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2021年10月26日火曜日

中ロ合同艦隊の日本周回パトロールを環球時報はこう伝えた。敵を知ることが勝利につながる。CCPの思考方法を理解する一助になれば幸い。

 中ロ合同部隊の10隻が日本海から津軽海峡を通過し、本州沖を航行したのち、東シナ海まで共同行動を取ったのが日本では総選挙の運動中で、日本国民に不安感を抱かせたことが選挙結果にどう影響するのか(しないのか)、見ものです。一方で海上自衛隊がしっかりと各艦を監視追尾したことはさすがですね。そこで、CCPのお抱え新聞である環球時報がこの作戦をどうとらえているのかを見てみましょう。中国が世界秩序を全く違う形で(自分に都合よい形で)理解していることがよくわかります。

   

Chinese PLA navy's destroyer Kunming sails with Russia's large anti-submarine ship Admiral Tributs in the West Pacific on October 19. Photo: Li Tang

人民解放軍海軍の駆逐艦昆明がロシアの大型対潜艦アドミラルトリブツと並行し西太平洋を航行した。 Photo: Li Tang

 

 

ご注意 以下は環球時報英語版の記事を和訳したものです。当ブログの主張ではありません

 

国ロシアそれぞれの国防省が10月23日、両国艦艇部隊による初の西太平洋合同パトロールが完了したと発表した。中核的国家権益への無謀な挑発を自重するよう他国への警告にもなった。

 

今回のパトロールは中国、ロシアが共同海軍演習の終了後に行われた。演習では防空、海上標的への砲撃、共同対潜戦を試した。演習は両国の戦闘調整の幅の広さと深さを実証した。

 

中国は新鋭055型誘導ミサイル駆逐艦をパトロール部隊に供出し、ロシアは最新鋭フリゲート艦二隻を参加させ、改めて両国軍の信頼の高さを印象づけた。演習から直ちにパトロールに切り替えることで平時から有事への迅速な切り替えの潜在能力も示した。

 

中国ロシア合同部隊は津軽海峡を通過し物議をかもしたが、パトロールは国際法を完全順守した。また関連海洋法規も完全順守しつつ各海峡を通過し母港に戻った。

 

日本の防衛省報道官は各艦の海峡通過は日本の領海侵犯でもなく国際法違反でもないと明言した。これが真の「航行の自由」である。

 

他方で米国および同盟各国が「航行の自由」の御旗の元で「乱暴狼藉の自由」を行使している。これこそ国際法の明白な違反であり、中国ロシアの主権の侵犯である。

 

中国ロシアは米国に対し真の「無害航行」と国際秩序の意味を示しているのである。両国は同時に他国の中核的権益を脅かさないよう米国に警告している。

 

海上自衛隊が中ロ艦艇を追尾し、防衛省の声明から日本は不安感を覚えたことがわかる。日本の政界は「右傾化」しており、平和憲法を改正し軍事予算をGDP2%に引き上げることを狙っている。岸田文雄が軍備拡張戦略を公表している。こちらのほうがアジア各国に大きな脅威となる。

 

日本は歴史問題を振り返らず、第二次大戦後の各種取り決めを遵守しないことで非常に悪い印象を残している。中ロ共同行動は戦後秩序を維持する二国の動きの例であり、国連憲章が求める域内平和と安定の実現の一助でもある。

 

ご注意 以下は環球時報英語版の記事を和訳したものです。当ブログの主張ではありません

 

米国は中国ロシア封じ込めの動きを止めていない。バイデン政権の次期中国大使として指名を受けたニコラス・バーンズが中国とロシアにくさびを打ちこみ、両国間の総合戦略パートナーシップの弱体化を狙っている。バーンズは上院聴聞会で10月20日に「長期的には中国がロシアを経済支配する日が来るのをロシアは真剣に心配する必要がある。ロシアから見れば中国が西部で核兵器配備を強化しているのも心配の種だ」と発言した。

 

だがそんな言い方をしても中国ロシア間の強いつながりを揺らすものにはならない。

 

中国ロシアは「非同盟不対立かつ第三国を標的としない」原則を堅持し長期にわたる友好関係を形成してきた。これにより世界平和と開発が促進され既存国際秩序も守られる。両国は新しい形の国際関係の実例を示した。中国ロシアの共同パトロールは二大大国の責任ある姿勢を示したものだ。■

