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2021年1月12日火曜日

新型たいげい級潜水艦に注目する海外メディア、PLAN潜水艦への抑止力として注目。10年後にさらに高性能艦が登場する期待。

 

 

本が新型ディーゼル電気推進潜水艦たいげい級の初号艦を2020年10月に進水させた。たいげいは、海洋安全保障を強める日本の姿勢を表し、同時に中国が東太平洋で見せる強硬な態度への抑止力にもなる。

 たいげいとは大鯨のことであり、三菱重工業が神戸で進水させた、新型クラス潜水艦の初号艦であり、そうりゅう級の後継艦となる。排水量3千トンのディーゼル電気推進式攻撃型潜水艦は平成29年度にちなみ29SSと呼称されてきた。全長84メートルの同艦はそうりゅう級同様にリチウムイオン電池を動力に採用した。

 電池技術で技術革新を示す日本がリチウムイオンを採用したのは保守点検が少なくてすむからだ。だがもっと重要なのは高速長時間潜航が実現できることだ。日本はリチウムイオン電池潜水艦を実用化した唯一の存在になった。

 艦体はそうりゅう級と大差ないが、新型艦ではセイルを部分的ながら艦と一体化しているのが特徴だ。これにより潜航時の抵抗を減らせる。また電池性能も引き上げられる。さらにソナー、戦闘指揮装備の性能を増強し、艦体は音響吸収剤を装着し、かつ浮き床構造でノイズを下げている。

 

 

 たいげいの兵装は533㍉発射管6門で魚雷、巡航ミサイル、魚雷型対抗装置を雲鷹し、後者はおとりを放出し敵魚雷を回避することで残存性を高めるのに使う。乗員は75名程度だろう。

 最新型の同艦は海上自衛隊での供用を2022年開始の予定で、今後は艤装および海上公試を進める。供用開始となればたいげいは海自22隻目の潜水艦となり、潜水艦部隊強化の一環となる。日本政府が発表した2020年防衛ガイドラインでは中国の軍事近代化を近隣での強硬さを増す態度とあわせ問題している。

 なお、海上自衛隊はそうりゅう級1隻の追加建造も進めており、完成すれば同級12隻目となる。一方でたいげい級は7隻の建造予定だ。新型艦が導入されれば旧型おやしお級を順次退役させるのだろう。日本の各潜水艦は他国より供用期間が短い傾向がある。他国では30年以上の供用が普通だが、日本は20年だ。しかし、このため日本はいつも新型で高性能の潜水艦を導入できる。

 このことは2030年代初頭に日本がさらに高性能潜水艦を導入できることに繋がり、小規模ながら強力な威力の日本潜水艦部隊は数の上で優勢を誇る人民解放軍海軍の潜水艦部隊に引き続き対抗できるはずだ。■

 

この記事は以下を再構成し、人力翻訳でお送りしています。

 

Meet Japan’s Stealthy Taigei-class of Diesel-Electric Submarines

January 11, 2021  Topic: Security  Region: Asia  Blog Brand: The Buzz  Tags: SubmarinesJapanMilitaryTechnologyWar

by Peter Suciu

 

Peter Suciu is a Michigan-based writer who has contributed to more than four dozen magazines, newspapers and websites. He regularly writes about military small arms, and is the author of several books on military headgear including A Gallery of Military Headdress, which is available on Amazon.com.

Image: Wikimedia Commons


2020年10月17日土曜日

祝 進水 新型潜水艦たいげいに秘められた海上自衛隊の運用構想を海外メディアはここまで伝えている...一方、国内メディアは?

 

JAPANESE MINISTRY OF DEFENSE

 

 

本が画期的なディーゼル電気推進式潜水艦を完成させた。同艦は戦後建造の潜水艦として最大の大きさを誇る。

 

ほぼ10年にわたる研究開発を経て日本は新型ディーゼル電気推進方式潜水艦の供用開始に一歩近づいた。同艦に画期的なリチウムイオン電池が採用された。そうりゅう級最後の二隻でも同様の動力源が採用されたが、今回進水のたいげいは当初からこの仕様となっている。現時点でリチウムイオン電池潜水艦の運用国は日本だけである。

 

たいげいは2020年10月14日、三菱重工業の神戸造船所で進水し、進水式には岸信夫防衛相、山村浩海上幕僚長が出席した。

 

報道では同艦建造費は710百万ドルとある。全長は275フィート7インチで浮上時排水量は3,000トンと戦後日本が建造した潜水艦で最大。現行のそうりゅう級は排水量2,900トンだ。たいげいの乗員は70名で、海上自衛隊は「女性乗組員向けにふさわしい環境」を提供すると特記している。潜水艦学校に2020年から初の女性隊員が入校している。

