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2021年4月28日水曜日

ペルシア湾で米海軍がイランに警告射撃を加えた。トランプ政権時には急減した革命防衛隊による威嚇行為がバイデン政権になり再び増加傾向へ。イラン首脳部は革命防衛隊を制御しきれていないのか。

 An image the US Navy released from an incident in which the Cyclone class patrol craft USS Firebolt fired warning shots at Iranian boats in the Persian Gulf of April 26, 2021.

USN

 

 

海軍はサイクロン級警戒艇USSファイヤーボルトがイラン小舟艇3隻に警告弾を発射したと発表。ペルシア湾で昨日発生した。これと別にイラン革命防衛隊の別の小舟艇がやはりペルシア湾で米沿岸警備隊カッターに嫌がらせ行為を働いたとも発表している。

 

ファイヤーボルトは沿岸警備隊のUSCGCバラノフとともに4月26日現地時間午後8時ごろから航行していた。海軍は接近してきたイラン側舟艇の型式等に触れていないが、イラン革命防衛隊(IRGC)が各種小舟艇を運用していることは周知の事実だ。

 

USN

A stock image of the USS Firebolt.

 

 

イラン小舟艇は「国際法上で必要とされる他の船舶への安全維持義務を逸脱し、公海上の米海軍艦艇に接近してきた」と米海軍は声明文を発表。「IRGCN(イラン革命防衛隊海軍)の武装高速艇が急速に米海軍警備艇USSファイヤーボルト(PC 10)及び米沿岸警備隊警備艇USCGCバラノフ(WPB 1318)に意図不明なまま非必要に接近し、最接近時には米艦から68ヤードまで近づいた」

 

「米乗員は無線交信で警告を数回にわたり送り、拡声器も使ったがIRGCN舟艇はそのまま接近を続けた」と声明文は続ける。「ファイヤーボルト乗員はそこで警告弾数発を発射すると、IRGCN舟艇は方向を変え、安全距離をとった」

 

米海軍は使用した武器の種類に触れていない。サイクロン級の主要兵装は25mm自動機関砲二門だが、その他小口径幾何陰獣、自動手りゅう弾投射装置もあり、他にもAGM-176グリフィン精密誘導ミサイルがある。

 

「今回の遭遇を通じ米側は積極的にIRGCN舟艇に交信を試み、事前設定の対応手順に従い、誤解によるリスク低減、衝突回避、状況の危険度低下を図った」「米側海軍艦艇は警戒を維持しつつこうした事態に冷静に対応する訓練を受けており、自艦の防御に必要な行為を取る権利を行使できる」

 

「IRGCNの行動は誤解や衝突のリスクを増やし、国際海上衝突回避規則(COLREGS) 、海上交通の慣習にも反するものだった」「さらにIRGCN側の行動は国際法を無視し、海上交通の安全義務にも反するものだった」(米海軍)

 

US ARMY

A stock image of the USCGC Baranoff.

 

この事件に先立ち、4月2日に同様の事象が沿岸警備隊アイランド級警戒艇とハース55級双胴船シャヒド・ナゼリ含むIRGCN小舟艇の間で発生していた。

 

前回の事件でも海軍がイラン側に警告弾含め発砲したかは不明だ。2017年には別のサイクロン級警戒艇USSサンダーボルトがIRGCN舟艇に警告弾を発射している。

 

昨年は警告弾発射は一回も発生していないものの、イラン舟艇が大挙して米海軍、沿岸警備隊をペルシア湾内で妨害していた。この後、ドナルド・トランプ大統領から米海軍に対し、今後イラン武装艇が海上で米側へ嫌がらせ行為に出れば、射撃し排除する命令が出ていた。トランプ大統領は交戦規則の変更ではないと同日中にツイッターで明らかにしていた。

 

今回の事件と対照的なのは2016年1月の事案で、米海軍の小舟艇二隻の乗員がイラン領海に侵入しIRGC部隊に投降した。この事態は15時間後に米乗員が解放され解決を見た。米政府はイランへの公式謝罪は否定したが、イランはこれを宣伝工作に利用し、バラク・オバマ政権批判を繰り広げた。