 

 

Beijing-Moscow joint military action serves to stabilize order disturbed by others

By Song Zhongping

Published: Oct 24, 2021 09:07 PM

The author is a Chinese military expert and commentator. opinion@globaltimes.com.cn


2021年10月18日月曜日

環球時報社説 「岩のように堅固」とする米国の台湾公約は中国の鉄の意志が砕いてやる

 CPPの息がかかった環球時報社説のご紹介です。うーん、相変わらずえぐい内容の主張ですね。文中で部分はThe Editor(自分)がつけたものです。目には目を。理屈には理屈を。日本も中国共産党の思考のどこが間違っているのか説明できるよう準備が必要です。軍事行動を正当化する作戦が今後も続くでしょうが、PLAが現時点で海峡横断の揚陸作戦を展開する能力には疑問がついたままです。

   

The Economist

 

国の台湾島への公約は「岩のように固い」としながら中国人民解放軍(PLA)による台湾海峡での軍事演習は「安定を損ない誤解リスクを増やすだけ」と米関係者の発言が続いている。▼台湾島の軍司令官が米国を訪問しており、フェルナンデス米国務次官は在米の台湾代表蕭美琴Hsiao Bi-khimと会談している。▼「岩のように堅固」とはいかにも台湾島の急進派になびこうとする欺瞞に満ちた表現だが、中国本土の抑止は絶対に実現できない。▼本土は断固として軍事行動の準備を進めており、台湾問題の最終解決を決定的かつ圧倒的に有利に進める。▼台湾島社会に警告したい。▼米国の「岩のように堅固」との約束に耳を貸すべきではない。▼なぜなら、ワシントンが米国人の犠牲を甘受してまで同島の分離をめぐり中国本土と戦う事態は発生しないからだ。▼米国のねらいは「台湾カード」で中国の台頭を防ぐことだが、このカードは自国民の犠牲を払ってまでも米国が死守するものではない。

 

中国本土は国家主権及び領土保全を守る固い決意のもと、国土再統一を進める。▼これに異議を唱え、妨害する国とは徹底的に戦い、死もいとわない。▼妨害がなければ、再統一は達成されるが、そうでなければ妨害勢力に立ち向かい撃破する。▼本土から見れば、再統一とは簡単だから進める、あるいは困難だから断念できるものではない。

 

ご注意 この記事は環球時報社説のご紹介です。本ブログの意見ではありません。

 

分別ある人物なら中国の決意の強さと台湾海峡問題への米国の意識に大きな差があることは容易に理解できるはずだ。▼これまであらゆる種類の協力を進めてきた両国は台湾海峡政策でも共通点を模索する必要がある。▼同島をめぐる北京とワシントンの相違点は本来衝突するようなものではなかった。▼だが米国の対中政策が大幅に変化し、台湾問題が最大の対立点になっており、中米間の意識の衝突は回避できなくなっている。

 

率直に言おう。台湾への「岩のように堅固」な約束を実行する国力は米国にない。▼台湾海峡含む近隣地区はPLAの攻撃射程内で、中国が台湾問題解決を決定すれば外部の軍事介入を排除する戦力がPLAにあり準備もできている。▼米国が海軍空軍を台湾へ派遣すれば米軍は悲惨な結末を迎えるだけだ。▼さらに中国は核兵器保有国で二次攻撃力にDF-41やJL-3といった大陸間弾道ミサイルがある。▼この現実が核兵器投入も辞さないとする米国の邪悪な思惑を封じ込める。▼端的に言って、米国に中国を脅かすだけの軍事力はない

 

同島の民進党(DPP)は状況を見誤ってはならない。▼米国に台湾防衛の能力がない事実を冷静に理解すべきだ。▼米国が台湾島を見捨てる事態になるはずがない、本土を遮断すべく一緒に戦ってくれると偏った考えをしている。▼本土が台湾問題を武力で解決する政治決断を下せば、解放戦争(1946年-49年)の南京解放の現代版が実現し、米国は台湾放棄に走らざるを得なくなる。

 

