決着していなかった。」ワークが公務を退いたのは去る5月のこと。「統合参謀本部の関心はシステムの下部レベルであったが、これを強硬に推進していた。これに対し海軍は交渉に柔軟な態度で『少なくともその分野での実施能力を上げる必要はある』としていたと思う」

本誌問い合わせに海軍とOSDからそれぞれ文書の回答があり、そこにはUCLASSミッションに対テロ作戦が含まれる、と書いてある。

ワークは対テロ作戦に中心をおくことには同意しかねるという。「空母は100億ドルの浮かぶ資産で60億ドル相当の航空機を搭載しているんです。アフリカ沿岸に空母を移動させてテロリストを捜索させるなんてことはおかしいでしょう」

オバマ大統領が署名した予算統制法 Budget Control Act では国防総省の一律1割予算削減が決まり、2013年早々から実施されている。政権側、議会側からそれぞれ既存プログラムの見直しがかかっているが、一番の焦点は各プログラムの必要額だ。

8月初めにペンタゴンで無人機作戦およびISRを担当するダイク・ウェザリントンDyke Weatherington からUCLASSの要求性能見直しでは予算制約が大きな要因となっていると発言。国防総省は「終了しきれないプログラムを開始する余裕はないし、結果を示しきれないプログラムを開始する余裕もない」という。
ただしUCLASSの機数はごく少数にするというのが当初の23億ドル相当のプログラムの内容であった。
 
An illustration from the 2008 CSBA  paper: Range, Persistence, Stealth and Networking: The Case for a Carrier-Based Unmanned Combat Air System by Thomas P. Ehrhard and Robert O. Work


「当初は空母に分遣隊機能を付与することとしており、各空母が任務に順番について西太平洋であれ中東地区であれ、一定の能力を提供する予定だった」

これに対しウィネフェルド提督が提唱したのが最大限の利用可能機で空母周辺の周回飛行を実現することで、これでは当初のUCLASS費用積算の根拠が変わってしまう。

与えられた予算で何回の周回飛行が実現できるかがUCLASSの最大の優先事項だ、とウィネフェルド提督は書いているという。

改定指導内容に照らしあわせ、JROCは国防長官官房の費用分析計画評価室に3月31日までに代替手段の比較検討をすませるよう提言し、審議会がUCLASSの要求性能として提示したものを反映するよう求めたとの報道もある。

新しい基本性能の指標key performance parameters (KPPs),として機体単価(研究開発費、運用費、維持費を除く)は150百万ドルを超えな
いものとした。
 
Proposed operational ranges of UCLASS. US Naval Institute Illustration


周回飛行がまず想定されるが、その他のKPPには攻撃ミッションの飛行半径2,000海里が含まれる。

海軍は単価150百万ドルで最低2機の購入を期待する。

今回の方針変換で当初の目標だったUCLASSを有人機と同等の戦力として一体化させる内容が薄まる。現在の案はUCLASSを空母から発進させるが、有人機が飛行しない時間に限るというものだという。
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「UCLASSを通常の航空作戦が終了してから発進させ、次のサイクルが始まるまでのギャップを埋める存在にできる」と海軍作戦部長の下で無人機システムの要求性能を取りまとめるクリス・コーナティ大佐  Capt. Chris Corgnati は語る。

ワークは空母航空部隊関係者の中には有人機と無人機の統合には口を重くする傾向が強いという。

それではUCLASSを当初のUCAS構想のレベルまでどれだけ近づけることができるのかはいたってペンタゴンが海軍が9月以降に発表する提案依頼書(RFP)をどのように系統付けられるか次第だろう。

「RFPはそもそも性能内容を定義づけるもの。今のRFPがどうなっているか不明だが、予算強制削減の影響は避けられないだろう」とワークは言う。

UCLASS製作に関心を示す四社、ロッキード・マーティン、ボーイング、ジェネラルアトミックス、ノースロップ・グラマンはそれぞれ新構想を元に独自の新しい視点を模索する必要がある。

「RFPは性能を伸ばしていくことが最低限必要だ。すべてはコストの問題になる。ローエンドのシステムに当然向かうことになる。でもこれでは実戦部隊が求めるものでなくなりますね』(ワーク)

海軍はUCLASSを2020年までに配備する予定。.■


2013年6月30日日曜日

ロッキードの考える次期米海軍向け無人艦載機Uclass像

U.S. Navy Is Cautious On Carrier-Launched UAV

By Graham Warwick
Source: Aviation Week & Space Technology

aviationweek.com June 24, 2013

Graham Warwick Washington

米海軍が無人機運用で慎重なのには理由がある。ジェネラルダイナミックスマクダネルダグラスA-12の失敗、ロッキード・マーティンF-35Cの遅延を経て、海軍は計画が実現することを第一にしており、そのため初の空母運用無人機では中庸な性能にとどめ、リスクを最小限にしようとしている。

