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2018年2月1日木曜日

USSフィッツジェラルドの大修理は本国で工期2年間

 



Navy Destroyer Damaged in Collision Will Take 2 Years to Fix (But Will Get Massive Upgrade) 衝突で損傷を受けた海軍駆逐艦の修理に二年間必要(だが大幅改修も同時に受ける)





January 24, 2018


昨年民間商船との衝突事故で損傷したアーレイ・バーク級駆逐艦USSフィッツジェラルド(DDG-62)はミシシッピ州パスカグーラで修理に入る。横須賀から大型運搬船MVトランシェルフに乗せられパスカグーラに1月19日に到着した。


「フィッツジェラルドはパスカグーラ港で運搬船から降ろされ、海面に移動する」と海軍海上システムズ本部(NAVSEA)が説明している。「その後ハンティントン・インガルス工業造船所内に移す」


修理には相当の工期が必要となるので海軍は乾ドック内で同艦の近代化改修も行う。「復帰作業が広範囲で複雑なため修理期間を活用して船体機械電気関係、指揮統制通信コンピュータ情報関連、戦闘システム関連に加え電子戦装備、レーダー、配電、ガスタービン発電、空調で修理交換を行う」とNAVSEAは述べ、「2019年度に予定されていた改修を今回実施する」


工期はほぼ二年間となる。「2018年に陸上施設で作業を進め、2019年上半期までかかる見込みでその後テスト公試をしてすべての作動を確認し作戦能力を認定する」「復元改修作業の工期は24か月と見ている」(NAVSEA)
ここまでの時間がかかるのは同艦の受けた損傷が大きかったためだ。2017年6月7日、日本近海でフィリピン船籍ACXクリスタルと衝突した。同艦乗員7名が死亡し、フィッツジェラルド右舷上部と喫水線下が大きく損傷した。事故の遠因として乗員が過労気味なうえ艦上訓練に問題があったとされ、艦長は責任を問われている。


海軍は訓練内容の改善とともに乗員の過剰な任務の緩和をはかるが、改善効果が出るのは相当先なので当面の対策も必要だ。■
Dave Majumdar is the defense editor for The National Interest. You can follow him on Twitter: @davemajumdar.

報道はありませんが、本件の補償問題はどうなったんでしょうね。海軍法務部が統一軍法典で処理するのでしょうか。それとも民事交渉? フィリピン船籍ですが日本郵船がからんでいますね。

2017年9月26日火曜日

フィッツジェラルド修理の工期は1年超、マケインはやや短期で完了か

あれあれ修理費用を米海軍が工面するということは事故は民間側の過失はなかったと判断しているのでしょうか。一方でお伝えしているようなサイバーテロの可能性もあり別途海軍が慎重に調査しているそうですが、イージス艦のローテーションも当面大変になり色々これから疲労が増えそうな気配ですね。

USS Fitzgerald Repair Will Take More Than a Year; USS John S. McCain Fix Could Be Shorter

USSフィッツジェラルドの修理工期は1年超、USSジョン・S・マケイン修理はそれより短くて完了か

USS フィッツジェラルド (DDG-62) が横須賀艦隊拠点基地(FLEACT)4番乾ドックに入っていた。July 11, 2017. US Navy Photo

