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2017年10月1日日曜日

KC-46の開発最新状況:フライトテストで課題解決を目指す


あれやこれやと色々問題が発生し思ったように進展しないKC-46A開発ですが、ボーイングも黙っているわけにいかず積極的な解決策に向け努力しているということでしょうか。もちろん自社負担分は同機導入を決めている日本向け機材に盛り込んで一部回収を図るのでしょうから高い買い物を日本は覚悟せねばならないでしょう。しかし日本の発表では3機導入というのは寂しいですね。

Aerospace Daily & Defense Report

Upcoming KC-46 Tests To Focus On Key Deficiencies

10月のKC-46飛行テストは重要欠陥の解決を主眼に

Sep 23, 2017James Drew | Aerospace Daily & Defense Report

ボーイングKC-46のフライトテストでは判明している給油機能関連欠陥三点のデータ収集が主眼か。
Boeing

  1. KC-46ペガサス給油機では10月のフライトテストで米空軍・ボーイングは欠陥三点の対処方針を決める。
  2. 固定価格開発は予定から遅れており、費用超過した分はボーイング負担となっている。空軍は給油業務で欠陥三点を指摘しており運用開始に先立ち解決を求めている。
  3. 喫緊の課題は二点で、給油相手機と接続解除するとブームが勝手に伸び燃料が流出すること、ならびに操作員が相手機の受け入れ口にブームが外れているか判断できず機体塗装に損傷を与えてしかねない点だ。
  4. この二点が認識されたのは今年早々だが、高周波(HF)通信機関連の問題が2016年末に見つかっている。
  5. HF通信では機体表皮をアンテナとして使うだがスパークやアーク電流の発生が見つかっている。空軍は通信が確実に作動し、かつ火災の恐れがあるため給油中は発信はできない構造にしたいと考えている。
  6. 各問題の解決は容易で安価に実現でき事業進展の支障につながらないはずだ。しかし米政府側は10月から11月のフライトテストでデータ収集が必要で最適解決策の決定はその後だとする。
  7. 空軍で給油機開発主査のドナ・シプトン准将Brig. Gen. Donna Shiptonおよびペガサス事業総括のジョン・ニューベリー大佐 Col. John Newberryからは各問題を注意深く監視しており、事業経費や日程への影響も間もなく把握できると発言した。
  8. 両名は9月22日に報道陣に対しボーイングが機体型式証明・引き渡しの前に各問題を解決する義務があると述べた。同社はすでに20億ドル超の追加負担が2014年以降に発生しているとの報道がある。原契約は2011年2月交付で仕様を実現するため必要な追加改修は全部同社負担となっている。
  9. 「システム検証を引き渡し前に行い、仕様を満たしているか確認します」とニューベリー大佐は述べた。「製造済み機体の後付け改修は全額同社負担となります」
  10. ただし問題点が当初のウェポンシステム仕様書で想定されていない場合は空軍予算で変更すべきか決定することになる。
  11. 政府支出増になりそうなのは「給油口以外での未探知コンタクト」 undetected contacts outside receptacle (UCOTR)の問題だ。この解決には高性能遠隔カメラの設置が必要となる。空軍報道官は9月20日にボーイングがカメラ費用を負担すると述べていたが、空軍は今は「フライトテスト完了後に仕様書準拠の決定を下す」としている。
  12. 空軍は過去の空中給油型式証明データを洗い出して給油口以外の箇所に接触した事例がよく発生しているのかを把握し、KC-46事例と比較しようとしている。空中給油テストが10月に再開されるとこの問題を精査することになりそうだ。
  13. この問題は特にステルス機の場合でリスクとなる。B-2、F-22、F-35の表皮が損傷すれば、敵レーダーに探知されてしまう。ペガサスはC-17、A-10、F-16、F/A-18へ給油したが、ステルス機への給油は未実施。
  14. シプトン、ニューベリー両名はボーイングが機体の型式証明取得に向け進展中と認めるが、政府想定の引き渡し開始は2018年春季で変更がない。
  15. ニューベリー大佐はKC-46開発は比較的「低リスク」事業とするが、いろいろ障害があり、遅延発生でボーイング負担が増えた。空軍の義務は49億ドル上限のままで、ボーイングが認めた固定価格契約の効果が生まれている。
  16. 大佐はボーイングは767-2C型を改装して軍用仕様KC-46としての型式証明取得を各問題を安易に考えすぎていたと述べている。
  17. 「複雑かつ広範囲の作業を低く見積もった結果で今同社は代償を支払っています。大局では進展がありますが、予定より遅いペースで進んでいます」
  18. ボーイングはまず34機を納入する契約に取り組んでおり、次の15機分の契約は来年1月に成立する見込みだ。最終的にKC-46は179機を空軍に納入する。■

