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2025年11月16日日曜日

ホームズ教授:中国の海上権力は米国を本当に凌駕しているのだろうか?(The National Interest)

 


中国の海上権力は米国を本当に凌駕しているのだろうか?(The National Interest)

インド太平洋地域で中国人民解放軍海軍は米海軍に勝てないかもしれないが、勝てるように見えるだけで中国は戦略的利益を得ている

威主義勢力がダイナミストになっている。

この驚くべき主張は、数年前にワシントンで開催された海軍作戦部長(CNO)執行委員会の集会で、筆者が中国に関する講演を行った後の質疑応答で提起されたものだ。

この哲学的な問いは、今や「第二の冷戦」と呼ばれる事態の展開と帰結に、計り知れない実践的意義を持つ。海軍連盟海洋戦略センターのスティーブ・ウィルズ博士は、米海軍創立250周年に関する筆者のコラムへの返信で、この問題を間接的に提起した。

スティーブはこう主張する。米国のような開放社会——社会のあらゆる層が制度の不十分な成果を厳しく批判する社会——は、戦略的競争や戦争において権威主義体制より優位にあると。

三段論法は明快だ。自由社会の象徴である議論と討論は、海軍を含む政策をより賢明なものへと導く。討論は制度改善への国民とエリートの圧力を生み、結果として説明責任が生まれる。証明おわり。

批判が改善を生む前提は正しいはずだ。そうあってほしい。だが現代において、この前提にどこまで信頼を置けるか疑問だ。これまでの米中競争の結果——我が海軍と統合軍が直面する決定的課題——は、開放社会が閉鎖社会よりダイナミックだという考えを裏付けるに至っていない。

執行委員会は、当時米海軍最高位の将校であるジョン・リチャードソン海軍作戦部長(CNO)の諮問機関であった。議論の流れは「はい」と示唆していた。今日の権威主義体制、特に中国は、閉鎖社会に与えられる利点と開放社会に典型的に帰せられる利点の両方を掌握している。権威主義体制では命令を下し被統治者がそれを実行するため、迅速かつ断固たる行動が可能だ。

独裁者は迅速な成果を得る―だが創造的思考は不可能となることが多い

戦略の大家たちも同意見だ。海上権力論と海戦史に関する著作で、アルフレッド・セイヤー・マハン大佐は断言している。「独裁的権力が、判断力と一貫性をもって行使されれば、自由な国民による遅いプロセスでは到達できないほど偉大な海上貿易と輝かしい海軍を創り出す」。

マハンは共産主義中国の成果を称賛するだろうが、同時にそれらを儚いものと見なすかもしれない。彼が指摘するように、権威主義国家が海上で繁栄するには、専制者が国家の遠洋計画に「判断力と一貫性」をもって臨まねばならない。こうした特質を備えた指導者はごく稀だ。彼らが判断力や一貫性に欠けたり、変化に対応できなくなっても、代わりの人材はいない。権威主義社会の誤りは、一人の指導者、あるいは少数の指導者――中国の場合、習近平とその側近たち――の知恵と機転に依存している点にある。

ここに人間の本性が障害となる。周囲の環境は社会を取り巻く形で変容する傾向がある。時代や状況は移ろいやすい。しかし最高指導者を含む人間―移ろいやすいものへの対応が苦手だ。変化に抵抗し、時代の変化に遅れがちになる。時代にそぐわない政策手段を開発したり、正しい手段を開発しても誤用したりする。停滞が蔓延し、国家の偉大さを追求しようとする努力は挫折に終わる。さらに、権威主義的指導者は永遠に生き続けるわけではない。後継者は別の優先事項を抱くかもしれない。前任者の政策は放置され衰退するかもしれない。

だからこそ、変化をどう乗り切るかが、開放社会と閉鎖社会の競争の核心だ。ルネサンス期の政治家哲学者ニッコロ・マキャヴェッリをはじめとする論者は、個人は流動的な時代と共に変化せず、また変化できないとほぼ断言している。

自由社会はダイナミックだ——少なくとも理論上は

これが自由社会に与えられる利点につながる。個人が変化しなくとも、開放社会は時代に対応するために人々を入れ替えられる。マキャヴェッリはローマの例を挙げる。第二次ポエニ戦争でカルタゴからの敗北を免れるため、守備的なファビウス「遅滞者」を任命した。ファビウスは攻撃の機が熟しても攻めに出なかった——繰り返すが、変化は試練である——。そこでローマの有力者たちは彼を引退させ、攻撃的なスキピオ「アフリカヌス」に軍指揮権を委ねた。スキピオは戦線をイタリアから地中海を越え北アフリカへ拡大し、カルタゴを根源から打ち破った。

少なくとも理論上、開放的な社会は権威主義的な対抗勢力よりも柔軟で適応力が高く、変化に歩調を合わせやすい。新たな時代には新たな指導者を選べる。これは開放的な社会を擁護する説得力ある主張となる。

