ラベル AC-130Jゴーストライダー の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル AC-130Jゴーストライダー の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2025年5月20日火曜日

AC-130Jガンシップにハープーン対艦ミサイルを装備する構想が実現しそうだ(The War Zone)

 A U.S. Air Force AC-130J Ghostrider flies over the U.S. Central Command area of responsibility, Jan. 31, 2025. Designed for close air support, air interdiction and armed reconnaissance, the AC-130J provides CENTCOM forces an expeditionary, direct-fire platform with 30mm and 105mm cannons. (U.S. Air Force photo by Staff Sgt. Gerald R. Willis)  

Staff Sgt. Gerald Willis/USAF



ハープーンミサイルはAC-130Jに敵艦船攻撃手段を提供し、新レーダーによる能力強化計画と相性が良い

特殊作戦コマンドは、AC-130Jゴーストライダー攻撃機にAGM-84 ハープーンミサイルを試験搭載した。ハープーンのAC-130Jの武装体系への追加は、同攻撃機に新たな専用対艦スタンドオフ能力を提供し、太平洋での将来の大規模紛争において特に重要な役割を果たす可能性がある。ハープーンは、新しいアクティブ電子スキャンアレイ(AESA)レーダーを活用してゴーストライダーの長期目標捕捉能力を拡張する別計画とも相性が良いとされている。

 米特殊作戦コマンド(SOCOM)第1分遣隊の指揮官であるアンドリュー・モンロー大尉は、本日開催された年次SOFウィーク会議での講演で、ハープーン搭載試験について言及した。本誌もこの会議に出席していた。フロリダ州エグリン空軍基地を拠点とする第1分遣隊は、AC-130Jの開発試験、MC-130JコマンドII特殊作戦輸送機、OA-1KスカイレイダーII特殊作戦軽攻撃機の試験を主に担当している。同部隊はまた、特殊作戦航空機の統合作業や特殊作戦航空能力のデモ支援も広範に実施している。

An AC-130J Ghostrider gunship. USAF Senior Airman Ty Pilgrim


「過去1年間、当チームはAC-130Jから精密打撃パッケージの試験、ハープーンミサイルの搭載、小型巡航ミサイルの統合と発射作業を実施しました」とモンロー大尉は述べた。

 精密打撃パッケージ(PSP)は、AC-130Jの武装パッケージおよび関連センサーと火器管制システムの正式名称だ。400マイルの射程距離を有する小型巡航ミサイル(SCM)は、ゴーストライダーに新たなスタンドオフ打撃能力を追加する現在の取り組みの一つだ。

 AC-130ガンシップの武装にハープーンを追加する可能性が初めて浮上したようだ。本誌は、現在31機のゴーストライダーを運用中の空軍特殊作戦コマンド(AFSOC)に詳細を問い合わせている。

 AC-130Jは現在、主貨物室に搭載され機体左側から発射される30mm自動砲と105mm榴弾砲を装備している。ガンシップは、コモン・ローンチ・チューブ(CLT)と翼下ラックを介して、各種精密誘導爆弾やミサイルを運用可能だ。これには、250ポンド級の滑空爆弾でスタンドオフ射程を提供するGBU-39/B Small Diameter Bomb(SDB)のバリエーションが含まれる。

 ゴーストライダーは、既存の武器体系で海上目標を攻撃する能力を実証しているが、ハープーン含む専用のスタンドオフ対艦弾薬を運用する能力は現在ない。

 ハープーン装備のAC-130Jの潜在的な能力は、ゴーストライダーの将来の高強度紛争における役割に関する疑問が高まる中で浮上している。特に、太平洋の広大な海域を舞台にした中国との大規模な衝突の可能性が指摘されている。これらの特殊作戦機は、米軍全体でテロ対策や低強度任務への重点シフトが進む中、同様の疑問に直面している機体の一つだ。過去20年間、イラクやアフガニスタンなどの比較的自由な空域での作戦を支援してきたAC-130は、地上からの砲火への脆弱性を軽減するため、ほぼ完全に夜間に活動してきた。

 本誌は昨年、RIMPAC演習でゴーストライダーが元オースティン級揚陸艦USSデュブクを砲火で攻撃する映像が公開された後、次のように記した:「RIMPAC 2024のSINKEX(沈没演習)の動画は、ゴーストライダー、特にその砲が、より大型の艦船に対して、または艦船を沈没させるのではなく、特殊作戦の乗船作戦などでの使用可能性を浮き彫りにしている。特に、機体の30mm機関砲は、艦船の甲板上の要員を攻撃するために使用される可能性がある。」

 「しかし、将来の大規模な紛争において、空軍のAC-130が、空や他の資産で支援される大規模な艦隊の一部として行動する高価値目標の砲撃範囲内に接近することは、ほぼ不可能に近い任務となるだろう。ゴーストライダーは、低リスク地域での艦船への攻撃や、仲間から離れて重傷を負った艦船の撃破支援に、その砲火を活かす可能性は残されている。友好部隊が展開する島嶼や港湾周辺での武装監視は、より高度な戦闘における将来の海上任務の一つとなる可能性がある。」

 AGM-84のようなスタンドオフ対艦ミサイルは、AC-130Jの戦術を大幅に変化させるだろう。前述の島嶼前哨基地や港湾周辺の部隊保護シナリオにおいても、ハープーンはゴーストライダーに、遠距離から海上脅威に対処する新たな有効な手段を提供する。

