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2023年2月18日土曜日

水陸両用型C-130改造機の実証が無期延期された.....US-2へのAFSOCの関心度合いは?

 

AFSOC


資金難と「能力の再優先化」のため、C-130フロートプレーンの試験飛行が無期限に延期されている



水陸両用MC-130J特殊作戦輸送機の初飛行は今年の予想だったが、計画は変更された。

 「我々は当初、(2023年)に作戦能力実証を行うことを目指していた」と、空軍特殊作戦司令部(AFSOC)の広報担当、アリシア・プレモ空軍大尉は、木曜日に電子メールでThe War Zoneに語った。「しかし、さまざまな理由で、現時点で能力実証の予定はない。理由は、資金難から最近の能力の再優先化まで様々です」。

MACコンフィギュレーションの一例。(AFSOC)


 プレモは、MC-130J Commando II Amphibious Capability(MAC)と呼ばれる機体の計画変更理由について詳しく説明しなかった。どのような回答であれ、ゴールラインを2回ずらしたプログラムが、またしても後退だ。

 2021年9月のメディアラウンドテーブルで、当時のAFSOC司令官ジェームズ・スライフ中将は、飛行デモは2022年末までに行われることになっていたと述べた。


(AFSOC)


 1年後の2022年9月、スライフは試験飛行をさらにずらすと発表した。

 メリーランド州ナショナルハーバーで開催された航空宇宙軍協会(AFA)のAir, Space, & Cyber Conferenceで、スライフは記者団に「我々は今、議会での23(2023年度)予算プロセスの採決結果を待っているところだ」と語った。「しかし来年に飛行デモンストレーションを行うことを期待しています」。


MACの将来は不透明に

 12月、トニー・D・バウエルンファインド中将がスライフ中将からAFSOCの指揮を引き継いだが、MACプログラムの指揮をとっていたものの、現在はペンタゴンの空軍本部で作戦担当副参謀長として新しい仕事に就いている。

 MACは、特殊作戦装備MC-130Jにフロートを追加し、特に太平洋地域での空輸の柔軟性を高めるプログラムだが、空軍司令部トップの交代で、プログラムに死期が訪れたのかは不明だ。


デジタル・プルービング・グラウンドで使用されているMC-130JコマンドーIIの水陸両用改造機の予想図。(AFSOC photo)


 中国の脅威が懸念される中、AFSOCの上部組織である米特殊作戦司令部(SOCOM)は、紛争地域内や僻地に人員や機材を移動する方法を模索してきた。離着水能力には、利点が多くある。

 MC-130はこの能力を発揮する魅力的なプラットフォームとなっている。また、特殊作戦装備を完備しているのも大きな魅力だ。


The future of the

2021年1月6日、沖縄の沖合を飛ぶMC-130JコマンドーIIの編隊(Capt. Renee Douglas photo).


 中国との衝突の可能性がある場合、米軍は従来の航空・海上輸送では到達が困難な遠距離に分散し活動することになりそうだ。海兵隊司令官デイビッド・バーガー大将 Gen. David BergerのForce Design 2030コンセプトでは、中国兵器の有効範囲に部隊を前方配備するのを基本としている。昨年のAFA会議では、太平洋空軍司令官ケネス・ウィルスバック空軍大将が、中国補給線の遮断を想定し、地域全体に物資の事前配備を行うことを話した。水上運用は、こうした問題や懸念に対応できる可能性がある。滑走路がない離島でF-35Bや無人機の運用を支援する小規模な前方部隊を支援することも、この能力がいかに重要かを証明する一例だ。また、MACは戦闘時の捜索・救助、特に着陸した航空機の乗組員の救助を遠距離で行うのにも役立つ。

 先に述べたように、MC-130Jには、航法、通信、生存能力の強化のため、数十年にわたる進化的な開発と多額の資金が投入されている。そのため、例えばC-130を浮き輪に乗せて飛行艇にすると明らかにトレードオフになるが、敵地に生きて出入りすることを主眼とするMC-130の既存の能力でそのような機体を作れば非常に高価で時間がかかる。また、C-130は、後部ランプを備えており、大型の荷物も積み込める。