米国と台湾島は中国本土への脅かしを中止し、力による再統一は深刻な政治経済上の結果をもたらすとの主張を引っ込めるべきだ。▼米国はその場合は全面的な中国封じ込めになると言っている。▼中国人民全員がその事態を体験しており、抑止効果は皆無である。▼台湾海峡をめぐる緊張が高まっている原因はDPPが1992年合意を撤回したことにある。▼米国はDPPへ圧力をかけず同合意の復活は実現してない。▼逆にワシントンはDPPの危なっかしい動きを利用し台湾海峡の危険モードを加速化しており、本土封じ込めや弱体化を図っている。▼その結果、海峡情勢は対決に向かっている。

 

中国本土はDPPの傲慢さを引きずり降ろしてやりたい気持ちでいっぱいだ。▼さらに米国がいう「岩のような堅固」な約束は鉄の意志で粉砕してやる。▼中国は台湾問題の平和的解決策の希求を止めないものの、再統一で平和的解決は完了するのであり、「二つの中国」や「一つの中国、一つの台湾」等は認めるわけにいかない。▼中国分断を狙う勢力に平和的な実現方法はありえない。■


ご注意 この記事は環球時報社説のご紹介です。本ブログの意見ではありません。

 


China's iron will stronger than US' 'rock solid' commitment to Taiwan: Global Times editorial

By Global Times

Published: Oct 14, 2021 09:12 PM


2021年10月8日金曜日

台湾併合に向け開戦をいとわないとする好戦的な社説を環球時報が堂々と掲載。CCPの思考方法が垣間見える好材料だが、世界から孤立してもいとわないと本当に考えているのだろうか。

 ここまで好戦的な社説はめったにありません。CCPの見解といってよいでしょう。今回は環球時報英語版の記事をもとにお伝えします。

   

 

この記事は中国共産党につながる環球時報英語版の論説記事をそのままお伝えしています。当ブログの意見ではありません。

国務省から10月3日に出た声明文ではPLAが展開中の大規模演習は台湾島が独自に設定した南西部防空識別圏に入っているとし、PLAが「挑発的軍事行動」で「域内の平和安定を乱している」と述べ、さらに「米国の台湾向け公約は岩のように堅固」とある。直ちに台湾外務部はバイデン政権へ謝意を表明した。

 

国慶節の休日にもかかわらず、PLAの戦闘機他軍用機が記録的な規模で台湾海峡上空に展開している

 

PLA空軍が活動を強化しているのは分離主義者の台湾民進党(DPP)当局への強い警告だけでなく、台湾海峡を挟む情勢の厳しさを示しながら、同時にDPPと通じる考えの支援勢力にも明確に警告を与えるためである。

 

数年前まで同地区に流れていた平和的な空気は今や消え、DPP当局は公然とPLA戦闘機を「敵機」と呼ぶに至っている。さらに事あるごとに、自らをいわゆる民主世界の最前線で「独裁支配」に抵抗する勢力と称している。戦略的なつながりを米国日本と強めようとするDPPはいっそう予測不能となっており、台湾海峡を挟む情勢は一触即発と言ってよいほどでいつ開戦となってもおかしくない

 

同島を守備する分離主義勢力はいかなる名目でも台湾を中国から独立させることは許されず、ましてや同島が米国の中国封じ込めの前線基地になることは許されない。

 

この記事は中国共産党につながる環球時報英語版の論説記事をそのままお伝えしています。当ブログの意見ではありません。

 

蔡英文が政権の座についてからは台湾海峡を挟む平和的な状況が一変した。米政府はDPP当局と台湾島を米主導のインド太平洋戦略に組み入れ、中国を敵視する政策に走っている。中国本土は同島を米国に統合させる動きは看過できない。

 

中国本土による総合的軍事闘争を準備するカーテンが上がったのは明らかだ。PLAの軍事演習は台湾島の領有権の主張にとどまらず、部隊集結、動員、強襲上陸や補給活動を事前に展開し、平和的再統一を実現するねらいもある。中国本土の世論では戦闘も覚悟しつつ可能な準備を進めるべきとの意見が主となってきた。

 

そこで、DPP当局ならびに支援勢力に警告する。火遊びはやめよ。中国本土が台湾分離勢力に対し武力行使の準備を進める状況はかつてないほど強化されている。

 

台湾問題を解決し、国家再統一を実現する重責は全中国人民の肩にここまで重くのかかったことはなかった。米国等が台湾問題を外交カードに使い中国へ対抗しようとしている。台湾問題の根本的解決策とは日を追うごとに分別ある行動をとることである。

 