しかしマキアヴェッリや同類の哲学者たちが、個人と体制の本質について誤っていたとしたら?それは憂慮すべき事態だ。活力に恵まれた権威主義社会は、指揮型社会が往々にしてそうするように企業活動や革新を萎縮させることなく、断固たる行動を取れるかもしれない。そのような社会は両方の統治様式の長所を兼ね備えるだろう。

海軍作戦部長の諮問委員会の指摘が正しければ、アメリカでは文化改革が急務だ。指導部は政府機関、軍隊、民間産業の機能に活力を回復させ、中国等の競争相手を凌駕すべく最大限の努力をしなければならない。

強いかどうかはともかく、中国海軍は強そうに見える

スティーブ・ウィルズの批判に戻ろう。分解してみよう。道具作りと道具の使いこなしは、海洋戦略の基礎だ。マハンは主張する、海洋戦略の目的は「平時・戦時を問わず、国家の海上権力を確立し、支え、増強すること」だと。彼にとって海上権力として鍛え上げるべき道具とは、国内の工業生産、商船隊と海軍艦隊、そして外国の港湾への商業的・外交的・軍事的アクセスで構成される。

中国が海上権力の鋳造所として自らを再発明した事実は、米国や西側諸国の海上権力復興の試みが行き詰まる中でさえ、真剣な議論の余地がない。中国の世界製造業と貿易におけるシェアは圧倒的だ。中国は世界最大の商船隊海軍沿岸警備隊を構築した。そして経済的寛大さを活用し、世界中の港湾への商業的、外交的、そしておそらく最終的には軍事的アクセスを獲得している。例えば昨年末、習近平総書記はペルーを訪問し、リマ北部に中国が巨額資金を投じた巨大港湾の開港式に出席した。つまり中国のマハン的プロジェクトは、米国の伝統的勢力圏である米州にも足場を築いたのだ。

見事な手腕だ。

さて、スティーブが指摘するように、中国が米国やその同盟国に対して「道具の使い手」としてどれほど効果を発揮するかは、結論がまだ出ていない。権威主義社会は本質的に、国内世論を毒したり国外での国家の評判を傷つけたりする前に、悪いニュースを消し去ることができる。中国人民解放軍海軍(PLAN)もそ苦労を経験してきたに違いないが、党指導部はそれらの影響を弱め、海軍指導部の改善意欲を削ぐことができる。対照的に、米国では悪いニュースが流れると、官僚機構、メディア、一般市民が米海軍含む軍に絶え間ない非難を浴びせる。海上衝突事故造船問題、さらにはSNSに流出した錆びた船体の画像さえも、海軍の名声を傷つけ、この組織が納税者の巨額資金を適切に管理しているか、戦闘で勝利を収められるか疑念を生む。しかし同時に、海軍には改善への強い動機にもなる。

ここにもう一つの重要な点がある。武器の使い手であることが公海上の戦闘に勝つこと以上の意味を持つ。戦いは平時に起こるものではない。どちらの競争者が優れているかを客観的に判断する戦闘がない状況では、評判が全てだ。つまり、平時の戦略的競争は国内外の有力な観察者の心の中で行われる。中国が見かけ上、相手より優れているように見える場合、その評判が客観的な指標で裏付けられていなくとも、見かけから実際の政治的利益を得られる。ここで、PLANが決定的な優位性を発揮する。それは見かけ上、台頭しつつある勢力に映るからだ。競争が海上戦闘に発展した場合、見かけ上勝利する可能性が高い勢力のように映る。相対的な優位性の認識には結果が伴う。人間の本性として、人々は強い競争者に集まり、弱い競争者から遠ざかる傾向がある。敗北が予想される勢力と運命を共にし、敗北の代償を分かち合うことを好む者は皆無といってよい。戦争に至らない対決では大多数の観察者が戦闘で勝利すると判断した側が「勝利」する傾向にある。その判断が正しかろうが誤っていようが彼らの意見は等しく重要だ。

要するに、戦闘能力は海事活動の一部に過ぎない。共産党指導部は、評判が戦略的・政治的利益をもたらすことを理解している。だからこそ北京は、イメージ構築とイメージ管理に24時間365日、休むことなく全力を注いでいるのだ。考えてみれば、党指導部が平時の海洋競争を精緻に見据える姿勢は、権威主義的ダイナミズムのまた一つの現れだ。■

著者について:ジェームズ・ホームズ

ジェームズ・ホームズは、海軍戦争大学校のJ.C.ワイリー海洋戦略講座教授、ブルート・クルーラック革新・未来戦争センターの特別研究員、ジョージア大学公共国際問題学部の客員研究員である。元米海軍水上戦闘艦艇将校であり、第一次湾岸戦争の戦闘経験者である。戦艦ウィスコンシンでは兵器・機関担当将校を務め、水上戦闘将校学校司令部では機関・消火訓練教官、海軍戦争大学では戦略学の軍事教授を歴任した。タフツ大学フレッチャー法律外交大学院で国際関係学の博士号を取得し、プロビデンス大学とサルベ・レジーナ大学では数学と国際関係の修士号を取得している。ここに表明された見解は彼個人のものである。


Is China’s Defense Industry Actually Outcompeting the United States?