新型地形追従型レーダー「サイレントナイト」を搭載したMC-130J。MC-130Jは、高度に改良された絶大な能力を持つ機体だ。. (Lockheed Martin)


 昨年時点で、AFSOCは水陸両用MC-130の大まかな設計レイアウトを決めていたと、スライフは当時述べていた。

「すべてのモデリングとシミュレーションを行い、一般的な設計レイアウトに落ち着きました」とMACの設計についてスライフは言った。「選択した設計案が安定していて、運用可能であるか確認するため、波動タンクのモデリングを行っているところです」。

 AFSOCは、空軍研究本部(AFRL)の戦略的開発計画・実験(SDPE)部門と協力して、「プラットフォームの海上特殊作戦の支援を改善するために」MACを開発してきたと、AFSOCは2021年9月のメディアリリースで述べていた。

 しかし、本日のAFSOCの更新では、司令部がまだコンセプトを実行可能と考えているかどうか、そうでなければ、それに代わるもの何を考えているのかは不明だ。

 DARPAのリバティ・リフター構想のように、滑走路に依存しない大型空輸能力の開発が進行中だが、これははるかに大きな概念なのだ。MC-130フロートプレーンは、もっと早く、比較的成熟したパッケージで戦術空輸能力が提供できると期待されていた。

 MACの運命については、できるだけ早くお知らせする。


更新米国東部時間午後7時5分

プレモ大尉から追加情報が入った。

「AFSOCが将来と経路探索能力のためどのように資金を配分するか最終決定は、まだ確定していない。今のところ、デモは[2023年]には実現しそうにありません」。

 プレモは、明日に情報を更新すると言ってくれた。

「MACには未来がある」。


C-130 Seaplane Program Put On Back Burner (Updated) | The Drive

BYHOWARD ALTMAN|UPDATED FEB 2, 2023 6:57 PM


2022年9月22日木曜日

水陸両用版C-130MACの実機実証は2023年に。US-2導入も匂わせるAFSOC。他方で中国はAG-600の開発を続けているが....

 

AFSOC

 

 

 

広大な海域で中国と戦う可能性から、水陸両用版C-130が現実となる可能性が出てきた

 

 

軍特殊作戦司令部(AFSOC)のトップは、特殊作戦用のMC-130JコマンドーIIマルチミッション戦術輸送機の水陸両用版が来年に飛行すると、火曜日に述べた。

 ジェームズ・スライフ中将 Lt. Gen. James Slifeは、メリーランド州ナショナルハーバーで開催された航空宇宙軍協会(AFA)の航空・宇宙・サイバー会議で、「議会での23(2023年度)予算プロセスの結果を待っている」と記者団に述べた。「来年に飛行実証が行われると予想している」。

 

デジタル・プルービング・グラウンドでのMC-130JコマンドーII水陸両用改造型の予想図。 (AFSOC photo)

 

これは、昨年のスライフ中将発言と異なる。Defense Newsによると、スライフ中将は昨年9月、メディア懇談会で「来年12月31日までに実証を実施すると確信を持って言える」と述べていた。スライフ中将は、飛行デモは単機で行われる可能性が高く、機体性能のデジタル技術モデルを検証することが目的と強調していた。

 本誌はAFSOCに連絡を取り、何が変わったのか説明を求めており、追加情報があれば記事を更新する。とはいえ、同機のユニークな能力は、飛行試験段階への移行を目指しており、その正当性は月日を追うごとに明らかになってきている。

 中国の脅威へ懸念が高まる中、米軍特殊作戦司令部(SOCOM)は、潜在的な紛争地域の僻地部分に人員や機材を移動させる方法を模索している。離着水できると多くの利点がある。MC-130は、短距離で離着陸できる性能のため、魅力的なプラットフォームになっている。

 

2020年10月27日、フロリダ州ハールバートフィールドで行われたアジャイルフラッグ21-1で、第9特殊作戦飛行隊に所属するMC-130JコマンドーIIがタキシングした。 (U.S. Air Force photo by Staff Sgt. Joseph Pick)

 