 By: Sam LaGrone
September 20, 2017 5:48 PM • Updated: September 21, 2017 7:16 AM
THE PENTAGON – 損傷を受けた誘導ミサイル駆逐艦USSフィッツジェラルド(DDG-62) の修理には一年以上の工期となるが、USSジョン・S・マケイン (DDG-56) はそこまでかからない見込みと海軍長官リチャード・V・スペンサーRichard V. Spencer が発表した。
  1. スペンサー長官は報道陣を前に両艦の修理は高い優先事項で合わせて17名が商船との衝突で失われていると指摘。
  2. 「フィッツジェラルドは一年以上かかる。マケインの調査結果は出ていないが、もっと早く修理できるとよいと思う。同艦の場合は戦闘システムが損傷をうけていないからだ」「いうまでもなくマケインとフィッツはなるべく早く復帰させたい」
  3. 両艦は前方配備戦力として日本に駆逐艦戦隊15の一部となっていた。7隻で構成する同戦隊DESRONはレーガン空母打撃群の支援に加え弾道ミサイル防衛の一部として米国の同盟国や域内の装備を守っている。
  4. スペンサー長官の示した工期見積もりは上院軍事委員会委員長ジョン・マケイン(共、アリゾナ)が修理費用は合計6億ドルとの見解を示した翌日のものだ。海軍関係者もUSNI Newsの初期見積もりを確認したが両艦の詳細調査により金額は前後するという。
  5. 海軍筋はUSNI NewsにACXクリスタルと日本沖で6月17日に衝突したフィッツジェラルドの修理費用は容易に500百万ドルを突破すると述べていた。
  6. フィッツジェラルドは重量運搬船で搬送しハンティントン・インガルス工業のガルフコースト造船所で修理を受ける。
  7. 海軍が損傷した同艦の戦闘システムをベイスライン9標準に引き上げBMDミッションと対空対巡航ミサイル防衛を同時に実行する能力を付与する予定なのかまだ不明だ。
  8. フィッツジェラルドの就役は1995年で2019会計年度に中間リフレッシュ工事を艦体、機械エンジニアリング系に行う予定だったがベイスライン9改修は予定がなかったとUSNI Newsが入手した誘導ミサイル駆逐艦近代化改修工事予定一覧からわかる。
  9. 8月にUSNI Newsが請求した修理工事の追加情報は海軍海洋システムズ本部に提出したが返答がない。
  10. 他方、マケインは横須賀海軍基地に向けシンガポールから移動の予定で日本で追加修理評価を受けてから海軍は同艦の修理場所を決める。
  11. スペンサー長官によれば修理費用の捻出方法はまだ決まっていないという。
  12. 「予算の想定外の出費のため議会にかけあわなくてはならないだろう」(スペンサー長官)■

2017年8月30日水曜日

★★米駆逐艦事故は中国の電子攻撃が原因との見方広がる



ついに中国の名前が出てきました。ハッキング説はトンデモ理論として日本では黙殺されていますが、米軍を「危険」としておく方が都合がよい勢力にとって良い状況です。米軍艦をハッキングしなくても防御の緩い民間船を乗っ取れば旅客機や大型トラック同様に恐ろしい攻撃が可能となるのですが。


The US Navy guided-missile destroyer USS John S McCain is seen after a collision, in Singapore waters August 21, 2017. Photo: Reuters/Ahmad Masood
事故直後のUSSジョン・S・マケイン。August 21, 2017. Photo: Reuters / Ahmad Masood

