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2023年11月16日木曜日

核兵器だけではない。北朝鮮の保有する化学兵器、生物兵器も看過できない。

 アナリストは北朝鮮の核兵器の脅威に注目しているが、平壌の化学兵器や生物兵器も心配の種だ

 朝鮮のキム・ソン国連大使は米国が2023年を"極めて危険な年"にしていると非難した。

同大使は核衝突に関するソウルとワシントンの "継続的なヒステリー"は無謀であり、朝鮮半島の地政学的対立を引き起こしていると主張した。

平壌は国連会合で大げさな主張をすることがあるが、今回の大使発言は、隠者王国の挑発がエスカレートしている時期と重なっている。

北朝鮮の指導者金正恩(キム・ジョンウン)政権はここ数カ月、日本、韓国、そしてアメリカとの核戦争や武力衝突を予告している。平壌はまた、この地域でのミサイル発射のペースを上げており、敵対国を挑発する意思と能力を示している。

アナリストは北朝鮮の核兵器の脅威に主に注目しているが、平壌が保有する化学兵器や生物兵器も心配の種だ。

北朝鮮の大量破壊兵器についてわかっていること

北朝鮮は第二次世界大戦後、核開発計画のスタートを切るためソ連を頼った。ソ連が寧辺(ヨンビョン)核科学研究センターを建設し、1960年代半ばまでに完成させ、配当は得られた。

北朝鮮は1985年に核兵器不拡散条約に批准したが、2003年に正式に脱退した。それ以来、平壌は核実験を何度も行っている。

北朝鮮は化学兵器禁止条約にも加盟しておらず、攻撃的な生物・化学兵器プログラムを監督していると考えられている。

米軍韓国司令部の元情報分析官である著者のロバート・コリンズによれば、平壌は1960年代に生物兵器の研究を始めた。この頃、国防科学研究所の下に細菌兵器の研究組織が作られ、北朝鮮は炭疽菌、コレラ菌、ペスト菌を手に入れた。The Hillのインタビューでコリンズは、平壌のハッカーたちが韓国の化学工場を危険にさらしていると付け加えた: 「韓国の化学工場がどこにあり、爆発が起きたら現地でどれだけの被害が出るかを把握する目的で、韓国の化学事故対応情報システムにもハッキングしている」。

韓国国防省が発表した2018年白書では、北朝鮮が炭疽菌、天然痘、ペストを保有していることを概説している。アナリストたちは、北朝鮮が将来戦争になれば、ホスゲン、サリン、マスタード、V型化学剤などの備蓄を武器化すると考えている。専門家によれば、少なくとも12箇所の施設が化学剤開発を担っていると考えられている。 

IHSジェーンによると、2017年の平壌の生物兵器能力に関する分析では、以下の証拠が挙げられている:

-2015年6月17日、韓国国土整備部は報告書を発表し、北朝鮮は炭疽菌や天然痘を含む各種生物製剤を保有しており、10日以内にそれらを兵器化する能力を有していると述べた。報告書はまた、北朝鮮はまだ生物兵器を使用するための核弾頭を保有していないと述べた。

-2015年6月、北朝鮮は、エボラ出血熱、HIV、「多くの癌」、MERSを治療できる「クムダン-2」として知られるワクチンを製造したと発表した。クムダン-2は、『希土類元素』と『微量の金とプラチナ』から作られた肥料で栽培された高麗人参が原材料と伝えられている。ただし研究者の多くは、これらの主張に大きな疑問を抱いている。

-毒性神経剤VXによる2017年2月の金正男の死の余波で、韓国国防省は聯合ニュースを引用し、北朝鮮軍は連隊レベルの生化学兵器部隊を運用していると述べた。

平壌が核による威嚇を続けている中で、核・弾道ミサイル能力を詳細に分析することは重要である。しかし、化学兵器も重大な脅威であると考えておかねばらなない。■

North Korea's Chemical and Biological Weapons Are the Stuff of Nightmares - 19FortyFive

By

Maya Carlin


Maya Carlin, a Senior Editor for 19FortyFive, is an analyst with the Center for Security Policy and a former Anna Sobol Levy Fellow at IDC Herzliya in Israel. She has by-lines in many publications, including The National Interest, Jerusalem Post, and Times of Israel. You can follow her on Twitter: @MayaCarlin


2022年3月15日火曜日

予測:ウクライナ戦が膠着状況になれば、「精神異常」のプーチンは戦術核兵器使用に踏み切る。その場合NATOとロシア軍の対決は不可避になる。

 Russia Su-34

Russia's Su-34 fighter-bomber. Image Credit: Creative Commons.

