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2025年1月24日金曜日

カリフォーニア州兵のヘリコプターはロサンゼルス山火事とこう戦っている(Task & Purpose)―日本で同じ状況が発生すれば、各地の消防局では対応できず、やはり自衛隊が出動していますね(呉、山梨など)

 

ロサンゼルスの山火事との戦いでカリフォーニア州兵のヘリコプターがどのように消火活動を行っているのだろうか

A California National Guard Chinook enroute to do a water drop on wildfires.

8月1日、カリフォーニア州北部シャスタ郡のフォールリバー・ミルズ空港から、カリフォーニア州兵のCH-47チヌーク大型ヘリコプターが、山火事消火活動を支援するため、バケツに水を入れて発進した。 カリフォーニア州兵撮影:Cpl. Danielle Rodrigues.


厚い黒煙がキャノピーを越え立ち昇るなか、カリフォーニア州軍のチヌークのクルーは、炎の列の500フィート上空、低木が生い茂る峡谷を潜り抜けた。機体の下に吊るされたバケツから水煙が落ち、白い水蒸気の噴出が乗組員に目標に到達したことを知らせる。

 ジョセフ・ロザモンド曹長のようなカリフォーニア州軍パイロットにとって、今回の作戦は長年にわたる作戦で磨かれて技量を試される機会だ。

 「救助活動であれ、消防活動であれ、地域社会に貢献することは、無私の奉仕であり、最もやりがいのあることです」と、ロザモンドは本誌に語った。「仕事に対する倫理観もあり、外に出てそれを追求したいタイプか、そうでないかのどちらかだ。 もしそうでないなら、おそらくこの組織にはいません」。

 2020年、ロザモンドのクルーは、山火事でキャンピングカーがキャンプ場に閉じ込められた後、300人以上30匹近くのペットを救助した。ロサンゼルスの山火事が今週も燃え続けるなか、州兵のヘリコプターは火災地帯で総力を挙げての投下が数千回に及んだ。

 サンタアナ風に煽られたカリフォーニアの山火事は、現在40,000エーカー以上に広がっており、パリセーズ火災がその半分以上を占めている。カリフォーニア州林業消防局(Cal Fire)によると、135件の山火事で23人が死亡し、12,000棟以上の建造物が破壊されたという。

 カリフォーニアの火災シーズンは伝統的に6月から11月だが、今月の火災が示すように、条件が整えばいつでも発生する可能性がある。カリフォーニア州兵は数十年前から、山火事シーズンに地元の消防隊を支援する協定を州消防局と結んでいる。

 「投下は毎回ハイタッしたくなる瞬間です」とロザモンドは言う。 「良い仕事をしたいのです。効果的でありたいし、時間や資源、資金を無駄にしたくないのです」。

警告と計画

ロザモンドと乗員は当初、マリブから20マイルほど離れた、火災区域の西端に位置するカマリロに派遣された。しかし、強風のため、ストックトンの本拠地に戻った。クルーは、必要に応じて火災地域に戻るため、引き続き警戒態勢をとっている。 警戒態勢に入ったままでロザモンドは本誌取材に応じ、消防隊員が山火事との戦いに必要な正確で一瞬の機動をどう行っているかについて語った。

 ロザモンドによると、警戒中の隊員は毎日、天候や山火事の場所、成長具合、延焼しそうな方向などの詳細について報告を受ける。その進路上にどのような建造物や開発があるかも調査する。

 任務は航空攻撃グループのスーパーバイザーからクルーに渡されるが、スーパーバイザーは大隊長や師団長に相当する立場にある。 要請があると、クルーは荷物を積み込み、通常は湖や池にある "水汲み場 "に向かい、そこでホバリングで、あるいは水面をかすめるようにしてバケツを満杯にする。

 「バケツ全体を水没できない場合は、小川や浅い池から水を吸い込むことができます」とロザモンドは言う。

 満杯のバスケットの重量は約16,000ポンドで、チヌークの最大貨物重量をはるかに下回るが、飛行特性を劇的に変えてしまう。

 そこから、通常は火災現場のはるか上空にいる固定翼機に乗る管制官から火災現場か、耐火性を強化する消火剤ラインの現場のどちらかに呼ばれる。防火線は赤く見え、山火事の延焼を防ぐものだ。ロザモンドによると、消防隊員は通常500フィート(約15メートル)付近で放水地点まで移動し、その後50フィート(約15メートル)付近まで降下し放水するが、飛行状況によって異なる場合があるという。

放水


Chief Warrant Officer 5 Joseph Rosamond's Chinook standing by in Stockton, California.