November 13, 2025

By: James Holmes

The People’s Liberation Army Navy might not actually be able to beat the US Navy in the Indo-Pacific. But if it looks like it can, China will reap strategic benefits.


2025年3月14日金曜日

トランプ大統領の「造船業を再び偉大に」命令で米海事産業の全面的な見直しを要求(USNI News)

 


2025年2月22日、演説するドナルド・トランプ大統領。 ホワイトハウス写真


ランプ政権は中国の造船能力に追いつくため、米国の商業・軍事海事部門を政府全体で抜本的に見直すことを望んでいることがUSNI Newsが入手した文書草案でわかった、

 2月27日付の大統領令草案では、アメリカの海事産業を刷新するため、今後6ヶ月で海事行動計画を作成するよう、政権高官に求めている。

 「米国は常に海洋国家であったが、今日、中国の造船部門は不公正な非市場慣行によって世界市場で優位な地位を確立しており、米国造船業の200倍以上の能力を生み出している」と、大統領令草案に添付されたホワイトハウスのファクトシート草案に書かれている。

 この命令は、ホワイトハウスの国家安全保障会議(NSC)内に海洋産業基盤室を新設し、この取り組みを主導する。トランプ大統領は火曜日の夜、議会での共同演説の中でこの新しいオフィスを発表した。

 「国防産業基盤を強化するため、商業造船と軍用造船を含むアメリカの造船産業を復活させるつもりだ。そのために、私は今夜、ホワイトハウスに造船部門を新設し、この産業を本来あるべきアメリカに帰還させるための特別な税制優遇措置を提供することを発表する」とトランプ大統領は語った。

 「かつては多数を建造していた。今はあまり作っていないが、すぐにでも作るつもりだ 大きな影響が生まれるだろう」。

 草案によれば、米通商代表部や国防総省、商務省、国務省、運輸省、国土安全保障省の各長官を含む複数の閣僚は、EOが署名されてから6ヶ月以内に、トランプ大統領に海事行動計画を提出しなければならない。

 LinkedInのアカウントによると、この取り組みを推進している中心人物に元議員会スタッフで現在は大統領特別補佐官兼海事・産業能力担当上級部長を務めるイアン・ベニットと、同じく元議員会補佐官で現在は海事・産業能力担当部長を務めるキャメロン・ハンフリーがいる。

 海事行動計画には、中国の「海上物流と造船部門に対する不当な標的設定」の調査、今後9年間の造船資金優遇プログラムに資金を投入できる海事安全信託基金の創設、造船投資を促進する海事機会ゾーンの創設など、幅広い項目が含まれる。

 「世界をリードする経済大国、地政学的大国として、米国は柔軟な資金源を必要としている-政府系ファンドのようなものだが、それとは異なるものとして提案では、関税と税金を基金設立に充てる」。

 また、大統領令の文言によれば、国土安全保障省は外国貨物に港湾維持税を課し、メキシコまたはカナダで外国貨物を積み降ろす運送業者が関連料金とさらに10%の手数料を支払うことを証明するよう求めている。

 「国土安全保障省長官は、すべての外国貨物に対し、米国入国港での税関・国境警備隊(CBP)の手続きをクリアし、該当するすべての関税、税金、関税、手数料、利子、その他の料金を徴収することを義務付けるため、直ちに行動を起こすものとする」と、大統領令草案は述べている。


草案によると、海洋行動計画には、取得プロセスを見直す提案も含まれる。 億万長者イーロン・マスクが指導するDOGE政府効率化省は、トランプ大統領が大統領令に署名してから3カ月以内に見直しを開始しなければならない。 DOGEは国防総省と国土安全保障省の両省の取得プロセスを評価し、より良い調達方法の青写真を大統領に示すことになる。  ファクトシートによれば、DOGEは「特に説明責任を果たしていない海軍の要件担当官」を評価しなければならない。

 この命令はまた、潜水艦のコスト上昇に対処するために海軍が作成したSAWSとして知られる造船所の説明責任と労働力支援案と同様の文言も含んでいる。具体的には、ホワイトハウスの文書では、海軍が「既存の資金を使った革新的な契約変更によって、原子力造船所の労働者の賃金を引き上げる」ことを求めている。

 この文言は、海軍が昨年提出したSAWS提案と同じである。 バイデン政権の行政予算局はSAWSを却下した。一方、議会は、2025会計年度国防授権法に付随する共同説明文の文言で、海軍の提案に関する透明性の欠如を批判し、SAWSを棚上げにした。

SAWSの下では、海軍は契約未了の潜水艦のために資金を前倒しすることができ、潜水艦製造会社のジェネラル・ダイナミクス・エレクトリック・ボートHIIニューポート・ニューズ造船は、造船所で働く人々の賃金を上げることができる。また、造船所全体で働くクレーンオペレーターや監督者のような従業員には別の資金プールを設ける一方で、配管工や溶接工含む職種の賃金を費用に上乗せすることもできる。