米国とDPP当局がこの機会をとらえ、流れを変えないと、中国本土の軍事懲罰が「台湾独立」を唱える分離勢力に向けられ、引き金を引くことになる。時がたてば、こうした警告が言葉だけのものではないことが証明されるはずだ。■


この記事は中国共産党につながる環球時報英語版の論説記事をそのままお伝えしています。当ブログの意見ではありません。


Time to warn Taiwan secessionists and their fomenters: war is real: Global Times editorial

By Global Times

Published: Oct 04, 2021 08:58 PM


2021年9月13日月曜日

環球時報に見るCCPの思考。中国の脅威を騒ぎ立てる日本は憲法改正を狙い、域内の平和安定を乱すのは日本の右翼勢力だ(?!)

 環球時報の報道ぶりを見ればCCPの考え方がどれだけねじているかがわかります。領海侵入しているわけではないから文句を言われる筋合いはない、という強弁とともに、不遜な考え方、さらに日本で中国に対し騒ぎ立てているのは右翼勢力だとの主張を聞くと、親中派とされる自民党はじめ各界の「進歩的勢力」による鎮静化を期待しているのかなと思えてきます。高市候補が当選しては困る、というのでしょう。ならば喜んで右翼のレッテルを中国に貼られたいものです。

  

 

ご注意 この記事はCCP見解を代弁する環球時報英語版の趣旨を伝えるものです。当ブログの主張ではありません。部分は筆者によるものです。

 

9月12日日曜日、日本の防衛省から中国所属とみられる潜水艦が日本領海に接近したとの政治的な発表があった。

 

この背景に「中国の脅威」を騒ぎ立てたい日本の隠れた動機があり、同国の平和憲法を破る口実を模索している、と中国軍事専門家は指摘している。

 

AP通信は日本が南方領域で東シナ海に向かう潜水艦を探知したと9月12日に伝えた。

 

防衛省は052D誘導ミサイル駆逐艦一隻も付近にいたことから中国艦と断定したとAP電は伝えている。ただし、潜水艦、駆逐艦ともに日本領海に侵入していない。

 

中国の東シナ海での軍事活動へ日本神経をとがらせていることがわかるとAPは伝えている。

 

同海域での軍事活動に関し中国から発表はないが、一部中国筋から潜水艦の国籍を断定していない日本による推定に疑問の声が出ている。

 

国際法によれば、水上艦潜水艦ともに国際公海で自由に航行できる。したがって仮に中国軍艦だったとしても日本領海の外の航行に何ら問題はないと、中国軍事専門家Song Zhongpingは環球時報に解説している。

 

Song によれば日本が中国の海軍活動に目くじらを立てるのは「中国の脅威」を作り出し、平和憲法改正のきっかけにするためだという。

 

日本は人民解放軍の活動が活発になっていると繰り返し報道しており、ここ数週間だけでもPLA艦艇部隊が宮古海峡、対馬海峡、宗谷海峡を通過したと騒いでいるが、三地点とも国際公海である。

 

日本が発表した最新の防衛白書では台湾島の安定に初めて触れ、釣魚諸島の状況について騒ぎ立てている。台湾、釣魚ともに中国の領土である

 

日本はベトナムと防衛装備供与の合意を9月12日に結び、東シナ海、南シナ海双方で中国へ対処を狙っているとAPが同日伝えている。

 

中国軍備管理軍縮協会の上級顧問Xu Guangyuは環球時報に対し、日本の右翼勢力を抑えることが域内の平和安定につながると述べている。一方で、日本の軍事挑発行為にはいちいち神経を尖らせる理由は中国にないとし、その理由として日本には選挙含む国内課題があることを上げている。さらに、PLAは惑わされることなく対応力を整備していることもXuは指摘している。■

 

Japan hypes suspected Chinese submarine activity 'in attempt to break pacifist constitution'

By Liu Xuanzun

Published: Sep 13, 2021 12:06 AM


2021年9月9日木曜日

環球時報が米国の航行の自由作戦に対し強硬な反論を展開。西側は犯罪者の開き直りの論理とみるだろうが....中国の仕掛ける「思想戦」に対抗できる論理、表現の力が必要ですね。