中国との紛争では、従来型の航空・海上輸送では到達できない遠方へ米軍部隊を分散して活動させることになりそうだ。海兵隊司令官デイヴィッド・バーガー大将David Bergerのフォースデザイン2030コンセプトでは、中国兵器が届く範囲に部隊を事前配置するのを基本としている。月曜日には、ケネス・ウィルスバック空軍大将が、中国が補給線を遮断してくる想定で、地域全体に物資をあらかじめ配置しておくことと語った。

 水上での離着陸は、こうした問題や懸念に対処できる可能性がある。MC-130Jには、数十年にわたる進化と、航法、通信、生存能力の強化のための巨額の資金が投入されている。そのため、例えば、C-130を浮き輪に乗せて飛行艇にすれば明らかにトレードオフとなるが、MC-130でそのような機体を実現すると、非常に高価で時間がかかると考えられる。

新型地形追従型レーダー「サイレントナイト」を搭載したMC-130J。MC-130Jは、高度に改良された絶大な能力を持つ機体だ。 (Lockheed Martin)

 

スライフ中将は、MC-130J Commando II Amphibious Capability(MAC)と名付けられた機体について、「すべてのモデリングとシミュレーションを行い、一般的な設計レイアウトに落ち着きました」と述べている。「選択した設計が安定したものであり、運用可能であると確認するため、波動タンク・モデリングを進めている」。

 AFSOCは、空軍研究本部(AFRL)の戦略的開発計画・実験(SDPE)部門と協力し、「プラットフォームの海上の特殊作戦のサポートを改善するために」MACを開発していると、AFSOCは2021年9月のメディアリリースで述べていた。

 「MAC能力の開発は、各種努力の集大成です」と、AFSOC科学・システム・技術・イノベーション(SST&I)副部長のジョン・トランタム中佐 Lt. Col. Josh Tranthamは当時述べていた。「この能力により、空軍は侵入、脱出、人員回収の配置とアクセスを増やすことができ、さらに将来の競争と紛争で強化されたロジスティック能力を提供できます」。

 しかし、この能力の恩恵を受けるのはAFSOCだけではない、とトランタム中佐は述べている。

 「MACは、各軍や同盟国、パートナー国の様々なC-130プラットフォームで使用できると考えています。さらに、その他革新的なツールと水陸両用機の運用を拡大することで、将来の戦場において、戦略的な競争相手に複雑なジレンマを提供することになるでしょう」。

 

MACコンフィギュレーションの1つの動作のレンダリング。(AFSOC)

 

AFSOCによると、波動水槽テストに加え、AFSOCと民間部門パートナーは、「デジタルプルービンググラウンド」(DPG)として知られる仮想環境のデジタル設計、仮想現実モデリング(VR)、コンピュータ支援設計(CAD)でMAC試作機をテストしており、デジタルシミュレーション、テスト、高速プロトタイピングと物理プロトタイプテスト用の高度製造利用の道を開いている、という。

 スライフ中将は、モデリングとシミュレーションは「すべて順調」と語った。「それは、デジタル設計の素晴らしさであり、C-130のデジタルモデルでこれらすべてを行っている」と続けた。「これまでの波動水槽テストでは、選択した設計案は、予想どおりの性能を発揮している」。

 Signal Magazineによると、空軍はC-130に「水陸両用の改造」を行っていると、スライフ中将は今月初め、AFAのWarfighters in Actionで発言していたとある。「浮き輪ではありません。水陸双方で着陸する能力を持つことになります。

 「双胴船、ポンツーン、または機体底面の船体追加と一連のテストのすべて検討した。そして、抗力、重量、海面性能のトレードオフを最適化するデザインに落ち着きました」。

 

 

ロッキードからは相当前に水陸両用型C-130コンセプトが出ていた。Lockheed

C-130をフロートに乗せるアイデアは、このロッキード・マーチンのレンダリングに見られるように、何年も前からあった。Lockheed Martin

 

MACが海上の特殊作戦にもたらす効果を楽しみにする一方で、スライフ中将はMACにできること、できないことを現実的に考えている。例えば、MACは即座に運用できない、と火曜日に述べた。