Ship collisions raise specter of Chinese electronic warfare

衝突事件に中国電子戦の関与の疑い

By BILL GERTZ AUGUST 29, 2017 12:39 PM (UTC+8)
  1. 中国は艦船、航空機、ミサイルの機能を電子的に妨害する高度能力を整備し、人民解放軍(PLA)が将来の対米戦でこれを利用するのは確実だ。
  2. 立て続けに発生した米海軍艦船と民間商船の衝突事故で背後に中国がいるとの観測が生まれており、電子手段でレーダー・航法装置を妨害し衝突させたと主張する軍事専門家がいる。
  3. ジャマー、妨害装置、サイバー手段で中国は世界最先端の装置を開発しており、電子装置で原因不明の誤作動や自損事故を起こさせられる。
  4. 今年7月30日、最新鋭電子戦装備が内蒙古でのPLA軍事パレードに参加した。中には敵防空網のレーダー、通信の妨害、地上通信かく乱用の装備があった。
  5. 「電子戦は今や戦闘の中核手段だ」と新華社で中国電子戦の中核主導者Wu Yafeiが語っている。「新型電子戦装備導入でPLAの作戦能力は大幅に引き上げられた」
  6. 2015年にはPLAは電子戦部隊、サイバー戦部隊を統合し戦略支援軍を編成した。
  7. 中国の軍事文献では電子戦関連が多数あり、2012年の論文ではPLAの「海上狼群」整備を分散型電子戦体制として敵の戦闘群攻撃に使うとしている。
  8. 2011年の中国航空宇宙科学工業公司の論文では「イージス艦対抗装備」を取り上げている。フィッツジェラルド、マケインはともにイージス艦であり、日本、韓国もイージス戦闘艦を運用している。同論文では大量の極超音速ミサイルと電子装備の併用でイージス艦を攻撃すると述べている。
  9. 「イージスへの攻撃は極めて困難だが、精密誘導技術の急速な進展とミサイル技術によりイージス防衛システムも万能とは言えなくなっている」とあり、最後には「イージスシステムが高性能装備であっても無敵の防御手段はありえない」としていた。
  10. 中国は近年では自国周辺の海域すべてでの覇権確立を目指し南シナ海、東シナ海他の周辺海域は中国の海洋主権の適用範囲だと主張し米海軍をアジアから追い出したいのだ。
  11. 連続発生した艦船衝突事故で米海軍関係者から両駆逐艦の電子機器がハッカーで妨害されたのではとの疑いが表明されていたが、実際に妨害があったのか判明していない。調査部門の主流の見方は機械的な故障あるいは乗員の人的ミスだしている。
  12. ただし米海軍作戦部長ジョン・リチャードソン大将は電子防御装備が妨害または欺瞞されていたかも調査するとしている。
  13. 両艦はともに側部を衝突されている。USSジョン・S・マケインは8月21日に石油タンカーとマラッカ海峡で衝突している。USSフィッツジェラルドは日本近海で6月21日にコンテナ船に衝突された。二件で17名の乗員が死亡し、第七艦隊司令長官が罷免された。
  14. まずフィッツジェラルドで疑問が呈された。海軍の中間報告では事故原因の言及がない。フィッツジェラルドは照明を落とした状態で航行していたが最小限の艦内照明はつけていた。当時は「月が比較的明るく」「視認距離は制限なかった」とある。
  15. レーダーも見張り員も衝突前に貨物船を確認できなかったことから電子妨害説が出てきた。そのひとつが貨物船の自動操艦の乗っ取りで衝突コースにさせられたとする。
  16. マケインも同様に衝突時点でレーダー数種類を使っており、当直将校が艦橋にいた。
  17. さらに疑義が出ているのはマケインが数日前に航行の自由作戦でスプラトリー諸島ミスチーフ礁の12カイリ地点を航行し中国の主張に立ち向かっていたことだ。
  18. マケイン事件後に中国外務省報道官Hua Chunyingは米海軍の操艦が危険だと批判していた。「たびたび米軍が発生させている事故で懸念が広がっている。米国は事故を深刻にとらえて適正な措置を取るべきだ」
  19. 米海軍が中国の電子妨害をマケイン衝突事故で疑う背景に事故直前に中国籍船がそばにいたことがある。民間商船の航路追跡データでみると同中国船はマケインに衝突した貨物船に追尾しており衝突寸前に離れている。
  20. 空軍大学で戦略安全保障論の教授デイビッド・ベンソンは中国が軍艦を電子攻撃するリスクを冒すか疑問と述べている。「中国にせよ他国にせよ海軍艦艇をハッキングする明白な動機がない」とWar on the Rocksのブログで述べている。「サイバー攻撃技術は極めて不安定であり、仮に実行犯が駆逐艦を邪魔したとしても平時に実施すれば代償は大きい」
  21. 国際評価戦略センターの上級研究員リック・フィッシャーは中国の動向を研究しておりベンソンに同意しない。
  22. 「中国に米軍をアジアでハッキングしたり事故を起こさせる同機が一切ないとは笑止千万だ。一連の事故で中国が裏で手を引いていたのかいなかったのかと関係なく中国国営メディアは事故を利用し米海軍に『無能』とか『危険』のレッテルを貼り、米海軍への敵意をあおりアジアからの米軍一掃をねらってくるでしょう」
  23. 調査の進展次第で海軍の業務執行状態の改善や訓練増強が必要となるだろうが、軍の立案部は引き続きサイバーや内部反逆者含む中国の各種脅威に備える努力を怠ってはならない。そのほか、新型潜水艦、対艦弾道ミサイルさらに原子力空母戦闘群の出現に備えるべきだ。■

2017年8月25日金曜日

米海軍で相次ぐ衝突事故は某国ハッカーによるものなのか


これが本当なら軍艦の保安体制をいかに強固にしても民間商船を乗っ取れば海軍力を脅かすことができるはずです。商船の数は膨大でかつセキュリティ対策もばらばらなため狙われやすくなってしまいます。米海軍が世界の笑いものだとまで公言してはばからない国があり、まっさきに関与を疑われるでしょう。しかし日本近海でも発生した事案までハッカー集団のしわざとすれば、日本国内に実施能力を有する協力者がいることになります。思い当たる筋はありますが、口だけの反体制派であり、批判がすきなだけの人たちなのでこの説は怪しくなっていますね。


Could hackers be behind the US Navy collisions?