 AGM-84は、既に米国で運用されている武器であるという利点もある。ハープーンシリーズは現在も生産中で、改良型が継続開発されている。ボーイングが製造する現行世代のブロックII型ハープーンは、最大射程が「77マイル(67海里)を超える」とされている。同社は、軽量化に加え、より高度な弾頭を採用した射程延長型も提供している。

 米国空軍、海軍、海兵隊において、太平洋地域への焦点が移る中で、空中からの対艦攻撃能力の全体的な拡大に対する関心が高まっている。今後数年間で、AGM-158C 長距離対艦ミサイル(LRASM)を装備する予定の米国軍用機の一覧も拡大している。AFSOCのMC-130Jは、AGM-158 ジョイント・エア・トゥ・サーフェス・スタンドオフ・ミサイル(JASSM)を含む巡航ミサイルの発射プラットフォームとして試験された輸送機の一つだ。JASSMはLRASMの派生型で、パレット式弾薬システム「ラピッド・ドラゴン」を使用する。

 ここで注目すべき点は、C-130Jの製造元でありAC-130Jの改造を手掛けたロッキード・マーティンが、過去には同機の海上哨戒型変種にハーポーンを武装オプションとして提案していたことだ。SC-130Jとも呼ばれるこの提案されたバージョンは、ハープーンの派生型であるAGM-84H/Kスタンドオフ・ランド・アタック・ミサイル・エクスパンドド・レスポンス(SLAM-ER)を装備した姿も描かれている。AC-130Jに反艦ハープーンを統合することは、ガンシップの武装にSLAM-ERを追加する道筋となる可能性がある。

ロッキード・マーティンの提案するSC-130J海上哨戒機型のレンダリング画像。右翼下にAGM-84ハープーンミサイルが2基搭載されている。また、延長された着陸装置のスポンソン内に設置された武器ベイから対潜水艦魚雷を放出する様子も描かれており、これはSC-130Jコンセプトのもう一つの特徴だ。ロッキード・マーティン


 ハープーンを装備したAC-130Jで海上目標を検出・誘導する能力に関する疑問が浮上している。この点で、ゴーストライダーに新しいAESAレーダーを追加する別計画が役立つ可能性がある。これはSOCOMが2023年以降、積極的に推進しているプロジェクトだ。

 「AC-130Jに『高度な精密効果』を組み込むか、または提供することを検討している」と、SOCOMの固定翼プログラム執行部(PEO-FW)統合打撃プログラム部長のシャウナ・マティス中佐は、本日SOFウィークで本誌を含む出席者に述べました。「これにより、より遠くの目標を検知し、より正確な目標追跡が可能になります」

 マティス中佐はまた、レーダーが「競争の激しい環境での運用」に役立つ可能性にも言及した。本誌は過去の記事で、AESAレーダーがAC-130Jに脅威警告と状況認識の向上をもたらし、新たな電子戦能力を提供する可能性を指摘してきました。ゴーストライダー機群が新しいレーダーの配備を開始する時期は未定だ。  


米空軍


 「私たちはAPG-83(空軍で広く採用されているソリューション)を用いた先導的な取り組みを進めている」と、PEO-FWの責任者であるT・ジャスティン・ブロンダー大佐も本日SOFウィークのカンファレンスで述べた。「非特殊作戦部隊のインフラを可能な限り活用する方針だ。これにより、スケールメリットを享受できます」

 空軍は現在、ノースロップ・グラマンのAN/APG-83(スケーラブル・アジャイル・ビーム・レーダー、SABR)を、F-16C/D ヴァイパー戦闘機の大部分に統合するプロセスを進めている。AN/APG-83は空中監視能力に加え、合成開口マッピングモード(SARマッピング)を備え、高解像度画像を生成可能だ。これらの画像は、目標の探知・識別や一般的な偵察目的に使用可能だ。AC-130Jは、この能力を活用してハーポーンミサイルやSDBで敵艦を捜索・標的化することが可能だ。

 現在の計画は「既存の技術を活かし、それをAC-130Jに最適化すること」だと、ブロンダー大佐のAN/APG-83に関する発言を受けて、マティス中佐が付け加えた。

 AC-130Jにハープーンを装備する計画の具体的な内容は、まだ多くの点が不明だが、専用の対艦兵器は、特に太平洋での将来の戦闘を念頭に置いた場合、ガンシップの能力を大幅に向上させるだろう。■


Harpoon Anti-Ship Missile-Armed AC-130J Gunships Could Be On The Horizon

Harpoons would give AC-130Js a dedicated tool for engaging enemy ships and fit well with plans to boost their capabilities with new radars.

