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2018年7月1日日曜日

★C-2のELINT改造機体が入間基地に飛来(6月26日)

C-2運用が始まったとたんに電子偵察機型が登場したのはISR機材の整備がそれだけ待ったなしということの裏返しでしょう。本ブログがかねてから主張しているISR機能の重要性がわかりますね。

Footage Of Japan’s New Kawasaki C-2 ELINT Variant Operating From Iruma Air Base Emerges

C-2ELINT改装機が入間基地へ飛来


Jun 27 2018 -


崎C-2電子偵察用改装機材「RC-2」の入間基地での運用をとらえた画像を入手した。



C-2戦術輸送機を原型とした同機では機首、尾翼上部に改装の他機体下部に各種アンテナがみられる。機体番号18-1202の同機が2018年2月から航空自衛隊飛行開発実験団および川崎重工工場がある岐阜基地でタキシーテスト、飛行テストをしている様子が目撃されていた。C-2ELINT機は老朽化してきたYS-11EBと交代する


C-2 ELINT試験機18-1202. フェアリングが追加されていることがわかる。このスクリーンショットでは機体下部の各種アンテナは見えない。 (Modified screenshot from video below).


6月26日、「RC-2]が入間基地に飛来した。同基地にNAMC製YS-11EB電子偵察飛行隊が本拠を置く。


このC-2改装機の実態は不明だ。ELINT/COMINT(電子情報収集・通信情報収集)機材と思われるが遠距離で信号を集めデータを加工し分類し発信地点を把握して情報をその他機材へ提供共有する機能があるはずだ。各国のスパイ機同様だろう。
C-2ELINTに交代するのがNAMC製YS-1EBだ。(Credit: Toshi Aoki – JP Spotters)


注目すべきは入間基地への初の移動がADS-B/Mode-Sトランスポンダーで追尾されたことだ。本誌の友人@CivMilAirが同機の岐阜基地から入間基地への6月26日フライト情報を入手したので次に示す。
The part of track showing the C-2 ELINT on its way to Iruma Air Base. (Credit: @CivMilAir)
Top image: screenshot from @amuro1415 video on Twitter.

トランスポンダーは途中から作動させたのでしょうか。YS-11EBはエンジン、プロペラを大幅改造していますね。

2014年11月27日木曜日

★ロッキードが提案する無人機版U-2はグローバルホークを凌駕できるか



ISR機材のお話です。グローバルホークに軍配を上げたペンタゴンは省内の検討でも僅差だったといいますが、ISR機材を複数維持する余裕がない、とせっぱつまった状況だったのですが、これで黙っているようなロッキードではありません。U-2が無人機グローバルホークに負けるんだったら、U-2を無人機にすればいいと提案にまとめてきました。議会にはU-2といいA-10といい特定の機種に肩入れをする議員が多いので、意外な反応を引き起こすかもしれませんね。一方でU-2の操縦は思ったより難しそうですね。

Lockheed Updates Unmanned U-2 Concept

U-2 advocates push optionally manned variant as a rival to Global Hawk
Nov 24, 2014 Amy Butler | Aviation Week & Space Technology

ロッキード・マーティンから予算節約型の「有人オプション」のU-2提案が出てきた。議会が高高度偵察機材をノースロップ・グラマンのグローバルホークに一本化していいのか悩むなかで新しい選択肢が生まれた。選択式で有人操縦が可能なU-2には同機の愛称ドラゴンレイディの支持派からRQ-4Bグローバルホークの飛行時間に匹敵する機体との声がでている。ただし、議員連が納得してもペンタゴンが採用に踏み切るのは困難だと見られる。
  1. 国防総省は10年以上も態度をあいまいにしたあげくU-2の全機引退の道筋を2015年度予算で示し、グローバルホークだけで編成する偵察機部隊の実現に道を開いた。だがU-2支持派も性能上の優位性にペイロード5,000-lb.(グローバルホークは3,000 lb.)、実用高度限界70,000 ft. (グローバルホークは60,000 ft.)があると黙っていない。特に高度差はそれだけセンサーの有効範囲が変わることになり、U-2の勝ちである。
  2. ペンタゴンの最終裁定はグローバルホークに18億ドルでU-2とほぼ同等の性能となる改修を実施する選択だった。議会への報告書で4月に空軍は91億ドルをグローバルホーク関連で支出し、45機調達するとし、7機がベースラインとなるブロック10機材、6機がブロック20仕様(一部に戦場空中通信ノード中継装置を搭載)、21機がブロック30(画像信号情報収集能力を付与)、さらに11機がブロック40(レーダー搭載)となる。

