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2025年8月26日火曜日

中国がシコースキーS-97レイダー高速ヘリコプターをクローン化(TWZ)―米国が革新的技術を開発しながら継続できず、中国がそれを盗み国内で開発を完了する、という構図では米国に勝算はないでしょう

ご注意 本ブログでは可能な限り言語発音に近いカタカナ名称を採用していますので、一部の用語で国内で定着している呼称と異なることがあります

中国の新型ヘリコプターは、同軸主ローターとプッシャープロペラを採用し、米国製シコースキーS-97レイダーとほぼ同一の設計となっている。

中国が初めて有人ティルトローター機を飛行させた画像が公開されてからわずか3日後、これまで知られていなかった複合同軸ヘリコプターがその姿を現した。この航空機の名称は不明だが、現在試験飛行中であり、米国製のシコースキー S-97 レイダーの直接のクローンである。この開発は、中国も従来型ヘリコプターよりはるかに高い速度と機動性を備えたこの種の航空機の利点を活用しようとしていることを示している。

新型複合式同軸ヘリコプターの画像が本日公開され、中国の大手マイクロブログサイト「ウェイボー」に最初に投稿された。画像には飛行中の回転翼機が写っており、S-97との密接な関連性は一目瞭然だ。最も根本的な点だが、中国設計は同じ推進配置を採用しており、4枚ブレードの同軸主ローター( rigid design に見える)とプッシャープロペラを備えている。中国の機体はほぼ同じサイズで、同じ「タコ足」のような機体形状と着陸装置配置を備えている。S-97同様、中国のヘリコプターも比較的大きな板状の水平尾翼と端板付き尾翼を備えている。ただし、尾翼のデザインは異なり、尾翼の大部分が尾翼面の上方に突出している。

S-97 Raider. シコースキー

中国設計が西側航空機と表面的な類似性を共有する事例は、以前もあったことを思い出しておく価値がある。回転翼機分野では、ハルビン Z-20ヘリコプターは、H-60/S-70 ブラックホーク/シーホークの中国製クローンと広く見なされており、中国のFH-97 ドローンは、XQ-58A ヴァルキリーのコピー品のように見える。これらは単なる2つの例に過ぎないが、既存の西側設計を単に模倣しているという指摘は過度に単純化されているものの、中国は複数回にわたり、米国の航空宇宙防衛企業から詳細な設計情報をハッキングしたとの指摘がある。

長征Z-8/Z-18中型輸送ヘリコプターの後方から飛ぶ新型複合ローター機の後方視図。via X

新型複合同軸ヘリコプターの開発にどのような西側の技術が活用されたにせよ、中国がこの分野に進出している点と、確立されたS-97設計をここまで忠実に追随している点は興味深い。

シコースキーのS-97 プロトタイプは、同社のX-2とX-49デモ機の後継機で、大型のレイダーXの80%の代替機として開発され、重量は約14,000ポンドだった。試験では、このヘリコプターは200ノットを超える速度を達成し、従来の回転翼機の最高速度を大幅に上回っている。レイダーXはより尖った機首と逆転した着陸装置配置を採用しているが、その他の形状は本質的に非常に類似している。

レイダー X は、米国陸軍の Future Attack Reconnaissance Aircraft (FARA) プログラム向けにシコースキーが提案した機体で、ベルの 360 インヴィクタス(傾斜した尾翼ローターを備えた従来型単主ローターヘリコプター)と競合した。FARA は、OH-58D カイオワ・ウォーリアの退役で空白となった武装偵察機の役割を埋めるために考案された。実際にはその任務はRQ-7シャドウとMQ-1Cグレイイーグル無人機とAH-64アパッチ攻撃ヘリコプターの組み合わせで遂行された。FARAは陸軍で運用中のAH-64を置き換えることが期待されていたが、プログラムは2024年初頭に中止された。