 

イランにはペルシア湾内で米艦艇への嫌がらせ行為を繰り返す実績があったが、トランプ政権になり急減していた。理由は不明だ。その他のイランによる挑発行為に民間船舶拿捕、無人機による威嚇飛行があり、こうした行為は今も続いている。またイランによる、あるいはイランが支援する形でオマーン湾で石油タンカーを攻撃している。

 

2019年にはIRGCが米海軍RQ-4A広域海上監視機能実証機(BAMS-D)をオマーン湾上空で撃墜し、米イ両国が交戦寸前になった。イランが無人機とミサイルでサウジアラビアを同年後半に攻撃した際に米政府はイランを非難した。その後、米軍がカセム・ソレイマニ将軍をIRGCクッズ部隊司令官としてイラクで殺害する事件が2020年1月に発生し、イランは報復として弾道ミサイルでイラク内の米軍を攻撃した。

 

ジョー・バイデン政権はイランと間接交渉を狙い、イラン核開発をめぐる多国間交渉に復帰もめざしている。この関連でイラン側はトランプ政権時の制裁措置で緩和をバイデン政権に求めている。バイデンはイラン交渉復帰の前提として制裁緩和は考えていないと強調するものの、ここにきて柔軟性を示す兆候があるとの報道がある。

 

交渉での立場強化を狙いIRGCの一派が働いている可能性があり、米国との協調を図ろうとする勢力の足場を崩そうというのだろう。イラン首脳部がIRGC活動をどこまで制御できているのか疑問も生まれている。

 

「IRGC海上部隊の活動はイラン最高指導者の指令によるものとは限らない。むしろ地方指導部の無責任な行為によるものだ」と米中央軍司令官フランク・マッケンジー海兵大将がコメントしている。「挑発の罠に落ちてはいけないと慎重に対応している。当方の各員が優秀なことに助けられている。緊張拡大を避ける能力が備わっている」

 

IRGC内部に状況悪化を望む勢力があるのは明らかだ。■

 

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The incident took place yesterday and is the second instance of Iranian boats harassing American military vessels in less than a month.

BY JOSEPH TREVITHICK APRIL 27, 2021

 

Contact the author: joe@thedrive.com


2017年11月30日木曜日

米イラン間の衝突回避に重要な役割をしていたRC-135V/W機


ISRの重要な機能がよくわかるお話ですね。こうした裏方がいて初めて外交も軍事行動も可能となるということですね。


Award Reveals USAF Rivet Joint Spied on Iranian Forces During 2016 Hostage Crisis

2016年の危機事件で米空軍リヴェットジョイントが重要な役目をしていた

Information from the Rivet Joint aircraft aided negotiations and helped avoid a more serious confrontation.