 HIIとジェネラル・ダイナミクスそれぞれの広報担当は、USNIニュースの取材で報告書草案についてコメントを拒否した。

 この大統領令は、潜水艦、無人システム、水上艦プログラムの遅延とコスト増を評価するため、45日間の新たな造船レビューを開始するものである。この見直しの要求は、カルロス・デル・トロ前海軍長官が、海軍の主要な造船計画のほとんどが予定より遅れていると結論づけた45日間の造船見直しの結果を発表してほぼ1年後に出された。

 この提案には、外国の影響、国内の造船、米国の作戦、港湾活動など複数の要因が絡んでいると、元米軍輸送司令部の海兵隊員で、現在はキャンベル大学の歴史学教授を務めるサル・メルコリアーノは言う。

 メルコグリアーノ教授はUSNIニュースに対し、「今、私たちが目にしているのは、海運に影響を与える法律や大統領令、関税の乱発だ。

「すぐに影響が出るものもあれば、短期的、中期的に影響が出るものもある。海運業界ではその影響を見極めようとしています。そのため、この市場がどのようになるのか、多くの......疑念が生まれています」と彼は続けた。 「COVIDのサプライチェーンからフーシ派まで、この4年間と何ら変わりはない。しかし、米国事業者にとっては、これはチャンスの瞬間となる。

 メルコグリアーノは、過去50年間で海運が最も注目されていると語った。当時のリチャード・ニクソン大統領は、1970年に商船法に署名し、政府が民間造船会社やオペレーターに融資を行うことで、米国商船隊再建のインセンティブを与えた。■


Trump’s ‘Make Shipbuilding Great Again’ Order Calls for Wholesale Overhaul of U.S. Maritime Industry

Mallory Shelbourne

March 5, 2025 5:06 PM - Updated: March 5, 2025 11:28 PM

https://news.usni.org/2025/03/05/trumps-make-shipbuilding-great-again-order-calls-for-wholesale-overhaul-of-u-s-maritime-industry


2025年2月27日木曜日

ホームズ教授の視点:シーパワーは海軍だけではない(The National Interest)―米国に真の海洋戦略を統合調整する機能が必要で、デル・トロ前海軍長官の構想を維持発展させるべきだ

 




ワイトハウスは、海洋戦略に関する米国政府全体の取り組みを管理する権限を持つ上級監督官を国家安全保障会議(NSC)内に任命すべきだ。

 「私は前任者と違う」と主張するのは政策ではない。 いずれにせよ、あまり良い方針ではない。しかし、ワシントンDCの新任者は、自分自身をそのように表現する傾向がある。特に1月20日に政党間で政権が交代した場合はそうだ。

 ジョー・バイデン前大統領の海軍長官であったカルロス・デル・トロは、共和党が敵対する民主党から政権を引き継ぎ、バイデン政権の政策との差別化を図るとしても、本人の遺産を歴史のごみ箱に押し込めるべきではない政治任用者である。

 海軍大学校を卒業し、米海軍駆逐艦艦長であったデル・トロ長官は、海軍の技術面で注目すべき発展に大きく貢献した。 代表的な業績としては、「TRAM」と呼ばれる、兵站艦が駆逐艦のミサイル発射サイロに洋上で再装填できるシステムがある。 以前は、駆逐艦は戦闘地域から撤退し、再装填のために港に戻らなければならなかった。これでは、かなりの時間、戦闘から離脱することになる。 再装填で、艦は戦闘地域と戦闘に参加し続け、艦隊の戦闘力を必要な場所で必要な時に強化することができる。

 結局のところ、戦闘時の現場でより強くなることがすべてなのだ。 TRAMは、戦略的にはともかく、作戦的に重要な技術革新だ。しかし、デル・トロはもっと大きなことにも関心を寄せていた。"新国家海洋国家戦略 "と名づけた構想を打ち出した。 2023年末のハーバード大学での講演を皮切りに、デル・トロはこの構想を提唱し、残りの在任期間を通じてそれを支持した。本人による定義はこうだ: 「広義の海洋国家戦略とは、海軍外交だけでなく、米国と同盟国の総合的な海洋パワー(商業と海軍の両方)を構築するための国家的、政府全体の努力を包含するものである」。

 筆者は「海洋国家戦略」という言葉がこれまで好きになれなかった。 学術的で難解で、大衆の心に響かない。信じられない? 行きつけのパブに行ってビールを注文し、隣人に定義を尋ねてみてほしい。 彼はできないかもしれない。 われわれのような代議制の共和制国家では、頭でっかちでは政治的な熱狂も長続きもしないだろう。