 真実とは何か。事実とは自分の見たいもののことであり、この論理を使えば世界は自分の価値観で見ることになります。おなじみの環球時報英語版ですが、先にお伝えした米駆逐艦ベンフォールドの南シナ海航行でとうとうこんな主張を展開してしまいました。われわれとしては敵の論理を打破するためにまず相手の言い分を聞くというのが妥当だと思われますが、こちらの価値観をくずされないためにも強い信念が必要と考える次第です。ウイグル問題で中国非難決議を阻止した日本政界の有力者がいますが、今話題の高市候補が自民党総裁、さらに総選挙に勝利し首相の座に就けば、まっさきにこうした中国の論理をつぶしにかかるでしょう。このため、中国としては高市候補の当選はなんとしても阻止しなければなりません。日本の報道陣も理由こそちがいますが、同候補の存在を最小化しようとしていますね。

   

 

 

ご注意 以下はCCPのメディア、環球時報の社説のご紹介です

 

駆逐艦USSベンフォールドが9月8日、南シナ海メイジ礁付近を中国の許可なく航行した。これに対し中国は航空機艦船を動員し、同艦に警告を与え、水域から退去させた。米側は第七艦隊の報道発表でUSSベンフォールドがメイジ礁から12カイリ内を航行したことを認め、航行の自由とともに通行権を主張した。また、メイジ礁は「国際法でいう領海を構成しない」とし、「埋立て、人為的な構築、構造物」を同礁上に作っても「国際法上の要件の変更はできない」と述べていた。

 

中米両国はメイジ礁起点12カイリの定義で意見が食い違っている。世界各地にも異なる見解がある。だが国際法ではいかなる国にも他国の主権に挑戦すべく軍艦を派遣することを許していない。特に米国は国連海洋法を批准しておらず、文句を言う権利はないはずだ。

 

米国の行為はむき出しの挑発行為以外の何物でもない。これはだれの目にも明白だ。メイジ礁には中国国民多数と施設がああり、米軍艦がここまで近くを航行したことで脅威を感じた。中国側も目をつむっているわけにいかず、対抗措置を取る。これは常識だ。

 

南シナ海に波を立ててヴィエトナムやフィリピンを行動させる米国の政策は空回りしている。軍艦を派遣し、いわゆる航行の自由を主張し、中国領の12カイリ以内を航行させたのは米国の焦りの証拠だ。

 

米国は遠隔地から軍艦を派遣し中国領近くで挑発行為を働かせた。これは米国が覇権主義を堂々と主張したのと同じだ。この選択が効果を上げるのは米国政府に必要な力がある場合のみで、中国は従来より国力を強化しており、上述の条件を無力化している。したがって米国が南シナ海で挑発するのは覇権主義を公にするだけでなく、中国を戦略的に圧迫する狙いがあるのだろう。こうした圧力が強まっても中国が国力に裏付けされた対応を取る中で、中米両国の海洋衝突の危険性が高まるだけだ。

 

ご注意 以下はCCPのメディア、環球時報の社説のご紹介です

 

では中国艦艇がアジア太平洋内の米軍基地に接近したらどうなるのか。また米同盟国の沿岸近くで偵察活動を展開したり、航行の自由を主張したらどうなるか。また、南シナ海に領有権を主張する各国も同様に他国の主張する島しょやサンゴ礁付近で作戦を展開すればどうなるか。世界の海洋秩序は好転するのか、悪化するのか。

 

米国に真実だけ伝えればよいと中国は考えているわけではない。中国は直接行動をとり、上記の接近偵察を展開するべく能力整備につとめる。中国の外洋艦隊整備がこれを実行可能とする。米国に苦い薬を飲ませることで米国並びにその同盟国の神経を高ぶらせ、さらに米国が南シナ海でいじめ行為を働いていることを西側世界に知らせることになる。

 

米国は南シナ海で巧妙な挑発行為を働くのなら、逆にPLAの展開する強力な対抗策を甘受すべきだ。両陣営のゲームは極限まで進みそうだ。米国は遠からぬ将来に自国すぐそばにPLA艦艇が現れる事態を経験することになる。中国と米国は制御不可能な事態に直面することになる。両国の艦艇、航空機が海上に展開し、緊張が高まれば、両国は引くに引けなくなる。

 

こうした状況が続けば、南シナ海で中米両国の衝突が遅かれ早かれ発生する。南シナ海の平和で最大の脅威が米国であり、域内の平和が同国により崩される日が来るかもしれない。これは決して大げさに表現して脅かそうとしているわけではない。

 