Joseph Trevithick

Published May 7, 2025 8:22 PM EDT

https://www.twz.com/air/harpoon-anti-ship-missile-armed-ac-130j-gunships-could-be-on-the-horizon


ジョセフ・トレヴィシック  

副編集長  

ジョセフは2017年初頭からThe War Zoneチームの一員だ。以前はWar Is Boringの副編集長を務め、Small Arms Review、Small Arms Defense Journal、Reuters、We Are the Mighty、Task & Purposeなど他の出版物にも寄稿しています。


2025年5月11日日曜日

AC-130Jゴーストライダーガンシップからの巡航ミサイル発射のテストに成功(The Aviationist)

 Leidos Black Arrow Tested from AC-130J

2024年11月、AC-130Jゴーストライダーの貨物ランプから転がり落ちるブラックアロー小型巡航ミサイルを示すスクリーンショット。 (すべての画像、クレジット:Leidos)


ブラックアロー小型巡航ミサイルは長期間飛行し、試験目標をすべて達成した


イドスLeidosは2024年11月にAC-130Jゴーストライダー・ガンシップから小型巡航ミサイル(SCM)通称ブラックアローの誘導飛行試験に成功していたことを明らかにした。「誘導飛行試験1」は、「航空機の互換性、システム性能、ウェイポイント・アップリンク、誘導精度、海軍水上戦センター戦闘管理システム(BMS)との統合」を検証したと同社は述べている。


キルチェーンを短縮した手頃な価格のモジュール式質量

 このシステムは、2023年12月に実施された「携行・収納安全分離飛行試験」以上に進化し、-2024年10月に初めて発表され、将来の「誘導飛行試験」も明らかにされた。その試験は1カ月後の2024年11月に行われた。 いずれのテストもAC-130Jを使って行われた。

 このプロジェクトは、Leidos、USSOCOM(アメリカ特殊作戦司令部)、AFSOC(空軍特殊作戦司令部)の間のCRADA(共同研究開発)として、USSOCOMのPEO-FW(プログラムエグゼクティブオフィス-固定翼)が監督している。


テスト

 レイドスは、ブラックアローを "低コストで、200ポンドクラスのミッションに適応可能な運搬プラットフォームであり、キネティックミッションと非キネティックミッション両方のスパイラルアップグレードを容易にするように設計されている"と説明している。この記述によれば、同ミサイルは、様々なミッションのニーズに対応するため、誘導、シーカー、ナビゲーションの各モジュールをスワップ可能なモジュール式システムであり、その中には、レーダー・ベイトやデコイ・システムを用いたSEAD/DEAD(敵防空の制圧/破壊)も含まれる可能性がある。

 ビデオでは、SCMは「航続距離、持続時間、終端精度を含むすべてのテスト目標を達成し、長時間飛行した」と言及されていることから、ミサイルの運動能力についてのみテストされたようだ。これらの属性について期待される性能ベンチマークはまだ公表されていない。

 しかし、レイドスは現在、「2025年を通しての試験・評価活動」のために「USSOCOMと契約中」であることを確認している。これらの潜在的に広範なテストは、ミサイルのシーカー、誘導システム、ナビゲーション、そしてもし含まれていれば、コース中間更新能力の個別および統合された性能を評価することが期待されている。


最新のテスト中、AC-130Jのタラップ上の2つのRLTを示すスクリーンショット。

 ビデオでは、SCMがAC-130Jガンシップのオープン・タラップ上のランプ・ローンチ・チューブ(RLT)として知られるパレット化されたシステムから放出される様子が映し出されている。ミサイルはテールファーストでロールオフしてリリースされる。 タラップから離れると、ミサイルの尾翼が展開し、胴体上部に取り付けられた一枚板の主翼が飛行位置まで回転する。

 ビデオでは、エンジンの点火後、ミサイルが指定エリアに向かって移動する様子が映っている。どのような推進力が使われているかは不明で、赤外線カメラの映像からは特定できない。この種の兵器は通常、小型ジェットエンジンかロケットモーターを使用するが、エアインテークがあるとしても見えない。

 ミサイルが標的に命中する様子は映っていないが、おそらくAC-130Jに搭載されたEO(Electro-Optical)システムによるものと思われ、さまざまな角度や距離から撮影されている。しかし、SCMは未知のターゲットへの着弾を含む全飛行プロフィールを実施したと報告されている。


ブラック・アローミサイルの能力

安価で、モジュール化され、スケーラブルな質量も重要だが、飛行中に照準のアップデートを受信し、交換する能力は重要であり、新世代兵器にとって不可欠な機能である。そうでなければ、ミサイルは既知の固定目標に対する攻撃のみに制限され、数週間とは言わないまでも、数日間の事前の偵察や監視が必要となり、機会目標を交戦する能力はない。

 レイドスによれば、ブラック・アローの「タイムリーで費用対効果の高い開発」を達成するため、「モデル・ベースのシステム・エンジニアリング手法」を採用したという。空軍が提唱するアーキテクチャ標準と空軍研究本部の「武器オープン・システム・アーキテクチャ」を設計に活用することで、ミサイルの各部分を迅速に変更、交換、アップグレードすることが可能になり、おそらく主契約者(レイドス)に依存する必要がなくなる。


エンジン始動直後にIRカメラで撮影されたブラックアローSCMのスクリーンショット。


 レイドスのミサイル・航空システム担当上級副社長マーク・ミラーは、「運用中の航空機から能力を実証することに成功しながら、これらの厳しい基準に適合させることは、要請があった場合にブラック

・アローを迅速に実戦投入するポジションを強力に築くことになる」と語った。貨物機からのRLT発射のほかに、ブラック・アローはパレットシステムや「固定翼機からの従来の格納庫放出」からも発射可能だ。