 それは問題だ。

 しかし、用語が圧倒的であったとしても、デル・トロが考えていたことは圧倒的に重要であり、トランプ大統領の時代、そしてそれ以降も継続すべきものだ。 デル・トロ長官は、国家文化を本来あるべき海運業に戻そうとしたのだ。かつて海水はアメリカの血管を貫いていた。 米国が中華人民共和国のような強大な敵対国に打ち勝つためには、再びそうする必要がある。

 基本的なポイントはこうだ。 海洋戦略とは、国家目的を達成するために海の力を利用する技術と科学である。それは目的と力、目的と手段に関するものである。 海洋国家戦略とは、海に対して戦略的に考え、行動する習慣のことである。それは包括的である。海事用語で考え、米国民を含む官民の多数の国内利害関係者を共通の大義の下に結集させ、その大義に貢献する同盟国、パートナー、友好国を説得する官憲の習慣を指す。要するに、政府、社会、軍隊は、政府、学界、シンクタンクのホールを支配していたオピニオンメーカーたちが、海軍の脅威は永遠に打ち破られ、晴れやかな高地が待っていると自分たちに言い聞かせていた冷戦後に忘れてしまったものを再発見しなければならない。 歴史は終わった。 経済のグローバル化が未来だったのだ。

 米国が中国、ロシア、そしてユーラシア大陸周辺にいる、そのような屁理屈をこねる輩と対決するためには、そのような誤った意識を払拭することが何よりも重要なのだ。

 しかし、意識を正すことがすべてではない。 海洋国家運営の成功は、当然の結論とは言い難い。アメリカは海洋国家だが、真の海洋戦略がない。 率直に言って、分権化された連邦制度のもとで、海事事業全体を担当する者はいない。連邦政府内でも責任と権限は分断されている。 国防総省の2つの異なる部門である米海軍と海兵隊は、数十年にわたって海洋戦略と称する文書を発表してきた。現在は国土安全保障省の一部となっている沿岸警備隊も最近加わり、三部構成の "海軍サービス "という概念が生まれた。

 そしてそれは、やるだけの価値があった。 アメリカは "ナショナル・フリート"を配備していると自負している。戦術的、作戦的、戦略的に最大限の利益を得るために、海上サービスは一体となって行動すべきである。しかし、過去の文書はせいぜい部分的な海洋戦略だった。それらは、武装した米国の海兵隊が大海原でどのようにビジネスを行うつもりなのかを説明するものだった。 海軍力を行使するためのものだった。

 しかし、デル・トロがハーバード大学で述べたように、戦争に集中すると、多くが見えなくなってしまう。 実際、海戦ではなく商業こそが、海事の監督者や実務者にとっての王道であり、またそうあるべきなのだ。 その社会の貿易に対する文化的傾向こそが、大洋に乗り出す適性を決定する最大の要因であるとした。富の追求は "国民性"の一部なのだ。  マハンは、「交易の傾向は、必然的に交易のため何かを生産することを伴うものであり、海洋力の発展にとって最も重要な国民的特性である」と書いていた。 海洋社会にならんとする国もまた、海洋事業に長けていなければならなかった。"シーパワーが本当に平和的で広範な通商に基づくものであるならば、商業的な追求に対する適性は、一度や二度は海の上で大国となった国々の際立った特徴に違いない。"

 言い換えれば、シーパワーには海軍(あるいは海兵隊や沿岸警備隊)以上のものがあるということだ。 手段は必要だ。 国内産業は、外国の顧客のニーズとウォンツを満たすため、外国の顧客に販売する商品を製造する必要がある。 造船業は、これらの商品を輸送する商船隊を建造する必要がある。 シーパワーとは、商品を製造し、輸送し、海外の買い手に届け、貿易から収益を得て、それによって商船隊を守る海軍の資金を得るサプライチェーンだと考えればよい。 シーパワーは、商業、外交、海軍の好循環を生み出す。

 要するに、海軍は海洋戦略を遂行するために必要ではあるが、十分とは言い難い手段なのである。 問題は、米国の海洋事業、特にその商業・産業機能の大部分が、国防総省や国土安全保障省の管轄外の部門にあることだ。一部は運輸省やその他省庁にある。 エレクトリック・ボート、バース鉄工所、その他の造船所など、多くは民間の手にある。アメリカには、繁栄、安全保障、武力というマハン的な目的のためこれらすべてを調整する包括的な海洋戦略が欠如している。

 また、開発する見込みもない。

 それでも、ワシントンの政治的リーダーシップは、高海域での追求に協調的なアプローチを近似させることができる。 それこそがデル・トロの海洋国家戦略が求めるものであり、トランプ政権がそれを受け入れるべき理由である。 ホワイトハウスは、国家安全保障会議(NSC)内に設置される上級監督官を任命し、その人物または人々に、海底に関連する米国政府の取り組みを管理する権限を与える。そのような監督官は、シーパワーの素地となる民間企業と提携を結ぶことができる。 また、米国で枯渇した海洋インフラを補うため外国企業に手を差し伸べることもできる。

 海洋戦略の実行者は、道具の使い手であると同時に、同盟の構築者でなければならない。このすばらしい新世界でカルロス・デル・トロの遺産は、守り、発展させる価値がある。■