米海軍海上衝突事故の背後にハッカーがいるのか

USSフィッツジェラルドは2017年6月17日に民間商船と衝突事故に巻き込まれた。横須賀海軍基地へ帰港した事故翌日の姿
TYLER HLAVAC/STARS AND STRIPES


 
By ELIZABETH WEISE | USA Today | Published: August 24, 2017


SAN FRANCISCO (Tribune News Service) — 米海軍艦船で相次いで発生した民間商船との海上衝突事故の裏にハッカーがいるのか。専門家の意見では可能性は限りなく低いながら不可能ではないとし、米海軍が調査を開始した。
  1. ツイッターの噂では、衝突事件二件はサイバー攻撃あるいはジャミングが原因だ。今年に入り米海軍関連の事故が連続4件発生しており、うち二件が死亡事故になったが高度なコンピュータ装備を備えた軍艦で航法上の過ちが起こったことから世界規模の米政府へのサイバー攻撃へ懸念が生まれている。
  2. 海軍作戦部長ジョン・リチャードソン大将もツイッターで今週月曜日にサイバー侵入や妨害活動の証拠はないが、「想定できる可能性すべてを検討する」と述べた。
  3. 技術に詳しい専門家の言ではGPSがハッキングされ艦の航法装備が悪影響を受けるシナリオは可能としながら今回の海軍事例で攻撃の証拠はないと強調する。
  4. 「証拠が見つからないため今のところは乗員の不注意が理由と見ていますが、海軍艦艇が警戒していなかったとは思いたくありません」とテキサス大オースティン校のトッド・ハンフリーズ教授が述べている。教授はGPSのセキュリティが専門だ。

米海軍が調査に乗り出す

  1. 今週月曜日にUSSジョン・S・マケインがマレーシア沖合で民間タンカーと衝突し、乗員10名が行方不明、5名が重軽傷となった。6月17日にはUSSフィッツジェラルドが民間貨物船の衝突を受け7名が死亡している。
  2. 海軍は大混乱だ。水曜日にはジョセフ・オーコイン中将が第七艦隊司令長官を解任されて、月曜日に世界規模で艦艇運用を停止し安全点検させ根本原因を探ろうとした。
  3. 航法ソフトウェアの妨害あるいは誤作動を招く技術はすでに存在するが米海軍は強固な暗号化でGPSを使い、妨害は極めて困難なはずとハンフリーズ教授は述べる。
マラッカ海峡の衝突事故でUSSジョン・S・マケインの左舷に生じた損傷。同艦はチャンギ海軍基地(シンガポール)に到達した。
JOSHUA FULTON/U.S. NAVY

  1. 装備を出し抜くには「記録およびリプレイ攻撃」と呼ばれる技術を使うしかないと教授は述べる。つまり衛星経由で海軍艦船に送付される暗号化位置データを記録し少し遅れて記録内容を再生し艦船に指示するのだ。「これで艦船に実際の場所ではない情報を送ることになります」(ハンフリーズ)
  2. これはきわめて高度かつ実施困難なハッキング技術で航法関連のデータストリームを各方面で記録してから二か所以上から信号を送信する。近隣を航行中の艦船が誤った情報を受けとらないように送信は対象艦船のごく近い場所で送信する必要があり、無人機複数を投入することになるはずだ。

GPSハッキングは可能

  1. 非実現性な話に聞こえるが決して不可能ではないとハンフリーズ教授は述べる。2013年に教授は時価80百万ドルするヨットのGPS装備を欺瞞し数百ヤードも航路から外れた場所に移動させ危険性を立証している
  2. リチャードソン作戦部長も二か月未満で二回も「きわめて深刻な事件」が発生したことで「今のままでいいのかと重大な懸念が生まれた」と述べている。海軍はフィッツジェラルド事件の原因は当直乗組員の状況認識の欠如だとする。
  3. 米沿岸警備隊で海上運航装備を統括していたデイナ・ガワードもハッキングが米海軍の海上衝突事故の原因とは見ていない。
  4. 沿岸警備隊で艦長も務めた本人によれば長年の海上航法の経験からとくに交通量が多い地区では衝突につながる単純な過誤が容易に生まれるのだという。「人的エラーが発生しやすい困難な場所」だという。