  1. もともとは国防高等研究プロジェクト庁による安価な無人航空機システムとして開発されたグローバルホークが支援ミッションに投入されたのは9/11テロ攻撃の後である。中東、アジアで支援ミッションを展開し、実地使用の経験則を獲得したが、アフガニスタンでの作戦がなかったら同機の将来はなかったかもしれないが、その同機がU-2の後継機種として地位を獲得したのだ。
  2. U-2に対する最大の長所は飛行時間。グローバルホークの最大滞空時間は24時間超だが、U-2ではパイロット規程でコックピット内12時間が上限だ。U-2パイロットは与圧服の着用が必要でアフガニスタン作戦では長時間飛行で乗員が潜水病と同じ症状を訴える例が発生。油圧制御がないため、U-2操縦は難易度が高いことで知られ、パイロットは強風に文字通り筋力で立ち向かっていた。着陸も揚力性能の余裕がなく、危険と背中わせだった。
  3. だがロッキード・マーティンによればU-2の「無人化」の方がグローバルホーク改修よりはるかに安価に実施できるという。一部新設計で総額700百万ドル、オプションで3機のU-2を有人操縦化し、地上支援設備も二組確保できるという。地上設備と言っても小型ラックとプロセッサーだけなので、事実上世界のどこでも展開できる。機体単価は35ないし40百万ドルだという。.
  4. 新設計では中央ウィングボックスを金属製主翼の中央に追加し、10フィートの幅延長となる。またコックピット後方に機内のアクチュエーターと連結する接続ケーブルのスペースを設ける。「パイロットは電子式にアクチュエーターを切り、あとはケーブルで飛行できる」とロッキード社は説明。この設計でコックピットは有人飛行モードでも改良が不要となった。
  5. 機首を上下させるトリムが発生した場合にパイロットはおよそ75 lb.の力を操縦桿にかけて飛行を続ける必要があった。これは長時間ミッションが終わりに近づく中耐圧服を着ながらでは大変な仕事だ。「オートパイロットを作動させ、そのまま着陸まで持っていけるようになった」とロッキード社はいう。
  6. 中央ウィングボックスの追加スペースにはフルモーションのビデオセンサーを搭載できる。ウィングボックスを活用することで尾部にかけて再設計が不要となる。ロッキードは2012年にも構想案を提出しているが、今回はこれを手直ししている。2012年案では 全幅140フィートの主翼を複合材で準備し、燃料搭載量を確保するとしていた。.
  7. 現時点でロッキードは初期設計を完了しているが、同社提案でU-2全面退役に不信感を抱く議会メンバーが興奮するだろう。U-2の最終号機は1989年完成で、各機の構造寿命はまだ残っている。むしろグローバルホークの改修作業の方がリスクを生む。
  8. ペンタゴンの高高度偵察案も二転三転している。2012年にはグローバルホークのブロック30を全廃し、U-2を維持するとしたが、今年に逆転している。■


2014年6月15日日曜日

U-2全廃してもグローバルホークに19億ドル改修しないと使いものにならないのか


予算が潤沢であればミッションごとに複数の機種を維持できたのですが、昨今の予算環境では贅沢なことは言えなくなっています。しかし海軍と同様に政治が機種選択にいらぬ口を出してくると空軍も大変ですね。ISRは大変重要な分野なので、超高度を飛行できないグローバルホークを残し、U-2を全廃することで禍根を残さないことを祈るばかりです。

Global Hawk Needs $1.9 BN in Upgrades Before U-2 Can Retire


UAS Vision, 11 June 2014

RQ-4_Global_Hawk_Block_40

ノースロップ・グラマンRQ-4グローバルホーク無人偵察機が現行のロッキードU-2の全ミッションを引き継ぐには総額19億ドルの性能改修が必要と判明した。米空軍はU-2全機を退役させて予算節約を期待している。

「高高度ISR用には一機種しか維持できない」とロバート・オットー中将Lieutenant General Robert Otto(ISR担当副参謀総長)は語る。「もしグローバルホーク改修予算がないと各現場司令官に同機の利用を理解してもらえない」と同中将は空軍協会のイベントで話している。

改修内容は地上局以外に通信・画像送信能力、また機体に搭載された気象レーダーも含む、と同中将は話している。米空軍によるとすべての作業を完了するには6年かかり、費用は19億ドルだという。

空軍は今年早々に2012年に決定していたグローバルホークのブロック30機処分方針を撤回し、逆にU-2を全廃しようとしている。

わずか二年前には米空軍はグローバルホークの運用費用が高いとしていたが、その時点で同機をモスボール保存する案には議会の強い拒否反応が示されていた。

オバマ政権の2014年度予算要求では国防総省からRQ-4の運航コストの削減ができたとの報告があり、同機を温存し、U-2を全廃したいとしている。チャック・ヘイゲル国防長官によればこの決定は僅差で決まったという。■