 パレット化された発射は、米空軍とAFRLのラピッド・ドラゴン・プロジェクトで使用される可能性がある。ここで選択されている武器は、大型のAGM-158 JASSMである。ブラック・アローは小型で、航空機に搭載するスペースが少なくて済むため、より多くの本数を発射することができ、あるいはJASSMとペアで協調発射することもできる。

 F-15Eストライク・イーグルや新型のF-15EXも、将来のシナリオでは「爆弾とミサイルのトラック」として運用されることが想定されているため、ブラック・アローをテストする可能性は否定できない。レイドスの声明は、ブラックアローはSCM CRADAが2022年に結成されて以来求めていた「手頃な質量」のニーズに合致していると付け加えた。

 2023年12月の試験では、すでに「安全な分離、良性ストアダイナミクス、軌道特性のデジタルツイン予測」が確認された。さらなる試験では、"海軍水上戦センター戦闘管理システム(BMS)との統合、運用飛行ソフトウェア機能、航行性能、飛行安全システム機能を実証 "した。


キルチェーンを短縮した手頃な価格のモジュール式兵器になる

 ミラーは同社リリースの中で、「BMSと統合しながらAC-130プラットフォームからこのテストを実施することで、航空機乗組員やオペレーターは、我々のSCMがどの程度機能するかを確認することができた」と付け加えた。声明はまた、USSOCOMのPEO-FWのジャスティン・ブロンダー大佐が、3月にエグリンAFBで開催された特殊空戦シンポジウムで、「SCMは重要な能力であり、AFSOCの長距離キルチェーンを閉じる能力を急速に前進させる」と述べたのを引用している。

 ミッチェル航空宇宙研究所(Mitchell Institute of Aerospace Studies)は、武器や発射プラットフォームそのものに関与するのではなく、センサーと射手の間の目標捕捉と追跡に関するキルチェーンの「要素を破壊する」という中国の新たなドクトリンを指摘している。これは、北京とモスクワの双方が著しい進歩を遂げている高度な電子戦(EW)によって達成される可能性があるが、ネットワーク内の複数のコンポーネントが連携可能な長距離スタンドオフ攻撃におけるより長いキルチェーンは、このアプローチに対して最も脆弱である。

 ブラック・アローはまた、巡航ミサイルとしても機能する低コストの一方向攻撃ドローンに米軍が注目している時期に登場した。■


Leidos Black Arrow Successfully Tested from AC-130J Ghostrider Gunship

Published on: April 13, 2025 at 7:35 PMFollow Us On Google News

 Parth Satam

https://theaviationist.com/2025/04/13/leidos-black-arrow-tested-ac-130j/


2024年3月22日金曜日

AC-130ガンシップへのレーザー兵器搭載案は中止に。105ミリ榴弾砲も撤去か。対中戦での同機の位置づけに苦慮する空軍特殊作戦軍団。

大いに期待されていた空中レーザー兵器ですが、技術的に難航しているようです。さらに対テロ作戦では大いに実効性を発揮したAC-130も対中戦でどう運用できるのか疑問が呈されています。AがだめならBという臨機応変さも重要ですが、ブラックの世界で画期的な新兵器が開発され、驚くような短期間で既存装備に搭載される可能性もあります。またラピッド・ドラゴンのように既存装備に、新戦力を整備するアプローチもありますので、今回の計画変更に失望ばかりしていても仕方ないでしょう。The War Zone記事からのご紹介です。


The US Air Force no longer plans to flight test a laser directed energy weapon on an AC-130J Ghostrider gunship.USAFAC-130ガンシップのレーザー兵器は中止、105mm榴弾砲は撤去の可能性

AC-130Jに初の実戦型空中レーザー兵器を搭載する計画が中止へ


空軍は、レーザー指向性エナジー兵器で武装したAC-130Jゴーストライダーガンシップの飛行試験計画を、長年の遅れの末に破棄した。   AC-130J用の空中高エナジー・レーザー・プログラムは、米軍初の空中レーザー指向兵器として運用される予定だった。これはまた、対反乱作戦からハイエンドな戦闘計画への幅広いシフトの一環として、AC-130Jの現在および将来的な計画能力の見直しの中で、すべてが行われ、ガンシップが105ミリ榴弾砲を失う可能性がある

 空軍特殊作戦司令部(AFSOC)は、プロトタイプの空中高エナジー・レーザー(AHEL)システムをAC-130Jでテストする計画が中止になったのを確認し、プログラムの現状に関するその他の詳細を本日未明に本誌に提供した。

 AFSOCの広報担当者は声明の中で、「オープンエア地上試験で重要なエンドツーエンドの高出力動作を達成した後、AHELソリッドステートレーザーシステムは技術的な課題に直面した。このためAC-130Jブロック20への統合を遅らせた」。

 当初、AHELシステムを搭載したAC-130Jの飛行テストは2021会計年度中に行われる予定だったが、このスケジュールは何度も延期された。2023年11月、AFSOCは本誌に対し、レーザー武装したゴーストライダーが今年1月に空を飛ぶと伝えたが、それは実現しなかった。

 ロッキード・マーティンは2019年にAHELの初期契約を獲得し、その範囲にはシステムのレーザー光源の供給と、AC-130Jにシステムを統合するサポートが含まれていた。AHELシステム一式には、ビーム・ディレクターやその他のコンポーネントも含む。