ロシアのハッキング事例

  1. サイバー攻撃で衝突したと信じる向きは軍組織に能力があると知っているからだ。例としてガワードは悪意ある勢力が商船の非暗号化航法データに目を付け短時間のジャミングで海軍艦艇に向かわせる可能性があるという。あるいはハッカー集団が貨物船のGPSを乗っ取り航路を外すよう指示するという。
  2. 「一方にだけ責任があるはずがない」と英国王立航海大学の学長を務めたデイヴィッド・ラスト教授が述べる。「脆弱な方を攻撃すればいいのです。この場合は民間商船です。実際にそうだったと言うつもりはありませんが、もし自分が実行犯ならそうしますね」
  3. 北朝鮮、中国、ロシアの軍部にGPSジャミング能力があることは知られているとガワードは述べ、GPSのジャミング、欺瞞工作は以前からあり、実際に発生している。
  4. 6月に黒海を航行中の20隻以上の艦船からGPS装備が誤作動し航路より19マイルも外れたロシアのゲレンジック空港を表示したとの報告がある。「あたかも艦船が空港上に駐機している」ようだったとラスト教授がコメントしている。ハンフリーズ教授はこの事件はほぼ全なGPS攻撃事例であり、「今後も発生する」という。■

©2017 USA Today
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2017年7月28日金曜日

USSフィッツジェラルドは相当の高額修理になりそうだ


相当な大修理になりそうですがこれを機に必要な家性能改修を行えば一石二鳥と考えるのは軽率でしょうか。ただし予定外の作業で他艦にしわ寄せがいくほど米海軍も予算のやりくりが大変なのでしょうか。一方で海難審判はJAGの統一軍事法典で行うことになるのでしょうか。過失をどちらの側に求めるかが注目ですね。

Repair for USS Fitzgerald After Collision Will Cost More Than Fix to USS Cole After Terror Attack 衝突後のUSSフィッツジェラルド修理費用はテロ攻撃受けたUSSコール修理時より高くなりそう

 By: Sam LaGrone
July 27, 2017 6:10 PM

写真 USSフィッツジェラルド (DDG-62)が横須賀の第四乾ドックで損傷評価を受けている。US Navy Photo

THE PENTAGON — USSフィッツジェラルド(DDG-62)の修理費用が2000年にテロ攻撃を受けたUSSコール(DDG-67)の250百万ドルを上回りそうだ。
  1. 正確な見積もりではないが、海軍問題専門家がUSNI Newsに500百万ドルになってもおかしくないと指摘している。
  2. 損傷状況に詳しい筋によればコール事例よりはるかに高くなるという。コールは自爆攻撃ボートで左舷に大きく穴を開けられ乗組員17名が犠牲になった。
  3. 6月17日のフィリピン船籍ACXクリスタルとの衝突事故で乗組員7名が死亡し、艦体が大きく損傷し、高性能電子装備も損傷を受け、通信室と右舷前方のA/N-SPY1D(v)航空レーダーアレイも被害を受けた。クリスタルの左舷が艦橋を激突しレーダーをつぶし艦橋の骨格がねじれた。
  4. USNI Newsが得たフィッツジェラルドの損傷評価は進行中で修理の最終見積は出ていないが、海軍は同艦を米本土へ回航する方法を検討しているという。今のところ大型運搬船での米西海岸移動案が有力だ。
  5. コールは米本国へ大型石油掘削装置運搬用のMVブルーマーリンで運ばれ修理には二年かかった。「修理には250百万ドルかかり、鋼鉄550トン、主機関二基で27トン分を交換し、ガスタービン発電機三基を交換した」と海軍は発表していた。
  6. 今回の見積もりで大きな差が出ているのはフィッツジェラルドの電子装備の改修交換費用によるものだ。
イエメンからUSSコールを運ぶMVブルー・マーリン。コールは2000年に攻撃で損傷した。 US Navy Photo