 「水陸両用能力は現場で取り付け可能だが、特定の出撃のために装着して離陸するようなことはない」とスライフ中将は述べている。「少し時間がかかるだろう」とスライフ中将は言う。「設置するためデポに行く必要はない。部隊レベルのメンテナンスでこの機能を インストールすできるだろう」。

 MACの限界とスライフ中将の水陸両用機への関心にもかかわらず、彼はAFSOCがC-130のキットを超える新しい航空機調達プログラムをすぐに求めることはないだろうと述べた。

 「資源に限定がなければ水陸両用機の開発をすぐ進めれられる。しかし、現実の世界は違う。優秀な水陸両用機はすでに存在しているが、近い将来に新型機開発を進めることはない。既存機体をリースする可能性はある」。

 今年初め、アジア太平洋地域で行われたコープノース演習で、パイロットたちは日本の新明和US-2水陸両用機を検分した。

 

グアムのアンダーセン空軍基地近くのテニアン島沖で行われたコープノース22演習で海に浮かぶ日本の新明和US-2 U.S. Air Force/Senior Airman Joseph P. LeVeille

 

 昨年11月、AFSOC代表団が岩国基地を訪れ、飛行艇と運用コンセプトを詳しく学んだ。その際、海上自衛隊がAFSOCのエリック・ヒル少将Maj. Gen. Eric Hillや第353特殊作戦部隊指揮官に説明を行い、「日米の鉄壁のパートナーシップをさらに強化する」ものと評され、水陸両用機型C-130ハーキュリーズに注目が集まる中、世界でも数少ない水陸両用機に触れることができた。

 スライフ中将が新規設計の水陸両用機の実現に消極的であるのとは対照的に、中国はすでに水陸両用機を開発している。

 クンロンと呼ばれるAG600飛行艇は、2017年に初飛行した。およそ737サイズの機体は、広東省の珠海空港から短期間飛行した。今年初めに更新版が処女飛行を行ったとOverDefense.comは報じている。

 AG600は、中国本土から数百マイル離れた中国の治外法権をサポートする能力のため設計されている。同機は、南シナ海で物議をかもしながらも、増え続けている人工島の支援に使用される予定だ。

 

 

中国の2021年から2025年までの最新5カ年計画では、AG600を「重要プログラム」と位置づけている。救助機が緊急に必要であり、特に南シナ海の遠大な拠点に対応できる装備が戦略的に必要だからだ。しかし、いつものように、このような能力を持つことの軍事的意味合いが中国の説明から漏れている。

 米軍が分散作戦に重点を置くようになれば、水陸両用型C-130はより優先されよう。しかし、それと関係なく、計画通りに進めば、1年以内にC-130フロートプレーンをついに目にすることができるはずだ。■

 

C-130 Seaplane Should Fly In 2023 Says Air Force Special Ops Commander

BYHOWARD ALTMAN| PUBLISHED SEP 21, 2022

THE WAR ZONE

Contact the author: howard@thewarzone.com


2022年7月18日月曜日

C-130を水陸両用機に改装するMACコンセプトのその後。US-2も注目を集めている様子だが、無理のあるコンセプトにしか見えない。

 MC-130J Amphibious Capability, or “MAC”


COVID-19パンデミック以来初めてリアルで開催された米国特殊作戦部隊産業会議2022(SOFIC 2022)で、USSOCOMプログラムエグゼクティブオフィス固定翼(PEO FW)は、INDO-PACOM地域における機動性と柔軟性および生存性を高めるため、特殊作戦司令部が求める水陸両用C-130J水上機の進捗について洞察を提供してくれた。

 SOFIC 2022は5月16日から19日までフロリダ州タンパで開催され、空軍ポートフォリオ部門ディレクター、ケネス・クーブラー大佐Colonel Kenneth Kuebler(USAF)を筆頭に、講演者が発表した。 Naval News読者は、USSOCOMが追求する水陸両用C-130水上機の詳細について、 ここを参照できる。



SOFIC 2022 MAC


USSOCOM’s SOFIC 2022スライドでは新技術の一環として水陸両用仕様のMC-130(MAC)が紹介された SOFIC 2022 slide.