 「その結果、このプログラムは、運用と信頼性を向上させる地上テストに再度焦点を当て、他機関による使用のための引渡しへの態勢を整えた」と声明は付け加えた。

 先週発表された国防総省の2025会計年度予算要求では、AHELへの新たな予算提供はない。公式の予算文書によれば、このプログラムは2024会計年度で終了する予定だからだという。

 AHELプログラムの研究成果から恩恵を受ける「他の機関」の動向や、同プログラムで開発された60キロワット級レーザー指向性エナジー兵器システムの正確な状況は不明である。AFSOCは、さらなる質問は米特殊作戦司令部(U.S. Special Operations Command)へと指示した。

 米海軍の海軍水上戦センター・ダールグレン部門(NSWCダールグレン)は、AHELプログラムに深く関与していた。海軍は、HELIOS(High-Energy Laser with Integrated Optical Dazzler and Surveillance)と呼ばれる60キロワット級のレーザー指向性エナジー兵器を含め、さまざまな種類の艦上指向性エナジー兵器の開発と実戦配備に非常に積極的である。ロッキード・マーティンは同システムの主契約者でもある。

 米陸軍と米海兵隊も、さまざまなタイプの空中・地上指向性エナジー兵器の開発と実戦配備に取り組んでいる。

 空軍は近年、空軍研究本部(AFRL)の自機防御用高エナジー・レーザー・デモンストレーター(SHiELD)プログラムの下で、別の空中レーザー指向性エナジー兵器に取り組んできた。SHiELDは、表向きは飛んでくるミサイルの防御を目的とした戦術ジェット機用のポッド型システムを中心に開発された。過去には、2025年にSHiELDポッドの飛行試験を開始する目標が掲げられていたが、現在の状況は不明である。

 空軍は、基地防衛用を含め、その他指向性エナジー兵器プログラムも追求している。より大きな次世代航空支配(NGAD)構想も含め、機密領域で作業が行われていると理解されている。

 現在の空軍AC-130J30部隊にとって、AHELプログラムの終了は、ゴーストライダーの武装パッケージやその他の現在および将来の能力の将来についてのより大きな疑問の中でもたらされた。ゴーストライダーは、能力の再評価の一環で、105ミリ榴弾砲を失うことになるという兆候が高まっている。

 米国防総省の最新予算要求によると、「後部兵器システム(105ミリ砲)を撤去し、後部セクションを改修し、米特殊作戦司令部(USSOCOM)の乗組員削減イニシアチブを支援するために乗組員の作業負荷を最適化するエンジニアリング分析と開発を開始する」と2024会計年度におけるAC-130Jの計画にある。本誌は、AFSOCにさらなる説明を求めている。

 空軍は当初、AC-130Jの兵装パッケージに105mm榴弾砲を含めない予定であった。その後、AC-130Jは方針を転換し、最近は改良型の榴弾砲をゴーストライダーに搭載する作業を進めていた。だが作業は、能力見直しが始まった昨年に中断した。昨年11月時点で、30機のAC-130Jのうち、このアップグレードを受けたのは17機だけだった。

 AFSOCは、AC-130Jが将来のハイエンドの紛争、特に太平洋における中国との紛争にどう貢献するかについての議論のため、ゴーストライダーの現在および将来の計画能力について、この新しい見方をとっている。AC-130Jは現在、主に地上の特殊作戦部隊の超近接支援を任務としており、ほとんど許可環境か半許可環境、夜間のみで活動している。

AHELはこれまで、対反乱タイプの低強度任務の支援に理想的に適していると発表されてきた。

 国防総省の予算関連文書によれば、空軍は同ガンシップに新しいアクティブ電子スキャンアレイ(AESA)レーダーを追加しようとしている。AFSOC所属のその他C-130は、ラピッド・ドラゴンと呼ばれるパレット化兵器システムのテストに大きく関与している。ラピッド・ドラゴンは、既存の貨物機をAGM-158 Joint Air-to-Surface Standoff Missile(JASSM)巡航ミサイルやその他のスタンドオフ弾の発射プラットフォームに容易に変更する方法を提供する。SOCOMは以前から、AC-130を高性能化する敵の防空網から遠ざけるためもあり、射程の長い精密誘導弾をAC-130に統合することに関心を示してきた。ゴーストライダーに関して言えば、精密誘導弾の採用に重点を戻すことは、その作戦上の妥当性を継続的に確保するために重要かもしれない。

 全体として、AC-130Jに見られる能力の正確な組み合わせは、近いうちに大幅に進化するようだ。しかし、ゴーストライダーにとって、レーザー指向性エナジー兵器搭載の可能性は消えた。■


AC-130 Gunship's Laser Weapon Cancelled, 105mm Howitzer May Be Removed


.BYJOSEPH TREVITHICK|PUBLISHED MAR 19, 2024 1:56 PM EDT

AIRNEWS & FEATURES



2021年10月10日日曜日

AC-130Jに高出力レーザー兵器を搭載し、敵に気づかれないステルス空中攻撃手段が実現する。

 下の想像図では赤い光線を意図的に描いていますが、無色の光線となれば、攻撃される側からは不気味としか言いようがありませんね。有効射程がどこまで本当にあるのかわかりませんが、新たな攻撃手段が着々と実用に向かっているということでしょうか。