Seapower Is More Than Just The Navy

February 2, 2025

By: James HolmesBlog Brand: The Buzz

Region: Americas

Tags: Alfred Thayer Mahan, Maritime Strategy, Seapower, Secretary Of The Navy, and U.S. Navy

https://nationalinterest.org/blog/buzz/seapower-is-more-than-just-the-navy


James Holmes is J. C. Wylie Chair of Maritime Strategy at the Naval War College and a Faculty Fellow at the University of Georgia School of Public and International Affairs. The views voiced here are his alone



2024年11月11日月曜日

中国海警の大型巡視船2隻(海軍フリゲート艦の派生型)の遠洋航海は沿岸警備の新しい任務を反映している(War On The Rocks)―第二海軍として拡大解釈による海域で中国権益を守る姿が今後展開されそうだ

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国海警局の巡視船「眉山」Meishanと「秀山」Xiushanが35日間にわたる展開を終え10月17日再び戻ってきた。両艦は東シナ海から日本海、北太平洋、ベーリング海、最終的に北極海へと進出した、。

今回の派遣は、ロシア海上国境警備隊との二国間協定の一環で行われたもので、中国国内では主に2つの理由でニュースとなった。ともに大げさな表現である。両国の沿岸警備隊が合同パトロールを実施したのは初めてであり、中国海警局が北極海で活動したのは初めてとなった。2つの画期的な出来事は、中ロ関係が深まっていること、北京が北極圏で活動を拡大していること、といったわかりやすい物語を想起させるものであり、中華人民共和国政府が物語を大いに後押ししている。

しかし、眉山と秀山両艦の航海は、さらに重要な別の画期的な出来事であった。中国海警局が「外洋」での準軍事作戦を実施したのは初めてのことだった。任務部隊の編成(改良型フリゲート艦)、その指揮(現役海軍士官)、そしてその活動の機密性は、いずれも過去の管轄外における沿岸警備隊のパトロールと異なっていた。これらの事実と、中国がこの任務をどのように位置づけているかを併せて考えれば、この派遣を海外における自国の利益を守り、拡大するための作戦と北京が見なしていることが示唆され、それは「白」(沿岸警備隊)というよりも「灰色」(つまり海軍)である。

次に、眉山・秀山は、ロシアのP. KamchatskiyとKamchatkaの2隻を伴い、北太平洋で合同パトロールを実施した(9月21日~27日頃)。中国側の報告によると、彼らは作戦を「公海」にほぼ限定した。公海とは、国家の管轄権が及ばない海域を指す法律用語である。そこへ向かうため、艦船は日本海とオホーツク海を通過した。北太平洋に滞在中、合同任務部隊は消火・被害制御訓練と、海難訓練を実施した。

最後に、タスクフォースは北極圏へ北上した(9月27日~10月1日)。この間、ベーリング海、ベーリング海峡、チュクチ海を通過した。艦船は北極海には長く留まらなかった。9月28日、米国沿岸警備隊がベーリング海峡の南の入り口であるセントローレンス島の南440マイルの地点で、北極海に向かう艦船を発見した。しかし、10月1日にはすでに任務を終え、海峡を通って南下していた。それからおよそ2週間後、艦船は浙江省舟山に帰港した。ロシアの艦船とどの時点で別れたのか、また、どのような経路で帰港したのかは不明である。

海軍艦船、海軍司令官、そして海軍の機密性

この作戦のために、中国海警局は姉妹組織である人民解放軍海軍から多くを借用した。まず、眉山Meishan(2303)と秀山Xiushan(2305)は、中国海軍のフリゲート艦054A型をベースに設計された818型哨戒カッターに属する。818型と054A型は同一ではない。ミサイルや関連戦闘システムは搭載していない。甲板にも、フリゲート艦には必要のない装備が散りばめられている。とりわけ、中国海警局が南シナ海でベトナム人やフィリピン人船員に対して壊滅的な効果を発揮している強力な放水砲がある。

それでも、818型は054A型特有の能力を保持している。おそらく、この2つのクラスはディーゼルとディーゼルの複合動力装置を搭載しており、これはつまり、眉山と秀山は優れた持久力と比較的高い最高速度を有していることを意味する。この2つのクラスは主砲も同じ76ミリ砲であり、30ミリ副砲も2つ装備している。054A型と同様、818型も近代的な戦闘情報センターを中心に構成されており、ウラジオストクでの演習中に艦が「総員配置」態勢に入った際に、その画像が公開された。両クラスともヘリコプター運用の設備を備えている。