USSOCOMの技術部長リチャード・ロドリゲスRich Rodriguezは、SOFIC2022において、水陸両用MC-130(MAC)実証の進捗と目標について、新たな詳細を提示した。

「水陸両用MC-130の実証実験に関し、USSOCOMは市場調査を実施中で、既存のSOF要件に対応する水陸両用機の可能性を検討しています。また、現在AFSOCは、C-130機体にフロート・アセンブリを搭載する実験を行っています。 デジタル技術を活用し、リスクを軽減しながら変更を加える。また、水力試験やサブスケールでの空力試験も行っている」。

 クーブラー大佐は、USSOCOMが近代化のため以下の分野を検討中と述べた。自動化-乗組員の作業負荷を軽減し、オペレータを安全性や戦闘上重要な領域などの重要な項目に集中させることを目的として、オペレータが複数の項目を制御する能力。生存性-許容環境(対テロ)から競合環境(同業国)において生き残るための「より大きなスタンドオフ」の防御システムを追加する。  

 大佐は、レゴのブロックに例えて、「USSOCOMは、現場指揮官のミッションで必要となる各ペイロードで簡単かつ迅速に搭載できる、真のマルチモード・モジュラー・システム」を実現すると述べている。 

 こうしたのSOCOM近代化分野がMC-130水陸両用実証にどう影響するかは不明だが、ロドリゲスによるSOFIC2022コメントは、USSOCOMが水陸両用軍事貨物輸送の必要性に適合する水上機候補(DARPA「リバティリフター」、日本の新明和US-2)を模索しているのを示唆している。一方、米空軍特殊作戦司令部(AFSOC)は、既存C-130にポンツーンフロートを追加しても、ロッキード・マーティンが数年前から提案している水上機への大規模な改造はしないことしている。



「古い」コンセプトでは機体形状が飛行艇になっており、エンジンが主翼上に搭載されている。読者提供


MAC


SOFIC 2022でAFSOC構想のMC-130が浮きに乗る姿が公開されたが、目標は水陸両用仕様のMC-130Jの実現だ。 USAF image.



また、 MC-130J 機体をポンツーンに乗せたままどうやって貨物を積み下ろしするのかも不明だ。後部貨物ランプが非常に高いため、後部ランプの急角度が RHIB、ジェットスキー、水陸両用車、戦闘ゴム襲撃船(CLRC)などの水上バイクやボートの展開を妨げる可能性がある。米陸軍の精鋭部隊タスクフォース160のMH-47は、しばしば水中に入り、後部貨物ランプを展開して、CRRCの迅速な脱出・潜入を可能にしており、CRRCは文字通りMH-47の浸水した機内へ乗り込んでいる。しかし、水陸両用のMC-130Jはポンツーンに乗っているので、C-130の胴体とランプを水面近くまで下げるバラストがない場合や、MC-130J機内に浸水が許されない場合は、「ウェットダックCRRC抽出」は実行できない可能性がある。


MH-47 CRRC


米陸軍TF-160が運用するMH-47Eは水面に接触し、ゴム舟艇を浸水を許した機内から迅速展開する。水陸両用仕様のMC-130Jで同じ運用を想定しているかは不明。US Army photo.


ポンツーンにつながる梯子や階段が描かれていることから、AFSOCはポンツーンの高さを認識しているようだが、ポンツーンをバラストで沈めることができるかどうかは不明である。また、MC-130Jの前方監視赤外線(FLIR)のタレットボールは機首下にある(ポンツーンがバラストで沈められると、ボールは水没するが、その場合、FLIRボールは防水なのか、繊細な電子機器は波の激しさに耐えられるのか)。 さらに、新明和US-2のような水上機用腹部設計がなく、機体が水面近くあるいは水中にある場合、海水噴霧、波、波を考慮すれば、MC-130Jのナビゲーション、機首レーダー、アンテナ、センサー、繊細な電子機器に有害な影響を与える可能性がある。


MAC


格納式踏み台がポンツーンに続いている。ポンツーンが水没して、MC-130の腹部が水面上にあるのかどうかは、この図では不明 USAF image.