カリフォーニア州ストックトンで待機するジョセフ・ロザモンド曹長のチヌーク。 写真提供:チーフ・ウォラント・オフィサー5 ジョセフ・ロザモンド


パリセーズ火災のような山火事は、濃い煙と炎を高所まで上げることがある。分厚い煙の中を飛ぶと乗組員の目がくらむので、それを避ける。 パイロットは風向きから計算し、煙の晴れた側から攻撃する。

 ターゲットに並ぶと、パイロットはもはや地上を見ることができくなるので、後方のフライトエンジニア(FE)2名に頼る。 一人は窓から身を乗り出し、パイロットの目となり耳として索敵し、もう一人は爆撃手の役割を果たし、投下指示を待つ。チヌークの下に吊るされたバケツと貨物室のリリースハンドルはケーブルシステムで結ばれている。

 「パイロットは標的を見つけ、キャビンドアにいるFEにそれを渡す。FEは風や火線の見通しの良さに基づいて、アライメントを微調整する。彼は、ライン上にハンドクルーなど投下を妨げるものがないかスキャンし、カーゴホールにいるフライトエンジニアにカウントダウンを開始する。『 放水』の号令で、後方のFEがボタンを押します。

 二人目のFEが "放水、バケツ半分、バケツ1/4、バケツ空 "と呼びかけ、急速に水が抜けていく。

 「落水時に何もなければ、機体は高度を上げるだろうが、我々は放水中ずっとバケツの高さを維持するよう出力を調整しています」とロザモンドは言う。

 カリフォーニア州兵は全員、同州で消防統一訓練を受けなければならない。指揮を執る消防パイロットは、水投下任務に就くためには、500時間の飛行を終え、少なくとも1シーズン、できれば2〜3シーズンの消防飛行を経験していなければならない。■


How California National Guard helicopter crews are fighting the LA wildfires

A California National Guard pilot describes how flyers perform a firefighting mission in the battle against Los Angeles’ raging fires.