Artist rendition


10月7日ロッキード・マーティンは米空軍向けに空中高エナジーレーザー(AHEL)の納入を開始し、AC-130Jゴーストライダーガンシップで実施試験を来年中に開始すると発表した。



「当社の技術は今すぐにも実地運用可能だ」とロッキード・マーティン高性能製造ソリューションズ副社長リック・コーダロが述べている。「米空軍のレーザー兵器システム開発で大きな一歩となり、当社と空軍の協業関係の成功を物語るものだ」


今回の60キロワット出力レーザー兵器ではゴーストライダー機に搭載した150mm火砲の破壊力は生まれないが、従来なかった効果を生む。AHELは全く気付かれないまま、遠距離から敵標的を攻撃できるからだ。


ゴーストライダーは30mm機関砲弾からAGM-114ヘルファイヤーミサイルまで各種の攻撃手段を搭載するが、いずれも発射後に機体位置を知られずにはできない。だがAHELを使うと、60キロワットと特段強力ではないものの、敵は発射位置を探知できない。音もなく、ビームも視認できないまま数マイル先から標的を焦がし、発火させ、あるいは敵の弾薬を爆発させられるが、敵には原因がわからないはずだ。


米空軍航空兵装センターのジョン・コーリー作成の発表資料ではAHELによりミッション実行しながら関係を否認できるようになる。言い換えるとこの兵器を使用しても米軍の関与を疑わせないことになる。グレイゾーンの軍事行動という今日的課題で極めて重宝される機能だ。




空軍ではAHELによる敵標的撃破効果を「調整可能」とし、つまりビームの威力を絞り、車両のタイヤを溶かすことから、通信アンテナを使用不能にするまで調整可能で、いずれも爆発を伴わない。


その他の場合ではAHELを使い敵陣地内で発火させることで貯蔵品を引火させる、あるいは重要装備を使用不能にすることが想定される。いずれも防衛側の注意をひかずに実行できる。


空軍はAHEL実弾演習を来年に開始する準備に入っている。■


Air Force takes delivery of 'stealthy' laser weapon for Ghostrider gunships

Alex Hollings | October 8, 2021


2019年7月15日月曜日

AC-130Jゴーストライダーが初の実戦投入。ガンシップは新時代に突入。

AC-130J Ghostrider Gunships Have Flown Their Very First Combat Missions AC-130Jゴーストライダーガンシップ機が初の実戦投入

The AC-130J's arrival in Afghanistan marks a historic changing of the guard as older AC-130Us have now finished their last scheduled deployment AC-130Jがアフガニスタンに到着し、旧型AC-130Uと交代し歴史の新しいページが開かれた

.

BY JOSEPH TREVITHICKJULY 10, 2019
USAF
空軍が導入したAC-130Jゴーストライダーがアフガニスタンで2019年6月に初めて実戦投入された。同機はAC-130UスプーキーIIからガンシップ任務を引き継ぎ、スプーキーII部隊は米本国へ帰還した。
Northwest Florida Daily News紙がいち早く2019年6月28日に報じたのはAC-130Jが初の戦闘ミッションをアフガニスタンで実施したというもので、フロリダ州にあるハールバートフィールドでの米空軍特殊軍団(AFSOC)の司令官交代式典で詳細があきらかになった。
「AC-130Jが海外出初の戦闘任務に投入されたことをお伝えでき嬉しく思う」と米空軍のキーヴィー・レイク大尉AFSOC広報官がThe War Zoneにメールで2019年7月10日に伝えてきた。「AC-130Jの初投入は2019年6月末のことでAC-130Uの任務が解かれ、同型機はハーバートフィールドに2019年7月8日に帰投している」
空軍はAC-130Jの初期作戦任務能力を2017年末に宣言しており、2018年にハーバートフィールドの73特殊作戦飛行隊が同型の初の実用飛行隊になった。同隊がアフガニスタンで同型機を運用中
USAF
73特殊作戦飛行隊のAC-130Jがエストニアでの2018年演習に投入された。 

73隊のゴーストライダー初投入について多くは不明だが、AFSOCのAC-130は夜間飛行が主で地上の特殊部隊を支援すべく、近接航空支援または監視飛行をしている。アフガニスタンでの米特殊部隊の活動は依然活発でタリバンはじめ戦闘員多数との交戦が続いている。
以前はAC-130を投入して特定人物への攻撃を行い、極秘の共同特殊作戦部隊を支援したこともある。第4特殊作戦飛行隊のAC-130Uが国境なき医師団の病院があるアフガニスタン・クンドゥスを2015年に誤射した事件は有名だ。その後の調査で機器故障と人的ミスが重なり悲劇につながったと判明した。
U型運行は第4飛行隊が最後となった。今後も同型は緊急時に備え一部を温存するがAC-130Jの納入で完全に交代する。ゴーストライダー納入は2019年3月に始まったばかりだ。
Embedded video
The AC-130U has been working hard for more than 20 years, haunting the night skies above the enemy. Now it's time for the AC-130J Ghostrider to pick up where the Spooky left off.