S-97/レイダーX(および現在類似の中国製回転翼機)の複合同軸配置の核心は、尾部に配置されたプッシャープロペラと、尾翼ローターを不要にする剛性ある逆回転ローターだ。プッシャープロペラは、急加速と急減速、操縦性の向上、持続巡航速度の向上を可能にする。航続距離も標準的なヘリコプターより延長されるが、ティルトローターほどではない。従来型ヘリコプターとは異なり、このような複合同軸ヘリコプターは、機首を上向きのまま前進したり、機首を地面に向け後退したりできる。さらに、レイダーは単一点を中心に機首を下向きに回転する「ピルエット」動作を定期的に実演している。

これらの複合同軸ヘリコプターは、通常のヘリコプターが前進加速時に機首を下げる必要があるのに対し、水平姿勢を維持したまま最高速度で飛行できる。前進飛行時、プッシャープロペラを起動し、回転するローターを遅くして翼のような役割を果たすようにすることで、ドラッグを軽減し、速度と効率を向上させることができる。本質的に、標準的なヘリコプターではブレードが回転の一部で揚力を生成するのに対し、ローターブレードは回転中に機体の両側で揚力を生成する。

ほぼ完成したシコースキー・レイダーXプロトタイプ。シコースキー

速度は戦場での脅威に対する免疫を約束するものではないが、確実に価値ある向上だ。これは伝統的な地上火器を含む脅威への曝露時間を短縮し、敵が有効な攻撃を仕掛けるための反応時間を短縮する。速度の他の利点には、戦闘地域への移動時間の短縮と、高速ダッシュで特定の脅威から逃れる可能性が含まれる。

FARAは失敗に終わったが、シコースキーがボーイングと共同開発した「Defiant X」は、米陸軍の「Future Long-Range Assault Aircraft(FLRAA)」プログラムの候補機として、最終的にUH-60 Black Hawkの少なくとも一部を置き換えると期待されている。Defiant XはS-97/Raider Xと同じ基本構成を採用していたが、30,000ポンド級にスケールアップされていた。結果的に、FLRAAではベルのV-280 Valor先進ティルトローターに敗れた。

生産モデルを再現したデファイアント X のレンダリング画像。シコースキー

これにより、シコースキーの複合同軸ヘリコプターは、FARAと FLRAA を含む米陸軍の広範な「フューチャー・バーティカル・リフト(FVL)」構想における小型・中型カテゴリー双方で足場を築けていない。

ただし、この概念が死んだわけではなく、中国はその能力を追求する価値があると明確に考えている。

また、中国の新型複合同軸ヘリコプターの登場が、同国初の有人ティルトローター機が飛行試験中であることが確認された直後に発表された点も注目に値する。

今週初めに初飛行した中国の新型ティルトローター機。via X

これは、米国におけるFLRAAの競合する設計哲学を反映しており、複合同軸とティルトローターの設計のどちらかを選択し、中国人民解放軍(PLA)の次世代回転翼機の一つまたは複数の設計に反映させる可能性は十分にある。同時に、中国は 2 種類の回転翼航空機に別々の役割を想定している可能性もある。これらは実証機である可能性が高いため、シコースキーが S-97 設計をレイダー X とより大型のディファイアント X の両方に活用したのと同じように、1 つまたは両方がスケールアップされる可能性もある。

X2 技術実証機と S-97 レイダーの将来的な進化を示す、ロッキード・マーティンの古い図。FVL ミディアムおよび FVL ライトのプロジェクトは、それぞれ FLRAA および FARA に名称が変更された。ロッキード・マーティン

同様に興味深いのは、人民解放軍が戦場における回転翼機の将来を、どのように想定しているかを考察することだ。

生存能力に関する懸念が高まる中、ウクライナでの戦争の双方の側からの新たな教訓を背景に、回転翼機の妥当性が大きな議論の的となっている。この戦場では、従来の回転翼機は、特に携帯型防空兵器(MANPADS)を装備した地上部隊によって大きな被害を受けている。また、ウクライナその他の地域では、低価格のドローンも急速に台頭する脅威となっている。