中国は海上で米国と競い合っているが、両国が事態を制御できなくなった場合に備え、軍事衝突に備えるべきだ。あるいは大規模軍事衝突がその後発生するかもしれない。状況が制御できなくなり、中米両国が軍事衝突の引き金を引けば、本国に近い方が圧倒的に有利となる。戦争に勝つのは中国である。■

 

ご注意 以上はCCPのメディア、環球時報の社説のご紹介です

 

China won't accept US hegemonic acts in the South China Sea: Global Times editorial

By Global Times

Published: Sep 08, 2021 11:39 PM


2021年9月6日月曜日

環球時報=CPCは日本政局の混乱をこう見ている。圧倒的な国力の差がない限り日本が屈服しないのでイライラしているようです。

さて、CCPの見解を伝える環球時報英語版からCCPの思考を読み解くという無謀なシリーズです。CCPにとって都合のよい候補、都合の悪い候補がいるはずで、おそらく後者の筆頭が高市さんであることはまちがいないはずです。今後マスメディアからのバッシングが強まりそうですが、その背後にCCPの情報戦も加担してくるはずなので日本側は注意と警戒が必要ですね。自民党総裁選は9月末なので環球時報から次の記事が出てくることも容易に想像できます。

An extra edition of a daily newspaper reporting on Japan's Prime Minister Yoshihide Suga deciding not to run for the Liberal Democratic Party (LDP) presidential election is distributed in Tokyo's Ginza district on Friday. Photo: AFP

菅義偉首相が再選に向かわないの号外が9月3日に東京都内で配布された。Friday. Photo: AFP

 ご注意 この記事は環球時報の社説=CCPの公式見解をそのままお伝えするものです。


義偉首相が与党自由民主党総裁選挙で立候補を断念し、首相の座を降りると金曜日突然発表し、政界に衝撃が走った。菅は安倍晋三の辞職で、首相の座につき、総選挙、自民党総裁選出を完了するはずだった。首相在職は1年2カ月となった。日本では首相が目まぐるしく変わる政治混乱の時代が再び始まるとの見方がひろがっている。

 

 

菅が自民党総裁再選を断念したのは本人が政治力低下を自覚したのが大きい。自民党内の各派閥が本人に再選支持の見込みが極めて低くなった。党人事に手を付けたものの見通しがつかなくなり、総選挙の勝利もおぼつかなくなってきた。そこで断念したというわけである。

 

菅の最大の失策はCOVID-19対策であった。日本国内のCOVID-19一日当たり発症例合計が9月1日に20,031件となり、日本はウイルスの恐怖を欧米より強く感じている。東京オリンピック開催中もこの不安が重苦しくのしかかっていた。

 

COVID-19流行は先が見えず、日本経済にも影響が出たままだ。菅の支持率は低迷し、金曜日の発表につながった。発表直後に日本の株式価格は大幅に上昇した。

 

岸田文雄元外相、高市早苗元総務相、河野太郎行革担当大臣、石破茂元防衛相が今のところ想定される総裁候補で、次の総理大臣の座をねらう。日本には多くの課題があるが、実利につながる動機付けや政治団結力がともに欠如しており、難局の打開が進まない。次期総理大臣は厳しい舵取りを迫られそうだ。日本が再び政治混迷の時代に入るとの予想は根拠のないわけではない。

 

ご注意 この記事は環球時報の社説=CCPの公式見解をそのままお伝えするものです。

 

菅政権での中日関係は今年に入り厳しいものとなり、2018年の「正常路線への復帰」から見れば一気に崖の下に落ちた感がある。自民党総裁がだれになっても、中日関係が大きくUターンするとは思えない。理由として日本国内の対中姿勢が大幅に非友好的になっていることがある。中国を封じ込めようとする米国がが日本に大きく影響しており、日本は国内外で中国姿勢を変える条件ができていない。

 

 

ただし、中日両国の国力比較は歴史的変化を示している。2008年北京オリンピック時点で日本のGDPは中国をうわまわっていたが、2020年の中国GDPは日本の三倍に拡大した。この差は20世紀末の中国本土と台湾島の経済格差に近い。具体的には中国国内の自動車販売台数は日本の4-5倍になっている。中国の高速鉄道路線合計は日本の新幹線の13.7倍だ。日本が中国に厳しい地政学的姿勢をとってきたが、静かに変化しつつある。

 