ティム・ホーキンス米海軍中佐Commander Tim Hawkins(元USSOCOM報道官)は、2021年5月、Naval Newsに以下的確に伝えていた。

 「MC-130J Amphibious Capability(「MAC」)は、我々が探求しているコンセプトです。MACコンセプトは、航空機を改造し、水陸両用に離着陸できる能力を持たせることです。これは物理的にも工学的にも難しい課題であるため、SOCOMは現在、最善の能力開発への道を決定すべく、デジタル設計に加え、実現可能性と運用に関する研究で産業界と協力しています」。■



MC-130J Amphibious Capability, or “MAC”

USSOCOM Update on MC-130J Amphibious Capability or 'MAC' - Naval News

Peter Ong  17 Jul 2022

Posted by : Peter Ong

Peter Ong is a Freelance Writer with United States and International Federation of Journalists (IFJ) media credentials and lives in California. Peter has a Bachelor's Degree in Technical Writing/Graphic Design and a Master's Degree in Business. He writes articles for defense, maritime and emergency vehicle publications.


2022年5月20日金曜日

アジア太平洋戦域の貨物輸送にDARPAがハイブリッド輸送機コンセプトを発表---リバティ・リフター構想からどんな機体が生まれるのか

 ekranoplan Liberty Lifter

 

アジア太平洋地域の沿岸域での作戦に最適化した新型ハイブリッド輸送機コンセプトがDARPAから発表された。

 

国防総省がめざす水上輸送機構想は、ボートと飛行機の中間に位置する「エクラノプラン」、地面効果翼(WIG)の原理を応用する。地上効果を利用して水面を高速で滑走するエクラノプランは、これまで旧ソ連を中心に限られた地域で軍事利用されただけだったが、米軍で採用されれば、革新的な一歩となる。

 

 

 国防高等研究プロジェクト庁(DARPA)は、エクラノプランのコンセプトを応用した長距離・低コストのXプレーンをめざすリバティ・リフター・プロジェクトを立ち上げた。DARPAは、同機で海上での戦略的・戦術的揚力を実証することを期待し、「作戦用のロジスティクス能力の飛躍を実証する」としている。

 メディアリリースでDARPAはこう説明している。「想定の機体は、大型貨物の高速で柔軟な戦略的輸送と、水面離着陸能力を兼ね備える。機体構造では、水面近くでの高度な制御飛行と、中高度飛行の両方が可能となる。さらに、同機は低コスト設計と製造の理念に基づき建造される」。

 現在、プログラムは初期段階にあり、DARPAの戦術技術室のプログラムマネージャー、アレクサンダー・ワランAlexander Walanによれば、「水上飛行機の航続距離、ペイロード、その他のパラメータ」を再定義するという。

 しかし、ワランは、プログラムの目標について、「長期にわたる海上作戦において、戦闘部隊に新しい能力を提供するXプレーンの実証機になる」と自信たっぷりに語る。

 

リバティリフターのコンセプト図のひとつ DARPA

 

 コンセプトアートと合わせ公開したビデオで、このXプレーンの姿がわかるが、機体はコンセプト図にある双胴形式の貨物機より相当小さいものになる。

 このデザインは、直線翼を、コックピットをつけた2つの箱型胴体と結合させ、小さなカナード前翼を備えている。動力装置は、主翼に沿って取り付けた10個のプロペラユニットとして描かれているが、各ユニットが共通の動力装置を使用しているかは不明。さらに、別のコンセプト図では、プロペラはプッシャー配置になっており、さらに別のコンセプトでは前方に向いている。胴体には、わずかに傾斜した尾翼があり、その上に水平安定板が装着されている。

 

DARPAが公開したビデオでリバティリフターが装甲車両を海岸に発進させ強襲攻撃を加える DARPA

 

 

 映像でわかる重要な点は、上方に開く機首扉から海岸に車両を走行させる荷揚げプロセスだ。

 リバティリフターが水面を滑走するだけでなく、高度1万フィートまでの「中高度」でも飛行可能であることは、同機が、エクラノプランの利点と従来型の固定翼機の優れた性能特性および柔軟性を組み合わせたハイブリッド機であることを示している。