2016年9月24日土曜日

★★KC-46の対日販売を米国務省が認可



KC-46も小牧基地に配備するのでしょうか。実機が現れればKC-767との区別が話題になりそうですね。しかし小牧基地にそれだけのスペースがありましたかね。追記)読者の方からご指摘あり、KC-46は美保基地配備になるとのことです。訂正します。

State Department Clears $1.9B Sale of KC-46A Tankers to Japan

By: Valerie Insinna, September 22, 2016 (Photo Credit: Boeing)

  1. WASHINGTON —  米国務省は21日、19億ドルでKC-46空中給油機の日本向け売却を承認し、ボーイングは同機で初の海外販売の実現に一歩近づいた。
  2. 国防安全保障協力庁(DSCA)によれば案件はKC-46A四機、プラット&ホイットニー製4062型エンジン予備一基を含む。日本は運用訓練も契約の一部として受ける。
  3. 各機はALR-69Aレーダー警告装置および小型空中GPS受信機を装着する。ともにレイセオン製で、さらにノースロップ・グラマンのAN/AAQ-24(V)大型機用赤外線対抗装置も搭載する。
  4. 日本は昨年10月にKC-46導入の意向を表明していた。海外販売を模索していたボーイングには初の海外販売成約となった。
  5. KC-46はエアバスA330多目的給油輸送機としのぎを削る商戦を展開しており、軍用実績ではエアバスのほうが多く低リスク選択肢と受け止められてきた。韓国は2015年にボーイングを退けA330MRTTの採用を決めている。
  6. アジア太平洋の同盟諸国は米政府に装備提供と訓練実施を求めて中国、北朝鮮への対応を急いでいる。対外軍事販売は米議会の承認が必要だが 今回の案件は議会を難なく通過するだろう。日本との軍事上の密接な関係があるためだ。この点はDSCAも声明文で強調している。「今回提案されている売却により日本の太平洋地区における安全保障活動能力が強化され、米国の主要同盟国たる日本の防衛体制も向上します」
  7. DSCAは今回の契約に付随した見返り合意内容 offset agreementsはないとしている。
  8. 米空軍はKC-46を179機調達する。■


2014年9月15日月曜日

KC-46空中給油機の初飛行日程も遅れる見込み


順調と思われていたKC-46開発ですが、思わぬところでつまづいているようです。設計段階に間違いがあったのであれば「詰めが甘い」と言われても仕方ないですね。固定価格で超過する分は海外輸出で回収するというのがボーイングの計算のようで、日本もその対象に既に入っているようです。KC-767の追加購入はKC-46に切り替えていくということでしょうか。