 

クライナ戦争は、限定的ながら高い代償を払いつつ進むロシア軍と、猛烈に反撃するウクライナ軍の構図になりつつある。ロシアが勝つように見えるのは、ウクライナの都市を容赦なく砲撃しているからだが、ウクライナがロシアと膠着状態になるまで戦いつづける可能性もかなり出てきてた。

 

 

2008年のジョージアでの10日間戦争のように、電撃作戦、迅速な侵攻での勝利をロシアが期待していたのは明らかである。近代化されハイテクのロシア軍が、弱小国家で武装も訓練も不十分なウクライナを転覆させる予定だった。計画では、ヴォロディミル・ゼレンスキーにかわりロシアの傀儡が西側諸国が対応策を講じる前に大統領に就任することになっていたようだ。

 

極めて楽観的なこの戦争計画で、ロシア軍の貧弱な兵站体制が説明できる。ロシア側に顕著な食糧、燃料、弾薬の不足は、作戦が長く続く想定でなかったためだ。同様に、ロシア側は予定部隊をすべて投入しており、本国の軍隊はこれ以上ウクライナに投入せず、傭兵を募っている。このことは、プーチンが今回の紛争が大規模地上戦になると予想していなかったためだろう。

 

プーチンには迅速な勝利が必要

今後数週間でプーチンは戦勝へ最も近づく。ロシア軍はまだ消耗しておらず装備も整っていない。戦争に行くことさえ知らされず動員された徴兵隊員や広範な不足はさらに悪化する。ロシア部隊は休養を必要とし、軍需品や燃料等の不足はさらに悪化する。

 

また、1カ月ほどたてば、NATOのウクライナへの補給作戦は、政治的、物流的なねじれをほぼ解消しているだろう。ウクライナを支援する、装備、食料を供給するパイプラインに発展する。ロシアにとって戦争は、ウクライナ支援の西側との消耗戦になっていく。ロシアには西側の大規模な供給を凌駕する経済力はない。実際、同じ「パイプライン」が、1980年代にアフガニスタンのイスラム反乱軍がソ連軍を打ち負かすのに役立った。

 

最後に、あと1ヶ月ほどで、ロシア制裁は経済に深く影響し始める。今のところ、ロシアの企業や銀行、産業界には、蓄えがある。修理工場には、外国製品の修理用のスペアパーツが残っているはずだ。銀行には、ドルやユーロの現金が残っている。しかし、これらの短期的な蓄えや通常業務の資金はすぐに使い果たされる。外国製部品やサービスを必要とする機器は機能しなくなり。経済全体が行き詰まると、戦争を支える力が弱まり、国民が不平や抗議を口にするようになる。

 

プーチンが勝てないと見れば、エスカレートするのか?

時間はウクライナに味方している。キーウが数週間持ちこたえれば、膠着状態が現実味を帯びてくる。4月になれば、制裁措置は大きな痛手となる。ロシア軍部隊は泥沼にはまり、疲労困憊するだろう。ウクライナはNATOの兵器で溢れかえり(実際、すでに溢れている)、ロシア軍がウクライナの都市を占領しても、十分に武装し、支援される反乱軍に直面する可能性が高い。ウクライナのため戦う外国人兵士は、プーチンの傭兵に匹敵するようになるだろう。

 

その時点で、プーチンは泥沼に入ったとわかるはずだ。何年も国力を消耗させる、ソビエト時代のアフガン戦争やアメリカのベトナム戦争やイラク戦争のような、勝ち目のない紛争になってもおかしくない。あるいは、プーチンが撤退し敗北を認める事態も考えられるが、可能性は極めて低い。今回の戦争はプーチンの遺産であり、プーチンは自分自身をロシア史に残る壮大な救済者と自認しているのか、あるいは精神的に病んでいるとの憶測が多くある。

 

となると、プーチンに残された選択肢はエスカレーションすることで無期限の戦いから撤退することだ。ウクライナの都市を無差別砲撃し、守備部隊を排除する戦術が、エスカレーションを示唆している。しかし、膠着状態を打破するためのエスカレーションとなると、大量破壊兵器の使用となる可能性が高い。

 

欧米はどうすべきか?

バイデン政権は検討を始めた。現在のロシアの通常戦の優位性があってもすぐに勝てない場合、膠着状態になる可能性が高い。大量破壊兵器の戦術使用は、ウクライナの都市周辺の膠着した戦線を打破するかもしれない。また、大量破壊兵器はウクライナの指導者を脅かし、自国民の抹殺を防ごうと和平を求めてくるかもしれない。

 

一方、ロシアが大量破壊兵器を使用すれば、NATOの介入への圧力は非常に高くなる。NATO諸国は、飛行禁止区域を設定する圧力をうまくかわしてきた。多くのアナリストは、飛行禁止区域を実施すればロシアとNATOの空軍が交戦することになり、ロシアとNATO間の対立がエスカレートする危険性があると指摘している。

 

しかし、大量破壊兵器による攻撃が生まれれば、NATOはNFZ設定を強要されるのは間違いない。さらに、ロシアに反撃しようとの声も上がるだろう。このような行動は、NATOとロシア間の開戦になる危険性がある。

 

このような理由から、NATOの各国政府はレッドラインを設定していないのだろう。プーチンが大量破壊兵器で対抗し、NATOが対応を迫られる事態を恐れているのだ。しかし、ウクライナが戦場で好結果を上げ続ける中で、ギャンブラーの正体を証明され、欲求不満で絶望的なプーチンがさらに高い賭けに出た場合にどうするのか西側諸国は真剣に検討する必要に迫られている。■

 

 

What Will Putin Do If Russia Has No Chance at Victory in Ukraine? - 19FortyFive

 

ByRobert Kelly

 

Robert Kelly is a professor in the Department of Political Science at Pusan National University in South Korea and a 1945 Contributing Editor. Follow his work on his website or on Twitter.