Joshua Skovlund


https://taskandpurpose.com/news/california-wildfires-national-guard-pilots/



2017年1月28日土曜日

★州軍航空隊C-130がスパイ機になり世界を飛び回っている


C-130のような汎用機でもしっかりISR任務で成果をあげられるという事例ですね。

War Is Boring

These U.S. National Guard Spy Planes Have Flown All Over the World

Senior Scout turned C-130 cargo planes into part-time spooks

by JOSEPH TREVITHICK
2004年6月8日のこと、米スパイ機がカルシ・ハナバ航空基地(別名K2)のあるウズベキスタンを離陸しアフガニスタンを目ざした。機材は冷戦時代の象徴たるU-2ドラゴンレイディでなくRC-135V/Wリヴェットジョイントでもなく、ユタおよびネヴァダの州軍所属の特殊改装C-130貨物機だった。
  1. 搭載する貨物は情報収集用装備でシニアスカウトの愛称だった。輸送機は臨時スパイ機となり、地上通信傍受が役割だった。
  2. 「その日、乗員は第22海兵派遣部隊の支援任務についたのだった」と州軍航空隊の公式記録にある。「シニアスカウトで海兵隊部隊との連絡を確立し、120名もの反乱分子が同隊を包囲していることがわかった」
  3. 増援部隊が現地に向かう一方で情報分析が上空で進み、反乱分子の無線交信にタグをつけて追跡できた。乗員は情報を米軍地上部隊に逐次伝えた。
  4. 「シニアスカウトの乗員の支援が死活的だったのかとの質問があったが」と海兵隊は回想する。「答えは、その通り!」と海兵隊史はまとめている。
  5. シニアスカウトの初投入は1990年のことで、その陰には大型で知名度の高いスパイ機の存在がある。War Is Boringはこのたび情報公開法を活用し、9/11テロ攻撃以降に州軍所属の空のスパイが戦闘員、麻薬密輸業者、その他敵対勢力を世界中で狩りたてていたことを知った。
  6. シニアスカウトは情報収集装備そのものをさすが、空軍はC-130Eに搭載できるように設計し、H型J型でも同様で48時間以内に搭載が完了する。
ウェストヴァージニア州軍がシニアスカウトコンテナーをC-130に搭載している。 Air Force photo
  1. 制御ステーション及びその他をコンテナー内部に収め、ハーキュリーズの貨物室に搭載できるようにした。着陸装置扉、貨物室扉に特殊アンテナを装着する。
  2. このアンテナが特殊装備搭載のハーキュリーズを外観から判別する数少ない目安になる。ペンタゴンはシニアスカウト搭載機体をEC-130あるいはRC-130と呼ぶことがあるがこれらの名称は非公式のものである。
  3. 1989年に空軍は旧式化してきた州軍C-130機材の更新作業を開始した。2001年までにユタ州軍の第169情報飛行隊が三基の「シェルター」と関連装備を運用していた。
  4. 同隊は装備二組を常時展開する体制を保ち、残る一基は故障時の予備だった。初回の湾岸戦争で中東に飛んでいるがシニアスカウトの主な任務は麻薬密輸業者をラテンアメリカで追跡することだった。
  5. 第169飛行隊は海外任務でシニアスカウト装備を運用し、その他の正規空軍部隊や州軍航空隊がC-130機材を提供する。
  6. さらに「ホスト国同乗員」と呼ばれる情報活動の舞台となる国の関係者を乗せることがある。現地当局と米軍の連絡要員だ。乗員は集めた情報はこの同乗者を通じて迅速に「パートナー国の活動用に」提供すると関係筋は説明。。
  7. これまで20年近くシニアスカウトを搭載したC-130が各国の基地から飛んでいる。エクアドル、エルサルバドル、パナパ、コロンビアと言った国で、米軍や法執行機関、民間事業者と協力している。2011年には改装C-130が海軍のE-2レーダー機と空軍のRQ-4グローバルホークと連携してコロンビアで運用されていたことが年誌からわかる。
  8. 機密解除となった空軍の資料から一回の任務が10時間に及んでいたことがわかる。
  9. だがアメリカの対テロ戦争が世界規模に拡大する中でペンタゴンに情報活動の要請が急増し、スパイ機は引っ張りだことなる。シニアスカウトも例外ではなく、前に紹介した2004年のアフガニスタン上空のミッションは一例にすぎない。
  10. 2009年になるとシニアスカウトはラテンアメリカ、アフガニスタン、アフリカ(国名非公開)で活動しており、おそらく「アフリカの角」でソマリアの対テロ作戦に従事していたのだろう。アフガニスタンだけでも空軍は専用にミッションセット二基を活用していた。
基地開放デーでシニアスカウトの「シェルター」内部を見る貴重な体験をする来訪者。 Air Force photo
  1. ミッション増加でシニアスカウト運用チームに負担が増えてきた。また州軍のC-130でも同様で、状況を重視して空軍も新規部隊創設を検討したほどだ。各種情報収集装備とC-130部隊を統合する司令部機能が必要と考える向きが出て保守整備と補給活動が容易になるとの期待があった。
  2. 「過去にはこれは問題にはならなかった」と2008年編纂の空軍公式記録は記述している。だが対テロ戦が世界規模になり、ラテンアメリカでも作戦が「C-130各機を限界まで酷使するまでになった」のだ。
  3. さらにペンタゴンはシニアスカウトを他の貨物機に搭載して即席スパイ機として太平洋で運用する構想に関心を示した。大型のRC-135V/Wスパイ機がフィリピンでテロリスト捜索に投入されており、北朝鮮の動きを見守り、南シナ海のパトロール他にも従事していた。
  4. だが空軍上層部は構想に同意せず、代わりに空軍のワシントン司令部が各チームを統合し、課題に取り組むことになったと2008年の年誌が述べている。
  5. 2010年までに「RC-130航空団」構想は消え去った観があった。だがシニアスカウトは太平洋にも進出した。
  6. その翌年に空軍は装備の性能向上を図り、情報は基地と地上部隊双方に送れるようになった。リヴェットジョイントで運用中のデータリンクソフトウェアが小型のシニアスカウトに転用されたと公式記録にある。
  7. 20年以上に渡り供用されてきたが2013年度には第169飛行隊は「シニアスカウトを投入する主任務が不確定になりシニアスカウト投入回数が一時停止」になったとユタ州軍がまとめている。同隊は情報要員を他のミッションの応援に派遣した。
  8. 各員はシニアスカウト装備の運用技量を維持し、必要なら即派遣できる体制にあった。2014年8月には公式マニュアルで同隊の乗員は空軍ジェローム・オマリー大将賞(航空偵察)の受賞資格があると記載されている。
  9. だが中東、アフリカ等で武力衝突が続いており、ペンタゴンは特殊装備をすぐには廃棄しないだろう。■