無人戦闘航空機システム実証 Unmanned Combat Air System Demonstration (UCAS-D) に続く無人空母発進空中偵察打撃機構想 Unmanned Carrier-Launched Airborne Surveillance and Strike (Uclass) は端的に言えば運用能力を徐々に向上させる技術開発である。

当初海軍はUclass提案各社に予算を提供する予定だった。ボーイングジェネラルアトミックスエアロノーティカルシステムズGeneral Atomics Aeronautical Systems (GA-ASI)、ロッキード・マーティン、ノースロップ・グラマンの各社で初期設計審査 preliminary design reviews (PDR) までは各社案が残る。これにより海軍は各機の性能とリスクの理解を深めたうえで次の技術開発echnology development (TD) 段階に進む。

「ま だマイルストーンAも達成していませんが、海軍は性能開発要求文書capabilities development document [CDD]を発出しており、通常はこれがマイルストーンBの内容なのですがね」(ロッキードのスカンクワークスでUclass開発責任者を務めるボブ・ル ズォウスキ Bob Ruszkowski, Uclass capture manager for Lockheed Martin Skunk Works.

「海軍はCDDの段階まで相当の時間を使っています。この三年間は業界も海軍に情報提供をしCDDの内容取りまとめに協力して来ました。海軍からも業界にインパクト規模の評価を求めて来ました」

現 時点で業界はPDR段階の性能要求内提案の公募を待ち、とりまとめには9ヶ月はかかると見ている。その後海軍は「航空部」としてUclassの設計、製 造、テスト、配備に至るメーカー一社を絞り込む。これと並行し「地上部」としてUclass用の飛行制御システム開発を進める。このシステムはMQ-4C トライトン、MQ-8B/Cファイヤスカウト他海軍のUAV各機と共通使用するもの。

「2013年度国防予算ではUclassはメーカー選考の前にPDRを完了することを明確に定めている、とルズォウスキは説明する。「選定の前に技術の成熟度を確認することが海軍に求められています」

Uclassには長距離飛行と偵察監視ミッションを主とし、攻撃は250-lbの小規模能力のみ想定してる。搭載機器の中心は電子光学・赤外線・レーザー方式のセンサーで、情報収集機材も同時に搭載して、ロッキードEP-3E部隊に交替させる予定。

海軍が期待するのは空母から離れた場所で24時間毎日監視飛行を維持することだ。入札予定社は性能要求の詳細はまだ検討していないが、空母運用の発着艦のサイクルから「最低でも12時間の連続飛行性能が必要だろう」(ルズォウスキ)と考えている。

機 体生存性については制空権がない空域で運用する想定も含み検討する。「ロッキード・マーティンは機体性能を運用開始後に発展できる提案をします。ステルス 性も後日追加できますが、運用当初からすべての性能を有する必要はありません。当社提案で海軍はトライトンが使えない地域ではステルス、排気制御、非探知 性の機体を投入できるようになります」(ルズォウスキ)

ロッ キード提案は完全新設計、無尾翼の全翼機で同社の50年に渡る無人機製造の知見を反映し、RQ-170センティネル設計も反映したものになるとルズォウス キは語る。「当社は艦載機は作ったことはありませんが、実証済み技術を駆使すればリスクを抑えることが可能です。海軍の求める開発日程も十分満足させられ るでしょう」

ノー スロップはX-47B UCAS-D実証で一歩先を行き、GA-ASIもプレデターCアヴェ ンジャーで先行しているがロッキードが完全新型機設計を選ぶことで不利にはならないとルズォウスキは見る。「海軍航空システムズ本部は空母運用性能を厳格にテストするので、近道は存在しません」

海 軍の予定はTD段階末期で初期性能を有するUclassを4ないし6機空母に搭載した飛行小隊をひとつ編成すること。「当初の供用開始後にも追加性能開発 がありますのでハイブリッド開発と理解しています」(ルズォウスキ)運用開始は契約公布から3-6年後で2020年よりは前になる。予測に幅があるのは海 軍から詳細な説明がまだないため(ルズォウスキ)だ。

厳しい予算環境も考慮して最初の運用部隊はテスト用機材で編成することになりそうだ。「耐用年数の要求水準は相当長くなるでしょう。X-48Bはあくまでもテスト用機材で耐用年数も短く想定されています」(ルズォウスキ)■