インド太平洋戦域に焦点を当てると、本誌は過去、ペンタゴンがこの地域での中国との高強度戦闘の可能性に備え再編を進める中、FARAのキャンセルに関する議論を検討してきた

本誌編集長タイラー・ロゴウェイは、FARAについて次のように記していた:「太平洋での戦闘において、数百機の高度に複雑な短距離能力を持つヘリコプター(前世代機よりも航続距離と速度が最適化されているものを含む)を莫大なコストで調達することは意味がない。FARAに費やされる資金を、より関連性の高い優先事項や新興技術に充てる機会コストは、陸軍が得られる見返りに対してはるかに大きすぎる。」

「太平洋での戦闘において、ほとんどのケースで、FARAは、航続距離が長いとはいえ、安全な基地から戦闘地域まで到達し、重大な影響を及ぼし、繰り返し生存できる可能性はほとんどない。最も可能性の高い結果は、これらの航空機は戦闘中にほとんど役割を果たせないだろうということだ。これは各機が高度な能力を持たないからではなく、単に戦闘が発生している地域に到達できないためであり、仮に到達できたとしても生存して帰還する可能性は疑問視されるだろう。」

中国人民解放軍(PLA)の場合、状況は異なる。紛争前に回転翼資産を事前配置する能力がより高く、移動距離は依然として巨大とはいえ、支援資産、予備部品、物流網の他の要素は戦闘地域に近いからだ。

平時でも、中国は遠隔地への貨物輸送に大きな需要があり、これには 南シナ海の島嶼前哨基地も含まれる。中国はまた、先進的な回転翼機を搭載するのに理想的なプラットフォームとなる、拡大する 両用上陸艦の艦隊へのアクセスも持っている。

中国は、飛行場へのアクセスなしに戦時作戦を維持する必要性を強く認識しており、ヘリコプターはここで根本的な役割を果たす。

一方、複合同軸式が提供する追加の速度と機動力にもかかわらず、現代の戦場における多層的な防空網下で、あらゆる種類のヘリコプターは脆弱なままだ。攻撃や偵察任務においては、生存性はヘリコプターと目標との間の距離にますます依存するようになる。その点を考慮すれば、中国の次世代回転翼機の量産型に搭載される武器やセンサーの種類は、機体自体と同じくらい重要だ。

また、中国が戦場における有人回転翼機とさまざまな種類の無人航空機の将来的なバランスをどのように考えているかという問題もある。既に、有人・無人両用可能なティルトローター設計の可能性を模索している。中国における無人航空システムへの大規模シフトでは、有人ヘリコプターと相互補完的な役割を果たす形で、これらの機体が極めて重要な役割を果たすことになるだろう。

現時点では、中国の新型複合同軸ヘリコプターについては、その役割や設計権限に関する不明点が多く、疑問点の方が答えよりも多い状況だ。一方、中国が従来型ヘリコプターの約2倍の速度を実現する回転翼技術を探求していること自体は注目に値する。

シコースキーはX-2技術にまだ期待を寄せていると述べているものの、その潜在能力がアメリカの最大の脅威である中国によって活用されることになれば、皮肉な結果となりそうだ。■



トーマス・ニューディック

スタッフライター

トーマスは、軍事航空宇宙分野と紛争に関する報道で20年以上の経験を持つ防衛分野のライター兼編集者。数多くの書籍を執筆し、編集を手がけ、世界有数の航空専門誌に寄稿してきた。2020年に『The War Zone』に参加する前は、『AirForces Monthly』の編集長を務めていた。


China Has Cloned Sikorsky’s S-97 Raider High-Speed Helicopter

China's new helicopter with its coaxial main rotors and pusher propeller looks almost identical to the U.S.-made Sikorsky S-97 Raider.

Thomas Newdick

Aug 21, 2025 1:05 PM EDT

https://www.twz.com/air/sikorskys-s-97-raider-compound-helicopter-has-been-cloned-by-china

 

2019年10月8日火曜日

ベルが米陸軍向け新型偵察ヘリ ベル360 を発表


Bell Unveils Army Scout Helicopter — With Wings

ベルが新型陸軍用偵察ヘリコプターを発表、主翼を搭載

With its trademark tiltrotors too big for the Army’s FARA requirement, Bell is squeezing every ounce of performance out of a helicopter. Will it be fast enough?