同機発信の情報で軍事衝突が回避できた


USAF
BY JOSEPH TREVITHICKNOVEMBER 27, 2017
2016年1月12日、米海軍水兵10名がイラン革命防衛隊(IRGC)にファルシ島で捕獲された。米兵には希望が見えなかった。だが翌日に米空軍のRC-135V/Wリヴェットジョイント情報収集機が近辺を周回飛行し、イラン側の通信内容を傍受し、解放交渉を守るつもりがあるのかに耳を傾けていた。
  1. 同機乗員(コールサイン・パイソン72)が最優秀偵察機乗員として2016年度ジェローム・オマリー将軍賞を2017年9月に受賞している。空軍協会が年次総会で同賞を授与している。受賞の個別具体的な理由はあいまいなままだったが、Omaha World-Herald紙が米空軍大佐ジョージ・レイノルズ(オファット基地第55飛行隊隊長)の推薦状を入手している。
  2. 「同機乗員は空軍隊員の鑑で連合軍部隊の戦闘を支援している」と一般的に説明していると同紙が伝えている。だがパイソン72の同日の出撃は通常内容どころではなく、敵部隊の監視にあたることの多い同機でも尋常でない内容だった。
  3. 監視装備を詰め込んだリベットジョイントは計17機ありイラク、シリアはじめ北朝鮮などを監視している。2016年に第55飛行隊の別のRC-135V/W(パイソン71)がやはりオマリー賞をイラク・ファルージャで対ISIS作戦で受賞している。同飛行隊は同型機すべての他、共に電子偵察用のRC-135Sコブラボール(3機)、RC-135Uコンバットセント(2機)を運用している。
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Congratulations to the Crew of PYTHON 72 at @Offutt_AFB on winning the Gen. Jerome F. O'Malley Award today! #ASC17#AirForce
  1. 話しを元に戻すと、2016年1月12日、第五艦隊隷下の高速強襲ボート二隻がクウェートとバーレイン間の海峡を移動中に一隻が故障し漂流をはじめファルシ島近くでイラン領海に入り、IRGC部隊に包囲され身柄拘束された。
  2. 米海軍の事後調査でイラン軍の接近時点で乗員に手違いが数々あったことが露呈している。第五艦隊上層部にもリスク承知で同海峡通過を急がせた過失も見つかったが、国際法を破り何ら敵意を示さなかった米乗員を拘束したイランにも非難の矛先を向けている。
  3. 批判する向きには当時共和党大統領候補だったドナルド・トランプもあり、バラク・オバマ大統領を責めた。ジョン・ケリー国務長官がイランに強い立場を示さず、世界の面前でイランに侮辱されたとした。ケリー長官が乗員解放を実現したのは身柄拘束後15時間のことで米政府は同事件について公式謝罪は出していない。
  4. ただし、イランが乗員を捕獲してから第五艦隊司令官ケヴィン・ドネガン中将が海軍作戦部長や国務省と協議し「軍事対応を命令し」たとある。ここにパイソン72のミッションが入ってきた。
  5. 同機はアルウデイド基地(カタール)に前方配備中だった。その時点で空軍はアフガニスタン上空に飛ばし、タリバン他戦闘員等の通信傍受に充てる予定だった。
  6. だが2016年1月13日、ファルシ島事件の進展を受けて同機をペルシア湾に派遣する許可申請が基地から出た。米中央軍司令部が了承し、乗員19名が乗るRC-135V/Wを問題地区に飛ばした。機内には信号情報や言語の専門家がおり、イラン通信内容を傍受し捕虜関連情報の翻訳に待機した。.
  7. 海軍と空軍は通常からペルシア湾内の国際航路上を行き来し監視偵察活動をしているが、ファルシ島への接近は普段は行わない飛行だった。だが同機からの情報が貴重な内容になった。.
  8. 強力なデータリンク装置を搭載したリヴェットジョイントは新情報をペンタゴンの共用人員救難局 Joint Personnel Recovery Agency 並びに国務省へリアルタイム送信した。ケリー長官は一部を使いイランへの交渉で立場を強化したと伝えられている。
  9. もっと重要なのは水兵解放に合意した後で悪天候のためIRGCが解放地点を次々に変更したことだ。米側はこれに警戒し最悪の場合、罠ではないかと身構えた。パイソン72の言語専門家はイラン側に対決の意図はないと判断した。
  10. 水兵は安全かつ元気だったが、RC-135V/Wはそのまま同地に残り引き続きイランの動静を監視した。レイノルズ大佐によればIRGCの戦術面や標準行動で「前例のない量の」情報を収集てき、将来に向けて貴重な情報になったと述べている。
  11. 今回はパイソン72の尽力で危険な事態は回避できた。今後この事件でまだ語られていない細かい情報が出てくるかもしれない。
  12. War Zoneは情報の自由法を使い、乗員が海軍艦隊補給支援飛行隊58(VR-58)のC-40Aクリッパーが述べ10か国を移動する飛行で1月24日にまでに米本国に帰還させたことがわかった。
USN VIA FOIA
  1. このミッションは45時間で11の時間帯を通過した。ドネガン中将はここまで述べたが、国名は伏せている。
  2. 今後時間がたてば、米軍が当時どんな警戒態勢を取っていたかも明らかになるだろう。■
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