First Flight for KC-46 Tanker Platform Slips Further

Sep 12, 2014Amy Butler | AWIN First
Boeing

配線問題でKC-135後継機となるべきボーイング767-2Cの初飛行は早くても11月中旬と当初の6月から大きく遅れている。
  1. それでもジョン・トンプソン少将(KC-46事業責任者)Maj. Gen. John Thompson, program executive officer for the KC-46 programによればボーイングは第一期18機の納入を契約通り2017年8月に実行できると見ている。「稼働可能必要機数(equired assets available RAA)の実現に支障となる大きな問題はないが、日程管理は改善の余地がある」と9月11日にAviation Weekに発言している。
  2. ボーイングは2011年に固定価格制で44億ドル開発契約を獲得し、政府負担は49億ドルが上限となる。2013年に行った原価危険度評価では総額59億ドルとなったとトンプソン少将は述べた。差額はすべてボーイング負担で2017年を迎える事になる。最終的に空軍は179機を調達する。.
  3. ボーイングからは272百万ドルを投入し事業を予定通り進めるとの発表があった。問題は基本形767-2Cの配線だ。給油機として配線設定で空軍が二重あるいは三重の冗長性を求めているため、基本形767の配線は総延長70マイルだが、2Cでは50マイル分を追加している。冗長部分とは別に、重要システムでは安全の理由から配線間に一定の距離を保つ必要がある。今年早々にFAAテストの準備を進める中でボーイングは配線の5-10%で距離が十分に確保できていない、あるいはシールドが不十分であることに気づいた。
  4. この設計不備は「設計ツール段階に原因がある」ためとボーイング広報のキャロライン・ハッチソンBoeing spokeswoman Caroline Hutcheson は発言。「問題の本質は既に理解されており、既存技術で解決でき、追加作業を行うだけです」
  5. 配線の一部はテスト機材4機で設置ずみのためこの機材を一時的にテストから外している。残る3機は組立済みでボーイング施設内で配線取り付けを待っている状態だ。ただし、この三機の組立はほぼ同時並行で行われるので、設計見直しはフライトテストの制約となるかもしれない。
  6. 767-2Cは 767-200ERの貨物床を強化した給油輸送機仕様で貨物用扉など輸送機の特徴を持つ。操縦席は787を基本とし、予備燃料タンクと配管配線で給油用ブーム並びにミッションシステムズを運用する。ボーイングはワシントン州エヴァレット工場の民間機生産ラインで同型を組み立ててミッションシステムズは最終工程で組み付けることで最短の生産を目指している。
  7. 第一期開発用機材は2Cの呼称でFAAの追加型式証明を受ける。第二期機材がKC-46となり、初飛行は2015年4月予定でトンプソン少将によれば今のところ変更ない。しかし「4月第一週に飛行できないと、マイルストンC[ペンタゴンによる生産決定]を同年9月としているので深刻な日程遅延を毎日心配しなくていけなくなる」
  8. トンプソンはマイルストンC決定はペンタゴンの調達トップフランク・ケンドール次官が下すものでわずかに遅れても2017年8月のRAA目標が実施不可能となるわけではないという。ただし2C生産の遅れは開発生産を同時進行させるKC-46事業に影響を与える。開発開始時にはこの方針が逆にリスクを減らすと言われており、ボーイングが民間機を軍用に転換する経験が深いのがその理由だった。ただし、ペンタゴンが第一期分13機の生産を決定する時点で2Cのフライトテストは開始されたばかりのはずである。
  9. さらに同機開発では新しい「一回きりテスト」"Test Once" の考え方を導入しており、一回のテスト飛行でなるべく多くのテスト項目を各関係機関が実施することにしている。そこで遅延が発生すればさらに多くのプレッシャーが加わる。
  10. トンプソン少将は日程管理のプレッシャーを和らげる方法を検討するが、現時点では解決策を絞り込めていないという。
  11. ボーイングにとっては大日程の維持は高くつくが、トンプソンは同社にとって旨みのある事業になるはずと言う。KC-46導入へは日本と韓国が関心を示している。
  12. 配線問題が出る前にボーイング関係者からは機体完成時の価格試算は政府試算額を下回るとの見通しが出ていた。ハッチソンはトンプソン少将の見積額を否定しなかったが、「事業全体の大日程を追加コストを政府や納税者に押し付けることなく、設計通りに実現すべくボーイング負担を増やす」という。■