  1. 「コールは機関関係が主でしたが今回は電子装備で経費がかかります」と退役海軍大佐クリス・カールソンがUSNI Newsに解説している。「主機関に相当かかりそうですが電子装備と比べれば簡単な修理です」
  2. さらに喫水線下の浸水区画は除去が必要だとカールソンは指摘した。
  3. 戦略予算評価センターの海軍関連専門家ブライアン・クラークは海軍の公表写真を見ると修理費用はコールの250百万ドルを軽く突破しそうだと述べた。
  4. フィッツジェラルドは1995年就役し、アーレイ・バーク級駆逐艦の最初の一隻で170百万ドルで艦体、機械関係技術系の改修が2019年度に予定され供用期間を10年から15年延長するはずだった。
  5. ただし海軍が修理時に電子装備を一気にベイスライン9仕様にし、弾道ミサイルと防空能力を両立させれば270百万ドルになる。
  6. 「当初予定より数倍高くなりますが他艦へ影響が出そうです」とクラークは指摘する。「BMD近代化改修を受けられない艦が出るれば割りが合いません」
  7. 修理予定に不明点が多数あるが海軍は同艦修理に本気なようだ。
  8. 第七艦隊司令ジョセフ・オーコイン中将は「艦を救う」と6月17日に報道陣に語ったとStars and Stripesが報じた。「かなりの修理になるがUSSフィッツジェラルドはここに戻ってくる。修理は数か月かかるだろうが一年未満だといい」
  9. 修理案を固めるのと並行して事故原因の調査が進行している。■

2017年7月15日土曜日

USSフィッツジェラルドの損傷具合が分かる写真を第七艦隊が公表



改めて損傷の大きさが分かります。SPYレーダー含みイージス防衛の重要な戦力の一部が欠けているのは痛いですね。事故原因の究明責任の所在の判断はこれからですが理不尽な反米感情にだけはつなげたくないですね。あらためて生命を失った七名の方に哀悼を送りたいと思います。

New Dry Dock Photos Show the Scope of Hidden USS Fitzgerald Damage

乾ドックに入ったUSSフィッツジェラルド、被害の程度が分かる写真を公表

 By: Sam LaGrone
July 12, 2017 11:03 AM

USSフィッツジェラルド (DDG-62) が横須賀艦隊活動拠点内の乾ドック四号に入り損傷評価と修理活動が続いている。同艦は6月17日に民間商船と衝突した。 US Navy Photo

USSフィッツジェラルド右舷喫水線下にACXクリスタルが衝突してできた穴をふさぐ鋼鉄製パッチUS Navy Photo
USSフィッツジェラルド艦橋と艦体の損傷を示す。 US Navy Photo



右舷にあてられたパッチの下に立つ隊員 US Navy Photo



乾ドック四号に入ったUSSフィッツジェラルド(DDG-62) US Navy Photo

  1. 米第七艦隊は7月12日に新たな写真数点を公表し、USSフィッツジェラルド(DDG-62)の損傷個所を見ることができる。
  2. 今回公表の写真では同艦側面に衝突した商船ACXクリスタルのバルバスバウによる穴の大きさがよくわかる。
  3. 5フィートx20フィートのパッチ4枚を乾ドック入りの前にダイバー部隊が溶接した。
  4. 一方、公表写真を見るとフィッツジェラルド艦橋部の被害も相当のもので衝突の衝撃がA/N-SPY-1D(v) に及んでおり、艦長居室がつぶれているのが判明していた。今回の写真では喫水線下の損傷の深刻度が初めてわかる。
  5. 喫水線下で発生した衝突により水兵居室、機械室が浸水し、7名の乗員の生命が断たれた。
  6. クリスタルとの衝突による損害では艦体がねじ曲がり、事故直後の損害対応が複雑になったと関係者が語っている。
  7. 海軍は同艦の完全修理を日本で行うのか、米本土に回航するのかで判断を迫られている。
  8. 一方で衝突事故の調査は多方面で進んでいる。海軍はブライアン・フォート少将がJAGMAN海軍法務部調査を率いると先月発表していた。■

2017年7月1日土曜日

USSフィッツジェラルドの現況と今後の修理見通し


本件、マスコミは米海軍に非があるとなんとか印象操作したいようですが、海軍はまず艦の修理が可能なのか、同予算を確保するのかと技術的な対応が進んでいるようです。JAG海軍法務部による審判がどんな結論を出すかも注目されますが、長期戦になりそうですね。

 Navy struggles with approach to fix crippled destroyer Fitzgerald, as investigation continues

損傷受けた駆逐艦フィッツジェラルドの修理方法検討に集中する米海軍、他方で調査も進む
By: David B. Larter, June 30, 2017 (Photo Credit: MC1 Peter Burghart)