次に、中国海警局は、タスクフォース司令官に現役の海軍士官、何峰(He Feng)上級大佐を任命した。何峰は、江蘇省海安で高校を卒業後、海軍に入隊した。その後、海軍の大連船舶学院で学士号取得を目指すことが決まった。士官として任官した後、人民解放軍海軍の水上戦闘部隊内で急速に出世した。2012年には、おそらく054A型フリゲート艦の艦長となっていた。それから4年後、広東省湛江市で開催された中国・ロシア合同演習「Joint Sea-2016」において、彼は敵部隊(「ブルー」)軍の参謀長を務め、その任務に対して所属部隊(第6駆逐艦隊第91991部隊)から表彰を受けた。翌年、何峰は、054A型フリゲート艦2隻と補給艦1隻で編成された第26アデン湾護衛任務部隊の参謀長として海上勤務に就いた。

何峰は、困難な改革の渦中にあった海軍を強化するために配属された数人の優秀な士官の1人として、2018年か2019年に沿岸警備隊に異動した可能性が高い。彼の元上司である第26護衛任務部隊司令官の王仲才(Wang Zhongcai)少将は、中国海警局局長に任命されており、彼を個人的に選んだ可能性がある。2024年3月現在、何峰は、眉山と秀山を所有する中国海警局第2直属局の法執行部部長を務めていた。

最後に、この中国海警局の展開は、その秘密主義の度合いにおいて前例のないものであった。これは様々な形で現れた。ベーリング海峡を南下した短い期間を除いて、船舶は自動識別装置による位置、方位、速度を送信しなかった。これは標準的な慣行と異なる。東シナ海や南シナ海の最も機微な海域で活動する際には、沿岸警備隊は自動識別信号を送信することが多い。政府船舶として国際条約でその義務が定められているわけではないが。さらに、沿岸警備隊の巡視船は、北太平洋での漁業パトロールを実施する際には、常に自動識別信号を送信している。これに対し、海軍は、おそらく作戦上の機密保持のため、これらの信号を送信することはない。今回も、おそらくは同様の配慮があったものと思われる。

さらに、この任務については中国メディアが大きく報じていたにもかかわらず、沿岸警備隊は二国間パトロールの目的地についてほとんど手がかりを提供しなかった。例えば、北極海へ向かう計画を公表することはなかった。沿岸警備隊は、太平洋北部の公海をパトロールするという任務部隊の意図を明らかにしたが、この広大な海域のどこで艦船が活動するのかについては何も示唆しなかった。環球時報は、張軍社海軍大佐のコメントを引用し、任務部隊がベーリング海まで北上する可能性を示唆したが、北極海に展開するという確かな予測はなされなかった。

海軍としての任務

重要な点において、眉山・秀山部隊の任務は、沿岸警備隊というよりも海軍の作戦に似ている。一般的に、海軍は、主として(ただし、排他的ではないが)外国の軍隊による脅威や行動に対抗して、自国を防衛し、自国の利益を推進するために存在する。一方、沿岸警備隊は、主に非国家主体に対する国内法執行と海上での人命の安全確保を任務としている。任務には重複がある。実際、小国の中には両方の機能を果たす海上部隊を保有している国もある。しかし、通常、特に大国の場合、基本的な役割分担が存在する。

大型の海洋哨戒艦を保有する沿岸警備隊は、自国の法的管轄権を超える海域で任務を割り当てられる場合がある。米国沿岸警備隊のシップライダー・プログラムはその一例である。二国間協定に基づき、このサービスは、資源に制約のあるパートナー諸国が排他的経済水域における法の執行を行うのを支援するために、現地の法執行担当者を犯罪行為が疑われる現場に実際に移送する。米国沿岸警備隊はまた、公海での流し網漁を抑制することを目的とした地域漁業協定の施行も行っており、その対象には北太平洋も含まれる。中国も同様に、「沿岸警備隊法」に、沿岸警備隊が中国の管轄外の水域で国際協定で認められている範囲内での法執行任務を遂行することを認める条項を設けている。

公には、中国海警は、二国間パトロールの北太平洋部分を漁業パトロールと位置づけている。二つの沿岸警備隊は、国連決議(46/215)および地域公海漁業管理条約に基づき、「公海漁業秩序の積極的な保護」を行っている。この目的のため、任務部隊は漁船を「検査」したとされる。しかし、、中国海警は、これまでの北太平洋漁業取締り活動で常に提供してきたような、裏付けとなる画像や情報を一切提供していない。

さらに、その高い能力にもかかわらず、漁業取締りが主目的であるならば、818型は北太平洋のパトロールに最適な船ではない。毎年夏になると、中国海警は北太平洋の公海上の漁場をパトロールする部隊を派遣しているが、818型を選んだことは一度もない。代わりに、5,000トンの「長山(6501)」のような大型多目的な船、あるいは3,500トンの「石城(6306)」のような漁業取締専用の船を選んでいる。この2隻は、眉山・秀山が北太平洋漁業パトロールに出発した際、45日間の北太平洋漁業パトロールから戻ったばかりであった。