2013年5月20日月曜日

グローバルホークの将来に不安材料①ブロック30早期退役を回避したいノースロップの事情

Northrop Proposes Cost Cuts, Sensor Change To Save Global Hawk

By Graham Warwick
Source: Aerospace Daily & Defense Report

aviationweek.com May 17, 2013
Credit: Northrop Grumman
ノースロップ・グラマンがグローバルホーク無人機の存続に努力しているのは米空軍が機齢が若いRQ-4Bブロック30を早期退役させ、代替するはずのロッキードU-2を優遇しようとしているためだ。
  1. 同社からはブロック30各機の運用コスト削減と航続距離拡大、電子光学赤外線画像センサーの解像度向上が内容の自主提案が固定価格で出ており、同機を2014年度以降も運用可能にしようとしている。
  2. 「議 論の中心が運用コスト・支援コストの削減と航続距離延長、解像度向上にあることは承知しています」とノースロップ・グラマンエアロスペースシステムズ社長 トム・ヴァイス Tom Vice, president of Northrop Grumman Aerospace Systemsは語る。
  3. 同 社は同機の委託ロジスティクス支援contractor logistics support (CLS)で10年間固定価格制の契約提案を米空軍に送っている。これでブロック30の時間あたり飛行コストcost per flight hour (CPFH)を2011年度実績比で4割下げるという。
  4. さらに今回の固定価格提案には航続距離・解像度の向上のためU-2のSYERS-2多周波数帯センサーまたは湿板式光学式パノラマカメラ Optical Bar Cameraをブロック30機体に空軍予測を下回る破格の価格で装着する内容も含む。
  5. 米空軍が.議会向けに作成した報告書ではブロック30とU-2の2012年度CPFHはでグローバルホークが $33,564、U-2が$33,407で「ほぼ同額」としている。
  6. .ただ目標地点への移動時間が長くなる傾向があり、長距離飛行で優れるグローバルホークがU-2より運用コストが下がるはずで、その理由として超高度飛行に投入する機数を減らせるからだと同報告書は指摘している。
  7. 空 軍参謀総長マーク・ウェルシュ大将Air Force chief of staff Gen. Mark Welshから議会に対して、コストは実は重大な要素ではなく、収集情報の質こそが大事なのであり、現場司令官は「U-2を好む傾向がある」と発言があっ た。U-2のセンサー有効距離から国境内部に侵入しなくても情報が集められるからだとする。
  8. 空軍が同等のセンサーで性能求めているため、ノースロップは自社資金でペイロード調整装置universal payload adaptor (UPA) を開発し、ブロック30のセンサーを換装し有効距離・解像度の向上を実現できるようにした。
  9. この装置を使いU-2のグッドリッチ製SYERS-2B EO/IRセンサーをブロック30にも搭載し、高解像度、直距離slant rangesも拡大させる。その他光学パノラマカメラと開発中のSYERS-3センサーの装着も提案。
  10. 空軍試算ではグローバルホークのセンサー換装は18機のブロック30機体対象で開発含み総額855百万ドル。
  11. ただ議会向け報告書では同じ18機へのSYERS-2B・光学パノラマカメラ装着を487百万ドルと記載。ヴァイス社長によればノースロップ提案の固定価格方式ではSYERS-2装着で空軍試算費用より6%低くくでき、政府もリスクを回避できるという。
  12. SYERS-2はGEF製でブロック30の6機への装着は50百万ドル未満で実施可能とヴァイスはいう。SYERS-2センサーはUU-2から流用する。
  13. 「同社提案は6機のセンサー交換で、空軍がほしいのは18機分」とウェルシュ参謀総長は議会で発言し、「提案ではU-2から装置をとりはずすのでU-2該当機は使用できなくなる」としている。
  14. 同社提案では湿板式パノラマカメラ、デジタル方式のSYERS-3他センサーの統合で「最高のセンサー性能」が実現するとヴァイス社長は言う。
  15. ただ大型カメラ搭載のため機体腹部搭載の合成開口レーダーを取り外す必要がある。SYERS-2やパノラマカメラ他のセンサーはその代わりに取り付ける装着調整器を通じて搭載される。ブロック30の通信情報収集センサーはそのまま搭載を続ける。
  16. また自社提案でブロック30で予定の21機の残り3機生産も持ちかけている。この予算は2013年に計上しているが、空軍は執行義務がなく、運用予定のない機体を購入する事は理にかなわない。
  17. この三機生産は海軍向けRQ-4Cトライトン最大68機の生産開始が遅れている中で同社にとってつなぎの意味を持つとヴァイスは認める。■