WASHINGTON — 日本沖合で衝突事故に遭遇した米海軍駆逐艦フィッツジェラルドは乗員7名を喪失し、艦体にはトレーラートラックが入るほどの穴が開いた。同艦の復帰作業は並大抵ではない。
フィッツジェラルドの損傷の現況
  1. ACXクリスタルのバルバスバウにより艦の喫水線下には12x17フィート大の穴があき、三区画が急速浸水した。乗組員に脱出の余裕は1分程度しかなく浸水で眠りを覚まされた者もあった。
  2. 同艦に衝突警報音を作動させた形跡がないが、鳴らしていれば衝突前に乗組員を起こすことができていたかもしれない。ただし詳細は海軍による調査を待つしかない。
  3. 衝突で艦橋と右舷SPY-1レーダーアレイが大きく損傷し、主機関室と通信装備室が浸水し、損害額は数百万ドル相当と言われる。
  4. 事故原因の追及とは別に海軍は複雑な技術課題に取り組む必要がある。つまり損傷した同艦を浸水からどう守るのか。損傷の正確な評価から修理可能なのか判断し、どこで修理するかを決める必要がある。
  5. 海軍技術陣が浸水箇所の排水はほぼ完了し、艦体の穴に継ぎをあてる作業中と第七艦隊広報官クレイ・ドスが伝えてきた。
  6. 「USSフィッツジェラルドは来月にも横須賀海軍施設内の乾ドックに入れ修理する。弾薬類は6月25日に撤去ずみ。さらに排水、燃料除去さらに応急措置として艦体に継ぎをあてる準備中。ドック内で技術評価を開始の後米本土で本格修理を行う」
  7. 当初から海軍は同艦修理に前向きで、事故直後に第七艦隊司令官ジョセフ・オーコイン中将も報道陣に修理は長期化するとの見通しを語っている。「一年未満で済めばいいほうだろう。USSフィッツジェラルドは必ず復帰します」
どこでどう修理するのか  
  1. 第一段階は艦を安定させ海から出すことだ。この工程は7月6日から8日に完了すると海軍は見ている。その後艦体の完全調査を行う。
  2. 衝突時に艦橋構造にゆがみが入り、SPY-1レーダーのアライメント問題が発生しているとの懸念がある。補正修理に巨額費用が掛かる可能性があるが評価はまだ未完了だ。
  3. 艦を海から出すだけでも相当の作業だと1988年に蝕雷したフリゲート艦サミュエル・B・ロバーツのゴ―ダン・ヴァン・フック退役大佐が述べている。「そもそも乾ドック入りの予定が各艦で決まっています。艦を支えるべくキール下に置くブロックを準備します。ただ艦体に損傷があったり穴があれば艦設計で想定外の応力荷重が発生し、うまく扱わないとキールが曲がったり、外板が損傷することがあるのです」
  4. つまりフィッツジェラルドの乾ドック入り予定を変更し損傷を受けた艦体を考慮する必要があるということだ。初期調査では同艦のキールは大丈夫と見られているが、キールが損傷すれば別途巨額費用が発生する。フリゲート艦ロバーツの場合はキールが折れていたが、海軍は大修理を実施している。
  5. 修理費用は補正予算から確保するだろうとロバート・ナッター退役大将は見ている。ナッターは駆逐艦コールがイエメン入港時に襲撃され修理が必要となった際の艦隊司令官だった。「海軍が予算を確保するとすれば海外緊急作戦用予算が妥当だろう」
  6. 海軍がコール修理に2.5億ドルを必要とした当時は補正予算をあてにした。ジョン・ワーナー上院議員(当時)(共、ヴァージニア)が法案を作り海軍に修理費用を確保させたとナッターは回想する。
  7. 乾ドック内で海軍は艦体を入念に調査し、修理費用を積算する。コールでは2.5億ドルでF-35ほぼ2.5機と同額の費用がかかった。
  8. フィッツを超重量級運搬船で本国回送するのが可能性が高いと語るのはブライアン・クラーク元潜水艦勤務士官で現在は戦略予算評価センターの研究員だ。「海外で修理は不可能でしょう。現時点では自力で本国へ回送して修理できるか大型船で運搬すべきかを判断しようとするはずです。その結果、民間造船所で長期にわたる修理がはじまるはずです」
  9. クラークはジェネラルダイナミクスのNASSCOサンディエゴが修理場所として最適と見ている。
  10. コールの場合は建造場所のインガルス造船(ミシシッピ州パスカグーラ)に大型運搬船ブルー・マーリンにより回航された。インガルスはコールの損傷部分を切断し区画を新造し艦に戻した。2002年の広報資料によると鋼鉄550トン分と主機関二基を交換している。
フィッツジェラルドの乗組員は今どうなっているのか
  1. フィッツジェラルドの乗組員は徐々に通常勤務に戻りつつあると第七艦隊広報官ドスは述べている。
  2. 「乗組員は通常勤務にゆっくりと戻っており、当直ほか乾ドック入りに備えている。技術科は燃料除去に取り組んでいる。基地施設全体がフィッツジェラルド乗組員および家族の支援にあたっており、通常勤務復帰は癒しの重要な過程であることを強調しておく」■