ゴーストライダーの引渡しは2021年に終了予定で最終的に37機が空軍に揃うと残るAC-130U、AC-130WスティンガーIIガンシップが用途廃止となる。2019年3月時点でAFSOCはU型10機、W型12機を退役させていた。AC-130Hスペクターは2016年に全機退役となっていた。
AC-130J投入でAC-130Uの戦闘任務投入が終了するとAFSOCのガンシップ運用が大きく変わる。スプーキーIIは1995年に就役し、空軍に残る旧型AC-130ガンシップの最後の存在だった。五連装25mmGAU-12/Uガトリング砲、単装40mmボフォース砲、105mm榴弾砲各一で武装していた。
各機はヴィエトナム戦時代のAC-130の直系で、AC-130Uは第二次大戦時の40mmボフォース砲搭載の最後の機体だった。同砲は効果は大きいが運用と保守管理が大変で空軍は世界各地で部品集めに駆けずり回ったほどである。結果として1940年代の40mm弾を再生産して装備運用を続けていた。
CLEMENS VASTERS VIA WIKIMEDIA
40mmボフォース砲(左)と105mm榴弾砲(右)を搭載したAC-130Hスペクターガンシップ。AC-130Uは同様の兵装を搭載する。

これに対しAC-130Jは全く違う存在で105mm榴弾砲は搭載するが、小型の30mmGAU-23/Aブッシュマスター砲に切り替えている。同時にゴーストライダーは当初から精密誘導兵器の運用を前提とし、AGM-114ヘルファイヤーミサイルやGBU-39/B小口径爆弾(SDB)、GBU-44/Bヴァイパー打撃誘導爆弾、AGM-176グリフィン(推進式ミサイル、無動力誘導爆弾のいずれでも運用可)を搭載する。AC-130WはC-130H輸送機を改装し、全く同じ装備を運用する。
空軍はAC-130JやAC-130Wには105mm榴弾砲の搭載は想定していなかったが最終的に方針を変更。AFSOCはブロック20仕様のAC-130Jに榴弾砲を搭載して2016年に初受領した。ゴーストライダーの30mmGAU-23/Aの性能には懸念があったが、その後解決したとペンタゴンの作戦試験評価部門が認めている。
精密誘導兵器の性能によりガンシップの戦力に新しい次元が開けた。スタンドオフ攻撃が可能となり、複数目標を同時攻撃できるようになった。今後導入される兵装のGBU-53/Bストームブレイカー(旧称SDBII)、GBU-69/B小型誘導弾はともに複合モードの誘導兵器でAC-130Jの作戦柔軟性が増す。30mm、105mm砲により以前同様に極めて精密な直接火力支援を提供できる。
AC-130Jではセンサー、データリンク、通信装備、他の性能向上もはかられている。最新のブロック30のゴーストライダーの受領が2019年3月に始まっており、ブロック20からの改良が見られる。その一つがセンサータレットに高精度の電子光学赤外線フルモーションビデオカメラがつき、ブロードバンド衛星通信用の「ハンプ」が機体上部に着いたのが特徴だ。
USAF
第4特殊作戦飛行隊がブロック30仕様のAC-130Jを検分中

空軍はガンシップ各機の残存性を今後の戦闘環境でも維持すべく改良を加えようとしており、GPSジャミング対策もそのひとつだ。2018年に米陸軍のレイモンド・トーマス大将(米特殊作戦司令部総司令官、当時)は国名こそ特定しなかったがロシアあるいはロシア支援を受ける部隊がシリア上空のガンシップに電子攻撃を試みていると発言していた。
新規装備もゴーストライダーに今後導入されるはずで、AFSOCは高出力レーザー兵器の実証を2022年に予定している。
.AC-130Uの運用予定がなく、AC-130Jが戦闘ミッションに投入される中、空軍はガンシップ作戦の新時代に突入したと言える。■
Contact the author: joe@thedrive.com

コメント 航空自衛隊にもC-130Hが14機ありますが、ガンシップへ改装したらすごい戦力になりますね。ただし、運用する場所は国外になってしまいそうですが。ガンシップは制空権が確保されているのが前提なので今後の世界では運用がむずかしくなるのかもしれません。ロシアが今からAnt輸送機を改装してガンシップにするというのは出遅れの観があるのですが

2017年12月14日木曜日

AC-130ガンシップは活躍の場が今後もあるのか

Close Air Support Debate: We Go Inside an AC-130 to See if the Gunship is Still Relevant

