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2022年8月1日月曜日

NASA所属の高高度飛行機材WB-57は西太平洋に進出し、何をしているのか

 This Is Why A NASA WB-57F Canberra Jet Is In South Korea


NASA保有のWB-57Fがアジア夏季モンスーン化学気候インパクト調査プロジェクトの支援に投入されている NASA


 

 

NASAのWB-57Fが東アジアに現われ話題を呼んでいる

 

 

NASAのWB-57Fは、様々なペイロードベイ、ノーズエクステンション、翼下ポッドに多数のセンサーやその他のシステムを搭載でき、米軍のミサイル実験の支援すにしばしば使用されているが、本日早朝、韓国の烏山基地に着陸した。昨日、日本を通過し、この地域での同機の存在は、ソーシャルメディア上で大きく注目を集めた。北朝鮮の新たな核実験への懸念や、台湾をめぐる米中間の緊張の高まりなど、東アジアに火種がある中で、同機は現在、純粋に科学的な任務についているという。

WB-57Fは、米国民間登録N926NAで、7月21日にテキサス州のエリントンフィールド共同予備基地を出発し、朝鮮半島に向かった。ワシントン州のルイス・マッコード統合基地、アラスカ州のエルメンドルフ・リチャードソン統合基地、アラスカ州のアリューシャン列島にあるアダック空港、日本の三沢基地に寄港し、朝鮮半島へ移動した。

 

N926NAは、ACCLIP(Asian Summer Monsoon Chemical and Climate Impact Project)の一環として、金曜日から飛行を開始する。また、NASAのガルフストリームVビジネスジェット(N95NAとして登録されており、様々な研究・試験目的に投入可能)もACCLIPに参加している。このプロジェクトは、NASAと全米科学財団(NSF)がスポンサーとなっている国立大気研究センター(NCAR)が主導する共同作業。米海軍の海軍研究局(ONR)、米商務省の米海洋大気庁(NOAA)、さらに欧州とアジアの組織もチームに加わる。

 

NCARが今月初めにウェブサイトに掲載したニュースでは、「研究用2機によって、科学者の国際チームが、世界最大かつ最も重要な気象パターンの1つであるアジアの夏のモンスーンが、大気化学と地球気候にどのように影響するかを研究する」と説明している。「モンスーンといえば、アジア大陸に降る大量の雨を連想しますが、ACCLIPの研究チームは、雨に注目しているわけではありません。その代わり、モンスーンの強力な循環が引き揚げるものに関心がある。モンスーンは世界で最も大気汚染がひどい地域で発生するため、各種汚染物質が大気中に吸い上げられる可能性があると科学者は考えている。その結果、化学物質の再分配が起こり、相互反応しって、気候に大きな影響を与える可能性がある」。

 

 

エリントンフィールドでACCLIPの準備をする NOAA

 

NCARの科学者でACCLIPの主任研究者ローラ・パンLaura Panは声明で、「ここ数十年、衛星はモンスーンが地球の約10マイル上空に明確な化学物質の層を作ることを明らかにしましたが、その組成と進化についてはほとんど分かっていません」と付け加えた。「ACCLIPはそこにあるものを採取する機会を与えてくれますが、その組成が何であれ、気候に関係していることは分かっています」。

 

ACCLIPの飛行を実施するために、N926NAには現在、様々な科学機器とインマルサット衛星通信一式が搭載されている。計16の観測機器は、機首、胴体中央部のペイロードベイ、主翼の一部、翼下の4つのポッドに搭載される。高度6万フィートまで飛行可能な同機は、大気中の化学物質や大気の状態に関するデータを収集する。

 

 

2021年6月24日時点のN926NAへの各種観測機器の大まかな搭載計画を示す図。 NASA

 

観測装置の大部分は、黒い外装のモジュール式パレットに搭載され、機体のペイロードベイに差し込まれるため、ほとんど見えない。しかし、空気中の粒子を分離し、化学組成を分析するParticle Analysis By Laser Mass Spectrometry(PALMS)システムは、前面に突き出たプローブを使うため、機体の外観が非常に特徴的になっている。

 

 

N926NAに搭載されたPALMS搭載ノーズのクローズアップNASA

 

搭載されている観測機器の一覧と、その機能の基本的な説明は以下のとおり。

 

NASA

 

ACCLIPフィールドキャンペーンでの飛行は、当初2020年に予定されていたが、COVID-19パンデミックのために延期されていた。そのため、WB-57Fを構成する実作業と、安全かつ健全な動作を確認する試験飛行が、昨年から開始された。ヒューストンのNASAジョンソン宇宙センターの監修のもと、エリントンフィールドで行われた。

 

 

2021年、ACCLIP飛行設定を行う前のN926NA。エリントンフィールド。 Joe Katich / NOAA / CIRES

 

N926NAはこの科学的な取り組みを支援するため、今後数週間にわたって韓国から飛行するが、今回の飛行構成は、NASAのWB-57Fが高度なまで再構成可能である点を強調している。機体は、1960年代からジェネラル・ダイナミクスが旧型B-57を大改造したRB-57F高高度偵察機としてアメリカ空軍に配備されていた。