中日両国の心が接近するのは短中期的にはむずかしいようだ。日本は米国の側についており、原爆投下を受けた憎しみを忘れ、米国に占領された屈辱も今日まで封印してきた。中国が唐時代(AD 618-907年)並みの圧倒的国力の差を日本に示さない限り、日本は中国を尊敬の念で見ず、相互尊敬の気持ちも短期のうちに生まれないだろう。日本の対中姿勢は今後長期にわたりぎこちないままだろう。

 

とはいえ、日本が脅威を中国に与えるのは極めて困難だ。日本が米国の共犯者の役割を長くとっているのはそれがわかっているからだ。日本が新たな体制に代わるのを中国は出発点ととらえるべきだ。日本社会内の対中感を正確に把握し、日本の脅威を客観的に把握し、日本への対処方針を決めるべきだ。

 

中日間の経済貿易協力関係は大規模なもので両国関係の中で最も意味のある要素と理解すべきだ。次期総理大臣がだれになるにせよ、また日本が対中関係でより厳しい姿勢をとったとしても、両国間の経済のつながりは両国にとって利益を生んでおり、貿易面で影響は発生するとは思えない。また日本が中国へ対決姿勢を取る主導役になるのも考えにくい。こうしたことから中国には対日関係の取り扱いを冷静に進める余裕があるといえよう。

 

誰が次期総理大臣となろうと、日本が厳しい対中姿勢を継続しても、中国に課題対処する能力があることに変わりない。中国の国力は日本をうわん割るペースで成長し続ける。二国間関係の悪化で損害を強く受けるのは日本であることに間違いない。■


U-turn in bilateral ties unrealistic regardless of next Japanese PM – until China regains Tang Dynasty

By Global Times

https://www.globaltimes.cn/page/202109/1233287.shtml

Published: Sep 03, 2021 11:15 PM

 

2021年8月19日木曜日

環球時報=CCPの論説を読む。米台がレッドラインを超えればPLA軍用機が堂々と台湾上空を制圧する突破口になる。-----どうしたらこんな発想が出てくるのか。

  

今回は環球時報の論説をなるべく原文のままお伝えします。台湾を台湾島と表現するのも気になりますが、全体としてどうしたらこんな思想が生まれるのか、こんな世界への視点が生まれるのか、原則論だけで世界が自分たちの臨む方向へ動く(中華思想ですね)となるのか非常に興味深いところです。問題はこういう見方をする大量の国民が情報統制の中で生きていることで、世界市民としての視点がこのままでは生まれることは絶望的ですね。

 

Two J-10 fighter jets attached to an aviation brigade of the air force under the PLA Southern Theater Command soar into the air in formation during a combat flight training mission on November 17, 2020. (eng.chinamil.com.cn/Photo by Wu Gaoming)
PLA南方戦域司令部隷下の航空連隊所属のJ-10戦闘機編隊が演習のため離陸した。November 17, 2020. (eng.chinamil.com.cn/Photo by Wu Gaoming)

 

ご注意 この記事は環球時報の社説をそのままご紹介し、CCPの考え方をお伝えするものです。当ブログの見解をお伝えするものではありません。

 

 

ョー・バイデン大統領が「世界の民主国家を仮想民主主義サミットに招待し、一年後には対面でのサミット開催を目指す」と8月11日にホワイトハウスが発表した。

 

サミットは12月9日から10日にかけ開催される。メディア多数は中国対抗策としてバイデン政権が打つ次の手だとの解説がある。

 

サミットでは世界各国を民主主義国家、非民主主義国家別名「専制主義」集団に分ける。この線引きで世界を区分するという。ロシアなど多数の国には西側同様の複数政党制度があるが、西側メディアにより「専制主義」国家に区分されることが多い。同様の扱いを受けるのが米国の同盟国たるトルコだ。サウジアラビアは民主陣営から外されている。

 

台湾の民進党(DPP)政権はサミット参加に興奮を隠せない。バイデン発表を伝えた台湾現地紙Taiwan Newsは「下院外交委員会公聴会のあった3月10日にブリンケン国務長官はサミットに台湾を招待したいと発言している」と報道した。

 

同記事では公聴会でブリンケン長官は台湾には堅固な民主体制があり、同時に重要な技術ハブ国でもある、と述べ、世界に貢献する国でもある、と発言したとある。

 