In this article:featured, NATO, Putin, Russia, Russian Economy, Ukraine, World War III

 


2019年3月12日火曜日

トランプ政権の北朝鮮政策が変化、完全非核化からWMD廃止へ拡大、緊張増加は不可避か



The Trump Administration North Korea Policy Isn’t Engagement. It’s Demanding Kim’s Total Surrender  

トランプ政権の北朝鮮政策は金正恩の完全降伏をめざしている

The seeds of the next North Korea crisis are being sown as we speak.
こうしているうちにも次の北朝鮮危機の種がまかれている
March 11, 2019  Topic: Security  Blog Brand: The Buzz  Tags: North KoreaMilitaryTechnologyWorldTrumpSteve BiegunDPRK


ティーブ・ビーガン特別代表がカーネギー財団主催のカンファレンスで講演するのを聞きながら、朝鮮情勢ウォッチャーにわずか数週間前に感銘を与えてきた同人に何が起こったのか不思議でならなかった。北朝鮮には外交手段とともにアクションにはアクションを重視するわれわれは非核化だけでなく北朝鮮関係を新時代に移行することが重要と見るが、.ビーガン発言こそ願ったり叶ったりの内容だったのだ。
以下ビーガンがスタンフォード大で行った講演の引用で、交戦やむなしとする朝鮮事情通の多くが賞賛した内容だ。
「これまで北朝鮮には両国首脳部が昨夏シンガポール共同声明で述べた目標全てを同時あるいは並行して希求する準備があると伝え、朝鮮国民の明るい未来を企画しつつ制裁解除で新たな機会が生まれ、朝鮮半島の平和を達成できるので、北朝鮮にも同様に行動してもらい、完全かつ検証可能な非核化の実現を目指すと述べてきたのだ」
われわれはトランプ政権の対応が軟化したと感じていた。シンガポール宣言の四本柱すべてを「同時かつ並行で」希求する選択に走ると受け止めてきた。声明文はあくまでアクションにはアクションで対応するアプローチにより朝鮮戦争終結宣言、連絡事務所設置を政治的観点で進めると見ていた。
だが現政権は姿勢を変えたようだ。ハノイサミット後に何があったのか知る由もないが、米国は明らかにゴールポストを動かした。具体的には以下3つの変化が朝鮮半島の緊張緩和状態に終止符をうち、緊張再開の種となりそうだ。
アクションにはアクションの段階は終わった 米朝両国は段階的非核化をめざすはずだったが、制裁措置の完全解除は完全非核化が条件でそれまでは意味ある譲歩を前提としていた。ステップバイステップ方式とも呼ばれ、双方でなにかを得るべく別のものを断念することでめざすゴールに到達するとしていた。北朝鮮に核放棄を合意させるとしたら論理的にはこの方法しかないとされてきた。
ビーガン講演を聞くとこれは実現性ゼロとわかる。「非核化は漸増的には進めない」とし、「大統領はこの方針を明確にしており米政府はこの点で完全一致している」と述べたのは交渉に終止符を打つことを意味し、事態はさらに悪化することになる。
ハノイで米交渉団は制裁完全解除の見返りに完全非核化を金正恩に求め、これ以外の選択肢を示さなかった 現政権の全員が金がこれを飲むと見ていたとすれば不可解だ。ワシントンでは平壌が寧辺核施設の部分的廃止で国連制裁措置で一番痛い内容の解除を求めてくるとわかっていたはずだ。寧辺施設全部の解体という提案が破綻したが、そもそもこれならトランプがシンガポールに行った理由がなくなるのではないか。
非核化の意味に北朝鮮の大量破壊兵器(WMD)全部の廃止が加わった 現政権は北朝鮮の核開発停止だけで満足しないことが明らかで、核分裂物質全部の除去、弾頭すべての破壊を目指している。さらにトランプ政権は生物化学兵器の全備蓄ならびに製造原料全部の廃棄を求めている。
これでどう変わるのか。金委員長の立場で考えてみよう。ワシントンから降伏を迫らるのと同じ要求が来れば、米国による政権転覆を抑止できると思い整備してきたWMDをみすみす放棄するだろうか。外交とはギブアンドテイクを最大の見せ場で示すことであり、一方が命令する状況では機能しない。
さらに北朝鮮には「最大の圧力」でも無傷に近い弾頭がある。たしかに経済成長は止まり、逆に縮小に向かっているが制裁措置の抜け穴も判明しており、もっと厳しい状況でも生き残りを図る技を平壌が習得済みなのは明らかだ。
現時点の根本課題とは圧力を受けたと感じ金が衛星打ち上げに走るかどうかだ。あるいは長距離ミサイルを発射し信念を示すか。トランプとしては気に入らない状況だろう。■

Harry J. Kazianis is director of Korean Studies at the Center for the National Interest. Follow him on Twitter @Grecianformula.