2017年6月27日火曜日

フィッツジェラルド衝突事故で米海軍法務部の調査体制が整う



Navy Names Former Destroyer Commander to Lead USS Fitzgerald Collision Investigation

米海軍がUSSフィッツジェラルド衝突事故調査の統括官に駆逐艦艦長経験者を任命

 By: Sam LaGrone
June 23, 2017 1:26 PM • Updated: June 23, 2017 1:48 PM

商船との衝突後横須賀基地に戻るUSSフィッツジェラルド(DDG 62)。 US Navy Photo

  1. 経験豊かな水上戦士官がUSSフィッツジェラルド(DDG-62)と商船間で発生した衝突事故で米海軍側調査を率いると米第七艦隊が6月23日発表した。
  2. ブライアン・フォート少将が海軍法務部調査 Manual of the Judge Advocate General (JAGMAN)を6月17日に発生したフィッツジェラルド-フィリピン船籍コンテナー船ACXクリスタル間の衝突事故調査を統括する。フォート少将はUSSゴンザレス(DDG-66)の元艦長で26駆逐艦群で司令を務めた。
  3. 少将の責務は捜査官を指揮しデータを集め、乗員から事情聴取し詳細事実を見聞することで7名の生命を奪った事故でどちらに責があったのかを明らかにすることにある。

ブライアン・P・フォート少将 US Navy Photo


  1. 米第七艦隊司令官ジョセフ・オーコイン中将は衝突事故の捜査には将官を責任者に充てると述べていた。
  2. 事故調査では米海軍の他、米沿岸警備隊、日本側当局、保険会社が動いているが、JAGMAN調査は数少ない公表結果となりで注目を集めはずだ。並行して米海軍も安全面から調査中だが結果は公表されないとみられる。
  3. 「JAGMAN調査の目的は事故を発生させた原因をつきとめ、航法、海上、地上における過失にとどまらず運用方針、組織、訓練、機材、指揮統制等の面から何がおかしかったのかを解明することにある。またどちらの側に過失があったのかを突き止め責任を追及する」とロブ・「ブッチ」・ブラックネル海事軍事法廷弁護士はUSNI Newsに解説してくれた。
  4. 「JAGMANの調査所見から軍関係者や民間従業員への刑事措置や契約廃棄につながることがある。安全調査とはそもそも違う。安全調査では何がまずかったのか、原因は何かを調べるだけだ」
  5. フォート少将は今年初めに将官に昇進し、現在海軍ハワイ管区兼海軍水上部隊中部太平洋の司令官を務めている。
  6. 一方、フィッツジェラルド-クリスタル衝突事故の原因調査では海軍調査官が入手した事実を口外せず詳細情報がほとんど出ていない。ただし日本側からクリスタル乗員が衝突に気付いていなかった可能性が浮上したと述べている。クリスタルは事故当時オートパイロット機能で航行していた。これはUSNI Newsがすでに伝えている通りだ。
  7. 海軍による調査で駆逐艦側の乗員、艦長ブライス・ベンソン中佐の過失の有無が判明し、是正措置や懲罰が必要となれば提言するはずだ。
  8. 事故当時ベンソン艦長は居室にいたことが複数筋から示されている。海軍からは現時点で責任の所在は明確に示されていないが、同様の事案では乗組員を喪失した艦船の艦長が責任追及されるのが常である。■