 

すでに述べたように、NASAのWB-57Fは過去に米軍のミサイル実験やミサイル防衛などの任務を支援している。うち1機は、空軍の戦場空中通信ノード(BACN)通信ゲートウェイのテストベッドとして採用されていた。

 

ACCLIPは、NASAのWB-57Fが過去に支援した数多くの科学的取り組みの一つ。太平洋地域への移動は、今回が初めてではない。2016年には、同型機の1機が、ACCLIPに類似したプロジェクト、「Pacific Oxidants, Sulfur, Ice, Dehydration, and Convection」(POSIDON)プロジェクトを支援し、西太平洋の米領グアムから飛行して 「上空への化学物質の輸送 」に関するデータを収集した。

 

NASAによると、N926NAは9月6日まで烏山から飛行を行う。その後、米国に戻り、次のミッションに対応できるように「分解」される。■

 

This Is Why A NASA WB-57F Canberra Jet Is In South Korea | The Drive

BYJOSEPH TREVITHICKJUL 27, 2022 7:53 PM

THE WAR ZONE

 

 

 


2021年4月20日火曜日

無人ヘリコプター、インジェヌイティの火星初飛行はライト兄弟に匹敵する航空宇宙史の1ページになった。ICAOは正式に飛行場として火星に命名。フライヤー1の一部をつけ飛翔し火星のキティホークになった。

 

  • 今回はT1・T2共通記事です。ここまで細かく報道がされていないようなので。宇宙ヘリコプターと伝えているメディアがありましたが、大気がない場所では飛翔できないので、火星ヘリコプターとすべきでしょう。ライト兄弟に並ぶ偉業というなら、せめてロマンのあふれるエピソードにしてもらいたいですね。

Helicopter Mars first flight

NASA

 

NASAは無人ヘリコプター、インジェヌイティの火星での初飛行に成功した。パーシヴィアランスローバー宇宙機に搭載し2月に火星へ到着していた。飛翔は1分間たらずだったが、地球以外で初の動力飛行になった。

太陽光電池で作動する重量4ポンドのヘリコプターにはライト兄弟のフライヤー1号から採取した小さな布をつけた。フライヤー1号は地球の大気中で初の動力飛行に成功した機体で、1903年ノースカロライナのキティホークでのことだった。ライト兄弟が地球上での航空機の可能性を実証したのに対し、今回のインジェヌイティ無人ヘリコプターが火星で同じ画期的な技術実証機の役割を果たす期待がある。

下に示した写真はインジェヌイテイ搭載の航法カメラで撮影したもので、火星表面上を飛翔する同機の影が映っている。本日送信してきた。飛翔は完全自律式で行った。ただし、火星から地球への送信には11分間かかるため、同機はカメラ二台を搭載し、航法カメラは白黒で地表を向き、もう一つ高解像度カラーカメラで地平線をスキャンしている。

NASA

 

「人類の手で別の惑星上で回転翼機を飛翔させた」とNASAジェット推進研究所(JPL)デインジェヌイティを主管するミミ・オンが高らかに宣言した。同ヘリコプターはJPLが製造した。「ライト兄弟の偉業を火星で実現した」

NASAの科学技術担当トーマス・ザーブヘンは「ライト兄弟の地球上での初飛行から117年後にNASAのインジェヌイティヘリコプターが別世界で同じ偉業を達成した。航空史上でそれぞれ大きな出来事になったが、その間には年月とともに173百万マイルの宇宙空間の差があるが、これで永遠に双方がつながった」と述べた。

インジェヌイティには失敗も現実の可能性だった。火星の重力は地球の38%程度で、大気密度は地球の1パーセントだ。これは地球でいえば海抜50千フィート地点での飛翔に等しく、この環境で飛行可能な回転翼機はない。つまり、ヘリコプターの回転翼で揚力を発生するのが大変だということだ。このため、インジェヌイティでは軽量構造を目指し、回転翼は毎分2,500回転させた。

地上の制御部門はインジェヌイティが10フィートまで上昇する様子を見守り、同機は約40秒後に着地した。

NASA

NASA’s Ingenuity Mars helicopter seen in a close-up taken by one of the cameras aboard the Perseverance Rover.

今のところ実際の飛行の様子は多くわからないままだ。帯域に制限があるためパーシヴィアランスから送信できたのは短いビデオクリップに限定されている。なお、宇宙機本体はヘリコプターから200フィートほど離れた地点にあり、受信まで数時間かかった。追加映像画像が今後数日で入手できるはずだ。

インジェヌイティはあと5回の飛行が予定されており、高度、距離をふやしていく。これを30火星日(31地球日)以内に実施する。ライト兄弟になぞらえ、インジェヌイティの飛行場所はライトブラザーズフィールドと命名された。場所はジェゼロインパクトクレーター付近でかつては湖だった場所だ。国際民間航空機関ICAOはIGYのコールサインを地球上の飛行場同様に命名している。

 

NASA

A low-resolution view of the floor of the Jezero Crater and a portion of two wheels of the Perseverance Mars rover, captured by the color imager aboard the Ingenuity helicopter, on April 3, 2021. At this point, the rotorcraft was still beneath the rover.