 水上を滑走することで、エクランオープンは貨物を迅速かつ効率的に移動させる。ただし、低空飛行で機動性に乏しいため、水面上の各種物体に衝突し、ダメージを受ける危険がある。DARPAによると、エクラノプランの定義は、水上(または陸上)の飛行距離が翼幅以下としている。

 リバティリフターのコンセプトは、エクラノプランのように、滑走路に依存せず、必要に応じ水上を低空飛行することだ。

 また、通常のエクラノプランの場合、波が高いと運航に支障をきたす。離陸が穏やかな海域に限られるのは、従来型の飛行艇にも共通する欠点だ。

 DARPAによれば、リバティリフタープログラムで取り組む主な課題の1つは、荒れた海域での運用方法。「低速で高揚力を生み出し、離着陸時の波の衝撃負荷を軽減し、波の力を吸収する革新的な設計ソリューション」を実現することだ。

 「高度なセンサーと制御機能」が、大きな波を回避し、離着陸手順の間に空力/流体力学の相互作用を処理するため開発される。

 こうした各種技術の融合は、DARPAがリバティリフターを輸送機だけでなく貨物船にも拡張する構想で考えているためだろう。しかし、従来型の輸送機と異なり、リバティリフターは水上から離着水が可能である。また、貨物船と対照的に、リバティリフターは、エクラノプランの機能で、より速く、より高い生存率で積載物を輸送できる。

 DARPAが指摘するように、「現在の海上輸送は大量のペイロードを輸送する上では非常に効率的だが、脅威に対して脆弱で、港湾施設を必要とし、輸送時間が長くなる」。米空軍の輸送機は、貨物を迅速に輸送できるものの、滑走路の制約を受け、また非常に脆弱という欠点がある。また、米国防総省が重視する海上作戦の支援もできない。

 リバティリフターは滑走路に依存しないだけでなく、陸上での整備を大幅に減らし、「数週間、海上で連続運用できる」想定だ。

 この考え方は、明らかにアジア太平洋地域における中国との将来の紛争の可能性に基づくものだ。 中国との紛争では、海上輸送が主体となり、貨物や人員の移動は長距離に及び、通常の飛行施設は中国の長距離攻撃により緒戦から脅かされる。

 こうした懸念のため、米軍全体が想定する戦い方が大きく変化し、特にアジア太平洋の海上における航空輸送は、この新しい考え方の応用になる。

 ここ数カ月、米特殊作戦司令部(SOCOM)は、特殊作戦部隊の支援用に沿岸部で運用する水陸両用C-130ハーキュリーズの変種、MC-130J Amphibious Capability(MAC)を発表した。同機は、リバティリフターと同じ課題に答える想定だが、DARPAは幅広い要求を満たすため、より根本的なアプローチを考えているようだ。

 

MC-130J MACの構想. U.S. Special Operations Command

 

 

 米空軍は日本の新明和US-2水陸両用機の導入に公式な関心を示していないものの、米空軍がアジア太平洋でのコープ・ノース演習で、同機とともに訓練を行ったことも注目される。US-2は、現在も供用中の数少ない水陸両用機であり、沿岸部での特殊作戦任務にも適しているようだ。

 

新明和US-2がコープノース22演習でティニアン島沖合に展開した。2022年2月 U.S. Air Force/Senior Airman Joseph P. LeVeille

 

 

 リバティリフター・プロジェクトから量産機が誕生するとしたら、DARPAは「精巧で軽量なコンセプトよりも、低コストかつ製造が容易な設計を優先する」としている。手頃な材料を使えば、「大量に」購入できるはずだ。

 リバティリフターから派生した航空機がコープ・ノース演習に参加するまでは数年先になりそうだ。

 しかし、DARPAが海上空輸の概念全体の見直しに入ったのは、アジア太平洋地域で互角の戦力を有する敵との紛争を国防総省が真剣に受け止めているためだ。■

 

 

Cargo Hauling Ekranoplan X-Plane Being Developed By DARPA | The Drive

BY

THOMAS NEWDICK

MAY 19, 2022 2:27 PM

THE WAR ZONE