近接航空支援を巡る議論あるが、AC-130を見ればガンシップは未だ有意義だとわかる



AC-130スペクター・ガンシップは近接航空支援で重要な役目を担い続けている

 By Tom Demerly
Dec 13 2017 - 0 Comments

  • 鈍足で防空装備特に携帯型SAMに脆弱な機体である。戦場環境が許せば驚くほど各種弾薬で正確に火砲支援を実現する。これがAC-130スペクターガンシップだ。
  • A-10の役割に疑問がつきF-35共用打撃戦闘機が台頭し、空軍は軽攻撃機実証を行い、武装つき遠隔操縦機(RPAs)も運用する中、AC-130スペクターは空軍が想定する各種作戦機材に適合するのだろうか。
  • まず「ガンシップ」が戦闘機材の一つになったのはヴィエトナム戦のことでプロジェクト・テイルチェイサーとしてミニガンをコンヴェアC-131B輸送機に搭載したことに始まる。ミニガンはGAU-2/A一丁だった。これはベルト駆動複数中弾倉を備えたガトリング銃で銃身の過熱を避けつつ高速発射が可能だった。
  • 興味深いのはこの1960年代のガンシップコンセプトが今日の軽攻撃機実験に類似していることだ。ヴィエトナム戦のガンシップでは既存装備と機材を使った。ガンシップはそもそもは非対称戦のゲリラ戦への対応策として構想された。この二つの要素は今日の軽攻撃機実験でも生きている。
  • プロジェクト・テイルチェイサーから有名なAC-47ガンシップが生まれた。同機こそ最初の「ガンシップ」と目されている。
  • コールサインを「パフ」(ヒット曲Puff the Magic Dragonから)としたAC-47が初出撃したのは1964年12月15日でその成功に続いたのがAC-119Gシャドウ、AC-119Kスティンガーでこのうち後者はターボプロップと補助ジェットエンジンを装備した唯一の機材だった。その後をうけてAC-130Aプロジェクト・ガンシップIIが1967年に始まりヴィエトナムにすぐ投入された。
  • ヴィエトナム戦以前にも機体に機銃を搭載し対地攻撃、対空攻撃にあたらせる構想があった。B-25ミッチェルは機首に8門の機関砲を搭載し対地攻撃に投入された。B-17空の要塞はブラウニングM2機銃18丁を搭載し空対空専門のガンシップYB-40に改装され、味方爆撃機編隊を敵戦闘機から守るのが目的だった。48回出撃し単発護衛戦闘機の航続力不足を補った。
  • ガンシップの脆弱性が痛感されたのは湾岸戦争時の1991年1月31日の早暁のイラク・カフジだった。AC-130Hスペクター(コールサイン「スピリット03」)が第16特殊作戦飛行隊からカフジ攻防戦で米海兵隊の支援にあたっていた。海兵隊からイラク軍の「ミサイル陣地」に空爆要請が入り、周囲が明るくなるとAC-130Hは地上から格好の標的になったが海兵隊の指示通りの場所に銃弾の雨を降らせた。だがイラクのSA-7「グレイル」携帯型対空ミサイルが「スピリット03」に命中した。同機はそのまま飛行したが洋上に墜落し乗員14名が死亡した。この事件で大型低速で低高度を飛ぶガンシップが最新式小型対空兵器に脆弱だと明らかになった。
  • ガンシップの投入はテロ対策戦で続いており、最新事例では地上情報収集との統合の必要性が明らかになった。2015年10月3日、AC-130Uがアフガニスタン・クンドゥズで精密航空攻撃に投入された。標的はクンドゥズ治療所でタリバン戦闘員が占拠していると思われていた。攻撃は30分間で国際援助団体国境なき医師団によれば「少なくとも42名が殺され、30名以上が重軽傷になった」とし、多くは非戦闘員だったと主張。この事件は政治的にも人道的にも悲惨だが、逆にAC-130ガンシップの威力を知らしめた。
  • イラクでのガンシップ運用の実態はよくわからない。わかっているのはAC-130がA-10とともに有名な空爆作戦に投入されISIS支配下の燃料トラック116両をシリアのアブカマルで破壊した事例だ。2015年11月15日のことだった。
  • その後もガンシップの成果はつづき、2017年11月に最新のAC-130Jゴーストライダー6機が引き渡されている。AC-130Jは大幅改修されており、30mm砲、105mm砲、AGM-176グリフィンミサイル、ヘルファイヤーミサイル、GBU-39小口径爆弾を運用する史上最強のガンシップになったとAir Froce Timesがまとめている。
  • 同紙はまた2016年10月の記事で新型AC-130Jゴーストライダーは軽量、高速、高性能と評し、空軍少佐ジャロッド・ビアーズが「旧式機より燃費が25から30パーセント改善され最高速度は365ノット(416マイル)でAC-130Uの300マイルより早い。航続距離も3,000マイルで高度も28戦フィートまで上昇可能とAC-130Uより3千フィート高く昇れる」という。

第一特殊作戦飛行集団第二分遣隊のAC-130J ゴーストライダー機内で105mm砲を操作するTech. Sgt. Jarred Huseman(左)とTech. Sgt. Oscar Garcia。Ghostrider gunship, “Angry Annie,” during a training mission over Eglin Range, Fla., Jan. 23, 2017年1月23日の訓練ミッション(フロリダ州エグリン演習地)にて。(U.S. Air Force photo by Senior Airman Jeff Parkinson)
  • さらにレーザー兵器をAC-130Uに搭載する構想がある。2017年4月の「National Defense」誌は「空軍はAC-130Uの化学レーザーとは別に高性能電気レーザーをテストする。機体振動の影響を受けずにビームを安定させられるかが課題だ。ただし民生品で光学安定機能がGoProカメラ、望遠レンズまで応用されており、AC-130U搭載のレーザー兵器でも早期に解決される。テストでは30mm砲の位置にレーザー兵器を搭載している。


将来のAC-130はレーザー兵器を安定して運用するだろう (Photo: USAF)

  • AC-130Uゴーストライダーにレーザー兵器を実戦導入する案はいまのところないが、試験結果で変わりそうだ。ただAC-130ガンシップ搭乗員の間で一つだけ絶対に確かなことがある。大型ガンシップが当面消えることはない。F-35や遠隔操縦機、軽攻撃機実証の結果にかかわらず。大型ガンシップは実力を発揮する機会があり、戦力を強めながら相当の間にわたり脆弱性をカバーしていくだろう。■