お得意のティルトローターでは陸軍のFARA要求水準には大きすぎるため、ベルは小型化で性能を引き出す構想とした。だが十分に高速なのか。
on October 02, 2019 at 5:00 AM

Bell Flight graphic
Bell 360インヴィクタス Invictus の概念図

陸軍の将来型攻撃偵察機材構想Future Attack Reconnaissance Aircraft へのベル提案には驚くべきパラドックスが見られる。ベル360インヴィクダス(ラテン語で征服されざるもの)の名称がつき、各社提案の中でもっとも強力に見える一方、高速飛行性能と引き換えに低運行費用は劣る存在になっている。
前方に機関銃を配備し、薄い主翼をつけ、非対称型テイルローターのベル360の機体には数々の革新的技術が詰まっている。目には見えないが、性能の発揮に欠かせないのが完全デジタル制御システムで民生用ベル525リレントレスからの流用だ。525は現在FAA型式証明の取得中で初のフライ・バイ・ワイヤ操縦のヘリコプターとなる。電子制御の最高速度200ノットが実現する。ベルは360でも同程度の速度になるのか言明していないが、コンピュータモデリングと風洞テストで抗力の低減に相当努力しているのは事実だ。
だがベル360は通常型ヘリコプターの一種である。大型ローターで揚力と推進力を稼ぐものの、飛行距離と速力で制約から逃れられない。この壁の突破にベルはV-22やV-280の両ティルトローター機を準備した。
対照的なのがシコースキーS-97レイダーで、ヘリコプターと航空機のハイブリッドとして超硬度主ローターを主翼のように使い推進プロペラで推力を稼ぐ。ベルのティルトロータ同様にシコースキーの複合ヘリコプターは従来型ヘリの性能上の限界を突破する狙いがある。
その他競合相手には実機が未完成だが、ボーイングケイレムAVX/L3チームがある。だがシコースキーとベルの先行はあきらかだ
革新性ではS-97がベル360の相当先を往く。だがS-97も実証済みの設計となっており、すでに飛行テスト開始から数年がたち207ノットを達成した。これに対しベル360は縮小モデルが風洞内でテストしただけだ。では2022年末に実機が飛ぶとどこまでの速力となるのか。
「180ノット超となります」とベルの高性能回転翼機担当副社長キース・フレイルが一部記者を招いた特別説明会で述べた。180ノットはべ陸軍の巡航速度要求で機体は長時間に渡りこの性能を維持する内容だ。
では陸軍要求のダッシュ速度205ノットはどうか。「この機体は180ノット超」とフレイルは繰り返す。「陸軍要求は180ノットで当社は絶対に180を超えてみせます」
だが205ノットはどうか。「205要求はありません」とフレイルは述べた。
フレイルは記者会見後、筆者に認めた。陸軍がFARAに求める180ノット超は必要なとき短時間に限られるという。だが陸軍は「ダッシュ速度」での厳しい性能要求を設定していない。
「巡航速度180は譲歩の余地なしでの最低水準」と陸軍でFARA事業を統括するダン・ブラドレーは電子メールで筆者に伝えてきた。「ダッシュで205は望ましい性能」とし、陸軍はダッシュ速度は採択の条件ではなく、「最適条件」で実現可能かを評価するだけだという。
これは最近の陸軍の特徴たる柔軟かつ実際的なアプローチの一例であっり、これまでの硬直した要求内容と業界にリスクを無視してまで実現を共用してきた流れと好対照だ。とくにFARAでは速度、信頼性、価格などでのトレードオフを認めており、異例ともいえる許容度を業界に認めている。
Bell photo
ベルV-280ヴェイラー・ティルトローターが水平飛行中。V-280は将来型長距離強襲機(FLRAA)の最右翼候補とみなされるが、この基本設計はFARA向けの小型化は不可能だった