 

パーシヴィアランスではそのほかにも古代の微生物の痕跡をさがしたり、ロボット応用の可能性を実証する任務が期待される。同宇宙機は地質調査も行い、過去の天候状態を推定するため火星の岩石・チリを収集し地球に持ち帰る初のミッションとなる。これ自体が遠大な目標の標本回収ミッション(MSR)となる。今後は「フェッチローバー」を軌道に打ち上げ、別の軌道宇宙機と火星軌道でランデブーののち地球に帰還させる。最終的に有人火星飛行へ道を開く。

こうした宇宙機があれば、インジェヌイティのように広大な対象範囲でデータを集めることが可能となる。無人ヘリコプター利用で次の企画としてNASAは土星最大の衛星タイタンを想定して、2030年代中ごろの実施を想定している。ほぼ同時期に火星に人類が着陸するはずで、あるいは月に再び有人飛行がおこなわるはずだ。一方で火星での固定翼機運用の評価が始まっており、全翼機形状を想定している。

今回はヘリコプターが火星上で飛行し第一歩を記したが、ほかの惑星や衛星で展開される航空新時代がこれからはじまりそうだ。■

 

One Small Leap For A Drone Helicopter On Mars, One Giant Step For Mankind


Delivered by the Perseverance Rover, NASA’s Ingenuity helicopter drone is the first aircraft to make a powered, lift-borne flight on another planet.

BY THOMAS NEWDICK APRIL 19, 2021



2018年11月21日水曜日

開発進む超音速ビジネスジェット機はペンタゴンでの利用も視野に入る



  • Supersonic Bizjets May Attract Pentagon Interest ペンタゴンが超音速ビズジェットに注目する日が来る


  • BY PAULINA GLASSREAD BIO
NOVEMBER 13, 2018
代版のSSTに三チームが取り組んでおり米軍が採用するかもしれない。
超音速旅客機が再び空を飛ぶ日が来ればも米軍もリースあるいは購入を検討するはずだ。

コンコードが最後のフライトを終え15年以上になるが、NASAおよびエアリオン・スーパーソニックおよびブーム・スーパーソニックの民間2社がそれぞれ超音速旅客機を2020年代中頃の実用化を目指している。


ペンタゴンが関心を持つ理由としてTealグループ副社長のリチャード・アブラフィアは人質救難や戦闘捜索救難で迅速移動ができ危機解決につながることをあげる。


現代版SSTに必要な新技術としてソニックブームの制御があり、軍にも応用できるとアブラフィアは指摘する。


超音速ビジネスジェット機を軍で使う発想は前からある。1999年に一空軍少佐が空軍幕僚大学校で各種の可能性を論文にまとめている。


「砂漠の嵐作戦で超音速グローバル輸送手段があればイラクでシュワルツコフ大将が指揮する休戦合意に国務省チームは迅速に現地入りできていたはずだ」とマシュー・マロイ少佐が執筆。


軍が超音速ビズジェット機を購入しなくても利用は可能だ。現に軍はリアジェットから特殊作戦用途に機材をリースしている。空軍はC-21としてリアジェット35Aビジネス機に軍用装備を搭載して40機ほどを運用している。


エアリオン社の広報ジェフ・ミラーは王立航空工学学会主催のイベントで超音速ビジネス機の誕生はまもなくとし、同社がロッキード・マーティン及びハネウェルと共同開発中の機材を紹介した。GEのエンジン供給でエアリオンも信用度を高めている。


「2023年にコンコード運行終了20周年として大西洋を超音速飛行で横断し、就航は2026年になります」

12人乗り全長49メートルの同社の機体は120百万ドルの値段になる見込みだ。■

2009年5月17日日曜日

NASAの宇宙発電システムがピンチ

Aviationweek 5月11日号より

NASAのプルトニウム238のストックが枯渇している。核兵器製造の副産物として太陽光の利用が困難な範囲で活動する宇宙探査機の発電用に使っており、深宇宙探査の継続のために早急に生産再開が望まれると全国研究協議会は考える。オバマ政権の2010年度予算案でエネルギー省分には30百万ドルでアイダホ州およびテネシー州の原子炉を再稼動させ、宇宙機のラジオアイソトープ熱電発電機(RTGs)用の燃料を確保する案が含まれている。Pu-238は1980年代以降は各処理場で製造されておらず、NASAのロシア側供給先でも貯蔵量が減少している。NASAはすでにPu-238供給不足を織り込んでミッションの規模縮小を開始している。ただ、オバマ予算案の30百万ドルは頭金にすぎない。生産再開の費用は総額で150百万ドルを下らないとの見積もりがある。