他の声明では、この任務は海軍の作戦と関連して考えられたものであることを示唆している。 眉山艦長であるフェン・ミンミン(冯明明)大佐は、北太平洋でのパトロールは「(中国海警局の)権利保護法執行任務の意義を確実に拡大した」と宣言した。これは、少なくとも一部において、海警局は、この地域における中国の権益の保護を目的としていることを示唆している。実際、「権利保護の法執行」という用語は、中国専門家が東シナ海や南シナ海の係争水域における中国の領有権主張のための海上行動を表現する際に、長年使用してきたものである。おそらく初めて、少なくとも公の場では、沿岸警備隊がこの概念を管轄外の海域への展開に適用したことになる。

中国現代国際関係研究所の海洋専門家、ヤン・シャオ(杨霄)氏も、なぜ眉山・秀山が今回の任務に選ばれたのかと尋ねられ、同様の発言をしている。同氏の見解では、その理由は排水量が大きいことであり、それによって「長期的な海上プレゼンス」を維持でき、「多様な戦術的用途」が可能になるという。最終的に、818型は「(中国海警局が)海洋権益保護のための中・長距離パトロールを行う際に優先する艦艇タイプ」となった。

中国国内のソースは、どの「権利」を守るため今回派遣されたのかを特定していない。しかし、北太平洋漁業秩序に重点を置いていることから、北京は太平洋における中国の遠洋漁船団の特権を守る姿勢を示しているのかもしれない。2024年初頭、バヌアツの排他的経済水域で違法操業の疑いがある中国漁船に米国沿岸警備隊の職員が乗り込んだ事件に、中国の外交官が激しく反応したことを思い出してほしい。

北極圏でのパトロール中、これらの船舶は、潜在的に価値の高いシーレーンへの中国のアクセス権を主張していた可能性がある。これは、別の声明で、ヘ・フェン(He Feng)部隊司令官が示唆したことである。船舶が北極圏に到着した後のインタビューで、ヘ司令官は「北極海での活動を通じて、沿岸警備隊は地域の海上輸送を保護する能力を示した」と宣言した。もちろん、商業保護は典型的な海軍の任務である。

第二の海軍として海外へ

2014年、中国海警局の設立後のインタビューで、呉壮(ウー・ジュアン)という名の幹部が、自身の組織の将来について語った。彼の考えでは、海警局と海軍の間には明確な役割分担がある。海警局は「国土を守る」ことで、海軍が海外で「主要な国際任務」を遂行することを可能にする。9月から10月にかけてのロシアとの合同演習は、呉のビジョンが時代遅れであることを示唆している。中国政府は、沿岸警備隊を「遠洋」海洋法執行機関に強化する権限を与えており、この傾向は北極海に留まらないことは明らかである。

梅山/秀山任務部隊の展開を詳細に分析すると、海外任務では、沿岸警備隊は姉妹機関の人民解放軍海軍から多くを借用することが示唆される。沿岸警備隊は、この二国間任務を遂行するために、すでに北太平洋で成功を収めているものも含め、数十隻の専門哨戒艇のうちのどれでも派遣することが可能であった。しかし、代わりに海軍の最新鋭フリゲート艦をモデルに選んだ。この任務で、沿岸警備隊は、海上法執行に数十年の経験を持つ沿岸警備隊士官を指揮官として選ばず、代わりに、現役海軍士官を選んだ。最後に、ほとんどの沿岸警備隊の派遣と異なり、海軍の派遣と同様に、この任務には高度な作戦上の機密性が課せられた。巡視船団は自動識別装置信号を発信せず、また、沿岸警備隊も北太平洋における任務遂行海域や、北極海への進出の意図さえも明らかにしなかった。

また、梅山/秀山任務部隊に関する中国の報道では、沿岸警備隊が、少なくとも一部は、通常海軍の任務と関連付けられる用語を使用して展開を計画したことも明らかになっている。沿岸警備隊が、北太平洋のパトロールは地域の漁業秩序の維持を目的としていると主張していると仮定しても(かなり思い込みの強い仮定だが)、他の表現は、はるかに狭い目的を示唆している。すなわち、この海域における中国の海洋権益を保護することである。これは、沿岸警備隊が東シナ海および南シナ海戦略の主要概念を、遠洋任務に拡大適用していることを明確に示している。

要約すると、北京は、中国の海外権益を保護する手段として、沿岸警備隊を海外に派遣することを決定したようだ。これは、威嚇的ではないが、依然として非常に強力な海軍のバージョンである。権益が他国と衝突する場合、北京は第二海軍として海警を行使するだろう。■

11月11日NHKによると中国政府は、フィリピンと領有権を争う南シナ海のスカボロー礁について、領海を示す根拠となる「領海基線」を一方的に発表した

Ryan D. Martinson is a researcher in the China Maritime Studies Institute at the U.S. Naval War College. The views expressed in this article are the author’s alone and do not reflect the assessments of the U.S. Navy, U.S. Department of Defense, or any other U.S. government entity.

The Voyage of the Meishan and Xiushan: China’s Template for a Blue-Water Coast Guard

Ryan Martinson

November 4, 2024


https://warontherocks.com/2024/11/the-voyage-of-the-meishan-and-xiushan-chinas-template-for-a-blue-water-coast-guard/