ホワイトハウスは今回のサミットで「各国の国家元首、民主社会、博愛主義、民間部門をつなぎ、世界の指導者に役立つ機会にしたい」と述べている。この文脈では台湾参加者を仮想サミットに招待するのは米国のだれなのか。中国は自国の立ち位置を明確に示する。米国が台湾の地方指導者蔡英文を同会合に招待することに断固反対する。蔡を参加させスクリーン上に各国トップと同時にその姿が映れば一つの中国の原則に大きく違反する。

 

ご注意 この記事は環球時報の社説をそのままご紹介し、CCPの考え方をお伝えするものです。当ブログの見解をお伝えするものではありません。

 

米国はAPECで慣行となっている台湾招待の方式に従うべきだ。そうでなければこのサミットは台湾問題への干渉をさらにエスカレートさせることになる。米国と台湾島が基本線を破るのを中国本土は看過することも容認することもできない。その際は誰も見たことのない嵐が台湾海峡に吹き荒れるだろう。

 

米国政府と台湾島に警告する。いわゆる民主体制を「台湾独立」推進の隠れ蓑にしてはならない。もしワシントンが蔡に各国首脳とともに参加する機会を設ければ、それは台湾を「国家」として公認することになる。そうなれば台湾海峡の現状を外部から否定することになる。中国は確固たる手段を行使せざるをえなくなる。一つの中国原則固持のため決定的な対抗措置を取る。

 

1995年に台湾の地方指導者李登輝がコーネル大同窓会出席の名目で訪米した。ここから深刻な台湾海峡問題が生まれた。人民解放軍はミサイル数発を同島周囲にうちこんだ。もしバイデンが蔡をサミットへ招待すれば、さらに深刻な事態となる。中国は1995年当時を上回る規模の対抗策を打つ。その場合、「独立」に対抗し、長期にわたり効果を生む対策が必要となり、再統一を早める必要が生まれる。その場限りの対応に止める必要はない。

 

米国と台湾島が共謀し「サラミ切り」戦術を進めていることに留意すべきだ。これは台湾問題で大きな進展の実現を目指している。だが、本土には台湾分離主義者の動きを封じる意思も手段がともに急速に伸長している。中国はためらうことなく刀を下ろし、米国及び台湾島の高慢な態度に一撃を加える。その他西側諸国は台湾問題への小細工を減らすべきだ。

 

米国および台湾島がレッドラインを超えれば、台湾上空をPLA戦闘機が飛行する日が来ると中国は警告してきた。これは強い抑止効果を生んでいる。迷うことなく中国は台湾への主権行使を宣言し、米国・台湾島の言葉だけの主張や小細工を圧倒する。また台湾海峡を挟む状況の支配権のありかを明瞭に示すことになる。本土が動く前に、特別な機会が必要となる。蔡がサミットにバイデン招待のもと参加すれば、まさしくその機会がやってくる。

 

ご注意 この記事は環球時報の社説をそのままご紹介し、CCPの考え方をお伝えするものです。当ブログの見解をお伝えするものではありません。

 

バイデン政権は台湾問題を混乱させている。これにより中国本土は問題への対処で負担が高くなった。本土は次のような戦術の行使を求められている。そちらはそちらのルールでプレイしてほしい。こちらははこちらのルールでプレイする。米国との競合関係にとらわれてはいけない。

 

米国と台湾が小細工を止めないと、大きな危機が台湾海峡に発生するのは必至だ。危機が現実になる前に確固たる措置を進める必要がある。不断の努力で対決に向かう必要がある。また米国台湾島の傲慢な態度を徹底的に打破し、中国の勝利を永続させる必要がある。高度集中戦に対処すべく、中国は心理面軍事面双方で臨戦態勢を整える必要がある。

 

米国および台湾島が突破口となる事態を作ればPLA軍用機が台湾上空全域を飛び回る事態が生まれるとみている。台湾島上空の空域はPLAの通常作戦範囲内にある。戦闘機が上空を飛べば、その下の地面は中国の領土であることを示し、台湾内の軍事施設に照準を合わせる本土のミサイル多数さらにわが爆撃機部隊は確固たる答えとなり、歴史を創ることになる。■

 

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US, Taiwan crossing the red line will create historic opportunity for PLA fighter jets to fly over island: Global Times editorial

By Global Times

Published: Aug 12, 2021 06:07 PM