陸軍も現行機種より高速性能を求めており、FARA偵察ヘリには対空砲火をくぐり抜ける性能を想定している。だが機体の生存を決めるのは速力だけではない。陸軍は小型かつ機動性の高い機体を望んでおり、丘陵地や建物の影に隠れる性能を重視している。事実、回転翼の最大直径を40フィートにしたのは陸軍として譲ることができない要求となっている。このためベルお得意のティルトローターが使えなくなった。
FARAは過酷な条件で昼夜問わず飛行する必要があり、十分な整備基地がない条件も想定する。イラクではこのような基地が長距離ミサイルの標的になったこともある。「一日の終りに機体をほこりだらけの環境で整備する必要があるでしょう」(フレイル)
ベル360は速力ではシコースキーS-97にはかなわないが、ベルはセールスポイントは他にあるとする。「価格には細心の注意を払っています。ベル360は妥当な価格でリスクを最小にしながら、複雑な機構にしなくてもFARA要求性能を実現できます」”
「コーヴェットがほしくて買う予算もあるのにわざわざフェラーリを買いますか?」と在ワシントンDCのベル執行副社長ジェフ・シュレーザーが問う。「本機は高機動性の機体でお手頃な価格で米陸軍の要求内容をすべて満足させます。これ以上の機体では維持が大変でしょう」
だがフレイル、シュレーザーともに筆者が他にも低価格低技術内容の提案があると指摘するとみるみる興奮を示した。
「エキゾチックさを犠牲にしないエレガンスが手に入るのです。ここまで簡単には普通行きませんよ」(フレイル)
ベル360は高性能機軸が多数盛り込み、通常の回転翼機から一線を画すもので一部は民生用ベル525の流用だが、多くは独特の性能だ。
  • まず目につくのが主翼で揚力を稼いでいることだ。特に高速になればそれだけ多くの揚力を生む。つまり主ローターは高速度域では揚力の50パーセントしか産まず、残りの出力を加速に使えることになる。
  • ベル360はエンジンが複数装備される。GEが改良したタービンエンジンは低速域で推力を有無が、高速度になると補助出力ユニット(SPU)が起動する。これも可能な限りの出力を手に入れるためだ。
  • 主ローターのブレイドは4枚で、ベル525のものを縮小しているが、整流化ハブにつけ、抗力を最小化し、「完全関節接合」で最高の空力効率の確保のため屈曲したり原型に戻したりする。
  • 降着装置とミサイルラックはともに引き込み式で高速飛行で格納して抵抗力飛行が実現し、低速になり機体から伸長される。
  • 機体後部は意図的に非対称形になっており、右側に排気口とテイルローターがつく。フレイルからはこの設計にした理由の説明はなかったが、通常のヘリコプターではテイルローターから不均衡な力が生まれており、ベル360は非対称形にすることで戦闘機同様に「力学的に不安定」にすることで機動性を確保しているのかもしれない。
  • 機体は全電子フライ・バイ・ワイヤ制御で米戦闘ヘリコプターでは初となる。空力上で不安定な機体の制御には不可欠である。またコリンズエアロスペースがプラグアンドプレイ方式のアーキテクチャを提供しており、電子関連の交換、アプpグレードが容易に実施できる。ただし、ベル含め全社は陸軍が手動するFACE標準に準拠する必要がある。
微妙な操作が必要となるのはローター角度のみならず設計全体に及ぶ。ベルは信頼性を高めた低リスク提案をめざし、実証済み設計を基本に採用しており、シコースキーS-97のような革新性は追求していない。一方でベルは通常型設計から機能性能を引き出そうとし、機内に多くの新機軸も搭載している。ベル525の設計をさらに洗練させて新技術を採用している。ただしベル525は2016年に墜落事故を起こしFAA型式証明がまだ下りていない。
ベルは360を純粋に訴求力のある選択肢と位置づけし、シコースキーがフェラーリなら同社はコーヴェットをめざす。その真価は実機が完成して飛行性能を証明しないとわからない。■