 

たいげいの最大の革新性はディーゼル電気推進系の進化で、リチウムイオン電池の活用にある。そうりゅう級最後の二隻にも同様の仕様を採用し、長時間潜航能力を誇示していた。再充電時間が短縮化され、電池寿命も鉛電池を上回っているといわれる。加えてリチウムイオン電池は容積が減り、保守管理が簡単になる。

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他方でリチウムイオン電池は高価格だ。海上自衛隊の資料ではそうりゅう型標準仕様の建造単価は488百万ドルだったが、リチウムイオン搭載型では608百万ドルとある。

 

2017年にThe War Zoneのタイラー・ロゴウェイは新型潜水艦でリチウムイオン電池以外に大気非依存型推進方式(AIP)の搭載を予測した。

 

実はその時点で日本はAIPに代わる手段を模索していた。新構想は潜水艦の騒音レベルをさらに下げるべくAIP系統の可動部品を廃するとした。ディーゼル電気推進型潜水艦で注目されているAIPシステムそのものが非常に静寂だ。

 

きわめて静寂な潜水艦になれば敵は探知追尾が非常に困難になるが、AIP搭載艦より潜航時の加速性能が向上する効果も生まれる。ここにPLANの拡大する原子力潜水艦部隊やAIP搭載艦に海上自衛隊が瞬発力とステルスで対抗する意図が見える。

 

他方でリチウムイオン電池の問題点に発火しやすく、高温を発すること、さらに有毒性の排気他事故の可能性がある。このため、潜水艦では安全性をさらに担保する設計が必要だ。

 

海上自衛隊はこの問題をすでに克服し安全性への懸念を払しょくしているようだ。そうりゅう級後期建造艦には特製の自動消火装備が搭載され、たいげいにも同様の装備が搭載されたと考えてよい。

 

たいげいは推進系の性能向上を実証するねらいもありそうだ。2018年12月に日本政府は「2019年度及びその後の防衛ガイドライン」を発表し、たいげいを新技術実証を中心に使うとある。これでたいげいの開発建造が早まった背景が見えてくる。三菱重工は2019年6月に新型29SS級の建造計画を発表し、建造は2025年から2028年にかけて、一号艦進水は2031年ごろとあった。たいげいは艤装や海上公試を経て、海上自衛隊での運用開始は2022年3月の予定だ。

 

たいげい、さらに今後建造される各艦は日本が進める防衛力整備の一環で、日本周辺で安全保障への懸念が強まる状況に対応するものだ。まず、中国があり、とくに海軍力整備が加速している。またそこまでの威力はないが北朝鮮も潜水艦発射式弾道ミサイルの新型含む新兵器を公表している。

 

人民解放軍海軍(PLAN)の東シナ海、南シナ海さらに太平洋での活動が急増している中、日本の防衛計画には潜水艦部隊を22隻まで増強する項目が入っている。

 

海上自衛隊が現在運用中の潜水艦はおやしお級(排水量2,750トン)の9隻、そうりゅう級(2,900トン)が11隻あり、さらにリチウムイオン搭載そうりゅう級とうりゅうが2020年3月に就役した。同艦は現在各種試験中でその後正式に自衛隊艦隊に編入される。

 

この潜水艦22隻体制で日本は少なくともたいげい級潜水艦2隻を加える意向で、うち一隻の建造費用が最新の予算要求に入っている。防衛予算案にはF-35共用打撃戦闘機から極超音速ミサイルまで大型案件複数が入っている。令和3年度防衛予算は550億ドルに達する。

 

新型潜水艦は東シナ海、南シナ海の重要海上交通路を確保する海軍力の先鋒となることに加え、海外の関心も呼びそうだ。そうりゅう級のオーストラリアへの売り込みは不調に終わったが、日本政府は防衛政策を練り直しており主要装備品の輸出に道を開いた。リチウムイオン電池技術の優位性を体現したたいげい級あるいはその搭載装備は広く関心を集めそうだ。

 

同艦で採用した電池推進システムを他国が採用するかは今後の話だが、海上自衛隊の潜水艦部隊がリチウムイオン電池推進に向かっているのは明らかだ。■

 

この記事は以下を再構成したものです。日本国内の報道はおしなべて表面的でここまで掘り下げていませんでした。一般社会の軍事装備品への関心の低さ、もあるのでしょうが、技術そのものへの関心度が低くなっているのは今後心配な事象です。

 

Japan Just Launched Its First “Big Whale” Lithium-Ion Battery Powered Submarine

BY THOMAS NEEDICK OCTOBER15, 2020